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熱帯大西洋起源のテレコネクションが 北極域の海氷に与える遅延影響

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Academic year: 2024

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熱帯大西洋起源のテレコネクションが

北極域の海氷に与える遅延影響

気象・気候ダイナミクス研究室 519355 平賀 詩之助 指導教員:立花 義裕 教授

Keywords:北極域の海氷,熱帯大西洋,対流活動,テレコネクション,線形回帰分析,LBM

1.序論

北極域の海氷は年々変動しているが,海氷が少ない年 に日本へ寒波をもたらす可能性が示唆されている.この トピックは近年,研究者の間で活発に議論されており(e.

g., Honda et al., 2009)

[1],北極域の海氷変動の原因を解 明することは重要である.北極域の海氷が年々変動する 理由について考察した研究はいくつか存在する.Sato et

al., 2014

では,北大西洋の

SST

がテレコネクションを励 起し同時期の北極域の海氷に影響するといったことが示 唆されている[2].また,Xie et al., 2004では,熱帯大西洋 の対流活動がテレコネクションを励起することが示され た[3].したがって本研究では,熱帯大西洋の対流活動によ って励起されたテレコネクションが北極域の海氷変動に 影響するという仮説をもとに検証を行った.

2.使用データと解析手法

対流活動の指標としてアメリカ海洋大気庁(NOAA)

外向き長波放射(OLR),大気場のデータとして気象庁

55

年長期再解析データJRA-55 [4]からジオポテンシャル高度,

の月平均データを使用した.海面水温(SST)と海氷密接 度(SIC)のデータは

HadISST

[5]を使用した.解析期間は

1979-2021

年(43年間)の

10-12

月である.

まず,東経

20

度-東経

70

度,北緯

70

度-北緯

85

度の 領域(図

2a

の緑枠)で

12

月の

SIC

を領域平均し時系列 を作成した.これを線形トレンド除去および標準化をし,

長期減少トレンドを取り除いた北極域の海氷インデック

ス(図

1a)を作成した.このインデックスを使用し,12

月から

1

ヶ月ずつ遡って大気・海洋場データとの線形回 帰分析を行った.次に,西経

50

度-西経

20

度,北緯

7.5

度-北緯

17.5

度の領域(図

2b

の紫枠)で

10

月の

OLR

を 領域平均し,時系列を作成した.これを標準化し,熱帯大 西洋

OLR

インデックス(図

1b)として,同様に大気・

海洋場データとの線形回帰分析および相関分析を行った.

最後に,熱帯大西洋の対流活動に伴う熱源に対する大 気の定常応答を確認するために,線形傾圧モデル(LBM:

Watanabe and Kimoto 2000

[6])を用いた実験を行った.

回帰分析により計算した非断熱加熱の分布に従って,熱

帯大西洋の対流圏中層に最大

0.8 K/day

の熱源を与えた.

3.結果・考察

まず,12月の北極域の海氷インデックスを

12

月から 一月ずつ遡って各月の

300 hPa

面ジオポテンシャル高度 に回帰した.その結果,10月に明瞭なテレコネクション パターンが見られ,アメリカ東海岸付近は高気圧偏差,

グリーンランド付近は低気圧偏差,北極域周辺は高気圧 偏差となった(図

2a)

.また,12月の北極域の海氷イン デックスを

10

月の

OLR

に回帰した結果,他の赤道域に 比べ熱帯大西洋上の対流活動が活発であった.(図

2b

). そこで,10月の熱帯大西洋

OLR

インデックスを同じ月

300 hPa

面のジオポテンシャル高度に回帰した.その

結果,12月の北極域の海氷インデックスを

10

月の

300 hPa

面のジオポテンシャル高度に回帰したとき(図

2a)

と類似するテレコネクションパターンが見られた(図

3a)

. 以上の解析から,10月の熱帯大西洋の対流活動,アメリ カ東海岸から北極域までのテレコネクションパターン,

12

月の北極域の海氷との間に統計的な関係が見られた.

続いて,熱帯大西洋の対流活動とテレコネクションパ ターンとの因果関係を示すために,LBM実験を行った.

4

を見ると,アメリカ東海岸から中央ユーラシア付近 までのテレコネクションパターンが見られ,回帰分析に 類似した結果が得られた.よって,熱帯大西洋の対流活 動がテレコネクションを励起することが示唆された.

続いて,

10

月のテレコネクションが数か月遅れて北極 域の海氷に影響する理由を探るために,テレコネクショ ンが海洋に与える影響について考察した.

10

月の熱帯大 西洋

OLR

インデックスを

10

月の潜熱+顕熱フラック ス,SSTに回帰した.その結果,バレンツ海からノルウ ェー海にかけて潜熱+顕熱フラックスの値は負となり

(図省略),その直上で

SST

の正偏差が見られた(図

3b

). また,

11

月から

12

月までの

SST

に回帰すると同様の結 果が得られた(図省略).

10

月から

12

月の

SIC

に回帰し た結果(図省略),

10

月の北極域の海氷とは有意な関係が 見られなかったが,11月,12月は負偏差となり,12月 の方がより負偏差の領域が拡大していた.この理由とし
(2)

て,10月から

12

月は北極域の海氷が増加する時期にあ たるので,北極域の

SST

の高温偏差が

10

月から

12

月ま で持続することで海氷が拡大しにくい状態が続き,北極 域の海氷に影響したと考えられる.

4.まとめと今後の展望

回帰分析の結果により,熱帯大西洋上の活発な対流活 動がテレコネクションを励起し,数ヶ月遅れて北極域の 海氷減少に影響することが示唆された.さらに因果関係 を説明するために

LBM

実験を行った.回帰分析と類似 したテレコネクションパターンが現れたことから,熱帯 大西洋の対流活動がテレコネクションを励起したことが 示された.また,回帰分析により,そのテレコネクション は北極域の

SST

を上昇させる結果が得られた.さらに,

北極域の

SST

が高い状態が持続することにより,海氷に 影響することが示唆された.

この研究では,北極域における

SST

の高温偏差が持続 することにより,海氷に影響するという仮説を立ててい る.しかし,それ以外の影響も考えられるので,今後はそ の理由について考察を深める必要がある.

5.謝辞

本研究を進めるにあたり,ご指導をいただきました立 花義裕教授には深く感謝いたします.また,多くのご助 言を賜りました同研究室の春日悟研究員,竹端光希氏,

松田佳奈氏,山中晴名氏,天野未空氏,加藤実紗氏,佐野 芳氏,恒川知也氏,山本諒氏,そしてその他研究室の皆様 に感謝の意を表します.

6.参考・引用文献

[1] Honda, M. et al., 2009 : Influence of low Arctic sea-ice minima on anomalously cold Eurasian winters. Geophysical Research Letters, 36(8), L08707.

[2]Sato, K. et al., 2014 : Influence of the Gulf Stream on the Barents Sea ice retreat and Eurasian coldness during early winter. Environmental Research Letters, 9(8), 084009.

[3]Xie, S. P. and J. A. Carton, 2004 : Tropical Atlantic variability: Patterns, mechanisms, and impacts. Earth’s Climate: The Ocean-Atmosphere Interaction, Geophys. Monogr., 147, 121-142.

[4] Kobayashi, S. et al., 2015 : The JRA-55 Reanalysis: General Specifications and Basic Characteristics. J. Meteor. Soc. Japan, 93, 5-48.

[5]Rayner, N. A. et al., 2003: Global Analyses of Sea Surface Temperature, Sea Ice, and Night Marine Air Temperature since the Late Nineteenth Century. J. Geophys. Res., 108(14), 4407-4410.

[6]Watanabe, M. and M. Kimoto, 2000 : Atmosphere-ocean thermal coupling in the North Atlantic: A positive feedback. Quart. J. Roy. Meteor. Soc., 126, 2247-2250.

(a )

(b )

99 95 90 90 95 99 %

2 12

月の北極域の海氷インデックスと(a)10月のジオポテン シャル高度(b)10月の

OLR

との回帰.

等値線:回帰係数(a)

[m],

(b)

[W/m

2

]

,陰影:信頼係数[%]

(a )

99 95 90 90 95 99 %

3 10

月の熱帯大西洋の

OLR

インデックスと(a)

10

月のジオポ テンシャル高度(b)10月の

SSTとの回帰.

等値線:回帰係数(

a)[m],

(b)[℃]

陰影:信頼係数[%]

(b )

図4

LBM

実験

10月 300 hPa

面.

色:ジオポテンシャル高度の偏差[m]

1

(a)12月の北極域の海氷インデックス(1979-2021年)

少氷年に対応する場を示すために海氷インデックスの符号を 反転させている.

(b)10月の熱帯大西洋のOLRインデックス(1979-2021年)

対流が活発な年に対応する場を示すために

OLR

インデック スの符号を反転させている.

(b )

(a )

Referensi

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