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生体医工学科の教育目標と カリキュラムの編成方針
「生体医工学科」の教育理念は、工学の基礎と技術を学び、工学・ライフサイエン スの融合領域への理解を深めた、人間や環境に優しいモノ作りのできる人材を育成す ることである。そして、医療・ヘルスケア分野において診断・治療機器を研究開発で きる人材や、福祉・介護分野においてヒトに優しいロボットなどの機器を研究開発で きる人材を社会に送り出し、少子高齢社会において健康を支えることを中心として社 会に貢献することにある。
この理念を実現するために、以下の目標を設定している。
(A) 生命の起源から進化および適応に関するDNAを中心とした学習、ヒトの進化 およびその象徴としての技術史の学習など、人間を含む全地球的視点から多面 的に協調・共存の方法を考える能力とその素養。
(B) 生命・健康に関する技術が人間社会および自然に及ぼす影響・効果に関する理 解力や責任など、技術者として社会に対して負っている責任に関する能力(技 術者倫理)。
(C)数学、自然科学(物理、化学、生物)、情報技術に関する知識とそれらを生体に 関する問題に応用できる能力。
(D1)生体医工学学習・教育プログラムの目標実現の基礎となるメカニクス・エレク トロニクス・生理学などの数理法則と物理原理に関する理論的知識(専門に関 する基礎学力)。
(D2)生体医工学学習・教育プログラムの目標に適合する電気・機械・材料・システ ムなどに関する実験・計測を計画・遂行し、データを採取して正確に解析し、
工学的に考察し、かつ説明する能力(実験の計画遂行能力)。
(D3) 生体医工学学習・教育プログラムの目標に適合する工学と医学との境界におけ る課題を専門的知識、技術を駆使して探究し、組み立て、解決する能力(与え られた専門的課題を解決する能力)。
(D4)ライフサイエンス分野で提示される問題を理解して、工学的に解決していく課 題に翻訳する能力、すなわち、生体医工学学習・教育プログラムの示す領域に おいて、技術者が経験する「生体と人工物」、「生体システムと人工システム」
との相互作用に関する問題点・課題を理解する能力(専門的課題の設定能力)。
(E) 種々の科学、技術および情報を利用して、生体計測システムを設計するなど、
工学とライフサイエンスとの境界において、社会の要求する医療・福祉・介護 の問題を解決するためのデザイン能力。
(F) ライフサイエンスに関する問題を工学的論理形式で効果的に表現する能力など 日本語による論理的な記述力、工学・ライフサイエンスの双方に対して理解で
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きるように口述・発表する能力、討議する能力などのコミュニケーション能力 および国際的に通用するコミュニケーション基礎能力。
(G) 工学とライフサイエンスの両方にまたがる情報を主体的に取り入れ、自主的、
継続的に学習できる能力。
(H) 「生体システムと人工システムの間での相互作用」などの与えられた条件設定、
与えられたチームといった制約の下で、条件を整理し、チームワークを生かし て計画的に仕事を進め、まとめる能力。
以上の目標を達成するために、「基礎ゼミナール」、「ローテーション実験科目(エ レクトロニクス実験・システム工学実験・医工学実験・計測工学実験)」、「医工学ゼ ミナール」、「卒業研究」の一連の少人数指導科目を中心として、それに関連する「共 通」、「数理・情報系」、「計測・システム系」、「電子・機械系」、「材料・医療系」の各 専門科目群で構成され、基礎科目においても応用的内容を組み入れ、逆に、応用科目 においても基礎・教養的内容を組み入れた「相互くさび型カリキュラム」が用意され ている。このカリキュラムを通じてヒトを工学と医学の両面から理解しながら基礎工 学の素養と、コミュニケーション・プレゼンテーション・デザイン能力を身につける ことになる。
すなわち、「技術史」や「工学倫理」を中心とした科目において広い視点や技術者 倫理を身につけ、「数学演習」「物理学演習」「化学演習」「生物学基礎」「情報処理演習」
等の科目を通じて自然科学の知識と応用力を身につけ、「医工学概論」「エレクトロニ クス」「メカニクス基礎」等の専門科目によって専門に関する基礎学力を修得し、「ロー テーション実験科目(エレクトロニクス実験・システム工学実験・医工学実験・計測 工学実験)」「基礎ゼミナール」「医工学ゼミナール」「卒業研究」等を通じて課題解決・
課題設定・デザイン・コミュニケーション・自主的学習の能力および計画的に仕事を 進める能力を身につける。