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系統的配置による植栽密度試験と樹高成長

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系統的配置による植栽密度試験と樹高成長

森林総合研究所

髙橋 正義

森林総合研究所北海道支所

古家 直行

はじめに

樹木の成長と植栽密度の関係は林業的に見て大きな関 心の一つである(2)。植栽密度に関する試験には,プロッ トごとに異なる密度で植栽し,比較する方法があるが,

統計的に分析するために必要な繰り返しやランダム化を 考慮する必要があるため,試験には広い面積が必要にな る。特に森林の場合は極めて広い面積が必要であり,し ばしば地力の影響を受ける。Nelder(6)の方法は植栽配置 によってプロット内で連続的に占有面積や占有面の形状 を変化させることが出来る方法で,異なる植栽密度の条 件を地形の影響を受けにくい小面積の単一プロット内で 実現することが可能である。粟屋・本田(1)によって国内 に紹介され,いくつかの試験研究例(2,3,4,5,7,9)がある。

森林総合研究所北海道支所羊ヶ丘実験林では1973年か

ら Nelder(6)が提案した系統的配置法を用いた植栽密度

試験を行っている。佐野・眞邊(7)は第2回調査(1987年)

までの結果を,鷹尾・石橋(9)は第4回調査(1998年)年 までの結果を解析し,報告した。これらは主として当初 の試験目的である密度効果の観察・検証したもので,林 冠閉鎖前でも密度効果が既に現れていることが明らかに なった。一方で,樹種によって枯死の傾向に差が出始め ていることも明らかになった。その後植栽から39年間が 経過し,2012年秋に第7回調査を終えた。

本報告では現時点で解析が可能な2007年調査までの5 回の調査結果を用い,個体サイズ,特に樹高成長に関す る成長経過について着目した解析を行った結果を報告す る。

試験地および方法

植栽密度試験地は,羊ヶ丘実験林5林班に小班にあり,

30m×30m(一部22.5m×40m)プロットに,植栽方法や

樹種の異なる15プロットを1ブロックとし,3ブロック の繰り返しの合計45プロットを配置した試験地である。

試験地の植栽方法や1998年までの経緯などは,既報(7,9) を参照されたい。1998年以降,定期調査は2002年,2007 年,2012年に行った。また,2003年にはアカエゾマツの 三角形植3プロットで間伐を行ったが,2004年の台風18 号の風害を受けたため試験を中止した。2012 年現在で,

11種類,合計29プロットの試験を継続している。

このうち,方形植えで植えられた3樹種(トドマツ,ア カエゾマツ,カラマツ)各1プロットの測定データを用 いて,樹高成長の経過を植栽密度との関係から分析した。

なお,樹高は生存している立木全てを対象とした。調査 年ごとに,植栽密度によって樹高の成長に違いがあるか

どうかについて,等分散性を考慮しない一元配置分散分 析で検定した。また,鷹尾・石橋(9)が指摘した樹種毎の 枯死の傾向を明らかにすると共に樹高成長に関する影響 を検討した。

結果および考察

図-1aにアカエゾマツの樹高成長を示した。若齢期の成長 は高くないが,その後も順調に成長を続け,平均樹高は 34

年生で 11.9mに達していた。また,一元配置分散分析の結

果,植栽密度によらず平均樹高に有意な差は見られなかっ た(表-1)。

図-1b にトドマツの樹高成長を示した。若齢期の成長はア カエゾマツよりも良く,林齢 25 年時で林分全体の平均樹高 が10mを超え,34年生時点で15.2mに達しており,アカエゾ マツよりも早く樹高が成長していた。一方で植栽密度が低い ほど樹高が高くなる傾向が見られた。検定の結果,林齢 34 年生時の樹高には有意差が見られた。(表-1)。

図-1cにカラマツの樹高成長を示した。若齢期の成長は他 の2 種と比べて非常に高く,15年生時点で 9.9mとトドマツ 14年生時点と比べて約2倍,アカエゾマツでは約3倍であっ た。一方で,林齢25年以降成長量は大幅に減少し,30年生

時点で17.0mであった。検定の結果,10年生,15年生,25

年生時は樹高に有意差(p<0.05)があるが,21年生,30年生 時では有意差があるとは言えなかった。また,平均樹高と占 有面積の間には必ずしも相関関係がないような傾向が見ら れた(図-1)。

アカエゾマツ,トドマツ,カラマツの累積の枯損割合を図-2 に示した。カラマツは若齢期から枯死が発生し(9),30年生 時点で植栽密度10,000本/haに相当する最も占有面積の 小さい植栽列では 8割が枯損していた(図-2c)。トドマツ(図 -2b),アカエゾマツ(図-2a)も同様に最も占有面積の小さい 植栽列での枯損割合が最も高く,約 5割に達していた。カラ マツとトドマツの枯死に見られる特徴的な傾向として,林齢が 上がるにつれて枯死割合の高い植栽列に隣接する列の枯 損はやや低い傾向が見られることが指摘できる。

以上から,植栽密度と平均樹高との関係は樹種によって異 なり,アカエゾマツでは密度による差が認められず,トドマツ,

カラマツでは密度によって影響がある可能性がある。一方で,

長い期間の試験によって枯損が生じ,設計された占有面積 が 変 化 し て い る こ と も 考 慮 し て 検 証 す る 必 要 が あ る 。

Nelder(6)の方法を用いた場合,枯死した立木とその周囲の

立木をサンプルから外して解析する方法が採られることが多 い。しかし,Stape and Binkley(8) は約3割の枯損でデータの 約 8割を除外しなければならない場合があるため,データの Masayoshi TAKAHASHI (For. and Forest Prod. Res. Inst., Tsukuba 305-8687), Naoyuki FURUYA (Hokkaido Res. Ctr., For. and Forest Prod. Res. Inst., Sapporo 062-8516)

Height Growth on spacing experiment with systematic arrangement

−9−

北森研61, Feb.2013

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解析に支障が生じることを指摘している。また,枯損までには 至っていないものの,個体間の競争によって生じる劣勢木に ついても考慮する必要がある。そのため,劣勢木や枯損が 生じた場合の新たな解析方法について検討する必要があ る。

まとめ

Nelder(6)の方法を用いた植栽密度試験地が設定されて39

年が経過した。30-34年生までの3プロットのデータを用いて 樹高成長の傾向を調べた結果,植栽密度によって樹高が異 なる可能性があることが明らかになった。今後,他のプロット データや2012年調査の結果を加え,樹高と占有面積との関 係について検証を進めると共に,胸高直径や形状,材積に 対する影響についても解析を進める予定である。

引用文献

(1)粟屋仁志・本田健二郎(1969)系統的配置による植栽密 度試験の設計.日林誌51(8) :217-220.

(2)福地晋輔・吉田茂二郎・溝上展也・村上拓彦・加治佐 剛・太田徹志・長嶋啓子(2011)低コスト林業に向け た植栽密度の検討-オビスギ植栽密度試験地の結果

から-.日林誌93:303-308

(3) 本田健二郎(1977)系統的配置によるテーダマツ植栽 密度試験(II).日林九研論,30:111-112.

(4) Imada M., Kunisaki T., Mizoue N. and Teraoka Y.(1997) Optimum Planting Density for Japanese Oak (Quercus mongolica var. grosseserrata) Based on Spacing Experiment with Systematic Design. J. For. Res. 2:89-93 (5) 森田健次郎・高橋幸男・花 房 尚・水井憲雄(1969)コ

バノヤマハンノキの密度試験.北海道林業試験場報 告(7)18-23

(6) Nelder, J. A. (1962) New Kinds of systematic designs for spacing experiments, Biometrics 18:283-307.

(7)佐野 真・眞邊 昭(1989)系統的配置による植栽密度 試験.日林北支論,37:235-237.

(8) Stape J. L. and Binkley D.(2010)Insights from full-rotation Nelder spacing trials with Eucalyptus in São Paulo, Brazil, Southern Forests: a Journal of Forest Science, 72:2, 91-98 (9)鷹尾 元・石橋 聡(1999):系統的配置による植栽密 度試験(II)-設定後24年を経た試験地の成長過程-.

日林北支論47:157-159.

表-1植栽密度試験地の樹種別樹高と一元配置分散分析の結果

調査年 林齢 平均 最小 最大 P値 林齢 平均 最小 最大 P値 林齢 平均 最小 最大 P値

1987 14 3.4 3.1 3.7 0.165 14 5.1 4.6 5.6 0.469 10 7.9 7.2 8.4 0.038

1992 19 5.7 5.4 6.0 0.582 19 8.0 7.6 8.7 0.734 15 9.9 8.3 10.9 0.001

1998 25 7.5 7.0 7.9 0.643 25 10.6 9.9 11.2 0.281 21 12.3 11.3 13.1 0.157 2002 29 10.4 9.9 10.9 0.935 29 13.3 12.6 14.1 0.054 25 16.6 15.3 17.9 0.040 2007 34 11.9 11.4 12.3 0.991 34 15.2 14.2 16.6 <0.01 30 17.0 15.0 18.8 0.105

単位:m

アカエゾマツ トドマツ カラマツ

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

1000 10000

Mean Height [m]

Design Density [tree/ha]

q

10 yr 15 yr 21 yr 25 yr 30 yr

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

1000 10000

Mean Height [m]

Design Density [tree/ha]

p q

14 yr 19 yr 25 yr 29 yr 34 yr

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

1000 10000

Mean Height [m]

Design Density [tree/ha]

14 yr 19 yr 25 yr 29 yr 34 yr

a)アカエゾマツ b)トドマツ c)カラマツ 図-1植栽密度(占有面積)別の平均樹高

a)アカエゾマツ b)トドマツ c)カラマツ 図-2植栽密度(占有面積)別の枯損割合

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

1000 10000

mortality

Design Density [tree/ha]

q

10 yr 15 yr 21 yr 25 yr 30 yr

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

1000 10000

mortality

Design Density [tree/ha]

p q

14 yr 19 yr 25 yr 29 yr 34 yr

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

1000 10000

mortality

Design Density [tree/ha]

q

14 yr 19 yr 25 yr 29 yr 34 yr

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