解析学特論 III 小試験問題
平成 26 年 6 月 19 日 (木) (X,F, µ) を測度空間とする. f, fn, g はその上の可測関数とする.1. (1) 任意のε >0 と1≤p < ∞に対し, µ(|f| ≥ε)≤ 1 εp
∫
X
|f|pdµ. を示せ.
(2) 次の (a) を示すには, (b) を示せば十分であることを説明し, (b) を証明
せよ. (ヒント p=∞ とそれ以外で分ける.)
(a) 1≤p≤ ∞ とする. fn →f inLp,fn→g in Lp, ならf =g, µ-a.e.
(b) fn→f in µ, fn→g in µ, ならf =g, µ-a.e.
但し,
fn→f inLp ⇐⇒ ∥def f−fn∥pp =∫
X |f−fn|pdµ→0 (n → ∞).
fn→f inµ ⇐⇒def ∀ε >0, µ(|fn−f| ≥ε)→0 (n→ ∞).
2. µ(X)<∞ のとき, 1 ≤p < p′ <∞ に対し, Lp′(X) ⊂Lp(X) が成り立つこ とを, 次の不等式を示し,証明せよ.
∫
X
|f|pdµ≤ (∫
X
|f|p′dµ )p/p′
µ(X)1−p/p′, i.e., ∥f∥p ≤µ(X)1/p−1/p′∥f∥p′
以下, (X,F, µ) = (R,B, dx) を 1次元ルベーグ測度空間とする.
3. 1≤p < ∞とする. f ∈Lp ならfn:=f1[−n,n] に対し, fn→f inLp を証明 せよ.
4. L1 関数 f(x) の Fourier 変換 Ff(z) ≡ fb(z) の定義を述べ, a, b ∈ R を 定数として, h(x) = f(−x), f(x +a), eibxf(x) それぞれの Fourier 変換が bh(z) = f(z), eb iazfb(z),fb(z−b) となることを示せ.
5. L2 関数の Fourier 変換は, 一般に, 上のようには定義出来ないが, その理由
と,さらに, このときの定義の仕方を簡潔に説明せよ.
試験を受けていない人で、成績を上げたい人は、以下の問題で、解けるものを、
追加で、できるだけ、完璧に解いて提出して下さい。但し、単位が欲しいだけの 人は、小テストの問題だけで、十分です。
問 1 Gauss 核gt(x) := 1
√2πte−x2/(2t)に対し, ft(θ) :=
∫
R
eθzxgt(x)dxが θ∈Cの 正則関数であることを示せ. ( t= 1/2 としてθ ∈C について微分できることを示 す.)
問 2 重積分の極座標変換を用いて
∫ ∞
−∞
e−x2dx=√
π を示し, 上の gt に対し,
∫
R
gt(x)dx = 1 を確かめよ.
問 3 ε > 0 に対し, ρε(x) := (C/ε) exp[−1/(1−x2/ε2)] if |x| < ε, ρε(x) := 0 if
|x| ≥ε とおくとρε∈Cc∞ で,ρε ≥0,
∫
R
ρεdx= 1, supp ρε= [−ε, ε]をみたすこと を示せ.
このρε をフリードリクス (Friedrichs) の軟化子という.
問 4 ε >0に対し,ρεを上の条件をみたすフリードリクスの軟化子とする. f ∈L1 なら, fε :=f ∗ρε ∈C∞ となることを簡略に説明し, fε → f in L1 (ε ↓0) が成り 立つことを示せ. 特にf の台supp f が有界なら fε ∈Cc∞ となることを示せ.
講義で述べた次の結果を用いる. (命題3.2 の証明をみよ!) 定理 3.2 1≤p <∞ とする. f ∈Lp ならlim
h→0
∫
R
|f(x+h)−f(x)|pdx= 0.
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