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質量変化によるコンクリートの中性化の評価

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Academic year: 2024

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総合研究所・都市減災研究センター(UDM)研究報告書(平成24年度)

テーマ3 小課題番号3.1-4

質量変化によるコンクリートの中性化の評価

コンクリート 中性化 質量変化 岡 雅聡* 齊藤辰弥** 阿部 道彦***

1. はじめに

鉄筋コンクリートは外部からの二酸化炭素 COの侵入に よってコンクリートのアルカリ性が失われると、鉄筋の不動 態被膜が失われて耐腐食性が低下する。また、腐食生成物の 体積膨張により、コ ンクリートのひび割れ・剥離を引き起こ し、耐荷力など構造物の性能低下を生じる。このため、鉄筋 コンクリートの耐久性を考える上でコンクリートの中性化の 評価は重要である。凍結融解試験や乾燥収縮試験では補助的 に質量変化も測定されているが、中性化試験ではほとんど測 定例がない。1)~4)

この研究では、JISに規定された試験において、CO2の侵 入に伴うコンクリートの質量変化を測定することによって中 性化深さの試験結果のより妥当な評価の一助とすることを目 的としている。また、併せて中性化によって生成した水が外 部に逸散しているのか内部にとどまっているのかについても 考察した。

2. 実験概要

図1は、供試体の脱型・養生から中性化促進までの流れを 示したものである。供試体の質量は、促進中性化期間中の供 試体の質量は、CO2の吸収に伴う質量増加と乾燥による質量 減少の和として測定されるため、本実験では、促進中性化開 始時に供試体を2分割し、それぞれ促進中性化と乾燥継続を 行い、両者の質量差からCO2吸収量を求めることとした。

表1に試験条件を示す。No.1~No.3 は乾燥期間を変えた もの、No.5は養生方法を変えたもので、No.4は自由水を求 めるためのものである。

中性化深さと質量のデータから両者の関係を求め、コンク リートの質量測定から中性化深さを推定可能であるかどうか を検討する。また、測定されたコンクリート試体のCO2の吸 収量が何を意味しているかをコンクリートの調合表や化学反 応式から検討した。

3.実験方法 3.1 使用材料

セメントは普通ポルトランドセメント(密度3.16g/cm3)、

細骨 材は 大 井川 水 系陸 砂、 粗骨 材は 青 梅産 硬 質砂 岩砕 石

(2013と1305の等量混合)、混和剤はAE減水剤およびAE 助剤、水は水道水を使用した。使用骨材の品質を表2に示す。

3.2 コンクリートの調合

表3にコンクリートの調合およびフレッシュコンクリート の試験結果を示す。

調合は水セメント比50%、60%および70%の3種類で、目 標スランプは18cm、目標空気量を4.5%とし、AE 減水剤の 使用量はC×0.25%とした。AE助剤はC×0.003%とした。

コンクリートは、温度20℃の恒温室において室温に調整し た材料(骨材は表乾状態)を用いて 50L の水平パン型ミキ サで練り混ぜた。

種類 絶乾密度

(g/cm

3

吸水率

(%)

実積率

(%) 粗粒率 粗骨材 2.62 0.95 61.5 6.85 細骨材 2.60 1.69 - 2.78

表2 使用骨材の品質

養生方法 乾燥期間 測定期間(週)

1 4週20℃水中養生 1週 4、9、16、25 2 4週20℃水中養生 4週 4、9、16、25 3 4週20℃水中養生 13週 4、9、16、25 4 4週20℃水中養生 3分割後、1、4、13週 恒量になるまで 5 4週20℃封かん養生 4週 4、9、16、25

表1 試験条件

*:工学院大学建築学科4年生 *:工学院大学研究生 ***:工学院大学建築学部 教授 工博

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総合研究所・都市減災研究センター(UDM)研究報告書(平成24年度)

テーマ3 小課題番号3.1-4

3.3 供試体の作製および養生

試験体は 10×10×40cmの鋼製型枠を用いて、水セメン

ト比ごとに表1に示す試験条件No.1~5の試験体を各一本作 製し、試験条件No.1~4を20℃水中養生、No.5を20℃封か ん養生とし、いずれも 4 週養生後、所定の乾燥(20℃、60%

RH)を開始した。

3.4 実験方法

試験条件No.1、No.2、No.3、No.5の試験体は乾燥後、割 裂し、乾燥用、中性化用に分けてそれぞれ恒温恒湿槽(20℃、

60%R.H.)、促進中性化槽(20℃、60%R.H.・CO25% )に 入れて所定の期間(4週、9週、16週、25週)で、前者につ いては質量の測定を、また、後者については質量およびフェ ノールフタレイン溶液を用いて中性化深さを測定した。質量 測定は電子天秤(目量0.1g)を用いて行った。

各供試体の割裂面は質量測定の後、エポキシ樹脂を塗布し、

中性化を防ぐものとした。質量測定はエポキシ塗布後も行い、

供試体は塗布面を上にして、割裂と同じ日に中性化促進槽に 入れた。

No.4は4週間20℃水中養生した後、No.1~No.3の乾燥期 間に対応させて分割した後、105℃乾燥とした。

4. 実験結果およびその考察 4.1 試験条件No.1の結果

試験条件No.1 について質量と中性化深さの測定結果を図 2~図4に示す。

図2によると、促進期間が長くなると中性化深さは大きく なる傾向を示しているが、水セメント比 50%と 70%ではや やばらつきが大きくなっている。

図3によると、促進期間4週まではCO2による質量増加は 大きくなっているが、9 週になるとやや増加が小さくなり、

また、増加の量は水セメント比によらずほぼ一定となってい る。また、中性化深さの場合には、中性化促進期間の進行に ともなって減少する場合も認められたが、質量の場合はその ようなことは認められなかった。

図2 中性化深さの経時変化(No.1)

図3 質量増加の経時変化(No.1)

図4 質量増加と中性化深さの関係(No.1)

セメント細骨材粗骨材セメント細骨材 粗骨材 スラン

プ(cm)

空気量

(%)

練上が り温度

(℃)

単位容積質 量(kg/m

3

)

18 4.5 50.0 0.58 43.8 176 111 313 355 352 800 941 880 19.3 4.5 20.0 2286 18 4.5 60.0 0.58 48.3 176 93 331 355 293 848 941 733 19.5 4.9 19.0 2258 18 4.5 70.0 0.58 49.3 176 80 344 355 251 882 941 629 18.3 3.5 20.0 2313

フレッシュコンクリート試験結果 表3 計画調合およびフレッシュコンクリートの試験結果

単位 水量

(kg/

m

3

)

絶対容積(ℓ/m

) 質量(kg/m

3

) AE減 水剤の 使用量 (g/m

3

) 目標

スラ ンプ (cm)

目標 空気 量 (%)

水セメ ント比

(%)

単位粗骨 材かさ容

(m

3

/m

3

) 細骨 材率

(%)

(3)

総合研究所・都市減災研究センター(UDM)研究報告書(平成24年度)

テーマ3 小課題番号3.1-4

図4によると、CO2による質量増加に対応して中性化深さ は増加する傾向を示し、また、CO2による質量増加が同一の 場合には水セメント比が大きいほど中性化深さは大きくなる 傾向を示した。これは水セメント比が大きいほどセメント量 が少なく中性化しやすいためと考えられる。また、両者の関 係は直線的ではなく、ややCO2による質量増加より中性化深 さが大きくなる傾向を示した。

4.2 CO2による質量増加の補正

本実験では、割裂面のみエポキシを塗布したため、供試体 の隅角部を考慮して次式で求められる係数を乗じて CO2の 吸収量を補正することとした。

中性化深さ×供試体の表面積

・・・(1) 供試体の中性化部分の体積

図5~図8の横軸は補正したCO2による質量増加を示した もので、中性化深さとの関係はほぼ直線になった。各試験条 件、各水セメント比ごとに、原点を通る回帰式を求め、その 係数を表4に示す。これによると、水中養生を行った乾燥期 間4週の場合にやや大きくなっているが、水セメント比が同 じであれば、試験条件にかかわらず、回帰係数はほぼ同じ値 となった。このため、各水セメント比ごとに平均値を求め、

この平均値を用いて中性化深さの計算値を求めて実測値との 対応を示したものが図9である。これによると、中性化深さ の計算値は実測値によく対応しているといえる。

4.3 CO2による質量増加の内容に関する検討

セメント中のC3SとC2Sの水和によって珪酸カルシウム水 和物と水酸化カルシウムを生じる。その化学反応を分子量を 併記して表示すると、それぞれ、

2C3S[456]+6H2O[108]→C3S2H3[342]+3Ca(OH)2[222]

2C2S[344]+4H2O[72]→C3S2H3[342]+Ca(OH)2[74]

となる。

普通ポルトランドセメントのC3SとC2Sの構成比率をそれ ぞれ53%と 23%、水和率を90%と68%と仮定5)すると、単 位セメント量に対する珪酸カルシウム水和物と水酸化カルシ ウムの生成量の比は、それぞれ、

342/456×0.53×0.90+342/344×0.23×0.68=0.513、

222/456×0.53×0.90+74/344×0.23×0.68=0.266 となる。

このため、珪酸カルシウム水和物と水酸化カルシウムの生 成量は、単位セメント量×0.51、単位セメント量×0.27とな る。

次に珪酸カルシウム水和物または水酸化カルシウムと二酸 化炭素の化学反応を分子量を併記して表示すると、

C3S2H3[342]+3CO2[132]→

3CaCO3[300]+2SiO2[120]+3H2O[54]

図5 補正した質量増加と中性化深さの関係(No.1)

図6 補正した質量増加と中性化深さの関係(No.2)

図7 補正した質量増加と中性化深さの関係(No.3)

図8 補正した質量増加と中性化深さの関係(No.5)

(4)

総合研究所・都市減災研究センター(UDM)研究報告書(平成24年度)

テーマ3 小課題番号3.1-4

または、

Ca(OH)2[74]+CO2[44]→CaCO3[100]+H2O[18]

となる。中性化による質量の増加は、ここで生じるH2Oがコ ンクリート中に留まると仮定するとそれぞれ、

132/342=0.386、44/74=0.595、

外部に逸散すると仮定すると、それぞれ、

(132-54)/342=0.228、(44-18)/74=0.351

となるため、これらを、上述した珪酸カルシウム水和物、水 酸化カルシウムの生成量に乗じることによって算出される。

以上より算出した数値を表5に示す。

この値はコンクリート 1m3が中性化した場合の質量増加 (kg/m3)を示しているが、単位はこのほか、g/lまたはmg/cm3 でもよい。

一方、本実験では、表4の回帰係数の逆数を10倍にした もの、すなわち10mm中性化した場合の質量増加は、水セメ ント比ごとに次のようになる。

水セメント比50%: 71.4 mg/cm3 水セメント比60%: 55.8 mg/cm3 水セメント比70%: 46.8 mg/cm3

この値を表5の値と比較すると、中性化による質量増加に ついては、水酸化カルシウムだけでなく、CSHも炭酸化して そのときに生じた水が逸散している場合にほぼ相当するとみ なすことができるが、その他の組み合わせも可能でもあり、

今後検討を進めることとする。

5.まとめ

本実験の結果は、次のようにまとめられる。

1) 中性化深さは、供試体の質量増加にほぼ比例する。

2) 水セメント比が一定ならば、両者の関係は促進中性化開 始前の乾燥期間(1週、4週、13週)および養生方法(水 中養生、封かん養生)に依存しない。

3) 同じ中性化深さとなるときの供試体の質量増加は、水セ メント比が小さくなるほど大きくなる。

4) 水セメント比ごとに求める単位中性化深さ当たりの質量 増加を用いて、中性化深さを精度より推定することがで きる。

5) 水酸化カルシウムおよびCSHとCO2の反応より生成さ れる炭酸カルシウムと水の量を計算した結果から、上記 (4)の係数を推定できる可能性がある。

[参考文献]

(1)岸谷孝一:鉄筋コンクリートの耐久性,鹿島建設技術研究 所出版部,pp.13-35,1963.2

(2)村上克郎:乾燥と中性化によるモルタルの収縮と重量変化 (1),(2)セメント・コンクリート No.207,pp.2-6,1964 および No.208,pp.12-20,1964

(3)島崎、阿部:質量測定による PCa コンクリートの中性化

深さの推定の試み,日本建築学会大会学術講演梗概集,pp.491-

図9 中性化深さの実測値と計算値の関係

-492,2008.9

(4)阿部、島崎:コンクリートの中性化の進行と質量増加の関 係 に 関 す る 検 討,第 9 回 韓 国 ・ 日 本 建 築 材 料 施 工 Joint Symposium,pp.341-344,2008.8

(5)森茂二郎:セメント化学からみたコンクリート工学と接 点上の諸問題,コンクリート工学,Vol.19,No.11,pp.7-10, 1981.11

表4 回帰係数の計算結果

水セメ ント比 (%)

水中養生4週 封かん養生 4週 乾燥 平均

1週

乾燥 4週

乾燥 13週

乾燥 4週

50 0.118 0.143 0.138 0.129 0.14 60 0.177 0.190 0.178 0.173 0.179 70 0.202 0.226 0.218 0.203 0.214

表5 CSHおよびCa(OH)2のCO2による質量増加の計算結果

W/C

(%)

単位 セメント量

(kg/m3) CSHの

生成量

CSHが炭酸化

Ca(OH)2

の生成量

Ca(OH)2が 炭酸化 H2Oが

留まる H2Oが

逸散

H2Oが 留まる

H2Oが 逸散

0.51 0.386 0.228 0.27 0.595 0.351 50 352 180 69 41 95 57 33 60 293 149 58 34 79 47 28 70 251 128 49 29 68 40 24

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