電子計算機及び実習 第 6 回 (11/10)
6 TEX 文書の作成
6.1 今日のテーマ
*定理環境(続き)
*プリアンブルのファイル化
*数式環境
**今日の提出課題
以下のファイルを添付して,s-suzuki宛に署名をつけて送信せよ.ただし,Subjectは「学籍番号+Nov10」と せよ.また,メールの本文に添付したファイルの名前を明記すること.これらの指定が守られていない場合,減 点対象となる.
1. preamble.tex 課題6.4の結果.
2. equation.tex 課題6.6の結果.
6.2 前回の復習
前回休んだ者は,次のファイルをダウンロードし,texディレクトリにおくこと.
http://jwww.ed.noda.tus.ac.jp/j-goto/files/EUC.tex 次のことを思い出しなさい.
1. TEXファイルでは,命令は\で始まる.
2. TEXファイルの \begin{document}より前をプリアンブルという.この部分に,文書の体裁などについ
て記述する.
3. 特に,\newtheoremで定理環境を定義する.
4. 環境を指定するときは,必ず\beginと\endが対になっていなければならない.
5. yatexで代表的なコマンドを入力することができる.特に,環境を指定するときは yatex コマンドで入力
することを勧める.
large型 C-c l section型 C-c s begin型 C-c b
課題 6.1 yatexのコマンドで\begin{center} \end{center}や\begin{thm} \end{thm}を入力する練習をし
なさい (詳しい方法は前回のレジュメを参照せよ).
6.3 定理環境 ( 続き )
6.3.1 定理環境の定義
Emacsで EUC.texを開きなさい.プリアンブルに,次のように書かれているだろう.
¶ ³
%% 定理環境の整備
\theorembodyfont{\rmfamily}
\newtheorem{thm}{Theorem}[section]
\newtheorem{prop}[thm]{Proposition}
µ ´
この部分について説明しよう.1行目は %で始まっているので,LATEXはこの部分を無視する.2行目について は後で説明する.3行目は,thmという環境名で,Theoremと出力される定理環境を定義している.定理環境で は,LATEXが自動的に番号を付けてくれるが,オプション[section]で節番号も自動的に付けてくれる.4行目 ではprop という環境名でProposition と出力される定理環境を定義している.オプション[thm] (場所に注意) で thmと同じ通し番号を付けてくれる.以上のことを理解するために,次を実行してみよ.
課題 6.2 本文に次のように書きなさい(yatexのコマンドを用いること).
¶ ³
\begin{thm}
この定義は well-defined である.
\end{thm}
\begin{prop}
well-defined とは矛盾なく定義されている,という意味である.
\end{prop}
µ ´
コンパイルとプレビューをしてみよ.それから,プリアンブルのオプション(2ヶ所)を削除するとどうなるか試 してみよ.
6.3.2 定理環境内のフォント
LATEXは,定理環境内のアルファベットを自動的にイタリック体(abcde)にする.なぜなら,英語では定理や 命題をイタリックで書くことになっているからである(図書館などで任意の英語のテキストを見てみよ).しかし,
日本語の文書を作成するとき,この機能はおせっかいである.そこで,定理環境内でも通常のローマン体を用い なさい,という命令がプリアンブルの次の一行である.
\theorembodyfont{\rmfamily}
この命令は,theoremパッケージをロードすると用いることができる.
課題 6.3 上の行をコメントアウトして(行の先頭に%を付けて)コンパイル,プレビューしてみよ.
6.4 プリアンブルのファイル化
TEXファイルを作成する度にプリアンブルを書くのは面倒である.そこで,よく用いるプリアンブルをファイ ルとして保存しよう.
課題 6.4 定理環境を定義している部分を次のように編集せよ.
¶ ³
%% 定理環境の整備
\theorembodyfont{\rmfamily}
\newtheorem{thm}{定理}
\newtheorem{prop}[thm]{命題}
µ ´
他にも,フォントの大きさやマージンなどで好みの設定があれば,好きに書き換えて良い.
それから,本文(\begin{document}から\end{document}まで)を削除し,preamble.texという名前で保存せ よ (別名で保存するにはC-x C-w).
課題 6.5 新しくrenshu.tex というファイルを開き(C-x C-f),次のように入力してプレビューせよ.
¶ ³
\input{preamble}
\begin{document}
Hello, world.
\end{document}
µ ´
注意. 自分用なら構わないが,このようなファイルを人に送るべきではない.受け取った相手はpreamble.tex を持っていないだろうから.
6.5 数式環境
数式は$で挟んで書く.例えば,次のように書いてプレビューしてみよ.
1+1 と $1+1$ では出力が異なる.
初心者に多いエラーは,開く$のみ書いて,閉じる $を忘れてしまうことである.そこで,yatexでは$が自動 的に2つ入力される.LATEXには数式環境内($で挟まれた部分)でしか用いることのできない命令が多く存在す る.例えば,
$\sqrt{2}$
と書いてみよ.もし$ で挟むのを忘れるとコンパイルエラーになる.別行に数式を書きたければ\[と \]で挟 む.例えば次のように書いてみよ.
\[
(a+b)^2=a^2+2ab+b^2
\]
この2種類の環境では,数式の記述が若干異なる.次のように書いてみよ.
$\frac{1}{2}$
\[
\frac{1}{2}
\]
前者をテキストスタイルといい,後者をディスプレイスタイルという.$$の中でディスプレイスタイルを用いた ければ\displaystyle,\[ \]の中でテキストスタイルを用いたければ\textstyleと書く.
$\displaystyle \frac{1}{2}$
\[
\textstyle \frac{1}{2}
\]
equation環境を用いると,数式に自動的に番号が付けられる(括弧の位置関係に注意して書きなさい).
\begin{equation}
x=\frac{b \pm \sqrt{b^2-4ac}}{2}
\end{equation}
数行にわたる数式を書くにはalign環境を用いる(ただし,これを用いるにはamsmathパッケージをロードして いる必要がある).
\begin{align}
y & =f(x) \\
& =x^2
\end{align}
\\は改行命令であった.また,&はタグといい,「そこで上下をそろえなさい」という意味の記号である.タグは
他にもarray環境やtabular環境などで用いられる.align環境では全ての行に数式番号が付けられる.これを付
けたくなければ\begin{align*} \end{align*}のように*を付ける.特定の行にのみ番号を付けたくなければ
\nonumber命令を用いる.
\begin{align}
y & =f(x) \nonumber \\
& =x^2
\end{align}
6.6 数式ギャラリー
6.6.1 ギリシャ文字,記号
以下は数式環境でのみ用いることができる.
ギリシャ文字
α \alpha θ \theta π \pi ψ \psi Σ \Sigma
β \beta ϑ \vartheta ρ \rho ω \omega Υ \Upsilon
γ \gamma ι \iota σ \sigma Γ \Gamma Φ \Phi
δ \delta κ \kappa τ \tau ∆ \Delta Ψ \Psi
² \epsilon λ \lambda υ \upsilon Θ \Theta Ω \Omega
ε \varepsilon µ \mu φ \phi Λ \Lambda
ζ \zeta ν \nu ϕ \varphi Ξ \Xi
η \eta ξ \xi χ \chi Π \Pi
数学記号
sin \sin ± \pm ⊂ \subset → \rightarrow cos \cos ∓ \mp ⊃ \supset ← \leftarrow tan \tan ≤ \le ∩ \cap ↔ \leftrightarrow
log \log ≥ \ge ∪ \cup 7→ \mapsto
∀ \forall 6= \neq · \cdot ⇐ \Leftarrow
∃ \exists ∈ \in · · · \cdots ⇒ \Rightarrow
∞ \infty 3 \ni . . . \ldots ⇔ \Leftrightarrow 6.6.2 数式の例
e√−1x= cosx+√
−1 sinx
\[
e^{\sqrt{-1}x}=\cos x+\sqrt{-1} \sin x
\]
∫ 1 0
f(x)dx= lim
n→∞
1 n
n∑−1
k=0
f (k
n )
\[
\int_0^1 f(x)dx=
\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n}
\sum_{k=0}^{n-1} f \left( \frac{k}{n} \right)
\]
df=∂f
∂xdx+∂f
∂y dy
\[
df=\frac{\partial f}{\partial x}\,dx+
\frac{\partial f}{\partial y}\,dy
\]
( X Y
)
= (
a b c d
) ( x y )
\[
\begin{pmatrix}
X \\ Y
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
a & b \\ c & d
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
x \\ y
\end{pmatrix}
\]
実数列{an}∞n=1 がaに収束するとは,
∀ε >0,∃N ∈N, s.t. n≥N⇒ |an−a|< ε
となることである.
実数列 $\{a_n\}_{n=1}^\infty$ が $a$ に収束するとは,
\[
\forall \varepsilon>0,\,\exists N \in {\mathbf N}, \mbox{ s.t. } n \ge N
\Rightarrow |a_n-a|<\varepsilon
\]
となることである.
課題 6.6 プレビューすると以下のようになるTEX ファイル,equation.tex を作成しなさい.
¶ ³
x2y xy2 xy2 xy2 x2y x2y xy2
tanx= sinx
cosx, (eiθ)n=einθ= cosnθ+isinnθ.
∑∞ n=0
xn= lim
m→∞
∑m
n=0
xn = 1
1−x (|x|<1)
γ:= lim
n→∞
( n
∑
k=1
1
k −logn )
数列{an}が Cauchy列であるとは,
∀ε >0,∃N ∈N s.t. ∀n, m≥N,|an−am|< ε を満たすことを言う.
µ ´
6.7 本日の課題
課題 6.7 (提出課題) 以下のファイルを添付して,s-suzuki宛に署名をつけて送信せよ.ただし,Subjectは「学 籍番号+Nov10」とせよ.また,メールの本文に添付したファイルの名前を明記すること.これらの指定が守られ ていない場合,減点対象となる.
1. preamble.tex 課題6.4の結果.
2. equation.tex 課題6.6の結果.
6.8 レポート
課題 6.8 (レポート課題) 授業ページのレポート課題の部分を熟読し,レポートを作成,提出すること.
印刷方法を説明しておく.まずDVIファイルをPS ファイルに変換する.
¶ ³
% dvips -o file.ps file.dvi
µ ´
PS ファイルを印刷するには,次のようにする.WS教室には前後に合わせて4台のプリンタがある.どれかから プリントアウトされるはずである.
¶ ³
% lpr file.ps
µ ´
6.9 次回のテーマ
シェル,ジョブ,プロセス,エイリアス.