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3年連続してクスサンが大発生した広葉樹二次林における

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3年連続してクスサンが大発生した広葉樹二次林における  ウダイカンバの枯死状況

北海道立総合研究機構林業試験場

大野泰之・山田健四・八坂通泰・  石濱宣夫・滝谷美香・津田高明

北海道立総合研究機構林業試験場道東支場 北海道立総合研究機構林業試験場道北支場 岩手大学農学部

中川昌彦  蓮井 聡  松木佐和子

はじめに はじめに はじめに はじめに

道内には明治末期の山火事跡に成立したウダイカンバ 二次林が各地に分布し,現在,林齢約100年に達してい る。ウダイカンバは家具材や内装材として広く利用され ており,とくに大径木は高価格で取引されることから

(7),これら二次林の多くは用材の生産が可能な貴重 な資源として期待され,40年程前から保育管理が行われ てきた(11)。

しかし,ウダイカンバ二次林では食葉性昆虫である蛾 の幼虫が大発生し,その後,枯死被害が発生することが ある(2)。例えば,網走西部地方の二次林では大発生し たシャクガ類の食害の後に樹齢 90-100 年のウダイカン バが枯死した(3,4)。

一方,道央地域のウダイカンバ二次林では,最近,ク スサン(ヤママユガ科に属する大型の蛾)の幼虫の大発 生が報告されている。本幼虫によるウダイカンバへの食 害は 1991 年にはじめて厚田村の二次林で記録され(1),

この食害以降,本幼虫の大発生は場所を移しながら現在 も続いている(2,図-1)。ウダイカンバの葉はシラカン バなどの落葉広葉樹に比べて,本幼虫の成長と蛹化,羽 化にとって良好な餌資源であるため(5),更なる被害 地域の拡大と被害の長期化が懸念される。このような状 況にもかかわらず,本幼虫に加害されたウダイカンバの 枯死被害の状況については不明なままである。

そこで本研究では,クスサン幼虫に食害されたウダイ カンバの枯死被害の有無や程度を把握するため,本幼虫 の大発生した二次林に観察木(46 本)を設け,2006~2011 年までの枯死状況を調査した結果を報告する。

調査地 調査地 調査地 調査地とととと方法方法方法方法

調査は空知総合振興局森林室管内のウダイカンバ二次 林(奈井江町)で行った。調査を行った林分は標高約 200m の斜面中腹に位置している,

ウダイカンバの枯死状況を経年的に観察するため,

2006 年 6 月中旬に 46 個体を観察木として選び,標識付 けと胸高直径(DBH)の測定を行った。観察木の DBH は 20~44cm の範囲にあり,DBH の平均値と標準偏差は 31.8cm±6.0cm であった。

選定した観察木について 2006~2011 年までの 5 年間,

枯死状況を調査した。この調査は各年の 6 月中旬に行い,

この時期に開葉していない個体を枯死と判定した。また,

クスサン幼虫の発生状況と食害状況の観察も 2006~

2011 年にかけて行った。この観察は食害が顕著となる 7 月下旬に行った。

図図

図図----1111 クスサンにより食害されたウダイカンバ二次林 (奈井江町, 2008 年 7 月下旬)

上層を占めるウダイカンバの葉が消失している。

図 図 図

図----2222 ウダイカンバの累積枯死率 矢印は月中~下旬に激しい食害を受けたことを示す。

結 結 結 結 果 果果果

調査を行った林分では 2006~2008 年にクスサン幼虫 の大発生が確認された(図-1,2)。ほとんどの観察木 では 3 年連続して 70%以上の葉が消失しており,観察木 の DBH と食害の程度との間に相関関係は認められなかっ た(図表なし)。一方,2009 年と 2010 年には著しい食害 は認められなかった。

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北森研60, Feb.2012

(2)

観察木の累積枯死率を図-2に示す。激しい食害が認 められた 2006~2008 年の翌年(2009 年)にウダイカン バの枯死個体が認められ,この時の死亡率は 6.5%であ った。また,著しい食害が認められなかった 2009 年以 降にも新たな枯死が観察され,2011 年 6 月時点での累積 枯死率は 23.9%に達した。

生存木,枯死木別の胸高直径(DBH)階別本数分布を 図-3に示す。枯死木はすべて DBH36cm 未満の個体であ った。DBH28cm 未満の階級,および DBH28-36cm の階級で は,2009~2011 年にかけて累積枯死率がそれぞれ 7.1%

から 42.9%,8.7%から 21.7%に増加した。

図 図 図

図----3333 生存木,枯死木別の胸高直径(DBH)階別の 本数分布

括弧内の数値は DBH 階別の累積枯死率(%)を示す。

考考 考考 察察察察

3 年連続(2006~2008 年)してクスサンが大発生した 翌年(2009 年)から観察木の枯死被害が確認された(図

-2)。類似した結果はシャクガ幼虫に食害されたウダイ カンバにおいても報告されており(4),複数年にわたる クスサン幼虫の食害もウダイカンバの枯死被害を引き起 こす要因となることを示している。

著しい食害がみられなかった 2009 年以降にも新たな 枯死個体が確認され(図-2),とくに DBH の小さな階 級(DBH<28cm)ほど枯死率が高かった(図-3)。観察 木の DBH と食害の程度との間に相関関係は認められなか ったことから(図表なし),個体サイズによって食害に対 する感受性が異なっていたものと考えられる。観察され たサイズ依存的な枯死パターンは,食害の影響がほとん どないと考えられる健全なウダイカンバ二次林でも報告 されている(6)。また,個体サイズの小さなウダイカン バは枯れ上がりが進んでいるため樹冠面積が小さく,樹 皮の色調や皮目の特性などから個体の活力が低下してい ると判断されるものが多い(8)。つまり,サイズの小さ な観察木は個体サイズの大きなものに比べて潜在的に枯 死しやすい性質であり,食害が引き金となり枯死被害が 促進されやすかったものと推察される。

現在,生存している観察木の中には,樹冠部の枝が部 分的に枯れている個体が認められた。激しい食害を受け たウダイカンバでは樹冠部の枝が部分的に枯死する現象

(衰退)が起こりやすく(4,9),衰退(枝枯れ)の程度 が大きい個体ほどその後の枯死率が高い(10)。そのた め,観察木の枯死被害が今後も発生する可能性があり,

継続して推移を見ていく必要がある。 謝

謝 謝 謝 辞 辞辞辞

本研究の一部は日本学術振興会の基盤研究 C(代表:

大野泰之)の支援を得た。記して感謝する。

引用文献引用文献 引用文献引用文献

(1) 福山研二・前藤 薫・東浦康友・原 秀穂 (1992) 平 成3年度に北海道に発生し た森林昆虫. 北方林業 44

44 44

44:19–22.

(2) 原 秀穂 (2011) 病害虫研究の今 (1)虫害 北方森林 学会(編),北海道の森林, 北海道新聞社札幌市 36-41.

(3) 原 秀穂・東浦康友・洞平勝男・高橋儀昭 (1995) 道 北地方の広葉樹林で大発生しているシャクガ類につ いて. 森林保護 250250250:41–43. 250

(4) 原 秀穂・東浦康友・洞平勝夫・高橋儀昭 (1997) ナ ミスジフユナミシャクの食葉被害によるウダイカン バの枝枯れ・枯損. 森林保護 257257257257:7-8.

(5) 菊池伸哉・松木佐和子 (2010) クスサン幼虫の樹種選 好特性 -北海道と岩手県のクスサン個体群における 事例-. 東北森林科学会誌 151515:2 64-67. 15

(6) 菊沢喜八郎・高橋幸雄・水井憲雄・浅井達弘・福地 稔・

水谷栄一 (1981) ウダイカンバ林の生長量 日林北支 講 29292929:46−48.

(7) 小池孝良 (2009) 落葉広葉樹の紅葉―銘木を生む樹種 を仕立てる鍵―. 山林 1506150615061506:2−9.

(8) 小池孝良・向出弘正・高橋邦秀・藤村好子 (1988) ウ ダイカンバ若齢人工林における衰退木の特徴 北方林 業 40404040: 1−4.

(9) Ohno Y, Umeki K, Watanabe I, Takiya M, Terazawa K, Hara H, Matsuki S (2008) Variation in shoot mortality within crowns of severely defoliated Betula maximowicziana trees in Hokkaido, northern Japan. Ecol. Res. 232323:355–362. 23

(10) Ohno Y, Umeki K, Watanabe I, Takiya M, Terazawa K, Yasaka M, Matsuki S (2009) Basal area growth and mortality of Betula maximowicziana affected by crown dieback in a secondary forest in Hokkaido, northern Japan. J. For. Res. 14141414: 37-43.

(11) 渋谷正人・菊沢喜八郎 (1988) ウダイカンバ林の収 量-密度図. 日林北支論 36363636:124-126.

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北森研60, Feb.2012

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