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1に対外的軍事行動に関する消極性であり、

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2020

年もまたアメリカと中国から目の離せない年となるであろう。アメリカは大統 領選挙の年であり、トランプ政権が継続するか否かによって国際関係が大きく影響を 受けることは間違いない。民主党に政権を奪還する可能性があるとすれば、民主党候 補の対外政策への取り組み方については十分注視していくことが必要である。とはい え、誰が大統領になるにしても、弾劾が成立しないとすれば、2021年

1月まではトラ

ンプ政権が続く。とすると、世界はこの

3年間で次第に明らかになってきたトランプ

政権のパターンと付き合っていかざるをえない。

トランプ政権のパターンとは何か。第

1に対外的軍事行動に関する消極性であり、

2に二国間取引の重視であり、第 3

に大統領の言動の不規則性であり、それにもか

かわらず、第

4にアメリカ政治システムから拘束される傾向である。第 1

から第

3

ま での特徴は、いまや特に説明を要しないだろう。シリアから一方的に米軍を撤退させ た事例にみられるように、対外的軍事コミットメントはできる限り減らしたいという 傾向は変わらないであろう。

判断が難しいのは、アメリカの政治システムによってトランプ政権の対外行動がど の程度制約されていくかということである。トランプ大統領の取引重視と言動の不規 則性にもかかわらず、大統領が思ったことや語ったことがすべてアメリカの政策とし て実現するわけではない。これまでもたびたびみられたように、政権内部の意見の不 一致やサボタージュによって、トランプ大統領が言ったことが骨抜きにされたことは あった。大統領は意見の違う高官を頻繁に解任することで、自分の意志を通そうとし てきたし、シリアからの撤退などのように、それによって実現したこともある。しか し、解任がこれだけ頻繁に起こるということは、いかに抵抗が強いかということでも ある。しかも政権外部の力、特に議会はさらに政権を拘束する。議会は予算を決定 し、通商権限を保持しており、これを無視することはできない。

このアメリカの政治システムが生み出す拘束として最も強く作用するのは、中国に 対する政策だと思う。米中貿易戦争は、中国側の譲歩やアメリカ経済への現実的配慮 から、中国からの輸入品目すべてに関税をかけるということにはならず、いったん休

国際問題 No. 688(2020年12月)

1

◎ 巻 頭 エ ッ セ イ ◎

Tanaka Akihiko

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戦状態になった。しかし、アメリカ社会の中国に対する不信感は決定的なものになっ てしまったようにみえる。この不信感は、安全保障の分野に顕著であるが、根本的価 値観の差という面も急速に大きくなっている。

ファーウェイ(Huawei)製品のアメリカや同盟国からの排除は、情報インフラを中 国によって支配されることを防ごうとする動きであって、安全保障の根幹が脅かされ るとの懸念から生まれたもので、今後変化するとは思えない。さまざまな機微な高度 技術について安全保障貿易管理が強化されるであろう。

アメリカ社会全体として、根本的価値観の差から生まれる不信感が広がっているこ ともトランプ政権の対中政策を拘束するであろう。中国市場に依存している米企業に 対して、中国がその言動を制御しようとしていること、そして米企業が中国の意向を 忖度してその言動を自制していることは、多くのアメリカ人にとってはショッキング なことであった。ナショナル・バスケットボール・アソシエーション(NBA)のヒュ ーストンロケッツのジェネラルマネージャーが日本で香港の自由を支持するツイート

(Twitterへの投稿)をしたところ、中国企業が

NBA

のスポンサーを降りるなどしたた め、ツイートを削除し、謝罪に追い込まれた。NBAの幹部はその後「言論の自由」は 守ると声明したが、このエピソードは、中国が自国内の言論を封殺するだけでなく、

国外での言論についても中国市場を使ってその自由を圧殺しようとしているようにみ られたのである。トランプ政権の対中政策はこのようなアメリカ社会全体に広がる対 中不信感に拘束され続けるであろう。

その相手方の中国である。この動向にもまた世界は注視していかざるをえない。上 述のようなアメリカからの厳しい姿勢もあって、アメリカと覇権を争うような姿勢は できるだけみせないようにしている。中国の技術優位を狙う野心を表わした「中国製

2025」に言及することはなくなった。また、2017年の中国共産党 19

回全国代表大

会(党大会)における習近平国家主席報告のように、世界の発展途上国に中国型モデ ルを提供できるというような言い方もしなくなった。

さらに、2019年10月末に開催された中国共産党中央委員会第4回総会(4中全会)の 決定は、「人民」や「民主」という用語を頻出させ、チェック・アンド・バランスを 強調し個人独裁を志向するような用語を激減させた。習近平自ら「全過程の民主」と いう新たな用語を使い始めた。言うまでもなく、共産主義体制の下での「民主」と は、レーニンの言う「民主集中制」が基になっているのであって、日本や欧米の人々 が想定する自由主義的な民主を意味しているわけではない。それにもかかわらず、最 近の個人崇拝・個人独裁を目指してきた傾向とは相当異なるレトリックになってい る。中国経済の減速傾向がはっきりするなか、アメリカをはじめ民主主義国に広がる 対中不信感をなんとか払拭するための変化なのかもしれない。

しかし、そのような低姿勢かつ「民主」改革を示唆するレトリックにもかかわら

巻頭エッセイ◎2020年の世界と日本

国際問題 No. 688(2020年12月)

2

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ず、行動面ではかえって強硬になっていることは忘れることができない。南シナ海で の活動は減少しておらず、尖閣諸島周辺の領海に侵入する公船の数は

2017

年より増加 している。日中友好を語りながら、日本の研究者を理由も明らかにせず拘束した。国 内政治体制と対外行動の現実に注視していかなくてはならない。

もちろん、米中関係のみが2020年の世界を決定するわけではない。日本外交は、世 界経済の動向や世界各地の安全保障の動向、さらには国際社会が直面するさまざまな 課題に対処していかなければならない。しかし、上述の米中

2ヵ国の重要性に鑑みれ

ば、両者との関係をまずもって中心にその外交方針を確定していかなければならな い。

1に強調すべきは、やはり日米同盟の堅持である。北朝鮮の動向は依然として不

確定であり、また日韓関係の大幅な改善も見込めない。中国の安全保障面での行動は 楽観を許さない。したがって、アメリカ国内の日米同盟支持勢力との密接な関係をさ らに強化しつつ、日本自らの防衛力整備を着実に実施していかなければならない。ま た、安全保障に直結する技術に関しては輸出管理をさらに厳格にしていかなければな らない。

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に、中国に対しては、北朝鮮非核化への努力や南シナ海での自制を求めつつ、

日中の間で懸案となっている事項の解決を求めていかなければならない。習近平国家 主席の日本訪問は既定路線のように扱われているが、今後の中国の言動を慎重に見極 めることが必要である。

長期的に世界経済全体は減速傾向にあるが、米中貿易戦争は、この傾向をさらに強 めるであろう。現に、国際通貨基金(IMF)は、世界経済見通しを改訂するたびに世 界全体の成長率予測を切り下げている。世界第3の経済大国として、日本は、この流 れをいささかでも食い止めるための政策を実施していくべきである。「東アジア地域 包括的経済連携」(RCEP)の交渉は

2019

年には妥結できなかったが、2020年にはイン ドも含めて合意が実現するよう努力すべきである。また、「環太平洋パートナーシッ プに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP、いわゆる

TPP11)

の拡大に向けた取り 組みを本格化すべきである。

さらに、米中関係をにらみ、世界経済の動向にも対処する総合的なアプローチとし て「自由で開かれたインド太平洋」構想を肉付けしていくべきである。世界経済が減 速傾向にあるなかでも、東南アジアから南アジア、さらにはサブサハラにかけてのイ ンド太平洋地域は、成長の可能性の高い地域であることに変わりはない。今後、米中 貿易戦争の影響を受けて、ヴァリューチェーンはインド太平洋地域を中心として再編 されていくであろう。そのためにもこの地域のインフラ整備と人材養成は欠かせな い。民間の積極的な進出を後押しする意味でも政府開発援助(ODA)を使った積極的

巻頭エッセイ◎2020年の世界と日本

国際問題 No. 688(2020年12月)

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なアプローチが望まれる。

最後に、国際社会全体が共通して取り組む活動を日本が先導するとの姿勢を示す必 要がある。トランプ政権のアメリカは、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協 定からも離脱し、国際連合を中心とする「持続可能な開発目標」(SDGs)などの達成 にもそれほど積極的ではない。しかし、ほとんどの経済協力開発機構(OECD)加盟 諸国は、このような国際社会の普遍的目標の実現には積極的だし、開発途上国のほと んどにとって、SDGsの達成は悲願でもある。比較的安定した政権のもとにある日本 には、リーダーシップをふるう良い機会であると捉えるべきである。

巻頭エッセイ◎2020年の世界と日本

国際問題 No. 688(2020年12月)

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たなか・あきひこ 政策研究大学院大学学長

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