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(1)研究の目的と内容 理科教育学における今日的課題の中心は

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Academic year: 2023

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1 / 4 2.研究の 詳細

プロジェク ト 名

理科教育に 関する教 員 養成カリキ ュラムの 開 発のための 基礎的研 究

-義務教育 段階の指 導 内容の最適 化や構造 化 についての 検討-

プロジェク ト

期間 平成 24年年 度~平成 25年度

申請代表者

( 所 属 講 座 等 ) 甲斐初美(理科教 育講座) 共同研究者

( 所 属 講 座 等 )

坂本憲明(理科教 育講座)

森藤義孝(理科教 育講座)

(1)研究の目的と内容

理科教育学における今日的課題の中心は,学習者である子どもが,既有の認知構造と外 部の情報とを有機的に結びつけることにより,より一貫性を持った新たな認知構造を構成 していくことができるようにすることである。そのためには,どのような情報をどのよう な文脈で与えれば,子どもに期待する概念体系を構築させることができるのかについて,

具体的な領域や内容ごとに分析していくことが求められている。

一方で,現役の大学生がこれまでに受けてきた教育課程において取り扱われていなかっ た内容が,2008 年改訂の新教育課程には多く含まれており,彼らの指導力不足は明らか である。特に,理科の場合,旧教育課程では,学問の系統性が損なわれていたため,彼ら に は ,断 片 的 な 知 識 の 記 憶 が学 習 と な ら ざ る を 得 ない 状 況 が あ っ た こ と は言 う ま で もな い。また,理科を苦手とする現職教員の中にも,理科の学問の系統性を捉え損ねているた めに,子どもに提供する観察・実験や概念のような情報が断片的になってしまい,子ども にとって十分な学習が保障されていない可能性も考えられる。

このような状況下にある教員志望の本学学生に対し,横断的かつ縦断的に,各単元内容 の系統性を捉えさせることは急務であるため,義務教育段階の指導内容の最適化や構造化 についての検討に関する基礎的研究を蓄積することで,小・中学校理科における各単元に 固有の指導方法を同定し,その成果をもとに,いずれは,本学学生向けの指導用テキスト や教員養成カリキュラムの開発を行い,その検証を試みたいと考えている。また,次回の 教科書の改訂や学習指導要領の改訂に対して,示唆を与えていくことも必要である。

(2)研究の方法と実施体制

まず,学習指導要領や各社の教科書に基づく分析により,義務教育段階における物理,

化学,生物,地学の各領域の学習内容における課題を明らかにする。また,必要に応じて,

学生の理科の指導内容に関する認識調査を行い,課題の焦点化を図る。その上で,子ども により適切な理科学習を行わせるための指導内容の最適化や構造化について,これまでの 先行研究等により検討していく。特に,現役の大学生の教育課程では取り扱われていなか ったにもかかわらず,新教育課程において取り扱われるようになった内容を中心に分析を 行い,その内容に関する指導レベルで必要な概念の分析と整理を行うことで,小・中学校 理科における各単元に固有の具体的課題を明らかにしていく。また,より抽象度の高い概 念が教育課程の早い段階に導入されたことにより,これまでの指導方法とは明らかに構造 が異なるような内容については,よりスムーズに理解が図られるように,それらの導入の あり方について,共同研究者とともに,多角的に分析を行う必要がある。

さらに,これらの成果をもとに,小・中学校理科における各単元に固有の指導方法を同 定し,理科授業実践を行う現場の教師や本学学生向けに,一連の研究成果をまとめて公表 する。また,研究で得られた成果については,適宜,学会における口頭発表を通じて,当 該分野の研究者や学校現場での実践経験を積んでいる教員から幅広く示唆を頂き,研究内 容の改善につなげる。その上で,これらの報告の内容に基づき,本学の教員養成における 理科の教科教育関連授業を実施したり,教育実習における学生の授業実践の指導へと反映 させたりしていくことで,その範囲内の教員養成カリキュラムの開発を行っていく。

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(3)研究の進捗状況と成果

研究 1 年目においては,義務教育段階における物理,化学,生物,地学の各領域の学 習内容における課題を明らかにすることに主軸を置いた。具体的には,物理,化学,生物,

地学の各領域で本研究対象とした単元内容は,以下の通りである。

物理領域に関しては,小学校の全学年に 1 単元ずつ配置されている電気の性質に関す る学習を分析対象とした。この単元では,日常生活で使用されている「電気」という言葉 の意味を徐々に「電流」という科学用語に特化させていかなければならないにもかかわら ず,「電気は,つくりだしたり蓄えたりすることができる」というような学習指導要領に 見られる表現の下,第 6 学年に「電気の利用」の学習が挿入されているため,「電気エネ ルギー」との区別ができないままになっているというような単元間での問題が浮き彫りと なった 1)。これは,中学校第 2学年の学習との系統性を図る上でも,齟齬をきたしている と考えられる。そこで,電流と電気エネルギーを区別するための電気エネルギー変換アナ ロジーを考案した 1)

化学領域に関しては,小学校第 4 学年の粒子領域 において,物質観を形成する上での中心的内容であ る固体・液体・気体の性質や状態変化について,「空 気と水」,「ものの温度と体積」,「もののあたたまり 方」,「水のすがた」,「水のゆくえ」の 5 つの単元を 1 年間にわたって理解させようとしている。また,

これまでの先行研究では,単元内に閉じた研究が多 いが,たとえば,あたためるという状況にしても,

表 1のように,それぞれの単元では異なる文脈で表 現されるため,一貫した物質観を形成しにくいこと や単元の順序によって,次の学習を阻害する可能性 も生じるため,単元を越えて一貫性を図るような指 導を検討する必要がある 2)。また,本領域において は,取り上げられているモデルやアナロジー自体に も問題があるため 3),最適なモデルやアナロジーの 検討も必要である。

生物領域に関しては,植物と動物の共通点や相違 点を取り扱いながらも,生物について一貫した理解 を行わせるような系統性が見られず,個々の情報の 表 面 的 な 記 憶 の み し か 期 待 で き な い よ う な 内 容 編 成になっているため,学習内容の構造化は急務であ ると考えられる 4)。また,図 1 のような学習以前の 子 ど も の 認 知 構 造 を 図 2 の よ う に 変 容 さ せ る た め に,動物概念と生物概念の拡張のために,取り扱う 生 物 や 取 り 上 げ る 学 習 内 容 に つ い て の 検 討 も 必 要 である。特に,ヒトの体のつくりに関する内容では,

モデルやアナロジーを用いて,視覚的に理解させる ことが有効であると考えられる。

地学領域に関しては,小学校第 6 学年に新しく導入された「月と太陽」の単元におい て,月の満ち欠けの概念を一貫して理解するのに必要な観察データが決定的に不足してお り,月の半分が昼間に見えることや月と太陽の位置関係により月の形が決まることなどの 学習の定着が不十分であることが明らかとなった 5)。また,月齢カレンダーや月の早見盤 を利用して,一貫した月の満ち欠けに関する概念を構築しようと試みられたが,指導が困 難であり,中学校第 3 学年の天文の学習内容との内容の整合性を図る必要もある。

研究 2 年目においては,指導内容のさらなる最適化や構造化について検討を図ってい くために,特に,粒子領域と生命領域におけるモデルやアナロジーの取り扱いという観点

表 1 あ た た め る 操 作 状 況 の 違 い

図 1 小 学 校 理 科 学 習 前 の 子 ど も の 認 知 構 造

図 2 小 学 校 理 科 学 習 後 の 理 想 的 な 認 知 構 造

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か ら , 指 導 学 生 の 教 育 実 習 に お け る 授 業 実 践 場 面 に お いて,検証および研究成果報告を中心に行っていった。

粒子領域に関しては,小学校第 4学 年「 もの の温度と 体 積 」 に お い て , 温 度 に よ る 体 積 変 化 の 学 習 を 行 う 際 , 中学校第 1 学年と同 様 に,子ども 自身でモ デ ルによって 考察するこ とが仄め か されている ことを踏 ま え,図 3 の よ う に , 四 肢 を 可 動 さ せ る こ と が で き る モ ー ル 人 形 を 用 い て , 子 ど も に モ デ ル を 考 え さ せ る よ う な 授 業 実 践 を 考 案した 6)。ここでは,温 めたときと 冷やした と きの人形の 色 を 変 え , 数 は 同 じ に す る と い う 制 約 , 四 肢 の み を 稼 働 で き る よ う に し て あ る こ と で , 数 が 増 え た り , モ ー ル 人 形 そ の も の が 太 っ た り 痩 せ た り す る こ と が で き な い よ う な 仕 様 の 制 約 を 行 っ た 上 で , 提 示 し て い る 。 そ の 結 果 , 子 ど も の 考 え る モ デ ル の バ リ エ ー シ ョ ン は 制 限 さ れ , 分 子運 動論 的 な説 明に 準 ずる レベ ル の説 明(少 な くと もの ち の学 習に 支 障を きた さ ない レベ ル の説 明)で , 温度 によ る 体 積 変 化 の 結 果 を 整 理 し て い た 。 そ の 上 , 寒 い と 体 を 丸 め る イ メ ー ジ と 結 び つ け る よ う な パ フ ォ ー マ ン ス 表 現 も

見 ら れ , 温 め る と 体 積が 大 き く な り , 冷 や すと 体 積 が 小 さ く な る とい う 結 果 を 記 憶 す る ため の手立てと なってい っ た 7)

生命領域に おいては , 小学校第 4 学年の 「骨 と筋肉」に おいて, 人 の体には骨 や筋肉があ る こ と と , そ れ ら の 働き に よ っ て 体 を 動 か すこ と が で き る と い う こと を と ら え さ せ る こ とが 目 的 で あ り , 教 科 書 では , 骨 が 筋 肉 と つ な がっ て い る こ と で , 腕 の関 節 の 曲 げ 伸 ば し な どの 運 動 が 行 え る こ と や ,腕 の 内 側 の 筋 肉 が 縮 み外 側 の 筋 肉 が 緩 む と きに , 腕 が 曲 が る こ と 等を 理 解 さ せ よ う と し て いる 。 し か し , 子 ど も たち に 自 分 の 腕 を 曲 げ 伸ば し さ せ な が ら , 筋 肉の 様 子 を と ら え さ せ よ うと す る と , 表 面 の 皮 膚の 伸 び 縮 み に 着 目 し てし ま う た め , 筋 肉 の 弛緩 を と ら え に く い 。 そ のた め , 模 型 が 使 用 さ れる こ と も あ る が , 筋 肉と 骨 の 連 動 に よ る 運 動を 表 現 し た 多 く の 模 型 は, 筋 肉 を ゴ ム や 風 船 にな ぞ ら え て い る た め ,筋 肉 の 伸 張 と い っ た 誤っ たイメージ を保持さ せ てしまう可 能性があ る 。そこで, 図 4 のよう に,筋肉を 押しばね に な ぞらえた模 型を考案 8)し,より適 切な理解 を 促進するた めの指導 の 改善を図っ ていった 9)

(4)研究の今後の展望

現 役 の 大 学生 が こ れ ま で に 受 け てき た 教 育 課 程 に お い て取 り 扱 わ れ て い な か った 内 容 が,新教育課程には多く含まれており,彼らの指導力不足は明らかである。そのため,本 研究の基礎的研究を蓄積することで,一部,小・中学校理科における各単元に固有の指導 方法を同定し,本学の教員養成における理科の教科教育関連授業を実施したり,教育実習 における学生の授業実践の指導へと反映させたりしていくことで,その範囲内の教員養成 カリキュラムの開発を行ってきた。しかし,この 2 年間の成果は,その一部にすぎない。

そこで,本研究をさらに蓄積していくことで,今後は,これらの成果をもとに,理科授業 実践を行う現場の教師や本学学生向けの指導用テキストの作成を目指したい。

(5)主な学会発表及び論文等

1) 森藤義孝・杉本洋輔(2012年 12 月):「命題分析をとおした学習内容の批判的検討-

小学校における電流概念を事例として-」,日本科学教育学会(平成 24 年度第 1 回研 究大会,宮崎大学),研究会研究報告,Vol.27,No.1,pp.123-128.

2) 甲斐初美(2012年12 月):「義務教育段階の指導内容の最適化や構造化についての検 討」,日本科学教育学会(平成24 年度第 1回研究大会,宮崎大学),研究会研究報告,

Vol.27,No.1,pp.101-104.

3) 甲斐初美(2013 年 8 月):「義務教育段階における理科の指導内容の最適化に関する

図 3 温 度 に よ る 体 積 変 化 の モ デ ル (実 践 )

図 4 骨 と 筋 肉 の モ デ ル (実 践 )

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研究」,日本理科教教育学会(第63 回全国大会,北海道大学),大会論文集,Vol.63,

p.268.

4) 甲斐初美(2013年 5 月):「小・中学校生物領域の指導内容の最適化に関する一考察」,

日本理科教教育学会(平成 25 年度九州支部大会,長崎大学),発表論文集,Vol.40,

pp.62-63.

5) 坂本憲明・前田真秀(2012 年 12月):「『月の満ち欠け』に関する学習内容の検討」,

日本科学教育学会(平成 24 年度第1 回研究大会,宮崎大学),研究会研究報告,Vol.27,

No.1,pp.7-10.

6) 甲斐初美(2013年 12 月):「理科の指導内容の最適化に関する研究-モデルやアナロ ジーの取り扱いに関する考察-」,日本科学教育学会(平成 24 年度第 2回研究大会,

大分ホルトホール),研究会研究報告,Vol.28,No.2,pp.1-4.

7) 平成24年10月に行われた,中山知穂(福岡教育大学初等教育教員養成課程理科選修) の主免実習(福岡教育大学附属小倉小学校)における理科授業実践

8) 甲斐初美・中尾駿平(2014 年 1 月):「生物領域における指導内容の最適化に関する 研究-小学校第 4 学年骨と筋肉の学習について-」,日本生物教育学会(第 96 回全国 大会,筑波大学),発表予稿集,p.60.

9) 平成25年10月に行われた,中尾駿平(福岡教育大学初等教育教員養成課程理科選修) の主免実習(福岡教育大学附属福岡小学校)における理科授業実践

○本報告書 は,本学 ホ ームページ を通じて 学 内外に公開 いたしま す 。

○本経費に より作成 さ れた成果物 や資料等 に ついては, 必ず全て 添 付願います 。

○研究テー マが2ヶ 年 計画の場合 は,本報 告 書を平成2 5年度審 査 会の判断材 料の一つと いたします 。

Referensi

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