6. 最適消費と比較静学
• 最適消費バスケット
• 比較静学
• 所得・消費経路
• 価格・消費経路
• 計算例
• ラグランジェ乗数法
http://www.econ.keio.ac.jp/staff/myano/Class/Micro/Micro.html
6.1 消費バスケットと消費ベクトル
ミカン,y
3 5
(3,5)
5
3 (5,3)
x
y (x, y)
6.2 消費ベクトルの選択と予算制約
予算制約式:
支出総額が予算総額を超えない
x y
20x+10y≦100
5 10
予算線
予算集合
一般均衡モデルにおける消費者の問題:
予算総額と財の価格が与えられたときに、
どの消費バスケットを選ぶかという問題
p = 20 q = 10 X の価格
Y の価格
予算総額 M = 100
予算集合の中で最も望ましい 消費バスケットを選ぶ
6.3 消費バスケットと選好順序
• 予算集合の中のバスケットからどれかを選ぶた めには,消費者は選ぶ基準を持つ必要がある.
• 基準: 消費者の好み(選好順序)によって定まる
– バスケットAの方がバスケットBよりも望ましい場合に は,Aがより強く選好されると言う
A (>) B
– AとBが同じ程度に望ましい場合には,AとBは無差 別であると言う
A (=) B
– AがBより強く選好されるか,無差別の場合には,
A (≧) B
6.4 二つの正の財の無差別曲線
X: 普通の正の財 Y :普通の正の財
X と Y は不完全代替的 かつ不完全補完的
x y
XとYが完全代替的 X とYが完全補完的
x y
6.5 消費者の最適選択
• 予算集合の中の消費バスケットから,もっとも 望ましいものを選ぶ
p : X の価格 q : Y の価格 x : X の購入量 y : Y の購入量 M: 予算総額 予算制約式
px + qy ≦ M A
B C
E
A,B,C は最適でない
最適消費バスケットは無差別曲線と予算線の接点 E M/p
M/q
6.6 消費の最適選択と効用最大化
• 効用(消費から発生する満足感のこと)
– 効用の高い消費ベクターほど望ましい
• 効用関数
– 各消費ベクターからの効用を u = u(x,y) という ように関数で記述する。
• 消費者の選択問題は予算制約の下での効 用最大化問題として記述できる
max u = u(x,y) (x,y)
s.t. px + qy ≦ M
s.t. 記号の後にくる式を 満たす戦略変数の中で 目的関数(max記号の 後の式)を最大化する
6.8 消費に関する比較静学, 1
• 比較静学:外生的要因の変化の影響の分析
• 一般インフレの影響
– 所得とすべての価格が同じ率で上昇する
px + qy ≦ M → (1+π)px + (1+π)qy ≦ (1+π)M
↓
px + qy ≦ M
一般インフレは,選好順序に影響を持たない限り,
経済活動に影響を持たない
インフレ前と後では,予算集合が変化しないから
6.8 消費の比較静学:所得変化
• 所得増加の効果
– 所得の増加
= 予算総額の増加 px + qy ≦ M
↓
px + qy ≦ M+∆M
x y
A
B E
Mp Mq
M’p M”p
∆M = M’ - M > 0
∆M = M” - M < 0
所得の増減に伴い,
予算線は平行に 上下に移動する
所得・消費経路 M’q
M”q
6.9 消費の比較静学 : 価格変化
• 価格上昇の効果
px + qy ≦ M
↓
(p+∆p)x + qy ≦ M
x y
A E B
Mp Mq
M p”
M p’
∆p = p’ - p > 0
∆p = p” - p < 0
Xの価格の上昇は
予算線をY軸切片を中心に 内側に回転させる
価格・消費経路
6.10 最適化問題:例
max u=xy s.t. 10x + 5y = 12
(x,y)
予算線の傾き 無差別曲線の傾き =
y=u/x
無差別曲線 傾き y’ = -u/x 2 予算線の傾き 2
y/x = 2 10x + 5y = 12,
= -y/x
予算方程式 10x + 5 (2x) = 12
x = 0.6 y = 1.2 u = 0.72 最適化の条件:
A
B 予算線上のバスケット
A B
6.11 ラグランジェ乗数法の解法
max u(x,y) s.t. px + qy = M
(x,y)
制約付最適化問題の解き方
目的関数 制約式
選択変数
ラグランジェ式
= 目的関数 + ラグランジェ乗数 [制約式の左辺−右辺]
L = u(x,y) + λ [ px + qy - M ]
ラグランジェ式を各選択変数とラグランジェ乗数について 偏微分してできる式をゼロとおいてできる連立方程式を解く
∂L
∂x = 0 ,
∂L
∂y = 0 ,
∂L
∂λ = 0 ,
偏微分:ひとつの変数以外は定数とみなして微分する
6.12 計算例
L = u(x,y) + λ [ px + qy - M ]
∂L
∂x =
∂L
∂λ =
∂u(x,y)
∂x + λ p = 0
∂L
∂y = ∂u(x,y)
∂y + λ q = 0 px + qy - M = 0
L = xy + λ [10x +5y - 12 ]
y + 10 λ = 0 x + 5 λ = 0 10x + 5y =12
}
yx = 2