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画像電子学会誌, Vol. 40, No. 4 (2011-7)pp. 713–714.

グループ紹介

岡山大学工学部情報系学科 金谷研究室

金谷健一

岡山大学大学院自然科学研究科産業創成工学専攻計算機科学講座

1.

は じ め に

私は1979年4月に群馬大学において研究活動を始め,

2001年より岡山大学に移った.この32年間に世界のコ ンピュータビジョン(以下CVと略記)の発展に果した 役割を振り返る.

2. CV

の数理的方法

私のCV研究は,それ以前に行っていた連続体(弾 性,塑性,流体,粉体,土質)の数理解析を画像に適用 したことに始まる.これが注目されて19841985年に 米国Maryland大学のAzriel Rosenfeldに招聘された.

CVは当時の米国の新興分野であり,人工知能(以下AI と略記)の一部として人間の視覚認識をルール化して推 論を行うのが主流であった.私のような数理的研究者は 少数であり,大きな反発にも遭遇した.曰く,CV研究 者は視覚認識システムを作らなければならないのに論文 しか作っていない,CVに数学は必要ない,人間の知覚 を模倣すべきであり,人間は数学を使って知覚してはい ない,等々.

しかし,私はLie群論のCV応用を著書1)にまとめ,

1990年にSpringer社から出版した.当時,画像の特徴抽 出を研究していたMITのMichael BradyがOxford大 学に移り,CVの研究室を創設した.これがヨーロッパに おけるCVの本格的な研究の発端である.Bradyは物理 学者のAnderew Zissermanを起用したり,米国General MotorsのJoseph Mundyを招聘して,数理的な研究も 重視した.私はZissermanやMundyから,出版前の私 の著書の原稿がほしいという依頼を受けた.Oxford大 学で理論研究を始めるのでその勉強会のテキストに使い たいということである.Zissermanらはこれを出発点と してベルギーやスウェーデンやフランスの数理的研究者 を組織して,不変量に関するワークショップを開いた.

これがその後のヨーロッパにおけるCVの数理的研究の 端緒となった.

1993年に私はCVに射影幾何学の方法論を導入する

著書2)をOxford大学出版局から出版した.私の射影幾 何学は深いものではなかったが,その後ヨーロッパにお いて絶対コニックによるカメラ校正の理論の導入をはじ めとする著しい発展を遂げた.1995年には私は誤差の あるデータからの幾何学的推論のおける統計的最適化手 法に関する著書3)をElsevier社から出版した.当時は このような緻密な解析は見向きもされなかったが,今日 の世界のCV研究の中心的課題の一つになっている.

3.

国内における方法論論争

1980年代にCVの主流のAI的方法でAzriel Rosen- feldから高く評価されていた京都大学の松山隆司氏は 1996年にCVの数理的方法を批判する論説4)を発表し た.CVは統合科学であり,東洋思想に通じるところが ある,西欧の伝統的な分化細分による数学的解析はとる べきではないとして,私の名前も挙げて批判した.これ は国内に大きな波紋を呼んだが,松山氏の主張に同調す る者が多かった.国内ではCVの実用化が追求され,松 山氏の研究は非常に注目されていた.一方,私の数理的 研究が実用に結びつくことはなかった.

し か し ,そ の 後 ヨ ー ロッパ で Hartley, Shashua, Zhang, Quan, Triggs らの複素射影幾何学に基づく自 己校正法が急速に発展し,CV界を一変させ,その数理 的解析は様々な「モノ」として確立した.今日の世界の CV研究の隆盛はMATLABやOpenCV やその他の公 開ツールに支えられているといっても過言ではない.こ れに対する日本人研究者の寄与はあまりなく,主に利用 者の立場である.最近はICCV, ECCV, CVPR, ACCV などのCVの中心的な国際会議では日本人の論文の比率 が低下し,中国,韓国の比率が著しく増大している.

4.

研究グループおよび国際連携

群馬大学ではNECから太田直哉氏(現,群馬大学教 授)を迎え,共同で種々の最適化手法を開発した.特に

「くりこみ法」と命名した手法はYongduek Seo(2002年

713

(2)

画像電子学会誌 第

40

巻 第

4

(2011)

金谷研訪問,現,韓国Sogang大学教授)ら世界中の研 究者によって比較,改良が行われた.また群馬高専の金 沢靖氏(現,豊橋技術科学大学准教授)と共同で「幾何

学的AIC」に基づくモデル選択理論の応用や画像間の対

応付けの研究を行った.岡山大学で菅谷保之氏(現,豊 橋技術科学大学准教授)と共同で開発した複数運動物体 の分離アルゴリズムはその画像例とともにRene Vidal が作成したJohns Hopkins大学のデータベースに収録 され,世界の運動物体の分離研究では必ずこれとの比 較実験がされている.また,菅谷氏と共同開発した画像 からの三次元復元のための基礎行列の「EFNS法」と命 名した計算手法も多くの研究者によって比較実験されて いる.

海外の研究者への波及も多い.私のリー群の不変量の 研究は私が1991年に4か月滞在した英国Oxford大学 で当時大学院生のRoberto Cipolla(1992年金谷研訪問,

現,Cambridge大学教授)が取り入れ,Tom Drummond

(現,Cambridge大学教授)や佐藤淳氏(現,名古屋工 業大学教授)に引き継がれている.同時期にOxfordの 大学院生だったPhilip Torr(1995年金谷研訪問,現,英 国Oxford Brookes大学教授)は私のモデル選択理論に 関心を持ち,後に独自のモデル選択理論や統計的推論の 研究を発展させている.

私と太田氏が開発したくりこみ法に深い関心を示し たのは私が19451946年に滞在したMaryland大学で 同僚だったPeter Meer(1992年金谷研訪問,現,米国 Rutgers大学教授)であり,2000年にくりこみ法を発展 させた「HEIV法」を発表した.一方,オーストラリア Adelaide大学のWojciech Chojnacki(1997年金谷研訪 問)やMichael J. Brooks(1997年,1999年,2001年金 谷研訪問)も2000年に別の形の「FNS法」を呼ぶ手法 を発表した.1998年に私が3か月滞在したフランス国 立INRIA研究所で当時大学院生のFredrik Kahl(2002 年金谷研訪問,現,スウェーデンLund大学教授)は私 の統計的最適化理論に関心を持ち,後に大域的最適化手 法を精力的に開発している.

共同研究で特筆すべきは1998年に金谷研に3か月滞在 した米国Carnegie Mellon大学の大学院生Daniel Morris

(現,Northrop Grumman社)と2001年に連名で発表し た画像からの三次元復元の信頼性評価の「ゲージ理論」,

および2010年に金谷研に3ヶ月滞在した米国Southern Methodist大学の大学院生Prasanna Rranngarajanと 2010年に連名で発表した幾何学的当てはめの「超精度 最小二乗法」である.また,一時期金谷研に滞在し,現,

在活躍中の研究者にDu Quan Huynh(1999年10か月,

現,Western Australia大学), Lyndon Hill(2000年 2か月,現,Tiliam Research社),Niloofar Gheissari

(2003年2か月,現,イランIsfahan工科大学),Hanno Ackermann(2004 年より4年,現,ドイツHannover 大学)がいる.一時岡山大学で同僚であった剣持雪子氏

(現,フランスCNRS)も活躍している.過去に金谷研 究室を訪問した外国人研究者は表1のとおりである.

1

金谷研の訪問外国人研究者

H. Ackermann, L. Agapito, R. Bajcy, P. Bearsdley, J.

W. Brandt, M. J. Brooks, J. Canning, J. D. Carlsson, R.

Cipolla, P. Chen, W. Chojnacki, L. S. Davis, A. Davison, A. Del Bue, J. Dobias, G. Dowling, D. Fogaras, N. Gheis- sari, A. Goshtasby, N. Guilbert, L. Hill, V. Hlavac, D. Q.

Huynh, Q. Ji, F. Kahl, R. Lenz, H. Malm, P. Meer, D.

D. Morris, E. Oja, T. Pajdla, M. Pollefeys, L. Quan, R.

J. Radke, P. Rangarajan, H. Samet, Y. Seo, A. Shashua, D. Suter, S. L. Tanimoto, M. Tonko, P. Torr, A. van den Hengel, L. L. Whitcomb, Z. Zhang, X. Zhuang,

5.

現在の状況

現在は助教の新妻弘崇氏とともに,従来からの画像か らの三次元復元の高度化や関連する最適化手法の開発,

自動車関連会社との共同研究から派生した車載魚眼カメ ラによる障害物検出やカメラ校正,医学部との共同研究 によるビデオ画像からの人物の動作解析やMR画像解 析,トルコIstanbul工科大学との提携によるGPSデー タからの地盤移動解析などを行っている.2013年3月 に定年退職により研究室を閉じることになっている.

参 考 文 献

1) K. Kanatani: “Group-Theoretical Methods in Image Un- derstanding”, Springer-Verlag, Berlin, Germany (1990).

2) K. Kanatani: “Geometric Computation for Machine Vi- sion”, Oxford University Press) Oxford, U.K. (1993).

3) K. Kanatani: “Statistical Optimization for Geometric Computation: Theory and Practice”, Elsevier Science, Amsterdam, The Netherlands (1996).

4) 松山隆司: “AIマップ—ビジョン研究から見た統合アーキテク チャ”, 人工知能学会誌, Vol.10, No.6, pp. 888–894, (Nov.

1996).

かなたに けんいち

金 谷 健 一

1972年,東京大学工学部計数工学科卒.1979 年,同大学院博士課程修了.工博.群馬大学 助手,助教授,教授を経て,2001年より岡山 大学大学院自然科学研究科教授.情報処理学 会,電子情報通信学会,IEEE2002年フェ ロー),各会員.情報処理学会論文賞(1987) 電気通信普及財団賞(1999),船井情報科学振 興賞(2005),電子情報通信学会論文賞(2005) 他受賞.

714

Referensi

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