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平成 28 年度版『伝え合う言葉 中学国語』指導案(新学習指導要領参考資料)

1

2 年『ガイアの知性』

――問いを立て,筆者の論証を吟味する読み――

○単元・教材の目標とポイント

【単元・教材の目標】

・筆者の主張と具体例による根拠の関係について理解する。〔知識及び技能〕(2)ア

・主張と例示との関係を捉えることによって,筆者の論証を吟味する。

〔思考力,判断力,表現力等〕C読むこと(1)ア

【単元・教材のポイント】

中学校の説明的文章では,小学校のものと比べて問題提起文が明示されていないことが多く,

さらに論証構造が複層化している。そのため,学習者は読み進めていくうちに着地点を見失って しまうことも多い。

そこで,本指導案では,説明的文章教材で書かれていることを的確に読むために,次のような

「手立て」を考えた。まず学習者自身がいくつかの問いを立てる。そして,その解を求めていく ことで内容を的確に読み取り,筆者の主張へと導いていくというものである。

本教材では,形式段落⑪(P163L4)において,「疑問」として次の問題を提示している 鯨や象は,人の「知性」とは全く別種の「知性」をもっているのではないか,あるいは,

人の「知性」は,このガイアに存在する大きな「知性」の偏った一面の現れであり,もう 一方の面に鯨や象の「知性」が存在するのではないか,という疑問である。

しかし,この問いは主張(形式段落㉕ P167L8)に直結する問いではない。

そこで,本教材の第一段落(意味段落)には,主張を読み手に納得させるためのしかけがある ことに注目する。この段落

において,筆者は読み手に いくつかの問いをもたせ るよう表現の工夫をして いる。読み手に意図的に

「違和感」を喚起させ,「問 い」をもたせている。

本指導案では,学習者 が問いを立てることから 学習を始めている。その 際 , 「 第 二 段 落 ( P 162 L13)以降で論証される

べき内容であること」を条件づけることによって,「問い」を焦点化することがポイントとなる。

第一段落から予想される問いとして,次の四つが考えられる。

❶鯨や象に「畏敬の念」を抱くようになったのはなぜか?

❷「なにかとてつもなく大切なもの」「ある重大な示唆」とは何か?

❸「鯨と象と人はほぼ対等の精神活動ができる」「この三種は,地球上でもっとも高度に進化 した『知性』をもった存在」とは?

❹「人と他の二種とは何かが決定的に違っている」とは?

以上,四つの問いを立てたうえで,第二段落以降にその論証がなされているのか,またその論 証に納得できるのかを吟味する。

(2)

平成 28 年度版『伝え合う言葉 中学国語』指導案(新学習指導要領参考資料)

2

〈学び方のポイント〉

・第二段落における三つの具体例から,「人とほぼ対等の精神活動をしている」と考えられる 根拠を「知性」・「心」の二つの観点で捉える。そこから ,「重大な示唆」とは何か,ま たどんなことに「畏敬の念」を抱くかを小グループで話し合うことで ,筆者の主張につな がる理由づけを学習者の知識や経験から補完することができる。

上記の「学び方」を実現するために,本指導案では以下のような学習活動,言語活動を構成し て授業に取り組んだ。

・自ら問いを立て,小グループによる話し合い活動によってその問いの解を求めていく。アク ティブ・ラーニング型の主体的・対話的な学習活動である。

・第二・三段落(P166L17)の学習活動では,グループで話し合うことや思考の「可視化」

により,幅広い学力層の学習者の学びを支えることを可能とする。

・授業展開において,個人→グループ→個人という学習形態をとることによって,まず自分の 考えをもったうえで,グループで話し合うことによって考えを補完し合う。さらに,個人 で文章や「図式化」でまとめることによって考えを深めることができ ,個々の「学び」と なる。

○評価規準

知識・技能 思考力,判断力,表現力等 主体的に学習に取り組む態度

・意見と根拠,具体と抽象 な ど 情 報 と 情 報 と の 関 係 に つ い て 理 解 し て い る。

・文章全体と部分との関係に注意 しながら,主張と例示との関係 を捉えている。 C読むこと

・自 分 の 考え を 小 グル ープ で の 話 し 合 い 活 動 に よ っ て , 深め広げている。

○学習指導計画(全5時)

時数 学習活動 評価基準

1 ○第一段落を読んで,論証されるべき内容・言 葉を探し,問いを立てる。(個別→小グル ープ)

◇「疑問」をもつことで,第二段落以 降 に 論 証 さ れ る 内 容 を 予 測 し て い る。

2 ○第二段落を読み,三つのエピソードから問❸

「鯨と象と人がほぼ対等の精神活動をして いる」ことと,「地球上で最も高度に進化 した『知性』をもった存在である」根拠を 見つけ出す。

(個別→小グループによりエピソードを分担)

◇「知性」と「心」をキーワードとし て,それぞれのエピソードから根拠 を示しながら,「重大な示唆」「畏 敬の念」とは何かを考えている。

3 ○前時での結果をグループごとに発表する。そ の内容を参考に,個々に「ある重大な示唆」

「畏敬の念」につなげる。(全体→個別)

◇他のグループの発表を参考に,各エ ピソードについて,「ある重大な示 唆」「畏敬の念」に関する自分の考 えを記述している。

4 ○第三段落の六つの「知性」を「図示化」する。

(個別→数名が板書し発表する)

◇「知性」を含む六つのキーワードを 関連づけ,「図式化」している。

5 ○問いに関する論証の 成立を確かめたうえで

「真の意味の『ガイアの知性』」をキーワ ードとして,自分の考えをまとめる。(個 別)

◇論証を吟味したうえで,筆者の主張 に 対 す る 自 分 の 考 え を ま と め て い る。

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平成 28 年度版『伝え合う言葉 中学国語』指導案(新学習指導要領参考資料)

3

○本時の展開(3/5時)

【ねらい】

・前時のグループでの話し合いの内容を発表し,「重大な示唆」「畏敬の念」に関する自分の 考えを深化・拡充する。

○本時の展開例

○授業の成果と課題

・生徒が第一段落で疑問をもった「なぜ鯨や象に対して『畏敬の念』をもつようになったのか?」

に関する具体的な記述は本文にはなかったが ,「重大な示唆」を考えていく中で,読み手 自身がオルカやイルカ,象に対して「畏敬の念」をもつようになった。

・第二段落で「重大な示唆」とは何かを予測しながら読むことによって,第三段落の結論部,

及び主張である「真の意味の「ガイアの知性」に進化する必要がある」ことに ,納得する ことができた。次ページの図はそれぞれのエピソードから,「知性」と「心」を読み取る ことができる叙述を抜き出し,自分たちで考えた「重大な示唆」を書き添えたホワイトボ ードである。

学習活動 指導の留意点 ◇評価基準

1 各グループが話し合った内 容を発表する。

エピソードA:3グループ エピソードB:3グループ エピソードC:3グループ

2 三つのエピソードA・B・

Cから,「重大な示唆」と「畏 敬の念」を考える。

3 本時を振り返る

○各 グル ー プの 発表 か ら , 自分 の 考えと比較することで,さらに 考えを深める。

*ポイント

① オ ルカ ・ イ ル カ ・ 象 か ら 「知 性」「心」を感じる行動。

② ど んな 「 重 大 な 示 唆 」 を 受け 取ることができるか。

③ ど んな こ と に 対 し て 「 畏 敬の 念」をもつことができるか。

○ 三 つ の エ ピ ソ ー ド を 根 拠 と し て,筆者の主張につながるよう な「理由づけ」を学習者が補い 理解を深める。

○「 重大 な 示唆 」に つ いて は , そ れ ぞ れの エ ピ ソ ー ド か ら ど のよ う な メッ セ ー ジ を 自 分 自 身 が受 け 取 るこ と が で き る か を 考 え さ せる。

○学 習者 自 身が 動物 の どの よう な 行動に対して,「畏敬の念」を もつかを考えさせる。

○本 時の 学 習を とお し て考 えた こ とをまとめるように指示する。

◇(自分の分担以外の エ ピ ソ ー ド も 含 め て,)自分の考えと 比較しながら聞いて いる。

◇三つのエピソードに 対する自分の考えを 記述している。

◇本時の学習をもとに 自分の考えをまとえ ている。

(4)

平成 28 年度版『伝え合う言葉 中学国語』指導案(新学習指導要領参考資料)

4

・第3時の生徒のワークシート記入例は,次のようなものである。

・第3時の課題として,「ある重大な示唆」と「畏敬の念」を抱く動物の行動は,はっきりと 分けて考えることが難しかったので,ワークシート作成時に工夫が必要であった。

・ここまでの学習活動の中で,「人間の知性」と「鯨や象のもつ知性」の違いを読み取ること ができている。第4時では,第三段落の「知性」を含む六つの言葉を個別に「図式化」する ことで,自分自身の理解を整理し,可視化することができ

た。10 分ほどで完成させた学習者もおり,左図のように数 人板書し,説明させた。

・第5時は,四つの問いの論証ができていることを確認し,

主張に対して納得できたかどうかを文章でまとめさせた。

エピソードC エピソードB エピソードA

・ 人 間 の 意 志 を 通 す こ と で

、 動 物 の 選 択 の 余 地 を 奪 っ て い る

・ 動 物 は

、 便 利 さ や 自 由 の た め に 行 動 し て い る の で は な い

・人 と 違 っ て

、「 対 等

」 で あ る こ と を 選 ん で い る

・ オ ル カ は 人 の 言 葉 を 理 解 し

、 人 の 気 持 ち を 理 解 し て い る

・ オ ル カ も 自 分 の 意 志 を も っ て い る か ら

、 人 間 の 勝 手 は 通 じ な い

「 あ る 重 大 な 示 唆

」 と は

・肉 親 の 歯 を 元 に 戻 す と き

、怒 ら ず 静 か に 元 に 戻 し た と こ ろ

・象 が 肉 親 を 思 う 気 持 ち を も っ て い る こ と

・オ ル カ が 相 手 を 喜 ば せ よ う と す る と こ ろ や

、 相 手 の こ と を 喜 ん で い る と こ ろ

・自 分 の 高 度 な 能 力 を 人 間 の レ ベ ル に 合 わ せ て 制 御 で き る こ と

・捕 ら え ら れ て い る の に も か か わ ら ず

、そ の こ と を の み こ ん で 楽 し く 生 き る オ ル カ の 心

ど ん な 行 動 に

「 畏 敬 の 念

」 を 抱 く か

*まとめの例*

確かに,人間は,真の意味の「ガイアの知性」に進化 する必要があると思う。人類は「攻撃的な知性」をあま りにも進化させてきた結果,動物が生きづらい世界にな っている。「攻撃的な知性」ばかりではいい動物とはい えない。足りない部分があるからこそ,動物どうしでよ い点を補い合い,動物と人類がすみやすい世界にしてい

かないといけないのではないかと思った。 ▲「図式化」の例

▲図 小グループで作成したホワイトボード

▲図 活動の様子

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