物理学 I 中間試験問題(平成 29 年 10 月 25 日)
合格最低点 60点
問1. (解答は表面左)以下の問に答えよ.(25点)
1)内部エネルギーの定義を簡潔に述べよ.(5点)
2)理想気体とはどの様な気体かを簡潔に説明せよ.(5点)
3)熱機関を構成する3つの要素を用いて,熱機関について簡潔に説明せよ.(5点)
4)熱の移動方法は3種類に大別される.その3つの名称をあげよ.(5点)
5)熱の移動方法のうち1つを選択して,どの様な現象かを簡潔に説明せよ.(5点)
問2. (解答は表面右)以下の問に答えよ.(25点)
1)熱力学の第1法則を簡潔に説明せよ.(5点)
2)理想気体が定積変化した場合に,熱力学の第1法則からどのような事が分かるか,理由を添えて述べよ.(10点)
3)温度Tのnmolの理想気体が(p, V) = (p1, V1)の状態から(p2, V2)の状態に等温膨張するとき,気体が外部にする 仕事W外←物の式を導出せよ.ただし,気体定数はRとする.(10点)
問3.(解答は裏面左)以下の文章は,単原子分子からなる理想気体の内部エネルギーについて説明したものである.( )
に入る最も適切な図,語句,式および導出過程を示せ.(3点×10問=30点)
図1は長さL,断面積Aのシリンダーにピストンを入れ,大きさFの力を
加えて静止している状態を示す.質量mの1つの粒子がシリンダー内を速さ vで移動している.この質点がピストンに衝突したときのx軸方向の運動量変 化は(1,式)である.また,n molの粒子が時間Δtの間にピストンに衝突 する回数は,アボガドロ定数をNAとすると(2,式)である.運動量の変化 は(3,語句)と等しいことから力F は(4,式)となる.ところで,v2xの 平均値とv2の平均値の間の関係に注意すれば,力Fは< v2>を用いて(5,
式)で表される.さらに,シリンダーの体積をV,気体の圧力をpとすると,
pV は(6,式)となる.この式と理想気体の状態方程式(pV =nRT)から,
気体の内部ネルギーU は(7,式)で表される.この式から,気体の内部エ ネルギーは絶対温度のみに依存することが分る.
vx
vy
m
L
A
᩿㠃✚
㛗䛥
F x
図1
さて,1molの気体の熱容量(ΔQ/ΔT)をモル熱容量という.熱力学の第1法則より,定積モル熱容量CV は(8,導 出)となる.また,定圧モル熱容量Cpは(9,導出)となる.この様に,圧力を一定にして熱量を加えると,体積膨張 により気体が外部に仕事をすることから,定圧モル熱容量は定積モル熱容量より(10,語句)なる.
問4.(解答は裏面右)屋外の温度が-5度で室温が25度のときに,理想的なヒート・ポンプ型暖房機は,室内に1Jの熱 を送り込むために,最小限何Jの仕事を外部からされる必要があるか.(20点)
注意事項
注1)机上に置く事ができるものは,鉛筆,シャーペン,消しゴム,定規,時計のみ.その他の物(筆箱も含む)は鞄に 入れ,鞄は自分の椅子の下に置くこと.
注2)試験開始の合図があるまで,筆記用具を手に持たないこと.
注3)携帯電話の電源を切っておくこと.マナーモードも原則として不可とする.
注4)問題用紙・解答用紙をそれぞれ1枚ずつ配布する.
注5)解答用紙は,縦に半分に折って使用すること.これにより裏表で4つの区域を得る.解答は,それぞれ指示された 区域に作成すること.指定区域以外に記述された解答は採点しない.
注6)解答では,最終的な解答のみを記述するのではなく,なぜその解答に至ったか,その根拠も示すこと.ただし,解 答方法に関して特別に指示がある問題はその指示に従うこと.
注7)解答は順番通りに記述すること.解答が分からない問題については,問題番号を明示し,空白とすること.順番通 りに記述されていない解答は採点しない.
注8)ベクトルとスカラーの違いに注意すること.本試験においては,ベクトルは太字で記述し,スカラーと区別している.
例)ベクトル:F,E スカラー:F, E
注9)この問題用紙は,テスト終了後は各自で持ち帰ること.
注10)試験開始後,答案を回収し終えるまで部屋を出ることはできない.トイレなど特別な事情がある場合には,手を挙 げて試験監督の指示に従うこと.
注11)図は,定規などを用いて丁寧に描くこと.