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Prof. P. Debye (Nobel賞受賞)

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電気学会東海支部若手セミナー 

誘電・絶縁材料等の物性評価と機能の発現   

岐阜工業高等専門学校・電気情報工学科・所研究室    http://www.gifu-nct.ac.jp  [email protected]       

今まで、東海地区の誘電・絶縁材料分野の研究は、世界的にみても活発であり、若手研究者の数も多かった。

しかしながら現在は、各大学等の研究は新しい分野や応用分野に向かいつつあり、研究ノウハウの蓄積と継承 など、これらの若手研究者が相互に交流し研究レベルの向上を図る場が崩壊しつつある。 

  本「誘電・絶縁材料等の物性評価と機能の発現」若手セミナーは、産・学・官の若手研究員の相互交流(情 報収集、意見交換など)を活発に行うこと、研究・技術レベルの継承と向上を計ることを目的とするものであ る。誘電・絶縁材料は、ナノコンポジット材料、有機 EL などに代表されるように、いよいよ応用可能となり、

機能の発現や材料物性の評価など、基礎から応用に至る幅広い研究や開発が必要とされつつある。 

薄膜化やナノテクの利用にともなう電気物性の変化や経時的変化、さらには材料使用環境の高電界化及び過 酷化にともなう各種問題の解明など、本若手セミナーは若手研究者及び技術者へ交流の場を提供し、知見を広 め、東海地区に集積された技術の継承と発展を推進していくことを目的としている。 

予想される効果 

東海支部内の学生員をはじめとする若手研究者及び若手技術者が、本若手セミナーに関係する研究上の問 題や話題提供を相互に行うことにより、専門化された分野の学会発表のみでは得られない問題解決の糸口や、

研究遂行上の新しい発見が、講演会や相互討論等により得られることが期待できる。また次世代若手研究者へ の東海地区に集積された研究技術や知見の継承と育成、および、産学官の交流に多大な効果が期待される。 

keywords; 誘電材料、絶縁材料、物性評価技術、劣化診断技術、新機能の発現   

Prof. P. Debye (Nobel 賞受賞)  名古屋大学工学部電気電子工学科  森田研究室  名古屋大学理工科学総合研究センター  鈴置研究室 

家田正之(元電気学会会長)  名古屋工業大学電気情報工学科  水野研究室  豊橋技術科学大学電気・電子工学系  長尾・穂積研究室  三重大学工学部電気電子工学科  中村研究室、飯田研究室 

名古屋大学  水 豊

谷照吉  名誉教授  信州大学工学部電気電子工学科  宮入研究室  岐阜大学工学部電気電子工学科  安田研究室、近藤研究室  静岡大学工学部電気・電子工学科  松本研究室 

橋技科大  小崎正光  名誉教授 

名城大学電気電子工学科  清水・村本研究室、河村・山中研究室、内藤研究室  愛知工業大学電気電子工学科  落合研究室、澤研究室、小嶋研究室  中部大学工学部電気工学科  松岡研究室 

三重大学  沢  五郎  名誉教授  静岡大学  宮下隆雄  名誉

岐阜高専電気情報工学科  所研究室、北川研究室  沼津高専電子制御工学科  遠山研究室  鳥羽商船高専電子機械工学科  古森研究室  教授 

並びに 

岐阜高専  小崎正光校長・元豊田高専校長  堀井憲 爾名古屋大学名誉教授・縄田  正人先生・室岡  義広 先生・依田  正之先生・田中  祀捷先生・・・・・・・ 

三重県科学技術振興センター、電線総合技術センター、中部電力、東芝、 

豊田中研、三菱電機、日本ガイシ、高岳製作所、愛知電機、神鋼電機、 

日東電工、住友電装、大同特殊鋼、日本高圧電気、名古屋市工研など   

(一部大学等は新年度に研究室名等が変更している可能性があります。) 

(2)

電気学会東海支部若手セミナー   

誘電・絶縁材料等の物性評価と機能の発現   

中部大学・電気システム工学科・松岡研究室        http://www.chubu.ac.jp  [email protected]   ポ リ マ ー が い し や 全 導 電 釉 が い し の 汚 損 フ ラ ッ シ オ ー バ 電 圧 特 性 と     超 高 圧 送 電 用 実 規 模 が い し の 経 年 劣 化 特 性 の 研 究 。 

keywords; ポリマーがいし、全面導電釉がいし、汚損、劣化、脆性破壊 

  

 

275kV 級実規模がいしの経年劣化特性の研究

 

ポリマーがいし用外被の劣化評価研究 

ポリマーがいしの脆性破壊の研究

 

高性能がいしの汚損特性の研究

 

 

           

         

 

人工加速劣化試験      屋外課電曝露試験   

275kV 級がいしについて、太陽光を模擬し紫外線ランプ を照射したり、海塩を模擬して塩霧を発生させたりして、

自然環境を模擬して、劣化の研究を行っている。また、屋 外課電曝露試験を行い、人工加速劣化試験との相関性の調 査、研究を行っている。 

     

ポリマーがいしは主としてシリコーンゴムで覆われてい る。ゴムは、有機材料であるので、屋外で使われると、紫 外線や、表面が汚れて濡れた時の部分放電によって、徐々 に劣化する。 

長期の劣化性能を、人工的に加速して評価する塩霧試験 法の国際的な標準化が求められている。 

人工加速劣化試験方法、劣化評価方法について、世界中 の研究所と協力して研究している。 

 

 

   

ポリマー碍子や磁器碍子表面にシリコーンゴムを塗布し たがいしは、表面に水がついても水をはじくため、水膜が 形成されにくい。又、磁器碍子の釉薬を半導電性にした全 面導電釉碍子は、この釉薬中を流れる電流によるジュール 熱で表面が乾燥させられる。これらの碍子は、表面が汚損、

湿潤しても、通常、磁器碍子より優れた絶縁性能を示す。 

しかし、降雨や露結など、湿潤条件によっては、その性 能が充分に発揮されない場合がある。 

新しいこれらのがいしの汚損湿潤下における絶縁設計に 必要な基礎特性を調査研究している。 

                         

優れた機械強度を有するポリマーがいしが、非常に低い 荷重しかかかっていないのに、破断して、電線が落下する 事故が起こっている。 

この原因は、ポリマー碍子の機械強度を分担する FRP(ガ ラス繊維強化プラッスチック)製の芯棒が酸にさらされ、

応力腐食を起こすためと考えられている。 

この様な破壊の再現、原因究明、防止対策などの研究を 行っている。 

 

 

トラッキング(炭化経路)

ポリマーがいしの劣化 

チョーキング(表面粗れ)

エロージョン(侵食) 

貫通 

脆性破壊(コア離断) 

紫外線 

汚損 

湿潤 

紫外線 

加水分解 

局部放電  オゾン  熱  硝酸 ゴム(高分子)の分解 

引張荷重2.7ton 

人工霧室 

トランス  AC12kV

 

  超音波

 

加湿器

 

オシロ  スコープ 

0 20 40 60 80 100 120

0.01 0.1 1

塩分付着密度、mg/cm2

汚損耐電圧、kV

140

普通磁器がいし

ポリマーがいし 全面導電釉がいし 試料:長幹がいし

0.03 0.3

重錘 500kg 

(3)

電気学会東海支部若手セミナー 

誘電・絶縁材料等の物性評価と機能の発現   

岐阜工業高等専門学校・電気情報工学科・所研究室    http://www.gifu-nct.ac.jp  [email protected]        シリコーンゴムなどの撥水性ポリマー材料の初期劣化過程を、表面とバルクの両 面から解析・診断する技術の開発を、画像解析や高電界誘電計測により行う。 

keywords; 誘電特性、tanδ、撥水性、シリコーンゴム    

■表面状態の高電界誘電特性による診断 

 

     

図1.高電界誘電特性測定系と表面設置くし形電極系  表1.高電界誘電特性測定系でできること 

交流損失電流の大きさ  容量電流の非平衡分の大きさ  交流損失電流波形(高調波成分含む) 

C、tanδと各高調波スペクトルを  交流印加電界の一波形毎に測定可能 

非線形応答時も含めて測定可能 

絶縁破壊まで任意の印加電圧パターンで測定可能 

豊橋技術科学大学・長尾研究室や沼津高専・遠山研究室との連携 の下、ポリエチレンなどの高分子材料の高電界誘電特性の計測技術 の改良を進めている。主に商用周波数領域の交流電界を試料に印加 して、その容量性の電流から損失電流成分を、その非線形応答も含 めて波形計測することを可能としている(表1)。この研究に関係 した主なシーズは以下の通りである。 

1.試料バルクの高電界誘電特性測定用の電極系の開発 

主電極端部での試料材料以外への電気力線の侵入を防ぐため、ガ ード電極を主電極上まで拡張した新しい平行平板電極系を遠山ら と共に開発した。この電極系により、試料絶縁破壊に至るまでの交 流損失電流や試料容量の電界依存性、試料中への空間電荷層形成に 関係した容量電流の変化を、印加電圧 1 波形毎に測定可能とした。 

2.試料表面状態のくし形電極を用いた計測手法の開発 

上記とは逆に電極端部での電気力線の漏れを積極的に利用する ことにより、くし形電極系を試料表面に設置し、その試料内部への 漏れ電気力線を利用した誘電計測を上記システムにより可能とし た。くし形電極系を用いることにより、試料表面の撥水状態の同時 観測や電極間の水滴の交流電界下における動的挙動の誘電計測も 可能となり、試料表面および内部の誘電計測が同時に可能となった。 

内部誘電特性の検出深さはくし形電極系の間隔で変更可能である。

3.FFT波形解析システムの開発 

時間領域のサンプリング波形と、測定系の伝達関数を用いること により、デコンボリューション処理を正確に実施するシステムを開 発した。特に、商用周波数領域における電気絶縁材料の高電界誘電 特性など、交流波形に対しての自動解析を可能としている。 

■撥水性の画像計測による診断 

 

γLcosθ θ

θ

γL

γS WSL

γSL

Is Ix

Cs Standard Capacitor

C C B Sample

Detecting Amp.

20〜120℃

and

A/D Conv.

and FFTAnalyzer ArbitraryF.G.

Power Amp.and

Cx 任意波形

図2.水滴の撥水性と表面自由エネルギーの関係 

図3.交流電界下における試料表面上水滴の動画像解析結果   

シリコーンゴムなどの撥水性材料は、現在、電気絶縁材料としての利 用が急速に進みつつある。また、撥水材料は土木・建築材料や車など、

日常生活でも多くの分野に利用されている。このシーズでは撥水性の測 定を通して、材料の比較や劣化診断を行うため、定量的な撥水性の計 測・評価技術の開発を進めている。また、電気学会の「ポリマーがいし材 料表面の放電特性評価と劣化現象」調査専門委員会に参加し、高分子 材料表面に設置した水滴を動画像解析や誘電計測し、撥水性の定量的 な評価を進めている。画像計測関係のシーズは以下の通りである。 

1.試料表面の撥水状態の画像解析による定量化手法の開発  一般に、初期の良好な撥水性が低下し始めると、水滴の接触角の 低下に加えて、その固体面との接触面積(界面)の大きさの増加と、

水滴の円形度の低下が観測される。この様な撥水性を評価するため の IEC 規格 62073 を考慮した、撥水画像の定量化手法を開発した。

また、現在の IEC 規格の改訂に向け、電力中央研究所の本間氏等と ともに電気学会調査専門委員会を新規に立ち上げていく。 

2.試料表面の撥水状態の動画像を用いた解析手法の開発 

交流電界下における水滴は、撥水状態と関係した振動現象などを 発現する。この水滴の動的挙動を高速度カメラを用いて動画像解析 し、その画像パラメータのスペクトルを評価可能としている。 

3.試料表面の紫レーザフォーカス顕微鏡による観測 

  撥水性は試料表面の粗さにも影響される。表面粗さの 3D 計測が 可能なレーザ顕微鏡を用いて、ミクロな表面形状を観測し、その計 測結果を各種粗さ指標として解析する手法を開発している。ここで も試料表面粗さのスペクトル解析などを可能としている。 

(4)

LDPE film 88 µm T = 20 oC E = 15 kV/mm

dE/dt (kV/mm/ms)

-30 -20 -10 0 10 20 30

Dissipation Current Density JX (nA/mm2) -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50

200 Hz 180 Hz 160 Hz 140 Hz

120 Hz 100 Hz 80 Hz

60 Hz 40 Hz 20 Hz LDPE film 88 µm

T = 20 oC E = 15 kV/mm

Phase θ (o)

0 30 60 90 120150180 210 240 270 300 330360

Dissipation CurrentΙx (µA)

-20 -10 0 10 20

f = 200 Hz f = 180 Hz

f = 160 Hz f = 140 Hz

f = 120 Hz

f = 80 Hz f = 60 Hz

f = 40 Hz f = 20 Hz

f = 100 Hz

電気学会東海支部若手セミナー 

誘電・絶縁材料等の物性評価と機能の発現   

沼津工業高等専門学校・電子制御工学科・遠山研究室  http://www.numazu-ct.ac.jp   [email protected]    

交流高電界下での電界発光現象と絶縁体を流れる損失電流を観測し、これらの実験 データをもとに電気伝導機構を明らかにする。 

keywords; 電界発光、損失電流、高調波、交流、高電界、水トリー、劣化診断 

  

■電界発光・損失電流同時観測システムの構築 

ポリエチレン等の無極性高分子絶縁材料の損失電流は極めて小 さい。そのため、共振現象を応用したブリッジ回路による精度の高 い測定法が通常用いられる。高電界下において、電荷注入や空間電 荷効果等により損失電流は非線形性を示し始めるため、高調波成分 についても精度の高い検出が要求される。 

本研究室では、絶縁体中を流れる大きな容量性電流の基本波成分 のみを打ち消し、損失電流を高調波成分も含めて、高精度に測定す る損失電流波形観測システムを開発した。この測定法の鍵となる検 出回路は、可変抵抗とオペアンプから構成され、従来のシステムに 比べて小型・軽量で安価という特徴を持つ。さらに、データ処理技 術で様々な観点からの検討も可能である。 

 

  図1 損失電流波形観測システムの概要 

  図2 損失電流波形(左)と解析例(右) 

 

電界発光は、負電荷と正電荷が再結合することにより生じる発光 現象で、例えば、LED は、この現象を積極的に利用した発光素子で ある。絶縁体も電極界面からの電荷注入等により同様の電界発光現 象が生じる。極めて少ない確率で生じるため、光電子増倍管や高感 度 CCD カメラ等の特殊な装置が必要となる。これにより交流高電界 下での電気伝導メカニズムを知る上での多くの情報が得られる。 

現在、損失電流波形と電界発光を同時観測することにより、交流 高電界下での電気伝導メカニズムをより詳細に検討する手法につ いて検討を進めている。 

   

図3は、カナダ国立研究所と共同で行っ た電界発光・損失電流同時観測を行ったと きに用いた試料ホルダーである。 

試料ホルダー中心部の窓枠から放出され る極めて微弱な発光を光電子増倍管で観測 し、損失電流が非線形性を示し始めるとき に電界発光現象が観測されることをつきと めた。 

  図3 電界発光・損失電流  同時観測用試料ホルダー 

 

■水トリー劣化診断技術 

       

図4  LDPE中の水トリー

0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

f0 2f0 3f0 4f0 5f0 01234

Dissipation Current (µA)

Harmonics Volltage V (kV) LDPE 580 µm (without water tree) f = 50 Hz T = 27.5 oC

0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

f0 2f0 3f0 4f0 5f0 01234

Dissipation Current (µA)

Harmonics Volltage V (kV) Water Tree Deteriorated Sample B (585 µm thick) f = 50 Hz

T = 27.5 oC

図5 損失電流スペクトルの比較例

LDPE 580 µm (without water tree) f = 50 Hz T = 27.5 oC

Electric Field E [kV/mm]

1 10

Dissipation Current Density Jx [nA/mm2]

0.001 0.01 0.1 1

fundamental 3rd harmonics

 

Water Tree Deteriorated Sample B (585 µm thick) f = 50 Hz T = 27.5 oC

Electric Field E [kV/mm]

1 10

Dissipation Current Density Jx [nA/mm2]

0.001 0.01 0.1 1

fundamental 3rd harmonics

図6 損失電流の基本波と第3高調波の比較例

図5、図6の結果は、図4に示したような水トリーがLDPE中に わずかに存在していたときに検出された損失電流スペクトルや基 本波・第3高調波成分の電界依存性を未劣化LDPEと比較したもの である。この場合では、第3高調波の挙動にわずかな違いが現れた。

本研究は、株式会社ジェイ・パワーシステムズと共同で研究を進め ている。

Digital Oscilloscope

(Tektronix TDS3052) TRek Amplifier MODEL 610-C

GP-IB

Ch.1 Ch.2 Ext. Trig.

Dissipation Current Waveform Detecting Circuit

Ch.1 Ch.2

GP-IB

High Voltage

Chamber

Sample

dt t Cdv R t

vch S

) ) ( 2( = Arbitrary Function Generator (NF 1946A)

)

1(t vch

000 , 1

) ( )

( 1

=

= A

t Av t

v ch

) ( ) (t RGvt vD = D

dt t Cdv t Gv t

i ()

) ( )

( = +

Dissipation current signal

Canceling signal

P1 P2

P3 P4

Current IX(µA) v.s. Phase θ (o)

P1 P2

P3

P4

JX(µA/mm2) v.s. dE(t)/dt (kV/mm/ms)

損失電流波形観測装置を利用し た水トリー劣化診断技術の検討   

現在、低密度ポリエチレンシート を水トリー劣化させた試料を用 いて、基礎データの収集を進めて いる。 

(5)

各機関・学校の  校章・科章など 

電気学会東海支部若手セミナー 

誘電・絶縁材料等の物性評価と機能の発現   

大島商船高等専門学校・電子機械工学科・藤井雅之          〒742-2193  山口県大島郡周防大島町大字小松 1091-1     TEL/FAX 0820-74-5572  E-mail [email protected]   高分子材料の限界特性を知ると共に,自然エネルギを利用した発電を導入すること よって,電力の安定供給に貢献したいと考えています。 

keywords; 交流高電界,誘電特性,絶縁特性,空間電荷,太陽光発電,水冷,潮流発電 

  

■高分子材料の交流高電界誘電特性  ■自然エネルギを利用した発電 

並列

設備において,系 水冷 

冷を行った際の  陽光発電設備の  電状況(水色部分が 

破線は水冷

には,標準3kW の太陽光発電設備が設置されている。

れ,消費されている。既存の太陽光 電設備に改善を加え,熱の利用を検討したり,発電効率向上させたりとい

 

るため,太陽電池モジュ 例えば,3

標が多く存在する。大畠瀬戸は最峡部が700m,

いことから,潮流発電に有効な条件が整ってい

 

←  図1   

不平衡容量性分(ΔIxc)

を含む高電界交流損失 電流波形 

 

  図2  → 

電極からのキャリア注入がある  場合の過渡的空間電荷を扱う  数値解析 

 

豊橋技科大̲長尾・穂積研究室,岐阜高専̲所研究室,沼津高専̲遠山研究 室と連携してポリエチレンやポリプロピレンなどの高分子材料の交流高電 界領域における誘電・絶縁特性を評価している。また,松江高専̲福間研究 室と連携して数値解析から試料内部のキャリアの振る舞いについて検討し ている。本研究に関連した主なシーズは以下の通りである。 

1. 蒸着ポリプロピレンを用いた交流高電界誘電特性測定用電極系の開発    交流高電界誘電特性を正確に測定するためには,気中部分放電や電極端部 の電気力線の乱れを抑制しなくてはならない。遠山らはガードフィルムを用 いることによって,ガード電極が主電極端部を覆う構造の平行平板電極系を 開発した。ガードフィルムを薄くし,密着性を高めることなどを目的として,

ポリプロピレンを真空蒸着してガード薄膜を作成することに成功した。 

2. 交流高電界領域で形成される空間電荷層の試算 

  高分子材料を流れる交流損失電流には,交流電気伝導に関する様々な情報 が含まれている。印加電圧が正弦波であっても,交流高電界領域においては 不平衡容量性分を含む交流損失電流波形に特徴のある非線形性が見られる ようになる(図1参照)。この現象には極性反転ごとに電極界面に形成され る空間電荷が影響していると考えられる。静電容量の変化分から空間電荷層 を試算し,交流高電界下における絶縁破壊への影響を検討している。 

3. 空間電荷形成と絶縁破壊 

  松江高専̲福間研究室で開発された「過渡的空間電荷を扱う数値解析プロ グラム」を用いて,交流高電界領域におけるキャリアの振る舞いについて検 討している。電界が高くなるにつれて電極から注入されるキャリアの量が増 加し,電極界面に空間電荷層が形成されると考えられる(図2参照)。電界 の大きさ,キャリアの注入量,電位障壁の高さなどのパラメータを変更しな がら,試料内部で起こっている現象についてさらに解析している。 

 

←  図3  直列接続8枚,

3 系 統 の 太 陽 光 発

統1のみを  

 

  図4  → 

系統1 系統2 系統3

水冷

並列接続

SW1 SW2 SW3

接続箱

パワーコンディショナに接続

直列接続 直列接続 直列接続

-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0

0 90 180 270 360

Phase [degree]

Current [μA]

 50[kV/mm]

100[kV/mm]

150[kV/mm]

200[kV/mm]

0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

13:50:00 14:10:00 14:30:00 14:50:00 15:10:00 15:30:00 15:50:00

時刻 [時:分:秒]

発生電力 [kW]

系統1 系統2 系統3

水冷の時間帯,

しなかった場合の予想) 

 

本校の実験棟屋上

その発生電力は本校の電力系統に連系さ

アイデアを練っている。本研究に関連した主なシーズは以下の通りである。

1. 校内LANを利用した発電状況モニタリングシステム 

モバイルデータロガーを使用し,発生電力,積算電力量,日射量,気温な どのデータを収集し,発電状況のモニタリングを行っている。午前0時にな ると校内LANを介してホストコンピュータに1日の測定データが転送さ る。遠隔地であったり,危険な場所であったりという環境に出向く必要が 無く,異常があったときにも迅速に対応できる。 

2. 太陽電池モジュールを水冷することによる発電効率改善 

太陽電池モジュールの温度は,夏季であれば50℃を超える日が続く。太 陽電池モジュールは高温になると発電効率が低下す

ールを水冷し,発電効率の向上を目的とした実験を行っている。

統のうち1系統だけ水冷した結果(図3参照),発生電力に大幅な向上が みられた(図4参照)。 

3. 大畠瀬戸の潮流発電 

本州と周防大島の間にある大畠瀬戸は,磯や暗礁も多いため海の難所とし て知られており,灯台や浮

最大潮流は7k nノットと非常に速

と考えられ,現在基礎的な研究を行っている。 

(6)

電気学会東海支部若手セミナー 

誘電・絶縁材料等の物性評価と機能の発現   

TOYOHASHI UNIVERSITY OF TECHNOLOGY 

豊橋技術科学大学  電気電子工学課程  長尾・穂積研究室    http://www.tut.ac.jp  [email protected]  

 

       

 

  

       

 

・生体組織診断の定量的な物性評価を行う方法として超音波顕微鏡を提案する 

・帯電防止剤を配合したポリマの評価

  keywords;  超音波、音響インピーダンス   

keywords;  空間電荷、帯電防止剤 

■生体組織観察のための超音波顕微鏡の開発 

Oscilloscop GPIB 

Cable  測定試料

EVA  LDPE 

Computer 

 

(a)染色像      (b)音響インピーダンス像  図 1  染色像と音響像で観察したラットの小脳組織 

 

現在、外科手術中において生体組織診断を行う場合、切片を染色 して光学顕微鏡観察されている。しかし染色には1時間程度以上を 要する。そこで染色を行わず、超音波を用いて定量的に物性評価を 行う顕微鏡を提案している。この研究は東北大学加齢医学研究所、

本多電子株式会社と連携して行われている。 

1. フーリエ変換型超音波顕微鏡の開発 

3‐10 ミクロン程度にスライスした組織切片に超音波を照射し、

切片表面と背面の反射の干渉をデジタル信号解析によって分析し、

伝播時間差に変換して音速像・組織厚さ分布像を取得する。これに より標本試料の作製時間を含めてもおよそ 10 分程度で組織確定診 断が行えるものと期待される。 

2. 音響インピーダンス顕微鏡の開発 

フーリエ変換型超音波顕微鏡は組織切片を一定の厚さに作製す る必要があったが、切片厚さに関係なく診断が行えることが望まれ る。そこで、組織表面の音響インピーダンスを画像化し、リアルタ イム診断が行えるシステムの開発を進めている。生物用を視野に入 れ倒立型装置を試作し、図 1 に示す様にラットの小脳観察を行った 結果、小脳の物性を正確に評価することが出来た。今後、提案した 測定系でリアルタイムの観察が行えれば、プローブのような物を作 製し手術中に医師自身により直接患部が広がっていないことを確 認できるのではないかと考えられる。 

3. 医療外への利用  〜弾性パラメータの測定〜 

材料評価における弾性パラメータは重要な要素であり、その分布 状況を測定する時、超音波が多用される。本研究室ではパラメータ として重要である縦波と横波の音速を画像化することを目的とし、

デフォーカスビームを板状材料に照射したときの伝搬モード変換 した測定法を提案している。 

■帯電防止剤配合ポリマの評価 

             

図 2  PEA 法を用いた空間電荷測定システム  図 3  試料構造  H.V

Pulse Generator 

EVA(帯電防止剤入り)  LDPE 

それぞれ厚さ約 100[µm] 

EVA  LDPE 

  10              

図 4  EVA/LDPE 界面における空間電荷測定と数値計算結果   

電子部品などのパッケージフィルムは多重構造となっており、使 用目的によっては帯電が障害となるため、エチレン酢酸ビニル共重 合体(EVA)などの融着層に帯電防止剤を配合する。その添加剤は低 密度ポリエチレン(LDPE)などの中間層へ濃度拡散によって移行し、

帯電防止剤効果が損なわれる恐れがある。本研究では帯電防止剤を 配合した EVA と LDPE の複合層を用いて空間電荷の時間変化を測定 し、帯電防止剤の拡散過程を評価した。 

1. 空間電荷測定 

  図1は空間電荷測定システムである。実験に用いた試料を図 3 に 示す。EVA 中の帯電防止剤濃度は 1[wt%]である。この試料に 10[kV]

を 2 時間印加し、PEA 法を用いて空間電荷分布の時間変化を測定し た。測定結果を図 4(a)に示す。また、同図(b)に帯電防止剤の拡散 による体積抵抗率の変化を考慮した計算結果を示す。 

両図とも界面付近に形成された電荷が時間の経過とともに減少 し、LDPE 側へ移行していることがわかる。この界面付近の電荷の挙 動は、両図とも定性的に一致する。 

したがって、高分子複合絶縁体中の帯電防止剤の拡散過程は空間 電荷を測定することにより評価できると考えられる。 

      -10

-20 -25

*30[min]おきに表示   

Arbitrarscale 

90  100  120  130

Location[µm] 

(b)calculation 

110  -1 

80 100  120  140 

0

9〜129[min] 

*  9〜129[min] 

Location[µm] 

(a) measurement 

(7)

電気学会東海支部若手セミナー 

誘電・絶縁材料等の物性評価と機能の発現   

TOYOHASHI UNIVERSITY OF TECHNOLOGY 

豊橋技術科学大学  電気電子工学課程  長尾・穂積研究室    http://www.tut.ac.jp  [email protected]  

       

       

   

  

・水トリー劣化フィルムの絶縁特性を熱像の観測等により評価する 

・シリコーンゴムにおける劣化メカニズムの解明とその評価方法の確立

  keywords;  高分子フィルム、熱像 

 

keywords;  シリコーンゴム、撥水性、低分子量 

■水トリー劣化フィルムの絶縁特性評価

 

   

  図 1  熱像観測システムと試料形状 

    

(a)-1kV      (b)+1kV  図 2  絶縁破壊時の熱像 

 

電力機器、電力ケーブルには保守性や絶縁性に優れる高分子絶縁 材料が多用されている。近年の電力流通コスト低減の要求から、機 器の小型化が進められており、絶縁系に加わる設計電気ストレスは 材料の本質的な破壊ストレスに近づいている。 

本研究では、水トリー劣化フィルムの電気基礎特性を把握するため、

伝導電流測定、絶縁破壊に至るまでの熱像観測、空間電荷分布の観 測、破壊試験等の実験を行い、絶縁材料の電気特性を評価すること を目的としている。ここではそのうちの一つである熱像の観測につ いて紹介する。 

1. 熱像の観測 

本実験では、水トリーを加速劣化させた LDPE フィルムに直流課 電を行い、絶縁破壊に至るまでのフィルム表面の熱変化を観測した。

図 1 に熱観測システムの概要図と試料形状を示す。試料は両面に直 径 40mm の金蒸着を施したものをアクリル枠で固定し、銀ペースト で金電極に導線を接続した。電極の片面には表面の赤外線放射率を 高めるため黒色塗料を塗布した。実験では電極に直流課電し、その とき変化する試料表面の熱像をサーモグラフにより観測した。図 2 に絶縁破壊時の熱像を示す。同図から試料中に周囲より温度が高い 部分(赤色)が見られる。この結果より、負極性の場合において局所 発熱現象は正極性より大きいことがわかる。従って、局所発熱現象 は極性効果があるということがわかった。 

■ シリコーンゴム表面の撥水性の評価 

 

r θ

接線

h θ/2

A

B

C

0 50 100 150

0 100

時間 [h]

接触角[deg]

拡散

     

  図 3  低分子量拡散の過程と液滴法、および撥水性出現特性   

         

      図 4  Dynamic Drop Tests   

  高分子であるシリコーンゴムは、高い撥水性があり、その撥水性 が低下しても次第に回復するという特性を持っている。そのため、

シリコーンゴムは屋外絶縁材料として用いられている。しかしなが らシリコーンゴムは有機材料であるため、時間とともに劣化すると いう欠点があり、その評価を行うことが必要である。そこで、国際 大電力会議(CIGRE)では、シリコーンゴムの最低要求基準の確立が 行われている。その中で 1:外部ストレスによる低下特性、2:汚損 上での回復特性、3:長期性能、等不明な点が残されている。また、

シリコーンの撥水性回復要因は、1:低分子量成分の拡散、2:極性 基の生成によるメチル基の再配向、が有力であると考えられている。

しかし、これらの現象はまだ明確にされておらず、国際的に研究が 行われている。本研究室ではシリコーンゴムの劣化、撥水性回復の 評価方法として、撥水性挙動に着目して研究を行っている。 

1. 汚損上での撥水性出現特性 

シリコーンゴムの表面が汚損状態にある場合、汚損層にシリコー ンゴム内の低分子量成分が拡散し、表面を覆うことで撥水性が現れ る。シリコーンゴムの種類によって出現特性が異なると考えられる ため、その差異を観測することで各々の評価を行っている。本研究 ではシリコーンゴム表面にシリカ粉で汚損層を作製し、液滴法によ り接触角を測定し、撥水性の観測を行っている(図 3)。 

2. 撥水安定性の評価 

これまでシリコーンゴムに対する屋外用絶縁材料試験法として、

Salt Fog Chamber 法等により、検討がなされてきた。しかし、研究 機関によるデータの差異とばらつきが大きく、再現性の面で問題が あった。これに対して、「Dynamic Drop Tests」(図 4)が提案されて おり、各国と共同でこの方法で再現性が得られるかどうかを確認し つつ、シリコーンゴムの評価を行っている。 

NaCl solution

Earth Sample

High Voltage Electrode

60° 

50mm

Electrode 

 

(8)

実際のケーブル接続部 界面

ポリエチレン絶縁 絶縁性ゴム エポキシ絶縁

ケーブル導体側  (高電位)

   

本研究では中部電力との共同研究により電力ケーブルの故障点 標定装置の開発を行っている。近年,各家庭の電力需要は年々増加 し、それを担う電力の輸送は我々の生活にとって必要不可欠なもの となっている。そのような電力輸送手段である電力ケーブル系統で 故障が発生した場合、事故に際して迅速に事故点検出を行い、早期 復旧を行うことが極めて重要視される。 

本研究では中部電力との共同研究により電力ケーブルの故障点 標定装置の開発を行っている。近年,各家庭の電力需要は年々増加 し、それを担う電力の輸送は我々の生活にとって必要不可欠なもの となっている。そのような電力輸送手段である電力ケーブル系統で 故障が発生した場合、事故に際して迅速に事故点検出を行い、早期 復旧を行うことが極めて重要視される。 

電気学会東海支部若手セミナー 

誘電・絶縁材料等の物性評価と機能の発現   

TOYOHASHI UNIVERSITY OF TECHNOLOGY 

豊橋技術科学大学  電気電子工学課程  長尾・穂積研究室    http://www.tut.ac.jp  [email protected]  

         

       

 

  

       

       

 

  

        

   

・界面電気絶縁特性評価用試料の部分放電特性 

・電力ケーブルの故障を早期復旧するための標定方法に関する研究を行う

  keywords;   異種絶縁界面、部分放電 

 

keywords;   パルスレーダー法、時間‐周波数解析 

■界面電気絶縁特性評価用試料の部分放電特性 

■界面電気絶縁特性評価用試料の部分放電特性 

                           

     

                         

   

図 2  XLPE-EPR 界面試料の試料形状  図 2  XLPE-EPR 界面試料の試料形状 

   

  配電ケーブルや超高圧ケーブル等の架橋ポリエチレンケーブル において絶縁破壊を引き起こす原因は、一般にケーブル接続部(図 1)の現地施工時の傷、組み立てミスなどの施工不良が大部分といわ れている。部分放電測定試験は絶縁診断において精度が高く、容易 にできる試験法として近年、ケーブルの線路完成後の竣工試験とし て行われており、その重要性が認知されている。そのため、各種欠 陥を模擬した試料での特性把握が随所で行われているが未だ不明 な点が多い。本研究では架橋ポリエチレンケーブル接続部を模擬し た異種絶縁界面評価のための材料試験用電極系を提案し、部分放電 に関する諸特性の測定及び検討を行っている。 

  配電ケーブルや超高圧ケーブル等の架橋ポリエチレンケーブル において絶縁破壊を引き起こす原因は、一般にケーブル接続部(図 1)の現地施工時の傷、組み立てミスなどの施工不良が大部分といわ れている。部分放電測定試験は絶縁診断において精度が高く、容易 にできる試験法として近年、ケーブルの線路完成後の竣工試験とし て行われており、その重要性が認知されている。そのため、各種欠 陥を模擬した試料での特性把握が随所で行われているが未だ不明 な点が多い。本研究では架橋ポリエチレンケーブル接続部を模擬し た異種絶縁界面評価のための材料試験用電極系を提案し、部分放電 に関する諸特性の測定及び検討を行っている。 

1. 界面電気絶縁特性評価用試料  1. 界面電気絶縁特性評価用試料 

図 2 に著者らが提案している電極系の模式図を示す。XLPE シート 上に球電極(ステンレス球φ4mm)を 2mm間隔に設置して、常温硬 化型エポキシ樹脂でモールドした。この電極を EPR シート上に設置 することにより XLPE-EPR 界面を形成した。混入する導電性異物と しては長さ 4mm、直径 0.15mmのタングステン線を用いた。この 異物を図1に示すように界面上に非接地状態で設置した。 

図 2 に著者らが提案している電極系の模式図を示す。XLPE シート 上に球電極(ステンレス球φ4mm)を 2mm間隔に設置して、常温硬 化型エポキシ樹脂でモールドした。この電極を EPR シート上に設置 することにより XLPE-EPR 界面を形成した。混入する導電性異物と しては長さ 4mm、直径 0.15mmのタングステン線を用いた。この 異物を図1に示すように界面上に非接地状態で設置した。 

2. 実験内容  2. 実験内容 

試料に交流電圧(60Hz)を印加した後に電圧を休止し、電圧休止後 の部分放電開始電圧(Vi)の測定を行なう。電圧印加時間、印加電圧、

電圧休止時間および環境(圧力印加、相対湿度)などを変化させて測 定し、導電性異物の影響について調査している。 

試料に交流電圧(60Hz)を印加した後に電圧を休止し、電圧休止後 の部分放電開始電圧(Vi)の測定を行なう。電圧印加時間、印加電圧、

電圧休止時間および環境(圧力印加、相対湿度)などを変化させて測 定し、導電性異物の影響について調査している。 

■電力ケーブル故障点標定方法に関する研究 

■電力ケーブル故障点標定方法に関する研究 

                           

図 3  パルスレーダー法概略図  図 3  パルスレーダー法概略図  図 1  実際のケーブル接続部 

                       

図 4  測定器具と解析波形  図 4  測定器具と解析波形   

 

 

故障点の標定には様々な方法があるが、代表的なものとしてパル スレーダー法、マーレーループ法などがある。パルスレーダー法は 直流電圧を印加して故障点に放電を発生させ、ケーブルの両端に伝 播する信号の立ち上がりの時間差から故障点を標定する方法であ る。この方法はブリッジ法の一種であるマーレーループ法と比較し て装置が小型で熟達した標定技能を必要としない。しかし、一般的 にマーレーループ法に比べ標定精度が劣るといわれている。本研究 室では、小型軽量でかつ高精度な標定装置を実現するため、パルス レーダー法を改良して高精度な故障点標定する方法を検討してい る。 

故障点の標定には様々な方法があるが、代表的なものとしてパル スレーダー法、マーレーループ法などがある。パルスレーダー法は 直流電圧を印加して故障点に放電を発生させ、ケーブルの両端に伝 播する信号の立ち上がりの時間差から故障点を標定する方法であ る。この方法はブリッジ法の一種であるマーレーループ法と比較し て装置が小型で熟達した標定技能を必要としない。しかし、一般的 にマーレーループ法に比べ標定精度が劣るといわれている。本研究 室では、小型軽量でかつ高精度な標定装置を実現するため、パルス レーダー法を改良して高精度な故障点標定する方法を検討してい る。 

1. 時間‐周波数解析を用いた故障点標定手法  1. 時間‐周波数解析を用いた故障点標定手法 

パルスレーダー法では、信号が電力ケーブルに沿って伝播する際 の信号の伝播速度と減衰には大きな周波数依存性があり、信号の形 状が伝播距離に依存して変歪する問題がある。本研究室では、伝播 波形の立ち上がり部分のみを強調し、適切な窓関数を使って切り出 した後に周波数解析を行い、位相スペクトルに分解する手法によっ てこの問題を解決し、標定精度の向上に成功した。 

パルスレーダー法では、信号が電力ケーブルに沿って伝播する際 の信号の伝播速度と減衰には大きな周波数依存性があり、信号の形 状が伝播距離に依存して変歪する問題がある。本研究室では、伝播 波形の立ち上がり部分のみを強調し、適切な窓関数を使って切り出 した後に周波数解析を行い、位相スペクトルに分解する手法によっ てこの問題を解決し、標定精度の向上に成功した。 

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電気学会東海支部若手セミナー 

誘電・絶縁材料等の物性評価と機能の発現 

三重大学・電気電子工学科・凝縮電子工学研究室(中村修平・青木裕介) [email protected]   高機能有機・無機ハイブリッド材料の開発 

keywords; 有機・無機ハイブリッド、高耐熱性、高絶縁、高熱伝導    

■高機能有機・無機ハイブリッド材料の開発 

 

 

 

 

 

 

図1.ポリジメチルシロキサン系有機・無機ハイブリッドの構造 

 

 

 

 

 

 

 

 

図 2.柔らかさと機械的強さをもった有機・無機ハイブリッド   

有機・無機ハイブリッド材料では、シナジー効果により有機物、

無機物それぞれの特性をあわせ持つ従来にない高機能の発現が期 待される。特にポリジメチルシロキサン(PDMS)をポリマー鎖部分 とした有機・無機ハイブリッド(図 1)は、耐熱性のある柔軟性に優れ た材料である。本材料はゾル-ゲル法により作製されるため、機能 性フィラーの高充填が容易であることから、高機能化が可能である

(図 2)。   

     

Si OH

CH3

O H

Si CH3

CH3 Si CH3

CH3 Si CH3 CH3

CH3 H

O

O Si O O O O

OH O Si

Si HO

HO OH

Si CH3

Si CH3

CH3 CH3

O

ポリマー鎖

無機クラスタ

Si OH

CH3

O H

Si CH3

CH3 Si CH3

CH3 Si CH3 CH3

CH3 H

O

O Si O O O O

OH O Si

Si HO

HO OH

Si CH3

Si CH3

CH3 CH3

O

ポリマー鎖

無機クラスタ

私たちの研究室では、鈴鹿富士ゼロックス株式会社との連携の下、

特に、機械的強度、融着性、表面離形性、導電性、電気絶縁特性、

熱伝導性等の機能性の制御に着目して、有機・無機ハイブリッドを 用いた高機能性材料の開発を行っている。現在までに得られた技術 シーズの代表的なものは以下の通りである。 

 

1. 高耐熱性電気絶縁材料の開発 

PDMSとテトラエトキシシランを原料とするPDMS系有機−無機 ハイブリッドは、耐熱性に優れた弾性体材料であり、200℃での連 続使用においても機械的特性の劣化は小さく、200℃で1013Ω・cm以 上の高体積抵抗を維持する。さらにハイブリッド材料原料の無機成 分量の調整により、絶縁破壊強度を増加させることが可能であり、

40kV/mm以上の強度が得られている。

2.耐熱性高熱伝導弾性体材料の開発 

パワートランジスタ、電源部品や電気自動車のパワー素子などの 発熱を逃がすための高熱伝導性放熱シートとして、シリコーン系材 料に熱伝導性無機フィラーを充填したものが広く用いられている が、シリコーン系材料は原料粘度が高く、フィラーの高充填が難し く、無機フィラーの活性によってシリコーンゴムの架橋が破壊され るため耐熱性に乏しい。有機・無機ハイブリッドは、ゾルーゲル法 により作製するため、フィラーの高充填が可能であり、無機クラス タを介した架橋は強固であるため、高い耐熱性を持つ高熱伝導性材 料の作製が可能である。ハイブリッド材料の作製方法、加工方法の 検討の結果、柔らかくて高い熱伝導性(5W/m・K 以上)を持つハイ ブリッドシートの作製が可能となっている(図 3)。 

   

図 3.熱伝導シート(熱伝導率  5W/mK) 

(10)

電気学会東海支部若手セミナー 

誘電・絶縁材料等の物性評価と機能の発現   

三重大学・電気電子工学科・計測システム研究室  http://www.elec.mie-u.ac.jp/is/iida/  [email protected]    複合体の欠陥になり得る充填剤・樹脂界面の接着性を改善するカップリング剤とし て耐熱性の高いシリコーン鎖を応用する。 

keywords; カップリング剤、耐熱性、複合体   

■ シリコーン鎖のカップリング剤としての応用 

i

i

i

i

i

i i i

i

i

ガ ラ ス

CH3

CH3 i

CH3

CH3 CH3

CH3

i

i

i

CH3 CH3

i

i CH3

CH3 CH3

CH3

i

i

CH3

i

CH3

i CH3 CH3

図1  カップリング剤の概念図   

高分子材料が絶縁材料その他の用途として用いられるときには、

しばしば、シリカなどの無機充填剤を充填した複合体として用いら れる。充填剤/高分子界面の接着性がよくないとその部分が機械的、

電気的な欠陥となるため、シランカップリング剤が用いられている。

しかし、実用化されているシランカップリング剤には耐熱性のよい ものがなく、耐熱性の高いカップリング剤が開発されれば、複合体 全体としての耐熱性向上に寄与でき、その複合体を用いた機器の信 頼性・性能向上に寄与できる。 

 

1.技術の特徴 

・シリコーン鎖を二官能のアルコキシドを用いて生成し、図1の概念図が 示すガラス充填剤から成長した状態を実現する。 

・シリコーン鎖をカップリング剤とした場合の耐熱性は従来から用いられ ているシランカップリング剤よりも格段に優れている。 

・無機充填剤の表面処理として、シランカップリング剤処理をするのに比 べて大きな手間がかかる方法ではない。 

・現在の所、耐熱性の高い樹脂としてポリアミドイミド、ポリイミド、汎用 性の高い樹脂としてエポキシを用いた複合体においてカップリング機 能を大きく発揮できることを確認している。 

 

  図2  ガラス-ポリイミド複合体の断面図 

 

2.得られた結果の例 

図2は0.5μm程度の粒径を持つガラス充填剤とポリイミドの複合体の破

断面を示している。カップリング剤を用いないと破断が界面で起き、ガラス 表面が破断面に直接現れるが、カップリング剤を用いると界面の接着性が向 上して、ポリイミド部分で起きるようになる。界面の接着性の向上はトリー 劣化の進展を抑制する効果を持つなど複合体の様々な特性改善をもたらす。

(11)

電気学会東海支部「若手セミナー」設置趣意書

平成17年2月12日 注意:6以下の項目はできる限り具体的にご記入下さい。判定材料となります。

1 テーマ  誘電・絶縁材料等の物性評価と機能の発現 継  続 新  規 氏  名

所  哲郎

所  属

岐阜工業高等専門学校  電気情報工学科

501-0495

住  所 

岐阜県本巣市上真桑2236−2 TEL   058-320-1357 FAX   058-320-1263 2 代

表 者

E-Mail   [email protected]

継  続 新  規

目的・内容

今まで、東海地区の誘電・絶縁材料分野の研究は、世界的にみても活発であり、若手研究者の数も多かった。

しかしながら現在は、各大学等の研究は新しい分野や応用分野に向かいつつあり、研究ノウハウの蓄積と継承な ど、これらの若手研究者が相互に交流し、研究レベルの向上を図る場が崩壊しつつある。今回提案する「誘電・

絶縁材料等の物性評価と機能の発現」の若手セミナーは、産・学・官の若手研究員の相互交流(情報収集、意見 交換など)を活発に行うこと、研究・技術レベルの継承と向上を計ることを目的とするものである。誘電・絶縁 材料は、ナノコンポジット材料、有機 EL などに代表されるように、いよいよ応用可能となってきた機能の発現 や材料物性の評価など、基礎から応用に至る幅広い研究や開発が必要とされつつある。薄膜化やナノテクの利用 にともなう電気物性の変化や経時的変化、さらには材料使用環境の高電界化及び過酷化にともなう各種問題の解 明など、本若手セミナーは若手研究者及び技術者へ交流の場を提供し、知見を広め、東海地区に集積された技術 の継承と発展を推進していくことを目的としている。

予想される効果

東海支部内の学生員をはじめとする若手研究者及び若手技術者が、本若手セミナーに関係する研究上の問題や 話題提供を相互に行うことにより、専門化された分野の学会発表のみでは得られない問題解決の糸口や、研究遂 行上の新しい発見が、講演会や相互討論等により得られることが期待できる。また次世代若手研究者への東海地 区に集積された研究技術や知見の継承と育成、および、産学官の交流に多大な効果があると期待される。

5 設置期間        2005 年  4 月  1 日  〜  2006 年  3 月  31 日

予想される参加機関(具体的にお書き下さい:例  ○大学×学部□学科△研究室)

名古屋大学工学部電気電子工学科  森田研究室、理工科学総合研究センター  鈴置研究室 豊橋技術科学大学電気・電子工学系  長尾・穂積研究室(幹事として村上先生参加)

名古屋工業大学電気情報工学科  水野研究室

三重大学工学部電気電子工学科  中村研究室(幹事として青木先生参加)、飯田研究室 岐阜大学工学部電気電子工学科  安田研究室、近藤研究室

信州大学工学部電気電子工学科  宮入研究室 静岡大学工学部電気・電子工学科  松本研究室

愛知工業大学電気電子工学科  落合研究室、澤研究室、小嶋研究室

名城大学理工学部電気電子工学科  清水・村本研究室、河村・山中研究室、内藤研究室 中部大学工学部電気工学科  松岡研究室

岐阜高専電気情報工学科  所研究室(代表者・世話役として参加)、北川研究室 沼津高専電子制御工学科  遠山研究室

鳥羽商船高専電子機械工学科  古森研究室 並びに

三重県科学技術振興センター、電線総合技術センター、中部電力、東芝、豊田中研、三菱電機、日本ガイシ、高 岳製作所、愛知電機、神鋼電機、日東電工、住友電装、大同特殊鋼、日本高圧電気、名古屋市工研など

(一部大学等は新年度に研究室名等が変更になる可能性があります。)

Referensi

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