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"Keihō nana" settōzai o kōseisuru jirei (Shōwa sanjūgonen shigatsu nijūrokunichi saikōsai daisan shōhōtei hanketsu, kikyaku)

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Academic year: 2021

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(1)Title Sub Title Author Publisher Publication year Jtitle Abstract Notes Genre URL. Powered by TCPDF (www.tcpdf.org). 〔刑法七〕 窃盗罪を構成する事例 (昭和三五年四月二六日最高裁第三小法廷判決、棄却) 中谷, 瑾子(Nakatani, Kinko) 慶應義塾大学法学研究会 1960 法學研究 : 法律・政治・社会 (Journal of law, politics, and sociology). Vol.33, No.11 (1960. 11) ,p.89- 99 判例研究 Journal Article http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koar a_id=AN00224504-19601115-0089.

(2) ︹刑法. 七︺窃盗罪を構成する事例. 一. 剣 例 研 究. 村一三七〇番地先道路上にあつた會肚更生法による更生會肚である. ︻事實︼被告人は昭和二八年一二月二五日午後一時頃E縣U郡丁. ︻塾照條交︼刑法第⋮二五條、同第こ四二條. 動車を無蜥で債権者が運び去る所爲は窃盗罪を構成する。. 馬したとしても、債務者側において引き績き占有保管している右自. ︻判示事項︼ 譲渡擢保にとつた貨物自動車の所有櫨が債灌者に臨. 刑第昭昭 集一和和 一審三三 四 一五 雀伊年年 六蝕_四. 號三あ月 七島)二 四簡第六 八裁三日 頁 九最. 棄 却. 一. 八九. ︵一六九五︶. 破棄、自剣して、一審では懲役六月、執行猶豫二年であつたのを、. 第二審︵原審﹂もこの黙では一審到決を麦持した︹、但し量刑の黙で. 第一審裁剣所は右の事實を認定して、窃盗罪の成立を認めたが、. て被告人の倉庫まで蓮び去つた。. 通貨物自動軍一毫をほしいままに氏名不詳の丁縣人をして運輔させ. 丁製紙株式會肚の管財人Kらの保管にかかるE一−二一二六號の普. 第八高 二一裁 審號第 窃三 高盗小 松被法 高告廷 裁事判 件決.

(3) 判 例 研 究 懲役参月、執行猶豫一年とした︶。. 第二審の到決要旨は概ね左の通りであつた。. e窃盗罪は他人の所持、占有を侵して自己叉は第三者の占有に移. 九〇. ︵一六九六︶. の刑は過重と認められるので刑訴法三八一條三九七條一項により原. 到決を破棄し、同法四〇〇條但書により更に到決する。. 右に封して辮護人は. め、民事裁判によらなければこれを確定し難いが、假りに同自動車. 被澹保債灌に封する前示會肚からの辮濟の充當の關係が不明確なた. ・⋮:本件犯行當時における貨物自動車の所有灌の飾薦については、. な法律關係ではなく、財物に封する具髄的な事賛上の支配である。. に基づかない占有を含まないのである ︵大審院判例︶。しかるに原. ところであり、同條にいう﹁他人ノ占有﹂中には、不法占有、権利. は刑法が二四二條をおいていることから考えて肯定せざるをえない. の保護法盆は所有槽のみでなく他人の占有状態の保護でもあること. したものであるから、窃盗罪を構成すると到断しているが、窃盗罪. 槽者側のいずれにあるにしろ、ともかく被告人は他人の占有を侵害. e原審の読示によると、本件貨物自動車の所有椹が債務者側、債. の所有椹が被告人にあつたとしても、本件被告人が同自動車を占有. 判決は、所有権の蹄周、占有の適法違法を確定しないで、ただ自動. すときに成立する。そしてその所持叉は占有とは、いずれも抽象的. していなかつたことが認められるのであるから、管財人達の占有を. に法律上保護に値する占有とみるのであるが、謹接︵費渡契約書、. 侵して實力をもつて同自動車を奪い去つた被告人の所爲は窃盗罪に. 目被告人が本件自動車の所有灌も管理槽も法律上は自己にあると. 車を會肚が使用していたという事實關係のみに着目し、それを直ち. 信じていたとしても倫犯意なしとはいえないし、叉、この場合は窃. である被告人に引渡さなければならない約束になつているのである. 誓約書︶によると、本件自動車は昭和二七年一月二三日限り債穫者. 當る。. 盗罪その他の罪にならないと考えていたとしても、それは軍なる法. から、同日以後の會肚側の占有保管は明らかに不法であつて、刑法. 上の保護に値しないものである。從つてこれを蓮び去つても窃盗罪. の不知であつて犯意を阻却するものではない。. 目その他違法性叉は責任を阻却する事由はない。. 働原判決が、法律の錯誤の理論によつて被告人に故意の成立を認. を構成するいわれはない。. 動車の引渡しを受ける権利があり、自力救濟もまた止むを得ないと. めたのは、刑法三八條三項の解羅を誤り、ひいては①大審院到例. ㈲以上の如く握訴理由はいずれも認め難いが、被告人には本件自. 考えて實力行使に出たものと認められること、その他情歌上、原審.

(4) と相反する到臨をしたものである。印ち右諸判例は、非刑罰法規を. ⑧最嚢謂︵隅鯉禁枕羅霜逡灘備撃製甥描館責、︶. する趣旨である。﹂という到決︵瑠晒塞一轟海獣貯触ハ砒蟹一一塑瓢碑仁瑚恥︶、. 盤とせられみだりに不正の手段によつてこれを侵すことを許さぬと. いる事實がある以上、所持という事實上の状態それ自驚が掲立の法. い刑法上その所持を禁ぜられている場合でも現實にこれを所持して. 法律上正當にこれを所持する罐限を有するかどうかを問わず、たと. 誤解した結果、事費に錯誤を生じた場合を事實の錯誤として故意を. ⑧﹁他人に封し恐喝の手段を用いてその者が不法に所持する蓮合國. ︵駄塑紐賠童棚螢館︶、図高裁到決︵魁嘩識麺礪藪郷郷蜘輩酢凧朋措艶日︶、. 阻却するとしている。被告人は、本件貨物自動車の所有灌も管理権. 占領軍物資を交付させたときは恐喝罪が成立する。﹂という到決︵網 ︵判例④︶. ︵判例③︶. もともに自分にあるのだからこれを持つて來ることは許されると考 えて自動車を蓮び去つたのであるから、刑法二四二條叉は二三五條. つた者の右謹書の事實上の所持そのものは保護されなければならな. 受金の捲保として差入れたことが無効であるとしても、これを受取. に細鉾砿淋建銀瓢耽鵬鰍邸舗障搬鉾訓朋㌃︶、また㈲﹁法令上公傷年金の受. ︻判旨︼. いから、欺岡手段を用いて右謹書を交付させた行爲は刑法二四二條. の構成事實である一適法な占有﹂という事寳の馳に錯誤を生じたも. e上告趣意第一黙の所論は、不法占有が窃盗から保護されるべき. にいわゆる﹃他人ノ財物ト看傲﹄された自己の財物を騙取した詐欺. 給権を澹保にすることが禁止されている結果國鐵公傷年金謹書を借. 法盆となり得ないことを主張するが、當裁判所においては、すでに. ので、結局事實の錯誤である、と主張した。. ①一正當の灌利を有しない者の所持であつても、その所持は所持と. 大審院到決︵刑繊一一洒醐︶は攣更されたものであること明らかであり、. 上告棄却. して法律上の保護を受けるのであるから、盗鮭物を所持する者に封. があり、この到決により大正七年︵れ︶二二〇號、同年九月二五日. 罪に該當する。﹂という到決︵瑠煎髪一轟涛幽麺㌧泌触ゼ翻一一廼簾巡逝一︶、. 他人の事實上の支配内にある本件自動車を無断で運び去つた被告人. へ判例①︺. し恐喝の手段を用いてその賠物を交付させた場合には恐喝罪とな. ルコールがかりにいわゆる隠匿物資であるため私人の所持を禁ぜら. る。﹂という到決︵湘賄聖、轟鄭蛾野に辺砺蟹二璽麺蔓一萌︶、⑧﹁元軍用ア. の所爲を窃盗罪に當るとした原判決の判断は正當である。. ︵判例②︶. れているものであるとしても、それがため詐欺罪の目的となりえな. 九一. ︵一六九七︶. ◎叉上告趣意第二黙の所論は、本件自動車が他人の財物であるこ. 究. いものではない。刑法における財物取財の規定は人の財物に封する. 硯. とを被告人が知らなかつた事貿は窃盗の犯意がなかつたことに他な. 例. 事實上の所持を保護せんとするものであつて、これを所持する者が. 剣.

(5) 三項の解縄を誤り、引用の到例に違反する、と主張するけれども、. らないのに、原判決が、犯意があつたと到示したのは、刑法三八條. にもつとも典型的な問題となる︶については、筆者はすでに他の機. の場合は、直接攻撃の封象となるものが﹁他人ノ所持一であるだけ. ず、横領罪を除く財物罪一般について論ぜられることだが、窃盗罪. ︵一六九八︶. 原判決は、被告人が他人の事實上所持する自動車であることを知の. 會に鰯れた︵拙稿窃盗罪の保護法盆、綜合法學一九六〇年九月號七. 九二. ながらその者の意思に反してこれを自己の所持支配内に入れる意思. 〇頁以下︶ので、論述上やむを得ない場合を除いて、できるだけ重. 究. をもつて原到示所爲に及んだ事實を認めたのであつて、決して、論. 判 例 研. 旨主張のような事實を認定したものでないこと到文上明らかである. を参照されたい︶が、この窃盗罪その他の財物取得罪の保護法盆に. 複を避けるため省略することとする︵從つて本稿と同時に前記拙稿. ついては、周知の通り、學説上、所有権叉はその他の本灌に基づく. から、所論は原到示に副わない主張であり、論旨引用の到例はいず れも事案を異にし、本件に適切でない。. 説︵少敷読︶とがあり、到例は、ドイッ刑法のように明文規定をも. 占有と解する説︵通説。以下所有権説と略稻する︶と所持︵占有権︶ ︻評繹︼結論に肯定、理由に反封。. たないわが刑法においても、從來、一貫して﹁不法領得ノ意思﹂を. 必要とすることによつて、所有灌説を前提とするものと解されるこ ︵剣例⑤︶ とは、多くの學者によつて指摘されるところである。例えば﹁窃盗. 本到例にあつては、上告理由、到決文とも問題鮎を主として二つに. 問題鮎eは一見して明白なように、窃盗罪の保護法盆をめぐるも. 罪ハ不法二領得スル意思ヲ以テ他人ノ事實上ノ支配ヲ侵シ他人ノ所. 分けて論じているので、それぞれにつき、順次楡討することとする。. のである。印ち、本到例は前掲判例①ないし④を引用することによ. ︵れ︶第一一〇六號事件ノ判決参照︶本罪ノ成立二必要ナル故意アリ. トスルニハ法定ノ犯罪構成要件タル事實二付キ認識アルヲ以テ足レ. 有物ヲ自己ノ支配内二移ス行爲ナレハ︵大正三年六月+日宣告同年. リトセス不法二物ヲ自己二領得スル意思アルコトヲ要ス而シテ所謂. つて、窃盗罪の保護法盆は他人の所持、占有であり、それは財物に. ら、それが認められるかぎり、その支配が所有灌その他の本灌に基. 封する抽象的な法律關係ではなくて具腱的な事實上の支配であるか. づかなくとも、これを侵害する行爲は窃盗罪を構成するとする原判. 領得ノ意思トハ槽利者ヲ排除シテ他人ノ物ヲ自己ノ所有物トシテ其. 脛濟的用途二從ヒ之ヲ利用若クハ堪分スルノ意思二外ナラス﹂︵獄醐. 決を 全 面 的 に 支 持 し て い る 。. ところで、ここに問題となつた窃盗罪の保護法盆︵窃盗罪に限ら.

(6) 課塑パ奎酬簸︶という判例は、小學校教員が奉職中の小學校の校長. へ測例Φじ. の受持教室の天井裏に隠匿した事案について、自己に領得するの意. 二封抗シ得ル場合ニハ之ヲ他人ノ財物ト看倣ストノ意義ナリトス﹂. 有二係ル財物ト錐之ヲ占有セル他人ヵ適法二其占有権ヲ以テ所有者. 物ト錐他人ノ占有二馬シ⋮⋮他人ノ財物ト看倣ストアルハ自己ノ所. 十一條二依リ詐欺罪二準用セラルル同法第二百四十二條二自己ノ財. セラルヘキモノナ告以テ云々﹂︵緬整難ひ璽、荊法笙夏. 思に出たものではないから窃盗罪を以つて論ずべきではないとした. に街むところがあつて、その失脚を圖つて、教育勅語謄本等を自己. を引用するが、同旨の剣決は奮司法制度下において大審院によつて. もので、不法領得の意思に關する代表的到例として學者がよくこれ. れも所有権説を前提として理解されるべきものと考える。要するに. 否定する︵例えば大剣大正九・二・四刑録二六輯二六頁︶のも、何. 繰り返えされたばかりでなく、新制度になつてからも最高裁は大審 ︵到例⑥︶ 院同様不法領得の意思について積極説を踏襲し﹁⋮⋮そもそも、刑. 到例は、傳統的に所有灌読によつていたということができよう。. ︵漱賜瑠湘靴ル拡か恥八︶としているのも、更には叉いわゆる使用窃盗を. 法上窃盗罪の成立に必要な不法額得の意思とは、権利者を排除し他. しかし、右の傳統的な立場は、近年財物罪の保護法盆について明. らかに所持であるとする到例が出て動描するに至つたのである。そ. 人の物を自己の所有物と同様にその脛濟的用法に從いこれを利用し 叉は庭分する意思をいう⋮⋮﹂︵畷籍磁騨禰弛︷些亭疋い聯竃慰離雛糊猷二. の代表的なものが、既に見たように、本到例中にも引用された到例. ①ないし④である。しかしこの四剣例をやや詳しく槍討してみると. 塑一軌滴嬢七、︶としている。叉刑法二四二條にいわゆる﹁占有一の意 ︵剣例⑦︶. 義に關して古く﹁自己ノ財物ニシテ他人ノ占有二囑スルモノヲ窃取. 罪叉ハ詐欺罪ヲ構成スルコト明カナリト錐モ此ノ規定ハ占有者力適. らない。帥ち、前三者は、等しくその客豊が不法の占有によるもの. というよりは論じてはならないものであることを指摘しなければな. 到例①ないし③と到例④とでは必らずしも同一には論ぜられない、. 法二其占有権ヲ以テ所有者二封抗シ得ル場合二限リテ適用セラルヘ. ではあつても、行爲者の所有灌とは無關係な財物だ要するに他人の. 叉ハ騙取スルトキハ刑法第二百四十二條第二百五十一條二依リ窃盗. キモノニシテ此ノ如キ封抗ノ存セサル場合二於テ此ノ規定二依リ占. 物︶にかかるものであり、この種のものについては、從來の通説た. ︵一六九九︶. 有者ヲ保護シ所有者ヲ庭罰スヘキ理由存セス﹂︵献潮訟配塾ヨ加配︶. 九三. る所有権説に從つても、倫、犯罪は成立すると目すべき場合で、所. ︵判例⑧︶. 究. ﹁本院到例二徴スルニ救上ノ規定ρ刑法二四二條、筆者註︶ハ占有者. 硯. 有灌読、所持読とも結論は同一に麟着する。いわゆる禁制品につい. 例. ヵ適法二其ノ占有権ヲ以テ所有者二封抗シ得ヘキ場合二限リテ適用. 剣.

(7) 叉ハ所持スルコトヲ得ス﹄ト規定シ第九條ニハ﹃第一條乃至第四條. 當ノ事由ナクシテ﹁モルヒネ﹂﹁コカイン﹂叉ハ其ノ注射器ヲ所有. ﹃コカイン﹄ノ取締二關スル件ヲ按スルニ第一條ニハ﹃何人ト錐正. 二槻奪スルヲ謂フ而シテ大正四年關東都督府令第五號﹃モルヒネ﹄. のがある。﹁元來奪取トハ人ノ財物二封スル所有権叉ハ所持ヲ不法. 古く、この鮎について明確な到示を興えたものとして次のようなも. 窃盗罪は成立するとされる︵瀧川・刑法各論一一八頁︶。叉到例も、. 支配離腕物になるわけではない﹂から、いわゆる禁制品についても. 法上、所有とか所持を禁じているが、それによつて、無主物または. 頁︶のは當然のことながら、所有灌読をとる瀧川博士も﹁禁制品は. 一頁以下、とくに五九四頁、木村・刑法各論、昭和三二年、一〇八. として保護されると解する︵牧野・刑法各論下巻、昭和三一年、五九. て、所持読を主張される牧野博士や木村博士が禁制品の所持も所持. 學している黙を指摘しておられる︵寺尾・窃盗罪を構成する事例、. 調査官が本件到例解説において判例①ないし③と④とを無差別に列. にとっても先例とはなり得ないもののようである。その意味で寺尾. られるべきものではなく、從つて本到決にとつても、亦同様到例④. にいわゆる﹁占有﹂の意義に關するもので、前三者とは同時に論ぜ. が本件到例と直接共通性をもつもの、印ち、ともに、刑法二四二條. な立場からも充分同じ蹄結を導き得る筈であつた。ただ到例④のみ. ③の判例については所持そのものを保護法盆としなくとも、傳統的. ナルニ於テヲヤ﹂︵瑚凍醐腐導磁識配誰錦瑚厭蹴証島︶。從つて判例①ないし. 満洲鐵道株式會肚力其ノ業務上他人ノ委託二基キ占有保管セルモノ. ハ奪取罪ヲ構成スト論セサルヘカラス況ンヤ本件﹃モルヒネ﹄ハ南. 亦法律ノ保護スル所有叉ハ所持ニシテ一私人力不法二之ヲ奪フ行爲. 一種即チ法盆ノ一種ナリト謂ハサルヘヵラス換言スレハ其ノ歌態モ. 一私人ノ爲メニ奪ハレサルヘキ朕態ハ亦以テ法律ノ保護スル利盆ノ. ︵’七〇〇︶. 二違反シタル者ノ所有叉ハ所持スル﹁モルヒネ﹂﹁コカイソ﹂叉ハ. 法曹時報+二巻六號一五三頁︶のも、叉井上教授が到例①及び②に. 九四. 其ノ注射器ハ警察庭分ヲ以テ之ヲ没牧ス﹄トアルヲ以テ﹃モルヒ. ついて﹁これは理論的にみて必ずしも新しい考え方ではなく、到例. 究. ネ﹄ノ如キハ正當ノ事由アルニ於テハ所有椹ノ目的物ト爲リ得ヘキ. ④の先例とはなりえないのではないか﹂としておられる︵井上・財. 研. 財物ナルコト勿論ナリトス然リ而シテ正當ノ事由ナクシテ之ヲ所有. 産犯の諸問題︵三︶警察砺究三一巻五號五八頁︶のも正當である︵も. 例. 叉ハ所持スル者二封シテハ警察庭分ヲ以テ没牧シ其ノ麦配力ヲ奪フ. つとも判例④と本件の場合とでは、侵された所持が最初から不法で. 判. コトヲ得レトモ其ノ所有者叉ハ所持者ト李等關係二立テル一私人ハ. あつたか、それとも占有當初は適法だつたものが、途中から不法に. ︵判例⑩︶. 其ノ支配力ヲ奪フコト能ハサルモノナリ斯ク財物二封スル支配力ヲ.

(8) の傳統的な到例と本件到決とは一見明らかに矛盾しており、結論も. ろ反封の態度を明示していたことはすでに読いたところである。こ. がF所有の自韓車を窃取した犯人であつたとしても、窃盗罪の法盆. 窃盗罪の保護法盆と明示したものがあつた。例えば﹁假に右被害者. なお、窃盗罪の保護法盆については下級審の中ではすでに所持を. ン・ステップとして叉本件判旨に非常に近いものとして私には關心. 大きく異る。ただこのような主張も最高裁として始めて提唱された. たる所持︵占有︶は物に封する事實上の支配であつて、その物に封. がもたれるのである。. ものではないことに更めて心をとめる必要はあるのではなかろう. する事實上の支配關係が認められる限りその支配が適法であると否. 憂つた、かの差異のあることも看逃してはならないだろう︶。さて、. か。即ち昭和二四年四月二六日、最高裁第二小法廷は﹁原到決は、. とに拘らず窃盗罪の保護法盆となるものと解せられるのであるか. 刑法二四二條にいわゆる﹁占有﹂の意義については從來判例はむし. 被告人が﹃土橋一雄保管の生ゴム﹄約六貫匁を窃取したことを到示. の成立を認める黙では結論を一にするが、窃盗罪の保護法盆そのも. ①ないし③の延長と見られ、叉、この場合には、所有権読も窃盗罪. のではないから、本件判例と重なり合うものではなく、むしろ到例. 調恥九︶。勿論これは一讃明らかなように、自己所有の物に關するも. 盗罪が成立するものと解するのが相當である﹂︵諫鯨惰朝輔醜龍蹴晦細勤. ら、右のような窃盗犯人から更に賠物を窃取した場合においても窃. 筆者註︶の所有物であつたことを認定してはいない。. しているだけで、第一審判決のように右の生ゴムが人︵同人の、・・ろ. プリントか?. しかし窃盗罪が成立するためには、他人の管理に馬する財物を窃取 することを以て足り、その財物が何人の所有に驕するかは問うとこ. ろでないから、原判決には論旨一に主張されているような審理不壷. の蓮法はない﹂︵塞繍蟹釜塑薙軌︶封示している.響ここ. のについて明言してこれを﹁所持﹂としている一例として注目され. 所持する︶物であることを要し、かつそれで充分とするのであつ. て保護法盆を所持としていたことから、窃盗罪の場合もその保護法. る。叉最高裁自膣すでに到例①ないし④において財物罪一般につい. では、窃盗罪が成立する爲には客艦が他人の管理に麗する︵他人の. て、所有者が何人であるかは勿論、自己以外の者であること︵他人. 所有のものであること︶も必要ではないとしているように解され. 二四二條の﹁占有﹂の意義については、すでに、判例④︵澹保に供. 盆を﹁所持﹂とすることの下地はすでに充分であつたと云えるし、. 九五. ︵一七〇一︶. した國鐵公傷年金謹書に封する詐欺罪の成立を認めた最高裁昭和三. る。これは保護法盆についてとくに意識的に爲された到例でもな. 究. く、あまり重覗されはしなかつたようであるが、本件到例に至るワ. 剣 例 硯.

(9) 判. 例. 硯. 究. 九六. ︵一七〇二︶. 條により準用される場合を含む︶の一般解繹を打出した趣旨ではな. れた趣旨に限定して理解すべきものであり、刑法二四二條︵二五一. ない。從ってこれが從來の判例を一學に覆し去る意義をもつかどう. 大審院到決は攣更されたものであること明らかである⋮⋮。﹂と論. いことに留意することを要する﹂と重要な獲言をしておられる︵法. 四年八月二八日第二小法廷判決︶は﹁刑法二四二條、二五一條の規. じているのである。叉到例④も本件判決同様、昭和二四年二月一五. 曹時報一一巻二號一四二−三頁︶。しかし乍ら今度の判決が要す. かについては愼重に考えなけれぽならない。叉、刑法二四二條全般. 日第二小法廷到決及び同二五年四月二日第三小法廷判決を引用し. るに犯人以外の者の財物の場合も自己所有の物の場合も書一に論じ. 定をもつて、正穫限により他人の占有する自己の財物の場合に限り. いるが、前にも指摘したように、これらの場合は、當該財物が法令. ている以上、最高裁としては一鷹刑法二四二條︵二五一條により準. の問題として考察するとき規定の沿革、民法と刑法との目的の相. の規定による所持禁止物ではあるが、結局﹁自己︵犯人︶の物﹂で. 用される場合を含む︶の一般解羅として少籔説を探用したと解した. 違、現實の吐會状態等から少数読を全面的に受入れるには躊躇せざ. はないので、ここで問題としている自己所有物の場合とは事情が異. 方が素直なのではないかと思われるが、いかがであろうか。到例④. 適用されるべきものとした大審院判例︵鍬証吼鵬綾調、一症耶刑︶は攣更を. るということを看過しているのであつて、その重大な差異を無覗し. の場合も、今度の到決の場合も、事案はそれぞれ詐欺罪、窃盗罪の. るを得ない、等の理由から、この到決の趣旨も﹁到決要旨に摘示さ. て立論していることが問題といわなければならない。そして同じ過. 亦﹁この到例︵剣例④のこと、筆者註︶により大正七年九月二五日. 誤が今度の到決についても指摘されなければならないであろう。判. 成立を認めるべき場合であつた事におそらく異論はないであろうか. 冤れない﹂とまで明言しているのであり、これを受けて、本到決も. 例④については、當時、栗田最高裁調査官が解説の中で恩給その他. ら、到例の趣旨を栗田調査官のように限定的に解すべきだ︵今度の. 説的立場を覆す趣旨であると解するよりは、むしろ、軍に本件の具. 剣決についても、寺尾調査官は、刑法二四二條の一般解繹として通. の到決は、年金の受給者が敢えて街の貸金業者に頼らなくても國民. 艦的事實關係に立つて窃盗罪の成立を認めたにすぎないものと解す. の規定は受給権の保護規定であり、その意味で大正七年九月二五日. 金融公庫のような低利の金融機關を利用する途が拓かれるようにな. る蝕地もあるとしておられる。法曹時報一二巻六號一五四頁︶とし. の公的年金の受給穣を譲渡し叉は捲保に供することを禁止する趣旨. つた後には必らずしも事案の合理的な解決をもたらすものとはいえ.

(10) なるのであろうか。それを説明しようとすれば、所持じたいを法盆. ら、所有権その他の本椹の侵害がなくとも詐欺罪を構成することに. 國鐵公傷年金護書を澹保に供したばあいであれば、いかなる理由か. ないことはいうまでもないが、しかし、理論の問題としてみるとき、. 田調査官の限定説に封し、﹁判例の理解としてはそうならざるを得. 析と批剣を試みておられる井上教授も、すでに、判例④に封する栗. として財産犯の問題鮎をピックアップして詳細、かつ地味にその分. のは、ただ筆者だけではなさそうである︵例えば最近の判例を中心. 通読的立場︵所有灌読︶はアウフヘーベンされたという印象が強い. 的に引用されることを考えても、刑法二四二條の一般解羅として、. 有を排除して返還を講求する場合であつて取戻灌の規定に基づくま. く、封外的にも封内的にも完全に所有灌をもつ被告人が、不法な占. とすれば、譲渡捲保契約に基づいて取戻権を行使し得るのではな. いる︵五四條︶。ただ本件の場合は、被告人側の主張が事實である. の承認は叉場合によつては裁判所の許可を必要とするものとされて. 取戻灌の實行も管財人の承認を得た上で爲されなければならず、こ. 産の管理及び庭分をする権利は管財人に專驕する︵三五條︶から、. 績開始の決定があつた場合においては、會肚の事業の輕螢並びに財. 推保灌者は取戻権︵六二條以下︶を有する。しかし、他方、更生手. ︵我妻・前掲書二二七頁︶から、たとえ更生手績が開始されても、. 契約によつて財産は何らの物権的制限をも俘わず債灌者に移轄する. れば、内部關係は別として、第三者との關係においては、譲渡澹保. て執行することができない︵我妻・捲保物権法二三五頁︶。何とな. とする以外になく、所持じたいを法釜とすれぽ、本件のごときぽあ. でもないと解されないでもない。しかしながら謹族ρ契約書、誓約. 物が設定者︵債務者︶の占有にあつても、一般債権者はこれに封し. いに限定されない﹂としておられる。井上・前掲論丈、警察研究三. 書︶によつて明らかなように、蓮輔手1︵會杜側︶の占有はその當. ても、今度の判決における到例引用の方法を考えても、叉、事案の. 一巻五號六〇頁︶。從つてもし、判例の趣旨が眞に前記栗田・寺尾. 初において適法であつたのであり、被告人側の主張がもし眞實であ. 個別具髄的な事情はさほど考慮されることなく、到決要旨だけ抽象. は甚だ不充分で、誤解を生ずる危陰が多分にあると云わなければな. つたとしても、會肚側の占有が實質的に不法となったのは事後のこ. 爾調査官の説かれるようなものであるとすれば、少くともその読明. らないであろう。. 九七. ︵一七〇三︶. とである。このような場合には、占有がそもそも不法に始まつた場. 究. さて本件においては被害者が會肚更生法による更生會肚であつた. 硯. 合︵例えば窃盗︶とは事情上同一覗できないのではなかろうか。こ. 例. ことも一感考慮しなければならないが、譲渡捲保においては、目的. 剣.

(11) 到例にいわゆる外部的移韓の場合か、特約ある、到例にいわゆる内. からだけでは譲渡捲保契約についての封内効力の程度帥ち普通の、. るのではなかろうか。要するに本件の場合、到例にあらわれた事實. 建造物損壊罪を成立させる場合もありうることを考えれぽ理解でき. に屋根瓦を剥いだりすることは灌利行使の枠を逸脱するものとして. れた後も不法に借家を占振する場合であつても、これを追い出す爲. のことは、例えば借家人が債務不履行に基づき賃貸借契約が解除さ. 成要件事賞たる﹃適法な占有﹄という事實の黙に錯誤を生じたもの. 許されると考へたのでありますから刑法二四二條叉は三二五條の構. 灌あり、會肚の占有は適法ならずと考へ、自己の占有に移すことが. とみるとしても、被告人において自己に所有灌あり、且つ占有する. 有を適法とは考えないのでありますが、之を假りに適法な占有あり. もやや問題ではなかろうか。上告趣意では﹁癖護人等は、會枇の占. 前提とするものとして極めて簡軍に排斥している。しかし、この鮎. 事貸は故意を阻却するという上告趣意を、原到示に副わない事實を. ︵一七〇四︶. 外共に移輔する場合なのか、不明であるが、犯行當時自動車の所有. であり、結局事實の錯誤であり、しからずとするも少くも非刑罰法. 九八. 灌が名實共に被告人のものであつたとしても、被告人の行爲は構利. 規の錯誤として故意の成立を認めえざる場合なのであります﹂とし. 究. 行使として要當とは云えず、このような私力救濟的手段は違法性を. ているが、本件で最も重要なのは債務者側の占有が蓮法であるから. 剣 例 研. 阻却する自力救濟とは認められず、現行法として許されないとしな. にあり、從つてここでは何よりも蓮法性の意識の問題としてとりあ. げられるべきであろう。しかし、蓮法性の意識については、今日、. これを自由に蓮び去ることは所有者として當然許されると考えた鮎. その意味で寺尾調査官の限定読も理解されないことはないが、通説. ドイッの學読、到例にならつて、いわゆる責任読と故意説︵認識説、. ければならない。その意味で被告人の行爲はたとえ通読的立場︵所. 的立場から端的に窃盗罪の成立を認めることも可能で、しかもその. 認識可能性説︶との封立があり、故意説によれぽたしかに事實の錯. 有椹設︶に立つてみても窃盗罪の成立を認むべきものと解される。. 方がより妥當であつたように思われる。. は結局濁断であつて、認識の可能性は認められるから故意は阻却さ. 誤の問題となるが、この中でも可能性読によれば本件被告人の到断. れないであろうし、責任読によればいわゆる禁止の錯誤の問題とな. 問題融⇔については、本判決が、窃盗罪の保護法盆を他人の所持. 支配内にある財物をそれと認識して侵害することを必要とし、かつ. り、過失が認められる限り故意行爲としての責任は阻却されないこ. ︵軍なる所持︶と解する根本態度をとるから、窃盗の故意は他人の. それで足りるわけで、從つて他人の財物であることを知らなかつた.

(12) き刑罰法令の錯誤と非刑罰法令の錯誤というあいまいな古くさい基. ことになる。上告理由としては事實の錯誤と法律の錯誤の匿別につ. のなかつた場合を除いて故意叉は責任が阻却されず犯罪は成立する. の何れの立場をとつても、結果的には違法性の意識を敏くのに過失. れるかの差異は生ずるが、最近有力と解される可能性読叉は責任説. 誤︵構成要件の錯誤︶とされるか禁止の錯誤︵法律の錯誤一︶と解さ. とになる。從つて故意読をとるか責任読をとるかによつて事實の錯. である︵もつとも判例①ないし③を含めて所持自髄を財物罪の保護. であるから、大法廷で到決すべきではなかつたかという疑をもつの. として不法領得の意思を必要とする判例⑥を實質的に攣更するもの. に矛盾し、これを墜更するものではないとしても、所有権説を前提. もつものとすれば、たとえ直接不法領得の意思を問題として判例⑥. 般的な解縄について傳統的な立場を一學に覆すだけの重大な意味を. は到例④よりも前であるから、もし到例④が眞に刑法二四二條の一. れを位置づげることはできない。更に手績的に見ても、前示到例⑥. ち. 準に立つているのが不満に思われるし、反面、判決は叉自己の立場. 法盆とすることは、一−三小法廷全部の判決が出そろつている︶。更. じ. から堂然のこととして簡輩に之を斥け去つて検討を加えなかつた黙. には今春公表された改正刑法準備草案三四七條が通読の立場から一. 暦はつきりと﹁自己の財物であつても、適法な原因により他人が占. も. でやや不親切に思われる。. ともあれ、本件自膣について見れば窃盗罪の成立を認めた結論は. 更に今後の到例の動向︵とくに本件判決等が二四二條の一般的解繹. 他人の財物とみなす﹂︵傍黙筆者︶と規定している鮎も考え合せて. として固定するか當該事案に限定されるか︶が注目される、という. 有し、叉は看守するものであるときは、本章の罪についてはこれを. ているという事實だけで窃盗の威立を認めた事には多分に疑いがも. 愛當と云えるが、保護法盆を一般的に輩なる所持ときめ、他人の所. てるし、到例①ないし④及び本件到決がもし一般的に所有権読をす. よりは窃盗罪の保護法盆に關するより綜合的・艦系的な到例の整備. 有物の場合も、自己の所有物の場合も、共に同一に、他人が所持し. てて所持説へと大きく韓進したものとすれば不法領得の意思も當然. 究. ︵一七〇五︶. ︵中谷瑳子︶. が待たれる。. 研. 九九. に不要ということになるが、最高裁の到例も現在までのところ、そ. 例. こまで到示したものは見當らず、到例として一貫した流れの中にこ. 勢.

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