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kankokujin nihongo gakushusha no yoyaku sakubun ni okeru bunsho kozo no rikai to hyogen : nihongo bogo washa tono hikaku waseda daigaku hakushi gakui shinsei ronbun

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Academic year: 2021

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早稲田大学大学院日本語教育研究科

博士学位申請論文概要

韓国人日本語学習者の要約作文における

文章構造の理解と表現

―日本語母語話者との比較―

恵煐

2 0 1 1 年 8 月

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1 本 研 究 の 対 象 と す る 「 要 約 作 文 」 と は 、 要 約 文 を 書 く 活 動 を 通 し て 、 日 本 語 の 文 章 ・ 談 話 の 全 体 的 構 造 の 「 文 章 型 」・「 談 話 型 」 を 理 解 し 、 学 習 者 自 身 の 文 章 ・ 談 話 の 表 現 へ の 応 用 を 目 的 と し た 日 本 語 の 読 解・作 文 教 育 の 方 法 で あ る 。木 村(1982)が 用 語 を 提 唱 し 、佐 久 間(1976, 1985,1989c)が そ の 理 論 的 根 拠 と 授 業 展 開 の 方 法 を 提 案 し て 、実 践 し て い る 。 佐 久 間 編 著 (2010) の 「 文 章 型 」・「 談 話 型 」 と は 、「 中 心 文 」 の 統 括 機 能 に よ り 大 小 の 「 文 段 」・「 話 段 」 の ま と ま り が 形 成 さ れ 、 最 も 統 括 力 の 強 い 「 主 題 文 」 を 有 す る 「 中 心 文 段 」・「 中 心 話 段 」 が 「 Ⅰ . 開 始 部 」、「 Ⅱ . 展 開 部 」、「 Ⅲ . 終 了 部 」 の 3 大 文 段 の ど の 位 置 に 出 現 す る か に よ っ て 分 類 さ れ る 。そ の た め 、要 約 作 文 に お け る 原 文・原 話 の「 文 章 型 」・ 「 談 話 型 」 の 理 解 と 表 現 は 、「 中 心 文 」 と 「 主 題 文 」 を 把 握 し 、 そ れ を 要 約 文 の 「 文 章 型 」 と し て 、 ど の よ う に 表 現 す る か が 学 習 上 の 重 要 な ポ イ ン ト と な っ て い る 。 日 本 語 は 、 韓 国 語 と 文 の 構 造 が 似 て お り 、 単 語 の 直 訳 で 意 味 が 通 じ る 部 分 が 多 い こ と か ら 、 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 に と っ て 、 文 意 を 把 握 す る 読 解 の 負 担 は 他 の 母 語 の 学 習 者 よ り 少 な い は ず で あ る 。 し た が っ て 、 中 級 段 階 か ら も っ と 積 極 的 に 要 約 作 文 を 導 入 す れ ば 、 上 級 段 階 に お い て 、 専 門 書 を 読 む 、 レ ポ ー ト を 書 く 、 講 義 を 聴 く な ど の 日 本 国 内 の 大 学 に 学 ぶ た め の 文 章・談 話 の 理 解 力 と 表 現 力 を 身 に 付 け る こ と が で き る の で は な い か と 考 え ら れ る 。 佐 久 間 編 著 (1994:196) に は 、 6 種 の 「 文 章 型 」 の 論 説 文 の う ち 、 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 は 、「 尾 括 型 」の 原 文 の 結 論 を 欠 く 要 約 文 が 多 い こ と か ら 、読 解 力 と 表 現 力 の 不 足 が 指 摘 さ れ て い る 。 筆 者 は 、 要 約 作 文 を 学 ん だ 韓 国 人 学 習 者 お よ び 韓 国 語 母 語 話 者 の 日 本 語 教 師 と し て の 立 場 か ら 、論 説 文 以 外 の 文 章 で は ど う な の か 、ま た 、「 尾 括 型 」の 文 章・談 話 の ど の よ う な 文 脈 展 開 が 学 習 者 の 要 約 文 に 理 解 と 表 現 の 問 題 を 生 じ さ せ る の か に 関 心 を 抱 い た 。 そ こ で 、 本 研 究 で は 、 3 種 の ジ ャ ン ル の 異 な る 「 尾 括 型 」 の 文 章 ・ 談 話 を 用 い て 、 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 の 要 約 文 に お け る 原 文・原 話 の「 文 章 型 」・「 談 話 型 」の「 文 段 の 統 括 関 係 」、 「 中 心 文 」 と 「 主 題 文 」 の 残 存 傾 向 を 調 査 し 、 日 本 語 母 語 話 者 と の 比 較 に よ り 、 韓 国 人 学 習 者 の 日 本 語 の 要 約 文 に お け る 理 解 と 表 現 の 問 題 と そ の 要 因 に つ い て 考 察 す る こ と に し た 。 本 論 文 は 、 序 論 ( 第 1 章 )・ 本 論 ( 第 2 章 ~ 第 7 章 )・ 結 論 ( 第 8 章 ) か ら 構 成 さ れ る 。 第 1 章 本 研 究 の 目 的 と 課 題 第 2 章 文 章 ・ 談 話 の 要 約 文 に 関 す る 先 行 研 究 第 3 章 本 研 究 の 分 析 方 法 第 4 章 論 説 文 の 要 約 文 Aに お け る 原 文 Aの 「 文 章 型 」 の 理 解 と 表 現

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2 第 1 章 本 研 究 の 目 的 と 課 題 本 研 究 は 、韓 国 人 日 本 語 学 習 者 を 対 象 と す る「 要 約 作 文 」の 授 業 展 開 の 提 案 を 目 指 し て 、 日 本 語 母 語 話 者 J の 要 約 文 と 比 較 し て 、韓 国 人 学 習 者 K に よ る 日 本 語 の 文 章・談 話 の 構 造 の 理 解 と 表 現 の 問 題 を 解 明 す る も の で あ る が 、 以 下 の よ う な 検 討 課 題 を 3 点 設 定 し た 。 論 説 文 A、 説 明 文 S、 講 義 A の 3 種 の 原 文 ・ 原 話 の 中 心 文 と 主 題 文 が 要 約 文 に 残 存 す る か ど う か を 調 べ 、 日 本 語 母 語 話 者 と 韓 国 人 学 習 者 の 要 約 文 ( 以 下 、 日 韓 の 要 約 文 J、K と 略 称 す る ) に お け る 中 心 文 と 主 題 文 の 「 必 須 単 位 」 の 残 存 傾 向 の 違 い を 調 べ る 。 先 行 研 究 の 要 約 文 調 査 に 用 い ら れ た 論 説 文 Aの 原 文 と 講 義 Aの 原 話 に お け る 文 段・話 段 の 中 心 文 と 主 題 文 に 関 し て は 、佐 久 間 研 究 代 表 者(1997)と 佐 久 間(2007,2010b)の 認 定 結 果 に 従 う 。 論 説 文 A の 原 文 「 日 本 人 は そ ん な に 駄 目 か 」 は 、 佐 久 間 研 究 代 表 者 (1997) に よ る と 、 「 Ⅰ .開 始 部 」( ① ~ ③ )で 「日 本 人 批 判 の 話 題 提 示 」( 中 心 文 ① )を し 、「 Ⅱ .展 開 部 」( ④ ~ ⑧ )で 「自 己 批 判 の 理 由 説 明 」( 中 心 文 ④ )を 補 足 し 、「 Ⅲ .終 了 部 」( ⑨ ~ ⑪ )で 「日 本 人 肯 定 」に 論 点 を 逆 転 さ せ て 、 主 題 文 ⑨ で 結 論 を 主 張 す る 逆 接 の 「 尾 括 型 」 の 文 章 型 で あ る 。 説 明 文 S の 原 文 「 再 生 紙 」 は 、「 Ⅰ . 開 始 部 」( ① ~ ④ ) で 「 課 題 導 入 」( 中 心 文 ④ ) を し た の に 対 し 、「 Ⅱ .展 開 部 」( ⑤ ~ ⑯ ,中 心 文 ⑩ + ⑭ )と「 Ⅲ .終 了 部 」( ⑰ ~ ⑲ ,中 心 文 ⑰ ) で 「 解 答 説 明 」 を す る 2 段 構 成 で 、「 解 答 説 明 」 の 大 文 段 2 が 原 文 S 全 体 を 統 括 す る 順 接 の「 尾 括 型 」の 文 章 型 で あ る 。「 Ⅱ .展 開 部 」と「 Ⅲ .終 了 部 」の「 解 答 説 明 」は「 逆 接 型 」 の 連 接 関 係 で 、「 Ⅲ . 終 了 部 」 の 主 題 文 ⑰ が 「 Ⅱ . 展 開 部 」 を 統 括 し て い る 。 講 義 A の 原 話 は 、「 言 い 換 え 」 の 表 現 に つ い て 解 説 す る 全 418 文 か ら な る 約 60 分 間 の 講 義 で あ る 。 佐 久 間 編 著 (2010)に よ れ ば 、 原 話 A は 、「 Ⅰ . 開 始 部 」(1~32) で 「 言 い 換 え と は 何 か 」 と い う 講 義 の 「課 題 導 入 」を し 、「 Ⅱ . 展 開 部 」(33~382) で 「 書 き 言 葉 と 課 題 1 日 本 語 母 語 話 者 と 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 の 要 約 文 に お け る 原 文 ・ 原 話 の 「 文 章 型 」・「 談 話 型 」の 理 解 の あ り 方 の 違 い を 、原 文・原 話 の「 中 心 文 」・「 主 題 文 」の「 必 須 単 位 」 の 残 存 傾 向 か ら 解 明 す る 。 第 5 章 説 明 文 の 要 約 文 S に お け る 原 文 S の 「 文 章 型 」 の 理 解 と 表 現 第 6 章 講 義 理 解 の 要 約 文 AY に お け る 原 話 A の 「 談 話 型 」 の 理 解 と 表 現 第 7 章 日 本 語 教 育 に お け る 要 約 作 文 の 方 法 と 可 能 性 第 8 章 本 研 究 の 結 論 と 今 後 の 課 題

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3 話 し 言 葉 の 言 い 換 え の 技 法 の 違 い 」 に 関 し て 「 解 答 説 明 」 を し た 後 、「 Ⅲ . 終 了 部 」(383 ~418)で「 言 い 換 え 」と「 書 き 言 葉 と 話 し 言 葉 の 言 い 換 え の 技 法 の 違 い 」を「 概 略 要 約 」 し て い る 。「 Ⅲ .終 了 部 」の「 大 話 段 6 本 日 の 講 義 内 容 の ま と め 」の 主 中 心 文 392が 主 題 文 と し て 講 義 Aの 談 話 全 体 を 統 括 す る 同 列 の 「 尾 括 型 」 の 「 談 話 型 」 で あ る と い う 。 原 文・原 話 の 全 体 的 構 造 を 示 す「 文 章 型 」・「 談 話 型 」の 理 解 が 不 十 分 な 要 約 文 は 、原 文 ・ 原 話 の 中 心 文 と 主 題 文 の 「 必 須 単 位 」 の 構 成 要 素 が 要 約 文 に 全 く 残 存 し な い か 、 不 十 分 に し か 残 存 し な い こ と が 予 想 さ れ る 。ま た 、佐 久 間 編 著(1989b,1994)の 要 約 文 の「 理 解 類 型 」の 分 類 方 法 を 踏 襲 し て 、3 種 の 原 文・原 話 に お け る 要 約 文 J,K の 理 解 類 型 を 比 較 し 、 学 習 者 と 母 語 話 者 に よ る 原 文 ・ 原 話 の 「 文 章 型 」・「 談 話 型 」 の 理 解 の 違 い を 分 析 す る 。 3 種 の ジ ャ ン ル の 異 な る 原 文・原 話 に お け る「 Ⅰ .開 始 部 」「 Ⅱ .展 開 部 」「 Ⅲ .終 了 部 」 の 3 大 文 段 の 連 接 関 係 と 、 要 約 文 の 3 大 文 段 の 連 接 関 係 と の 関 連 に つ い て 、 佐 久 間 (1989b:188) の 8 種 の 「 文 の 連 接 関 係 」 の 統 括 類 型 を 用 い て 、 そ の 異 同 を 比 較 す る 。 論 説 文 A の 原 文 は 、「 Ⅰ . 開 始 部 」( ① ~ ③ ) の 「 話 題 提 示 」、「 Ⅱ . 展 開 部 」( ④ ~ ⑧ ) の「 理 由 説 明 」と 、「 Ⅲ .終 了 部 」( ⑨ ~ ⑪ )の「 結 論 主 張 」と の 間 に 、「 逆 接 型 」の 大 文 段 の 連 接 関 係 が 認 め ら れ る 。ま た 、説 明 文 S の 原 文 は 、「 Ⅰ .開 始 部 」( ① ~ ④ )の「 課 題 導 入 」と 、「 Ⅱ .展 開 部 」( ⑤ ~ ⑯ )の「 解 答 説 明 1 」、「 Ⅲ .終 了 部 」( ⑰ ~ ⑲ )「 解 答 説 明 2 」 と の 間 に 、「 順 接 型 」 の 大 文 段 の 連 接 関 係 が 認 め ら れ る 。 最 後 に 、 講 義 A の 原 話 は 、「 Ⅰ . 開 始 部 」(1~32)の「 課 題 導 入 」、「 Ⅱ .展 開 部 」(33~382)の「 解 答 説 明 」と「 Ⅲ .終 了 部 」(383~418) の 「 概 略 要 約 」 と の 間 に 、「 同 列 型 」 の 大 文 段 の 連 接 関 係 が 認 め ら れ る 。 つ ま り 、 3 種 の 原 文 ・ 原 話 は 、「 尾 括 型 」 を 構 成 す る 大 文 段 の 連 接 関 係 が 異 な る の で あ る 。 原 文・原 話 の 全 体 的 構 造 を 示 す「 文 章 型 」・「 談 話 型 」の 理 解 が 不 十 分 な 要 約 文 は 、原 文 ・ 原 話 の 中 心 文 と 主 題 文 を 構 成 す る 「 必 須 単 位 」 が 、 要 約 文 に 全 く 残 存 し な い か 、 不 十 分 に し か 残 存 し な い こ と か ら 、 要 約 文 の 文 段 の 連 接 関 係 が 原 文 ・ 原 話 と は 異 な る 連 接 類 型 に な る こ と が 考 え ら れ る 。 ま た 、 原 文 ・ 原 話 の 主 題 文 の 必 須 単 位 の 残 存 が 不 十 分 な た め に 、 要 約 文 の 主 題 文 が 、原 文・原 話 の 主 題 文 と は 異 な る CU か ら 構 成 さ れ る 可 能 性 も あ る 。要 約 文 の 「 表 現 類 型 」 と し て の 文 章 型 と 主 題 文 の 表 現 特 性 を 分 析 す る こ と に よ っ て 、 日 韓 の 要 約 課 題 2 日 本 語 母 語 話 者 と 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 の 要 約 文 に お け る 原 文 ・ 原 話 の 「 中 心 文 」・「 主 題 文 」 の 理 解 の し か た の 違 い が 、 要 約 文 の 文 段 相 互 の 連 接 関 係 や 「 主 題 文 」 の 表 現 特 性 の 違 い を 示 す こ と を 解 明 す る 。

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4 文 J,K に お け る 原 文 ・ 原 話 の 「 文 章 型 」・「 談 話 型 」 の 理 解 の 違 い に つ い て 検 討 す る 。 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 の 3 種 の 要 約 文 に お け る 理 解 と 表 現 の 問 題 の 分 析 結 果 か ら 、 学 習 者 が 原 文 ・ 原 話 の 文 章 型 ・ 談 話 型 を 文 段 と 話 段 の 統 括 関 係 か ら 把 握 し て 、 理 解 し た 内 容 を 要 約 文 の 文 章 型 と し て 表 現 で き る よ う に な る た め の 要 約 作 文 の 授 業 展 開 の 方 法 論 を 提 案 す る 。 一 つ は 、 学 習 者 に 原 文 ・ 原 話 の 文 章 型 ・ 談 話 型 を 「 課 題 - 解 答 」 の 文 段 の 統 括 関 係 と し て 理 解 さ せ 、 原 文 ・ 原 話 の 各 文 段 に お け る 「 課 題 」 と そ の 「 解 答 」 を 示 す 中 心 文 と 主 題 文 を 把 握 さ せ る 活 動 で あ る 。も う 一 つ は 、複 数 の 要 約 文 例 の 文 章 型 を「 接 続 表 現 」「 提 題 表 現 」 「 叙 述 表 現 」 等 の 言 語 形 態 的 指 標 ( マ ー カ ー ) に 基 づ い て 、 学 習 者 自 身 が 要 約 文 の 表 現 を 推 敲 し て い く 活 動 で あ る 。最 後 に 、2 種 の 活 動 に よ る 授 業 展 開 の た め の 方 法 を 提 案 し た い 。 第 2 章 文 章 ・ 談 話 の 要 約 文 に 関 す る 先 行 研 究 第 2 章 で は 、 日 本 語 学 、 日 本 語 教 育 、 そ の 他 の 関 連 分 野 に お け る 日 本 語 の 要 約 文 に 関 す る 先 行 研 究 を 整 理 し て 、 本 研 究 の 研 究 史 的 な 位 置 づ け と 分 析 方 法 に つ い て 検 討 し た 。 日 本 語 学 と 日 本 語 教 育 に お け る 要 約 文 の 先 行 研 究 と し て 、1986年 以 降 、要 約 文 の 共 同 研 究 を 展 開 し て き た 佐 久 間 ま ゆ み 氏 を 代 表 者 と す る 「 文 章 ・ 談 話 研 究 会 」 に よ る 一 連 の 研 究 成 果 が あ る 。佐 久 間 編 著(1989b,1994)、佐 久 間 研 究 代 表 者(1997)、佐 久 間 編 著(2010)、 伊 藤 (1997,1998)、 藤 村 (1998,2000) 等 を 中 心 に 、 研 究 方 法 と 結 果 の 意 義 を 検 討 し た 。 要 約 文 の 分 析 単 位 に つ い て は 、佐 久 間 編 著(1989b,1994)の「 原 文 残 存 認 定 単 位(ZT)」 を 、 佐 久 間 研 究 代 表 者 (1997) で 「 情 報 単 位 (IT)」 と 称 し て 一 部 改 訂 し 、 さ ら に 講 義 受 講 者 の 要 約 文 を 扱 っ た 佐 久 間 編 著(2010)に お い て 、全 16 類 35 種 の「 情 報 伝 達 単 位(CU)」 と し て 改 訂 し て 、 要 約 文 に お け る 原 文 ・ 原 話 の 構 成 要 素 の 残 存 傾 向 の よ り 精 密 な 分 析 が 可 能 に な っ た が 、 本 研 究 で は 「 情 報 伝 達 単 位 (CU)」 に よ り 追 跡 調 査 等 の 結 果 を 再 検 討 す る 。 日 本 語 教 育 の 要 約 文 の 先 行 研 究 と し て 、浜 田(1994)、仙 波(1995)、舘 岡(1996b,1998)、 山 田 (1996)、 茜 (1999)、 高 橋 (2000) 等 を 検 討 し 、 要 約 文 の 表 現 指 導 に 関 す る 言 及 が 見 ら れ な い こ と を 指 摘 し た 。 ま た 、 佐 久 間 (1976,1985,1989c) の 「 要 約 作 文 」 の 授 業 実 践 を 踏 ま え て 、 文 章 の 理 解 と 表 現 の 両 面 に か か わ る 要 約 作 文 の 方 法 論 を 考 え る に は 、 日 本 課 題 3 中 上 級 段 階 の 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 を 対 象 と し て 、原 文・原 話 の「 文 章 型 」・「 談 話 型 」に お け る「 中 心 文 」と「 主 題 文 」の 理 解 を 、要 約 文 の「 表 現 類 型 」の「 文 章 型 」 と し て 表 現 で き る よ う に な る た め の 要 約 作 文 の 授 業 展 開 の 方 法 を 提 案 す る 。

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5 語 の 文 章 ・ 談 話 構 造 の 分 析 観 点 を 導 入 す る こ と が 不 可 欠 で あ る と い う こ と を 再 認 識 し た 。 他 の 分 野 の 要 約 文 研 究 と し て 、心 理 学 の 邑 本(1992,1998)、英 語 教 育 の 高 梨・卯 城(2000)、 門 田・野 呂(2001)、情 報 処 理 分 野 の 奥 村・難 波(2002,2005)等 を 概 観 し た が 、日 本 語 の 言 語 形 態 的 指 標 の 言 及 が 不 十 分 な こ と か ら 、日 本 語 教 育 へ の 適 用 は 難 し い こ と を 確 認 し た 。 第 3 章 本 研 究 の 分 析 方 法 本 研 究 の 分 析 資 料 は 、【 表 3 - 1 】に 示 す よ う に 、3 種 の 原 文 A、S・原 話 A の【 資 料 Ⅰ ~ Ⅲ 】、 3 種 の 原 文 ・ 原 話 に よ る 7 種 の 要 約 文 の 【 資 料 1 ~ 7 】 で あ る 。 【 表 3 - 1 】 本 研 究 の 要 約 文 7 資 料 原文・原話 *【資料1】日本語母語話者の要約文AJ(61例) (1986年、日本、文章・談話研究会) *【資料2】韓国人日本語学習者の要約文AK1(66例) (1988年、韓国、文章・談話研究会)   【資料3】韓国人日本語学習者の要約文AK2(63例) (2002年、韓国、筆者)   【資料4】日本語母語話者の要約文SJ(67例) (2007年~2010年、日本、筆者)   【資料5】韓国人日本語学習者の要約文SK(86例) (2006年~2009年、韓国、筆者) *【資料6】日本語母語話者の要約文AYJ(28例) (2001年、日本、文章・談話研究会)   【資料7】韓国人日本語学習者の要約文AYK(20例) (2008年~2009年、日本、筆者,文章・談話研究会) 要約文の種類 *【資料Ⅰ】 原文A「 日本 人は そんなに駄目か」 要約文 A  【資料Ⅱ】 原文S「 再生 紙- 白さ増し、 ノートや 教科書にも」 要約文 S *【資料Ⅲ】 原話A「講義Aの談 話」 要約文 AY ( 注 1 )「 * 」 は 、 文 章 ・ 談 話 研 究 会 代 表 の 佐 久 間 ま ゆ み 氏 と 共 同 研 究 の 会 員 諸 氏 の 許 可 を 得 て 借 用 し た 資 料 で あ る 。 な お 、【 資 料 Ⅲ 】 と 【 資 料 6 】 は 、 科 学 研 究 費 成 果 報 告 書 ( 西 條 2007) の 資 料 の 一 部 で も あ り 、研 究 代 表 者 西 條 美 紀 氏 と 研 究 分 担 者 で も あ る 佐 久 間 氏 と 会 員 諸 氏 の 許 可 を 得 て 使 用 す る 。【 資 料 7 】 の 一 部 は 、 文 章 ・ 談 話 研 究 会 で 調 査 し た も の を 、 許 可 を 得 て 用 い る 。 ( 注 2 )【 資 料1】 ~ 【 資 料 7】 の 各 欄 下 段 の ( ) 内 に 要 約 調 査 の 実 施 年 度 、 調 査 場 所 、 調 査 者 を 示 す 。 要 約 文 の「 原 文( ・ 原 話 )残 存 認 定 単 位 」に つ い て は 、佐 久 間 編 著(2010)の「 情 報 伝 達 単 位(CU)」を 用 い 、複 数 の 判 定 者 に よ る「 原 文・原 話 残 存 認 定 」の 結 果 を 、要 約 者 総 数 に 対 す る 「 原 文 残 存 率 」1と し て 示 す 方 法 を 用 い る 。 要 約 文 に お け る 原 文 の 各CUの 「 原 文 残 存 率 」 に 統 計 的 検 定( χ2検 定 )2 要 約 文 の「 表 現 類 型 」と し て の「 文 章 型 」は 、前 述 し た 通 り 、佐 久 間 編 著(1989b:222) に よ る 論 説 文 の 6 種 の 「 文 章 型 」((1)「 頭 括 型 」(2)「 尾 括 型 」(3)「 中 括 型 」(4)「 両 括 型 」 を 施 し 、要 約 文 に 有 意 に 多 く 残 存 す る 原 文 の 「 必 須 単 位 」と「 補 助 単 位 」を 求 め 、「 Ⅰ .開 始 部 」「 Ⅱ .展 開 部 」「 Ⅲ .終 了 部 」の 3 大 文 段 に お け る そ の 残 存 の 有 無 の 組 み 合 わ せ に よ り 、要 約 文 の「 理 解 類 型 」を 分 類 す る 方 法 を 適 用 し た 。 1 原 文 ・ 原 話 の CU の 残 存 傾 向 を CU別 に 全 被 調 査 者 数 に 対 す る 百 分 率 で 示 し た も の 。 2 要 約 文 に は 、特 定 の CUが 複 数 回 使 わ れ る こ と か ら 、χ2検 定 を 適 用 す る こ と は 不 可 能 で あ る た め 、 佐 久 間 編 著(1989)以 来 、必 須 単 位 を 決 め る 一 応 の 目 安 と し て 用 い る と い う 断 り が 付 さ れ て い る 。

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6 (5)「 分 括 型 」(6)「 潜(隠)括 型 」) の 分 類 方 法 を 踏 襲 す る 。(1)「 頭 括 型 」 は 「Ⅰ . 開 始 部 」、 (2)「 尾 括 型 」は 「Ⅲ .終 了 部 」、(3)「 中 括 型 」は 「Ⅱ .展 開 部 」、(4)「 両 括 型 」は 「Ⅰ .開 始 部 」と 「Ⅲ . 終 了 部 」、(5)「 分 括 型 」 は 2 つ 以 上 の 大 文 段 に 主 題 文 が 位 置 す る 文 章 構 造 の 類 型 で 、(6)「 潜(隠)括 型 」は 文 章 中 に 主 題 文 が 表 現 さ れ ず に 潜 在 す る 類 型 で あ る 。一 方 、「 談 話 型 」と は 、佐 久 間 編 著(2010:59)に よ る 講 義 の 独 話 の 全 体 的 構 造 の 類 型 で あ る が 、「 文 章 型 」 と 同 様 の 全 6 種 を 本 研 究 で も 用 い る 。 要 約 文 の「 文 段 」は 、佐 久 間(2003:91)の「 意 味 内 容 上 の 相 対 的 な ま と ま り と し て 区 分 さ れ る『 話 題 』を 表 し 、具 体 的 な 伝 達 目 的 を 有 す る 言 語 表 現 の ま と ま り で あ る 。」と い う 定 義 に よ る 。 要 約 文 の 「 文 ・ 文 段 の 連 接 関 係 」 は 、 市 川 (1978:89-93) の 「 文 の 連 接 関 係 の 類 型 」8 種(「 順 接 型 」、「 逆 接 型 」、「 添 加 型 」、「 対 比 型 」、「 同 列 型 」、「 転 換 型 」、「 補 足 型 」、「 連 鎖 型 」)と 永 野(1986)の「 統 括 類 型 」と の 対 応 を さ ら に 発 展 さ せ た 佐 久 間(1989b: 188) の 分 類 8 種 を 導 入 す る 。 要 約 文 の 文 と 文 段 に お け る 原 文 ・ 原 話 の 文 と 文 段 ・ 話 段 の CU の 残 存 状 態 を 、 伊 藤 (1998) の 「 連 合 文 」 の 分 析 観 点 ( a.「 単 独 文 」、 b.「 連 合 文 」、 c.「 単 独 文 段 」、d.「 連 合 文 段 」)か ら 分 析 し 、要 約 文 の 文 と 文 段 の 表 現 類 型 を 考 察 す る 。 第 4 章 論 説 文 の 要 約 文 A に お け る 原 文 A の 「 文 章 型 」 の 理 解 と 表 現 論 説 文 A の 原 話 に よ る 日 韓 の 要 約 文 J,Kの ( 1 ) 「原 文 残 存 率 」、( 2 ) 「要 約 文 の 理 解 類 型 」、( 3 )「要 約 文 の 表 現 類 型 」の 分 析 結 果 に つ い て 、追 跡 調 査 の 一 環 と し て 再 検 討 し た 。 佐 久 間 編 著(1994:196)は 、6 種 の 文 章 型 の 異 な る 原 文 に よ る 要 約 文 を 分 析 し 、「 尾 括 型 」の 原 文 Aの 学 習 者 の 要 約 文 AK1(66 例 )は 、母 語 話 者 の 要 約 文 AJ(61 例 )に 比 べ 、 全 般 に 必 須 単 位 の CU の残 存 数 が 少 な く 、日 本 人 に 最 も 多 い a 型 が な く 、「 尾 括 型 」の 原 文 の「 Ⅲ .終 了 部 」を 欠 く 類 型 が 多 い こ と か ら 、学 習 者 の 読 解 力 と 表 現 力 の 不 足 を 指 摘 し た 。 ( 1 )先 行 研 究 の 要 約 文 AK1 の 追 跡 調 査 と し て 実 施 し た 韓 国 人 学 習 者 の 要 約 文 AK2(63 例 ) の 原 文 残 存 率 の 分 析 結 果 に お い て も 、 要 約 文 AK1 と 同 様 に 、「 原 文 残 存 率 」 が 全 般 に 低 い 傾 向 と 、要 約 文 AJ の「 必 須 単 位 」が 十 分 に 残 存 し て い な い と い う 問 題 が 認 め ら れ た 。 ( 2 ) 要 約 文 A の 「 理 解 類 型 」 は 、 新 た に 「 情 報 伝 達 単 位 (CU)」 に よ る 必 須 単 位 を 設 定 し て 、 要 約 文 AJと AK1、AK2の 理 解 類 型 の 違 い を 比 較 し た 。 母 語 話 者 の 要 約 文 AJ に 最 も 多 い 類 型 が 3 大 文 段 の「 必 須 単 位 」が あ る a 型(34.4% )で あ る の は 変 わ ら な か っ た 。 学 習 者 の 要 約 文 AK1 は 、 佐 久 間 編 著 (1994) で は 5 割 以 上 が 3 大 文 段 の 必 須 単 位 が 「 一

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7 部 不 十 分 」な b 型 で あ っ た が 、佐 久 間 研 究 代 表 者(1997)で 残 存 認 定 が 精 密 化 し 、今 回 は 新 た に CU を 分 析 単 位 と し た た め に 、「 Ⅱ . 展 開 部 」 の な い d型 (36.4% ) が 最 も 多 く 、 次 に 、h型(21.2% )、b 型(18.2% )の 順 と な っ た 。同 様 に 、要 約 文 AK2 も 、d型(42.9% ) が 最 も 多 く 、h 型(25.3% )、b 型(14.3% )の 順 に 多 く な っ て い た 。学 習 者 の 要 約 文 AK1、 AK2で 、原 文 Aの 文 章 型 を 正 確 に 反 映 し て い た の は 、全 66 例 と 63 例 中 、わ ず か AK2 の 2 例 の み だ っ た 。し た が っ て 、追 跡 調 査 の 結 果 に よ り 、韓 国 人 学 習 者 は 、「 尾 括 型 」の 論 説 文 Aの 原 文 の 文 章 型 の 理 解 が 不 十 分 で あ る と い う 傾 向 が 検 証 さ れ た の で あ る 。 ( 3 )要 約 文 Aの「 表 現 類 型 」に つ い て は 、要 約 文 AJと AK2 の 文 章 型 に お け る 2 大 文 段 の 連 接 類 型 の 違 い を 比 較 し た 。 母 語 話 者 の 要 約 文 AJ に お け る 2 大 文 段 の 連 接 類 型 は 、 「 逆 接 型 」 が 44 例 (72.1%) で 最 も 多 く 、「 補 足 型 」 が 7 例 (11.5% )、「 転 換 型 」 と 「 連 鎖 型 」 が と も に 5 例 (8.2% ) の 順 に 多 い 。 一 方 、 学 習 者 の 要 約 文 AK2 は 、「 連 鎖 型 」 が 25 例 (39.7% ) で 最 も 多 く 、「 逆 接 型 」 が 24 例 (38.1% )、「 転 換 型 」 が 8 例 (12.7% )、 「 順 接 型 」が 3 例(4.7% )、「 添 加 型 」が 1 例(1.6% )で あ る 。学 習 者 の 要 約 文 AK2に は 、 「 逆 接 型 」は 少 な く 、「 連 鎖 型 」が 多 い 。原 文 A の「 Ⅲ .終 了 部 」の 主 題 文 ⑨ が 残 存 せ ず 、 原 文 A の 文 章 構 造 の 理 解 が 不 十 分 な 「 表 現 類 型 」 で あ る 。 ま た 、 要 約 文 AJ に は な い 「 順 接 型 」と「 添 加 型 」の 要 約 文 AK2 は 、接 続 詞 の 誤 用 も 目 立 つ 。学 習 者 は 、原 文 Aの「 Ⅲ . 終 了 部 」 の 文 段 構 造 が 理 解 で き ず 、 要 約 文 の 表 現 に も 問 題 の あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 第 5 章 説 明 文 の 要 約 文 S に お け る 原 文 S の 「 文 章 型 」 の 理 解 と 表 現 本 研 究 で 新 た に 着 手 し た 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 の 要 約 文 SK(67 例 ) に お い て 、 説 明 文 S の CU の ( 1 )「 原 文 残 存 率 」 は 、 日 本 語 母 語 話 者 の 要 約 文 SJ(86 例 ) と 類 似 す る 傾 向 を 示 し た が 、( 2 )「 理 解 類 型 」と( 3 )「 表 現 類 型 」に つ い て は 、「 尾 括 型 」の 原 文 S の「 Ⅰ . 開 始 部 」「 Ⅱ-2.展 開 部 」、「 Ⅲ .終 了 部 」の 必 須 単 位 が 十 分 に 残 存 せ ず 、接 続 詞 の 誤 用 や 不 使 用 も あ る こ と か ら 、原 文 S の 文 章 構 造 の 理 解 不 足 と 表 現 の 問 題 が 認 め ら れ た 。第 4章 の 論 説 文 の 要 約 文 AK1、AK2 は 、 原 文 A の 主 題 文 ⑨ の 理 解 不 足 が 問 題 で あ っ た が 、 説 明 文 の 要 約 文 SK は 、 原 文 S の 大 文 段 相 互 の 統 括 関 係 に 関 す る 理 解 力 の 不 足 が 認 め ら れ た 。 ( 1 )「 尾 括 型 」の 説 明 文 の 要 約 文Sの「 原 文 残 存 率 」は 、母 語 話 者 の 要 約 文SJの 高 残 存 率( 残 存 率 64.18% 以 上 )3 3 4章 同 様 、佐 久 間 編 著(1994) 以 来 の 方 法 に 従 い 、原 文 残 存 率 に 対 す る χ2検 定 を 施 し 、 要 約 の 17CUが 原 文Sの 大 文 段 の「 中 心 文 」(「 主 中 心 文 」「 副 中 心 文 」

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8 を 含 む )の「 必 須 単 位 」のCUと 一 致 し て お り 、原 文Sの「 尾 括 型 」の 文 章 型 が 検 証 さ れ た 。 ま た 、学 習 者 の 要 約 文SKも 、高 残 存 率( 残 存 率 48.84% 以 上 )の 26CUが 原 文Sの「 中 心 文 」 のCUと 一 致 し 、「 原 文 残 存 率 」 が 要 約 文SJと 類 似 す る 傾 向 が 認 め ら れ た 。 ( 2 )原 文 S の 3 大 文 段 の「 中 心 文 」の 提 題 表 現 と 叙 述 表 現 を「 必 須 単 位 」と し て 、要 約 文 S の「 理 解 類 型 」を 分 類 し た 。母 語 話 者 の 要 約 文 SJの「 理 解 類 型 」は 全 7 類 36 種 で 、 原 文 S の 3 大 文 段 の 必 須 単 位 が 「 一 部 不 十 分 」 な b 型 (35 例 、52.2% ) が 最 も 多 く 、「 展 開 部 が な い 」d 型 (14 例 、20.9% )、「 終 了 部 が な い 」c 型 (7 例 、10.4% ) の 順 に 多 い 。 一 方 、 学 習 者 の 要 約 文 SK の 理 解 類 型 は 全 6 類 31 種 で 、 原 文 S の 3 大 文 段 の 必 須 単 位 が 「 一 部 不 十 分 」 な b 型 (54 例 、62.8% )、「 展 開 部 が な い 」d 型 と 「 終 了 部 が な い 」c 型 ( と も に 12 例 、14.0% )の 順 に 多 い 。た だ し 、要 約 文 SK の b 型 は 、「 Ⅰ .開 始 部 」「 Ⅱ-2. 展 開 部 」「 Ⅲ .終 了 部 」の い ず れ か が 不 十 分 な 下 位 類 型 が 多 い 。韓 国 人 日 本 語 学 習 者 の 要 約 文 SK は 、説 明 文 S の 原 文 の「 Ⅰ .開 始 部 」の「 課 題 」、お よ び 、「 Ⅱ-2.展 開 部 」「 Ⅲ .終 了 部 」 の 「 解 答 」 の 文 段 の 統 括 関 係 に 関 す る 理 解 力 の 不 足 が 認 め ら れ る 。 ( 3 ) 要 約 文 S の 「 表 現 類 型 」 と し て の 「 文 章 型 」 に つ い て は 、 母 語 話 者 の 要 約 文 SJ と 学 習 者 の SK と も に 、「 尾 括 型 」が 最 も 多 く 、50 例(74.6% )と 59 例(68.6% )で あ る 。 次 に 、要 約 文 SJは「 頭 括 型 」が 13 例(19.4% )で あ る が 、要 約 文 SK は 、「分 括 型 」が 10 例(11.6% )、「頭 括 型 」が 9 例(10.5% )の 順 に 多 い 。た だ し 、要 約 文 SK の「 尾 括 型 」は 、 原 文 S の「 Ⅱ-2.展 開 部 」の 必 須 単 位 の CU が 不 十 分 で 、原 文 S の「 Ⅱ .展 開 部 」と「 Ⅲ . 終 了 部 」の 大 文 段 の 連 接 関 係 が 正 確 に 表 現 さ れ て い な い 。ま た 、要 約 文 SK の 「分 括 型 」は 、 接 続 表 現 の 誤 用 や 不 使 用 が あ る た め 、原 文 S の「 Ⅱ .展 開 部 」と「 Ⅲ .終 了 部 」に お け る 複 数 の 「 解 答 」 の 文 段 の 連 接 関 係 の 誤 り や 曖 昧 な 表 現 が 多 い 。 以 上 の 点 か ら 、 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 は 、 要 約 文 SK の 文 段 構 造 の 表 現 力 に 問 題 が 認 め ら れ る 。 第 6 章 講 義 理 解 の 要 約 文 AY に お け る 原 話 A の 「 談 話 型 」 の 理 解 と 表 現 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 の 講 義 理 解 の 要 約 文 AYK(20 例 )は 、日 本 語 母 語 話 者 の 要 約 文 AYJ (28 例 )に 比 べ て 、講 義 Aの 中 心 文 の CU の( 1 )「 原 話 残 存 率 」が 全 般 に 低 く 、( 2 )「 理 解 類 型 」も 、「 尾 括 型 」の 原 話 A の「 Ⅲ .終 了 部 」の 主 題 文 392 の CU が 残 存 し な い 類 型 が 文 SJに 有 意 に 多 く 残 存 す る と 認 め ら れ た 原 文 S の CUと そ の 残 存 率 を 示 し た も の で あ る 。 要 約 文 SKに も 同 様 の 方 法 を 用 い て い る 。

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9 多 い 。( 3 )「 表 現 類 型 」も 、母 語 話 者 の 要 約 文 AYJ と 異 な り 、主 題 文 392 を 用 い る 類 型 が 少 な く 、「 Ⅱ .展 開 部 」の 2 大 話 段4と5の 統 括 関 係 の 理 解 が 不 十 分 で あ る こ と が わ か っ た 。 佐 久 間 他(2007)、佐 久 間 編 著(2010)に お け る 母 語 話 者 の 要 約 文 AYJ の 分 析 結 果 と 比 較 し て 、 学 習 者 の 要 約 文 AYK の 「 原 話 残 存 率 」、「 理 解 類 型 」、「 表 現 類 型 」 を 分 析 し た 。 ( 1 ) 母 語 話 者 の 要 約 文 AYJ お け る 講 義 Aの CU の 「 原 話 残 存 率 」 に つ い て は 、高 残 存 率( 残 存 率 32.14% 以 上 )の 118単 位 を 原 話 A の 各 話 段 の 中 心 文 の CU が 77.12% を 占 め て お り 、「 超 高 残 存 率 」( 残 存 率 45.00% 以 上 )の 46 単 位 は 、原 話 A の 主 題 文 392 の CU が 12 単 位 で 26.09% 含 ま れ る た め 、 講 義 A の 原 話 が 尾 括 型 の 談 話 型 で あ る こ と が 検 証 さ れ た 。 一 方 、韓 国 人 学 習 者 の 要 約 文 AYK は 、「 高 残 存 率 」( 残 存 率 35.00% 以 上 )の CU が 55 単 位 で 、 母 語 話 者 の 要 約 文 AYJ の 半 数 に も 満 た な か っ た 。 同 様 に 、「 超 高 残 存 率 」( 残 存 率 45.00% 以 上 )の CU も 26 単 位 と 少 な く 、「 Ⅱ .展 開 部 」に 25 単 位 、「 Ⅲ .終 了 部 」に 1 単 位 あ る が 、 原 話 A の 主 題 文 392 の CU が 含 ま れ て い な い こ と か ら 、 韓 国 人 学 習 者 は 、 講 義 Aの 原 話 の 「 尾 括 型 」 の 談 話 型 の 理 解 が 不 十 分 で あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 ( 2 ) 要 約 文 A の 「 理 解 類 型 」 に つ い て は 、 母 語 話 者 の 要 約 文 AYJ は 全 9 類 16 種 で 、 韓 国 人 学 習 者 の 要 約 文 AYK は 全 7 類 17 種 で あ っ た 。 要 約 文 AYK の 理 解 類 型 は 、 要 約 文 AYJよ り も 被 調 査 者 数 が 少 な い に も か か わ ら ず 、多 く の 類 型 に 分 散 し て い る が 、原 話 A の 中 心 文 や 主 題 文 が 正 確 に 把 握 で き ず 、必 須 単 位 以 外 の CU が 残 存 す る こ と に よ る も の で あ る 。 ま た 、学 習 者 の 要 約 文 AYK は 、原 話 A の「 Ⅱ .展 開 部 」の 必 須 単 位 の CU が 不 十 分 な 類 型 や 「 Ⅲ . 終 了 部 」 の 必 須 単 位 の CU を 欠 く 類 型 が 12 例 (60.0% ) も あ る 。 学 習 者 の 要 約 文 AYKに は 、 講 義 A の 原 話 の 大 話 段 相 互 の 統 括 関 係 に 関 す る 理 解 力 の 不 足 が 認 め ら れ る 。 ( 3 )母 語 話 者 の 要 約 文 AYJ の「 表 現 類 型 」は 、「 頭 括 型 」が 13 例(46.4% )で 最 も 多 く 、「 両 括 型 」 が 7 例 (25.0% )、 「尾 括 型 」が 3 例 (10.7% ) の 順 に 多 い 。 一 方 、 学 習 者 の 要 約 文 AYKの 表 現 類 型 は 、「 頭 括 型 」が 11 例(55.0% )で 最 も 多 い が 、「 尾 括 型 」が 6 例 (30.0% )、 「分 括 型 」が 3例 (15.0% ) の 順 で あ る 。 要 約 文 AYJ の 「 頭 括 型 」 が 原 話 A の 「 Ⅲ . 終 了 部 」 の 大 話 段 6 を 再 構 成 し た も の で あ る の に 対 し 、 要 約 文 AYK の 「 頭 括 型 」 は 、原 話 Aの「 Ⅲ .終 了 部 」の 必 須 単 位 の CU を 欠 き 、「 Ⅱ .展 開 部 」の 話 段 構 造 の 把 握 を 誤 っ た 結 果 、「 Ⅱ . 展 開 部 」の 話 段 4.1の 「 総 論 」を 要 約 文 AYK の「 中 心 文 段 」 と し て 表 現 し た も の と な っ て い る 。以 上 の 点 か ら 、韓 国 人 日 本 語 学 習 者 の 要 約 文 AYK は 、「 尾 括 型 」 の 講 義 Aの 談 話 型 を 正 確 に 理 解 で き て い な い と い う こ と が 明 ら か に な っ た 。

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10 第 7 章 日 本 語 教 育 に お け る 要 約 作 文 の 方 法 と 可 能 性 中 上 級 段 階 の 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 に 対 す る 要 約 作 文 の 授 業 展 開 の た め の 試 案 と し て 、 原 文 ・ 原 話 の 「 文 章 型 」・「 談 話 型 」 の 理 解 力 と 要 約 文 の 「 文 章 型 」 と 「 文 段 」 の 表 現 力 を 高 め る 学 習 活 動 に つ い て 提 案 す る 。 佐 久 間 編 (2003,2004) の 「 要 約 作 文 」 の 教 材 と そ の 指 導 過 程 を 応 用 し 、 授 業 に お け る 学 習 活 動 の 展 開 1 ~ 8 に 、 筆 者 の 考 案 し た 要 約 作 文 の 実 践 方 法 (「 * 」 の つ い た 5-1~5-7、8-1~8-7、9) を 加 え た も の を 以 下 に 示 す 。 【 本 研 究 に お け る 要 約 作 文 の 手 順 】 1 . 教 師 が 教 材 の 文 章 ( 原 文 ) を 音 読 す る 。 2 .学 習 者 は 各 自 辞 書 を 引 き な が ら 原 文 を 読 ん で 、わ か っ た 内 容 を 1 回 目 の 要 約 シ ー ト に 書 く 。教 師 は 評 価 と 添 削 を し て 返 す 。 3 . ク ラ ス 全 体 で 学 習 者 が 原 文 を 1 文 ず つ 音 読 し 、「 漢 字 ・ 語 句 」 の リ ス ト に 従 っ て 、 語 句 や 文 の 意 味 を 把 握 し た 後 、 教 材 の 「 内 容 確 認 の 質 問 」 の 答 え 合 わ せ を す る 。 4 . 教 師 の 「 内 容 理 解 の 質 問 」 に 答 え 、 各 文 段 の 要 点 と 文 章 全 体 の テ ー マ を 確 認 す る 。 5 .原 文 を「 は じ め 」「 な か 」「 お わ り 」の 3 大 文 段 に 区 切 り 、接 続 表 現 、提 題 表 現 、文 末 表 現 、指 示 表 現 な ど の 言 語 形 式 に 注 目 し て 、 中 心 文 と 主 題 文 を 把 握 す る 。 原 文 の 「 文 章 型 」 を 考 え る 。 *5-1.ワ ー ク シ ー ト の 項 目 に 従 い 、原 文 を「 は じ め 」「 な か 」「 お わ り 」の 3 大 文 段 に 分 け 、文 番 号 を 記 入 す る 。 *5-2. 3 大 文 段 の 「 課 題 」 を 疑 問 文 の 形 で 書 く 。 *5-3. 3 大 文 段 の 「 解 答 」 を 示 す 「 中 心 文 」 を 書 く 。 *5-4.接 続 表 現 を 指 標 と し て 、3 大 文 段 の「 中 心 文 」と 中 心 文 と 強 い 統 括 関 係 で 結 ば れ て い る「 副 中 心 文 」 を 見 つ け て 書 く 。 *5-5. 原 文 の 文 章 全 体 の 「 課 題 」 を 疑 問 文 の 形 で 書 く 。 *5-6. 原 文 の 文 章 全 体 の 「 解 答 」 を 示 す 「 主 題 文 」 を 書 く 。 *5-7. ワ ー ク シ ー ト に 記 入 し た 各 自 の 文 を 、 ク ラ ス 全 体 で 確 認 す る 。 6 . 各 自 教 師 が 返 し た 1 回 目 の 要 約 文 の 評 価 と 添 削 を 見 て 、 要 約 文 に 書 く べ き 内 容 を 検 討 す る 。 7 . 2 回 目 の 要 約 文 を 書 く 。 教 師 は 評 価 と 添 削 を し て 返 す 。 8 . 教 師 が 、 日 本 語 母 語 話 者 の 要 約 文 の 複 数 例 ( 評 価 の 異 な る 3 ~ 4 例 ) を 示 し て 、 学 習 者 に 評 価 さ せ 、 学 習 者 が 各 自 の 2 回 目 の 要 約 文 と の 違 い を 確 認 す る 。 *8-1. 要 約 文 の 表 現 類 型 と し て の 文 章 型 が 異 な る 複 数 の 要 約 文 例 に つ い て 、 原 文 の 「 は じ め 」「 な か 」 「 お わ り 」 の 3 大 文 段 の 「 課 題 」 に 対 す る 「 解 答 」 を 示 す 「 中 心 文 」 が 、 要 約 文 例 に 書 か れ て い る か ど う か を 確 認 す る 。 *8-2. 原 文 の 3 大 文 段 の 「 中 心 文 」 と 「 中 心 文 」 の 統 括 関 係 を 示 す 接 続 表 現 、 提 題 表 現 、 叙 述 表 現 が 、 要 約 文 例 に 適 切 に 表 現 さ れ て い る か ど う か を 確 認 す る 。 *8-3. 原 文 の 3 大 文 段 の 「 中 心 文 」 を 補 強 す る 「 副 中 心 文 」 が 、 要 約 文 例 に 書 か れ て い る か ど う か を 確 認 す る 。 *8-4. 原 文 の 3 大 文 段 の 「 中 心 文 」 と 「 副 中 心 文 」 の 統 括 関 係 を 示 す 接 続 表 現 、 提 題 表 現 、 叙 述 表 現 が 、 要 約 文 例 に 適 切 に 表 現 さ れ て い る か ど う か を 確 認 す る 。 *8-5. 原 文 の 文 章 全 体 の 「 課 題 」 に 対 す る 「 解 答 」 を 示 す 「 主 題 文 」 が 要 約 文 例 に 書 か れ て い る か ど う か を 確 認 す る 。 *8-6. 原 文 の 「 主 題 文 」 の 接 続 表 現 、 提 題 表 現 、 叙 述 表 現 が 、 要 約 文 例 に 適 切 に 表 現 さ れ て い る か ど う か を 確 認 す る 。 *8-7. 以 上 の 8-1か ら 8-6に 従 い 、 各 自 の 要 約 文 の 表 現 を 見 直 し て 、 直 す べ き 点 を 確 認 す る 。 * 9 . 3 回 目 の 要 約 文 を 書 く 。 教 師 が 評 価 と 添 削 を し て 返 す 。

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11 筆 者 の 加 え た「 *5-1~ *5-7」は 原 文・原 話 の 文 章 型・談 話 型 を 把 握 す る 活 動 で あ り 、 「 *8-1~ *8-7」は 、要 約 文 の「 表 現 類 型 」と し て の 文 章 型 が 原 文・原 話 の「 文 章 型 」・ 「 談 話 型 」 に 基 づ く も の で あ る か ど う か を 学 習 者 自 身 が 検 討 す る た め の 活 動 で あ る 。 本 研 究 の 要 約 作 文 の 授 業 の 最 終 段 階 と し て 、「 * 9 . 3 回 目 の 要 約 文 を 書 く 」 活 動 を 加 え た が 、 こ れ は 、 要 約 作 文 の 授 業 の 展 開 過 程 全 体 を 通 し て 、 学 習 者 自 身 が 文 章 ・ 談 話 の 内 容 と 構 造 に 対 す る 理 解 を 深 め つ つ 、 各 自 の 理 解 し た 内 容 を よ り 正 確 に 表 現 す る た め の 自 律 的 な 学 習 を 可 能 に す る こ と を 目 指 し て い る た め で あ る 。 論 説 文 、説 明 文 、講 義 の 談 話 と い う 3 種 の 異 な る ジ ャ ン ル の 要 約 文 例 の 文 章 型 に つ い て 、 ま ず 、 学 習 者 が 原 文 ・ 原 話 の 文 章 ・ 談 話 構 造 を 「 課 題 - 解 答 」 の 文 段 ・ 話 段 の 統 括 関 係 と し て 理 解 し 、 次 に 、 各 種 の 言 語 形 態 的 指 標 を 手 が か り に し て 検 討 す る 活 動 を 通 し て 、 学 習 者 自 身 が 各 自 の 要 約 文 を 評 価 し 、要 約 文 の 構 造 と 表 現 の 誤 り を 推 敲 し て い く こ と を 目 指 す 、 要 約 作 文 の 授 業 展 開 の 方 法 に つ い て 提 案 し た 。 第 8 章 本 研 究 の 結 論 と 今 後 の 課 題 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 に よ る ジ ャ ン ル の 異 な る 3 種 の 要 約 文 は 、 日 本 語 母 語 話 者 に 比 べ 、 原 文・原 話 の 3 大 文 段 の 中 心 文 の 必 須 単 位 の CU が 十 分 に 残 存 し な い も の が 多 く 、主 と し て 、 原 文 ・ 原 話 の 「 文 章 型 」・「 談 話 型 」 の 構 造 の 理 解 力 に 問 題 の あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 ( 1 )論 説 文 A の 要 約 文 AK1 と AK2 は 、原 文 Aの「 Ⅲ .終 了 部 」の 主 題 文 ⑨ が 残 存 し な い「 理 解 類 型 」が 、要 約 文 AJ の 6例(9.8% )に 比 べ 、33 例(50.0% )と 34 例(54.0% ) で 、 約 半 数 以 上 を 占 め る 。 ( 2 ) 説 明 文 S の 要 約 文 SK は 、 原 文 S の 「 Ⅱ -2. 展 開 部 」 の 中 心 文 ⑭ が 残 存 し な い 「 理 解 類 型 」が 52 例(60.4% )あ り 、要 約 文 SJの 32 例(47.7% )よ り も や や 多 い 。 ( 3 )講 義 Aの 学 習 者 の 要 約 文 AYKは 、原 話 Aの「 Ⅲ .終 了 部 」の 主 題 文 392が 残 存 し な い「 理 解 類 型 」が 、母 語 話 者 の 要 約 文 AYJの 6 例(21.4% )に 比 べ て か な り 多 く 、 10例 (50.0% ) で 半 数 を 占 め る 。 ( 1 ) と ( 3 ) は 、 原 文 ・ 原 話 の 尾 括 型 の 「 文 章 型 」・「 談 話 型 」 の 構 造 、( 2 ) は 、 尾 括 型 の 原 文 の 文 章 型 の 根 拠 づ け の 文 段 構 造 の 理 解 力 不 足 が 一 因 で は な い か と 考 え ら れ る 。 結 論 1 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 の 要 約 文 は 、 日 本 語 母 語 話 者 の 要 約 文 と は 異 な り 、 原 文 ・ 原 話 の「 中 心 文 」・「 主 題 文 」の「 情 報 伝 達 単 位(CU)」が 残 存 し な い か 、不 十 分 で あ る 。

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12 韓 国 人 学 習 者 に よ る 異 な る ジ ャ ン ル の 3 種 の 要 約 文 に は 、 接 続 詞 の 誤 用 や 不 使 用 に よ る 文 章 型 の 判 定 が 困 難 な も の や 「 分 括 型 」 の 要 約 文 な ど も あ っ た 。 学 習 者 の 要 約 文 の 「 文 章 型 」 に は 、 以 下 に 示 す よ う な 、「 文 段 の 連 接 関 係 」 と 「 主 題 文 」 の 表 現 力 に 問 題 が あ る 。 ( 1 ) 論 説 文 の 要 約 文 AK2 の 「 表 現 類 型 」 は 、 2 大 文 段 の 連 接 関 係 が 「 連 鎖 型 」 が 25 例(39.7% )と「 逆 接 型 」の 尾 括 型 が 24 例(38.1% )で 、要 約 文 AJの 5 例(8.2% ) と 44 例(72.1% )に 比 べ 、原 文 と 同 じ「 逆 接 型 」が 少 な く 、「 連 鎖 型 」が か な り 多 い 。 ( 2 ) 説 明 文 S の 要 約 文 SK の 「 表 現 類 型 」 は 、 尾 括 型 が 59 例 (68.6% ) で 最 も 多 い が 、要 約 文 SJの 50 例(74.6% )よ り も 少 な い 。要 約 文 SK は 、要 約 文 SJに 1 例(1.5% ) し か な い 、 2 大 文 段 の 連 接 関 係 が 「 添 加 型 」 の 分 括 型 が 10 例 (11.6% ) あ る 。 ( 3 ) 講 義 A の 学 習 者 の 要 約 文 AYK の 「 表 現 類 型 」 は 、「 頭 括 型 」 が 11 例 (55.0% ) で 最 も 多 い が 、 そ の 主 題 文 は 、 原 話 A の 「 Ⅲ . 終 了 部 」 の 主 題 文 の CU が 残 存 し な い も の が 6 例 (30.0% ) あ り 、 要 約 文 AYJの 「 頭 括 型 」(13例 、46.4% ) と は 異 な る 。 ( 1 ) は 、 原 文 A の 「 Ⅲ . 終 了 部 」 の 主 題 文 ⑨ が 理 解 で き な い も の で あ る 。( 2 ) は 、 原 文 S の「 Ⅱ . 展 開 部 」 と「 Ⅲ . 終 了 部 」 の「 解 答 説 明 」 の 文 段 の 統 括 関 係 の 理 解 が 不 十 分 で 、「 解 答 」の 中 心 文 の 取 捨 選 択 が 不 適 切 な も の で あ る 。( 3 )は 、原 文 A の「 Ⅱ .展 開 部 」の 2 大 話 段 4,5 を 対 比 す る 大 話 段 の 構 造 に 関 す る 理 解 が 不 十 分 な も の で あ る 。要 約 文 AYKの 「 表 現 類 型 」 の 問 題 は 、 要 約 文 の 「 理 解 類 型 」 の 欠 陥 に よ る も の と 考 え ら れ る 。 論 説 文 A、 説 明 文 S、 講 義 Aの 談 話 と い う ジ ャ ン ル の 異 な る 3 種 の 要 約 文 の 分 析 に よ り 明 ら か に な っ た 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 の「 文 章 型 」・「 談 話 型 」の 理 解 不 足 を 解 決 す る た め に 、 原 文 ・ 原 話 の 「 中 心 文 」 と 「 主 題 文 」 を 把 握 す る 「 要 約 作 文 」 の 授 業 の 方 法 を 提 案 す る 。 ( 1 )「 原 文 ・ 原 話 の 文 章 型 ・ 談 話 型 の 理 解 」 の 活 動 で は 、 学 習 者 が 原 文 ・ 原 話 の 文 章 型 ・ 談 話 型 を 「 課 題 - 解 答 」 の 文 段 ・ 話 段 の 統 括 関 係 か ら 把 握 す る 活 動 と し て 、 原 文 ・ 原 話 の 大 文 段 ・ 大 話 段 の 「 課 題 文 」 に 対 す る 「 中 心 文 」 と 「 主 題 文 」 を 見 つ け る 。 ( 2 )「 要 約 文 の 表 現 類 型 と し て の 文 章 型 の 検 討 」 の 活 動 で は 、 複 数 の 要 約 文 例 を 読 み 結 論 3 韓 国 人 中 上 級 日 本 語 学 習 者 の 要 約 作 文 は 、 原 文 ・ 原 話 の 「 文 章 型 」・「 談 話 型 」 に 基 づ く 要 約 文 の 理 解 類 型 と 表 現 類 型 を 学 ぶ 要 約 作 文 の 方 法 が 必 要 で あ る 。 結 論 2 原 文 ・ 原 話 の 「 文 章 型 」・「 談 話 型 」 の 理 解 が 不 十 分 な 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 の 要 約 文 は 、 要 約 文 の 「 文 章 型 」、「 文 段 の 連 接 関 係 」、「 主 題 文 」 に 、 原 文 ・ 原 話 と は 異 な る 表 現 類 型 が 表 れ る 。

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13 比 べ 、 原 文 ・ 原 話 の 「 中 心 文 」 と 「 主 題 文 」 を 見 つ け る 。 原 文 ・ 原 話 の 文 章 型 ・ 談 話 型 に 基 づ く 理 解 と 表 現 と い う 明 確 な 基 準 を 示 し て 、 学 習 者 自 身 が 各 自 の 要 約 文 を 評 価 し 、 要 約 文 の 構 造 と 表 現 の 誤 り を 推 敲 し て い く こ と が 可 能 に な る た め の 要 約 作 文 の 方 法 を 提 案 し た 。 本 研 究 で は 、 論 説 文 、 説 明 文 、 講 義 の 談 話 と い う 3 種 の ジ ャ ン ル の 異 な る 「 尾 括 型 」 の 文 章・談 話 に つ い て 、韓 国 人 日 本 語 学 習 者 と 日 本 語 母 語 話 者 の 要 約 文 調 査 の 結 果 に 基 づ き 、 先 行 研 究 の 追 跡 調 査 も 含 め 、 各 要 約 文 に お け る 理 解 類 型 と 表 現 類 型 の 異 同 を 実 証 的 に 解 明 し た 。 6 種 の 文 章 型 ・ 談 話 型 の 中 か ら 、 特 に 「 尾 括 型 」 の 原 文 ・ 原 話 の 要 約 文 を 研 究 対 象 と し た こ と で 、韓 国 人 学 習 者 は 、「 尾 括 型 」の 3 種 の ジ ャ ン ル の 原 文・原 話 の 大 文 段・大 話 段 相 互 の 連 接 関 係 の 構 造 の 理 解 力 に 問 題 が あ る こ と が 明 ら か に な り 、 韓 国 人 学 習 者 の 読 解 指 導 や 作 文 指 導 に お け る 課 題 を 設 定 す る 上 で 、有 効 な 結 果 が 得 ら れ た の で は な い か と 思 う 。 ま た 、 先 行 研 究 の 方 法 論 を 導 入 し て 、 要 約 文 の 理 解 類 型 と 表 現 類 型 と し て の 「 文 章 型 」 を 分 析 し た こ と は 、 日 本 語 学 で も 、 日 本 語 教 育 学 に も 意 義 が 大 き い 。 要 約 文 の 「 中 心 文 」 「 文 段 」「 主 題 文 」 と い う 分 析 観 点 か ら 、「 接 続 表 現 」「 提 題 表 現 」「 叙 述 表 現 」 な ど の 文 章 型 ・ 談 話 型 の 言 語 形 態 的 指 標 を 学 習 項 目 と し て 提 示 す る こ と が で き た 。 た だ し 、 要 約 文 の 表 現 類 型 の 分 類 原 理 や 評 価 基 準 に 関 し て は 、な お 、今 後 の 課 題 と し て 残 さ れ た 課 題 も 多 く 、 さ ら に 要 約 文 調 査 を 継 続 す る こ と で 、 要 約 文 の 類 型 分 類 の 精 度 を 高 め て い く 必 要 が あ る 。 韓 国 人 日 本 語 学 習 者 の 要 約 文 に お け る 原 文 ・ 原 話 の 理 解 と 表 現 の 両 面 に わ た る 問 題 に つ い て 、 調 査 結 果 の 記 述 に 留 ま ら ず 、 要 約 作 文 の 具 体 的 な 授 業 展 開 の 方 法 を 提 案 で き た こ と が 、 日 本 語 教 育 学 の 論 文 と し て の 価 値 を 有 す る も の と 思 わ れ る 。 今 後 、 韓 国 の 日 本 語 教 育 に お け る 要 約 作 文 の 可 能 性 に つ い て 、 日 々 の 教 育 実 践 を 重 ね つ つ 、 文 章 ・ 談 話 の 理 解 と 表 現 に 関 す る 考 察 を 一 層 深 め て い き た い と 心 し て い る 。 【 主 要 参 考 文 献 】 佐 久 間 ま ゆ み 編 著 (1989b)『 文 章 構 造 と 要 約 文 の 諸 相 』 く ろ し お 出 版 編 著 (1994)『 要 約 文 の 表 現 類 型 - 日 本 語 教 育 と 国 語 教 育 の た め に - 』 ひ つ じ 書 房 研 究 代 表 者 (1997)『 要 約 文 の 表 現 類 型 と 評 価 方 法 - 外 国 人 学 習 者 と 日 本 人 大 学 生 の 比 較 - 』 平 成 6~ 平 成 8 年 度 科 学 研 究 費 補 助 金 研 究 成 果 報 告 書 編 著 (2010)『 講 義 の 談 話 の 表 現 と 理 解 』 く ろ し お 出 版 朴 恵煐(2008)「 要 約 文 に お け る 講 義 の『 話 段 』の パ ラ フ レ ー ズ 」『 表 現 研 究 』88,pp.53-63, 表 現 学 会 (2009)「 尾 括 型 論 説 文 の 要 約 文 に お け る『 文 段 』の 連 接 関 係 」『 早 稲 田 日 本 語 研 究 』 18,pp.48-59, 早 稲 田 大 学 日 本 語 学 会 藤 村 知 子・ 朴 恵 煐(2010)「 第 11 章 講 義 要 約 の 理 解 と 表 現 」佐 久 間 編 著『 講 義 の 談 話 の 表 現 と 理 解 』pp.206-240, く ろ し お 出 版

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