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Nihon to Amerika no kyōyōkyōiku no hikakukousatsu : Komyunikēshon kyōiku no kanten kara

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(1)

日本とアメリカの教養教育の比較考察 −コミュニ

ケーション教育の観点から−

著者

奥田 博子

雑誌名

JAPANESE STUDIES AROUND THE WORLD 2007

14

ページ

175-193

発行年

2008-02-01

その他のタイトル

Nihon to Amerika no kyoyokyoiku no

hikakukousatsu: Komyunikeshon kyoiku no kanten

kara

(2)

わ た る)専 門(い わ ゆ る 後 期)課 程 か ら な る 新 制 大 学 が 設 置 さ れ ま し た 。 そ し て1980年 代 に 入 る と 、 多 く の 大 学 が 、 教 育 改 革 の 流 れ の 一 環 の 中 で 専 門 教 育 の 拡 充 を 図 る た め に 、 教 養 教 育 を 解 体 す る 方 向 へ と 方 針 転 換 を 行 い ま した3。 こ の 方 針 転 換 は 、 戦 前 戦 後 を 通 し て 大 学 キ ャ ン パ ス の 規 範 文 化 を創 出 し 、 社 会 人 の 常 識 、 ひ い て は 日本 社 会 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 前 提 と し て 機 能 し て き た 読 書 文 化 を 基 盤 と し た 高 等 教 育 を 本 質 的 に 変 質 させ る こ と に な りま す 。 一 方 ア メ リ カ で は、1960年 代 以 降 、 高 校 お よ び 大 学 教 育 の 重 点 が 論 理 的 に も の ご と を 把 握 し 、 表 現 す る 力 を 育 成 す る こ と に 置 か れ る よ う に な りま し た 。 こ の 自 分 で 考 え た こ と を 話 し た り書 い た りす る 力 、 他 者 が 表 現 し た こ と を 的 確 に 読 み 取 り、 聴 き 取 る 力 は 、 移 民 国 家 ア メ リ カ で 生 き て ゆ く た め に 必 要 不 可 欠 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 とい え ま す 。 な ぜ な ら コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を す る 上 で 自 分 が 考 え て い る こ と を き ち ん と相 手 に 伝 え る た め に は 、 も の ご と を 順 序 だ て て 話 し 、 説 得 す る社 会 的 な 基 準(socialno㎜s)を 身 に つ け て い る こ と が 求 め られ る か ら で す4。 ア メ リ カ の 大 学 で は 、4年 間 の 教 養 教 育 を 通 して 、 「ク リ テ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ 」(criticalthinking)と い う 「意 識 的 に 観 察 や 分 析 、 推 論 を し、 一 定 の 標 準 に 照 ら し て 評 価 す る 」 思 考 、 か つ 、 表 現 方 法 の 技(わ ざ)を 身 に っ け る こ と が 奨 励 され ま す5。 こ の よ うに 、 日本 と ア メ リカ の 大 学 に お け る 一 般 教 養(liberalarts) の あ り方 は か な り違 い ま す6。 こ の 相 違 を 念 頭 に お い て 、 ま ず は 日本 に お け る 教 育 パ ラ ダ イ ム(考 え 方 の 枠 組 み)の 転 換 に つ い て 、 次 に ア メ 3日 本 で は 一 般 に 、 専 門 教 育 が 上 位 、 教 養 教 育 は 下 位 の 学 問 と捉 え ら れ て い ま す 。

4Habe㎜as,J.(1996).Bθ 鰡 θηEo傭 α綴 愉 澀3'Coη ∫伽 がoη5'o'乃 θDなco〃 駕3θ

7乃εoりノ(ゾ加woη4Dα ηoc厂α(ッ.Cambridge,MA:MITPress.

5鈴 木 健(2003)「 ク リ テ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ 」 小 池 生 夫 編 『応 用 言 語 学 事 典 』 東 京:研 究 社 、pp.424-425を 参 照 の こ と。 後 に3.3「 教 養 の 起 源 」 で 述 べ る よ う に 、 西 欧 社 会 で は 社 会 を 生 き 抜 い て ゆ く た め に 必 要 な 基 本 的 知 識(エ ピ ス テ ー メ ー)と 基 本 的 技(テ ク ネ ー)と い う視 点 か ら 教 養 の 重 要 性 が 論 じ ら れ て き ま した 。 6一 般 教 養 は 自 由 学 芸 と も い わ れ 、13世 紀 に ま で 歴 史 を 遡 る と文 法 、 修 辞 学 、 論 理 学 の3学 と 算 術 、 幾 何 、 天 文 学 、 そ し て 音 楽 の4科 か ら 成 り立 っ て い ま し た 。1991年 の 制 度 改 革 で 教 養 学 部 が 解 体 さ れ る ま で の 日本 の 新 制 大 学 に は 、 当 時 ア メ リカ に お い て 現 代 的 な 一 般 教 養 と さ れ た 人 文 科 学 、 自 然 科 学 、 社 会 科 学 の3分 野 とい う基 本 構 想 が 導 入 さ れ て い ま し た 。

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日本 とア メ リカ の教 養 教 育 の 比 較考 察 177 リカ にお け る教 育 パ ラ ダイ ム の転 換 に つ い て 考 察 して い きま す 。 2.日 本 にお け る教 育 パ ラ ダイ ム の 転 換 日本 は、 現 在 、 敗 戦 後 の 高等 教 育 の 拡 大 と とも に 普 及 して き た 大 衆 的教 養 主 義 の崩 壊 に 直 面 して い ます 。 戦 前 戦 後 を結 ぶ 日本 社 会 に お け る 教養 主 義 の 大 衆 化 が ク ラ イ マ ッ クス に達 す る の は 、 大 学 の授 業 にお い て 私 語 が 出 現 し始 めた1970年 ご ろ と考 え られ ます 。 そ の後 、 大 学 教 育 に お け る教 養 課 程 が 解 体 され て 専 門課 程 の 充 実 が 図 られ て い くの と 同 時 に、 そ れ ま で 大 学 キ ャ ン パ ス の 規 範 文 化 を支 えて き た人 文 科 学 系 の読 書 文 化 が 見 る影 もな くな りつ つ あ りま す 。 2.1大 正 教 養 主 義 、 マ ル ク ス 主 義 、 そ し て 昭 和 教 養 主 義 大 正 時 代 の 旧 制 高 校 を 発 祥 の 地 と し て1970年 ご ろ ま で の 大 学 は 、 読 書 を 通 し て 教 養 を 身 に つ け 、 人 格 陶 冶 や 社 会 改 良 を 志 す 時 流 が 学 生 を 魅 了 し て い ま し た 。 つ ま り 、 教 養 知 が 大 学 と い うエ リ ー ト学 生 文 化 の 中 で 差 異 を 優 劣 に 変 え る 一 つ の 文 化 的 装 置 と し て 機 能 し て い た とい え ま す 。 そ れ は ま た 、 日本 社 会 で の 「知 識 人 」 と い う社 会 的 地 位 や そ の 言 説 が 権 威 を 獲 得 す る 一 つ の 手 段 で あ っ た と も い え ま す 。 こ こ で は 、 戦 後 日本 社 会 の 近 代 化 の 歩 み を 背 景 に し て 、 大 学 キ ャ ン パ ス の 規 範 文 化 を 創 り出 し て き た 教 養 お よ び 教 養 主 義 に つ い て 検 討 し て み ま す 。 ま ず 、 戦 前 の 大 正 教 養 主 義 と は 主 に 哲 学 、 歴 史 、 文 学 と い っ た 人 文 科 学 の 読 書 を 中 心 に 据 え 、 精 神 的 自 己 形 成 と そ の 発 展 を 目 指 す も の で し た 。 し か し、 大 正 末 期 か ら昭 和 初 期 に な る と 教 養 主 義 と は マ ル ク ス 主 義 の 実 践 に 他 な ら な い よ う に な り ま す 。 一 体 、 教 養 主 義 の 中 の 何 が マ ル ク ス 主 義 と い う左 翼 思 想 を 顕 在 化 さ せ る 文 化 的 条 件 と して 働 い た の で し ょ うか 。 そ れ は 、 文 明 開 化 以 来 、 日本 の 知 識 人 が 西 洋 か ら の 輸 入 学 問 を 崇 拝 して き た こ と と深 く 関 わ っ て い ま す 。 日本 の 教 養 と は 、 当 時 、 日本 で は な く 西 欧 の 哲 学 や 文 学 、 歴 史 な ど の 文 化 を 学 ぶ と い う こ と を 意 味 し て い ま し た7。 そ こ に 新 し い 学 問 と して マ ル ク ス 主 義 が 導 入 され る と 、 71881(明 治14)年 、 明 治14年 の 政 変 と呼 ばれ る政 変 が起 こ り、西 欧 標 準 で あ る議 会(つ ま り国 会)設 置 を10年 後 とす る詔勅 が発 布 され ま した。 この とき 、 書 き こ とば の 中心 で あ っ た漢 文 ・漢 文 訓読 体 あ るい は 和語 の 文 体 を 固守 し よ う とす る動 きが 活 発 化 して い ま した 。 この 西 欧化 に 対 す る反 動 は 、 それ ま で 日本 の 教養 が 儒 教 ・朱 子 学 を基 盤 と して い た こ と を示 唆 して い ま す 。 この後 、 「西 欧 化 」 と 「国 粋 化 」 と の 間 を揺 れ 動 く 中で 西 欧化 は 「啓 蒙 」 に、 国粋 化 は 厂教

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従 来 の教 養 主 義 は観 念 的 で あ り、 ブ ル ジ ョア 的 で あ り、 しか も プ ロ レ タ リア 革 命 の 敵 対 的 分 子 で あ る とみ な され る よ うに な りま した 。 ま た 、 マ ル ク ス 主 義 は ドイ ツ の哲 学 だ け で は な く フ ラ ンス の 政 治 思 想 、 イ ギ リス の 経 済 学 と密 接 に結 び つ い た社 会 科 学 で あ り、 か つ 、 合 理 主 義 と実 証 主 義 を止 揚 した 最 新 科 学 で あ る と考 え られ て い ま した 。 っ ま り、 従 来 の 教 養 主 義 は 旧い 教 養 知 で あ り、 マ ル ク ス 主 義 こそ が 新 しい 教 養 知 で あ る と定 義 づ け る こ とが 可 能 で した 。 そ して さ ら に、 マ ル ク ス 主 義 に個 性 の発 展 と人 間 的 成 長 へ の 可 能 性 を 見 出 した 知 的 青 年 が 教 養 主 義 か らマ ル ク ス 主 義 へ と転 じて い っ た こ とは 、 教 養 知 の空 間 に お け るマ ル ク ス 主義 の 象 徴 的 な 価 値 の 上昇 を 引 き起 こ しま した 。 この こ とか ら、 読 書 人 的 教 養 主 義 が 学 生 の左 傾 化 の動 機 そ の もの で あ っ た と も指 摘 す る こ とが で きま す8。 しか しな が ら、 昭 和 初 期 に あ た る1930年 代 に な る とマ ル ク ス 主 義 に 対 す る当 局 の 弾圧 の 激 し さが 増 し、 エ リー ト学 生 文 化 か らマ ル ク ス 主 義 が ほ ぼ 完 全 に排 除 され る よ うに な りま した。 この 結 果 、 二 つ の 教養 主 義 が 教養 主 義 空 間 の空 白 を埋 め るか た ち で生 ま れ ま した 。 一 つ は 、 か つ て の 精 神 形 成 に 回帰 した 教 養 主 義 の 再 生 です 。 人 格 的 な発 展 や 陶 冶 を 目指 した 大 正 教 養 主 義 に対 して 、 マ ル ク ス 主 義 の影 響 を受 け た 昭 和 教 養 主 義 は社 会 で の実 践 を 目指 す 傾 向 を 強 め ま した。 そ の反 動 が 起 き た とい え るで し ょ う。 も う一 つ は 、 新 た に 台頭 して き た 日本 主 義 的 教 養 主 義 です 。 近 代 日本 の 急 速 な 西 欧 化 に対 す る反 動 と して生 じた 国 粋 主義 の 勃 興 と と も に 、 西 欧 の教 養 の 代 わ りに 日本 的教 養 と して 科 学 的 根 拠 の な い 精神 的 な議 論 で あ る 日本 精 神 論 や 日本 文 化 主 義 を 主 唱 し ま した9。 2.2敗 戦 後 か ら1970年 代 まで の 大 学 キ ャン パ ス の規 範 文 化 前 述 した よ うに 、文 明 開 化 に始 ま る 日本 の教 養 主 義 は 西 欧 文 化 志 向 化 」 に結 び つ け られ て い きま した 。 立 花 隆(2005)『 天 皇 と東 大:大 日本 帝 国 の生 と死 上 ・下 』(東 京:文 藝 春 秋)を 参 照 の こ と。 8竹 内洋(2003)『 教 養 主 義 の没 落:変 わ りゆ くエ リー ト学 生 文 化 』 東 京:中 央 公 論 新 社 、pp.28-59。 9明 治維 新 期 に 高 等 教 育 を輸 入 学 問 の 上 に築 く際 、 国学 派 、漢 学 派 、洋 学 派 の間 で激 しい ヘ ゲモ ニ ー 闘 争 が 展 開 され ま した 。 そ の結 果 、 洋 学 が 主 流 派 とな り、 そ れ ま で道 理 教 育 を担 って きた 漢 学 は高 等 教 育 の カ リキ ュ ラム か ら外 され ま した。 竹 内洋 、佐 藤 卓 己編(2006)『 日本 主 義 的 教養 の 時 代:大 学 批 判 の 古 層 』 東 京,:柏 書 房 。 及 び 、 竹 内洋(2005)『 丸 山真 男 の 時 代:大 学 ・知 識 人 ・ ジ ャー ナ リズ ム』 東 京:中 央 公 論 新 社 を参 照 の こ と。

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日本 とア メ リカ の 教養 教 育 の 比較 考 察 179 に 支 え ら れ て き ま し た 。 そ こ に は 、 刻 苦 勉 励 的 な 精 神 的 自 己 形 成 を 希 求 す る 飛 翔 感 も 感 じ 取 れ る の で は な い で し ょ う か 。 近 代 日 本 の 「知 識 人 」 を 創 り 出 し た 教 養 主 義 は 、 西 洋 崇 拝 を 中 核 に お き な が ら も 、 身 を 修 め 心 を 養 う 修 養 主 義 を も そ の 基 底 に 据 え て い ま す 。 い わ ゆ る 勤 勉 や 節 約 、 努 力 に 端 を 発 す る 通 俗 的 な 道 徳 的 生 活 規 律(moralstandards)が 教 養 主 義 の 基 底 に あ る と い う こ と は 、 人 格 形 成 や そ の 発 展 の 中 核 に 身 体 主 義 的 な 鍛 錬 主 義 が 内 包 さ れ て い る こ と も 意 味 し て い ま す10。 こ の こ と は 、 英 国 の 新 興 中 流 階 級 が ジ ェ ン トル マ ン 文 化 と い う 上 流 階 級 文 化 を 模;倣 し た よ う に 、 近 代 日 本 の 上 流 階 級 、 つ ま り 華 族 が 生 活 様 式 を 西 欧 文 化 崇 拝 へ と 転 換 し て い く 文 化 戦 略 と も 結 び つ い て い ま す11。 実 際 、 日 本 の 西 欧 生 活 様 式 化 は1871(明 治4)年10.月 に 下 さ れ た 明 治 天 皇 の 「華 族 外 国 留 学 の 勅 諭 」 に は じ ま り 、 日 本 社 会 に お け る エ リ ー ト と し て の 地 位 を 証 明 す る 徴(し る し)と な り ま し た 。 日 本 に と っ て 伝 統 的 身 分 文 化 で は な い 西 欧 文 化 は 、 そ の 当 時 、 階 層 や 地 域 社 会 と は 切 断 さ れ た 学 校 的 教 養 そ の も の で し た 。 ど の 階 級 か ら も 遠 い 文 化 で あ る た め 、 そ の 文 化 的 な 障 壁 は 階 級 間 に お い て 平 等 で あ り 、 そ れ だ け に 習 得 な い し 模 倣 し や す か っ た と 考 え ら れ ま す 。 こ の こ と は 、 近 代 日 本 の 大 学 が 必 ず し も 文 化 的 上 層 階 級 の 階 級 再 生 産 戦 略 の 場 と な ら ず 、 教 養 を 学 習 す る こ と に よ っ て ブ ル ジ ョ ア/エ リ ー ト文 化 階 級 化 可 能 な 場 と し て 相 対 的 に 地 方 出 身 者 に 開 か れ て い た こ と か ら も 明 ら か で す 。 あ る 意 味 で 、 西 欧 文 化 を 媒 介 に 高 貴 な 生 ま れ と い う 生 得 的 地 位(ascribedstatus)と 業 績 的 地 位(achievedstatus)の 融 和 を 創 り 出 す 文 化 的 装 置 と し て 機 能 し て い た と も 考 え ら れ ま す12。 時 代 を 経 る に つ れ て 、 教 養 主 義 に 内 包 さ れ た ブ ル ジ ョ ア/エ リ ー ト 文 化 を 通 し た 世 俗 的 上 昇 志 向 の 願 望 が 意 識 化 さ れ る よ う に な り 、 逆 に そ れ を 断 ち 切 り た い と い う 志 向 も 現 れ る よ う に な り ま す 。 こ の と き 、 10筒 井 清 忠(1995)『 日本 型 「教 養 」 の 運 命 』 東 京:岩 波 書 店 。 11越 智 道 雄(1998)『 ワ ス プ(WASP):ア メ リ カ ン ・エ リー トは ど うつ く ら れ る か 』 東 京:中 央 公 論 新 社 。 及 び 、Wacquant,L.J.D.(1989).`rFromRuling ClasstoFieldofPower:AnInterviewwithPierreBourdieuonLaNoblesseD'Etat," 窃80伊C〃 〃〃確&30dの ・10:19-44を 参 照 の こ と。 12竹 内 洋(2003)『 教 養 主 義 の 没 落 』 、pp.170-204。 及 び 、Bourdieu ,P

(1993).:τ乃ε乃 θ14qプC〃1'躍α〃)ハoぬc"oη」E∬の∼80η.4r孟3αη4五舵 厂o'〃君召,Cambridge: PolityPressの 中 で も特 にpp.112-141やBourdieu,P(1986)."TheFo㎜sofCapital,"

Hαη6あooん(∼ズ跖 ε07ツαη41∼8∫εα召c乃プ∼)厂疏ε30(フ∫0109:ソ(∼厂E4zκo〃oη(J.Richardson,ed.).

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「ヴ ・ナ ロ ー ド」(人 民 の 中 へ)を 掲 げ た マ ル ク ス 主 義 が 「価 値 の 転 換 」 の イ デ オ ロ ギ ー を 伴 う転 覆 戦 略 と して 、 教 養 主 義 の 象 徴 的 空 間 に 復 活 して く る こ と に な りま す13。 こ の よ う に 、1950年 に 教 養i主 義 の 発 祥 の 地 で あ っ た 旧 制 高 校 が 廃 止 され て か ら も 、 旧 制 高 校 的 な 教 養 主 義 が 新 制 大 学 の キ ャ ン パ ス 文 化 に 存 続 さ れ て い た こ と が わ か りま す 。 ま た 、 大 学 に 進 学 す れ ば 学 歴 上 昇 感 を 抱 く こ と の で き た1970年 ご ろ ま で は 、 大 学 生 と い う身 分 自 体 が 教 養 を 体 現 し て い た こ と も わ か り ま す 。 こ の 戦 前 戦 後 を 通 し て 学 歴 エ リ ー ト文 化 を 支 え て き た 教 養 主 義 に 軋 轢 が 生 じ て く る の は、1960年 代 後 半 か ら の こ と で す14。1970年 代 に は 、 高 等 教 育 と 新 中 間 層 の 拡 大 と連 動 し て き た 昭 和 的 教 養 主 義 は 、 大 衆 的 教 養 主 義 と し て の 終 焉 を 迎 え る こ と に な り ま す 。 2.3大 学 キ ャ ン パ ス の 規 範 文 化 の 崩 壊 現 在 、 メ デ ィ ア 報 道 に お い て 学 力 低 下 や 教 育 格 差 が 問 題 視 さ れ て い ま す が 、 そ の 少 し前 は 少 子 化 に よ る 大 学 全 入 時 代 が 到 来 す る 「2009年 問 題 」 で し た 。 日本 の 高 等 教 育 が エ リ ー ト段 階 か ら マ ス 段 階 へ と 移 行 し た 時 期 は 、1960年 代 後 半 の こ と で す15。 戦 後 日 本 社 会 に お い て 、 1963(昭 和38)年 の 高 等 教 育 進 学 率 は15.5パ ー セ ン ト(大 学12.1パ ー セ ン ト、 短 大3.4パ ー セ ン ト)、 四 年 制 大 学 進 学 率 は17.0パ ー セ ン ト (1965年)か ら23.6パ ー セ ン ト(1970年)に 上 昇 し ま し た 。 こ れ に 伴 い 学 歴 別 新 規 就 職 者 に 占 め る 大 卒 者 の 割 合 も 上 昇 し 、 初 め て 中 卒 者 を 13Bourdieu,P&Wacquant,L.J.D.(1992).跏 伽 詑o∫'o尻oR吻 κ∫vε306∫010gソ. Chicago:UniversityofChicagoPress. 141970年 ご ろ ま で は 、 戦 後 日本 の 一 億 総 中 流 社 会 の よ う な 家 族 共 同 体 を 支 え る 「家 族 幻 想 」 や 「恋 愛 幻 想 」 を 享 受 す る こ と に よ っ て 、 「そ れ ら し く 」 生 き る こ と が で き た 。 し か し な が ら 、 徐 々 に 現 実 に 生 き られ る 「家 族 生 活 」 や 「恋 愛 生 活 」 の 実 質 が 変 化 し て く る と 、1980年 代 に は 世 代 的 な 対 立 構 図 が 性 別 に よ る 差 異 に 変 化 し て い く 。 宮 台 真 司 は 性 別 に 基 づ く対 立 構 図 を 「80年代 前 半 の 女 の 子 的 な 終 末 観=『 終 わ ら な い 日 常 』 と 、80年 代 後 半 の 男 の 子 的 終 末 観=『 核 戦 争 後 の 共 同 体 』 と の 対 立 」 と提 示 し た(『 終 わ り な き 日 常 を 生 き ろ:オ ウ ム 完 全 克 服 マ ニ ュ ア ル 』(1998)東 京:筑 摩 書 房 、p.141)。 15ト ロ ウ 、 マ ー チ ン(1976)は 、 高 等 教 育 は 該 当 年 齢 人 口 の15パ ー セ ン トま で の 進 学 率 の 段 階 が エ リー ト段 階 で あ り、15パ ー セ ン トを 超 え る と マ ス 段 階 に な る と 論 じ て い ま す(天 野 郁 夫 、 喜 多 村 和 之 訳 『高 学 歴 社 会 の 大 学 』 東 京:東 京 大 学 出 版 会)。

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日本 とア メ リカ の教 養 教 育 の比 較 考 察 181 上 回 る のは1971年 の こ とです16。 この結 果 、 ピラ ミ ッ ド型 の学 歴 別 労働 市 場 は崩 壊 し、 大 卒 者 の サ ラ リー マ ン化 が進 行 し、 そ して 現 在 は 国 内 産 業 が 空 洞 化 し始 めて い ま す 。 当 初 、 大 学 とは 教 養 知 と専 門知 を養 成 す る場 で あ る こ とが 自明 の 前 提 で あ っ た た め 、 新 規 学 生 労 働 市 場 に お い て 出 身 学 部 が 将 来 の進 路 を 決 定づ け て い ま した 。 学 生 も ま た 、 自分 が所 属 す る 学 部 へ の帰 属 意 識 が 現 在 よ りも強 く、 所 属 す る学 部 に 見 合 うだ け の知 識 を 自主 的 に 学 習 しま した 。 しか し、 日本 の 企 業 が 大 卒 の 大 量採 用 を行 い 始 め た1970年 代 に な る と、 この 大 学 の 教 養 知 と専 門 知 に対 す る幻 想 が 崩 壊 し始 め ま す 。 な ぜ な ら、 大 衆 的 サ ラ リー マ ンに は教 養 知 も専 門 知 も社 会 的 成 功 の ステ ップ に はな らな い か らで す17。 教養 知 が ブ ル ジ ョア/エ リー ト文 化 的 地位 を もた らす とい う予 期 が も て な くな っ た と き 、教 養 主 義 は もは や 文 化 的 な 差 異 を創 り出 す 装 置 で は な くな ります 。 こ の エ リー トと して の予 期 的 未 来 の 有 無 は 、1960年 安 保 闘 争 と1968年 か ら69年 に か け て の全 共 闘 運 動 の 違 い と して も現 れ ま す18。全 共 闘 運 動 が 教 養 を体 現 す る 「知 識 人 」 へ の 怨 恨(ル サ ンチ マ ン)か ら闘争 自体 の 遊 戯 性(パ フォ ー マ ンス)へ と移 行 して い くに つ れ て 、 教 養 主 義 を基 盤 と して き た 大 学 キ ャ ンパ ス の 規 範 文 化 も解 体 し、 サ ブ カル チ ャー が 人 文 科 学 的 な 読 書 文 化 に取 っ て 代 わ り、 さ らに は レジ ャー ラ ン ド大 学 へ と変 化 して い き ます19。こ の新 た な大 学 キ ャ ン パ ス の 規 範 文 化 は 、異 な る価 値 観 を 自分 の 中 に取 り込 ん で い く こ と、 ま た 、 相 手 を認 め理 解 しよ うとす る努 力 を あま り必 要 とは して い ませ ん。 大 衆 的 サ ラ リー マ ン が未 来 で あ る多 くの 大 学 生 に とっ て 学 歴 エ リー トと な る た め の 教 養 主 義 は 無 用 の 長 物 に な り、 そ の 代 わ りに 実 証 主 義 (positivism)に 裏 打 ち され た 技 術 学 が台 頭 して き ま した 。 全 体 的 な社 会 革 命 を志 向 す る社 会 哲 学 思想 か ら専 門 技 術 学 に よ る近 代 化 を志 向す る社 会 工学 思 想 へ の 転 換 は 、 〈抵 抗 型 〉知 識 人 か ら く設 計型 〉知 識 人 へ の 教 育 パ ラ ダイ ム の 転 換 を促 しま した 。 そ して 、 機 能 的 な く設 計 型 〉知 識 人 で あ る た め の 職 業 専 門 知 の象 徴 的 な価 値 の 上 昇 は 、 教 養 的 な く抵 抗 型 〉知 識 人 で あ る た め の 教 養 知 の 象 徴 的 な 価 値 の低 下 を 引 き 起 16竹 内 洋(2003)『 教 養 主 義 の 没 落 』 、pp,206-209。 17竹 内 洋(2003)『 教 養 主 義 の 没 落 』 、pp.209-218。 18竹 内 洋(1999)『 学 歴 貴 族 の 栄 光 と挫 折 』 東 京:中 央 公 論 新 社 。 19宮 台 真 司 、 石 原 英 樹 、 大 塚 明 子(1993)『 サ ブ カ ル チ ャ ー 神 話 解 体:少 女 ・音 楽 ・マ ン ガ ・性 の30年 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 現 在 』 東 京:パ ル コ 出 版 。

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こ し始 め ま す20。 大 衆 的 教 養 主 義 の 崩 壊 を 加 速 させ た 要 因 と し て は 、 西 欧 と 日本 の 文 化 格 差 、 ひ い て は 都 会 と 農 村 の 生 活 様 式 の 格 差 が ほ と ん ど 消 滅 し た こ と も 考 え られ ま す21。 つ ま り、 近 代 日本 と い うパ ラ ダ イ ム の 終 焉 こ そ が 、 教 養 知 識 人 を 再 生 産 し て き た 差 異 化 の 構 造 の 解 体 を も た ら し た と い え ま す 。 各 自 に 埋 め 込 ま れ る 教 養 の よ う な 文 化 資 本 は 、 象 徴 的 な 価 値 が 増 殖 す る 過 程 に お い て 、 社 会 関 係 を 創 り出 す 資 本 と し て 機 能 し ま す 。 「何 を 知 っ て い る か 」(whatyou㎞ow)と い う教 養 知 は 、 相 互 認 識(知 り あ い)と 相 互 承 認(認 め あ い)か ら な る 制 度 化 さ れ た さ ま ざ ま な 持 続 的 な 関 係 ネ ッ ト ワ ー ク を 創 り 出 し て い く現 実 的 、 あ る い は 潜 在 的 な 資 本 の 総 体 な の で す 。 そ の た め 、 西 洋 崇 拝 だ け で は な く全 人 格 的 陶 冶 を 基 底 に 据 え て き た 大 衆 的 教 養 主 義 の 衰 退 は 、 そ れ ま で 共 振 し て き た 日 本 社 会 の 道 理 的 な 修 養 主 義 の 衰 退 で も あ りま す 。 実 際 、 教 養 知 の 共 同 体 と と も に 知 識 人 の 公 共 圏(publicsphere)の 萎 縮 や 収 縮 を 懸 念 す る 声 は 、1970年 代 に 上 が り始 め ま す22。 3.ア メ リ カ に お け る 教 育 パ ラ ダ イ ム の 転 換 前 節 で 述 べ た 日本 の 大 学 に お け る 教 養 主 義 と、 ア メ リ カ の 大 学 に お け る 一 般 教 養 と を 単 純 に 比 較 対 照 す る こ と は で き ま せ ん 。 しか し 、 一 般 的 に は ア メ リカ に お い て 教 養 教 育 こ そ が 大 学 教 育 の 根 幹 を な し 、 専 門 教 育 は 大 学 を 卒 業 した も の が 受 け る も の と考 え ら れ て い ま す 。 こ の こ と は 、 一 般 教 養 を 身 に つ け る こ と で 完 全 な 人 格 者 と な っ て は じ め て 医 学 、 法 学 、 哲 学 と い っ た 職 業 専 門 教 育 の た め の 医 学 校(medical school)、 法 学 校(lawschool)、 あ る い は 大 学 院(graduateschool)へ と 進 学 す る とい う積 み 上 げ 式 の カ リキ ュ ラ ム が 成 立 し て い る こ と か ら も 明 ら か で す 。 20竹 内 洋(2003)『 教 養 主 義 の 没 落 』 、pp.217-2!8。 21松 本 健 一(1980)『 戦 後 世 代 の 風 景:1964年 以 後 』 東 京:第 三 文 明 社 。 22見 田 宗 介(1976年5月31日)「 論 壇 の 終 焉 」 『読 売 新 聞 』(夕 刊)、 「マ ッ ク ス ・シ ェ ラ ー 道 徳 形 成 に お け る ル サ ン チ マ ン 」(1973)秋 元 律 郎 、 田 中 清 助 訳 『現 代 社 会 学 体 系8マ ン ハ イ ム シ ェ ラ ー 知 識 社 会 学 』 東 京:青 木 書 店 、pp.205-368、 石 田英 敬(2002)「 『教 養i崩壊 』 の 時 代 と 大 学 の 未 来 」 『世 界 』:pp。215-22!、 及 び 、 立 花 隆(2004)『 東 大 生 は バ カ に な っ た か:知 的 亡 国 論+現 代 教 養論 』 東 京:文 藝 春 秋 を 参 照 の こ と 。

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日本 とア メ リカ の 教養 教 育 の 比 較 考 察 183 ア メ リカ の 教 育 で は ま た 、 「意 識 的 に 観 察 や 分 析 、 推 論 を し 、 一 定 の 標 準 に 照 ら し て 評 価 す る 」 ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ と い う思 考 ・ 表 現 方 法 の 技 が 実 践 的 に 組 み 込 ま れ て い ま す 。 そ の 前 提 に は 、 相 手 の 教 育 の バ ッ ク ボ ー ン か ら歴 史 、 生 活 環 境 、 宗 教 ま で の 違 い を 受 け 容 れ て 初 め て バ ー セ プ シ ョ ン ・ギ ャ ッ プ(perceptiongap)を 埋 め る 努 力 や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に お け る説 得 力 が 生 ま れ て く る とい う考 え 方 が あ りま す 。 こ の こ と は 、 大 学 キ ャ ン パ ス の 規 範 文 化 で あ っ た 教 養 主 義 の 衰 退 し た 現 在 の 日本 の 大 学 教 育 に お い て も 、 問 題 意 識 を も っ て 世 界 を 見 、 問 題 を 発 見 し 、 自分 で そ の 解 決 方 法 を 考 え て 解 決 し て い く 自 己 学 習 能 力 を 養 成 して い く た め に ク リ テ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ 教 育 を 取 り入 れ て い く可 能 性 と必 然 性 を示 唆 して い ま す 。 3.11960年 代 の 学 生 運 動 の 大 学 教 育 へ の 影 響 1960年 代 に 学 生 運 動 が 盛 ん に な る 以 前 の ア メ リ カ に お い て は 、 現 在 の 日本 の 大 学 の 授 業 風 景 と 同 じ よ う に 一 方 向 的 な 講 義 形 式 が 一 般 的 で 、 学 生 が 主 体 的 に 討 論(discussion)に 参 加 す る よ う な 授 業 形 態 は 取 られ て い ま せ ん で した 。 ま た 、 日本 と 同 じ よ う に 知 識 偏 重 で 、 暗 記 中 心 の 試 験 に 基 づ く成 績 評 価 が 主 流 で した 。 理 論 丸 暗 記 型 の 勉 強 や 主 要 な 著 作 の 会 読 や 輪 読 で は な く、 演 習(ゼ ミ ナ ー ル)形 式 に よ る ケ ー ス ・ス タ デ ィ ー を 通 し て 資 料 や 参 考 図 書 の 使 い 方 、 自分 な り の 論 文 ・草 案 ・意 見 を ま と め る 力 を 身 に つ け る よ う に 自 主 的 な 研 究 を 指 導 す る よ うに な っ た の は 、1960年 代 に 起 き た 学 生 運 動 の 影 響 に よ る と こ ろ が 大 き い と 考 え ら れ ま す 。 な ぜ な ら 、 学 生 運 動 を 通 し て 、 そ れ ま で の 大 学 に お け る 教 養 教 育 が 単 に 知 識 を 詰 め 込 み 式 に 暗 記 させ て い た に す ぎ な か っ た の で は な い か 、 とい う反 省 が 生 じ た か ら で す 。 ま た 、 も の ご と の 判 断 と い う も の が 時 代 や 立 場 に よ っ て 移 り変 わ る も の で あ る こ と 、 つ ま り 、 思 想 と 時 代 と が 深 い 関 係 に あ る こ と も 再 認 識 さ れ る よ う に な り ま した23。 こ の よ う に 主 体 的 な 判 断 能 力 23日 本 の教 科 書記 述 の 変遷 か ら、遺 跡 の発 掘 とい っ た新 た な発 見 に加 え、 解 釈 の変 化 に伴 っ て 世代 に よ って 共有 す る知 識 が違 う こ とが指 摘 で きま す 。 例 え ば 、 日本 で最 大 の 工 業 地 帯 は1999年 に京 浜 工業 地 帯 か ら中京 工業 地 帯 に変 わ り、京 浜 ・中京 ・阪神 ・北 九 州 とい う四大 工 業地 帯 もま た 、 北 九州 工 業 地 帯 に お け る製 鉄 業 の縮 小 か ら三 大 工 業 地 帯へ と変 化 して い ます 。 ま た歴 史 にお い て も、源 頼 朝 が鎌 倉 幕 府 を 開い た 年 を征 夷 大 将 軍 に任 命 され た!192年 とす る の か 、 各 地 に守護 と地 頭 を置 い た1185年 とす るの か 、 い ま だ 明確 な答 え は 出 てい

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を 実 践 的 に 育 成 す る 方 向 へ と教 育 パ ラ ダ イ ム が 転 換 し て い く 中 で 、 学 生 に よ る 授 業 の 満 足 度 評 価(studentevaluation)が 導 入 され 、 次 第 に 普 及 し て い く よ う に な り ま した 。 ま た 、 大 学 に お い て は じ ま っ た 自分 自 身 で 考 え る 力 を 重 視 す る 教 育 は 、 大 学 教 育 以 前 の 学 校 教 育 に も 影 響 を 及 ぼ す こ と に な り ま す 。 例 え ば 、 ア メ リカ の 保 育 園 や 幼 稚 園 で は 「見 せ て 語 る 」(showandtell)こ と が 重 視 さ れ 、 小 学 校 で は 身 近 な 話 題 に 関 して 討 論 す る こ と が 指 導 さ れ 、 そ し て 中 学 校 お よ び 高 校 で は ス ピ ー チ(speech)や デ ィ ベ ー ト (debate)が 授 業 の 一 環 と し て 取 り入 れ ら れ る よ う に な り ま し た 。 ア メ リカ の 教 育 で は 、 こ の よ うに 段 階 を 踏 み な が ら 自 己 主 張 す る こ と の 重 要 性 に 着 目 し た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 の 養 成 が 理 念 に 掲 げ ら れ 、 実 践 さ れ て い ま す24。 こ の よ う な 段 階 的 ア プ ロ ー チ は 、 ク リ テ ィ カ ル ・ シ ン キ ン グ が 他 者 の 意 見 を 批 判 的 に み る 否 定 的 な 考 え 方 で は な く 、 知 識 や 情 報 を 複 数 の 視 点 か ら 注 意 深 く 読 み 取 り 、 か つ 、 論 理 的 に 分 析 す る と い っ た 建 設 的 な 考 え 方 で あ る と い う理 解 を 深 め る こ と に も な り ま す 。 こ う した コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 の 実 践 は 、 大 学 教 育 に お け る ク リ テ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ 教 育 を さ ら に 充 実 させ る こ と に も な り ま す 。 例 え ば カ リキ ュ ラ ム に お い て は 、 従 来 の 論 文 作 成 法(essaywriting)に 加 え て パ ブ リ ッ ク ・ス ピ ー キ ン グ(publicspeaking)を 中 心 に 討 論 や 議 論(argumentation)と い っ た オ ー ラ ル ・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン(oral communication)能 力 の 訓 練 、 批 評 、 そ し て 応 用 が 多 く の 大 学 で 教 養 課 程 に お け る 必 修 科 目 と し て 設 置 さ れ ま し た 。 ま た 、 文 学 部 が 虚 構 の 言

説(負ction)や 小 説(novel)、 詩(poetry)を 研 究 対 象 とす る の に 対 し

て 、 政 治 演 説 や 討 論 とい っ た 現 実 世 界 の 言 説(politicaldiscourse)、 テ レ ビ番 組(televisionprogram)や 映 画(丘lm)を 分 析 対 象 とす る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 学 部 が 拡 充 さ れ ま した25。 と りわ け 、 公 の 説 得 コ ミ ュ ニ ケ ま せ ん 。 24明 治 の 文 明 開 化 の 際 、 日本 は 「ロ ゴ ス 」 と い う言 葉 に 内 在 す る 二 つ の 意 味 の う ち 「理 性 」 を よ り多 く受 容 し 、 も う一 つ の 意 味 「修 辞 」 を 取 捨 し ま した 。 こ の こ と は 、 日本 の 大 学 に 「哲 学 科 」 は あ る が 「修 辞 学 科 」 は な い とい う事 実 に 象 徴 され て い ま す 。 ま た 、 日本 の 哲 学 は 伝 統 的 に 認 識 学 で あ り、 行 動 学 を 欠 い て い ま す 。 25鈴 木 健(2006)「 ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ 教 育 の 歴 史 」 鈴 木 健 、 大 井 恭 子 、 竹 前 文 夫 編 『ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ 教 育:日 本 の 教 育 を 再 構 築 す る 』 京 都:世 界 思 想 社 、p.16、 及 び 、Winans,J.A.(1915)."TheNeedforResearch,"

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日本 とア メ リカ の教 養 教 育 の 比 較 考察 185 一 シ ョン に 関す る研 究 分 野 の発 展 を もた ら しま す。 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 学 部 の立 脚 点 は 、 真 理 を何 か の た めで は な くそ れ 自体 を 目的 と して 探 究 す る文 学 部 に対 して 、 そ の知 識 を使 っ て 何 が で き る か を 追 究 す る こ と に あ ります 。 こ の く真 理 探 究=知 識 獲 得 〉か 、 あ るい は く 知 識 の 応 用=知 識 の使 い 方 〉 の 伝 授 か とい う 目的 の 違 い は 、 大 学 に お け る理 学 と実 学 とい う二 っ の大 き な流 れ を映 し出 して もい ま す 。 3.2ク リ テ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ 1960年 代 の 学 生 運 動 の 影 響 を 受 け た ア メ リカ の 大 学 が 知 識 偏 重 主 義 か ら ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ へ と 教 育 の パ ラ ダ イ ム を 転 換 し た 歴 史 の 変 遷 を 概 観 して み ま した 。 こ の ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ に は 、 大 き く 分 け て 二 つ の 起 源 が あ り ま す 。 一 つ は 、 従 来 の 哲 学 を 思 考 ・観 念 的 で あ る と み な し、 自 然 科 学 的 方 法 論 に よ る 実 験 的 検 証 を 通 じ て 帰 納 的 に 導 き だ す 実 用 主 義(pragmatism)を 発 展 させ た 反 形 而 上 学 的 な 流 れ で す 。 と り わ け 、 ジ ョ ン ・デ ュ ー イ の 提 唱 し た 「熟 考 方 式 」(reHective thinking)は 、 ク リ テ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ 教 育 の 発 展 に 寄 与 し て い ま す 。 熟 考 方 式 と は 、 論 理 立 て た 段 階 を 踏 ん だ 過 程(logicalandstep-by-step process)を 通 して 、 集 団 討 論 に よ っ て 問 題 を 解 決 す る た め の 指 針 と し て デ ュ ー イ が 提 示 し た 方 法 論 で す 。 具 体 的 に は 、 次 の 五 つ の 段 階 か ら 成 り立 ち ま す 。 ま ず 、 問 題 解 決 の た め の 討 論 を す る と き に 「何 を 解 決 し よ う と し て い る の か 」 と 問 い か け 、 問 題 を 定 義 し ま す 。 第 一 段 階 で 問 題 を 定 義 し た 後 、 第 二 段 階 で は 、 必 要 な デ ー タ を 収 集 し て 問 題 を さ ま ざ ま な 角 度 か ら分 析 しま す 。 第 三 段 階 で は 、 問 題 解 決 の 手 段 が 目的 に 見 合 うか ど うか を ど の よ う に 判 断 す る の か 、 と い う問 題 解 決 の 規 準 (criteria)を 設 定 し ま す 。 第 四 段 階 は 、 問 題 解 決 に 向 け て さ ま ざ ま な ア イ デ ィ ア を 自 由 に 出 し合 い 、 潜 在 的 な 、 か つ 、 複 数 の 解 決 案 を 考 え ま す 。 最 後 の 第 五 段 階 で は 、 一 つ 一 つ の 解 決 案 を 順 次 議 論 し て ゆ き ま す 。 こ の と き 、 第 三 段 階 で 設 定 し た 基 準 に 基 づ く審 議 を 行 い 、 そ し て 各 々 の 時 と場 所 に 適 し た 最 善 の 解 決 案(bestsolution)を 選 び 出 しま す26。 も う一 つ の ク リ テ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ の 起 源 は 、 ア メ リ カ の 大 学 で 行 わ れ る 一 般 教 養 教 育 そ れ 自体 で す 。 日本 の 大 学 は 、 前 節 で 述 べ た よ うに 、 教 養 教 育 の 意 義 を し っ か り と捉 え て き ま せ ん で し た 。1990年 代

g〃oπ ε尸ヶJo〃 厂ηα1(ゾP〃 わ1'o勘 θαん加g1:17-23;Hudson,H.H.(1923).``TheFieldof

Rhetoric,"g呶7'θ 吻 」∂〃用 α1(∼プ5掬 ε凶Eぬoα'10η9:167-180を 参 照 の こ と 。 26Dewe)もJ.(1991).∬ow脆:τ 乃∫訛NewYork:PrometheusBooks.

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に は 、 東 京 大 学 以 外 の 大 学 は 教 養 部 を 解 体 し 、 新 学 部 へ と 改 組 し ま し た27。 そ れ に 対 して ア メ リカ の 大 学 は 、 日本 語 で は 「人 文 科 学 」 と翻 訳 され る"thehumanities"と い う神 学 に 対 置 され た 人 間 諸 科 学 の 中 心 に 一 般 教 養 を位 置 づ け 、 具 体 的 な 活 動 ・行 為 を 通 し て 汎 用 性 の 高 い 知 的 能 力 を 高 め る こ と を 教 育 の 基 本 に 掲 げ て い ま す 。 こ の よ う に 、 教 養 教 育 を 学 生 ま か せ に し、 あ る い は 放 棄 し て き た 日本 の 新 制 大 学 で は 、 ど の よ うに 教 養 課 程 を位 置 づ け 、 そ し て ど の よ うに 専 門 課 程 へ とつ な げ て ゆ く の か と い う視 点 が 抜 け 落 ち て い た こ と は 明 らか で す 。 幅 広 く 全 体 を 見 る 巨 視 的 能 力 を 身 に つ け る 際 、 頭 の 中 に で き あ が っ た 固 定 観 念 を 壊 し て 多 様 な 価 値 観 を 受 け 容 れ よ う と す る ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ 能 力 は 重 要 で す 。 な ぜ な らそ れ は 、 現 実 の 中 で 困 難 に 直 面 し た と き に そ れ を 自 分 の カ で 切 り抜 け て い く難 題 対 応 能 力 で あ り、 難 題 に 直 面 し た と き に ど うす れ ば よ い の か を 考 え て い く方 法 論 で も あ る か ら で す 。 ま た 、 そ の 目 的 が 自 ら の 判 断 に 基 づ い て 結 論 を 導 き 出 す た め の 知 識(㎞owledge)を 蓄 積 し 、 常 に 創 り 出 さ れ つ づ け る 地 域 的 ・ 階 層 的 差 異 に 惑 わ され ず 、 例 え ば 「男 性 語 」 「女 性 語 」 と い う言 語 の 性 差 や 「礼 節 」 と 関 連 づ け て 刷 り 込 ま れ る 「正 し い こ と ば つ か い 」 に 内 包 さ れ る 社 会 関 係 の 優 劣 に 無 関 心 に な ら な い た め の 智 恵(wisdom) を 学 ぶ こ と に あ る か ら で す 。 ニ ッ カ ー ソ ン 、 パ ー キ ン ス 、 そ し て ス ミ ス は 、 ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ の 方 法 論 を 次 の よ う に 五 つ の ア プ ロ ー チ に 分 け て 論 じて い ま す 。 第 一 は 、 認 知 的 な 活 動(cognitiveoperation)に 対 す る ア プ ロ ー チ で す 。 比 較(comparing)や 分 類(classi旬ing)と い っ た 基 本 的 な ス キ ル を 教 え る こ と が 目 的 と し て 掲 げ られ ま す 。 第 二 は 、 発 見 的 な 指 導 法 (heuristics)に 基 づ く ア プ ロ ー チ で す 。 反 芻 し な が ら 学 習 す る こ と が 奨 励 さ れ 、 問 題 を 対 処 す る 戦 略 な ど の 演 習 が 行 わ れ ま す 。 第 三 は 、 形 式 的 思 考(fbrmalthinking)に 基 づ く ア プ ロ ー チ で す 。 と りわ け ピ ア ジ ェ の 認 知 発 展 モ デ ル に 基 づ い て 、 具 体 的 な 活 動 か ら抽 象 的 な レ ヴ ェ ル へ と段 階 的 に 引 き 上 げ な が ら 目標 が 設 定 さ れ て い き ま す 。 第 四 は 、 言 語 教 育 と象 徴 行 為(instructioninlanguageandsymbolmanipulation)に 関 す る ア プ ロ ー チ で す 。 意 味 論 や コ ン ピ ュ ー タ ー 言 語 に 着 目 し た 教 育 カ リ キ ュ ラ ム が 組 ま れ ま す 。 そ し て 最 後 に 、 考 え る こ と に つ い て 考 え る 27平 成5(1993)年 、東 京 大学 教 養 学 部 は 、 そ の2年 前 の 「大 学設 置 基 準 の 大 綱 化 」 と呼 ばれ る大 学設 置 基 準 の変 更 を受 け て 、教 養 課 程 科 目の 枠 組 変 更 と修 得 単位 を切 り下 げ ま した。

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日本 とア メ リカ の教 養 教 育 の比 較 考 察 187 (thinkaboutthinking)と い うア プ ロ ー チ で す 。 こ の メ タ 言 語 の レ ヴ ェ ル で は 、 自分 自 身 の 思 考 過 程 に 対 し て 考 察 を 加 え 、 分 析 、 批 判 し て い く こ と を 学 び ま す28。 こ の よ う な ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ 教 育 の 実 践 は 、 討 論 や 議 論 の 方 法 論 を 習 得 す る 過 程 を 通 し て 自 ら課 題 に 向 き 合 い 、 問 題 を 分 析 し 、 そ し て 解 決 し て い く能 力 を 鍛 錬 し て い く こ と に な りま す 。 ま た 、 っ ね に 自 ら に 問 い か け る 、 あ る い は 問 い か け ら れ る 状 況 を 通 し て 、 い か に 学 ぶ こ と を 学 ぶ か と い う 自 己 学 習 能 力 を 高 め て い く こ と に も な り ま す 。 そ の た め 、 ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ とい う方 法 論(method)と 態 度(attitude)を 学 習 す る こ と は 多 様 性 を 受 け 容 れ 、 他 者 と 向 き 合 っ て 対 話 を 始 め る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 を 向 上 させ る こ と に 繋 が り ま す 。 3.3教 養/文 化 の 起 源 ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ を 導 入 した ア メ リカ の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 は 、 他 者 の 態 度 や 価 値 観 、 行 動 に つ い て 批 判 的 に 捉 え 、考 え る 能 力 だ け で は な く 、 自 分 自 身 の 態 度 や 価 値 観 、 行 動 に つ い て の 説 明 責 任 能 力(accountability)と 応 答 責 任 能 力(responsibility)を 向 上 させ る こ と を 目 指 し て い ま す 。 こ の こ と は ま た 、 普 遍 的 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 を 高 め 、 ア メ リ カ 社 会 、 ひ い て は グ ロ ー バ ル 化 す る 社 会 の 中 で 共 生 す る た め の 智 恵 を 身 に つ け る こ と を 目指 し て い る と も い え ま す 。 ク リ テ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ を 教 養 知 と専 門 知 を 融 和 す る 実 践 知 と し て 捉 え な お し て み る と 、 次 の よ う な 三 つ の 可 能 性 が 啓 け て き ま す 。 第 一 に 、 新 た な 可 能 性 を 開 き 、 不 可 能 と 思 え る よ う な こ と で も解 決 の 方 向 性 を 見 出 そ う と す る 建 設 的 な 態 度 を 身 に つ け る こ と が で き ま す 。 な ぜ な ら 、 ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ は 決 ま りき っ た 唯 一 の 解 釈 や 知 識 に 囚 わ れ ず 、 独 自 の 解 釈 や 異 な っ た も の の 見 方 を 提 示 し よ う と す る 態 度 を 奨 励 す る か ら で す 。 ま た 、 っ ね に 前 提 条 件 や 先 入 観 を 全 面 的 に 見 直 す 姿 勢 が 評 価 さ れ ま す 。 第 二 に 、 現 実 に 臨 機 応 変 に 対 処 す る こ と が で き る よ うな 柔 軟 な 思 考 を 鍛 錬 す る こ と が で き ま す 。 自 ら の 判 断 に 基 づ き 結 論 を 導 き 出 す た め に は 、 明 確 に 言 語 を 選 択 し 、 正 確 に 使 用 す る こ と 、 論 理 的 に 事 実 を 分 析 す る こ と 、 そ し て 演 繹 的 な い し帰 納 的 推 論 に 基 づ い た 客 観 的 な 結 論 を 提 示 す る こ と が 求 め ら れ ま す 。 28Nickerson,RS.,Perkins,D.N.&Smith,E.E(1985).71乃 θ7診 αc乃∫ηgqプ:τ 乃加 ん加g. Hillsdale,NJ:LawrenceErlbaum.

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そ して 第 三 に 、 問 題 の 所 在 を うや む や に す る こ と な く 、 問 題 解 決 に 向 け て 次 の よ うな 段 階 を 踏 ん で 前 向 き に 検 討 す る 意 志 を 持 ち 続 け る こ と が で き ま す 。 一 方 向 的 で は な く双 方 向 的 に 問 題 分 析 を 行 い 、 解 決 の 方 向 へ 向 け て 意 見 や 考 え を 分 析 、 批 評 、 そ し て 提 唱 す る 姿 勢 が 奨 励 さ れ ま す 。 『 問 題 を 解 決 す る た め に は ま ず 、 「何 が 起 こ っ て い る の か 、 そ し て 何 が 問 題 な の か 」 と い う現 状 分 析 を す る こ と が 必 要 で す 。 現 状 を 把 握 し て は じ め て 、 問 題 の 所 在 を 明 ら か に す る こ と が で き ま す 。 次 に 、 「何 が 直 接 的 、 間 接 的 、 あ る い は 構 造 的 な 要 因 な の か 」 と い う原 因 を 究 明 しな け れ ば な り ま せ ん 。 精 確 に 因 果 関 係 が 把 握 で き な け れ ば 、 問 題 の 根 本 的 な 要 因 や 解 決 の 方 向 性 を 見 出 す こ と は で き ま せ ん 。 そ し て 近 い 将 来 ま た 、 同 じ よ う な 問 題 に 直 面 す る こ と に も な りま す 。 原 因 が 把 握 で き れ ば 、 問 題 解 決 性 、 実 行 可 能 性 、 費 用 な ど を 一 つ 一 つ 考 慮 し て 対 策 を 立 て て ゆ く こ と が で き ま す 。 そ し て 最 後 が 、 実 行 お よ び 評 価 と 見 直 しで す 。 最 初 の 実 行 段 階 は 部 分 的 、 限 定 的 、 あ る い は 、 暫 定 的 で あ る か も しれ ま せ ん が 、 こ の 初 期 の 段 階 に お け る 試 行 錯 誤 の 過 程 こ そ が 改 革 を 成 し 遂 げ る こ と が で き る か ど うか の 岐 路 に な り ま す 。 実 行 段 階 に お け る 評 価 と 見 直 し とが 切 っ て も 切 り離 せ な い 関 係 に あ る の は こ の た め で す29。 西 欧 文 化 か ら 日本 に 輸 入 さ れ た 教 養/文 化 と い う概 念 は も と も と 、 教 養/文 化 と 同 時 に 教 育 を 意 味 す る ギ リ シ ア 語 「パ イ デ イ ア ー 」 に 由 来 し て い ま す 。 話 す 能 力 や 文 章 を 作 り だ す 能 力 を 人 間 に 固 有 な も の(humanus)と み な し た ギ リ シ ア 文 化 で は 、 こ の 能 力 を 向 上 さ せ る こ と に よ っ て 人 間 は よ りい っ そ う人 間 性 の あ る 健 全 で 完 全 な 人 間 (humanior)に な る こ と が で き る と 考 え られ て い ま し た 。 ロ ー マ 人 は 、 こ の 教 養/文 化 と 教 育 を 意 味 す る ギ リ シ ア 語 「パ イ デ イ ア ー 」 に 秀 れ た 学 芸 に よ っ て 教 化 さ れ 、 洗 練 さ れ る こ と を 意 味 す る ラ テ ン 語"humanitas"を あ て ま し た 。 つ ま り 、 教 養/文 化 と は 元 来 、 物 事 に 対 して 健 全 な る 判 断(ド ク サ)を も つ 実 践 的 徳 目 の 基 礎 に あ た る く 賢 明 に 思 索 す る こ と の 知 〉 と 、 出 来 事 を 適 切 に 処 理 し 、 物 事 の 好 機 を と ら え る 健 全 な 判 断 を も つ 人 び と を 外 観 か ら判 断 で き る し る し と し て く 立 派 に 語 る こ と の 知 〉 と を 融 合 し た 概 念 で あ っ た と い う こ と に な りま す30。 こ の こ と は 、 目本 語 の 人 文 主 義 者 を 意 味 す る 英 語"humanist"に 当 29鈴 木 健(2006)「 ク リ テ ィ カ ル ・ シ ン キ ン グ 教 育 の 歴 史 」 、pp.17-19。 30Burke,K.(1968).Co砌'θ7-5'α'θ 吻ε厩Berkeley6CA:UniversityofCalifbrniaPress ,

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日本 とア メ リカ の教 養 教 育 の比 較 考 察 189 初 、"orator"な い し"rhetor"と い う翻 訳 が あ て られ て い た こ とか ら も 明 ら か で す 。 こ の よ う に 「教 養/文 化 」 に あ た る 英 語"culture"、 ラ テ ン 語"humanitas"、 そ して ギ リ シ ア 語 「パ イ デ イ ア ー 」 と語 源 を 遡 っ て い く と 、 古 代 ギ リ シ ア に お い て プ ラ ト ン が ア テ ネ 郊 外 に 設 立 し た 学 問 の 殿 堂 ア カ デ メ イ ア を発 祥 の 地 とす る 数 学 や 哲 学 、 イ ソ ク ラ テ ス の 学 校 を 発 祥 の 地 とす る 弁 論 や 修 辞 学 と い っ た 学 問 は 、 専 門 知 と し て で は な く 、 人 間 が 人 間 と し て 秀 れ た 者 と な る た め の 教 養 知 と し て 捉 え ら れ て い た こ とが わ か りま す31。 こ の こ と は ま た 、 専 門 性 と い う枠 組 み に 囚 わ れ て し ま う こ と が 本 来 の 「知 」 か ら は 外 れ て し ま う こ と 、 異 な る 要 素 が 凝 集 す る こ と に よ っ て こ そ よ り包 括 的 な 「知 」 の 卓 越 へ の 志 向 が 可 能 で あ る こ と を示 唆 し て い ま す 。 4.お わ り に ど の よ うな コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン も 、 信 頼 性(credibility)を 前 提 に し て い ま す 。 な ぜ な ら 、 お 互 い に 相 手 に 何 が 期 待 で き る か に よ っ て コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 主 題 範 囲 、 そ の 深 さ の 可 能 性 が 変 化 す る か ら で す 。 グ ロ ー バ ル 化 す る社 会 に お け る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 前 提 に は 、 西 欧 文 化 に お い て 発 達 し た 近 代 市 民 社 会 的 な 倫 理 が あ り ま す 。 西 欧 的 な 市 民 社 会 で は 、 人 は だ れ で も 、 ど の よ うな 共 同 体 に 所 属 し て い る か に 関 係 な く 、 普 遍 主 義 的 な 規 則 や 理 念 に 従 うだ ろ う、 あ る い は 従 うべ き だ と い うく 市 民 に 対 す る 信 頼 〉 を 前 提 に した コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 図 ら れ ま す 。 そ の た め 、 匿 名 的 な 出 会 い で あ っ て も徐 々 に 非 人 格 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン と人 格 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 落 差 を 埋 め て ゆ く双 方 向 的 な 努 力 が 両 者 に 期 待 さ れ ま す 。 そ れ に 対 し て 、 近 代 日本 社 会 で は 、 今 な お 共 同 体 的 な 作 法 に 従 う近 世 的 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 作 法 を 前 提 と した コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 維 持 さ れ て い ま す 。 西 欧 社 会 と 違 い 、 共 同 体 的 な 〈 均 質 な 世 間 〉 を 人 為 的 に 創 出 す る こ と で 、 匿 名 的 に 出 会 う場 に お い て も 信 頼 可 能 性 を 仮 定 し た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 図 ら れ る の で す 。 こ の た め 、 西 欧 的 な 市 民 社 会 で は 恋 愛 や 家 族 関 係 に み られ る よ うな 親 密 な 間 柄 に だ け 期 待 され p.167.及 び 、Hariman,R.(1995).Po1'"oα13り ・1θ'跖θ浸π融〃ア(ゾPowεr.Chicago: UniversityofChicagoPressを 参 照 の こ と 。 31廣 川 洋 一(2005)『 イ ソ ク ラ テ ス の 修 辞 学 校:西 欧 的 教 養 の 源 泉 』 東 京: 講 談 社 。

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る く 相 互 浸 透 〉 の 期 待 範 囲 が 、 無 限 定 的 に 拡 張 さ れ る 傾 向 が み られ ま す 。 つ ま り、 見 ず 知 らず の 相 手 に 何 ら か の 同 一 性 や 近 接 性 の 符 牒 を 見 出 して 情 緒 的 受 容 を 期 待 し 、 同 一 の 関 心 主 題 や 考 え 方 の 枠 組 み を 押 し つ け て し ま う の で す 。 ま た 、 個 人 よ り も集 団 、 上 下 関 係 が 重 視 さ れ る 日本 の 伝 統 的 な 社 会 シ ス テ ム が 前 提 と さ れ る た め 、 社 会 的 な 権 力 、 利 害 関 係 や 意 見 の 対 立 に 注 意 を 払 い な が ら も 対 峙 す る よ うな コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 未 だ タ ブ ー 視 さ れ て い ま す そ れ に 加 え 、 八 百 万(や お よ ろ ず)も 神 が い る 日本 社 会 に は 西 欧 社 会 の よ う に キ リ ス ト教 の よ うな 一 神 教 的 な 神 の 前 で 感 じ 入 る 「罪 の 意 識 」(sin)が 培 わ れ て き ま せ ん で し た 。 そ の よ う な 「倫 理 」(ethics) に 代 わ っ て 培 わ れ て き た の が 、 自 分 の 所 属 す る 共 同 体 の 眼 差 し に よ っ て 与 え られ る 「道 徳 」(morals)と い う観 念 で した 。 自 己 へ の 確 固 た る 信 頼 で は な く 、 自 分 が 周 囲 と 違 わ な い と い う安 心 を 基 に し た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン は 、 明 ら か に 共 同 体 的 な 作 法 と い え ま す 。 近 代 化 す る に つ れ て 、 こ の 近 接 的 な 確 か さ を 支 え る 共 同 体 的 な 同 一 性 な い し 近 接 的 同 一 性 は 世 間 か ら 世 代 へ、 そ し て よ り小 さ な 人 為 的 な 共 同 性 へ と 収 縮 し て い き 、 現 在 に 到 っ て は 外 か ら の 眼 差 し に よ っ て 自 ら を 規 範 化 す る 作 法 自 体 が 失 わ れ っ っ あ りま す 。 な ぜ な ら 、 世 間 が 収 縮 し て 消 え し て し ま え ば 、 そ の 眼 差 し に よ っ て 縛 ら れ て き た 振 舞 い も道 徳 も 消 え て し ま うか ら で す32。 自 分 で 考 え る 力 ば か り か 他 者 と つ な が る カ さ え も 喪 失 し つ つ あ る 日 本 社 会 に お い て 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 を 育 成 し て い く こ と が あ ら た め て 問 わ れ て い ま す 。1960年 代 の 学 生 運 動 の 影 響 を 受 け た ア メ リカ の 大 学 で は 、 そ れ ま で の 暗 記 試 験 中 心 ・知 識 偏 重 主 義 か ら 自 分 で 考 え る 力 を 育 て る こ と へ と教 育 パ ラ ダ イ ム の 転 換 を 図 り ま し た 。 そ の と き に 取 り入 れ ら れ た の が 、 ク リ テ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ 教 育 で す 。 そ の 理 32「 近 代 化 」 社 会 とは 、一 般 的 に、 「封 建 的 」 とい わ れ た さ ま ざ ま な楔 か ら 自由 に な り、 自分 が 誰 で あ る か を 自分 で証 明 で き る 、す な わ ち証 明 しな けれ ば な らな い社 会 と考 え られ て い ます 。 理 念 的 に は 、身 分 に も 、家 業 に も 、親 族 関 係 に も、 階 級 に も、 性 に も、 民族 に も囚 わ れ な い 「自由 な個 人 」 に よ っ て構 成 され る社 会 で す。 西 欧 的 な 市 民社 会 の よ うに 一 人 一人 の違 い を 前提 と して 、 そ れ を 言 葉 に よ る コ ミ ュニ ケ ー シ ョン で埋 め て い く しか な い た め 、 言葉 に対 す る 絶 対 的 な信 頼感 が 必 要 と され ます 。 ま た 、 そ うした社 会 で よ りよ く生 き て い く た め に は 、 言 葉 で 自分 を主 張 し、 対話 を 通 じて 学 ん で い く訓練 が 必 要 とな りま す 。 そ して さ らに 、 人 生 を通 して 異 な る価 値 観 を 受 け容 れ 、 自分 の 中 に 取 り込 ん で い く姿 勢 が 求 め られ ま す 。

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日本 とア メ リカ の教 養 教 育 の比 較 考 察 191 念 に は 、 ギ リ シ ア 文 化 に ま で 遡 る 「具 体 的 な 状 況 に お い て 、 ど の よ う に 問 題 を 解 決 し て い く の か 」 とい う シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の で き る 全 人 的 な 人 間 形 成 と い う教 育 の 目的 が 内 包 され て い ま す 。 現 在 、 さ ま ざ ま な 問 題 を 抱 え る 日 本 の 大 学 教 育 に お い て も 、 学 生 の 優 劣 を 試 験 で 判 断 す る だ け で は な く 、 ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ の よ う に 実 践 知 を 身 に っ け る 質 的 な 教 育 パ ラ ダ イ ム の 転 換 が 求 め られ て い ま す 。 な ぜ な ら 、 ク リテ ィ カ ル ・シ ン キ ン グ を 学 習 、 実 践 、 そ し て 体 得 す る こ と を 通 し て 現 実 社 会 に 存 在 す る さ ま ざ ま な 選 択 肢 を 発 見 し 、 現 状 を 批 判 的 に 反 芻 し 、 さ らな る 可 能 性 を 追 求 して い く こ と が で き る か ら で す 。 ま た 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 通 し て 、 自 己 を 主 張 す る 方 法 論 だ け で は な く 、 他 者 と の 相 互 理 解 を 深 め る 態 度 を 向 上 さ せ て い く こ と も で き ま す 。 そ れ は さ ら に 、 グ ロ ー バ ル 化 時 代 の 近 代 市 民 社 会 に 積 極 的 に 参 与 す る こ と を 促 し 、 自 ら の 義 務 と 権 利 を 主 体 的 に 捉 え な お し、 全 人 格 的 陶 冶 を つ ね に 志 向 して い く こ と を 可 能 に す る で し ょ う。

参考文献

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Referensi

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