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Kea maneja no mentaru herusu kojo ni kakawaru shakudo sakusei to yoinkan no moderu kochiku (yoyaku)

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(1)学位請求論文. 慶應義塾大学大学院社会学研究科 2016 年度博士論文. 氏名:安田崇子 題目:ケアマネジャーのメンタルヘルス向上に関わる尺度作成と要因間のモデル構築. (内容の要約). 第 1 章:序論 本研究で取り上げるケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護保険制度の発足に伴い、 ケアマネジメントの進行を担う役割を果たすため新たに導入された職種であり、様々な分 野の専門職が協働する在宅医療の現場で、介護・医療保険制度に直接携わる専門職である。 その目的は、在宅利用者の状態把握(アセスメント)であり、主たる職務は、利用者の身体 機能・生活環境・抱えている問題等を把握し、ケアプランを作成すること、利用者ニーズと 社会資源との間のマッチングを行うことである。しかし、複雑な職務を担うケアマネジャー の現況は、在宅医療のコーディネート従事者として他職種との協働・連携を求められながら も、その方策を見いだしにくい状況にある。なぜなら、利用者の過大な要求、職務領域の不 明確さ、自身のスキルに対する不安などにより、利用者との関係悪化や役割葛藤、過重労働、 不明瞭な職務領域や介護・医療保険制度自体への疑問や不満、在宅医療現場の人間関係など に悩まされるケアマネジャーは少なくないからである。したがって、ケアマネジャーに過大 な精神的・身体的負荷を与えている可能性が考えられる。 本章では、まず在宅医療システムの概要、意義を人口統計の資料等を使用し具体的に. 示した。さらに、わが国の医療体制としての必要性を、 「少子高齢化社会の到来」 「高齢者 の QOL の低下」 「認知症高齢者の増加」 「終の棲家についての考え方」の 4 つの視点から明 らかにし、ケアマネジメントの概要を示したうえで、超高齢化社会に備えたケアマネジメン トの有効性について個人と社会の両面から取り上げた。個人の視点からの有効性としては、 地域でケアマネジメントに対応することで在宅生活が可能になり、きめ細かな対応・対処が なされることなどが挙げられる。社会面からの有効性は逼迫した社会保障財源をコントロ 1.

(2) ールできることである。一方、問題も多く、基本的なケアマネジメント内容の社会への周知 が徹底されておらず、利用者に対する様々なサービスの調整および提供は不十分である。 ケアマネジメントの施行には専門的能力を携えた新しい職種が必要であることからケア マネジャーという職種が制定された。よって、ケアマネジメントの概要と共に、ケアマネジ ャーの必要性と立場を国の法制を基に紹介した。わが国のケアマネジメントは、小規模な体 系(開業医、訪問看護、居宅介護支援、訪問介護、薬局など)でそれぞれの役割を担ってい る。また、日本と同様の介護保険制度の国はドイツとシンガポールである。アメリカ、イギ リス、スウェーデンでは、制度という形を取らず、介護サービス・福祉サービスという形で 提供しており、それぞれの国の事情を反映した施策が見られた。 本研究の目的は以下の 2 点である。①複雑な専門性を担うケアマネジャーのメンタルヘ ルスを質的調査(面接調査)によって明確にし、質的・量的調査の両方を踏まえた混合研 究 法を用いてメンタルヘルスレベルを測定する尺度(安田メンタルヘルス尺度: Yasuda Mental health Scale:以下 YMS とする)を作成する。 ②既存尺度(Kessler psychological distress scale 日本語版:以下 K6 とする、日本語版バーンアウト尺度)と YMS を用い た量的調査(質問紙調査)を行い、共分散構造分析によっ てケアマネジャーのメンタルヘ ルスに関連するモデルを仮説生成的に構築し、支援体制や基礎資格、専門能力の現状を把握 することでケアマネジャーのメンタルヘルスに関連するニーズを明らかにする。 本研究の意義は、ケアマネジャーのメンタルヘルスの状況や実態はどのように変容し、ど のような要因で影響し合うのか、また、部分的に指摘されている問題点とどう関係するのか などの問題点を総合的な視点から把握することではじめてメンタルヘルスのメカニズムの 説明・言及ができると考えられる。最終的な研究意義として、メンタルヘルスの理解・向上 だけでなく、ケアマネジャーのメンタルヘルスに関わる支援体制の構築や社会的地位の確 立、および間接的ではあるが、在宅医療におけるケアマネジメントの質の向上など、在宅医 療に関わる人々の就業環境の改善に資することを目指す。. 第 2 章:在宅医療におけるケアマネジャー 本章では、在宅医療に携わり役目を全うするケアマネジャーの重要性や職務の特徴、ケア マネジャーの立場と現状、基礎資格に関わる諸問題、在宅医療での立ち位置や社会的位置づ け、さらに、他の在宅医療従事者との連携・協働の必要性について説明した。まず、ケアマ ネジャーの重要な役割は、①ケアマネジメントプロセスを担う役割、②地域に密着した社会 2.

(3) 資源の開発に携わる役割、③利用者の支持者・代弁者・権利の擁護者としての役割である。 また、ケアマネジャーの職務内容はケアプランの作成であるが、その際に介護保険と医. 療保険の両方に携わるため、在宅医療の質の向上に繋がる総合的な能力(計画力、管理 力など) 、コーディネーター役を担うためのコミュニケーション力が必要となる。ケアマネ ジャーの職場環境は、医療・介護・福祉など様々な対人援助の専門職種との対応を求めるた め、多種多様な機関と接触し職務を全うできる柔軟性を必要とする。次に、ケアマネジャー の現状と立場を離職と社会的地位の点から捉えると、離職は、低い給与、過重労働、人間関 係の不和、心身の不調などが要因である。過重労働に見合わない低い給与が社会的な地位の 低さを表している。一方、ケアマネジャーの基礎資格の多様性から捉えると、ケアマネジメ ント能力や専門的知識のバラツキが職務の円滑な遂行に悪影響をおよぼしているのが現状 である。 近年、ケアマネジャーの基礎資格の多様性が招く諸問題が重視され、2015 年厚生労働省 は、職務能力の格差を減少するために受験資格の改訂を決定した。この決定による解決が期 待される問題は、 「適切なアセスメントができない」 「多職種協働が機能していない」ことな どである。これらの問題を払拭するには、個人の専門性の向上、信頼関係に基づくチーム医 療における多職種連携・協働を強化する必要性がある。各専門職間の偏見をなくすには、人 間関係の悪化に対応できる良好なメンタルヘルスの向上と維持が望ましい。. 第 3 章:対人援助職のメンタルヘルスに関わる先行研究 メンタルヘルスとは、精神障害がないだけでなく、自らの可能性を実現し人生におけるス トレスに対処でき、生産的効果的に働くことができ、自分の共同体(コミュニティ)に貢献 することができる良好な状態である(WHO, 2016) 。本章では以下の 1)〜6)のメンタルヘル ス影響要因とメンタルヘルスとの関連性を明らかにした。 1)ストレス:メンタルヘルスの基本的な枠組みとなるストレスモデルの検討から、メン タルヘルスに影響する個人と環境の相互関係の変化を適切に測定する評定方法を確立する ことは、ストレスのメンタルヘルスへの影響を最小限に抑えることに資すると推測される。 2)ソーシャルサポート:バーンアウトの仕事環境の否定的側面に対して緩衝作用をもち、 ストレッサーを軽減することから、ソーシャルサポートの知覚度・認識度と評定との関連を 検討することが、メンタルヘルスの維持・向上やストレッサーの阻害・疾病予防に繋がると 考えられる。 3.

(4) 3)ソーシャルスキル:スキル不足は、個人のストレスレベルを上昇させ疾病の発症頻度 を高め(Medhanic ,1976)、対人領域のストレッサーをより多く受け、うつなどの精神的障 害の発症を増加させる(Segrin & Abramson, 1994) 。また、ソーシャルサポートを利用可 能な状態にしておくための役割を担い、ストレスやソーシャルサポートと関わりながら、間 接的ではあるが重要な要因としてメンタルヘルスの改善に影響している。 4)職務満足感:メンタルヘルス(抑うつ、不安感)との関連で重要な要因であり、職務 満足感を自覚できる職場環境やマネジメントに重点を置くことは、メンタルヘルスの向上 に繋がる。 5)バーンアウト:人間関係が良好であれば、バーンアウトは抑制的になりメンタルヘル スも良好になる。精神的健康調査(GHQ)の分析から導かれた結果とバーンアウトの 2 因 子「情緒的消耗感」 「脱人格化」は中程度以上の正の相関関係を示し、 「個人的達成感」とは 弱い負の相関関係を示すことから(佐野・水澤・中澤, 2013)、バーンアウトは、メンタル ヘルスを検討する際の一つの指標となる。 6)コーピング:コーピングの柔軟性が豊かなほど抑うつの得点が低くメンタルヘルスは 良好であり(加籐, 2001) 、コーピングの様々な形態方法(問題焦点型、情動焦点型)によ ってメンタルヘルスとの相関に相違が表われる。 従来ケアマネジャーのメンタルヘルスは各影響要因について単独の尺度を用いて検討さ れてきたが、単独要因の特質を追求した項目内容の尺度測定では、メンタルヘルスの向上の ための心身の不調の総合的な検討には至らない。したがって、ケアマネジャーの複雑な職 務・職場環境に即した内容であるためには、メンタルヘルスの向上に繋がる総合的・包括的 な尺度が必要である。具体的には、ストレスやソーシャルサポート、ソーシャルスキル、職 務満足感、バーンアウト、コーピングの 6 つの要因を投入した尺度を用いて測定すること によって、ケアマネジャーの複雑な職種内容・職場環境を反映したメンタルヘルスを検討す ることができると考えた。. 第 4 章: YMS(Yasuda Mental health Scale)の作成 ―尺度項目の選定と信頼性・妥当性の検討― 項目の選定:半構造化法を用いた面接調査を実施した。面接調査における対象者は、東 京・神奈川・栃木・福岡のフルタイムのケアマネジャー計 24 名(男性 5 名、女性 19 名、 所属;居宅介護支援事業所勤務者 22 名、地域包括支援センター勤務者 2 名)である。 M4.

(5) GTA による分析から、8 つのカテゴリーおよび 18 概念が生成され,これらに基づきメン タルヘルス要因の相互影響作用のプロセスモデルを作成し,47 項目を抽出した。さらに共 通性の見られる項目をまとめることによって、22 項目の仮 YMS を決定した。 次に、YMS 信頼性・妥当性検討のため、東京・神奈川・栃木・福岡の計 850 名のケア マネジャーを対象に質問紙調査を実施した。最終的に 611 名(女性 512 名、男性 99 名) から有効回答が得られ,有効回答率は 71.9%であった。 信頼性の検討: 探索的因子分析として最尤法・プロマックス回転を検討したが適切な解 が得られなかったため主因子法・プロマックス回転を用いた。その結果から,最終的な YMS は 21 項目とした。 「疲労感(7 項目)」 「不安感(6 項目)」 「意欲・向上心(5 項目)」 「自己 不信感(3 項目) 」の4因子の Cronbach の α 係数は順に .83、.84、.75、.63 で、YMS は 内的整合性の点で信頼性が認められると判断した。 妥当性 の検討 1)内容的妥当性: YMS の各質問項目が 4 因子(疲労感、不安感、意欲・向上心、自己不 信感)のどれに当てはまるのかについて、各種資格を持つ職務経験6年以上のケアマネジャ ー13 名間の判断に 80.1%の一致率が得られたため、 内容的妥当性が確認されたとみなした。 2)因子的妥当性:4因子を用いて共分散構造分析を行った結果、適合度(GFI=.870, AGFI=.831, CFI=.841, RMSEA=.075)が示唆された。 3)併存的妥当性:仮説 1「気分・不安障害を測定する K6(Kessler Psychological Distress Scale 日本語版)は、メンタルヘルスを測定する YMS 下位尺度得点と有意な正・負の相関を 示す」および仮説 2「YMS 下位尺度における K6 の 2 区分の領域の比較(陰性<5 点、軽度 障害以上≧5 点)において、精神的障害が重い者ほど YMS の下位尺度Ⅰ「疲労感」 ・Ⅱ「不 安感」 ・Ⅳ「自己不信感」に対する平均値は有意に高く、YMS の下位尺度Ⅲ「意欲・向上心」 に対する平均値は有意に低くなる」が立証されたことから、併存的妥当性が確認された。 4)収束的妥当性:指標尺度にバーンアウト尺度を用い、ピアソン相関係数、偏相関係数を 求めた結果、全ての相関係数・偏相関係数は 1%水準で有意で、仮説 3 の「YMS 下位尺度 因子とバーンアウト下位尺度因子( 「役割不全感」 「個人的達成感」 「情緒的枯渇感」)の因子 間において有意に高い正・負の相関関係を示す」が立証された。. 第 5 章 ケアマネジャーのメンタルヘルス向上に関わるモデルの構築 4 章に示した質問紙調査から得られたケアマネジャー611 名(女性 512 名、男性 99 名) 5.

(6) のデータを用いて分析を行った。まず、対象者がどのような特色のグループに分類されるか を検討するため、YMS の4つの下位尺度得点を用いてクラスタ分析を行い、 「 緊張型」 「積 極・肯定型」 「無気力・不安型」の3クラスタを得た。また、各クラスタのケアマネジャー のメンタルヘルスの状況を検討するため、バーンアウトの3つの下位尺度を従属変数とす る分散分析、多変量解析を行った。 1) 「緊張型」は、心にゆとりや仕事に対する向上心がなくなり、心身共に疲れ果ててしま う傾向がある。 「積極・肯定型」は、利用者に対して冷淡になり人格を失う行動をとったり する傾向が低い。 「無気力・不安型」は、仕事への熱意・向上心が弱まっていることなどが 示唆された。 2)質的分析結果から求められた 7 つの項目(「信頼関係」 「職務範囲の広さ」 「気難しい利 用者を担当」 「体調の悪さ」 「周囲の認識」 「医師との食い違い」「給与妥当性」)について 3 クラスタ内( 「緊張型」 「積極・肯定型」 「無気力・不安型」 )で分散の相違を検討した。その 結果、メンタルヘルスに関与する観測変数として「信頼関係」 「気難しい利用者を担当」 「体 調の悪さ」 「周囲の認識」 「医師と食い違い」が得られ、これらの変数をモデルの構築に反映 した。 3)基礎資格の相違による差を、多変量分散分析で検討した結果、Wilks のラムダの指標 が有意ではなく、基礎資格による明確な差があるとは言えないことが分かった。 以上、1)~3)の結果を踏まえた上で,共分散構造分析を用いてメンタルヘルス向上に関 わる因果関係モデルの妥当性の確認、概念間の因果係数によるモデルの検証を行った。最終 的なモデルの適合度指標である GFI=.939, AGFI=.908, CFI=.905, RMSEA=.067 は、当て はまりが良いモデルであると判断した。共分散分析によって、「バーンアウト」と「メンタ ルヘルス」間に.66 と強い正の相関が認められ、仮説 1「2 つの潜在変数(メンタルヘルス とバーンアウト)間には強い相関(共変)関係がある」は確認された。また、仮説 2「3 つ の潜在変数(メンタルヘルスとバーンアウト、性格)が規定要因となって、質問紙調査内容 の変数(経験年数、労働時間、信頼関係、職務範囲の広さ、気難しい利用者の担当、体調の 悪さ、周囲の認識、医師との意見の食い違い、給与妥当性、給与、職場環境不満、支援等) に影響をおよぼす」は、メンタルヘルスとバーンアウトが規定要因となって「労働時間」 「信 頼関係」 「職務範囲の広さ」 「気難しい利用者の担当」 「体調の悪さ」 「職場環境不満」の観測 変数に有意な標準因果係数を示し因果関係が示唆された。メンタルヘルスとバーンアウト の共通の観測変数が「信頼関係」 「体調の悪さ」であることから、信頼関係の悪化や、体調 6.

(7) がすぐれないと感じたりするのはメンタルヘルスとバーンアウトが規定要因となって作用 していることが分かった。以上より、メンタルヘルス向上に関わる要因間モデルが構築され た。. 第 6 章:総合的考察 結論:様々な分野の専門職が協働する在宅医療の現場において、ケアマネジャーは、在宅 医療のコーディネート従事者として他職種との協働・連携を求められる。その一方、複雑な 職務、利用者の過大な要求、職務領域の不明確さ、スキルに対する不安などにより、他職種 との協働・連携の方策を見出しにくい状況にあり、近年ケアマネジャーのメンタルヘルスが 大きな課題となっている。 本研究は、尺度項目作成のため半構造化法を用いた面接法を実施し M-GTA による分析を 行った。得られた概念とカテゴリーから、メンタルヘルス要因の相互影響作用プロセスのモ デルを作成した。このモデルのプロセスにより、職務内容に関する様々な問題の認識が起点 となって人間関係に不和が生じ、ケアマネジャーのメンタルヘルスに影響を与えることが 明らかになった。その様々な問題とは、ケアマネジャーの発話の中で重複・強調された内容 である「職務の複雑さ」 「広範な職務領域」 「線引きの無い職務の役割葛藤や重責」である。 また、クラスタ分析によりケアマネジャーの特色による分類を行った。心にゆとりや仕事に 対する向上心がなくなり、職務において心身共に疲れ果ててしまう傾向がある「緊張型(315 名) 」と仕事への熱意・向上心が弱まっている「無気力・不安型(178 名)」を合わせると対 象者ケアマネジャー(611 名)の約 80%を占めた。以上より、現状でいかにケアマネジャ ーがメンタルヘルスに負荷を与えて職務を全うしているかが明らかになった。 次に、質的分析の結果から YMS(Yasuda Mental health Scale)の項目を抽出し、探索 的因子分析により 4 因子「疲労感」 「不安感」 「意欲・向上心」「自己不信感」を抽出した。 YMS を用いた調査より、仮説 1「気分・不安障害を測定する K6(Kessler Psychological Distress Scale 日本語版)は、メンタルヘルスを測定する YMS 下位尺度得点と有意な正・ 負の相関を示す」および仮説 2「YMS 下位尺度における K6 の 2 区分の領域の比較(陰性 <5 点、軽度障害以上≧5 点)において、精神的障害が重い者ほど YMS の下位尺度「疲労 感」 「不安感」 ・ 「自己不信感」に対する平均値は有意に高く、YMS の下位尺度「意欲・向上 心」に対する平均値は有意に低くなる」が立証された。このことは、YMS 因子の「疲労感」 「不安感」 「自己不信感」は気分・不安障害の軽度障害の指標となりうることを示し、 「意欲・ 7.

(8) 向上心」は気分・不安障害陰性の指標となることが示唆された。これは、状況に即したメン タルヘルスが K6 の外的指標に反映する併存的妥当性のある項目と考えられる。さらに、対 人援助職のメンタルヘルスは、バーンアウト症状と関連を持つことより導かれた仮説 3 「YMS 下位尺度因子とバーンアウト下位尺度因子の因子間において有意に高い正・負の相 関関係を示す」が立証されたことは、YMS がバーンアウトとの関連を持ち、構成妥当性の あるメンタルヘルスの測度であることを示していると考えられる。よって、尺度としての利 用可能性と解釈可能性(回転後に抽出された因子をうまく解釈で来るかどうか)を有してい ると判断した。YMS の第 4 因子「自己不信感」のα係数(.63)が若干低かった理由に、項 目数が 3 項目と少ないことが挙げられる。しかし、 「自己不信感」を構成する因子内容は、 質的分析結果(第 4 章 4.3)から十分な項目作成プロセスを経ている。よって、今後、項目 の拡充を行うことで、尺度の汎用性を高める必要がある。また、YMS を 3 因子で構成する とその因子内での内容的なグループ化ができなかったため 4 因子を採用した。本研究にお いて作成された 21 項目は、多様なメンタルヘルスの項目を含んでおり、ケアマネジャーの 全体的なメンタルヘルスの水準を評価する尺度としては利用可能であると考えられる。以 上より、内容的妥当性、因子的妥当性、併存的妥当性、収束的妥当性の 4 側面について限定 的ではあるが示唆する結果が得られ、YMS 尺度作成は一定程度達成されたと考えられる。 最終的に、メンタルヘルス要因間の共分散構造分析によるモデルの構築では、メンタルヘ ルスとバーンアウトは強い相関係数が示され、仮説 1「 メンタルヘルスとバーンアウトに は強い相関(共変)関係がある」が検証された。このことは、バーンアウト症状のある者は、 ある程度のメンタルヘルスの状態をチェックする必要があることを示したと考えられる。 仮説 2「3 つの潜在変数(メンタルヘルスとバーンアウト、性格)が規定要因となって、質 問紙調査内容の変数(経験年数、労働時間、信頼関係、職務範囲の広さ、気難しい利用者の 担当、体調の悪さ、周囲の認識、医師との意見の食い違い、給与妥当性、給与、職場環境不 満、支援等)に影響をおよぼす」については、「経験年数」「給与」「給与妥当性」は、メン タルヘルスやバーンアウトとの有意な因果関係はないことが示され、仮説は支持されなか った。その理由として、今回、ケアマネジャーには多様な所属があるにもかかわらず、本調 査対象者の殆どのケアマネジャーは居宅介護支援事業所所属であるため、所属形態の特性 を反映した結果ともとれる。この点に関しては、今後、所属の多様性を考慮したサンプルの 収集を検討していく必要がある。さらに、「医師との意見の食い違い」においてもメンタル ヘルスやバーンアウトとの有意な因果関係はないことが示された。このことは、ケアマネジ 8.

(9) ャーが発足して 15 年が経過したことで、ケアマネジャーの存在と在宅医療に対する医師の 理解度の上昇、医師とケアマネジャーの連携意識が良い方向に変化しつつあることが原因 の 1 つと推測する。また、ケアマネジャーのメンタルヘルスと特に高い因果係数を示した 「気難しい利用者の担当」と「職務範囲の広さ」は、職務を全うするうえでメンタルヘルス に関わる大きな影響要因であることを示唆するため、詳細な分析が必要である。 YMS(Yasuda Mental health Scale)の尺度としての有効性について:従来は、ケアマネ ジャーの複雑な職務内容・職場環境を考慮したメンタルヘルスの向上に繋がる尺度がなく、 バーンアウトやストレッサーを個々に測定するなどの方法によりメンタルヘルスの状況・ 状態の測定を行っていた。しかし、YMS の項目は、メンタルヘルスに影響を与える要因の 質的分析の検討結果から抽出したものである。尺度項目自体に、具体的な職務内容・職場環 境を反映したカテゴリー内容(ストレッサー、ソーシャルサポート、ソーシャルスキル、職 務満足感、バーンアウト、コーピング)が投入されている。モデル構築の結果から、YMS で測定することによって、メンタルヘルス向上に貢献する具体的な要因(のイメージ)を把 握することができた。このことは、YMS を用いて測定することにより、ケアマネジャーの メンタルヘルス向上の要因を事前に予測できることを意味する。以上より、YMS のメンタ ルヘルス向上に関わる尺度としての有効性が一定程度示されたと考えられる。 ケアマネジャーの地位向上とケアマネジメント全般の質の向上に向けて:本研究の質的調 査(面接調査) ・量的調査(質問紙調査)の結果から、ケアマネジャーの職務の多様性と複 雑さからくるメンタルヘルスの不調、対人援助専門職として専門性の追求と能力の必要性 が明らかとなった。このような状況下で、ケアマネジャーの社会的地位の向上、ケアマネジ メント全般の質の向上をどう考えればいいのか、本研究の調査結果に基づいて環境要因と 個人要因の 2 つの視点から検討した。 1)ケアマネジャーの環境要因:①面接調査では、ケアマネジャーの職務に対する社会や 協働者の理解や認識の低さは、職務が円滑に遂行できずにケアマネジャーのストレスを蓄 積するなどメンタルヘルスに悪影響を及ぼしているケースが多く見られた。社会的地位の 向上のために、ケアマネジメントシステムの中核を担うケアマネジャーの職務内容を社会 的に周知させる必要がある。具体的には、国、地域の公的な機関、病院(医院) 、地域包括 支援センター、サービス機関などにおける情報のさらなる提供が望まれる。②現在の過重労 働傾向にある労働環境を改革することが急務である。それには、労働時間・職務内容・仕事 量の抜本的な見直しや簡素化する必要がある。それによって、重責、役割葛藤、身体的疲労 9.

(10) を削減できると考えられる。 2)ケアマネジャーの個人要因:ケアマネジャーの業績が、地位向上、ケアマネジメント の質の向上に繋がらない理由の一つに、職務能力の格差が挙げられる。克服するためのケア マネジャーの専門性には多面的な適応能力が求められ、分析・計画・判断・管理に関する様々 な能力が必要不可欠である。それには、講習、セミナー、勉強会など、個人の自主的な参加 が求められる。また、人間関係(気難しい利用者・その家族、同僚、協働者)の中で、満足 のいく信頼関係を築くことがケアマネジャーのメンタルヘルスには重要なことである。そ れには、コミュニケーションを良好にすることで信頼関係を築くことができ(渡部, 2002 ; 古瀬, 2004) 、その影響で現場や職場での人間関係・職務の遂行が円満になると考えられる (平川, 2014 ; 吉田, 2011)という先行研究の成果とも合致する。 1)2)より、ケアマネジャーのメンタルヘルス向上を伴う質の高い職務遂行は、社会的な 地位向上・ケアマネジメントの質の向上に繋がると考えられる。. 今後の課題 :本研究に残された課題を以下に挙げる。 1) 性別:本研究における対象者 611 名はもっぱら女性のケアマネジャーに偏っている (男性 16.2%、女性 83.8%)ため,質的・量的なジェンダー比較の分析が不可能であった。 これは、ケアマネジャーという職種に男性の参入がまだ少ないため、サンプル収集の際、必 然的に女性が多くなってしまうことが原因である。男女それぞれに特有の考え方、仕事の遂 行の仕方、個人要因、環境要因に差が出ることも推測される。また、メンタルヘルスの相違 もあることも推測される。よって、今後は収集するサンプル数の男女の比率の差を少なくし、 ジェンダーの比較から新たに普遍的な結果を検討することが必要である。 2)基礎資格の相違の偏りの解消:本研究は、基礎資格の相違によるメンタルヘルスへの 影響を明らかにすることを一つの目的とした。調査をしていくうえで、ケアマネジャー合格 者の所有する資格に大きな偏りがあることが明らかになったが、量的な分析結果には、基礎 資格の相違に明確な差が表われなかった。理由の一つに、収集したサンプルの基礎資格の相 違の偏りが大きいことが考えられる。面接調査の分析から、現場では、基礎資格の相違が職 務能力の格差となり、ケアプランの完成度の違いで利用者とのトラブルが生じることや、同 じ職場では、職務能力の高い人に課せられる負担が増加するなど、ケアマネジメントの役割 遂行に支障が出ている。よって、基礎資格の相違は、重視されなければならない喫緊の課題 である。今後は、量的分析に対応可能な偏りのないサンプル数の収集を目指し、もしくはさ らなる精緻な内容の質的研究によって、基礎資格相違によるサンプル数の偏りを克服する 10.

(11) アプローチを開発することが重要である。したがって、一般化の判断は慎重に行い、所属の 多様性を考慮したサンプルの収集を検討していく必要が考えられる。 3)YMS の項目数の増加の必要性:因子によっては項目数が少ないものもあるため、安定 した因子を目指し、今回抽出された因子との相違や類似点を把握したうえで項目の増加が 望まれる。 4)要因間のモデル開発継続の必要性:共分散構造分析を用いて構築され、最終的に採用 されたモデルの解は、一つの可能性を示唆しているに過ぎない。つまり、適合度指標がさら に良いモデルが存在する可能性は大いにある。したがって、サンプル数の偏りの問題を克服 したモデルの開発が必要である。 5)縦断的調査の必要性:本研究の質的・量的調査を踏まえて、縦断的調査により、モデ ルの妥当性を継続的に検討する必要があると考えられる。. 11.

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