• Tidak ada hasil yang ditemukan

「つぶやきの使い分けから見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

Membagikan "「つぶやきの使い分けから見る"

Copied!
18
0
0

Teks penuh

(1)

1

2010 年度 上智大学経済学部経営学科 網倉ゼミナール 卒業論文

「つぶやきの使い分けから見る mixi と twitter」

A0742230 奥田舞花 提出年月日 2011 年 1 月 15 日

(2)

2 目次

はじめに

一章 mixi、twitter とは

(1)SNS とは (2)SNS の歴史

(3)日本における SNS の現状

(4)mixi と twitter の比較

ニ章 本論文の目的

三章 仮説 A の検証 (1)仮説 A (2)検証 (3)分析

四章 仮説 B の検証 (1)仮説 B (2)検証 (3)分析

五章 仮説 C の検証

(1)仮説 C (2)検証1 (3)分析1 (4)検証2 (5)分析2

(6)仮説 C の総合分析

六章 まとめ

(3)

3 はじめに~調査背景~

高校二年時、突然、友人らが「昨日の日記見た?」「見た見た!」「おもしろかった!」という 会話をし始めた。どうやら茶道部の友人数名がインターネット上で日記を書いているらしい。

最初は興味を持っていなかった私だが、1カ月ほど経つと、「mixi」とやらに入らなければ会 話についていけない状況になった。そこで友人に紹介してもらい、「mixi」に登録した。これが 私のSNSデビューである。

それから丸5年が経ち、今「SNS」と聞いて、全くイメージが湧かないという人は、ほとん どいないだろう。SNSはここ数年で、私たちの生活に入り込み、今では当たり前のコミュニケ ーションツールの一つになっている。

現在では「mixi」以外にも、多くのインターネット上のコミュニケーションツールが誕生して いる。その一つが twitter である。私は mixi をはじめ、twitter、Ameba、Facebook などの有名 どこのSNSに登録しているのだが、その中でも利用率が高いのがその mixi と twitter である。

メディアや、マーケティング調査でも mixi と twitter はよく比較される対象となっており、友 人の中でもその二つを利用している人が目立つ。

私は両者を利用している中で、疑問に思ったことがある。「同じつぶやきであるのになぜ mixi と twitter を使い分けるのか」という点である。一章で詳しく説明するが、mixi も twitter も 現在「つぶやき」機能がついている(twitter においてはつぶやき機能だけである)。決められ た文字数内で「つぶやく」機能で、ほぼ両者共々同じ機能である。にもかかわらず、「つぶやき」

をどのコンテンツでするか、私自身が使い分けていることに気付いたのだ。mixi でつぶやいて みたり、twitter でつぶやいてみたりと、両者を使っているのである。私だけではなく、私の友 人も mixi のボイスで登場したり、twitter で登場したりするのである。この一見同じような機 能を持った SNS であるのに、このような使い分けを生み出している原因は何なのであろうか。そ の疑問が本論文を書くきっかけとなった。

「mixi と twitter の違いは一体、何なのか」。「何が使い分けの原因なのか」。

この疑問を、本論文をとおして解決したいと思う。

(4)

4

【第一章】 mixi、twitter とは

(1)SNS とは

SNS とは、ソーシャルネット・ワーキング・サイトの略で、「人と人とのつながりを促進・サ ポートする、コミュニティ型の Web サイト(IT 用語辞典 http://e-words.jp/ より)」のこと である。狭義的には、友人・知人間のコミュニケーションを円滑にしたり、趣味や出身校、ある いは「友人の友人」といったつながりを通じて、新たな社会的ネットワークを構築する場を提供 する会員制サービスと定義されている。また広義では、「インターネット上での社会的ネットワ ークの構築を支援するコミュニケーションサイト」、というのが一般的に認識されている定義で ある。

本論文で扱う twitter は広い意味での SNS であり、「ミニブログ」、「ミニ SNS」、「リアルタイ ム SNS」と称されることもある。厳密に言えば、まだなじみは薄いが「CGM」というのが正確か もしれない。CGM とは「User Generated Media(消費者生成メディア)」のことで、インターネ ットを活用して消費者自身が生み出すメディアを意味する。クチコミの一種として企業などから 注目されているが、クチコミは消費者が商品に特化した情報を生み出すことをさすのに対し、CGM は消費者が生み出す情報全てをさす。

本論文では、mixi、twitter を人と人のコミュニケーションを目的とした SNS として扱い、両 者とも「インターネット上でユーザー同士がネットワークを構築するコミュニケーションサイト」

のうちの一つとする。

(2)SNS の歴史

SNS の最初の発端は、意外と古く1990年代である。インターネット上のコミュニケーショ ンサイトから始まり、チャットルームなど、ネットユーザーがお互いに探しやすいようにという 目的でプロフィールや e メールアドレスの共有、公開をしたのが始まりだ。1997年には「世 界中の人間が6人の人間を介すれば繋がることが出来る」という六次の隔たり理論に基づいた

「SixDegrees.com」が誕生し、現在の SNS に近い SNS が誕生した。2003年ごろからは、Google 社の「Orkut」や、ハーバード大学から始まった「Facebook」、Facebook に抜かれるまでは世界 最大の SNS であった「Myspace」などの SNS が次々と誕生し、現在に至る。日本では、合コンサ イトなどから始まり、2004年初め「GREE」と「mixi」が創設された。その後2006年の夏 にアメリカで twitter が誕生し、2008年の春に日本語版 twitter が生まれた。アメリカでの 定着が2009年頃であると言われているので、比較的早い段階で日本に上陸したと言えるだろ う。

(3)日本における SNS の現状

(5)

5

日本では、筆者の感覚では「mixi」で爆発的に SNS が広がったように思う。GREE も当初はユ ーザー数を獲得していたようであるが、以下のグラフで示すように、実際に mixi が GREE に圧倒 的な差をつけてユーザーを獲得していった。その理由について本論文では詳しく検証しないが、

mixi のみにあった日記機能や足跡機能などのネットワーク構築を促進する機能、デザイン性、

匿名性(GREE は実名登録が前提とされている空気があったようだ)、などの要因があったようで ある。SNS はネットワークを構築するにあたり、一度ユーザーを獲得してしまえば「みんながい るから」という理由で加速度的に差がついてしまう。それ故、mixi が圧倒的に日本で普及した のではないだろうか、と筆者は考える。筆者自身、「mixi に入っていないと、友人の話について いけない」、「周りの友人に毎日のように勧められる」といった経験をしており、mixi の浸食ス ピード、浸食力を目の当たりにした。

<図1>mixi,GREE のユーザー数推移

出所(1):vizlog 「mixi vs GREE~ユーザー編」

現在、消費者が利用している SNS もそのまま逃げ切りで mixi が圧倒的に多い。2009年1 1月に行われたマイボイスコムの「SNS の利用に関するアンケート(1万3939人に調査)」

によれば、「どの SNS に登録・利用しているか」という質問に83.2%の人が mixi を挙げてお り、次に利用者の多い GREE の17.3%に大きな差をつけている。続くモバゲータウンも8.

1%で、mixi が SNS 界を支配していることがわかるだろう。この上位3つは日本3大 SNS と呼 ばれていたのだが、最近のテレビ CM を見るとそれぞれの特徴、打ち出したい戦略が見えてくる。

例えば、mixi は「つながる」ということを前面に押し出し、あくまで「人と人のネットワーク 構築」を謳っている。機能にも「mixi 同級生」が登場し、昔の友人とも繋がることができる機 能を充実させている。対して GREE、モバゲーは「無料ゲーム」ができるということを強調して いる。脳トレや、ぷよぷよなど、本来はゲームとして売れていたものを無料で提供することで顧 客を獲得しようとしているようである。

そんな中、登場したのが twitter である。アメリカのオバマ大統領が使っていたことなどがメ

(6)

6

ディアで取り上げられ、また政治家、芸能人など多くの有名人が twitter を利用していることか ら、twitter の認知度があがり、それと共にユーザーも急増した。鳩山前首相が使っていたこと も記憶に新しいだろう。現在は twitter が mixi を追い上げている状態になっている。図2を見 てもらえばわかるとおり、mixi と twitter は抜きつ抜かれつ、という関係になっている。

<図2>mixi,twitter 訪問者数 推移

出所(2)ニールセン国内アクセス調査の情報をもとに筆者作成

(4)mixi と twitter の比較

SNSの背景、mixi と twitter の注目度について述べてきたが、そもそも私の疑問は「なぜ mixi と twitter でつぶやきを使い分けるのか」という点である。両者の検証をする前にそれぞ れの違いについて、具体的な特徴を理解するために、以下に特徴をまとめた。

<表1>mixi と twitter の特徴

mixi twitter

サービス 2004年開始。日本最大のSN S。

2006年開始。

登録 既存ユーザーからの紹介制。(20 10年3月より自主登録も可能 に。)

自主登録制。誰でも登録できる。

登録者の名前 あだ名登録可。 あだ名登録可。(ID)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月

mixi 9567 9281 10847 9344 9559 9242 9930 9632 9557 9744 twitter 4732 5627 7522 9882 9157 9100 9496 10069 11129 11778

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000

訪問者数(単位:千人)

mixi,twitter訪問者数 推移

(7)

7

ネットワークの構築 相互に承認。「マイミク」で友人に なる。

承認はなし。個人の設定で承認制に することも可。「フォロー」すること で繋がる。「フォロワー」と呼ぶ。

機能 日記、アルバム、レビュー、ゲー ム、コミュニティーなど様々。

「つぶやき」機能のみ。リアルタイ ムにタイムラインと呼ばれるボード に挙げる。

つぶやき機能 「ボイス」と呼ばれる。150字 以内。

「tweet」と呼ばれる。140 字以内。

ここで注目したいのは、「ネットワーク構築」である。mixi は相互に承認しなければ、ネット ワーク上で友人になれないのに対し、twitter は特に承認なしに友人(というより、一方的にリ ストに追加することができるよう)になる。つまり両者は構築するネットワークの種類が少し異 なる。mixi は比較的強く友人と結ばれ、twitter は友人とのつながりは弱い。これが両者の持つ 大きな特徴、違いである。これは最初の登録の際にユーザーの招待で登録するか、もしくは自主 的に登録できるか、も影響していると考える。mixi は当初、現実世界での友人から招待しても らうことでしか入会することができなかったため、mixi 内部に必ず 1 人は友人がいることにな る。さらに承認する際に現実世界での友人のみを承認している人が多く、mixi のネットワーク は全体的に現実世界の友人関係がそのまま反映されていると思われる。対して twitter は特に承 認も紹介も必要としないため、現実世界とは違ったネットワークができるようである。以上が mixi、twitter の大きな特徴である。

もう一点注目したいのが、類似している「つぶやき」機能である。「はじめに」でもふれたが、

両者ともつぶやき機能がある。文字数こそ違うものの、決められた文字数内で短文をつぶやく機 能が付いている。mixi は日記やフォトアルバム、映画のレビューなど多くの機能のうちのひと つとしてつぶやき機能がついており、twitter は名前からもわかるとおり、つぶやくことが主な 機能で、その他の日記などの機能は特にない。以上が、両者の特徴の違い、類似点である。

出所(1) http://vizlog.visualzoo.com/archives/817

出所(2) http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2010/11/mixi-twitter-fa.html

【ニ章】本論文の趣旨

本論文では、「インターネット上のネットワークでコミュニケーション(つぶやき)をする際 に、なぜ mixi と twitter を使い分けるのか」という疑問に挑みたいと考えている。故に、GREE とモバゲーのようなゲームに焦点を当てたものは扱わない。また、世界最大の SNS「Facebook」

は国籍も多様であり、データを正確に取れないと判断し、今回は調査対象外とする。あくまで国 内で、「つぶやき機能」を持ち、インターネット上の「コミュニケーション」として使われてい

(8)

8

る mixi と twitter の2つに焦点を絞る。twitter は国内だけの機能ではないが、比較的データ が国内に限定されており、海外と国内を切り離して考えることができると判断した。

疑問を解決するにあたり、以下の章では大きく3つの仮説を立て検証していく。「ユーザーが つぶやきをする際の使い分け」について検証するため、もちろんユーザー側に何かしらの違いが 生まれていると思われるのだが、そのユーザーに使い分けをもたらす要素として考えられるもの を次の3つとして仮説を立てた。

(仮説 A)見る相手の違い

(仮説 B)使っているデバイスの違い

(仮説 C)コミュニケーション形態の違い

以上の3つである。この3つは筆者自身が普段、mixi と twitter を使っている中で感じてい る違いであり、どちらでつぶやくか、を判断する際に関係していると普段から感じていた点であ る。それぞれについては以下の章で詳しく述べるが、仮説 A は、ユーザーは同じであるがコンテ ンツ(mixi,twitter)ごとに見ている相手が違うため、見てほしい相手によって発信する内容も 使い分ける、という仮説である。先ほど述べたように、両者のコンテンツの紐帯の強さの違いか ら考える。仮説 B は、情報を発信する際に、コンテンツごとに使っているデバイスが違うためそ の時々で、ユーザーの選択するコンテンツも変わってくるのではないか、という考えである。こ れは筆者自身がコンテンツごとに違うものを利用しているためだ。最後に仮説 C は、紐帯の強さ とは別に、それぞれでネットワークの出来方が違い、コミュニケーションが異なるため使い分け が起きるのではないか、という仮説だ。大きくこの3つの仮説に絞って検証していく。なお mixi、

twitter それぞれ様々なユーザーがいることが考えられるため、全てのユーザーに共通する結論 は出ないと考える。しかし、全体的にどのような傾向があるのか、大きな違いは何であるのか、

という点を考えていきたい。

【三章】仮説 A の検証

(1) 仮説 A

それぞれ見る相手の違いによって使い分けるのではないか

コンテンツごとに見ている人が違うため、どの人に見てほしいかをユーザー自身が判断し、コ ンテンツを選んでいるのではないか、と考えた。最初に述べたとおり、mixi はリアルな世界の 友人、twitter は面識のない友人が多い。そうすると、例えば友人にしか伝えたくないことは mixi、

知らない人にも伝えたいことは twitter などと使い分けていることが考えられる。mixi は元々 日記を書くものであるため、日記や感想など友人への報告が多く、twitter は政治家の利用も多 いため意見交換板のような用途で使われるのではないだろうか。具体的に挙げると、飲み会など

(9)

9

の告知や日記などは mixi、世の中に対する意見や「○○なう(※1)」など誰にでもわかる内 容は twitter に書くのではないだろうかと考えた。見ている人が違うことで、ユーザーの意識が 変わり、つぶやきの種類が変わるのではないか、ということだ。

少し視点が変わるが、一点付け加えたい情報がある。筆者の行ったアンケート(※2)では、

それぞれのコンテンツでレスポンスへの期待度が違うことがわかった。「自分が書き込んだ場合 のレスポンスは期待するか」という質問に対し、mixi では「レスポンスの期待をする」と応え た人が一番多く53%いたのに対し、twitter では「レスポンスの期待はしない」との回答が一 番多く42.6%と正反対の結果となった。

<図3>書き込みへのレスポンス期待度

このことから「書き込みを見た相手がレスポンスをするかどうか」の期待によってつぶやきを 使い分けていることも考えられる。例えば、特に誰の反応も期待しないような独り言などは、レ スポンスの期待の低い twitter にする可能性がある。そこで、仮説Aに少し補足をしたい。仮説 Aは「mixi、twitter それぞれ、見る相手の違いによって使い分けるのではないか」ということ であったが、「相手の反応の期待度」によって使い分けているのではないか、という点も同時に 検証したい。

仮説 A

それぞれ、見る相手の違いによって使い分けるのではないか。

見る相手に対するレスポンス期待度によってつぶやくコンテンツを選択しているのではないか

(2) 検証

この仮説が正しいとすれば、つぶやきの種類の大きな差が出るはずである。検証ではつぶやき の内容を見て、それぞれで大きな違いがあるかを分析する。つぶやきの種類を mixi、twitter

期待する 少しする しない

mixi 53.2 36.2 10.6

twitter 10.6 46.8 42.6

0 10 20 30 40 50 60

単位:%

レスポンスを期待するか

(10)

10

の特徴をとらえていると思われる以下の5つに振り分け、カウントする。それぞれ平日の夜(5 0個)、休日の夜(55個)に調査を実施した。なお、芸能人や政治家などのものや判断しかね るもの(他のユーザーへの返信など)、mixi と twitter を連動させている人や極端につぶやき 回数の多い人のつぶやきはカウントしていない。

以下が振り分け項目と、仮説 A が正しいとした時の予想される結果である。

<振り分け内容>

・「独り言」・・・・・・・・・・・・・・・レスポンスを期待しないため twitter に多い。

・「告知」・・・・・・・・・・・・・・・・・飲み会や交流会など、明らかに見せたい相手が異なると思われ る。mixi に多い。

・「○○なう」・・・・・・・・・・・・・twitter で生まれた言葉であり twitter 特有のリアルタイムが 活かされるので twitter に多い。

・感情、日記などの「報告」・・・同意を求めるような感情はレスポンスが欲しいと思われる。

さらに mixi 特有の機能が日記であるため mixi に多い。

・「意見、問題提起」・・・・・・・・多くの人に訴えたいような意見、世の中に対する問題提起など は、つぶやきが広がりを見せる可能性のある twitter に多い。

【つぶやきの振り分け】 mixi twitter

独り言 38 44

告知 1 0

○○なう 14 11

報告(日記・感情) 41 35

意見、問題提起 11 15

合計 105 105

(休日と平日では特に差はなかったため、特に明記していない。)

(3)分析

仮説からの予想どおり、確かに mixi で一番多いのは「日記・感想」、twitter で多いのは「独 り言」となった。しかし、コンテンツの特徴から考えられる予想では、大きな差がついてもおか しくない。「○○なう」においては予想とは反対の結果である。コンテンツの相手の違いを大き く反映すると考えられるつぶやきの内容が、これだけ小さい差であると、あまり両者に明確な差 があるとは言えない。見ている人によって、ユーザーがつぶやきの種類を使い分けているような 傾向はないと判断する。

検証結果:仮説A→棄却

(11)

11

※1:「○○なう」とは「○○をしている最中」という意味で用いられ、twitter 上で生まれ た言葉である。

※2:筆者がインターネット上で47人に実施した mixi、twitter についてのアンケート

【四章】 仮説 B の検証

(1) 仮説 B

それぞれ使用するデバイスが違うため使用するコンテンツを左右する

例えば、mixi が携帯電話、twitter がパソコンなどとコンテンツによって使うデバイスが違う 場合、必然的にそのデバイスを使っているコンテンツが選ばれてしまう、という考えである。こ の考えに至ったのには、デバイスとの親密度の話(※3)がある。コンテンツの親密度が高い場 合、高い親密度のデバイスを選ぶ、という理論である。つまり、親密度の高い mixi はプライベ ート度の高い携帯で見ており、twitter などの親密度の低いものは比較的親密度の低いパソコン などを使っている可能性がある。そう仮定すると、mixi は強い紐帯で結ばれているのだから、

親密度が高く携帯電話を使用し、弱い紐帯で結ばれている親密度の低い twitter では違うものを 使っていることが考えられる。もしデバイスがコンテンツごとに違うならば、デバイスの違いに よって自然と mixi か twitter かの選択をしているのではないだろうか。

(2) 検証

それぞれ何のデバイスを使っているのかアンケートを実施し、検証する。回答者には「主に何 のデバイスを使っているか」という質問に回答してもらった。また筆者自身が感じている点であ るが、スマートフォンであると mixi と twitter ではかなり利用のしやすさが異なる。twitter の方が、アプリが充実しているため twitter のみスマートフォンで、mixi は携帯電話という選 択をしている人がいるのではないか、と考えた。そのため回答の選択肢に、携帯電話とパソコン に加えスマートフォンも追加した。

結果は、やはりネットワーク上のコミュニケーションということもあってか、携帯電話が mixi、

twitter 共に最大であった。以前、筆者が聞き込みを行った際には「SNS は暇な時に見る」とい う回答が多かったため、いつでも持っている携帯電話が多いのかもしれない。この携帯電話を選 択した24人は、mixi と twitter で全く同じ人々であった。

<図5>主に使用するデバイス

(12)

12

(筆者がインターネット上で47人にアンケートを行った)

(3) 分析

スマートフォンにこそ少しの差はあったが、コンテンツの違いによって大きくデバイスが異 なることはなさそうである。スマートフォンからパソコンに移行している点が唯一気になる点 であるが、今回の仮説の検証とは関係がないと判断したため、仮説が正しいということは出来 ない。また筆者が予測した「スマートフォンで twitter を見て、携帯電話で mixi を使う人」

はいなかった。そのため、この仮説 B は棄却とする。

検証結果:仮説 B→棄却

※3:2008 年度網倉ゼミナール卒業論文(東彩貴、相沢祥子著)より

【五章】 仮説 C の検証

(1) 仮説 C

コミュニケーション形態の違いが使い分けをもたらしているのではないか

仮説 A では、mixi と twitter の紐帯の強さが違うことから、見ている人物(ネットワーク)

を意識してつぶやきを使い分けているのではないか、という視点から考えていたが棄却となっ た。そこで新たに仮説 C を考えた。

確かに mixi と twitter では、面識のある人物の多さやコンテンツそのものの特徴からネッ トワークが違うことが当然、考えられる。しかしネットワークという視点ではなく、そもそも mixi と twitter ではコミュニケーションの形態が違うのではないか、と考えた。ネットワー クではなくコミュニケーションが違うことで、つぶやきの使い分けが起きているのではないか。

筆者自身は mixi では現実の友人関係が反映されているが、twitter の場合は共通の趣味を持 つ人と繋がっていることが非常に多い。twitter ではその人物についてのイメージなどが全く ないままコミュニケーションをとることもしばしばある。その原因を考えたところ、twitter は人物同士ではなく、間にワードを挟み、共通のワードを中心としたコミュニケーションが行 われているのではないか、と考えた。

筆者の考える、それぞれのコンテンツのコミュニケーションの形態を示すと、以下のとお 24

14 9

24 17

6 携帯電話 スマートフォン パソコン

使用するデバイス(単位:人)

mixi twitter

(13)

13 りである。

<コミュニケーション形態>

つぶやき

mixi 人物 A 人物 B

twitter 人物 A ワード(つぶやき) 人物 B

mixi は人物同士がつぶやきを通してコミュニケーション行うのに対し、twitter はワード を中心にして様々な人物がコミュニケーションをとる。つまり、mixi は人物同士がネットワ ークを作り、そのネットワークの中でコミュニケーションが行われているのに対し、twitter はコミュニケーションの中心が趣味や、議題などのワードになっており、その共通ワードの 中でネットワークができ、コミュニケーションが行われているのではないかと考えた。

ではまず、本当にそのワードを中心としてコミュニケーションをとっているのか、分析し ていく。筆者の使っている意識の中では、共通ワードで人々がコミュニケーションをとって いる印象が強いが、具体的に表わせるように仮説 C-1として検証したい。

(2) 検証1 仮説 C-1

twitter ではあるワードを中心として、コミュニケーションが行われているのか。

それを検証するには、twitter を実際に調べなければならないのだが、あまりにも膨大なユ ーザーとくくりのないコミュニケーションのため、twitter を調べることは難しい。ある程度 限定される mixi から調べたいと思う。mixi でも共通のワードを持って、コミュニケーション をとる機能がある。それがコミュニティーである。これは明らかに、興味を持ったワードの下 に集まった集団であり、共通のワードを中心にコミュニケーションの行われる場所である。

mixi のコミュニティー内で、ワードを中心としたコミュニケーションが行われるのは当たり 前であるので、コミュニティーに属さない人々を見てみたい。なぜなら、コミュニティーに属 さない人々が twitter を多く利用していた場合、mixi でのワード中心のコミュニケーション を twitter 上でしていると考えられるからである。

そのコミュニティーに属さない人々というのが高校生である。高校生は mixi の規約により、

コミュニティーに入ることができない。また、面識のない人物とマイミクにならないようなブ ロックもかかっている。つまり mixi 上の高校生は現実世界の友人としか、話すことができな い。そこで、マカフィーが2010年9月に実施した高校生に対するアンケートを分析したい。

<図6>利用している OGM は何か

(14)

14

出所(3)マカフィー実施:高校生(男 515 人、女 515 人)の CGM に対する意識、利用実態の調査結果

(3)分析1

高校生が利用している CGM の調査を見てみると、ツイッターが48.7%であるのに対し mixi は37.8%と差が付いている。20代~40代男女の最も利用している SNS という調 査(ソ フ ト バ ン ク ・ ヒ ュ ー マ ン キ ャ ピ タ ル 株 式 会 社 2 0 1 0 年 調 査 )では mixi がダ ントツの1位で twitter の利用はその約半分と少しであったにもかかわらず、高校生は twitter の方が多い結果となっている。高校生の twitter 利用は高校生特有の現象である、と 判断できるのではないだろうか。また、それぞれの書き込み内容で一番多いのは「趣味のこと」

が83%、二番目に多いことは「身の回りのこと」58.5%となっており、ほとんどが趣味 のことであるようである。趣味についての書き込み、つまり共通ワードの書き込みが多く、そ のツールの1つとして mixi よりも twitter を使っているということではないだろうか。しか し、高校生の利用する SNS は大きな差をつけてブログが1位(83.4%)であるので、一概 に高校生が趣味のことを twitter に書き込んでいるとは言えない。この検証はとりあえず保留 とする。

検証1の仮説 C-1

twitter ではあるワードを中心として、コミュニケーションが行われているのか→保留

(4)検証2

仮説 C-1では、ワードを中心としたコミュニケーションが「twitter」で本当に行われてい るのか、という点で保留となった。そのため、仮説 C-2 を立てることにした。仮説 C-1と同 じく twitter ではあるワードを中心として、コミュニケーションが行われているのかを検証す るのだが、少し視点を変えて仮説を立ててみる。逆説的になってしまうが、twitter 上でワー ドを中心に話をするのであれば、twitter 以外の場所で共通ワードを中心に話をしている人は twitter を使っていないのではないだろうか。つまり図で示すと以下のとおりである。

(15)

15 共通のワードを持って話をしている人は

twitter 上でワードを中心に話をする ⇔ twitter の利用 twitter 以外の場所でワードを中心に話をする ⇔ twitter の不利用

仮説 C-2

Twitter 以外で共通のワードで話している人は twitter を使わない

そこで mixi のニュースについて日記を書き、さらに日記を全体に公開している人は mixi 上で 共通のワードでコミュニケーションをとっていると考えた。20名(男性 13 人、女性7人)に アンケートを行った。

<アンケート内容>

Q1 マイミクに面識のない人物は何%いるか

A:いない、B:1~10%、C:11~49%、D:50~99%、E:100%

Q2 twitter を利用しているか(ログインしないものは不使用と考える)

はい、いいえ

Q3 twittter への書き込みの頻度はどれくらいか

A:1日に10回以上、B:1日に2回~9回、C:1日1回、D:2~3日に1回、

E:4日以上の期間をあけて1回、F:書き込みはしない

(5)分析2

以下にアンケート結果を表にまとめた。なお、アンケート対象の20人は、mixi ニュース のお天気や社会のニュースなど、あまりユーザーに偏りのなさそうな題目を選んでいる。男女 ほぼ同数、なるべく多い人数を目指してアンケートを取ったが、mixi にメッセージを送る回 数の制限がかかっており、回答数が集まらなかったため、あくまで傾向として解釈したい。

<Q1の結果>

Q1 単位:人

A 2

B 3

C 2

D 10

E 3

Q1については、やはり日記を公開にしているだけあって、面識のない人がマイミクのほと んどを占めている人が多いようである。そのため、この人々が仮説の通り、「twitter 以外で 共通のワードを通してコミュニケーションをしている人」とみなすことにする。

(16)

16

<Q2、Q3の結果>

Q2 単位:人 はい 5 いいえ 15

Q2、Q3について見てみると、ほとんどの人が twitter を利用していないことが分かる。

まず twitter を利用していない人が多いのだが、書き込みの回数も見てもらいたい。私が友 人47名に対して行ったアンケートでは、50%の人が書き込み頻度について「1日2回~

9回」と応え、21.3%が「1日に1回」、14.9%の人が「1日に10回以上」と応えて いる。書き込みの回数が割と平均して多いのだ。しかし、今回の mixi で日記を公開している 人々は、ほとんどが twitter を利用しておらず、利用していても利用の頻度は極端に少ない ようである。回答者の中から「twitter に必要性を感じない」という意見が3つ寄せられた。

分析の冒頭でも述べたとおり、回答数が多いとは言えない状態であるので、あくまで傾向と して解釈するが、mixi で共通のワード(今回はニュース)について情報を発信し、コミュニ ケーションをとっている人は、twitter をあまり利用していない。故に、twitter の機能を mixi で補っていると判断する。よって仮説 C-2は採用とする。

仮説 C-2

twitter 以外で共通のワードで話している人は twitter を使わない→採用

(6)仮説 C の総合分析

仮説 C-1より、コミュニティーに入っていない高校生たちは mixi よりも twitter を使う傾 向がある(ブログがあるため因果関係は不明確である)ことや、外部で趣味などの共通の話題 となりうるものを書き込んでいることがわかった。さらに仮説 C-2では mixi で共通のワード についてコミュニケーションをとっている人は twitter を利用していないことがわかった。つ まりこれは twitter と mixi の役割が重なっているからだと考えられる。これらの結果を総合 して、twitter と mixi ではコミュニケーションの形態が違う、と判断する。そのコミュニケ ーションの違いとは、mixi は人物を中心としたコミュニケーションであるのに対し、twitter は共通のワードを元にコミュニケーションが行われることである。

故に、mixi と twitter では仮説 A のようにつぶやきの種類が違うのではなく、つぶやきが 人物とのコミュニケーションのツールであるか、もしくはつぶやきの内容がコミュニケーショ ンの中心になりうるワードを含んでいるか、という点が違うと思われる。

よって、仮説 C の

Q3 単位:人

A 1

B 0

C 0

D 1

E 2

F 1

(17)

17

それぞれコミュニケーション形態の違いが使い分けをもたらしているのではないか という仮説が3つの中で最も有力であるとし、本論文の結論とする。

【六章】 まとめ

本論文の冒頭でも述べたとおり、本論文は「つぶやきをなぜ使い分けるのか」、という疑問 に挑んだ。同じ「つぶやき」であるのに、なぜ使い分けるということが起きるのか、を3つの 仮説から検証した。mixi と twitter のユーザーが見たら「ここが違う」、「私は違う」とい う点もあるだろう。小さな違いについて一つ一つ検証は出来ていないが、今回の検証を通して mixi と twitter の広域な違いを見ることができたのではないかと考える。mixi と twitter は よく紐帯の話として取り上げられていた。この論文を通して紐帯だけではなく、ネットワーク の構造自体が違うのではないかという新しい可能性を示せていたら、嬉しい成果である。また 本論文を執筆している間に、男女差があるというデータがいくつか出てきていた。この論文で は力量の問題で触れることができなかったが、機会があれば男女での違いについても考察した いと考えている。

mixi や twitter はまだまだ発展途上にある。本論文で述べてきたネットワークの形態も日々 変わっていくだろう。しかしその変化の中から、また本論のような人と人の関わり方の違いな どを見ていくことができたら嬉しく思う。

(18)

18

<参考>

・アルバート・ラズロ・バラバシ(著)、青木薫(訳)

「新ネットワーク思考~世界のしくみを読み解く~」NHK 出版 2002

・ニコラス・A・クリスタキス、ジェイムズ・H・ファウラー(著)、鬼澤 忍(訳)

「つながり~社会的ネットワークの驚くべき力~」講談社 2010

・vizlog「 mixi vs GREE ユーザー編データ」

http://vizlog.visualzoo.com/archives/817

・mixi, Twitter, Facebook 2010 年 10 月最新ニールセン調査 「 Twitter は堅調、Facebook は 急伸」

http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2010/11/mixi-twitter-fa.html

・マイボスコム 「SNS の利用に関するアンケート結果」(2009.11.9 実施)

http://www.garbagenews.net/archives/1133101.html

・PRONWEB「20代女性は twitter と mixi を使い分けている?」

http://www.pronweb.tv/modules/newsdigest/index.php?code=2042

・COCO 「ビジネスマイスターに聞く!」

http://cloud.watch.impress.co.jp/epw/docs/series/meister/20091022_323215.html

Referensi

Dokumen terkait

グリコアルカロイドは身近な毒性物質であるが,われわ れの研究以前には生合成経路に関する報告は極めて少な く,経路特異的な遺伝子についても糖転移酵素の報告の みであった4〜6.ジャガイモはソラニンとチャコニンと いう2つの物質を同時に蓄積するため,一方の物質の生 合成に関与する糖転移酵素の発現を抑制することでは, 他方の物質が増加してしまうことが報告されていた.グ

■ 科学フェスタにおける感染症対策について 1.次の(1)~(5)のいずれかに当てはまる場合、参加についてはご遠慮ください。 (1)体調が良くない(平熱を超える発熱、咳、のどの痛みなど風邪症状、だるさ、息苦しさなど)。 (2)嗅覚や味覚の異常がある。 (3)開催日前 14 日以内に新型コロナウイルス感染症陽性とされた人との濃厚接触がある。

講義 レポート作成のための (復習)インター PPtで解説 情報収集とまとめ⽅が ネットでデジタル アーカイブについて 演習 理解できる 調べる 18 レポート作成に対 (予習)発表の原稿 0 してのフィード を考え、発表の練習 バック をする.. 発表 プロジェクターによる 資料提⽰ ① ②に対して

きっかけは芸術に対する関心だとかそういった崇高な物ではなかった。私には人生の師匠と呼べる人が数人いて、そのうちの ちで行く事を決めた。 見て欲しいと思った物を見てみたい、くらいの気持 き合いだった。なのでどちらかというと師匠が私に と私の嗜好は方向性が似ており既に六年を越える付 めるから行ってみるといいよ」と。その師匠の嗜好

5 プログラムを 実行しおわったら、あつめた 数が 数えられます。 ロボットが ★を あつめて ターゲットの 数を つくることが できたら、 せいかいです。 うまくいかなかったら、ブロックを 組み立て直して もう1回 チャレンジ しましょう。 「リセット」ボタンを おすと、ロボットが もとの ばしょに もどります。 あつめた数の ひょうじエリア あつめた数

23 5.小単元の指導(総時数5時間) 時数 ねらい ○学習活動 ① ( つ か む) 日本の自動車の輸出の様子を調べ,工業生産 における世界各国との結びつきについて関心 をもち,学習問題をつくることができるように する。 ○日本の自動車の輸出の様子を様々な資料か ら読み取り,わかったことを話し合い,これ から調べていく学習問題をつくる。 ① (調 べ

昔に起きたできごとについての調査や研究は、現在も続けられています。およ そ 750 年前に元軍と日本が戦った場所でも調査が続けられ、戦いで使われた武 器「てつはう」も見つかりました。 てつはうが見つかった!~元 げ ん 軍との戦い 現在も続く「元軍との戦い」についての調査 鷹たか 島し ま神こ う崎ざ き遺い跡せ

5年 わたしたちのくらしと国土 13〜16時間配当時間 内容(1)ア・イ学習指導要領 1.単元の目標と単元構成 目 標 ・我が国の国土や自然などの様子,世界の主な国の位置や名称などについて, 興味・関心をもって調べることができるようにする。 ・我が国の国土や自然などの様子について調べ,国土の環境が人々の生活や産