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まえがき

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Academic year: 2024

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まえがき

本書は筆者が岡山大学工学部情報工学科の2年次学生に対する講義の教科書として執筆したもので ある.内容は伝統的に「数値解析」と呼ばれているものである.近年,大学の情報系では数値解析の 授業が行われることが少なくなっているようである.その理由は「数値解析」という分野が発展し,

細分化されるに従って意義があいまいになったためと思われる.現在でもおびただしい数の「数値解 析」という表題の教科書が市販されているが,例えば次のように,取り上げ方はさまざまである.

1. 数値解析を数学の一分野とみなし,連続変数の微分,積分を離散変数で近似して解くときの誤 差,微分方程式を差分方程式で近似するときの誤差,および離散化を細かくした極限での解の 収束の挙動を精密に解析している.主に数学者によって書かれている.

2. 物理学や工学のさまざまな問題(電磁場,流体,熱伝導,弾性変形,振動場など)を数値的に 解くための手法を解説している.主として微分方程式の数値解法が中心となる.著者は数学者 だけでなく物理学者や工学研究者であることも多い.

3. ベクトルや行列の計算や連立1次方程式の解法を中心にして,次元や変数の数が多いときの大 規模な計算を効率的に実行する方法を主眼にしている.これは大きなシステムの最適な解を求 める計算の多くが,次元の高いベクトルや行列の反復演算に帰着することによる.著者は工学 分野の研究者であることが多い.

4. 種々の数値計算のためのプログラムの書き方を解説し,プログラミングの教科書としている.そ

のためFORTRANやCのような代表的な言語ごとに書かれている.著者は主に情報系である.

計算機が利用され出した4, 50年前にはこれらすべてが一つにまとまった授業が行われ,そのよう な教科書が数多く書かれた.その目的は具体的な問題に対して自分でプログラムを書いて解を求める ことであった.しかし,今日では自分でプログラムを書くことがほとんどなくなり,プログラミング ライブラリを利用するのが普通である.このため数値解析の授業の必要性が薄れ,プログラミング言 語習熟のための演習の一例として取り上げられるだけになりつつある.その結果,学生が数値計算の 原理を知らずに不適切なツールを用いたり,出力結果の解釈を誤ったりすることがしばしばある.や はり数値計算の基本的な知識は不可欠である.しかし,高級な理論は必要ではない.

そこで本書は数値解析を,大学の初年度で学ぶべき数学(微分,積分,ベクトル,行列など)の理 解を深めるために,それを「数値を用いて計算する」という視点からまとめた.そのため,固有値計 算や最適化などの複雑あるいは巧妙なプログラミング技法や高度な数学理論を要するものは除外して いる.また,ほとんどすべての数値解析の教科書に載っている(常,偏)微分方程式は扱っていない.

(2)

これは自然現象を取り扱わない情報系のカリキュラムでは微分方程式が現れないためである.その代 わりに差分方程式(漸化式)を取り上げた.差分方程式は微分方程式を離散化したものとみなせるだ けでなく,情報系でも計算量や反復の収束性の解析に不可欠なためである.しかし,重要であるにも かかわらず差分方程式を扱う教科書は非常に少ない.それは理論が比較的単純で,1冊の書物にする には分量が少なすぎるからだと思われる.その意味でこれを本書に含めることは多くの読者の助けに なるものと思う.

本書は各章ごとに学習を助ける練習問題をつけ,巻末に詳細な解答を付している.本書は大学の情 報系を意識しているが,それが最も顕著に表れているのは第2章であろう.本書が情報系の授業や演 習の教科書として活用されることを期待している.本書の原稿を全般に渡って目を通して頂いた岡山 大学大学院自然科学研究科の太田学准教授,明治大学研究・知財戦略機構の杉原厚吉教授,および国 立情報学研究所の速水謙教授に感謝します.また編集の労をとられた共立出版(株)の大越隆道氏,

國井和郎氏にお礼申し上げます.

2010年10月

金谷健一

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目 次

まえがき i

1章 数値と誤差 1

1.1 数値の表現 . . . . 1

1.2 2進法と10進法の変換. . . . 2

1.2.1 10進法から2進法へ . . . . 2

1.2.2 2進法から10進法へ . . . . 4

1.3 四則計算の丸め誤差 . . . . 5

1.3.1 絶対誤差と相対誤差 . . . . 5

1.3.2 乗算の誤差 . . . . 7

1.3.3 除算の誤差 . . . . 8

1.4 桁落ち . . . . 10

練習問題 . . . . 14

2章 べき乗と多項式 16 2.1 べき乗の計算 . . . . 16

2.2 多項式の計算 . . . . 17

2.3 ホーナー法の応用 . . . . 21

2.4 繰り返し計算アルゴリズムの構成法 . . . . 23

練習問題 . . . . 24

3章 方程式の解 26 3.1 ニュートン法 . . . . 26

3.1.1 反復公式 . . . . 26

3.1.2 終了条件 . . . . 26

3.2 ニュートン法の収束 . . . . 30

3.3 多項式の解の計算 . . . . 32

3.3.1 次数低下法 . . . . 32

3.3.2 組み立て除法 . . . . 32

3.3.3 剰余定理とホーナー法 . . . . 33

(4)

3.4 導関数を用いない方法 . . . . 35

3.4.1 2分法 . . . . 36

3.4.2 はさみうち法 . . . . 37

練習問題 . . . . 38

4章 連立1次方程式 40 4.1 クラメルの公式. . . . 40

4.2 はきだし法 . . . . 42

4.2.1 手順 . . . . 42

4.2.2 プログラム . . . . 45

4.2.3 複数の連立1次方程式 . . . . 48

4.2.4 逆行列 . . . . 48

4.2.5 行列式 . . . . 50

4.3 ガウス消去法 . . . . 51

4.3.1 手順 . . . . 51

4.3.2 プログラム . . . . 54

4.3.3 LU分解 . . . . 56

4.3.4 行列式 . . . . 61

練習問題 . . . . 62

5章 反復法と収束 64 5.1 ヤコビ反復法 . . . . 64

5.2 ヤコビ反復法の収束 . . . . 67

5.3 ガウス・ザイデル反復法. . . . 71

5.4 ガウス・ザイデル反復法の収束 . . . . 73

練習問題 . . . . 76

6章 数値積分 77 6.1 ニュートン・コーツの公式 . . . . 77

6.2 台形積分とシンプソン積分 . . . . 81

6.3 台形積分とシンプソン積分の誤差評価 . . . . 84

6.4 加速とロンバーグ積分 . . . . 88

6.5 ガウスの積分公式 . . . . 91

6.6 ルジャンドルの多項式 . . . . 95

練習問題 . . . . 98

(5)

7章 線形差分方程式 100

7.1 定係数線形差分方程式 . . . . 100

7.1.1 同次差分方程式 . . . . 100

7.1.2 重解の場合 . . . . 104

7.1.3 非同次差分方程式 . . . . 106

7.1.4 数列の収束と発散 . . . . 107

7.2 連立差分方程式. . . . 108

7.2.1 同次連立差分方程式 . . . . 108

7.2.2 非同次連立差分方程式 . . . . 110

7.2.3 ベクトル列の収束と発散 . . . . 112

7.3 線形差分方程式の連立差分方程式による表現 . . . . 114

練習問題 . . . . 117

練習問題の解答 119

Referensi

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