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ア ジ ア の エ ネ ル ギ ー 開 発 と 日 本

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(1)

アジ ア の エネ ル ギー 需 要 の増 大 が世 界 を 揺さ ぶ って い る

︒ 二〇

〇四 年か ら〇 五年 に かけ 原油 価格 は急 騰し

〇五 年三 月 には 米 WT I 原油

︵ ウ ェ ス ト

・ テ キ サ ス

・ イ ン タ ー ミ デ ィ エ イ ト: ア メ リ カ 市 場 の 指 標 原 油

︶ で 一バ レル 五七 ドル の過 去 最高 値を 記録 した

︒原 油高 騰 の原 因の うち 需要 面の 要 素の 多く は 中国

︑イ ンド を中 心に ア ジア がも たら して いる と 言っ て過 言 では ない

︒ア ジア にと っ てエ ネル ギー 調達 は一 段 と重 要な 課 題に なっ てく る一 方で

︑ エネ ルギ ーの 多く を 中東

︑ア フリ カ など 域外 に依 存し

︑今 後 さら に域 外依 存度 が 高ま る可 能性 が ある 域 ︒ 外依 存が ただ ちに エ ネル ギー 安全 保障 面 での 不安 を引 き

起こ すと は言 い切 れな い が︑ 長期 的に みて 日本 を 含む アジ ア 各国 がエ ネル ギー 調達 に おい て域 外依 存度 を下 げ る努 力を し なけ れば なら ない のは 当 然で ある

︒ア ジア 域内 に おけ る多 様 なエ ネル ギー 開発 が課 題 にな って いる ので ある

︒ 問題 はエ ネ ルギ ー 開発 が領 土や 排他 的 経済 水域

︵ E E Z

︶ を めぐ る紛 争 や権 益獲 得を めぐ る国 家間 の 競合 と結 びつ き︑ そ れぞ れの 国 内で ナシ ョナ リズ ムを 刺激 し てい るこ とで ある

︒ エネ ルギ ー 安全 保障 をめ ぐる 各国 の 努力 が︑ かえ って アジ ア 地域 の安 定 を崩 しか ねな い逆 説が 起き てい る︒ 調

ア ジア のエ ネル ギー のう ち

︑域 内で 自給 でき て いる もの は

(2)

石炭 およ び バイ オ マス

︵ 生 物 エ ネ ル ギ ー

︑︶ 風 力発 電 など に 限 ら れる

︒ 天 然ガ ス も地 場 の ガス 利 用は 多 い が︑ 日 本︑ 韓 国

︑ 台湾 は液 化天 然ガ ス

︵ L N G

︶ をオ ー スト ラリ ア︑ カ ター ル

︑ オマ ーン など 域外 から 調 達し てお り︑ 自給 率は む しろ 低下 傾 向に ある

︒原 子力 にし て も︑ ウラ ンは 中国 で生 産 され

︑一 部 は日 本に も輸 入さ れて い るが

︑供 給源 の多 くは オ ース トラ リ ア︑ カナ ダな ど域 外に あ る︒ 全体 とし てア ジア は エネ ルギ ー の域 外依 存 度が 今後 ます ます 高ま る︒ な かで も︑ 原油 調達 の 域外 依存 度は 二〇

〇三 年 にお いて 六

〇% を超 えて いる

︵ B P エ ネ ル ギ ー 統 計 二

〇 四 年 版

︶︒ 二

〇四 年に は中 国の 原油 輸 入量 がさ らに 三〇

%近 く 伸び たこ と から

︑域 外 依存 度は さら に高 まっ てい る︒ L NG はア ジア 域内 に マレ ーシ ア︑ イン ドネ シ ア︑ ブル ネ イと いう 供給 国が あり

︑ さら にL NG の大 輸出 国 であ るオ ー スト ラリ アま で域 内と み れば

︑域 外依 存度 は二 八

・六

%に す ぎな い︒ だが

︑中 国が 二

〇〇 六年 に広 東省 でL N G輸 入を 開 始し

︑さ らに 沿海 部で L NG 利用 を拡 大す る 方針 であ るこ と が大 きな 変動 要因 とな る

︒広 東省 のプ ロジ ェ クト は主 たる L NG 供給 源は オー スト ラ リア だが

︑必 要量 や 価格 によ って は ス ポッ ト 取引 で 別 の供 給 源 から 買 う場 合 も 想定 さ れて い る

︒ 福建 省︑ 上海

︑山 東省 な ど今 後の 新規 プロ ジ ェク トで は主 な

供給 源が 大増 設に よっ て LN G供 給力 が高 まる カ ター ルや オ マー ンな どに なる 可能 性 が高 い︒ LN Gに 関し て もア ジア は 長期 的に 域 外依 存度 を高 めて いく のは 間違 い ない

ア ジア がエ ネル ギー 調達 に おい て直 面し てい る 深刻 な問 題 の一 つは 域内 の油 田生 産の 減 退傾 向で ある

︒ア ジ アに は世 界 第 六位 の産 油国 で ある 中国 や石 油 輸出 国機 構︵ O P E C

︶ 加 盟 国で あ る イン ド ネシ ア

︑ さら に マレ ー シ アな ど があ る が

︑ いず れも 生産 は頭 打ち か減 少傾 向に ある

︒ ア ジア 最大 級の 油田 であ る 大慶 油田 は二

〇〇 三 年に 年間 産 油量 が 四八 四〇 万ト ン︵ 日 量 換 算 で は 約 九 七 万 バ レ ル

︶ に とど まり

︑一 九七 六年 から 続け て きた 年産 五〇

〇〇 万 トン の大 台 を割 り込 んだ

︒二

〇〇 四年 に はさ らに 四六 四〇 万 トン に減 退 して いる

︒大 慶油 田は 初期 か ら油 層に 水を 注入 す るな どさ ま ざま な増 産対 策を 進め

︑ 九〇 年代 末か らは ポリ マ ー注 入も 実 施し てき たが

︑明 らか に限 界に 達し てき てい る︒ イ ンド ネシ アは 一九 九 三年 に日 量一 五八 万バ レ ルだ った 生 産量 が 二〇

〇三 年に は一 一七 万バ レル まで 低 下し てい る︒ 一〇 年間 で二 六% もの 減産 で あり

︑国 内の 石油 需要 の 高ま りも あ って

︑二

〇四 年に は石 油 の純 輸入 国に 転落 した 模様 であ る︒ 沖 合油 田の 開発 が進 む マレ ーシ ア︑ ベト ナム は 緩や かに 生

(3)

産が 伸び てい るが

︑生 産 量は マレ ーシ アが 二〇

〇 三年 に日 量 八 七万 バ レ ル︑ ベ トナ ム が 日量 三 七万 バ レ ル程 度 にす ぎ ず

︑ 域内 自給 率を 高め るよ う なイ ンパ クト はも って い ない

︒む し ろ︑ ベト ナム は経 済成 長 に伴 って

︑今 後︑ 原油 の 輸出 余力 は 減少 に転 じ ると みる べき であ る︒ ア ジア 域内 で︑ 今後 具 体的 な増 産が 期待 でき る のは

︑サ ハ リン 沖で ある

︒サ ハリ ン は天 然ガ ス開 発が 主で あ るが

︑合 わ せて 原油 も産 出し てい る

︒事 業化 で先 行す る サハ リン 2は L NG 生産 に先 立っ て︑ す でに 一九 九九 年に 原 油生 産を 日量 二

〇万 バ レル 規模 で 始め てお り

︑一 月か ら 三月 の厳 冬期 を除 き

︑ 原油 を生 産︑ 出荷 して い る︒ サハ リン 1は パ イプ ライ ンに よ るガ ス供 給計 画の 具体 化 が難 航し てい るが

︑ 二〇

〇五 年に は 原油 生産 を 開始 する 予定 であ る︒ 中 国政 府は 二〇

〇五 年 に入 って 二つ の興 味 深い エネ ルギ ー 開発 のニ ュー スを 公表 し た︒ 一つ は﹁ 中国 石 油化 工集 団公 司

︵ シ ノ ペ ッ ク

︶ が 渤海 湾 で国 内 消費 量 の八

〇年 分に あ たる 二

〇 五億 ト ンも の巨 大 な原 油埋 蔵 を発 見し た﹂ とい う もの であ る

︒ 渤海 湾は 一九 九九 年に

﹁ 蓬莱 一九 号﹂ とい う大 型 油田 が発 見 され

︑原 油増 産が 続い て おり

︑中 国に とっ て期 待 すべ き産 油 地帯 とな って いる

︒だ が

︑公 表さ れた 二〇 五億 ト ンの 原油 埋 蔵の 定義 が はっ きり せず

︑そ のま ま信 ずる の は困 難で ある

も う一 つの ニュ ース は﹁ 大 慶油 田の 深度 四四

〇メ ート ル の地 層で 一〇

〇〇 億立 方メ ー トル のガ ス埋 蔵を 発 見し た﹂ と いう もの であ る︒ 大慶 油田 を 管轄 する 中国 石油 天 然ガ ス集 団 公 司︵ C N P C

︶ は

︑ 大慶 にお ける 探 鉱・ 開発 の中 心 を原 油 か ら増 産 余 地の 大 きい ガ ス に移 し つつ あ る と言 わ れて お り

︑ ガス 田は この 方針 に従 った 発 見と 理解 でき る︒ た だ︑ これ も 事実 関係 の見 極め が必 要で ある

︒ ま とめ れば

︑現 状で はア ジ アは 域内 のエ ネル ギ ー需 要の 増 加に 見合 うだ けの 新規 の域 内 エネ ルギ ー源 を開 発 でき てい な いと いう こと であ る︒

〇〇 四年 春あ たり から 東 シナ 海に おけ る中 国 のガ ス田 開 発が 日 本国 内で 政 治問 題と して 取り 上 げら れる よ うに なっ た

︒ きっ かけ は日 本の 主張 する E EZ の中 間線 から 数 キロ の中 国 側海 域で 中国 側が 海洋 プラ ッ トホ ーム を設 け︑ ガ ス田 開発 に 着手 し たこ とで あ る︒ 中国 側は これ を

﹁春 暁ガ ス 田﹂ と呼 び

︑ 生産 した ガス を浙 江省 寧波 に 海中 パイ プラ イン で 送る 計画 と 言わ れる

︒ 日 本側 にと って 春暁 ガス 田 は主 に三 つの 問題 点 を有 して い

(4)

る︒ 第一 に︑ EE Zの 中 間線 につ いて 日中 間で ま だ決 着が つ いて いな い段 階で 中間 線 付近 の微 妙な 海域 での 開 発は すべ き では ない

︒第 二に

︑春 暁 ガス 田は 中国 側海 域と は いえ

︑中 間 線に 近く

︑ガ ス層 が日 本 側に も延 びて いる 場合

︑ 日本 のガ ス 資源 を中 国側 が奪 うこ と にな りか ねな い︒ 第 三に

︑近 年︑ 東 シナ 海に おけ る中 国の 海 洋調 査船 や海 軍艦 船 の行 動が 活発 化 して おり

︑ガ ス田 開発 も そう した 海洋 覇権 を 目指 す動 きの 一 環と いう 疑 いが ある

︒ 第 一の 点に おい て︑ 日 本は 長年 にわ たっ て 対中 関係 を配 慮 して 中間 線の 日本 側海 域 にお いて 要望 され て いた 日本 企業 か らの 鉱区 申請 を認 めて こ なか った とい う背 景 があ る︒ 鉱区 申 請は 一九 七〇 年代 に 帝国 石油

︑う るま 資源 開 発な ど四 社か ら 出さ れて い るが

︑す べて 棚晒 しに され てい る︒ E EZ の中 間線 は日 中 両国 で大 きく 食い 違 って おり

︑中 国 側の 主張 では 中間 線 は沖 縄に 近い 海域 まで 食 い込 む︒ 日本 政 府と して は︑ 日本 の 主張 する 中間 線の 日本 側 とい って も鉱 区 設定

︑探 査活 動を 実 施す れば

︑中 国側 を刺 激 し︑ 日中 関係 の 悪化 につ な がる こと を懸 念し たわ けで ある

︒ 今 年で 日中 国交 正 常化 から 三三 年︑ 日中 平 和友 好条 約締 結 から 二七 年に なる が

︑依 然と して 日中 間に は 歴史 問題

︑靖 国 問題 など 多く の問 題 が残 り︑ 日中 関係 は冷 却 化と 改善 を繰 り

返し てい る︒ そう した 経 緯を みれ ば︑ 鉱区 設 定を 許可 しな か った のは 合理 的な 対応 と 言え る︒ だが

︑海 洋 法に 基づ く中 間 線の 確定 につ いて

︑日 中 双方 が長 年に わた っ てほ とん ど何 の 動き も起 こし てこ な かっ たこ とは 大き な問 題 であ り︑ 今日 の 東シ ナ海 の 資源 をめ ぐる 対立 を引 き起 した 主因 であ る︒ こ こで 整理 して お くべ き事 項が ある

︒日 本 と中 国の EE Z をめ ぐる 論争 では 東 シナ 海に 四種 類の 水域 が 存在 する こと に なる

︒ 地理 的 に西 側︵ 中 国 に 近 い 側

︶ か ら みて い くと

︑︵ A

︶ 二〇

〇海 里で 線引 きし た場 合 の日 本の EE Zの 外 側で

︑完 全 に中 国の EE Z内 の海 域︑

︵B

︶日 本の 主張 す る中 間線 の中 国 側海 域で

︵A

︶に 含ま れな い海 域︑

︵C

︶日 本の 主張 する 中間 線 の日 本側 海域 で︑ 中国 の主 張す る 中間 線の 中国 側海 域︑

︵D

︶ 中国 の主 張す る中 間 線の 日本 側 海域

で ある

︒A か らD ま でで 日中 間の 東シ ナ海 は︑ 漏 れな く︑ ダブ りの な いこ とと な る︒ 春 暁ガ ス田 はB の海 域に 含 まれ るが

︑中 国側 は Bの 海域 で は以 前か らガ ス田 の探 鉱︑ 開 発を 活発 に進 めて お り︑ 平湖 ガ ス田 から は上 海・ 浦東 地 区に 向け ガス がパ イプ ラ イン で輸 送 され てい る︒ この パイ プ ライ ンは 年間 四・ 四億 立 方メ ート ル の輸 送能 力を もっ てお り

︑一 九九 七年 一一 月に 着 工さ れ︑ 九 九年 四月 に完 成し てい る

︒春 暁ガ ス田 の開 発が 政 治問 題化 す

(5)

る五 年以 上前 にガ ス生 産 が始 まっ た平 湖ガ ス田 の 開発 につ い ては

︑日 本で 政治 問題 化 し︑ 日本 政府 が中 国に 抗 議し たと い う こ と は な い

︒ と す れ ば

︑ B の 海 域 に つ い て

︑ 中 国 側 に は

﹁日 本 は少 なく と も中 国側 の開 発の 自 由を 認め

︑ 係争 地域 と は しな い﹂ と の認 識が あっ てお かし くな い︒ 今 回の 春暁 ガス 田は B の海 域だ が︑ あま りに 中 間線 に近 い ため

︑ガ ス層 が日 本側 に 延び てい る可 能性 があ り

︑中 国側 の 生産 行為 が日 本の 資源 も 侵食 する 恐れ があ る とい う問 題が あ る︒ し たが って

︑ 日本 側は 中 国に 開発 作 業の 中止 を申 し入 れ

︑ 日本 側と の協 議や 情報 交 換を 行な うよ う主 張し て いる

︒こ れ が日 本国 民の 一般 的な 受 け止 め方 だろ うが

︑ この 基本 的な 理 解 に関 し て

︑経 済 産業 省 と 外務 省 の間 で 不 一致 が みら れ る

︒ 中川 昭一 経済 産業 相は 国 会答 弁で Bの 地域 全 体も

﹁日 中間 の 係争 地域

﹂と の認 識を 示 す一 方︑ 逢沢 一郎 外 務副 大臣 はB の 海域 での 問題 は春 暁ガ ス 田に 限る との 見解 を 表明 して いる か らで ある

︒ 中川 経 産相 は

︑ 中国 の 主 張ど お りに 係 争 海域 を Cに 限 り

︑ 日本 がそ れに 乗っ た場 合

︑中 国ペ ース で中 間 線の 確定 交渉 が 進み かね ない との 懸念 を 表明 して いる

︒つ ま り︑ Cの 海域 の みを 交渉 の対 象に すれ ば

︑日 本が 主張 する 中 間線 を守 れる の は日 本の 主張 が一

〇% 通っ た場 合の みだ か らだ

︒交 渉の 駆

け引 きで は中 川経 産相 の 主張 は意 味が ある が︑ 従 来の 日本 の 行動 とは 明ら かに 齟齬 を 来し てい る︒ 逢沢 副 大臣 の答 弁は 過 去の 日本 の対 応を 踏ま え たう えで

︑中 川経 産 相の 発言 とも 矛 盾し ない よ うに 工夫 して いる が︑ 不一 致は 否め ない

︒ 両 省の 不一 致が 示す の は︑ 東シ ナ海 にお け る海 洋権 益に つ いて 日本 政府 には これ ま で定 見も 政策 もな く

︑決 着の 先延 ば しを して きた だけ とい う こと であ る︒ 春暁 ガ ス田 の開 発が 新 聞 で報 じ られ た 後

︑泥 縄 的 に対 応 策を と っ たこ と によ っ て

︑ 日本 の対 応 はね じれ を起 こし てい るの であ る︒ 第 二点 の春 暁ガ ス田 の 開発 越境 問題 に関 し ては

︑中 国側 も 矛盾 を露 呈し かね ない 状 況に ある

︒中 国は 平 湖ガ ス田 はも ち ろん

︑春 暁ガ ス田 開発 に おい ても 日本 の主 張 する 中間 線を 尊 重し てき たか らで ある

︒ 最近 にな って

︑中 国 は中 間線 を越 え て︑ 開発 鉱区 を設 定 した

︑と の情 報が 流れ た が︑ これ は実 際 の開 発 にあ たっ て いる 中国 海洋 石 油総 公司

︵ C N O O C

︶ の ホー ムペ ージ に二 年前 から 予 定鉱 区と して 載せ ら れて いた も ので

︑少 なく とも 今回 の紛 争 発生 後に 中国 政府 が 新た に設 定 した もの では ない

︒そ もそ も CN OO Cが 中国 政 府の 認可 を 受け て鉱 区と して 示し たの かも 疑問 があ る︒ 中 国政 府の こう した 一連 の 対応 が示 すの は︑ 中 国自 体が 日 本の 主張 する 中間 線を 半 ば前 提に して しま って い る事 実で あ

(6)

る︒ 日本 は春 暁ガ ス田 の 地層 デー タの 提供 を中 国 政府 に要 求 して いる が︑ その 求め に 応じ ると さら に日 本の 主 張す る中 間 線を 認知 して しま うこ と にな る︒ 中国 がデ ータ 提 供を 拒否 す るの は︑ 自 己の 主張 を防 衛す るう えで 当然 な ので ある

︒ こ れは

︑ま った く逆 の 状況 を考 えれ ばわ かり や すい

︒日 本 の石 油会 社が Dの 海域 で 中国 の主 張す る中 間線 に 近い 地点 で 開発 に乗 り出 した とす る

︒D の海 域す なわ ち 中国 側も 認め る 完全 な日 本の EE Zに か かわ らず

︑中 国政 府 から デー タ提 供 を求 めら れ︑ それ に日 本 が唯 々諾 々と 応じ れ ば︑ 中国 の主 張 する 中間 線 を認 知し たこ とに なっ てし まう だろ う︒ 中 国の 行動 がこ うし た 判断 に基 づい てお り

︑日 本側 と発 想 の次 元

︑傾 向で さ ほど 違い が ない こと を 認識 する 必要 があ る

﹁春 暁 ガス 田の デ ータ を寄 こさ ない 中 国は けし か らん

﹂と い う 反応 は︑ ま った く的 はず れな ので ある

︒ 中 国側 の春 暁ガ ス田 開 発に 対抗 して

︑日 本は 中 間線 の日 本 側で 二〇

〇四 年七 月か ら ノル ウェ ーの 海洋 探 査船 をチ ャー タ ーし て探 鉱 活動 に乗 り出 した

︒こ の動 きに 対し

︑中 国は 艦船 を 並走 させ

︑退 去を 求め は した もの の実 力阻 止 など の激 しい 対 応は とら なか った

︒そ の 事実 自体 が中 国が 日 本の 主張 する 中 間線 を半 ば受 け入 れざ る をえ なく なっ てい る こと を示 して い る︒ 中間 線 に関 して は日 本側 の主 張の ほう が優 勢な ので ある

で は︑ この まま 日本 は 中間 線の 日本 側で ガス 田 開発 を進 め るべ きか

︒ 考え るべ きポ イン トは いく つか あ る︒ 第 一に

︑あ の地 理的 条 件の ガス 田で は日 本は 資 源を 有効 に 活用 でき ない とい うこ と であ る︒ 言う まで もな く 天然 ガス の 輸送 方法 は大 別し てパ イ プラ イン か︑ LN Gし か ない

︒日 本 の天 然ガ ス利 用の 太宗 は 輸入 LN Gだ が︑ LN G にす るに は 巨大 な液 化プ ラン トが 必 要で あり

︑通 常は 陸 上で しか 建設 の 可能 性は ない

︒最 近で は 浮体 式の 海上 LN G プラ ント の構 想 もあ るが

︑具 体例 はな い うえ

︑浮 体式 とい っ ても 沿岸 に停 留 させ るこ とを 前提 とし て いる

︒つ まり

︑東 シ ナ海 ガス 田の 場 合︑ パイ プ ライ ン輸 送し か手 段は ない と言 って いい

︒ パ イプ ライ ン輸 送を 選 択す るに も経 済性 か ら一 定の 条件 が ある

︒ガ スの 消費 地ま で 距離 が近 く︑ しか も パイ プラ イン 建 設投 資 を回 収す る のに 十分 な 資源 量が 確 認で きる こと であ る

︒ 東シ ナ海 のガ ス田 から 日 本の 主要 なガ ス消 費 地す なわ ち首 都 圏

︑関 西 圏︑ 中 部 圏ま で 海 中パ イ プラ イ ン を敷 設 した 場 合

︑ 総延 長は 二

〇〇

〇キ ロ以 上に 達す るだ ろう

︒ サ ハリ ン沖 で天 然ガ ス 開発 を進 める サハ リ ン1 プロ ジェ ク トは 首都 圏ま で一 四〇

〇 キロ のパ イプ ライ ン 輸送 を計 画し て いる が︑ 東シ ナ海 ガス 田 はこ れを 上回 る長 距 離パ イプ ライ ン にな り︑ しか もル ート の 大半 が大 水深 の海 中 とい う技 術面 で

(7)

の困 難性 もあ る︒ 仮に 無 理し てパ イプ ライ ンを 敷 設し たと し ても 経済 性の ある もの に する のは 不可 能に 近い だ ろう

︒東 シ ナ海 のガ ス田 を日 本向 け に供 給す るの はき わめ て 困難 と言 わ ざる をえ ない

︒意 味す る のは

︑中 間線 の日 本側 で 首尾 よく ガ ス田 開発 に成 功し たと し ても ガス の売 り先 は 中国 しか ない と いう こと だ

︒ も ちろ ん︑ それ 以前 に 中間 線の 日本 側で 日 本企 業が ガス 田 開発 に乗 り出 せば

︑中 国 は阻 止す るた めに 従 来に ない 激し い 対応 に出 てく る可 能性 が 高い

︒日 中関 係は 冷 却化 し︑ 開発 し たガ スを 中国 に売 るど こ ろの 話で はな くな る

︒そ うな った 場 合︑ 紛争 解決 には 海洋 法 に基 づく 国際 審判 を 受け

︑中 間線 を 確定 する こと だろ う

︒審 判の 結果

︑日 本の 主 張ど おり の中 間 線が 認め られ 日本 の ガス 田開 発を 中国 側が 承 認せ ざる をえ な くな った とし ても

︑ 対立 の末 であ れば

︑ガ ス を中 国に 供給 す るこ とは 難し い︒ 日 本は 獲得 した ガス 田を 有 効に 活用 する 術 を失 うの であ る︒ 逆 に︑ 日本 側の 中間 線が 認 めら れず

︑C の 海域 に相 当食 い込 ま れた 場合

︑や はり 日本 は 現在

︑探 査中 の 中間 線付 近の ガス 資源 を失 う こと にな る︒ 論理 的 に詰 めて いけ ば︑ 日 本側 が東 シ ナ海 ガス 田 にお いて

︑ 取り うる 選択 肢は 日 中共 同開 発し かな いよ う に思 われ る︒ 春 暁ガ ス田 と中 間線 の 日本 側で のガ ス田 開発 を 包括 的な ガス 開

発 プロ ジ ェク ト に 格上 げ し

︑洋 上 設備 を 共 用す る とと も に

︑ 生産 した ガス をパ イプ ラ イン で浙 江省

︑上 海 など に輸 送す る 構想 だ︒ 中間 線の 確定 は 棚上 げし

︑生 産し た ガス の利 益は ま ずプ ロジ ェク トの 初期 コ スト の回 収に 優先 的 にあ て︑ コス ト 回収 後の 分 配比 率は 時間 をか け協 議す るこ とで ある

︒ それ でも 収益 の 分配 比率 で 決着 でき な けれ ば︑ 収益 を全 額

︑ 日中 の共 同基 金と して 積 み上 げ︑ アジ アの 途 上国 向け 支援 に 使う こと も考 えら れる だ ろう

︒資 金の タイ ト ルを 日中 共同 基 金と すれ ば︑ 分配 比率 の 問題 はク リア でき る

︒共 同基 金で は 自国 の 支援 を前 面 に出 して 宣 伝で きな い が︑ 両国 政 府は 本来

︑ 財政 資金 から 捻出 しな け れば なら ない 途上 国 支援 の予 算を 多 少な りと も 軽減 する こと が可 能で

︑十 分な メリ ット はあ る︒

東 シナ 海ガ ス田 問題 と連 動 する よう に二

〇〇 四 年に 持ち 上 がっ たも う一 つの 日中 のエ ネ ルギ ー紛 争が 東シ ベ リア

・パ イ プラ イン 問題 であ る︒ これ は シベ リア で生 産さ れ る原 油を 東 方に 向け 輸出 する パイ プ ライ ンを 建設 する プロ ジ ェク トで あ り︑ 二〇

〇三 年一 月の 小 泉純 一郎 首相 のロ シア 訪 問の 際に 日 本側 から 提案 され た︒ も ちろ んそ れ以 前か ら構 想 とし ては 存 在 して い た が︑ 具 体化 の メ ドは ま った く 立 って い なか っ た

︒ 俗な 表現 を使 えば

﹁首 相 訪ロ の手 みや げ﹂ とな っ たプ ロジ ェ

(8)

クト であ る

︒ プ ロジ ェク トの 内容 は きわ めて 有意 義で ある

︒ ロシ アは ソ 連崩 壊後

︑市 場化 に向 か う経 済混 乱の なか で石 油 産業 が疲 弊 し︑ 原油 生産 は長 期に わ たっ て低 迷し てい た︒ し かし

︑一 九 九〇 年代 末に なっ て石 油 産業 の混 乱が 終息 する と とも に原 油 生産 は再 び増 勢に 転じ

︑ 二〇

〇三 年に は日 量 八五 四万 バレ ル まで 回復

︑二

〇〇 四年 に はサ ウジ アラ ビア に 肩を 並べ る世 界 最大 の産 油国 とな った

︒ 同時 に原 油価 格の 高 騰に よっ て石 油 収入 は急 増し

︑そ れが 石 油産 業へ の投 資を 促 し︑ 生産 量が さ らに 伸び る とい う循 環に 入っ てい る︒ た だ︑ ロシ アの 石油 産 業は 輸出 ルー トが 西 向き

︑す なわ ち 欧州 向け にし かな いと い う大 きな 問題 を抱 え てい た︒ 東向 き すな わち アジ ア︑ 太平 洋 向け の輸 出ル ート を 確保 する こと は エネ ルギ ー戦 略上 は もち ろん 原油 販売 の実 務 上の メリ ット も 大き い︒ 原油 需要 が増 大す る中 国︑ 東 南ア ジア 諸国 連合

︵ A S E A N

︶ 各 国を 顧客 にで きる か らで ある

︒東 シベ リ ア・ パ イプ ライ ン建 設と いう 小 泉首 相の 提案 はロ シア の 国益 にき わ めて 合致 し てい た︒ 問 題は 東シ ベリ アの パ イプ ライ ンは 中国 がす で にロ シア 側 と協 議に 入り

︑ル ート な ども 含め かな り煮 詰ま っ てい たこ と であ る︒ 中国 はバ イカ ル 湖の 西方 のア ンガ ルス ク から 内蒙 古

自治 区の 満州 里を 通り

︑ 大慶 にパ イプ ライ ンを 延 ばす 構想 だ った

︒ア ンガ ルス クに は 西シ ベリ アか ら原 油パ イ プラ イン が す でに 来 て おり

︑ その 一 部 を大 慶 向け パ イ プラ イ ンに 流 し

︑ 大慶 油田 に ある 製油 所で 精 製し よう とい う発 想だ った

︒ 日 本の 提案 は結 果的 に ここ に割 り込 む形 とな っ た︒ 日本 の 当初 構想 はア ンガ ルス ク から バイ カル 湖の 南側 を 通っ てナ ホ トカ まで パイ プラ イン を 建設 し︑ ナホ トカ から タ ンカ ーで 日 本向 けに 出荷 する もの だ った

︒そ の後

︑パ イプ ラ イン の起 点 はア ンガ ルス クの 北西 の タイ シェ ット に変 更さ れ

︑そ れに 伴 って ルー ト もバ イカ ル湖 北方 を通 るこ とに な った

︒ さ らに ロシ ア政 府は ナ ホト カ向 けル ート を本 線 とし

︑途 中 のス コボ ロデ ィー ノか ら 分岐 して 大慶 に向 かう 支 線を 建設 す る折 衷案 を提 示し てい る

︒た だ︑ 本線

︑支 線と い って も同 時 に建 設さ れる 可能 性は 低 く︑ 日本 向け のナ ホト カ ルー トと 中 国向 けの 大 慶ル ート が競 う構 図に 変わ りは ない

︒ ロ シア の原 油生 産余 力 には 諸説 があ るが

︑最 盛 期の 一九 八 七年 には 日量 一一 五〇 万 バレ ルを 生産 して お り︑ 潜在 的な 余 力は 大き いと 思わ れる

︒ とり わけ バイ カル 湖 の北 方地 帯に は 未開 発の 油田 が少 なか ら ずあ り︑ 予定 され る 日量 一〇

〇万 バ レル とい うパ イプ ライ ン の輸 送能 力を 満た す だけ の原 油生 産 は可 能と の 見方 が多 い︒

(9)

東 シベ リア

・パ イプ ラ イン をめ ぐる 問題 は日 本 のメ ディ ア にお いて は﹁ 日中 のエ ネ ルギ ー争 奪戦

﹂と いっ た セン セー シ ョナ ルな 表現 で取 り上 げ られ

︑そ れに 刺激 され る よう に日 中 双方 が面 子を かけ た競 争 を展 開し た︒ しか し︑ 冷 静に 考え れ ば日 本の 主張 する ナホ ト カル ート であ って も

︑ナ ホト カか ら 中国 向け にタ ンカ ーで 供 給す るこ とは 簡単 で ある

︒一 方大 慶 ルー トで あっ ても 大慶 か ら大 連新 港や 秦皇 島 に延 びる パイ プ ライ ンを 使 えば 日本 や韓 国に 輸出 する こと は容 易な ので ある

︒ 本 来︑ どち らか のル ー トに 決ま ると

︑い ず れか の国 への 供 給が 排除 され ると いっ た 性格 の競 合で はな い

︒重 要な のは パ イプ ライ ンの 建設 コス ト と稼 働率 から 導き 出 され る輸 送コ ス トの 問題 なの であ る︒ そ の点 から 言え ば︑ パ イプ ライ ンの 新 設部 分の 総延 長︑ 中国 と いう 大需 要国 向け で ある ゆえ の稼 働 率の 高さ など から 大 慶ル ート のほ うが 輸送 コ スト が安 くな る 可能 性は 高 い︒ 何 より

︑大 慶か ら 日本 に向 けて 原油 を輸 出 する ルー トは パ イプ ライ ン︑ 積み 出 し基 地と もに 二〇 年以 上 にわ たる 大慶 原 油の 対日 輸出 によ っ て確 立さ れて いる

︒長 期 貿易 取り 決め に よっ て続 いて きた 大 慶原 油の 対日 輸出 は二

〇三 年に 終了 し た︒ 中国 の石 油需 要 が増 大し たた め輸 出余 力 がな くな った た めだ が︑ 主 に日 本の 政府 開発 援 助︵ O D A

︶ に よっ て 建設 さ

れた パイ プラ イン など 輸送 イ ンフ ラは そっ くり 残 り︑ 遊休 化 して いる

︒日 本が 協力 して で きあ がっ たイ ンフ ラ を有 効活 用 する こと は︑ 日本 向け の エネ ルギ ー供 給コ スト を 下げ るだ け でな く︑ OD Aの 成果 を受 益す る意 味も 大き い︒ 日 本国 内に は︑ 大慶 を経 由 して 大連 や秦 皇島 か ら日 本に 輸 出さ れる ルー トは エネ ル ギー 安全 保障 上︑ 不安 が ある とい う 主張 が根 強い

︒確 かに ロ シア 一国 で完 結す るル ー トの ほう が 中国 経由 より 問題 が起 き る確 率は 小さ いだ ろう

︒ だが

︑そ れ がナ ホト カル ート によ る 輸送 コス トの 増加 を正 当 化す るだ け の意 味が ある かと いう 問 題が ある

︒中 国側 がコ ス ト高 のナ ホ トカ ルー トか ら原 油を 買 う意 味を 見出 さな けれ ば

︑パ イプ ラ イン の稼 働率 が上 がら ず ます ます コス ト高 にな っ てし まう 恐 れが ある

︒ ロ シア 政府 は日 中を 競 わせ るこ とで より 有利 な 条件 を引 き 出す 構え で︑ 日本

︑中 国 とも に足 下を みら れて い る形 だ︒ 日 本は 賢明 な 判断 を迫 られ てい る︒ ま ず︑ 考え るべ きこ と は︑ 日本 はも はや 石油 需 要が 増え な いと いう こと であ る︒ 総 合エ ネル ギー 調査 会 の長 期エ ネル ギ ー需 給見 通し によ れば

︑ 日本 の一 次エ ネル ギ ー需 要は 二〇 二 一年 度以 降減 少に 転じ る

︒な かで も石 油の 需 要は 京都 議定 書 に基 づく 二酸 化炭 素の 排 出削 減も あっ て数 年 後に はマ イナ ス

(10)

にな る︒ 日本 は新 たな 石 油輸 入ル ート を必 死に 開 拓し なけ れ ばな らな い 状況 では まっ たく ない ので ある

︒ 対 照的 に︑ 中国 のエ ネ ルギ ー情 勢は きわ めて 深 刻だ

︒一 次 エネ ルギ ー消 費の 約七 割 を占 める 石炭 は当 面自 給 でき ると し ても

︑石 油は 国内 供給 力 を拡 大す る余 地は 小さ く

︑原 油輸 入 は急 速に 増大 する

︒中 国 の原 油輸 入は 二〇

〇四 年 には 日量 二 三〇 万バ レル で輸 入依 存 度は 四五

・一

%だ っ たが

︑二

〇一

〇 年に は三 六〇 万バ レル で 五一

・四

%︑ 二〇 二

〇年 には 五〇

〇 万バ レル で 五五

〇% に 達す る 見通 し であ る︵

﹃ 経 済 日 報

﹄ 二

〇 四 年 一 一 月 八 日

︑ 王 宜 林 C N P C 副 総 経 理 の 発 言

︶︒ ロ シア から の原 油輸 入 ルー トの 確立 は中 国に と って エネ ル ギー 安全 保障 上︑ 欠か せ ない もの だが

︑日 本に と って はあ く まで 供給 源多 様化 の選 択 肢の 一つ にす ぎな い︒ む しろ 中国 が ロシ ア原 油の 輸入 を増 や せな かっ た場 合︑ 中東 産 油国 への 傾 斜を 深め ざる をえ ず︑ 日 本の 伝統 的か つ安 定 的な 原油 調達 先 であ る中 東で

︑日 中の 原 油調 達競 争が 起き か ねな い︒ 日本 が ロシ ア側 に資 金供 与な ど で有 利な 条件 を提 示 し︑ ナホ トカ ル ート を建 設し たと して も

︑そ の反 動で 中国 が 中東 原油 の輸 入 を増 やせ ば

︑エ ネル ギー 安全 保障 上の プラ スに はな らな い︒ 中 東原 油に 深く 依存 す るA SE AN 諸国 に とっ ては

︑中 国 との 競合 でエ ネル ギー 調 達上 の懸 念が 高ま り かね ない

︒A S

EA N諸 国に とっ ては ナ ホト カか らの ロシ ア原 油 より 中東 原 油の ほう が輸 送コ スト が 安く

︑ナ ホト カ向 けパ イ プラ イン で 輸送 され るロ シア 原油 は 中東 原油 の代 替に はな り にく いの で ある 日 ︒ 本は 自ら の石 油需 要 動向

︑中 国の 原油 輸入 シ ナリ オ︑ A SE AN 諸国 にと って の 得失 を総 合的 に判 断 して

︑東 シベ リ ア・ パイ プラ イン 問題 に 対処 して いく 必要 が ある

︒そ の際 に 考慮 に入 れる べき ポイ ン トは

︑日 本政 府の 財 政は 長期 債務 が 国内 総生 産︵ G D P

︶ の 一四

%に も 達す る 破綻 状態 にあ り

︑ 国家 が新 たな 負担 をす る状 況 では ない とい うこ と であ る︒ さ らに エネ ルギ ーを 実際 に消 費 する 民間 企業 や個 人 は︑ 合理 性 のな い余 分な コス トは 一切 負 うべ きで はな いと い うこ とで あ る︒ エネ ルギ ー関 連の プ ロジ ェク トは 政治 家や 官 僚︑ 一部 の 受益 企業 の思 惑で 進め ては なら ない ので ある

エ ネル ギー 安全 保障 が 国家 にと って 重要 なテ ー マで ある こ とは 言う まで もな い︒ エ ネル ギー 安全 保障 の中 核 は︑ エネ ル ギー 調達 先の 分散

︑エ ネ ルギ ー源 の多 様化

︑日 本 企業 によ る 資源 権益 の確 保な どで あ る︒ その 意味 で︑ アジ ア にお ける エ ネル ギー 開発 や新 規の エ ネル ギー 供給 ルー トの 確 保は 望ま し

(11)

い︒ だが

︑忘 れて なら な いの はエ ネル ギー は経 済 を構 成す る 一要 素に す ぎな いと いう こと であ る︒ も う一 つ重 要な 視点 は

︑エ ネル ギー 安全 保障 論 とナ ショ ナ リズ ムを 結合 させ ては い けな いと いう こと であ る

︒エ ネル ギ ー安 全保 障は 冷静 な論 理

︑合 理的 な判 断に 基づ い て確 保さ れ るべ きで あっ て︑ 感情 的 な排 外主 義︑ 盲目 的な 自 国優 先主 義 を基 盤に する こと は危 険 であ る︒ もと もと 日 本は

︑エ ネル ギ ー とり わ け 石油 を ナシ ョ ナ リズ ム と結 び つ ける 傾 向が 強 い

︒ 太平 洋戦 争に 傾斜 して い く過 程で は︑ 欧米 諸 国に よる 石油 禁 輸が 大き な要 因と して 働 き︑ エネ ルギ ーが 国 家の 存亡 を左 右 しか ねな い状 況を 経験 し たか らで ある

︒そ の 経験 によ って 日 本で はし ばし ばエ ネル ギ ー安 全保 障論 とナ シ ョナ リズ ムが 結 合し てき た

︒ 本 稿で 取り 上げ た東 シ ナ海 のガ ス田 開発 問 題は

︑偏 狭な ナ ショ ナリ ズム を基 盤と し た反 中の 風潮 とき わ めて 密着 して い る︒

﹁ 中国 に資 源 を奪 われ て なる もの か﹂ とい う 近視 眼的 な 主 張が 政治 家︑ 官僚

︑メ デ ィア をも 突き 動か し てい る状 況に は 危機 感を 覚え ざる を えな い︒ 端的 に言 って

︑ 中国 がエ ネル ギ ーを 確保 する こと は 日本 のプ ラス にな るこ と は大 であ って も マイ ナス に なる こと はな い︒ 二

〇〇 四年 末に サ ハリ ン1 を主 導す る米 エ クソ ンモ ービ ル

は︑ 首都 圏に 向け たパ イ プラ イン によ る日 本 向け 供給 にメ ド が立 たな いこ とか ら︑ 中 国向 け供 給に 切り 替 える 方針 を示 し た︒ これ に対 し︑ 日本 国 内で は﹁ 中国 にガ ス を渡 すよ り︑ 日 本国 内で 何と か販 売先 を みつ け︑ 首都 圏向 け パイ プラ イン を 実現 せよ

﹂と いう 議論 が 沸き 起こ った

︒そ の ため 一部 の電 力 会社 は監 督官 庁か ら購 入 契約 を強 硬に 求め ら れる 状況 が起 き た︒ エネ ルギ ー安 全 保障 と称 して

︑経 済原 則 に反 する 契約 を 民間 に求 め る姿 勢こ そ国 をあ やま つ行 為で ある

︒ 二

〇〇 三年 後半 か ら日 本経 済は 中国 需要 の 拡大 によ って 急 激 な 景気 回 復 を 遂げ た

︒ 二

〇四 年 に 日 中貿 易

︵ 香 港 含 む

︶ が日 米貿 易を 金額 で追 い抜 い たこ とは

︑何 より 明 確に 中国 経 済の 安定

︑成 長が 日本 経済 に とっ て重 要で ある こ とを 示し て いる

︒ま して 日本 企業 が中 国 に生 産拠 点︑ 開発 拠 点を 構え る こと で︑ 国際 競争 力を 増 し︑ また 中国 市場 で莫 大 な売 り上 げ をあ げて いる 状況 を偏 狭 なナ ショ ナリ スト は正 視 すべ きな の であ る︒ 日本 が今 後も 長 期に わた って 繁栄 し︑ 現 在の 国際 的 地位 を保 って いく には

︑ 中国

︑A SE AN の安 定

︑成 長は 不 可欠 であ る︒ 換言 すれ ば

︑日 本は 自ら の生 存︑ 繁 栄の 基盤 を 主体 的に 築い てい く必 要 があ り︑ その 重要 な要 素 こそ アジ ア 地域 のエ ネ ルギ ー安 定供 給で ある のだ

Referensi

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