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インクジェット印刷で 速にスピントロニクス素 を作製

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Academic year: 2024

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PRESS RELEASE(2023/12/18)

ポイント

① 容易に曲げられ、曲げても特性を維持するスピンゼーベック熱電変換素⼦をインクジェット印 刷で実現。

② サーモパイル構造を有するスピンゼーベック熱電変換素⼦がインクジェット印刷で作製可能 であることを実証した。

③ IoT 社会における環境発電素⼦、センサーの⾼速⽣産技術としての利⽤が期待される。

概要

磁性絶縁体に熱を与えることで、熱から電気を取り出すことが可能となる、スピンゼーベック効 果 ※1 が次世代の熱電変換素⼦、熱流センサーとして注⽬を集めています。スピンゼーベック熱電 変換素⼦ ※2 は従来の熱電変換素⼦と異なり、熱の流れと電流⽅向が直交するという特徴を持ち、

従来素⼦よりも薄型、フレキシブルに作製できるという利点をもちます。⼀⽅で、発電電圧が従来素

⼦に⽐べ⼩さいという問題がありました。

九州⼤学⼤学院システム情報科学研究院の⿊川雄⼀郎助教、湯浅裕美教授、岐⾩⼤学⼯学部の⼭

⽥啓介准教授の研究グループ ※3 はインクジェット印刷による新規な⼿法を⽤いて素⼦のパターニ ングを⾏い、スピンゼーベック熱電変換素⼦の発電電圧の増強を実証しました。この⼿法では、原料 となる磁性絶縁体ナノ粒⼦や導電性⾦属ナノ粒⼦をインクとしてインクジェットプリンターに投⼊

することで、画像を印刷するように素⼦を印刷できます。したがって、⾼速に素⼦が作製できるとい うメリットを有します。さらに、フレキシブルなプラスチックシート上に印刷された素⼦が⼗分な 柔軟性を有することを確認し、100 回程度の曲げ動作を⾏っても素⼦の性能にほぼ劣化がないこと を実証しました。

IoT※4 を効率的に活⽤する社会を実現するためには、⼤量の環境発電素⼦やセンサーを⽣産する ことが必須です。このためには、⾼性能な素⼦を⾼速に作製する必要があり、今回提案及び実証した インクジェット印刷法ではそれを実⾏できる可能性を秘めています。

本研究成果は 2023 年 12 ⽉ 2 ⽇(現地時間)、独国の雑誌「Advanced Engineering Materials」に オンライン掲載されました。

インクジェット印刷で⾼速にスピントロニクス素⼦を作製

~インクジェット印刷技術を⽤いて、フレキシブルなスピンゼーベック熱電変換素⼦を実現~

プラスチックシート上に印刷された

フレキシブルなスピンゼーベック熱電変換素⼦

発電電圧が⼩さいというスピンゼーベック熱電 変換素⼦の課題に対し、インクジェットプリンタ ーを⽤いてパターニングすることにより、発電電 圧の増強に成功しました。本⼿法はフレキシブル なシートにも有効です。

(2)

【研究の背景と経緯】

スピンゼーベック熱電変換素⼦は、磁性絶縁体中の電⼦スピンの流れを熱で励起することによって、

温度差から電流を取り出すことが可能となる熱電変換素⼦の⼀種です。従来の熱電変換素⼦では温度差 と取り出す電流の⽅向が同じ⽅向であったことに対し、スピンゼーベック熱電変換素⼦では、温度差と 取り出す電流の⽅向が互いに直交しているため、従来素⼦よりも薄型、フレキシブルにすることが可能 であるメリットを有します。このようなメリットは、可動部や曲⾯など、どこにでも設置可能な環境発 電素⼦やセンサーを開発するうえで都合がよく、IoT 技術と⾼いシナジーを有します。⼀⽅で、スピン ゼーベック熱電変換素⼦は発電する電圧が⼩さいという問題がありました。

【研究の内容と成果】

私たちは、スピンゼーベック熱電変換素⼦を直列に配列することでサーモパイル構造と呼ばれる構造 を作製し、発電電圧を増⼤させる試みを⾏いました。特に、この構造を作製するための⼿法として、イ ンクジェットプリンターを⽤いた印刷法による素⼦の加⼯を提案しました。この⼿法では、まず、スピ ンゼーベック熱電変換素⼦の原料となる磁性絶縁体ナノ粒⼦と、サーモパイル構造を作製するための導 電性⾦属ナノ粒⼦の分散溶媒をインクとしてインクジェットプリンターに投⼊します。その後、あらか じめ作製したサーモパイル構造の pdf 画像をもとに、フレキシブルなプラスチックシートに印刷を⾏い ました。この⼿法で、多くの素⼦を⼀括かつ⾼速に作製することに成功しました (図 1, 2 参照)。また、

印刷サーモパイル構造により、発電電圧を従来のおよそ 20 倍まで増強することに成功しました (図 3 参照)。さらに、100 回程度素⼦を曲げても発電の特性が変わらないことを実証しました。

【今後の展開】

今回、インクジェットプリンターを⽤いてスピンゼーベック熱電変換素⼦を印刷する技術を実証しま した。この技術はスピンゼーベック熱電変換素⼦だけでなく様々な磁性デバイスを作製することに役⽴

つと考えられます。また、IoT 社会では、⼤量のセンサーや環境発電素⼦を⾼速に⽣産する必要があり ます。本研究で提案したインクジェット印刷による素⼦作製技術はこの要求を満たすことができ、IoT を活⽤する社会を実現するために役⽴つことが期待できます。

【参考図】

図1 スピンゼーベック素⼦の印刷

導電性⾦属ナノ粒⼦、磁性絶縁体ナノ粒⼦の分散溶媒をインクとしてインクジェットプリンターに投⼊

し、印刷を⾏います。右図ではプラスチックシートに印刷したスピンゼーベック熱電変換素⼦を⽰して おり、⼀連の印刷プロセスで多数の素⼦が⼀括で作製できていることが分かります。

(3)

図 2 印刷後の加⼯プロセス

熱流から励起された電⼦スピンの流れを電流に変換するために、印刷後の素⼦に重⾦属を スパッタ成膜します。その後、導電性ワイヤ間を絶縁するためにピンセットでケガきます。

最終的に右図のようなサーモパイル構造のスピンゼーベック熱電変換素⼦が完成します。

図 3 印刷したスピンゼーベック熱電変換素⼦の直列素⼦数に対する発電電圧 直列につないだ素⼦数を変化させてスピンゼーベック熱電変換素⼦を印刷し、熱から発電 を⾏った場合の発電電圧を図に⽰しています。直列につないだ素⼦の数を増やしていくと おおよそ数に⽐例して発電電圧が増⼤し、最⼤でおよそ 20 倍まで増強されていることが 分かります。

【⽤語解説】

(※1)スピンゼーベック効果

磁性体に熱流を印加することにより、熱流⽅向に電⼦スピンの流れを励起する効果。この効果は磁性⾦

属のみならず磁性絶縁体でも得られる。

(※2)スピンゼーベック熱電変換素⼦

磁性体の上にスピン軌道相互作⽤の⼤きい重⾦属薄膜を積層すると、熱流で電⼦スピンを励起したとき に重⾦属層に電⼦スピンが流れ込む。重⾦属層のスピン軌道相互作⽤により電⼦スピンは電流に変換さ れる。この⼿法で発電を⾏うものをスピンゼーベック熱電変換素⼦と呼ぶ。

(※3) 研究グループ 本論⽂著者 (全員)

九州⼤学⼤学院システム情報科学研究院: ⿊川雄⼀郎(助教)、湯浅裕美(教授) 岐⾩⼤学⼯学部: ⼭⽥啓介(准教授)

(4)

(※4) IoT

Internet of Things の略であり、様々なモノをインターネットに接続することを意味する。IoT を活⽤す るためには⼤量のセンサーで環境を測定、インターネット上で共有する必要がある。したがって、⼩型 センシング技術や、その電源として、その場で発電できる環境発電技術が重要な要素である。

【謝辞】

本研究は JST、ACT-X、JPMJAX21K5、 JSPS 科研費(JP22H01557、JP22KK0056)、⽂部科学省次 世代 X-nics 半導体創⽣拠点形成事業 JPJ011438、パロマ環境技術開発財団、荏原畠⼭記念⽂化財団、

マイクロン財団の助成を受けたものです。

【論⽂情報】

掲載誌:Advanced Engineering Materials

タイトル:Inkjet Printed Flexible Spin Seebeck Thermopile Device for Low-Cost Spintronics Device Fabrication

著者名:Yuichiro Kurokawa, Keisuke Yamada, Hiromi Yuasa D O I :10.1002/adem.202301069.

【お問合せ先】

<研究に関すること>

九州⼤学 ⼤学院システム情報科学研究院 助教 ⿊川 雄⼀郎(クロカワ ユウイチロウ)

TEL:092-802-3738

Mail:[email protected]

岐⾩⼤学⼯学部 准教授 ⼭⽥ 啓介(ヤマダ ケイスケ)

TEL:058-293-2819

Mail:[email protected]

<報道に関すること>

九州⼤学 広報課

T E L:092-802-2130 FAX:092-802-2139 Mail:[email protected]

岐⾩⼤学 広報課

T E L:058-293-3377 FAX:058-293-2021 Mail:[email protected]

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