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バートル:「中国経済と日中関係の現状・課題」

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1 バートル:「中国経済と日中関係の現状・課題」

オムニバスによる問題解決学総論の B クラスの第6回目としてバートル教授が登壇。今 回は、「中国経済と日中関係の現状・課題」というテーマ。中国経済の現状から話が始まる。

以下、講義のポイントをまとめてみよう。

<中国経済の現状>

まずは、中国の地理的な特徴について地図を使って説明される。近隣16カ国と国境を接 する(世界で最も多い)。直轄市(4)省(23:台湾を含む)、自治区(5)、特別行政区(2)

からなっている。

つづいて、建国以来の GDPの推移から経済の急成長の傾向を確認。とくに、1978年以 降の成長が顕著。1978年(当時は、社会主義計画経済)から始まった改革開放政策によっ て、海外からも投資を受け入れたこともあり、右肩上がりの経済成長が始まった。GDPは 世界第2位に至る。現在は、社会主義市場経済の立場を取っている。

なお、今後の経済は、2020年代中盤、中国のGDPは米国のGDPを超えるのでは無いか という予測がある。

2009年「China As No.1」という書籍が出る。中国の世界経済に占めるプレゼンスの大 きさを象徴するように、この言葉が着目されるようになっている。主な経済指標は以下の 通り。

・ 対外輸出入総額の推移をみると、WTOに加盟したことを契機に、2000年から2012 年までに約 7倍の規模に。対内外直接投資額も、2001年の「走出去」戦略(中国企 業の海外進出を支援する戦略)により規模が急拡大していく。

・ 中国の新車販売台数も急拡大していることをみても、経済の成長やモータリゼーショ ンの進展が見て取れる(その他にも、2012年の特許国際出願件数等についても解説)。

・ 世帯あたり年間可処分所得5000ドルから35000ドルの中間層が2010年5億人から 2020 年には 9.7 億人になると推計されている。これは、外国製の製品を買える人が 増えることを意味しており、日本も含め、中国のマーケットの重要性がますます増し ている。一方、2011年の一人あたりGDPは5400ドル超であり、まだまだ格差が大 きいこともわかる。この格差の階層が中間層に移っていくことで、モノの消費だけで はなく、サービスの消費といったマーケットの規模も拡大されることが期待される。

<中国経済の課題>

・経済構造のアンバランス

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中国は、第二次産業(物作り)に占める割合が多く、まだまだ第三次産業(サービス)

の割合が低い。GDPの支出別内訳、個人消費は34.9%(日本やアメリカは6-7割)と低い。

一因は、貯金に回されているなどがある。

・地域格差

地域を東部(沿海部)、中部、西部(中部、西部を合わせ内陸部と呼ぶ)の三つに分ける と、東部は、面積比 11%に対して、GDPは 57%、人口41%を占めている。1978年の改 革開放政策は、沿海部の都市を中心に発展させ、その後、内陸部にその効果を波及させよ うというものだった。その結果、沿海部は発達したが、未だ内陸部に十分な波及効果は及 んでおらず、地域格差が残っている。

・所得格差

格差については、都市と農村での所得格差、都市の中での格差、農村の中での格差など、

国全体として、所得格差が非常に大きい(国が把握している公式統計以上に格差があると 言われている)。

たとえば、ジニ係数は、1970年代0.27に対し1993年、0.42、2010年0.61に拡大。ジ ニ係数は、0.4以上が社会不安のラインと言われているが、デモ件数は1993年約1万件に 対して、2010 年は約 18 万件に拡大していることもその傾向を裏づけられている(この治 安の悪化は、予算にも現れ2013年には、公共安全費が国防費を上回った)。

・エネルギー環境問題

エネルギーの消費が急速に増えてきている。国内消費に対し、国内では半分しかエネル ギーをまかなえないため、多くの資源を輸入している。また、多くを石炭に依存している こと、十分な環境対策がとられていないこともあり、環境問題も生じている。

・人口問題

中国も出生率の問題などもあり、少子高齢化の問題を抱えている。少子高齢化を先んじ て経験し、その対応をビジネスにつなげてきた日本企業は、中国の少子高齢化も商機とと らえ、様々なビジネスが展開されようとしている。

<日本との貿易構造の変化:日本にとって存在感を増す中国>

日本にとって、輸入・輸出ともに、最大の相手国は中国となっている(かつてはアメリ カだった)。以下、そのポイントのいくつかを確認しておこう。

・日本の対中投資額の推移も、2011年以降大幅に増えてきている。

・中国の投資先は、第一位は香港であるが、第2位は日本である。

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・中国の対日投資の内容は、非製造業への投資が大半であったが、2010年以降製造業(太 陽光パネル、通信機器など)への投資が急速に拡大している。

・日本の対中投資の中身の変化に着目。投資業(生産拠点)へ投資から、サービス業へ の投資も増加してきている。

なお、日本にとっての対中投資の阻害要因や、中国にとっての対日投資阻害要因もあり、

これらを課題として理解しておかなければ、さらなる貿易拡大を難しくしてしまうだろう。

<今後のアジアの貿易について>

日中韓で、アジアのGDPの77.3%を占めている中で、日本はどのように他国との貿易の 枠組みを考えるべきか。今、日本が参加している枠組みとして、RCEP(アジア16カ国で の域内経済連携)やTPPがある。さらに日中韓貿易圏の形成が取り組まれている。いずれ にしろ、これらの枠組みで日本がどのような立場を取るか、また、その枠組みがどう機能 し、それを活用するか重要な視点となるだろう。

(参考)日中韓の架け橋ビジネスの事例が紹介された。

・ 日産自動車:東風日産、ルノーサムスン・日産九州工場の部品融通→日韓ダブルナンバ ープレート。

・ 「チーム京都」:京都の中小40者→中国の自動化設備市場の開拓

・ アジア共通の遺伝子に合う新薬開発→北里大学、ソウル大学、北京大学の共同研究の例 など)

<まとめ>

経済的に勢いを増す中国、そして、日本と中国の経済的な関係性の増加など、ますます 中国を理解しておく必要性は増してきている。とはいえ、日中(もしくは日中韓)には、

様々な問題があるのも事実である。これらの問題を超えるヒントが、元欧州委員長のジャ ック・ドロール氏の言葉「日中間の経済連携こそナショナリズムを鎮める秘策である」で あるとまとめられた。これらの問題解決策としての「経済連携」の重要性をしっかり理解 しておくことが大切だろう。

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