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中山間地の災害復興と被災者生活再建の課題

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灘文灘 難論灘

中山間地の災害復興と被災者生活再建の課題

一旧山古志村被災住民に対する住宅再建調査を通して一

丹波史紀幅島大学行政政策学類准教授/

はじめに

 2GO4年憩月239に発生した新潟県中越地震は,中山 問地における地震被害として,阪神・淡路大震災とは 異なった特徴を持っている。もともと中越地方は,全 国有数の地滑り地帯とされる一方で,従来の丘陵地を 宅地としてならし,市街地を形成してきた地域である。

地震による大きな揺れば,山を崩し家を倒壊させると 購時に,地滑りや土砂崩れを発生させ,山間部の河瞬 をせき止め,それによる住宅の浸水被害も発生した。

土砂崩れや地滑りなどにより,外部に通じる道諮のす べてを寸断された旧山古志村(現長岡市山古志地区〉

は,村民6毅世帯,2,竃68人のすべてが避難する,いわ ゆる全村避難を余儀なくされた。

 福島大学では,教員・学生の有志により,震災直後 の避難所等において旧山古志村被災者への支援活動を 続けてきた。こうした経験をもとに,関係した教員を 中心として福島大学震災復興研究グループを立ち上げ,

旧山古志村を中心とした新潟県中越地震に関する災害 復興に関する醗究を行っている董。本調査は,この災 害復興概究の一環として取り組まれた2。

 震災直後の調査では,旧山古志村被災者の9割以上 が村に戻りたいとこたえている。しかし,時間の経過 とともに村からの転出者も増え,当初帰村を希望して いた者の中にも帰村をあきらめ,転出していく人もい る。一方応急仮設住宅は,入居期限が原則2年と定め られており,被災者にとっては,仮設住宅入居期限後

の住宅再建が大きな課題となっていた。今回行った住 宅再建に関する調査は,旧山古志村被災者を対象にし,

災害時の住宅再建に関わる課題を析出することにより,

中山間地における災害復興のあり方を考えることをね らいとしている。

 今回の調査により明らかになったのは,被災者の多 くが,住宅再建における費罵や被災者生活支援制度の 問題点などを訴え,災害時における住宅再建が個人の

「自助努力葺だけでは困難であることである。これは,

新潟県中越地震のみならず,阪神・淡路大震災をはじ めとする災害時に共通して指摘されてきたことである。

こうした点は,都市部でも中山問地でも共通している 課題である。同時に,今回の調査では中山間地特有の課 題を確認することができた。調査では全壊世帯など住 宅の損壊規模が大きな世帯の村からの転出傾向が確認 できたとともに,一部損壊など損壊規模が相対的に軽 度な世帯の転出傾向も確認できた。これは,住宅の再建 だけでなく,道路・農地・学校・医療福祉サービスな ど,生活の基盤そのものの再建が課題となり,地域にあ る生活基盤が一体となって再建されなければ,住み慣 れた地域に住み続けることが困難であることを示して いる。今回の調査は,中山闘地の災害復興を考える場合 に,鰯々人の住宅をどう再建するかというだけでなく,

コミュニティそのものの維持・再生に配慮した災害復 興の必要性を確認することができた。

 ここでは,旧山古志村被災者への住宅再建調査によっ て明らかになった,中山閥地における災害復興と被災 者生活再建の課題をとりあげる。

 本調査以外にも、鴉編年・20総年の2籔に応急仮設住宅での生活環境調査を行った。

 本調査羅究は、文部科学省基盤鱗究費(鋤「平成賀年欝月新潟中越地震による全村避難地域の復興に臠する文理融合総合概 究」(醗究代表者:鈴木典夫〉の一環として行われた。

(2)

中出闘地の災害復興と被災者生活再建の課題 (59§曾〉

1 住宅再建に関する調査

ていた。特に,65歳以上の高齢者の割合が53.5%と半 数以上を占めていた(表3参照〉。

(i〉調査目的

 旧山古志村の応急仮設住宅に住む被災者を対象にし,

入居期限前の2GO6年8月に住宅再建に関わるアンケー ト調査を実施し,住宅を含む生活再建や災害復興に晦 けた課題を確認する。

(2〉調査方法

 調査は,20総年8月7日から3細までを調査期間と し,旧山古志村の仮設住宅3カ所の全戸に調査票を留 め置き,後日返信封筒にて返送する調査方法で行った。

 調査対象は,旧山古志村仮設住宅632戸(全戸〉の うち,2GO6年7月末現在の入居縫帯数,5蔦世帯を分 母3とした。回収数は,i78世帯であり,有効回収率は 34.7%であった。

(3〉調査結果の概要

 ①性別と年齢構成

 回答者の性窮をみると,男性i33名(縫.7%〉,女性 43名(2嘆.2%〉であった(無回答が2名〉。また回答 者の年齢構成をみると,総代・20代はおらず,30代が 3名(i.7%〉,40代がi5名(8.4%〉,50代が39名(2i.

9%〉,60代が45名(25.3%〉,70代が48名(27.G%〉,

80代が20名(難.2%〉,無回答が8名(4.5%)となつ

衰耄 地区尉の家屋損壊状況

、 総数(戸) 全壊率

種苧原 虫 亀 竹 沢 東竹沢 三 ケ

206 160

2玉7

94 96

約5%

約20%

約45%

約85%

約95%

合計 773 約鎗%

(20編年n月末の目幌による行政資料・木造のみ〉

表2 住宅被害(2006年6月纏縫現在〉

全壊 大規模半壊1半壊  一部損壊      5

棟数  339 73 223 1玉2

欝耀 285

}きi  56

ll

234     }

ll  iO6

※「非住宅被害(棟)」については,828棟

(注〉山古志支所資料より

表3 年齢構成と性別のクロス表

度数 性

無回答 年齢

¥成

30代前半

R0代後半 ノ鉱湿L 婁

02 il

i︵︸ ︵︸o

i2

 40代前半  鶴代後半  50代前半  50代後半  60代前半  60代後半  7G代前半  70代後半  80代前半  80代後半  無回答 合 計

39458823i353   iii︸2113        i 2i5545575i23        4 000GOO1000i2 509023806488  ii22222i  7        i

3 なお、分母は2§総年7月末現在の入居盤帯数としたが、翌月(鐙総年8月末/の時点では、入居糧帯婆72世帯であった。iヶ 月で磐縫帯が癒急仮設住宅から退去したことになる。この時期、一部集落において帰村が始まったことなどによる変化とみられ る.そのため、調査分母には着手の誤差が生じる可能性があるが、形式上7月末とした。

(3)

㈹鋤 福島大学地域麟造 第欝巻 第i号 臆解.9  ② 家族形態と世帯人員

 家族形態をみると,「夫婦のみ」が磁轡帯(誕.3%〉

と最も多く,さらに「三世代家族」が3i世帯(17.4%〉,

「夫婦と未婚の子ども」が27世帯(焉.2%〉,「一人暮 し」が20世帯(難.2%〉,「その他」がi8糧帯(鴻.茎%〉

と続く (表4参照〉。

 世帯人員でみると,2人が最も多く28世帯(i5.7%〉,

続いて3人が25世帯(i4.0%〉となっていた。一方,

世帯人員が5人以上の世帯は43世帯と全体の3割程度 を占めていた(表5参照〉。ただし,無回答者が62世

帯と多く,実際の世帯人員を正確に反映しているとは 必ずしも言えない。

 なお,65歳以上の高齢者9i名中の56名(磁.6%〉が,

「一人暮らし」α7.6%〉もしくは「夫婦のみ」

(44.0%〉の世帯であった(表6参照〉。一方,65歳未 満の回答者で最も多かったのが,「三世代家族」23名

(29.i%〉であった。旧山古志村の世帯構成の特徴と して,一人暮しや夫婦のみの高齢者世帯と,比較的世 帯人員の多い三世代家族が多くを占める状況であると 考えられる。

表4 家族形態

パーセント 有効パーセントi累積パーセント

有効 一人暮し 20 n.2 1i.2 … n.2

夫婦のみ 6i 34.3 34.3 45.5

夫婦と未婚の子ども 27 i5.2 i52 1 60.7

夫婦と親 6

34

34 1 640

 三世代家族  その他  無回答 合     計

3i i8 i5 i78

i7.4 iO.1  8.4 紛。.o

i7.4 iO、i  8.4 ioo.o

8隻.5

9i.6

iO(}.o

表5 家族の人数

有効

数 1パーセント 有効パーセント 累積パーセント

i人 4 ︸1 2.2 3.4 3.婆

2人 28 1 15.7 24.至 27.6

3人 25

1

14.0 2重.6 49.i

1

墨人 6

1︸

9.o B.8 62.9

    5人     6人     7人     8人     難人

合     計 欠損値 無回答

合     計

i6

B

iO  3  1

n6

62 i78

 9.0  7.3  5.6  圭.7  0.6 62.2 34.8 鎗0.o

B.8 n.2  8.6  2.6  0.9 ioo.G

76.7 87.9 96.6 99.1 ioo.o

表6 高齢者世帯と家族形態のク霞ス表

家    族    形    能 瓜 計 一人暮し 夫婦のみ 夫鰍未婚醒どもi夫婦と親 三世代家硯その他 無回答 65歳未満 度数

、、銑  i5

奄〟Do%

  董1   5   1i2.7%1 6.3%    …

@231   B

@  l蹴%l l色5% n.4

  79

TG.o%

65歳以上 度数  茎6

奄V.6%

 40

S4.G%

 1創    G   i董7.6%i o.G%

 81  }

W.8%1 55% 6.6%

  9i

奄盾潤Do%

無回答 度数

 o

潤DG%

  6

V5.0%

  i l   蓋 奄Q.5%1 12.5%

 G l   o

藷蛛唐戟@o麟%

 o

潤Do%

  8

奄盾潤Do%

合計 度数

 20

g.2%

 6i

R4.3%

 27    6

奄T.2%   3.4%

   1@3輩    鰺

遠福S%i iO.i%  i5

W.4%

 i78

e。.G%

(4)

中出聞地の災害復興と被災者生活再建の課題 (6鰹〉

 ③集落ごとの回答者数と損壊程度

 すべての集落から回答を得ることができた。集落ご との回答者数をみると,一番多かったのが種苧原で63 名(35.婆%〉,さらに虫亀30名(絡.9%〉,竹沢蔦名(8.4

%〉,楢木i2名(6.7%〉と続く。損壊程度とあわせて みると,梶金,木籠,池谷,横木,大久保の回答者全

員が,全壊世帯であった(表7参照〉。こうした地区 は表iで示すとおり,全壊率が約85〜95%となってお り,そのことを反映していると言える。調査回答者全 体の住宅の損壊程度については,全壊曇.i%,大規模 半壊紛.2%,半壊29.9%,一部損壊蔦.8%と,予想通

り損壊規模の大きい世帯が多かった。

表7 集落と損壊程度のク縫ス表

集落  種苧原  度数          % 嘉  一

損 壊

藩麟

壊  大規模半壊 半  壊 一部損壊

・諺抽諺  34

T4.o%

l  igi  30.2%

 」 合  計

巨r「  63

    iGO.o%

虫亀

竹沢 度数   7

S6、7% 1    ←

  (}

潤Do%

  婆

Q67%

  4

Q6.7%

  is

奄盾潤Do%

間内平 度数 3   i

Q0.o%

  i

Q0.o%

  o 潤Do%

   5

奄n9.o%

菖蒲 度数

聾指αo%L_

  (}

潤Do%

   i

奄盾潤Do%

  o 潤DG%

   茎 凾f.o%

山中 度数   i l    }5G.o% 1

  (}

宦Do%

  o 潤Do%

  i

T0.G%

   2

soo、○%

油夫 度数   5 1    }

U2、5% 1

  王

奄Q.5%

  2

Q5.o%

  o 潤Do%

   8 エG.o%

桂谷

度%

度%

  7

63.6%

4

1

  茎 9護% !.、

  7 233%

  2

i8.2%

  3

io o%

  1 9.i%

   _ よ

  30

鎗G O%

  li

ioo.○%

梶金 度%

 o

o.§%

  6

ioo、o%

木籠   度数      % 小松倉  度数      %

︑丁

ioo.o%

  3

50.o%

    ←

ll翻   ・忙  醗

。.o%      o.o%

o.o%      G.o%

    3濡

里6.7%  〇       40.(}%     茎oo.○%

 0       6

0.o%     灘(}。(}%

池谷 度%

⊥干  o

o.o% 、!皿

  9

iOG.o%

猶木 度%

 (}

o.o%

 o

o.o%

 o

o.G%

  12

ioo.o%

..大久保

         %      逢4.i%

 o

o.○%

 18

iO.2%

  (}

o.o%

29.9%

←一 噤e  5

一嘗 鵬1霧

  i5.8%     玉Oo.(}%

 ④至ヵ月の世帯収入と主な収入源

 1ヵ月の世帯収入をみると,最も多い階層が「蔦〜

20万円未満」で29世帯(露.3%〉,続いて「5〜舞万 円未満」の24世帯(欝.5%/,「憩〜蔦万円未満」の23 世帯(犯.9%〉となっており,iヵ月の世帯収入が20 万円未満の世帯が全体の52.3%を占めていた(図玉参 照/。さらに65歳以上の高齢者世帯でみると,玉ヵ月 の糧帯収入が20万円未満の穫帯は58世帯で高齢者世帯 全体の63.7%を占めていた。図2でわかるように,65

歳以上の高齢者世帯の多くが,衡歳未満の世帯に比べ ても低所得階層に集中している。

 「世帯の主な収入源」(複数回答〉をみると,年金

(恩給を含む〉とあげている世帯が99世帯(55.6%/

あり,このうち64世帯が「一人暮し」もしくは「夫婦 のみ」の世帯であった。高齢者世帯の多くが年金生活 を中心とし,しかも年金額が多くないために,高齢者 世帯の低収入構造に影響していることがうかがえる。

(5)

(6倉倉2/ 福島大学地域麟造 第嬉巻 第1号 2§解診

図董 1ヵ月の世帯収入

 3倉

§

鐙.手縄

無覆答5万円    未満

筆艇纒

5〜護} 董馨〜輩§ 賛5〜2窮 2{}〜2§ 2{}〜3{) 3§ }3§ 3{5〜鳶§ 4{》^ 尋響 4§^ §{} 蓉{》フヲ醗

万需朱万跨未万欝未万醗未万霧乗万競未野縁朱万鶴来万需未 以上 満  溝  満  満  満  満  溝  満  満        葉カ月の世帯取入

図2 世帯別(高齢者〉の重ヵ月の世帯収入

度2馨

5

o

溝上       灘 ...

縫    脚

燭灘灘

....甕鐵

癖漢

蹴鎚螂︑

無慈答5薄霧来5〜纏万緯〜繕 応〜2今2舜〜2§ 2暮〜3む鐙〜3§韓米満 万遇未 方響来 乃霧家 乃羅未 万難未    溝   満   満   満   満

     壌カ月の世帯収入

3§〜磁 紛〜鱒 薦〜驚 s砺薄 万移乗 万霧蒙 万霧泰  以上

満   満   満

(6)

申山露地の災害復興と被災者生活再建の課題 (6倉倉3/

 ⑤ 住宅再建における悩みと課題(再建費用〉

 住宅再建にかかる費用についての設問では,「500万 円未満」が最も多く38世帯(2i.9%〉,次いで「3000 万円以上」が28世帯(15.7%/となっている.住宅再 建費罵が憩00万円以上必要とこたえた世帯は全体の約 6割となっていた(図3参照〉。これを損壊程度とあ わせてみると,全壊世帯のうち26世帯が「3000万円以 上」とこたえ,200G万円以上でみても,42糧帯となっ

ていた。一方,「500万円未満」とこたえた多くは,半 壊・一部損壊に集中していた(表8参照/。

 住宅再建をする上での悩みについて,「ある」と回 答したのはi難世帯(62.4%〉であり,「ない」とこた えたのは44世帯(24.7%〉であった。悩みの理由につ いて最も多かったのは,「住宅再建の費用」であり,

6割以上を占めていた。

図3 住宅再建費用 度韓数

3馨

20

§

︒灘

・、1灘嚢1…

5§§万醗未満 硲9〜緯馨奪万

 醗未溝

窒§{》§〜嘩5{}§   擬}《}馨〜2{叉}{)   2(疑}暮〜25倉馨

万欝未満   万需未満   万門未満

  住宅再建費用(分布〉

2§{鎗〜3《灘。

万雷未満

3駐§警万需以上

表8 住宅再建費用と損壊程度のク目ス表

損 壊 程

全  壊  大規模半壊  半  壊 一部損壊 合  計

住宅再建費用 500万円未満 2 4 i5 i7 38

500〜紛00万円未満 3 i 7 i iZ

憩oo〜蔦oo万円未満 5 2 6 o 13

150G〜200⑪万円未満 4 4 4 o i2

2000〜2500万円未満 1i 3 i o i5

2500〜3000万円未満 5 i 3

︵︸

9

300G万円以上 26

︵︸

i 1 28

合    計 56 i5 37 ig i27

i2

(7)

(6倉倉4/ 福島大学地域創造 第雄巻 第i号 2轟解.9

 ⑥ 地震保険・J A建物更生共済の加入状況  地震保険およびJ A建物更生共済(以下,J A建更〉

の加入状況を見ると,「地震保険に加入していた」が 7世帯(3.9%〉,「J A建更に癩人していた」が欝9世 帯(78、隻%〉,「両方に搬入していた」が4世帯

(2.2%〉と任意保険への搬入率の高さがうかがえる。

ちなみに「講方加入していなかった」の欝世帯(鐙.7

%/,無回答が9世帯(5.i%〉であった。特にJ A建

更の加入率は,合計でi43世帯と全体の9割近くを占 めていた(表9参照/。

 実際に支払われた保険金額をみると,「500万円未満」

が25世帯(鍵.0%〉,「500〜雄GO万円未満」が2董世帯

(n.8%/,「韓00〜蔦00万円未満」が25世帯(鍵.0%〉,

「焉OO〜2000万円未満」が5世帯(2.8%〉となってお り,5割が2000万円未満であった(図4参照/。

表9 地震保険・建更

i パーセント 有効パーセント上累積パーセント 有効 地震保険に加入して聾犬

J A建更に加入していた 両方に加入していた 両方加入していない 合  計

欠損値 無回答 合 計

7

B9

19

i69 9

i78

一十一一

3.9 78.玉

2.2

欝.7

94.9

5.1

1GO.倉

4.茎

82.2

2.4

H.2

iO(}.G

違.董

86.婆

88.8

ioo.o

図4 支払われた保険金額 度露

2春

嘩5

§

  欝 T、霧鑛i

  靉

ハ.慧麟

 欝 T.鶴麟

  懇

ァ.欝雛

  護

宦D譲鑛

  懸

怐D慧鰹   羅

.慧鑛

暮窮傘寿跨未満  3む倉〜看倉倉§万

      円未満

琶購〜穏倉奪  語聾§〜2傘倉{}  2{護}o〜2暴{){》

五霞未満   乃霧来満   万R未満

   保険金額(分布〉

25倉倉〜3㈱

万再来満

3線》乃欝以上

(8)

申山間地の災害復興と被災者生活再建の課題 (総㈲

 ⑦応急仮設住宅の退去のメドと帰村に対する思い  応急仮設住宅の退去のメドについての設問では,H8 世帯(66.3%〉が「たっている」と回答し,54世帯

(30.3%/が「たっていない」と回答した(無回答6

世帯〉。

 また,表憩が示すとおり,帰村するかどうかについ ての設問では,「する」と回答したのが欝2世帯(74.2

%〉,「しない」が29世帯(蜷.3%〉,「まだ決めていな い」が憩世帯(5.6%〉であり,約2割の回答者が

「しない」もしくは「まだ決めていない」という状況 にあった(無回答7世帯〉。これを,集落単位でみる と,油夫,池谷,楢木では全壊世帯が「しない」と回 答しているのが多いのに対し,種苧原では半壊・一部 損壊の者の方が「しない」と回答した数が多かった

(表憩参照〉。全壊率が比較的高い集落の転出だけでは なく,比較的損壊規模の少なかった集落からの転出が 一定数存在することが確認できた。

表紛 損壊程度と帰村するかどうかのクロス表 帰村するかどうか

す  る

しない ☆熟め♂

諺隣

      r 損壊程度  全壊     度数        (%〉

      大規模半壊  度数        (%〉

      半壊     度数        (%)

      一部損壊   度数        (%〉

合 計         度数

婆8

64.o%

i5

83.3%

44

86.3%

25

92.6%

i32

一 一一 2i

28.0%

5.6%

5 9.8%

2

7.婆%

29

』繭

2 n.i%

2 3.9%

o

o.o%

iG

i8

100.G%

5i

ioo。o%

27 iOO.o%

i7i

(%〉 ⁝i

77.2% i7.o% 5.8% ioo.○%

 ⑧国の被災者生活再建支援法の支給と課題  調査では,国の被災者生活再建支援制度について,

74.2%の人が「受けた」と回答している。その一方で,

37世帯(鎗.8%〉の人が「受けていない」と回答した

(表難参照〉。その理由は「所得が多いため要件に満た

ない」という回答がi7極帯であり,約半数と最も多く,

次いで「これから受けようと思っている」が5世帯,

「必要がないため」が窪世帯,「絹途が限定されている ため」が3世帯であった。また「知らなかった」とこ たえた世帯も2盤帯存在した俵i2参照〉。

豪雄 国の支援金の受給 度  数

一.一._ 一↑ー

パーセント …有効パーセントi累積パーセント

有効 受けた i32 7淫.2

一r

  H一一

78.i       78.重

受けていない 37 20.8 2墨.9 欝。.G

合 計 絡9 9逢.9 ioo.○

八悪難

@1網織  i

〟@計

 び

@  i   …

奄V8

 φ  l    l    …    I

援鰍

欠損値 無回答 9 野3

(9)

㈱倉6/ 福島大学地域創造 第欝巻 第至号 2馨解.9

表稔 国の被災者生活再建支援金を受けていない理由 理  由

所得が多いために要件に満たない 年齢要件にあわないため

これから受けようと思っている 住宅本体の費屠にあてられないため 屠途が限定されているため

支給額が少ないため 必要がないため 知らなかった その飽

無回答

7麗⁝G霧⁝5髭︷0%⁝3%⁝0鑑⁝逢縄⁝2麗⁝蓋鶉⁝5i9皿 0一 5皿 0・ 茎一 〇皿 8一 嵯㎜ 7一

 急患30⁝亀︒⁝5⁝2⁝

 4一  ㏄ i一  一  丁  一 i一

B.5鶉

A欝    37

sGO.縦

㊧ 考察

 ①…人暮しあるいは夫婦のみの高齢者世帯が多く,

年金生活で低収入

 全体として高齢者世帯の割合が高く,その多くは年 金を中心とした生活であるために,世帯全体としては 低所得の世帯が多く存在していた。20薦年12月時点で の旧山古志村仮設住宅における高齢者世帯率は絡5糧 帯(約30%/であり,うち一人暮しは44世帯(8%〉

であった(山古志支所調べ〉。

 「年齢構成」と「iヶ月の世帯収入」で比較すると,

50歳代がほぼすべての収入階層に分布し,30歳代・4G 歳代は相対的に低収入世帯が少ないのに対し,高齢者 世帯の低収入状況が見てとれる(表至3参照〉。これは,

高齢者世帯の収入が主として年金(恩給を含む〉によっ てなり立っていることを反映している。65歳以上の回 答者の6割以上が「一人暮し」もしくは「夫婦のみ」

と回答しており,そのほとんどが年金によって生活を 成りたたせていた。高齢者世帯の世帯収入をみても,

約6割はiヵ月20万円未満で生活をしている。

 旧山古志村全体でみても,村全体の高齢化率が37.3

%(2004年i2月現在/であるが,集落ごとにみるとさ らに高齢化率が高い地域もみられ,集落によっては半 数以上が高齢者世帯というところもある(表錘参照/。

農村地域にとって自らコメや野菜を作り生活が営まれ ている一方で,主な現金収入が少ないという事情があ る。仮設住宅での生活や住宅を再建していく上で現金 収入が少ないことが大きな課題となっている。ちなみ に調査では,「住宅再建上の悩み」として,約6割の 人が「住宅再建の費用」とこたえた。

 一方,こうした農村地域にとっては,コメや野菜を 作ることは,日々の生活の糧を得るという,いわば自 給農家が中心であり,農産物による販売収入はそれほ ど多くない。また販売農家の多くは零細農家である。

国の農業政策は,集落営農や法人化による農業経営の 安定化を打ち出しているが,旧山古志村のような自給 農家中心の地域に即しているとは言い難い淫。他方で,

村の住民にとってコメや野菜をつくることは,目々の 生活のための食料を確保するだけの存在ではない。ム ラでコメや野菜を作り,山菜をとるという生活が,山 で暮らしていく生活のスタイルであり,生き甲斐にも なっている5。

 ②収入や要件のために被災者生活再建支援法が使 いづらいという住民が多い

 阪神・淡路大震災以降,住宅再建への国の制度化を もとめる住民運動や国民世論によって,被災者生活再 建支援法が欝98年に制定された。20艇年には従来の生 活再建支援だけでなく居住安定支援制度を創設するな どの法改正が行われた。しかし国の被災者生活再建支 援法については,麟度上の問題点が早くから指摘され てきた。旧山古志村への調査でもその問題点は浮き彫

りになった。

 第一は,収入要件である。調査では,国の被災者生 活再建支援制度を受けていない理由の約半数は「所得 が多いため要件に満たない」というものであった。自 由記述でも,「子どもが屈居していたために所得が多 違 岡田知弘は、中越地方の農業の特籔として、「高齢者が中心に自給的農業やわずかながらの農産物販売を行いながら、世帯と  しては通勤兼業や養鯉業などの融業収入と年金収入によって家計が成りたっている4と指摘し、株式会社経営や法人経営では、

「かえって農家の生活再建が遅れてしまうことにもなりかねない」と懸念を示している(岡鐙知弘「中越大震災地域の復興をめ  ぐる二つの道」『ポリティーク遍旬報社、第鐙号、20薦年9月、麹.欝345嚇。

 長岡ニュータウンの山古志村仮設住宅では、仮設住宅の敷地内に野菜などを栽培するところが少なくない、また、仮設住宅付 近では村人たちが共同で運営する畑も作られた。

(10)

中山闘地の災害復興と被災者生活再建の課題 (6倉倉7〉

表稔年齢構成と書ヵ月の糧帯収入のクロス表

5万円

「満

5〜欝万 未満

灘〜i5万 未満

   i  力  鱒   ノ  磁  軍  朕  八

モ〜2倉石2む〜25万25〜鎗万30〜35万35〜韓万鵜〜薦万難〜5§万 未満 円未満 円未満 円未満 轡未満 円未満 円未満

灘万円

ネ上

A欝

9負葎並率 磨糠 舞     轟     轟     負     自     鐸     蓬     轟

鐙代議半 3§代後半

数 数度%度% 島︾轟︾轟︾幽︾ 農︾ 織︾ 0倉§姦︾ § 負︾ ○毒○爵︾︽︾ G

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0§貞︾§ O 

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韓代講半 韓代後半

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%     §.倉   §、倉

度数}   o   茎

%     9.§   ii.茎

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§    i o.O   ii.i

幽︾§昌︾昌︾ ○ 凸︾

 §    i    i O、蓼   33.3   33.3

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 o

O.倉

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22.2

○    魯    3

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§    i    警

暮.§   墨i.i  驚警.§

 5食代前半  度数、   董       %     5.6 齢灘代後帯  度数    ○       %     ○.§

i    §    2

5.6    G.(1   鑓.茎

i    2    5

5.§     i亙.蔓     27、8

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5.6

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 5

27、8

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§飛︾至£U 農︾ r3

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5.6

 2    3    2    }8 ii.i   欝.7   簸.i  驚倉.倉

 i    2    i   i8

5.6   B.豊    5.6  鐙§、倉

 6§代蔚半  度数

      %

 6食代後半  度数 構       %  鴨代蕪半  度数       %

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鼕.懸

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馨.馨

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欝霧   馨蕊懸   難.懸

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難.嚢   縷難き馨   欝.懸

 難 欝講  盗

難.馨

艦簸鷺無患叢難 鐘難 霧鍵

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i8鬱鬱

 4 昌︾ 畠︾魯︽︾§ 倉 A︾ &︾轟︾自U幽︾ A雛 

i    2壷

漿.8   至{){}.(1

§    i7

0.§   i{}{1.(1

馨羅 馨 馨 嚢灘 懸 蓬

27

 7 貞︾§ ○ 負︾倉︾ § 鴨代後半

物度数 霧雲

A嚢

叢薄誕婁

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受難藤鐵

@難

灘難彬懸

@慧

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叢離畢餓

@養 § 9 i

欝.縫 篶灘 難.馨 欝懇 盤慧 難懸 §.倉 ○.G 5.§

綴代蔚半 度数

3

欝欝 欝欝 蟹羅 難き 鬱鬱 擬1 2§.蓼 倉.倉 ○.○

総代後半 度数 灘. G §

難癖 欝.馨 繕難 繋欝 1難 襲麟 §.倉 ○.§ §、§

合 計 度数 夏7 22 2麦 27 至7 6 7

ii.i 懇.塵 i3.7 董7.6 9.2 猛、i 65 3.9 珪.ε

 ○

○.倉

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鎗.倉

 O

G.倉

 倉

§.§

 7

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§.倉   i雛}.§

0    2§

9.§   醤毒.{〉

o    夏5

0.巷   欝馨、む

0    3

0.1}   緯{1.磐

5   i53

3.3    i(疑》、{)

く,国からの支援が受けられなかった」(69歳女性・

3人縫帯〉,「収入による制限が,家族全員の年齢など も合計されてしまうなど,大家族には実際使えない舗 度であり,不公平を感じる。無条件でつかえる制度が 必要と思う」(52歳男性・7人の大家族〉,「二世帯,

三世帯同居で家計を一緒にしていると,全体所得が合 計されて,支援金が受けられない」(50歳女性・7人 の三世代家族/,「私のように主人が亡くなって,私の 収入は0ですが,子どもの収入だけでもらえませんで

した」(56歳女権・母親と未婚の子3人家族〉などの 回答があり,収入要件に対する不満は多い。中山問地 のように,世帯人員が多く大家族で生活するような世 帯の場合に,世帯全体の収入の合計が,被災者生活再建 支援法の適用基準外になるケースも少なくない。

 第二は,使途と対象の制限である。国の制度では,

支給される経費は,「生活関係経費」と「居住関係経 費」に分けられている。「生活関係経費」は,全壊世 帯のみ認められ,①生活に必要な物品の購入費もしく は修理費,②災害による負傷・疾病にかかった医療費

③住宅の移転費又は移転のための交通費の3種類となっ ている。また「居住関係経費」では,①民間賃貸住宅 の家賃・仮住まいのための経費(上限50万円/,②住 宅の解体(除去〉・撤去・整地費,③住宅の建設,購 入又は補修のための借入金等の利息,④ローンの保証

料,その他建替等にかかる諸経費の4種類である。制 度発足当初は,全壊世帯に最大鶏0万円の「生活関係 経費」が支給されることになっていた。これが20経年 の法改正より,「居住関係経費」も新設され,全壊世 帯が最大200万円,大規模半壊毯帯が最大舞0万円が認 められた。ただし住宅の改築や補修に関わる経費,い わゆる「住宅本体」への経費は認められることはなかっ た。そうした使途制限への不満は自由記述でもみられ た。「住宅再建に使えない等,使途基準が厳しすぎる」

(60歳男性〉,「用途が限られているため,全額を使用 することができず,大変残念に思います」(簿歳女性〉,

「国の支援金の対象物品などで住宅の補修費等に使罵 できないので制度を変えてほしい4(57歳男性〉,「家 を再建する為の土地を失い,家を失い…鰯人的な物 への補助ができないということは解っても,生活は非 常に苦しい。土地購入の補助や家の建築に関する補助 がほしいま(45歳男性〉など,国制度の制限が厳しい ために,非常に使いづらいという意見が多かった。ま た,損壊規模が全壊・大規模半壊に限定されているた め,半壊や一部損壊の世帯にはそもそも制度雄象外と

されてしまうことへの不満もみられた。

 新潟県では,国麟度を補う県独自の制度を2004年H 月に創設した。県独自制度では,住宅本体への改築・

補修費用にも充てることができ,世帯収入の要件も撤

(11)

(6馨倉8/ 福島大学地域創造 第欝巻 第i号 2台形.9

廃した。また,全壊・大規模半壊以外に,半壊世帯も制 度の対象にした。支援金の額は最大鐙G万円である。

 ③ 全国平均や中越地方全体からみても高いJ A建 更の加入率が一定程度住宅再建に貢献している。ただ

し,それのみで十分対応できるものではない。

 旧山古志村の被災者にとって,一定の役割を果たし たのがJ A建物更生共済(以下,J A建更〉などの任 意保険であった。J A建更とは,J A共済の一部で火 災の他に,台風・大雪・豪雨・地震などの自然災害も 保障する制度で,全焼・全壊の場合には満期共済金額 の紛倍(地震等で全壊の場合は5倍保障/が支払われ る共済制度である。掛け捨てではなく満期時(5年〜

30年の4段階で設定〉には満期共済金等が受け取るこ とができる。建物だけでなく,火災や自然災害による 傷害(死亡・後遺障害・治療等〉にも対応している。

2007年1月i欝からは「地震保険料控除」が創設され,

J A建更も所得税・住民税の控除対象となった。ちな みに新潟県中越地震では,新潟・福島・群馬などを対 象に86,353件/約766億円が支払われた(J A共済連

資料より〉。

 地震保険・J A建更の加入状況を見ると,調査にお ける保険加入率は全体の88.魂%と非常に高い。J A共 済連の調べによると,瞬山古志村全体のJ A建更の加 入状況は,世帯数6雛世帯に対し旅人縫帯は630世帯で あり92.5%の加入率(20艇年鉛丹現在〉である。これ は,中越地方の加入率が36.3%(鱗,2GO/25,8943世帯〉,

全国平均で29.3%(件数普及率〉という撫入事と比べ ても格段に高い(J A共済連調べ〉。

 こうした高い加入状況が,災害時の住宅などを中心 とする生活再建費屠に少なくない効果をもたらしてい ることは事実であろう。しかし,住宅再建にかかる費 用がioOO万円以しとこたえた世帯が約6割であるのに 対し,地震保険・J A建更による実際の給付額は,

雄00万円以上受けることができた世帯は全体の4割に とどまっており,任意保険だけではまかないきれてい ない様子がうかがえる。

再開させたいと願ってきた。

 しかし長期にわたる避難生活,見通しの立たない復 旧工事,仕事や学校の生活環境など,住宅や生活を再 建させていく過程の中で生まれる課題の前に,少なく ない住民が帰村への迷いを感じ始めていた。村を走る 路線バスの廃止が取りざたされるようになると,他の 交通手段を持たない高齢者や村外の学校に通う子ども たちなどの移動にも支障が生じることになり,生活の 基盤が失われてしまうことへの不安も募った。

 本調査においてもぞうした迷いや不安が多く聞かれ た。自由記述では,「とにかく安全な道路を一8も早 く復興してほしい事です。一日一ヶ月遅れると山古志 に帰る人が少なくなってきているのがさみしい。若い 人達が帰郷しないのは先が不安になります」(60代男 性〉,「欄人へ対する援助が全くないと感じる。まず,

鰯人が被災前の生活レベルにできないと集落は再生で きない。」(50代男性〉,「仮設での生活は2年が限界だ と感じています。未だに土地が決められない地区があ り,この先もうi年不安な臼々を邊ごさねばならない 地区住民がいることに心が痛みます。長くなることに より,山古志へ帰ることをあきらめてしまう人も出て くるはず。国や市など行政の甘さに怒りを覚えます」

(50代男性〉,「旧山古志は老人世帯が多く,全壊など された家庭は行き場がなく園っているのが実態。まさ か地震が起こる事は考えられなかった。そこに現実に 直面して,いろいろと物資等送られては来ましたが,

いざ将来のことを考えると,ゼ家遜がないと不安でしょ うがない。無償とは言えないが,国からの支援がもっ ともっと欲しかった」(40代男性〉などの意見がみら れた。その特徴としては,①長期にわたる避難生活に より気力が萎えていく,②被害の大きかった地区では 住宅を再建する場所すらも決まらずに計薩が立てられ ない,③高齢世帯が多いために,実際の住宅を再建さ せていく上での費用の問題,④若年世帯などの流出に

より村そのものの機能が維持できるかどうかの不安,

などが主なものであった。

 ④ 時間と共に増える帰村への迷い

 被災直後の住民意識調査では9割以上の住民が「村 に帰って生活したい」と回答していた。国の官僚や他 の被災者からは,帰村に向けた財源があれば,「平場」

で生活した方がいいなどという声も聞かれたが,旧山 古志村の住民は,住み慣れた地域での生活,棚蟹や闘 牛・錦鯉などの自然や文化の財産,中山闘地が国土保 全や景観などに果たす役割などを訴え,村での生活を

2 中山間地の災害復興に向けた課題

(1/コミュニティの維持と課題

 中山閥地の災害として,中越地震で重視されたのは,

「コミュニティの維持」という視点であった。とりわ け旧山古志村では,当初から長期にわたる避難生活を 余儀なくされることが予想されたために,被災直後,

集落に関係なく避難していた避難所を,その後集落単

(12)

中山闘地の災害復興と被災者生活再建の課題 (69㈲

位に避難所を再編した。また,集落ごとに自治組織が 避難所を運営§,応急仮設住宅における地区単位での 入居,理髪店や診療所の開設など,コミュニティの維 持に向けた努力がはらわれた。

 さらに,避難住民への鰯別的な対応も行われた。高 齢者が多い…方,避難所には一定程度子ども達も生活 していた。避難所ごとに対応は違ったが,避難所内に おける子ども達の居場所づくりの確保,避難所のある 高校の空き教室を科絹した中学生への学習支援など,

ボランティアの協力も得ながら子ども達への支援も行 われだ。また,乳児をかかえる母親へは授乳室の確 保などもされた。

 こうしたコミュニティの維持に努力が払われている ものの,全国の中山問地が共通に抱える若年人口の流 出による過疎・高齢化の進行は,震災によりますます 雛速している。震災後,村からの転出でR立つのは,

子育て世代を中心とした若年層の流出である。こうし た世代の多くは,仕事や学校が長岡市や小千谷市など の「平場」にあるために,震災以降,交通事情もあり,

この際生活の中心を村以外の「平場」に求める傾向が 一層強くなっている。また,高齢であるために村での 住宅再建をあきらめ,転出するケースもある。ちなみ

に,2007年2月欝8現在の村全体の帰村者数は3鍍世 帯(899人〉であり,震災前の68i世帯の約半数にとど

まっている(表聾参照〉。現在でも,避難指示継続地 域であるために村に戻ることができない梶金・木籠・

池谷・猶木・大久保の集落や,避難指示が解除された としても住宅再建のメドがたたないなどの理由で仮設 住宅に入居している世帯が,29御年2月28日現在で鰺 5世帯(555人〉となっている。この問の避難生活で村 から転出した者は,io7世帯(480人〉となっている

(20解年2月蔦9現在〉。

 若年世代の流出と一層の高齢化が,これまで村,と りわけ集落単位で行ってきた住民共同の営み(消防団,

祭り,雪かきなど/を困難にしつつある。特に豪雪地 帯にとって雪かきは死活問題である。高齢者世帯だけ では困難なために,村に帰りたいと強く願っている高 齢者にとっても今後の村での生活に課題が残る。

表替 山古志村の地区と集落の人口変動

地区  集落     下 村     大谷地種苧原

三笠雌

   =

虫智虫亀

竹 沢

東竹沢

猛ケ

沢漂蕩中夫谷 内竹閥菖出漉桂 釜籠倉  松耀叢小 餐毒蘇  蕪濾繕叢

篶2 i27 i75

i5姿

人 日

経年憩舞現在  轡帯数

騒董

磐   人口 3§   §軽8

53  選帯数

56  , 欝i

  「

   ぴ ぬ

   人口    騒i

難5   獲帯数

   鯵5

    講

27逢コ笛万口

       ε3§87

2至

65 69 i20轟轟霧6繋魏鑓懇齢藩7

2,鶏8

聡8捻20総懸蝦馨r3驚甕2蕊欝欝

§8墨

継帯数 鰺2

叢雲

欝欝

糧帯数  79

叢羅

馨欝

欝叢数  雛

艇年鐙月末現在 高齢化率(%〉

毅.○

32.i

27.6 32.i 逢2.i

27.6 38、2 淫2.§

懇.靉

靆灘 襲、i

難.馨 錨.墨 灘.霧

37.3

解年2驚i瞬現在鐙住民登録数

      盤帯数  人 口

錫、騰

3§7

237 77

圭6

87

麟轡轡i瞭雛慧5

i22

雛お6簸鯵お

欝欝欝 帯艇菱暮穂滋馨2欝遜鶏鞭盤獄毒墨壷

i,§88 57蓬

解年2月篶§現在の帰村数       縫帯数  人 口

論9 董2§

   r一

29δ      欝5

  一一一一†

蔦5      55 39      i7 韓       3 3塁      8 0       § 32      簸馨懸盤鬱鬱馨 ⁝ 織紐難G﹂轟羅轟醐馨

8鱒 33重

合 訴 人ロ

ーi騒

縫帯数

一28

人目

ー7獲

世帯数

.23

人目 422

盤帯数

一2§

人爵

遜3 糧帯数

4至

人臼

一97

量帯数

一25

人縫

48§

選帯数

一欝7

注〉麗嚢驚講は2§蟹年2月欝欝現在の避難指示継続地域

6 旧山古志村では、避難所を集落ごとに再編成し、集落ごとにあった自治組織による運営が行われた。こうした自治綴織は、避 難所の運営、自治体からの縫報提供、住民から霞治体への要望伝達などの機能を果たした(図荏参照〉。

7 福島大学震災学生ボランティアは、村のPTAと協力し、長岡大手高校にて村の子どもたちへの学習支援活動にも取り縛んだ。

(13)

(6鍵§/ 福島大学地域翻造 第欝巻 第i号 20解.9

図4 集落における自治綴織

虫亀の役職構成

区長〔筆名) 農家組合長〔唾名) 会計〔薩名)

〔以上協議委員より選任)

協議委員〔沁名,選考委員より選任〕

   !

選考委員(部長) 〔総名、各部2名)

   1

組長〔各部4・5各各緩手名〕

一騎一家

ゼムラに縁、幾つかの役職が置かれ、ムラの霞沿線もとより、栂(行政〉の代行・連絡を 行っている。これら各ムラの懇織により麟の行政が各家に伝達されへ且つ、各家から行政へ の要求を伝える重要なパイプ役となっているのであるσ

 たとえば、虫篭では、 (牛酪〉ムラを八蔀に区分し、各部から選考委員二名ずつを選び、

その中で十名の協議委員を選ぶ。さらにこの中から区長・農家総合長・会計が各一名ずつ選 鐡される。委員以上の任簸は二尊で、ムラでは、予算総会・決算総会・臨鷲聡会解行われる が、これら総会以葱に各部では部長宅で総長による翻内会議が行わ為ている。」

(出所〉山吉志糧史編集委員会総髪由吉志越史 通史雌山古志村役場、稔85年,8堀頁より

(2〉中山問地の住宅再建の問題と課題

 いまだ「住宅は私有財産であり,その再建は自己責 任」という態度を変えない日本政府であるが,災害に よる住宅再建は鰯人の私的な努力だけでは解決し得な い。これは都市部も中山問地も購じである。旧山古志 村のように,高齢者世帯が多い地域では,そもそも住

宅再建のために,金融機関等に借入を申し込んでも拒 否される場合も多い。例え借りることができたとして,

震災によって被害を受けた住宅のローンが残っていれ ば,いわゆる「二重ローン」をすることにもなる。

 とりわけ旧山古志村をはじめとした中山間地の場合,

その課題は複雑である。欝本の7割をしめるといわれ

(14)

率由問地の災害復興と被災者生活再建の課題 (6艦)

る中山問地の多くは,過疎・高齢化や人口の流出とい う課題を抱えており,災害はそうした状況をさらに深 刻にする呂。一方で近年の田本の国土開発は,いっそ う都市集中になっている。たとえ個人によって住宅を 再建することができても,若年世代の流出による人口 減少が加速すれば,集落そのものの存立にも関わる。

新潟県中越地震以降,人口流出による集落の存亡に悩 むところが数多くあらわれた。他方で,こうした集落 の存立に課題を抱える磨山古志村や周辺の地域では,

集落の存続に向けた様々な取り緩みが始まっているこ とも指摘しておきたい聾。

 こうして考えると,災害復興,とりわけ中出問地に おいては,「コミュニティ単位での再建」という視点 がますます重要になってくる。2000年紛月の鳥取県西 部地震では,県がいち早く住宅再建のために,新築最 高3GG万円,改修最高蔦0万円を県・市町村が補助する

「鳥取県被災者生活再建支援条例」を創設した。この 凝度は,住宅本体に支援をするものとして注目された が,さらに重要なのは,「住み慣れた地域に住み続け ることができるようにする」という「地域の維持・再 生」をねらいとしたことである鱒。震災後,集落の人 口は微増したとされ,この制度が集落の維持・再生に 一定の効果をもたらしたと言われている韮。また,福 岡県西方沖地震においては,同じように全島民が避難 した玄界島において,「小規模住宅地区改良事業」を 活用した災害復興を行っている。この事業は,不良住 宅焉戸以上,不良住宅率50%以上を要件とし,地方自 治体が実施主体となり,不良住宅の買収・除却,建設 矯地の取得造成,小規模改良住宅の建設・購入・改良,

公共施設・地区施設の整備などが行うことができる。

住宅地区改良事業より要件が緩やかで,土地を行政が 買い上げ,改良住宅を建設し,もとの住人に入居させ ることができ,集団移転事業のように住み慣れた場所 を離れることがないという利点があるとされている。

ただし同事業は,1997年の建設省(現:国土交通省/

住宅局長通達による「小規模住宅地区等改良事業制度 要綱」に基づく調度であり,法定事業ではない。玄界 島では,島の集落再生において,島民によって選出さ れた「玄界島復興検討対策委員会」を設置し,島民の 意海をふまえながら小規模住宅地区改良事業を実施し ている。あわせて漁港施設,小・中学校等の公共施設 の災害復旧事業を行い,「基盤の再生と共に,地域産 業・コミュニティ再生を連動させるため,島民との共 働により玄界島復興プラン(目標像〉を策定」し,地 域再生に取り組んでいる。小規模住宅地区改良事業は,

防災集団移転促進事業に比べ地元自治体の負担割合が 高いため,自治体の姿勢により対応が異なる。新潟県        にしだに

中越地震では,長岡市浦瀬地区と西谷地区の30戸,小

   む うにだいら      うとぎ      にごろ     つむなざわ

千谷市十二平地区,蘭木地区,荷頃地区,鴬沢地区,

       こだか

朝日地区の80戸,川口町小高地区の25戸が集団移転事 業を活題しだ2.旧山古志村の一部集落では,小規模 住宅地区改良事業を活照した災害復興を行おうとして

いる。

(3〉被災者生活再建に向けた法制度

 国の被災者生活再建支援法は,阪神・淡路大震災を 契機とする住宅再建への個人補償の住民・関係自治体 の要求を受け,欝98年に制定された。20艇年には居住 関係経費が新設されたが,住宅の撤去費用や住宅再建 にともなう借入金の利子などに限定され,住宅本体へ の支援は今回も認められなかった。また,収入や年齢 などの要件の厳しく,たとえ全壊や大規模半壊であっ たとしても,適屠外になるケースも少なくない。ちな みに,旧山古志村では国の被災者生活再建支援法によ る申請は587世帯,499戸となっており,未申講は25戸 であった(山古志支所調べ〉。

 こうした国の支援舗度に限界があるために,災害の 起こった自治体では,独自の制度を設けて対応せざる を得ない状況にある。関西学院大学災害復興制度研究 所が行った「被災自治体における上乗せ・横出し・独 8 擁えば、小千谷市塩谷地区では、震災によってもともと住んでいた姶糧帯申、実際に集落に戻ってきたのは欝世帯と半分以下  となり、集落の存立そのものを脅かしている。講じように瞬山古志村に違い、長岡市太懸地区なども震災による流鐵者による課  題が現れている.

9 旧山古志村では村民共同の餐P()法人や社会的企業体など、新しい共購に基づくコミュニティ再生が始まっている。

欝 鳥取県被災者住宅再建支援条例では、「地域の活力を失うことなく力強い復興をすることを促進し、もって地域の維持と再生  を図る」(第一条〉ことを目的としている。

難 浅井秀子・熊谷昌彦「鳥取県西部地震災害における住宅再建・公的支援の意味」片山善博ζ居住福祉ブックレットH 住むこ  とは生きること一鳥取県西部地震と住宅再建支援一曝東信望、20総年を参照。

玉2 新潟県申越地震では、防災集団移転促進事業における移転策の住宅団地について、最低規模を「当分の闘」、欝戸から5戸へ  と変更した。

(15)

(§綴2/ 福島大学地域創造 第欝巻 第i号 鎗解.9

自支援策についての報告」では,被災者生活再建支援 法以降に自治体が独自につくった生活再建・住宅再建 支援策の全国調査を行い,その結果をもとにグループ 化を行っている 3。それによると,①支援法の適爾対 象にならない被災世帯にも支援法と同等の支援を行う 独自施策(グループA〉,②20艇年の支援法改正前に おける住宅再建支援に関する独自施策を行う独自施策

(グループB〉,③三宅島などへの長期避難に関する独 自施策(グループC〉,④20経年の風水害等における 独自施策(グループD〉,⑤新潟県中越地震における 施策(グループE/,⑥福岡県西方沖地震における施 策(グループF〉と,6つに類型している。こうした 過去に災害が起きた多くの自治体が「上乗せ・横出し・

独自支援策」をつくることになったのは,国の被災者 住宅再建支援法の欠陥を物語っているとも言えよう。

旧山古志村をはじめとした新潟県中越地震では,住宅 の損壊だけでなく,地盤そのものが崩壊するという特 徴を持っており,単に再建は鰯人の努力によって解決 する状況にない。中山問地が持つ公共的な役割を再評 細し,中山闘地であったとしても住み慣れた地域で暮 らし続けられるための世論形成が必要であろう。その 際,阪神・淡路大震災,鳥取県西部地震,玄界島,旧 山古志村をはじめとする新潟県中越地震の経験を通じ て明らかになってきた「コミュニティの維持・再生」

という視点に基づく災害復興が今後ますます重要になっ てくる。また,2004年の法改正による居住関係経費の 新設を一つの足がかりにして,社会保障鰯度としての 住宅保障政策の展

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