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仮想水輸入国、ニッポン ~日本人は一日に 1460ℓの水を輸入している?!~

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Academic year: 2024

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仮想水輸入国、ニッポン 

~日本人は一日に 1460ℓの水を輸入している?!~ 

Abstract

本稿では、日本と仮想水との関係について概観し、水資源分配について以下の2点を重点的に 論じた。

・ 日本の食糧消費は世界の水消費に密接に関っている

・ 日本は輸入相手国の水資源に大きく依存している

そして、この問題に対し、日本が自国の食料・水資源を保障するために、以下の2 点の必要性 を挙げた。

・ 食料自給率を改善する

・ 輸入相手国の水資源管理に日本が関わる

次に、末端の消費者に求められていることは次の2点に絞られると考えた。

・自給率向上のため、国産品を購入する

・過剰に食品を消費しない

*仮想水(バーチャルウォーター)という考え方

日本は多量の農畜産物や工業製品を輸入しており、仮にそれらをすべて国内で生産したとする と大量の水が必要となります。このように輸入食料等を国内で生産する場合に必要となる水は、

仮想水(バーチャル・ウォーター)と呼ばれます。つまり、食料等の輸入は仮想水を輸入してい るようなもので、結果として自国の水資源を大量に節約していることになるのです。東京大学生 産技術研究所の沖大幹助教授らのグループが試算した結果によると、輸入している農作物(牛肉、

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ルとして計算)。さらに、日本の年間水使用量は839億m3(2003年)ですから、その約3/4に 当たる仮想水を輸入していることになります。 

仮想水という考え方は、ロンドン大学のアラン教授によって1990年代初頭に提唱された考え 方で、農産物などの輸入(移動)による水資源が足りない地域における水資源の節約や水資源の 自給率向上の議論などで使用されている考え方です。

* 日本における仮想水

  仮想水は次の式のように算出します。

仮想水 = 輸入量 / 水消費原単位

  水消費原単位とは、単位生産量あたりの水の投入量のことです。これに基づいて、全て輸入品 で作られた牛丼一杯の仮想水を算出してみると、牛肉の実際に調理に使われる部分の水消費原単

位を200700( /t)、精米後の米の水消費原単位を3600( /t) として計算すると、なんと、牛丼一

杯には32540 リットルもの水が投入されていることになります。これはバスタブ200 杯以上の

量に相当します。ちなみに、ハンバーガー1個1000リットル、月見そば1杯750リットルの仮 想水が使われています。

【100 グラム生産するために必要な水資源量】 

 

   

【牛丼 1 杯生産するために必要な水資源量】 

 

   

 

(3)

【日本の仮想水輸入品目別シェア】 

 

   

東京大学生産技術研究所の沖大幹助教授等のグループが試算した結果より 

日本の食料自給率は現在、カロリーベースで、40%(注2)といわれ、大半の農作物は海外からの輸 入に頼っています。ここで注目すべきなのが、日本の国内年間総使用量と仮想水輸入量がそれほ ど違わないことです。仮想水輸入量が640 億であるのにたいし、前述のとおり、年間水使用量 は839億m3(2003年)です。年度は異なるものですが、仮想水輸入量が日本の水需要の大部 分を占めることがわかると思います。つまり、日本は食料輸入を通して、海外の水資源に大きく 依存しているのです。依存しているということは日本の食卓は、輸出国の水資源管理にかかって いるといっても過言ではありません。

(4)

* 日本は世界最大級の水消費国

  日本人一人あたりの一日の水使用量は 320 リットルと言われています(注3)。この数字は、昭 和 30 年代の 2 倍の量です。FAO Aquastat(国連食糧農業機関の水に関する統計データ)をもと に NPO 法人 Waterscape が算出した数字によると、日本は、世界の主要先進国のうち、4 番目の 数字で、世界平均の 2 倍の量です。一方、国土に降る降水量から算出された 1 人あたりの国内で 再生可能な水資源量は世界でも 82 番目。世界平均の 6 分の 1 しかないのです。この数字は、日 本の 3 分の 1 の面積である西アフリカのリベリアの約 20 分の 1 の量であり、本来、私たちが使 用できる水の量は驚くほど少ないのです。にもかかわらず、なぜ私たちは 1 日 320 リットルもの 水を使用できているのでしょうか。第一に、水を貯めておく最先端の技術があったからです。自 然の湖はもちろん、人工的なダムや農業用のため池はその代表例です。続いて、私たちの食卓に 並ぶ食料の約六割を国内で生産せず、海外から輸入しているからです。 

  今は薄れつつありますが、かつては人々の意識の中に「もったいない」と水を使い回したり、

節水する習慣や意識が根付いていました。世界でも屈指の水消費国に生きる私たち日本人は、こ れからもう一度、「水を使う」ということを考え直さなければいけないかもしれません。 

 

【主要先進国一人一日あたりの水使用量順位】 

 

   

【一人一日あたり再生可能な水の量】 

 

 

(5)

 

* ウォーターレスなライフスタイルへ

  世界で水を巡る争いが起こるとの悲観的な観測をしなくても、日本人が一人一日 1,780 リッ トルもの水を使っている現在のライフスタイルを維持していくことは今後難しくなっていくで しょう。日本に食料を輸出している各国においても人口増加や工業用水の増加により、その国内 における食料生産と生産にかかる水の量が増加し、日本への食料の輸出量が減少されることも考 えられないことではありません。そのような状況では、日本では国内で消費する食料は自国で生 産するという、国産国消という発想が必要になってくるでしょう。 

  それでは、仮想水輸入大国として日本はどういった対策をとることが出来るのでしょうか?私 は、以下の 2 点が有効なのではないかと考えました。 

 

1 点目は、輸出国に頼らない体制、すなわち、自給率の増強です。日本の自給率は年々下がる ばかりです。次の図は平成1 年から12 年までの日本の食料自給率のグラフです。小麦の自給率 は、ずっと20%以下の低い水準を維持しており、牛肉は減少しつづけています。「これだけは 大丈夫」と思われてきた米ですが、近年、自給率低下の動きを見せています。この傾向はこれか らも続くと思われます。この傾向に歯止めをかけようとしない限り、日本の食卓は輸出国の水資 源に左右されることになるでしょう。

2 点目は輸出国の水管理を監視・支援する体制です。たとえば、アメリカの水資源にかかわ

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・自給率向上のため、国産品を購入する

・過剰に食品を消費しない

 この前者の自給率については食品に限ったものではなく、工業製品も含みます。現在、安価な 中国製品が日本に大量に輸入されていますが、これでは中国の水資源管理が日本の消費活動に大 きな影響を与えかねません。現在の依存体質を改善する必要があると考えられます。また、依存 体質を改善することは、水資源枯渇になりつつある中国の環境問題解決への一助になると考えら れます。

  後者については、簡単に言うと、食べ残しを減らすということです。輸入された食品には世界 の水資源が投入されていることは以上で述べたとおりです。しかし、日本では決して食べ残しが 少ないといえる状況ではなく、世界の水資源が投入された食品が生ごみになってしまうことが絶 えません。食べ残しを減らすことで、世界の水資源に対する圧力は緩和されるのではないでしょ う?

  世界の水資源と私たちの生活が、間接的であるものの、強い関わりを持っていることを考えて いただければ、他にも私たちが世界の水紛争解決に貢献できることは他にもあると思われます。

日本は山川に恵まれ、水資源も豊富にある。私も今までは水に対して、そんな認識を持ってい ました。 しかし仮想水を含めて考えると、実は、世界でも有数の水の輸入国でもあるのです。

つまり日本は農作物や肉類の輸入を通じて、外国の水資源を「使っている」わけです。水危機が 叫ばれる中、この仮想水に対する関心も高まっており、新たな国際紛争の火種にもなりかねませ ん。 食料自給率が 40%と先進国で最も低い日本にとっては、この新たな火種を一刻も早く、消 す必要があるといえるかもしれません。 

                           

(7)

 

注1) 「平成18年版  日本の水資源」、国土交通省土地・水資源局水資源部、2006年8月 注2) 農林水産省総合食料局「日本人の食卓の現実(平成16年)」より 

注3) (国土交通省水資源部「平成 17 年度版 日本の水資源」より) 

 

参照:・Inax 会社情報  ニュースリリース 

<http://www.inax.co.jp/company/news/2006/060̲eco̲0331̲48.html> 

・ バーチャルウォーター(仮想水)ではかる日本の海外食糧依存度 

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/06̲hakusho/ODA2006/html/kak omi/kk02003.htm> 

・ ウォーターライフ:水と環境 

<http://www.waterlife.ne.jp/ecology/005.php> 

・ リビングサイエンスアーカイブス:世界の水紛争と日本 

<http://www.csij.org/archives/2007/02/2̲4.html> 

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