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化学のための物理I(b) 事前学習

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Academic year: 2024

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化学のための物理I(b) 事前学習

化学の大きな目的の一つは分子の構造や反応、様々な物理化学的性質(物性)を探究し、人類社 会の発展への貢献を目指すことにあります。しかしながら、分子の世界は途方もなく小さいので、

分子の世界で何が起こっているのかを直接目にすることはできません。現代の化学において分子の 世界を探究する頼もしい道具は、実験装置とコンピュータです。これらを駆使することで、分子に 関する様々な情報を引き出すことができます。しかしながら、引き出した情報はそれほど容易に読 み取ることはできません。実験装置はどのような原理にもとづいているのか、コンピュータで何を 計算しているのか、得られたデータをどのように解析するのかについては全て物理学の知識が必要 となります。物理学は化学を含む様々な自然科学の基盤となる大変重要な学問の一つです。本講義 はとくに高校で「物理」を選択しなかった学生を対象とし、高校「物理」の内容を踏まえながらも 大学物理の入門となる微分・積分を利用した「力学」の基礎的な内容を通じて、化学にとって重要 な種々の物理学の概念を学んでいきます。尚、本授業では下記の図書を教科書として使用します。

【教科書】第5版 物理学基礎、

著者 原康夫、 出版社 学術図書出版社、 ISBN: 9784780605259

1.物理量

物理量とは自然現象を理解するために用いられる物理学の概念です。ではそもそも「概念」とは 何でしょうか。「概念」という言葉は簡単に言うと、頭の中に作った整理用の仕分け箱につけたラベ ルのようなものです。例をあげてみましょう。例えば、下の言葉を見て何を連想するでしょうか。

プードル チャウチャウ ブルドッグ シェパード ドーベルマン

人は上の言葉を『犬』というカテゴリーで理解することができます。イラストで犬を描けば、実在 していないのにイラストすらも犬と判断することができてしまいます。このように人は無意識のう ちに共通するものを見つけて頭の中で整理しようとします。この整理づけされた個々のカテゴリー を概念といいます。

さて、本授業で出てくる物理学の概念ですが、基本的かつ重要なものとして以下のものが出てき ます。日本語だけでなく、英語のスペルも書けるようにしてください。

《主な物理量》

質量 (mass) 長さ (length) 時間 (time) 速度 (velocity) 加速度 (acceleration) 力 (force) 仕事 (work) エネルギー(energy) 運動量 (momentum) 角運動量 (angular momentum)

(2)

2 2.単位

(1)基本単位

1節で出てきた種々の物理量を定量的(物事を数値を使って表すこと)に表すには、単位を用い る必要があります。力学で用いられる単位のうち、最も基本となる単位は以下の三つです。

長さの単位: メートル(m)

質量の単位: キログラム(kg)

時間の単位: 秒(s)

これらの単位を基本単位として、他の物理量の単位を定めた単位系(単位の集まり)をMKS単位系 といいます。さらに電流の単位のアンペア(A)を 4 番目の基本単位として加えた単位系をMKSA 単位系といいます。現在、国際標準で用いられている単位系はこのMKSA単位系を拡張した国際単 位系です。この国際単位系は英語とフランス語で

英語: International System of Units フランス語: Système International d'unités

と書きます。国際単位系をSI(フランス語の略称)と呼びます。SIでは、メートル、キログラム、

秒、アンペアに、温度の単位であるケルビン、光度の単位であるカンデラ、物質量の単位であるモ ルを加えた7個の単位を基本単位としています。

量 基本単位

名称 記号

長さ メートル

(metre) m

質量 キログラム

(kilogram) kg

時間 秒

(second) s

電流 アンペア

(ampere) A

温度 ケルビン

(kelvin) K

物質量 モル

(mole) mol

光度 カンデラ

(Candela) cd

表1 SI基本単位

(3)

3

(2)組立単位

いくつかの基本単位を掛けたり割ったりしたように表すことで、様々な物理量の単位を組み立て ることができます。このように基本単位によって組み立てられた単位を組立単位と呼びます。組立 単位の例として次のようなものがあります。

表2 種々の物理量のSI組立単位

物理量 単位 読み方

面積=長さ×長さ m2 平方メートル

体積=長さ×長さ×長さ m3 立方メートル

速度=長さ÷時間 m/s メートル毎秒

運動量=質量×速度 kg×m/s キログラム メートル毎秒 加速度=速度÷時間 m/s2 メートル毎秒毎秒 力=質量×加速度 kg×m/s2 キログラム メートル毎秒毎秒 仕事、エネルギー kg×m2/s2 キログラム平方メートル毎秒毎秒

力の単位については 1kg×m/s2 1N(ニュートン)とする記法があります。また、仕事・エネルギーに ついては1kg×m2/s21J(ジュール)とする記法があります。

力の単位 1 N = kg×m/s 仕事・エネルギーの単位 1 J = kg×m2/s2 なお、単位に使われる文字は斜体にしないのが慣例となっています。

3.次元

単位と密接に関係する概念に次元というものがあります。次元とはある量が長さ、時間、質量の 三つの基本単位をどのように組み合わせてつくられているかを表すものです。例えば、

速度の次元 = [長さ]/ [時間]

となります。ここで、速度のSI単位はm/sとなっていることを思い出してください。mは長さの単 位、sは時間の単位なので、速さのSI単位を見ると速度の次元が確かに[長さ]/[時間]となって いるのが分かります。このように表2に示した単位は物理量の次元を表すという便利な役割も持っ ています。

一般にある物理量Aからその大きさを除いた概念をAの次元と呼びます。例えば、1 mm、1 cm、 1 mはどれも異なる大きさを持った量ですが、すべて[長さ]という共通の概念でひとくくりにでき ます。長さ、質量、時間といった三つの基本量の次元を基本次元といい、それを表すのに以下のよ うな特別な記号を使います。

[長さ] = L、 [質量]= M、 [時間] = T

(4)

4 力学に出てくる種々の物理量の次元はL, M, Tの組み合わせで表されます。例えば、面積の次元は L2、体積の次元はL3、速度の次元はL T-1、加速度はL T-2、力はM L T-2というふうに表されます。

4.物理量の表し方

(1)物理量の構成要素(数値と単位)

1節で種々の物理量が登場しましたが、ここでは物理量を構成する数値と単位について説明します。

今、ここに長さが1.24 mの棒があるとします。棒の長さは下のように表されます。

棒の長さ 1.24 m

この1.24 mという長さの物理量は実は下に示すように二つの要素(単位と数値)から成り立ってい

ます。m という単位は[長さ]という次元を持っていますが、1.24 という数値には次元がない(無 次元である)ことに注意してください。

1.24 m = 1.24 × m

上の式では左辺と右辺がともに[長さ]という次元でそろっていることがわかります。

このように物理量は基準となる量(単位)とその何倍であるかを表す「数値」の積で表されます。

物理量 = 数値 × 単位

(2)文字式による表現

物理量そのものを文字で表すことは、異なる物理量の間の関係性を調べるときにとても重要にな ります。通常、物理量を表す文字には斜体(イタリック体)を用います。物理量を表す文字として、

時間はt、質量はmをよく用います。一次元の空間で物体の運動を考えるときは、物体の位置を表す

文字はx、速度はvelocityの頭文字をとってv、加速度はaccelerationの頭文字をとってaという文字

がよく用いられます。二次元または三次元の空間で物体の運動を考えるときは位置、速度、加速度、

力は大きさと方向を持った量になるので、ベクトルで表します。ベクトルは高校では矢印を使って、

r

のように表していたと思いますが、大学の物理ではベクトルを太字で表す表記もよく用います。

「長さ」という物理量

(長さの次元)

数値

(無次元)

単位

(長さの次元)

一次元の場合 位置 x 速度 v 加速度 a

F 時間 t

質量 m

二次元または三次元の場合 位置 r

速度 v 加速度 a

F

(5)

5 数式に物理量が含まれる場合は、数式の各項で次元が一致していなければならないことに注意し てください。例えば、下のような数式は位置xと速度vという異なる物理量の和をa(定数)として いますが、このような数式はありえないということになります。

物理量を含んだ数式の簡単な例として、等速度運動をしている物体の位置を表す式を考えてみまし ょう。

x (t) = x

0

+ v t

ここで、位置xは時間によって変わるので、時間の関数としてx(t)と表しています。x0は時刻t = 0 での物体の位置を表します。上の式を見ると、左辺のx(t)と右辺の各項(x0v t)の次元がすべて同 じ[長さ]の次元でそろっています。(位置はある基準点からどれだけ離れたところにあるかを示す ので、長さの次元を持った物理量となります。)右辺のvtの次元を詳しく見ると、

vt = 長さ´

時間 時間 長さ

となって[長さ]の次元になっています。このように数式の各項の次元を詳しく調べることは導出 された数式が正しいかどうかを判断したり、複数の文字式で表された量がどういったものなのかを 頭の中で整理したりするのにとても有用ですので、常に数式にでてくる文字式の次元がどうなって いるかを意識する習慣をつけてください。

物理量の量を単位を使って表す時には数値と単位が必要となりますが、これは4節(1)で述べ たように数値は無次元、単位は次元を持つことになります。例えば、電子の質量をmeで表すものと します。この場合、meの量は次のように数値と単位で表されます。

m

e

9.10938 × 10

-31

kg

5.大きな量と小さな量の表し方(接頭語)

物理学では、光の速さのように極めて大きな量や、電子の質量のように極めて小さい量をよく扱 います。

光の速さ:299792458 m/s

電子の質量:0.000 000 000 000 000 000 000 000 000 000 911 kg

このように非常に大きな量を表す方法の一つとして、1 000 000を106、0.000 001を10-6のように 10 質量の次元 数値(無次元)

1 kg の9.10938 ×10-31倍 を意味する。

単位

(質量の次元)

間違った式

x(位置) + v (速度) = a

(6)

6 のべき乗を用いる方法があります。10nnや10-n-nを指数と呼びます。例えば、光の速さを指 数を用いて表すと、2.99792458×108 と表されます。また電子の質量は 9.10938×10-31と表すことが できます。

もう一つの方法は接頭後を使う方法です(教科書裏表紙の裏の『単位の10n倍の接頭記号』を参照)。 接頭語を使うと、1000 m = 1 km、10-3m = 1mmのように表されます。このように接頭語を用いると、

やたらに長い桁数や細かい表示の指数の使用を避け、簡潔に物理量を表すことができるという利点 があります。下にいくつかの接頭語の使用例を挙げます。

表3 接頭語の例

記号 よび方 単位に掛ける

倍数 使用例

μ

マイクロ 10-6

毛細血管の太さ

5 mm~ 20mm (1mm(マイクロメートル) =10-6m)

n

ナノ 10-9

人が色として認識できる光の波長の範囲

380 nm~700 nm (1 nm(ナノメートル)= 10-9m)

p

ピコ 10-12

COのC-Oの結合長

116.3 pm (1 pm(ピコメートル)= 10-12m )

f

フェムト 10-15 H2

分子が1回振動運動するのに要する時間 約7 fs (1 fs(フェムトセカンド) = 10-15s)

Referensi

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