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「極限 に お ける原子核 構 造の 理論」
一B95 一
相 対 論 的 平 均 場 理 論 に よ る
原 子 核 の 集 団 回 転 運 動 の 研 究
Abstract
九 大理 福 岡教 育 大
聞所 秀樹 松崎 昌 之
相対 論的平均場 理 論 を原 子 核の集 団回転運 動の記述に適用する。 先行 する
Milnchen
のグ ルー
プの定式 化と我々 の定式化との違いや、
M
{inchen
の グルー
プ が行 なっ たA 〜150
、80
領 域の超 変形 回転バ ン ドの計 算結 果、
我々のA
〜60 領
域に お け る超 変形回転バ ン ドの計算 結果などにつ い て のレ ビュ
ー
を行 な う。
1 序 章
原子
核構造
を平 均 場 近 似 で 記 述 す る際の モデル と しては、 Skyrme
カ やGogny
カ な どの密 度 依 存 力 を 用い た 非相対論
的 なHartree − Fock
モデ
ルが良 く用い られ、 大 き な成 功 を収 めてき た。その
一
方、
相 対論
的 なモ デル も良
く調べ られてきてお り、 非 相 対 論的
なモデ
ル と 同等の結 果 を 出 せ ることが分 かっ てき た。 こ の よう
な相対論的
なモデ
ル は、非相
対 論的
なモデ
ル に 比べ て、 ( 1 )
核 物 質 や 有 限 核 (球 形
核
、 変 形核)
の様々 な性質
を、 一
っ の枠
組 みで統一 的
に記 述 す ることが で きる、 ( 2 ) 相
対 論的
な 効 果、
特 にス ピン軌 道 力 を 自然 な形で取り入れる こと ができる、( 3) 場
の理
論
から
出 発し てお り、 QCD
との関 連 性(
カ イラ ル対称性
の破
れ な ど)
を議綸す
る ことが できる
、
とい っ た利 点が あ る。相 対 論 的 なモ デル を 用い た 原 子
核構
造の研究
は、
古 くは1950
年 代のDuerr
らの仕
事ま で遡ること が で
ぎ
るhS
III 、
その後1974
年にChin
やWakecka
らに よって現在
の ような形
で の定式
化が
行
な われ
た[ 2 ]
。彼
らは、原
子核
を核
子 と σ・中間
子、 ω一中間
子からな
る相
対 論的 多 体
系 と して記 述 し
、
平均
場 近似
の枠 内で、核
物質
の飽和性
を再現す
る こ と に成功
し た。 その 後、 1980
年 代 に は有
限 核の研 究 も 行 な わ れるよ うにな り、
球 形核
の基 底状
態同 や
、 巨大
共鳴 囚
の記 述、 さ らには
散
乱デー
タ[ 5]
の 記述 など にも適 用 され た。1980
年 代の後 半になる と、
変 形 核の研 究 も行
なわれ、 軸 対
称変
形核
の基底状態 [ 6]
、 回転
に よる励 起 状 態【 7
,8
,9 ]
な どの研 究 が 行 な わ れ た。 近年
では、 不
安
定核
へ の適 用【 10 ]
も 行 なわれ るよ うになっ てい る。
こ こ で は、
回 転 核へ の適 用に注目す
る こ と にする
。
こ の よ うな 研 究は、 1989
年にMUnChen
の グルー
プ が最 初に行 なっ た[ 7 】 。
彼 らは、
質
量数 150
、80
領 城の超 変 形 核 (152Dy
や83Sr
な ど)へ の 適 用を主に行
なっ て お り、 特に 質 量 数140 − 150 領域
に関
し て は、 かなり系統的な計算
を 行 なっ ている。 その後、 彼 らの定 式化
に 問題 点が あるこ とが分
かっ たので、我
々 が1997 年
に再定
式 化 を行 なっ た【 11】
。現
在、我
々 は質
量数 60
領域
の超 変 形 核の計 算 を 行 なっているところである【 14]
。今
回 は、 Miinchen
の グルー
プの 定 式 化 と質 量 数150 、 80 領域核
に対す
る数値
計算結
果、
我々 の 定 式 化 と質
量数 60 領 城
の数値
計算結
果 につ い て の簡 単 なレビュー
を行
なう
。2 定 式 化
相
対 踰的
平均
場( RMF )
モデル では、次
のラ グ ラン ジ アンを 出発
点 とす
る。L
=LN
+ 乙。 + £。 +L
ρ+£A
+
L
;,t
+LNL
,( 1)
N工 工
一
Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service
一B96 一
研 究 会 報 告こ こで、
( 1 )
式の一 行
目 は そ れ ぞ れ 核 子、 σ一中間
子、 ω一中
間 子、
ρh 中
間 子、
フ ォ トン を表
し、二行 目は 核 子 と
中間
子(
フォ トン)の間の相 互 作 用、 そ れに σ一中
間 子の自
己相
互作 用 を 表 す。
σ
一中
間 子 とω一
中 間 子の質 re
M .
σ、Mw 、核
子一
中 間 子 間の結合
定数 9a
、g
.、
g
ρ、
そ れ に σ一
中 間 子の自
己相 互 作 用の結合定数 g2 、
g3
はモデ
ル パ ラ メー
ター
であ り、核物質や
い くつ かの球
形核
の
基底
状態
の性質
を再現す
るよう
に選ぶ。
こ の ラ グ ラン ジアン( 1 )
から、変 分 原
理・・一 ・
1
・‘xL= ・
(
・)
によっ て
、
運 動 方 程 式 をつ くるこ と ができるの で、 そ れ ら を自
己無撞着
に解 け ば よい が、
その際
、簡単
のた めに、
中間
子の揚
を古典的
な 平 均 揚 とし て取り扱 う
。回
転
系に適 用 する場 合、 も とも との ラ グラン ジア ンが静止系で与 え られているの で、 これ を回 転系
に移
し、 その回転
系で変分
原 理 を適 用す
る こ と に より、 回転
系での運 動 方 程 式 を得
る こ とが でき る。,
i
。Ωオ( 3)
cos
Ω孟σ
一
中 間子、 ω一中
間 子、核
子の場・
の変換
性と して
次
の式
を 用いた (以 下 ρ一中間
子 とフォ トンは省略
するが、 これ らは ω一
中 間 子 と同じよ うに変 換す
る)。
Mttnchen
のグ
ルー プ
の定 式 化
静止
系
か ら回転系
へ の座
標変換
は、
よ く知 られてい る よう
に〔 1 )
一〔 1 順 驫
で与 え られる。 彼 らは、 この座
標変換
の も とで、
01 ー ー
亨βオー
σ
( x )
→ σ’( め =
σ( x )
,・・
@)
−wt
・(
・)
一霧 誓 嗣
,ψ (
x)
・T,tht (
x’)
−e
’ex ・ Vl (
・)
,・・ −i 【 黼
・一 ・(
t)
・s
)t・
( 4 )
( 5 )
( 6 )
これ ら を用い て、 回
転
系での ラ グ ラン ジ アン をつ くる こと ができる。 し か し、 回転
系 は 非 慣 性 系 であ る に も 関 わ らず、( 6 )
式は特殊相対論
のLorentz 変
換 に 基づい た 式であるの で、
こ の 式 を 用い て い る彼 らの
定
式 化 は チェ ッ クする 必要 が ある、 と考
え られ る。我
々 の定 式 化
そこ で我々 は、
一 般相
対 論の 手 法 を用い て 、完
全に一
般共変 な 形で再 定 式 化 を行 なっ た。 ま
ず
、一 般相
対論
のテ トラ ドによ る 定 式 化 に 従っ て、一
般 的 な計
量 テンソルg
μv で表 される非慣性
系に おけ
る ラグ
ラン ジ アン を 書 くことができ る。変分原
理 から
、 こ の非 慣 性 系 での運 動 方程
式 が得 ら
れ るの で、最後
に x = xt軸
ま わ りに一 様
に回転す
る座標
系の計 量 テンソル 9・・(
・・)
一 〔 1 一 讐 讐 )
を
代
入す
る ことに よ り、 こ の一 様
回転
系で の運 動方
程 式 を得
る ことが でき る。 その結 果、最終 的
に得 られ る 運 勵 方 程 式 はMtinchen
の グルー
プの ものと 同じになるこ とが
分
か り、 ま たその理 由につ い て も 明 らかにするこ と ができた
[ 11 }
。N工 工
一
Eleotronlo LlbraryNII-Electronic Library Service
「極 限にお け る原子 核構 造の理論」
一B97 一
3 数 値 計 算 結 果
RMF
に よ る 回転核
の計算
とし て は、Mitnchen
のグルー
プが最初
に20Ne
の基底状
態回転
バン ドの計
算
を 行 ない、 非相対論
のSkyvme − Hartree − Fock( SHF )
モ デル と同様
の結果
を得
た。 その後、
彼
らは中
重核
の超変形
回転
バ ン ドにつ い て の計算
を行 な
っ てお り、質
量数 150
、80 領域
の超変形核
につ い て、実験 と良く 一 一 tu す
る結果 を 得
て い る[ 7
,8 】
。3 . 1 A
〜150 領 域
超
変形
バ ン ドの最初
の実験デ ー
タは、1986 年
に 152Dy にっい て得 ら
れ た【 12】
。 こ の領域
につい て は
そ
の後 も数多 く
の実験デー
タが得 ら
れて いる。 理論的
に は、半現象論的な Cranked
Nilsson − Strutinski
モ デルや、完
全に微視的
なCranked − Hartree − Fock
モデ
ル、
そ し てRMF
モ デル を用
いた研
究
が 盛ん に行 なわ れ て い る。RMF
に よ る計算
は、MUnchen
のグルー
プ が1990 年
に152Dy
にっ い て行
なっ た。 その後、152Dy
−
151Tb のidentical
bands
の計算
な どを行
ない、最
近 で は質
量数 140 − 150 領域
につ い ての系
統 的 な 計算
も な されてい る。 こ こで は、Milnchen
の グルー
プ が行
なっ た 152Dy− 151Tb
のidenti −
cal
bands
にっ い ての計算結
果 を紹介
す る。identical
bands
identical
bands
は、
あ る 原 子 核の (超 変 形 ) 回転バ ン ド内の7 線
の遷移
エ ネルギー
が、 質 量 数 が
1 違
う原 子核
の回転
バ ン ド内
の対応
す る遷 移エネ
ル ギー
と ほ と ん ど同 じ値
に な る、
とい う もの で
、
その差の割
合△E
,1E
, 〜10 − 3
は、 単 純 なA513 則
か ら予 測 され る値
よ り も一 桁
小 さい。
これ は
、
こ の2
つ のバ ン ドで慣 性モー
メン トがほ と ん ど同じで ある、
とい うこ と を 示 して い る。Mtinchen
の グルー
プは、
RMF
モ デルを用い て、152Dy
の( 最
もエネ
ル ギー
の低
い)
超変
形バン ド と、151Tb の
励起
バ ン ドの計算
を行
なっ た。 その結果
がTABLE
1
に 示 されてい る。 パ ラ メー
ター
セ ッ トは、
NLI
と呼ば
れ る もの を 用いてい る。 Is2Dy の パ リティ =一
、 シ
グネ
チャー
=− Fi
の
軌道
か ら陽 子 を 取 り去っ て形 成 され る151Tb
の励 起バ ン ドが、
identica1
bands
に 対応
す る もの であ
り、152Dy
を基 準に し た時
の 」(2
)の変
化率
が他の バ ン ドに 比べ て非常
に小 さい( − 0 、 001 %)
ことが
分
か る。次
に、 こ の現象
の メ カニ ズムを
理解す
る ため に、 通常
の計算
( 1 )
自己無 撞 着に 151Tb の計算
を 行 な う (ベ ク トル 中 間 子の空 間成分
も入れる)の他に
2
種 類の計算
を行 なっ た。( 2 )
自己無 撞着
に求 まっ た152Dy
の波
動関数
か ら陽
子 を一
っ 取り除
い て(
自己無 撞着
な 計 算は行 な わ ずに)
151Tb
の計 算 を 行 な う、
即 ち陽
子 のホー
ル に よ る偏
極効
果 を無 視 する( 3) 自
己無撞着
に 151Tb の計算
を 行な
うが、 ベ ク トル中
間子の 空 間成
分 を無視
す る計 算 された
Er
=E ( 1 ) − E ( 1 − 1 )
の差 △Etr
=Er ( 152Dy ) 一
Eor (
151Tb)
がFIG . 1
に 示 されて い る。( 1)
で は実験値
と かな り良
く一 致
す る結
果が得 られ るが、 上記の( 2 )
、( 3 )
はそ
れ ぞ れ実験値
との不一 致
が大 き
い。 こ のことから
、RMF
モデ
ルで は、
identica1
bamds
の メ カニ ズム と して、陽
子 ホー
ルか ら くる偏極効果
による慣性
モー
メ ン トの変化
と、
ベ ク トル中
間 子の空
間成分
の効
果(核 磁 性 )に よ る
慣
性モー
メン トの変化
とが キャ ン セ ル し合
い、結
果と し て2
つ の バ ン ドで慣性
N工 工
一
Electronlo LlbraryNII-Electronic Library Service
一 B98一
研 究 会 報 告モ
ー
メン トがほ とん ど 同 じ に な る、
とい うことが起こっ て い る と理解
す るこ と が でき る。Bhiding cnergy E
,
ma $sqnadr
”pele
momon しQ
。,
・ly・amic (」2),
・しt
・ti・ (」1い ・d ・igid
1・・dy (5,
,,)m ・−
men 臨of incrt
・
ia Att ・
hc 矼ngular tnOtTlelltlLI:;∫=
50汽fortlie
suI)erdeformed
bnnd
in
Is?Dy
and rcla しive
challges or しhcse
v
・
111Ies (givon
i:1 %)seve τaI1
)a“dsil
邑Ulo neighborillg nucletIs IsLTb
.
.t
t 、
h… m …9
・h・ m ・ α1Lum,
,0
10
ヲ 罫
甲
0 ロd
Band
E (McV )(?o(rm2)
」〔21
ノω
∫
,
澗・
30Is2Dy
・
1228.
358 4287.
7 82.
544 8C}.
41 93、
35且51Tb
.
(十
,
十)0 .
53tStTb
(十
, 一
)0 . 5
[ ISLTb’
(
一,
+)0
.
56!5ITb
°
(
一,一
)0 , 54
・ 2 .
91・ 3 . 171
、
301, 19
一 1 . 554
− 1 . 2J
「− L69 0 ,
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一
玉. 80
噂
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and
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,Phys .
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.1
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.Koilig
and
P
.Ring ,Phys
.
Rev
.tt , 71 ( 1993
)3079
り引
用
。32
`80 領
域こ
の 領 域 の超
変形バンドは
、1 0
年 代から 様々 な 理 論的モ
デ ル に よ る計算 行なわれ て
き たが、
・ 実 験デ ータ が得られ たは 最近
に
なって か らで、1995
年 に83Sr
にいて この領
域
では 初めて の
デー
タ が得 ら れ た[] 。
RMF
モデ ル による計算 は 、Miinche
フ
グ ループが
行な っ てい る。 計 算は 、以下 のツ の
配位 A
、B
、CA
=π【 IO
十十 ; 9
一; 10 −
十;9
−一
】u
【11
− 十一十; 12
一;
11 −
十;11
− 一]B
=7r
[
9 十 十 ; 十一
;10 −
十;9
− 一]z ノ
[11
十十 ; 1
\
一;11 − 十 ;11
− −1C =1
π【9 十 十
10
十 一;10
−十
;9
− 一】1
ノ[ 11
− }一 十 ;
一ト ー ;
11
− 十;− 一] に
つ
い て行な
った 。FIG
.2
が、 性モー メン ト の 計 算 値と実
験値 で あ る。
回 転 角度 Ω ≧
1 . 05MeV
では 、
配 位B
とC
計算
値 が実験
値に非常に 近くな っ て い る 。Ω<DO
MeV での
計 算値と
実 験値 と の 不 一は、 主
に
対相
関 を無 視しいる
た
め生じ
いる
、
と えら
れる
。
5oJO02S
.
0
F ^ 2D0
達
Is
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0OO
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一 . 一凾曹
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LA
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_
_
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一【 ロコア ロ9
じT
1
3RQta 巴 bna
目requency
Ω買{MeV) 1
_一1
.5FIG
,2
;A V
,Afic
naxsj
ev,J
.Koiiig
and
DRing
, .P
s
.Lett
.B
367
(1996 )11 よ
り引用。 3 。 3
A
〜60 領
域 超変 形 回バ ン ドは 、こ れ ま
で
、 質量 数150
、130
、190
、そして80 領域で数多 く 見 つか
っ て いる
。 これ
ら は、 ポテン
ャルエ ネルギ ー面の
lo
( :al
nlinimum
に関
連し ており 、N
、z 〜 44
、 64、
、116 と いっ たとこ ろ にできる大 き な変 形 殻ギャップ か ら生じ て
NII-Electronic Library Service
「極 限に おける原 子 核構 造の 理論」
一 B99 一
Z
〜30
近 傍にも 大 き な ギャ ップ ができる ことが分
かっ ていたの で、質
量数 60 領域
に おい て も、超変
形バ ン ドがあ るの では ない か、
とい う予 言 が あっ た。
しかし、 これ まで は、 実 験の技 術 的 な困難
さな
どの た め に見っ かっ て い なかっ た。 昨 年、62Zn
に 関 して、 初 めて実 験デー
タが 得 られ た[ 16 】
。質
量数 60
領 域の超 変 形 状 態 は、 St
・1. 0
〜1 . 5
MeV
とい う非 常 に 高い 角 速 度でイ ラス トに くる。
ま た、
他の領域
と異
なり、中性
子 と陽
子 が同じ軌
道に入っ てい る とい う特徴
が あり、
研究
対 象 とし て非 常
に興味深
い。我
々 は、
こ の新
しく 得
られ た実験デー
タ を含
む質
量数 60 領域核
の超 変 形
バ ン ドにつ いての計 算
を行 なっ た。
計算
は、 パ ラ メー
ター
セ ッ トとし てNL1
、NL3
、NL − SH
という
もの を 用いて、6eZn
、
62Zn
、
64Zn の
3
つ の原 子核
につ い て行 なっ た(
こ こ では 62Zn の結果
のみ紹介
す る)。 ま た、
比 較の た め に、 HFODD
という数値
計算
プロ グ ラム [ 15】
を用
い てSlcyrme − Hartree − Fock
の 計算
も行 なっ た。 配位
は、次
のよう
な ものA
= π[ 8
十 十;8
十一
;
7 −
十 ;7 − 一 ]
〃【 8
十 十;8
十一
;8 −
十;8 − − l
B1
= π【 8
十 十;8
十一
;
7 −
十 ;7 − 一 亅
レ【 7
十 十 ;8
十一
;
9 −
十;8 − − 1
B2
= π[ 8
十 十;8
十一
;
7 −
十;7 − 一 ]
レ【 7
十 十;8
十一
;8 −
十;9 − − 1
B3
= π[ 8
十 十;8
十一
;
7 −
十;7 − − 1
v [ 8
十 十;7
十一
;9 −
十 ;8 − − 1
B4
= π[ 8
十 十;8
十一
;
7 −
十 ;7 − 一 }
v[ 8
十 十;7
十一
;
8 −
十;9 − − 1
につ い て
考慮
した。FIG . 3
は、 62Zn
につ い ての慣 性モー
メン トの計算値
と実 験値
を 示し ている
。 パ ラ メー
ター
セッ トは
、 NL − SH
を 用い て い る。
配 位A
がス ピン20
〜24
でイ ラス トに出て く る超 変 形バ ン ド に対応
し ているが、
グラフか ら分かる よ うに、
慣 性モー
メン トの計 算 値 は、
実 験 値 に 比べ る と、 少
し小 さ過ぎ
る こ と が分
かる。FIG . 4
は、
こ の 配位 A
にっ いて、様
々な
パ ラメー
タ
ー
セッ トを 用
いて
慣
性モー
メントを
計算
し た もの で あ る。 RMF
の3
っ の パ ラ メー
ター
セッ トの計算値
を比べ ると、
パラ メー
ター
に よ る違い はあ まりない ことが分
か る。 ま た、RMF
とSHF
と を比べ ると、SLy4
パ ラ メー
タ ー
セ ッ トを用
い たSHF
の方 が よ り実験値
に近
い値
になっ てい る。3e25
2e
「
2
,
§
tSdyn幽mld m 10finenh
10
O
.
2 0,
4 0,
60 .
8 1 12 1,
4 L6 1.
8Ω (MeV,
10es
20
マ £
〜
15隹0
dyn!mlcel mor”entOfimie
O
.
2 0.
4 0.
6 0.
S 1 1.
2 1.
4 1.
6 1.
日iXMeV ,
FIG . 3
:62Zn
の い くっ かの超 変 形 回 転バ ン ド
(
A
,Bl
〜B4
) に 対 す る 慣 性モー
メン トの計算
値 と実 験 値。 パ ラ メー
ター
セ ッ トはNL − SH
を 用い て い る。FIG . 4
:RMF
のパ ラ メー
タk セ ッ トNL − SH
、NLI
、NL3
と、SHF
のパ ラ メー
ター
セッ ト
SLy4
を 用いて計 算 され た 62Zn の超変
形バ ン ドA
に対 す る慣 性モー
メン ト。
こ のようなRMF
とSHF
の違
い は、単 一 粒
子 配位
の違
い か らきて いる。 ’
FIG . 5 、 6
は、62Zn に お け る中 性子の 単
一
粒 子 配位
を、 NL − SH ( RMF ) 、
SLy4( SHF )
のそ れ ぞ れの パ ラメー
ター
セ ットにっ い て計 算 した もので あ る
。 RMF
の場 合、 [ 303712】 軌
道 まで中
性子が 占拠 されて い るのに対 し
、 sHF
の方
は1310
1!2】 軌 道
の位置
がRMF
に 比べ て かな
リエネ
ル ギー的
に低
く、 [ 303
712]
N工 工