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地球と生きていくはじめのいっぽ -素材が宿り還る建築-

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工学院大学建築学部卒業論文梗概集 田村研究室

2019

年度

地球と生きていくはじめのいっぽ -素材が宿り還る建築-

DA16117 窪田 朱里

1.はじめに

建築業界では資源枯渇について1つの問題となってい る。建物を作る際には石灰岩や木材など、たくさんの資 源を使用して作られている。その問題を少しずつ解決し ていくためにはどうすれば良いのか、私たちは考える必 要がある。「資源枯渇」とい う問題と、今後深刻な問題 と なっていく「人材不足」という問題を、この建築によっ て改善できるようなものを提案する。

2. 研究背景と秩父の資源・人材環境 2.1 資源枯渇問題

(1)概要

建築業界の問題である、「資 源枯渇」「人材育成」の2つ を柱として研究を進める。

木 材 や 石 灰 石 な ど の 資 源 は 無 限 に は な い の で い つ か は 枯渇してしまう。枯渇してしまわない為に今できること は何か考えた。

(2)石灰石について

資源の中でも、コンクリートや漆喰に必需品である石 灰石に視点をおいてみた。石灰岩は、主に方解石(炭酸 カルシウム・CaCO3)という鉱物からできている岩石。石 灰岩を鉱業的に資源として取り扱う場合は鉱石名として

「石灰石」と呼ぶ。

大半はセメントに使われており、他にもコンクリート骨 材、鉄鋼用、道路などにも使われている。そのため、建 築には欠かせない資源である。(図 1)

(3)石灰石の使用用途

全国で年間 1 億 7 千トン生産されているうち、セメン ト用 47%(7 千 9 百万 t)、コンクリート骨材用 21%(3 千 5 百万 t)、鉄鋼用 13%である。(図 2)

(4)石灰石の可採予想年数

将来、石灰石を採取できる期間はあまり長くない。

国内で採取可能な石灰石の量 271 億トンを、年間使用量 1.7 億トンで割ると、271 億トン÷ 1.7 億トン=約 159 年で、残り 159 年しか採取できないと予測されている。

(5)日本で採れる石灰石

他の国に比べ、良質な石灰石が存在し、日本には全国各 地に 200 以上の石灰石鉱山が稼働している。(図3)有名 な石灰石地形としては秋吉台(山口)、平尾台(福岡)な どのカルスト地形や、猊鼻渓(げいびけい:岩手)、井倉

峡(岡山)などが知られている。日本の石灰石は、大陸 縁辺で形成された石灰石よりも炭酸カルシウムの純度が 高い。今から 2〜3 億年前に当時の赤道付近の海でサン ゴや有孔虫など炭酸カルシウムの殻を持つ生物が礁を作 り、それが地球の地殻プレートの移動とともに西側に移 動して現在の日本列島付近の海溝へ沈み込み、大陸側の プレートに衝突したと考えられる。

(6) 石灰石を使用する漆喰 漆喰→消石灰+すさ+海藻のり

石灰石の用途の大半はセメントやコンクリート、道路 に 使われているが、漆喰にも使われている。漆喰の歴史は 800 年に及び、石灰石が枯 渇してしまうと 800 年もの 歴 史が終わってしまう。IT 化されていく中、日本の歴史や 情緒を残していく為にも、資源を長い期間残していかな ければならない。

図 1 石灰石出荷量推移 図 2 石灰石使用用途

図 3 日本の石灰石生産地

50 60 70 80 90 100

セメン ト 47%

コンクリート骨材 21%

鉄鋼用 13%

道路用 5%

その他 14%

1993 2003 2013 (年)

(万t)

(2)

2.2 建設業に関わる人材不足問題 (1)概要

現在、建築の職人の若手が あまりいないという問題があ る。建築業界には大工、左官職人、鳶職人など専門の職 人さんを多く雇っているが、若手がいない為、将来の日 本の建築業界は危機である。

(2) 人材不足の原因

建築の職業は、危ない、力 仕事、汚いなどマイナスな イ メージが強いと言われている。さらに、給料もあまり良 くないイメージである。

(3) 近年の職人と計画

最近では女性の職人も増えてきていて、会社の体制も 変 わってきている。しかし、就職活動をする中で、職人に なりたいという選択肢があまりないのかと私は考えた。

さらに、職人に興味があるなと思っても、その業界に飛 び込むことはなかなか難しい。そこで、何か実際働くよ うに体験できたり見学できる場所があれば、すぐに職人 を諦めたり、興味を持ったりするのではないか。

3. 設計対象とする建築の敷地計画 3.1 秩父と武甲山

資源が豊富に採れ、都心に近い場所で調査したところ、

「秩父」にした。武甲山という山からは石灰岩、森林か らは木材、荒川から粘土が採取できる。

武甲山は秩父市と横瀬町の境にある石灰山であり、可 採鉱量は4億トンと言われている。都心に一番近い石灰 山と言われており、複数の会社が近くに工場を持ち、掘 り進められている。町からは、石灰山が掘り進められて いることが見えるため、資源枯渇問題について分かりや すい地域である。

3.2 秩父の地質学的歴史

石灰山は海がないとできないが、秩父は 1700 万年前、

海であったことから、秩父にも石灰山が存在している。

武甲山とは海中生物の遺骸が海底に積もり積もってでき た山である。太鼓の秩父湾では約 1700 万年前、現在の秩 父盆地でいう北側の長瀞町から小鹿野町まで広がってい たと言われている。約 1500 万年前、秩父湾の東側が隆起 して、太鼓の秩父湾は消滅してしまった。(図 4,5) 3.3 武甲山と秩父神社

秩 父 は も と も と 本 殿 を 持 た ず 山 が 神 と 言 い 伝 え ら れ て いた。食料も十分ではなかった時代に、真宗は集落に必 要不可欠だった。

秩父には、女の神の秩父神社、男の神の武甲山という神 が言い伝えられており、年に一度、秩父の祭りの日に神 様同士で会える日が設けられている。

3.4 敷地の設定

敷地としては、西武秩父線横瀬駅から徒歩5分の横瀬

川沿いに位置する。近くには全校児童 400 人ほどの小学 校があり、子供との交流も期待できる。この敷地からは 石灰石が採れる武甲山と、それを加工する三菱マテリア ルという工場が大きく見える。資源がどこから採れてい るのか分かりやすい為、この土地に決めた。(図 6)

4.計画の概要 4.1 計画の概要

資源枯渇の問題改善、若手職人の育成をしていき、建 築の問題を改善する建築を設計する。その為に、建築素 材を「体験する施設」を基本に計画を進めていく。自分 の手で体験したり、作り方を知ることで、建築について 興味を持ったり、将来の夢になったり、これからの環境 問題について考えを改めてもらうきっかけにする。

建築素材、建築の基礎部分 を基本とした、「電炉」「石灰 」

「粘土」「木材」「左官」の5つの体験施設を作る。 その 5つの体験施設に加え、職人が滞在できる宿泊場、観光 客が泊まれるキャンプ場、コテージ、誰でも遊べる広場、

温泉施設や販売所などが入っているメイン館などを敷地 内に配置する。(図 7, ,写真 1,2)

図 4 石灰岩のでき方

図 5 秩父の歴史

図 6 敷地の選定

(3)

4.2 体験施設 電炉工場

電炉とは鉄のゴミ(スクラップ)からリサイクルして 作られた鉄のことを言う。この工場ではスクラップが運 ばれてくる工程から加工されて新たな鉄ができるまでの 工程を見学できる。すべての工程を知ることによってリ サイクルのサイクルを目で見て学ぶことができる為、環 境教育につながる。(写真 3)

4.3 体験施設 石灰工場

石灰工場では武甲山から採取してきた石灰岩から、生 石灰と消石灰を作る。生石灰は電炉用や、コンクリート などに使用するものであり、石灰石を焼いて作る。

消石灰は、漆喰や、田園用土、こんにゃくなどに使用 されていて、生石灰を水分調整することで消石灰を作る。

ここでは、資源を採取して使用されるまでの工程を知 ることによって資源枯渇について興味を持ってもらう。

また、石灰工場で作られたものは敷地内や秩父で使用す る。(写真 4)

4.4 体験施設 製土場

秩父に位置する荒川からは良質な粘土が採取できる。

粘土からは陶芸や屋根瓦、タイルなどを作ることができ、

ここでは陶芸の体験が可能。粘土を採取し乾燥するとこ ろから、陶芸に使うことのできる陶土にするまでの過程 を見学できる。

4.5 体験施設 木材工房

秩父の木材を使用して、椅子や机の家具や、小物づく りをする。秩父駅の近くにある森林組合センターと連携 し、そこから木材を運んでくる。そうすることで組合セ ンターの活性化にもつながる。

4.6 体験施設 左官工房

石灰工場で作られた消石灰を使用して漆喰塗り体験を する。漆喰の材料であるスサやノリを作ることもこの工 房ではできる。

5. 廃棄物と運搬方法による環境改善 5.1 廃棄物の現状

(1) 廃棄物の現状

産業廃棄物は年間約 4 億トン、国内総産業廃棄物は約 3 億 8500 万トンにまで達した。建設廃棄物量は産業廃棄 物の 2〜3 割を占めており、多量の廃棄物を出している。

廃棄物の見直しがされ、減ってきてはいるがもっと減ら していかなければならない。それと共に、廃棄物のリサ イクル化が進んでいる。現在では産業廃棄物排出量の半 分(53.4%)再生利用することが可能になった。また、

建設廃棄物はほぼリサイクル可能である。7269 万 t ある 建設廃棄物をリサイクルすると 280 万 t まで減らすこと ができる。(図 8,9)

図 7 平面図全体の 1F.2F

写真 1 1:200 模型全体図 写真 2 体験施設の模型写真

写真 3 電炉工場 写真 4 塩焼き工法

図 8 産 業 廃棄 物 内 訳 図 9 建 設 廃 棄物 排 出量 ( 万 t)

汚 泥,164.1

動物ふん, 82.6 瓦礫類,

63.2 その他,

74.7 アスファルト・

コンクリート塊, 2,577 コンクリート

塊, 3,092 建設汚泥,657 建設混合廃棄物,

280 建設発生木材, 500

その他, 164

(4)

(2) 廃棄物の現状による自然素材の活用

廃 棄 物 の 現 状 を 変 え て い く 為 に は 最 終 廃 棄 物 を 減 ら す 必要があるので、この建築には天然素材を使用する。天 然素材は土に還る為、最終廃棄物を減らすことができる。

5.2.資源や素材の運搬方法 (1) 資源や素材の運搬方法

資源や材料を運ぶ際に、ト ラックや 飛行機、船、電車 な どを使って運搬する。現在は主にトラックが使用されて いて、移動中には CO2 が排出される。その為、地域内で の物資移動をすることで、トラックなどでの移動距離が 短くなり、C02 の削減に繋がる。

(2) 運搬方法による地産地消の取り組み

このことから、地元で産み、地元で消費する「地産地消 」 を推奨する。地産地消を進めると、CO2 の削減だけでな く、地域の素材を使うことによって地域活性化にもつな がる。

5.3 地産地消の天然素材を用いた建物

こ の 設 計 で は 体 験 施 設 で で き る も の を 敷 地 内 や 秩 父 で 使用できるようにした。そうすることで、建築が身近に 感じ、興味を持ってもらうことにも繋がっていく。それ が分かりやすく伝えられる為に、敷地内にあるカフェは 秩父と体験施設の素材で作る。(図 10,11)

木材は秩父の森林から、漆喰は左官工房から、コンクリ ートや鉄筋は石灰工場と電炉工場から、家具は木材工房 から、食器や屋根瓦は製土場から使用する。そうするこ とで、移動の CO2 削減と地域の天然素材の使用による廃 棄物の減少を少しずつ進めることができるのではないか。

(写真 5)

6. まとめ

この建築を訪れた人には、こういうものを作る人になり たいだとか、環境問題に興味をもち、色々なことに興味 を持って帰って行ってほしい。そして、将来建築関係の 仕事に就いたり、資源枯渇についてより深く問題として 活動していく世の中になれば良いと考えている。資源枯 渇というものはすぐに解決するものではないが、この建 築を作ることによって、建築業界の問題解決のきっかけ となることを目指している。

建 築 と は 生 活 と 隣 り 合 わ せ で 一 緒 に 生 き て き た も の で はあるが、資源や素材などに興味のある人はどのくらい いるのだろうか。これからはもっと地球温暖化が進み、

地球の危険が訪れていく。そうなる前に、自分たちがど のようにして考えていくかをこれからの未来の為に改め 直す必要がある。そのための建築である。

写真 5 カフェの模型写真

図 10 天然素材を使用したカフェの詳細

図 11 秩父の土地と採取できるもの

参考文献

1)三菱マテリアル:横瀬工場 2)鈴木工業株式会社:塩焼き石灰 3)石灰石鉱業協会:石灰石鉱業の紹介 4)野村総合研究所:貨物流動量の調査

謝辞

本研究の一部は工学院大学 ISDC プログラム(セブンア ンドクリエイトリンク)の選抜研究である。

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