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巻頭言 Top Column - J-Stage

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Academic year: 2023

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化学と生物 Vol. 50, No. 2, 2012

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日本農芸化学会の名称については,これ

までも複数の先生方が巻頭言でも触れてお られるように,何度かの議論を経た結果

「余名」をもって代えられず,ということ で現状に落ち着いている.他方,大学の学 科名で農芸化学科という名称は今やほとん どなくなり,生命化学,生物資源,生命工 学,応用生物化学,応用生命科学などに替 えられているのが実情である.けれど,農 芸化学でくくられるこれら学科への高校生 の進学希望は,全体の受験生数が減少して いるのにもかかわらず,ここ数年少しずつ 増えつつある.すなわち,人間にとって有 用と考えられる生物や生物が生産する物質 について,化学を基礎として取り組むこと に興味をもつ高校生は少なくないというこ とである.

本誌の読者は大部分が日本農芸化学会員 であるから 何をいまさら と言われるか も知れないが,農芸化学では生命現象のす べてが研究対象であり,大本は自然現象の 観察から派生する学問分野といえよう.そ の典型例と思われるのがスクリーニング,

すなわち自然界から自分の欲しい特性をも つ生物や物質を探索することから始まる研 究である.

筆者は農芸化学科を卒業し大学院に進学 したが,医学薬学系の研究室で行なった研 究内容で学位(農博)を取得した.その後 農芸化学科に戻ったが,2年間の米国医学 系研究室への留学期間を含めて,医学薬学 系,理学系の先生方との共同研究あるいは 同一研究班に所属することが多かった.そ の後,縁あって赴任した研究室は工学系の 所属である.そして,現在は応用生物学部 応用生物化学科にいるので,もともとの農 芸化学の特徴をそれなりに含んだ環境にい るといえる.

このような経歴なので,その時期その時 期で農芸化学関連以外の先生方や研究者と の交流が多かったのであるが,その中で,

研究の進め方,考え方に出身学部の特色と いうか哲学の違いを感じたことが何度かあ る.医学系の先生がご自分の研究と病気の 原因や治療との関連に,また薬学系の先生 が薬の開発に的を絞られるのは当然であ り,理学系の先生が応用とは関係なかろう と思われる緻密な解析に没頭されるのも理 解できる.要は,農芸化学出身のものがそ のような先生方と共通のテーマに取り組ん だときに,異なる観点から発想ができる か?ということである.

工学系の研究室に所属していたときのエ ピソードを一つ挙げよう.筆者の研究室で は免疫系や骨代謝系に作用する微生物生産 物の探索を進めており,それなりに興味あ る化合物を得ることができた.修士論文発 表会の際に工学系の教授から, スクリー ニングで面白いものが取れたからよかった が,もし見つからなかったらどうするつも りだったの? と質問された院生が,たち まちしどろもどろになったのである.農芸 化学ではおそらく出ない質問だった.逆 に,工学系研究室の発表の際に,システム の改良で収率を数十%上げた,という院生 に 生産菌を変えたり,菌に変異を入れた りしたらどうなの? と尋ねると,ハトが 豆鉄砲を食らったような顔で立ち往生す る,ということもあった.

こんな生活を数十年過ごしてきて思うの は,学部教育の重要さ(三つ子の魂)と,

異なる背景の人々(研究者とは限らない)

との交流の有用性である.専門分野が少し ずつ異なることで共同研究や共同開発の機 会も生まれるし,それぞれの異なる発想が 刺激となってさらに新しい考え方,進め方 が生まれるという経験も稀ではなかった.

農芸化学分野の先達により明らかにされ た数々の成果を高校生にも知ってもらうと ともに,農芸化学的発想,思考法を学ん だ,特に若い研究者に他流試合を勧める所 以である.

巻頭言

Top Column

他流試合の勧め

永井和夫

中部大学応用生物学部

Top Column

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