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応用複素関数第 14

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(1)

応用複素関数 第 14 回

〜 佐藤超函数の紹介 〜

かつらだ

桂田

ま さ し

祐史

2023

7

18

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 1 / 28

(2)

目次

1 本日の内容・連絡事項

2 佐藤の超函数

初めに

超関数超入門

超関数前史

デルタ関数

(

怪しい、しかし役に立つ

)

Heaviside Dirac

二つの超関数論

L. Schwartzdistribution (役に立つならば正当化してみせよう) 佐藤幹夫のhyperfunction

佐藤超函数の定義

(

のようなもの

)

佐藤超函数の演算

導関数 Fourier変換 積分

参考書案内

3 参考文献表

(3)

本日の内容・連絡事項

いよいよ最終回。

レポート課題

3

についての補足。

https:

//m-katsurada.sakura.ne.jp/complex2-2023/report3.pdf 残った時間は佐藤超函数の紹介です。気楽なお話です。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 2 / 28

(4)

6 佐藤の超函数

6.1初めに超関数超入門

微分積分は便利であるが、微分が出来ない関数は多く、また極限の順序 交換も出来ない場合が少なくない。そういう色々な不自由さに対処するた めに超関数論が生まれた。

最初に言い訳。

「複素関数」は数学的にかなり厳密な議論をしたのに比べると、「応用 複素関数」は少々ゆるい議論に止めている

(

同じレベルで厳密な議論をす るためには時間が絶対的に不足するため

)

。今回は輪をかけて緩い基準に なっている。気楽に聴いてください。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 3 / 28

(5)

6.2 超関数前史 — デルタ関数 ( 怪しい、しかし役に立つ )

6.2.1 Heaviside

電気工学者のOliver Heaviside (英国, 1850-1925)は、定数係数の微分方程式を 解くための演算子法(operational calculus)を考えだしたが(1903年)、数学的な 正当化はしなかった1

Heavisideは、次の関数を導入して利用した。

(1) Y(x) :=

1 (x >0) 0 (x <0).

これは Heavisideの関数あるいはHeaviside の階段関数と呼ばれる。本によっ てはH(x)という記号で表すこともある。

(Heavisideについては、脱線のような気がしないでもないけれど、小松[3], [4]

(いずれもネットで読める)が面白い。Heavisideも「衝撃函数(impulsive function)」

の名前でデルタ関数を導入済みであった、とか書いてある。)

1演算子法の最初の正当化は、T. Bromwichにより、Laplace変換を用いてなされた。

J. MikusinskiLaplace変換を用いず、純粋に代数的な議論で演算子法を展開した( クシンスキー[1], [2])

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 4 / 28

(6)

6.2.2 Dirac

物理学者の

Dirac (Paul Adrien Maurice Dirac, 1902–1984)

は、

1930

に出版した「量子力学」の中で、次のような

デルタ関数

を導入した。

(2)

δ(x) :=

0 (x

̸

= 0)

(x = 0)

ただし

x = 0

での無限大は

(3)

Z

−∞δ(x)

dx = 1

を満たす程度であるとする

(

この説明は、後でも述べるように、積分論的 にはめちゃくちゃである

)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 5 / 28

(7)

6.2.2 Dirac

この“関数”δは、任意の連続な関数φ:RRに対して、

(4)

Z

−∞

φ(x)δ(x)dx=φ(0)

を満たすことが導ける。

実際、

−∞

φ(x)δ(x)dx−φ(0) =

−∞

φ(x)δ(x)dx−φ(0)

−∞

δ(x)dx

=

−∞

(φ(x)−φ(0))δ(x)dx

= (φ(x)−φ(0))|x=0

=φ(0)−φ(0) = 0

であるから

−∞

φ(x)δ(x)dx=φ(0).

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 6 / 28

(8)

6.2.2 Dirac

実はデルタ関数は普通の関数ではない。実際、

D :

R→ {R,

+

∞,−∞}

Lebesgue

可測な関数で、

D(x) = 0 (x

R\ {

0

}

)

を満たすならば、

D

はほとんど到るところ

0

に等しいので、積分論の基 本的な定理によって

Z

−∞

D(x) dx =

Z

−∞

0 dx = 0

が成り立ち、

(3)

と矛盾するからである。

このように、δ

おかしな

関数であるが、物理的には、単位質量を 持つ質点の密度、単位点電荷の電荷密度のように解釈でき、自然なもので ある、という説明を「信号処理とフーリエ変換」を履修した人は聞いた覚 えがあるであろう。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 7 / 28

(9)

6.2.2 Dirac

Diracは、Heaviside関数Y δの間には次の関係があると主張した。

(5) Y(x) =δ(x).

証明もどき(Schwartzの超関数理論では適当に修正すると証明になる)

φ:RRは滑らかで、遠方で 0となる任意の関数とするとき、

−∞

Y(x)φ(x)dx= [Y(x)φ(x)]−∞

−∞

Y(x)φ(x)dx

= 0

0

φ(x)dx =[φ(x)]x=x=0=φ(0)

=

−∞

δ(x)φ(x)dx, すなわち、任意のφについて

−∞

Y(x)φ(x)dx =

−∞

δ(x)φ(x)dx が成り立つので

Y(x) =δ(x).

この議論はかなり怪しいが、このY δのペアはしばしば役に立つ結果を導出できた。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 8 / 28

(10)

6.3 二つの超関数論

6.3.1 L. Schwartzdistribution

L. Schwartz (Laurent Schwartz, 1915–2002)は、1940年代後半に、超関数(dis-

tribution) の理論を創り、Dirac の議論の数学的正当化に成功した。

「工学者が長年使っていてボロのでない算法というものは必ず数学的 に正当化できるはず。 」

詳しい話はここでは出来ないが、Schwartzの理論における導関数では、部分 積分が鍵となる。例えば上でやった議論は、(Schwartzの理論では)Y=δの正 しい証明である。(部分積分を使うのは、SchwartzにさきがけたSobolev の一般 化導関数の基本的なアイディアでもあった。)

Schwartzはこの業績によって、1950年にフィールズ賞を受賞した。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 9 / 28

(11)

6.3.2 佐藤幹夫の hyperfunction

佐藤幹夫(1928–2023)は、正則関数の境界値の差として超関数をとらえるアイ

ディアに基づき、Schwartzとは別の超関数論を建設した(1958年, [5])。Schwartz の distributionと区別するため、hyperfunction と名付けた。

日本語では、佐藤(の)超函数と呼ばれる。(Schwartzによるものは超関数と書 かれることが多いが、佐藤によるものは超函数と書かれることの方が多いようで ある。)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 10 / 28

(12)

6.4 佐藤超函数の定義 (

のようなもの

)

次のことを思い出そう: φを複素平面の原点の近傍U で正則な関数、CU 内の区分的C1級の曲線で、原点の周りを正の向きに一周する曲線とするとき

1 2πi

I

C

φ(z)

z dz =φ(0)

が成り立つ(Cauchy の積分公式、あるいは留数定理による)。

C のうち上半平面にある部分, 下半平面にある部分をそれぞれC+,C とし、

区間[a,b] (ただし0(a,b), [a,b]Ω)にくっつくように変形すると 1

2πi I

C

φ(z) z dz=

Z bi0 ai0

1 2πi

φ(z) z dz−

Z a+i0 b+i0

1 2πi

φ(z) z dz

= Z b

a

1 2πi

1

x+i0 1 x−i0

φ(x)dx.

この右辺は何?とりあえず

εlim0

Z b a

1 2πi

1

x+iε− 1 x−iε

φ(x)dx くらいに解釈して下さい。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 11 / 28

(13)

6.4 佐藤超函数の定義 (

のようなもの

)

そこで佐藤はデルタ関数を

(6) δ(x) = 1

2πi 1

x+i0 1 x−i0

と定義し、この事情を一般化して

超関数とは、上半平面と下半平面で正則な関数の境界値の差である と定義した。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 12 / 28

(14)

6.4 佐藤超函数の定義 (

のようなもの

)

定義 1.1 (のようなもの)

Cの開集合Ωで正則な関数全体の集合をO(Ω) と表す。F ∈ O(C\R)に対 して、

F(x+i0) =F+(x) := lim

z→x Imz>0

F(z), F(x−i0) =F(x) := lim

z→x Imz<0

F(z)

とおき、

F(x+i0)−F(x−i0)

F が定める超関数という。またF をその超関数の定義関数と呼ぶ。

C+:={z C|Imz >0}, C :={z C|Imz <0}, F+=F|C+, F=F|C

として、上半平面、下半平面で定義された正則関数の組 (F+,F)が超関数を定 める、と言っても同じことになる。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 13 / 28

(15)

6.4 佐藤超函数の定義 (

のようなもの

)

注意 1.2

O(C\R)の任意の要素

F (

あるいは

(F

+,

F

))

は超関数を定めるが、

重複がある。

Rの近傍で正則な関数

Φ

に対して

(F

+

+ Φ)(x + i 0)

(F

+ Φ)(x

i 0)

F

+

(x + i 0)

F

(x

i 0)

と同じ超関数である

がキャンセルすることに注意する

)

。 正確には、

F

G

def.

F

G

∈ O

(

C

)

で定まる同値関係 の同値類として超関数を定める。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 14 / 28

(16)

6.4 佐藤超函数の定義 (

のようなもの

)

以下では、超関数

f (x)

F

∈ O

(

C\R

)

で定まることを

f (x) = [F (z)]

と表すことにする。

デルタ関数について

(7)

δ(x) =

1 2πi

1 z

が分かったが、

Heaviside

の階段函数については

(

以下で確認するように

)

(8) Y (x) =

1

2πi

Log(

z)

である

(Log

は対数関数の主値

)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 15 / 28

(17)

6.4 佐藤超函数の定義 (

のようなもの

)

証明 .

対数関数の主値について

Log(x

+ i0)

Log(x−

i0) =

0 (x

>

0) 2πi (x

<

0)

であることを知っている

(

「複素関数」で説明済み

)

。そこで

F (z) :=

1

2πi

Log(−z) とおくと、

F (x + i0)

F (x

i0) =

1 (x

>

0) 0 (x

<

0).

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 16 / 28

(18)

6.4 佐藤超函数の定義 (

のようなもの

)

余談 1

「複素関数」で、(定積分の留数を用いた計算の際などに)しばしばC\[0,∞) で対数関数の分枝を次のように定めて用いた。

logz= logr + (z =re,r >0,θ∈(0,2π)).

このlogとLog(−z)の間には

Log(−z) = logz −iπ

という関係があるa

Y を定義するためには、(差が等しければよいので)2πi1 Log(−z)の代わりに

2πi1 logz を用いることも可能である。しかし、logの説明が面倒なためか(Log はただ単に「主値」と言えば済む)、Log(−z)を使うことが多いようである。

a実際、z=reiθ (r>0,θ∈[0,2π])のとき、−z=rei(θ−π),θ−π∈[−π, π)である

から、Log(−z) = logr+i(θ−π) = logz−iπ.

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 17 / 28

(19)

6.5 佐藤超函数の演算 6.5.1 導関数

和とスカラー倍は簡単であるから省略する。

やや天下りに感じられるかもしれないが、超関数の導関数は次のように 定義するのが良い。

定義 1.3 ( 超関数の導関数 )

超関数

f (x) = [F (z )]

の導関数を

(9) f

(x) =

F

(z)

で定める。すなわち

[F (z )]

= [F

(z)].

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 18 / 28

(20)

6.5.1 導関数

例 1.4 (佐藤超函数論における Y

= δ の証明)

すでに

δ(x) =

1 2πi

1 z

, Y(x) =

1

2πiLog(−z)

であることを見た。

(10)

1

2πi Log(−z)

= 1 2πi

1 z であるから

(11) Y(x) =δ(x) (佐藤超函数として).

(個人的な回想: 私は、超関数として Schwartzの超関数(distribution) を先に 学んだので、Y =δの根拠が(10)であるという話には鮮烈な印象を持った。)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 19 / 28

(21)

6.5.2 Fourier 変換

(

ここは

Fourier

変換を知っている人向け。知らない人にはあしからず。

)

関数

f :

RC に対して

(

F

f )(ξ) = ˆ f (ξ) :=

Z

−∞

f (x)e

ixξ

dx (ξ

R

)

で定まる関数 F

f

を、

f

Fourier 変換と呼ぶが、普通の意味では積分 が収束しないため細かい技巧が必要になることが多い2。この困難を克服 するために、Fourier解析に超関数は必要不可欠である。

2Lebesgue積分で解釈する場合、f(x)eixξ=|f(x)|であるので、

Z

−∞|f(x)|dx<が積 分が存在するための必要十分条件である。(しかし、例えばFourier解析で重要なsincx=sinx

x

この条件を満たさない。)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 20 / 28

(22)

6.5.2 Fourier 変換

定義 1.5 ( 佐藤超函数における Fourier 変換 )

関数

f :

RC に対して、

f

Fourier

変換 F

f = ˆ f

を次式で定める

: (12a)

F

f (ξ) = ˆ f (ξ) := F

+

(ξ + i0)

F

0)

ただし

F

+

(ζ) :=

Z 0

−∞

e

ixζ

f (x) dx (Im

ζ >

0) (12b)

F

(ζ) :=

Z

0

e

ixζ

f (x) dx (Im

ζ <

0).

(12c)

F

+

F

の定義式の積分において、どちらもRe

(

ix

ζ

) = x

Imζ <

0

を満たすので、

f

に関する緩い条件のもとで、

(12b), (12c)

の積分が収束 することに注意しよう。収束に関する心配は無用、ということになる。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 21 / 28

(23)

6.5.2 Fourier 変換

例 1.6 (1 の Fourier 変換 )

定数関数f(x) = 1のFourier変換を求めよう(超関数論を使えない科目「信号 処理とフーリエ変換」では、お話として紹介するだけだった)。

F+(ζ) =

0

−∞

e−ixζdx= [e−ixζ

−iζ ]x=0

x=−∞

=1 iζ, F(ζ) =

0

eixζ dx= [eixζ

−iζ ]x=

x=0

=1 であるから

Ff(ξ) =1 i

( 1

ξ+i0 1 ξ−i0

)

= 2πδ(ξ).

こうして“有名な” 次式が得られるa

(13) F1 = 2πδ.

a「信号処理とフーリエ変換」では、Ff(ξ) = 1

2π

−∞

f(x)e−ixξと定義したので (

2πで割ってある)F1(ξ) =

2πδ である、と説明した。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 22 / 28

(24)

6.5.3 積分

定義 1.7 ( 超関数の積分 )

f(x) =F+(x+i0)−F(x−i0)を、実軸上の有界閉区間[a,b]の近傍で定義 された超関数で、端点a, bの近傍で実解析的なものであるとする。C を複素平 面内の区分的C1級の閉曲線で、[a,b]を正の向きに1周するものとして

(14)

Z b a

f(x)dx= Z

C+

F+(z)dz− Z

C

F(z)dz.

f(x) = [F(z)]のとき Z b

a

f(x)dx:=

Z

C

F(z)dz、とも書ける。

最近、定積分 Z b

a

f(x)dx の近似値を求めるために、

Z

C

F(z)dz を台形則で数 値計算するというアルゴリズムが提唱され(周期関数の一周期積分に対する台形 則…なるほど!!)、注目を浴びている。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 23 / 28

(25)

6.5.3 積分

コンパクトな台を持つ超関数f に対して、

G(z) := 1 2πi

Z

−∞

f(x)

x−z dx (z C\suppf) で定めたG は正則で

f(x) = [G(z)]

が成り立つことが証明できる。ゆえにGf の定義関数であるが、標準定義関 数と呼ばれる。

f が普通の可積分関数であるときも、G は正則関数となるが、G の定める超 関数を、f を超関数とみなしたものと考える。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 24 / 28

(26)

6.5.3 積分

例 1.8

[a,b]の定義函数χ[a,b] を超関数とみなしたときの標準定義関数は

1 2πi

Z b a

dx x−z = 1

2πiLogz−b z−a. この導関数は 1

2πi 1

z−b− 1 z−a

であるから、

χ[a,b](x) =δ(x−a)−δ(x−b).

この結果は納得しやすい(x=a,bを除くとχ[a,b](x) =Y(x−a)−Y(x−b) であり、この両辺を微分した形をしている)。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 25 / 28

(27)

6.6 参考書案内

原論文である佐藤[5]を入手して、眺めてみることは、意外とオススメである (オリジナル、日本語、ネットで入手可能、関数論以外の予備知識なくても読め るところ多い、良いことづくめ)。日本語で読める重要な数学論文の筆頭に上げ たい論文である。

現在、(比較的)入手しやすいテキストは、森本[6],金子[7]である。実は[7]

の第1章が今回の話の種本である。

今井[8]は、超関数に流体力学的イメージ(渦層)がつけられるという話で、筆 者は最初に読んだとき鮮烈な印象を持った。まるまる2巻、1変数超関数の話で、

具体的な計算例を色々知りたい場合に一推しである(計算例の多くはSchwartz超 関数としても導出できるが、佐藤超函数でやった方が簡単、ということが多い)。

1変数の部分をやさしく読み解き、Schwartzのdistributionとの関係も解説し た山中[9]は、便利である(入手しにくいのが難点である)。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 26 / 28

(28)

参考文献表 I

[1] ミクシンスキー, Mikusi´nski, J.:演算子法 上,裳華房(1965),松村 英之・松浦 重 武 訳.

[2] ミクシンスキー, Mikusi´nski, J.:演算子法 下,裳華房(1967),松浦 重武・笠原 晧 司 訳.

[3] 小松彦三郎:Laplace超函数による微分方程式の解法,京都大学数理解析研究所講究 , Vol. 935, pp. 21–52 (1996),https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/

dspace/bitstream/2433/60022/1/0935-3.pdf で入手可能。

[4] 小松彦三郎:Heavisideの数学, 2003年度日本数学会年会 企画特別講演アブストラク ト集, pp. 55–65 (2003), https://www.jstage.jst.go.jp/article/emath1996/

2003/Spring-Meeting/2003_Spring-Meeting_55/_pdf/-char/ja で入手可能。

[5] 佐藤幹夫:超函数の理論,数学, Vol. 10, No. 1, pp. 1–27 (195810),

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sugaku1947/10/1/10_1_1/_pdfから 入手可能である。タイトルで検索すれば見つけられる。

[6] 森本光夫:佐藤超函数入門,共立出版(1976, 2000復刊).

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 27 / 28

(29)

参考文献表 II

[7] 金子晃:新版 超函数入門,東京大学出版会(1996),もともと二分冊で出版されたもの の復刊。

[8] 今井功:応用超関数論 I, II,サイエンス社(1981).

[9] 山中健:線形位相空間と一般関数,共立出版(1966).

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 応用複素関数 第14回 〜 佐藤超函数の紹介 〜 28 / 28

Referensi

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