• Tidak ada hasil yang ditemukan

新版教科書によせて

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

Membagikan "新版教科書によせて"

Copied!
4
0
0

Teks penuh

(1)

教育の可能性をひらく教師

――学習材の価値を引き出し,生かすのは教師である

新版教科書によせて

ことばだより  2019 年春 号外 小学国語通信

ぢか

じゅん

いち

(東京学芸大学名誉教授・元早稲田大学教授)

 校庭の一本の桜の木も,また空に浮かぶ一片の雲も,

それをどう生かすかによって,それぞれ優れた学習材と なります。そこに,どのような学習材としての価値を見 いだすか,あるいは,学習材としてどのような価値を与 えるか,その鍵を握っているのは,一人一人の教師です。

原材料(資料)としてどんなに優れた文化的な価値を有 していても,それを生かす教師がいなければ,その価値 は学習に生かされることはないのです。

  原材料に,学習材としての価値を見いだし,あるいは学 習材としての価値を与え,学びを成立させる責任は,教 師にあります。優れた原材料を与えるから,それを正確,

かつ忠実に受け止めて,教材として十分に活用せよと,

権威筋から「上から目線」で言われても,一人一人の教 師が,その価値を自ら見いださないかぎり,教材として 生かされることはありません。教師がいて,初めて原材 料は,学びを成立させる学習材として生かされるのです。

 ところで,第九期の教育課程の改訂が発表され,それ に基づき,新しい教科書の編集が進められてきました。

新しい時代に生きる資質・能力を育てるため,言葉によ る見方・考え方をはたらかせて,主体的で対話的な深い 学びの成立を図ることのできる教科書の編集が課題とな り,私たちは,そのための教材の発掘と,それを生かし たアクティブ・ラーニングの成立を,教科書の上に実現 させようと努めてきました。新しい教科書『ひろがる言 葉  小学国語』は,その努力の成果です。編集に携わって

きた者としては,この教科書こそは,新しい時代をひらく 学習を成立させる可能性をもった学習材集だと信じ,現 場の先生がたがこの教科書を生かして,新しい時代をひ らく言葉の教育の可能性を見いだしていってくださるこ とを願っています。

 教科書は,学習参考書でもなければ,何かの免許取得 のための技能教則本でもありません。特に,国語の教科 書は,学び手の主体的なアクティブ・ラーニングを触発 し,自己学習能力を発揮させる,そしてそのことを通して 資質・能力の向上を図ろうとするものです。もちろん教 科書には,一般的・標準的な学習の手順が,「学習のてびき」

として示されています。しかし,その「てびき」も,実は 教材なのです。それをどう生かすか,それを生かして学 習の具体化をどう図るかは教師に任されています。「てび き」をも含めて,教科書を学び手にとってアクチュアル な学習材としてどう生かすか,どのようなアクティブな自 己学習活動を触発し,どのような自己学習能力を育てる か。その鍵を握っているのは,教師です。最後に,あえ て繰り返しますが,教科書を生かすのは,一人一人の現 場の教師です。教師の教育観と創造力が,教科書を価値 ある学習材として生かすのです。

 私たち,編集に携わった者は,それぞれ精魂を傾けて 完成させた教科書が,教育現場の先生がたによって価値 ある学習材として生かされることを,心から願っています。

1

(2)

新しい時代を見すえた

言葉の力を育む 国語科の教科書

かば

やま

とし

ろう

(大妻女子大学准教授 元文部科学省国立教育政策研究所学力調査官・教育課程調査官)

子どもたちの近未来の姿を見すえた 言葉の力を育む 〜時代感覚と先見性

 2021 年 1 月,大学入試が大きく変わります。習得し た知識や技能の確認に留まらず,思考力・判断力・表現 力を問うテストへと転換し,一定の記述式問題が出題さ れます。予め決められた知識や技能を詰め込み,暗記再 生する入試選抜では,グローバル化や高度情報化の流れ に適応できなくなるといったことが改革の背景にありま す。そのような時代へ適応するために,小・中学校の国 語科は何をすべきでしょうか。それは,国語科における 基礎・基本を問い直し,今後必要な言葉の力についての 認識を深めることです。ICT や人工知能が飛躍的に進化 を遂げる時代や社会の要請を受け,複雑な状況変化に対 応できるよう,目ざすべき理想的な言語運用のあり方や 成熟社会における言語生活の様相をイメージしていくこ とが重要です。

 とりわけ,SNS を含むメディア・リテラシーの向上,

情報活用能力の育成は急務です。今後は,身のまわりの さまざまなメディア情報を多面的に分析し情報の受信者 として適切な判断に基づいて対応する能力や,情報の発 信者として必要な情報を選択したり編集・操作したりす る能力を高めることが大切です。

 教室で学んでいる今の子どもたちの近未来の姿を見す えた言葉の教育が期待されます。

言葉の力を育む,魅力ある教科書

〜知識の質と量,A・L の実現

 国語科教科書には,「何を教えるか」という知識の質や 量の改善に加え,学びの主体である子どもたちが「どの ように学ぶか」という学び方を示し,自立的な言葉の学 びを創っていく方向を示唆することが求められます。主 体的・対話的に言葉と対峙し,言葉の学びが豊かに広が り深まっていくような教科書教材の題材,配列や構成の 仕方などの工夫が必要です。

 教育出版の新しい国語科教科書は,今般の学習指導要 領改訂のキーワードである,「資質・能力」「汎用性」「単 元のまとまり」「言葉による見方・考え方」「語彙」「情報 の扱い方」「学習過程の明確化」「考えの形成」などの内 実を網羅しています。学びやすく教えやすい「現場主義」

をテーマとし,新しい時代を見すえた言葉の力を育むこ とを念頭に置きながら,魅力ある教科書を子どもの手も とに届けるという熱意と責務をもって教科書を編集しま した。全国の先生がたに広く使用されることを願ってい ます。

教育出版の 小学校国語科の教科書

10

の魅力

学年の発達を考慮した魅力ある題材。ユニバーサルデザインへの配慮。

目次における学年全体としての学習内容の概観,「〇年生で学ぶこと」の見通し。

学びに向かう意欲の喚起(単元とびら),ユニット(教材の複合)としての設定。

学びの連続性の重視,学びのストーリー(学習過程)の提示(学習のてびき)。

「言葉による見方・考え方」がはたらくポイント(言語内容や言語形式への着目)の提示。

対話的な学びを通した「考えの形成」の深化や拡充のプロセスの具体化。

児童の作品見本の提示による,ゴールイメージの共有。

各学年における語彙指導の充実(質と量の両面)。

単元全体を通して身につける資質・能力の明示(他教科等や実生活との関連)。 自己評価(振り返り)の充実。図書館との連携や関連読書への誘い。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

2

(3)

国語科で求められる

資質・能力を育む教科書

なか

むら

かず

ひろ

(東京学芸大学准教授)

新学習指導要領を具体化する国語科の授業

 平成 29 年版の小学校学習指導要領では,国語科の内 容は〔知識及び技能〕と〔思考力,判断力,表現力等〕

とに再編成されました。中教審の答申を踏まえると,〔知 識及び技能〕の内容は生きてはたらくことが求められて おり,また,〔思考力,判断力,表現力等〕の内容は,そ の知識や技能をどう使うかを考え,判断することが求め られていることがわかります。

 実際の国語科の授業においても,〔知識及び技能〕と〔思 考力,判断力,表現力等〕の指導事項を,互いにどのよ うに組み合わせて扱うかが重要になってきます。

 例えば,語彙に関する事項は,〔知識及び技能〕として 位置づけられています。各学年で重点的に扱う語句の種 類が系統的に示されていますが,それらの語句を覚えさ せるだけの授業では,実際に読んだり書いたりする際に 使うことができません。言葉についての知識や技能は,「読 むこと」や「書くこと」の学習の中で扱うことが基本と されています。語彙を豊かにすることと,読むことや書く ことの充実とが,別々なものではなく,連動する必要が あるということです。

 一方,「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」

の指導事項は,〔思考力,判断力,表現力等〕に位置づけ られています。例えば,「読むこと」でいえば,筆者の論 の進め方を考えたり,人物の気持ちの変化を具体的に想 像したりするなど,「考える」ことが求められています。

そのためには,「文章のどこに着目して論の進め方を考え ればよいか」「どの語句や表現から人物の気持ちを想像す ればよいか」など,考えるための知識や技能が必要であり,

その一つが語彙に関する事項ということになります。

語彙の学びを広げる

 新しい教科書の「てびき」には,下のような「言葉」のペー ジが設けられています。例えば『ごんぎつね』(四下)では,

場面の様子を具体的に想像するには,どの文のどの語句 に着目して考えるとよいかが示されています。また,同 ページには,「言葉を学ぼう」として作品に関係する秋を 表す語句や,「言葉をふやそう」として人物の行動を表す 複合動詞も,それぞれ示されています。

 〔知識及び技能〕としての語彙の学びが,〔思考力,判 断力,表現力等〕としての「読むこと」の学びを深め,

同時に,「読むこと」の学習を通して,語彙の学びも広げ られるよう工夫されています。

 新しい教科書では,国語科で求められている資質・能 力を,自然なかたちでバランスよく育成できる授業が実 現するよう,てびきなどをさまざまに工夫しています。

次の文は景色や場面の様子がくわしく説明されていますこのことからどのよ

うな場面の様子なのか想像し話し合いましょう

 ただのときは水につかることのない川べりのすすきやはぎのかぶが黄色く

にごった水に横だおしになってもまれています

︒ ︵ 8ページ  いいお天気で遠く向こうにはお城の屋根がわらが光っています

︒ ︵ 12ページ  ごんは二人の話を聞こうと思ってついていきました兵十のかげぼうしをふ

みふみ行きました

︒ ︵

20ページ言葉

を学ぼうをふやそう

︿秋を表す言葉﹀

秋の空   秋の雨   秋の野   台風    もず   松虫   いわし はぎ   すすき   ひがん花   さつまいも   くり   松たけ ︿ 二つの言葉が組み合わさってできている言葉﹀ ほり散らす   むしり取る

 はい出る   歩きよる  まくし上げる   持ち上げる

3

(4)

あお

のぶ

(筑波大学附属小学校教諭)

1. 日常生活に必要な言葉の運用力を高める

 言葉は日常の生活で使われるものですから,教科書で 学んでいることと,言葉の生活とがかけ離れたものでは 困ります。教育出版の新しい教科書は,話す・聞く,書く,

読むという言語活動が相互に関連し合い,日常生活の中 で使いこなすことのできる力がつくようになっています。

 何かを調べてそれを人に伝えようとしたときには,調 べ方や,表現の仕方が身についていることが必要ですが,

こうした力が系統的に身につくように教科書が構成され ています。例えば,4年生に,『分類をもとに本を見つけ よう』という教材があります。ここでは十進分類表を使っ て本を見つけ,必要な資料を探すという学習が行われま す。この学習は,2年生の図書館での本の探し方,3年 生の本の中から必要な資料を集める方法をうけての活動 になっています。また,この後に,インタビューの仕方 やメモの取り方など,取材の方法についても具体的な活 動を通して学ぶ教材も配されています。

 さらに,紹介文,報告文,意見の書き方など,調べた ことをもとに,さまざまな文種に対応した書く力も身につ くように単元が設定されています。教育出版の教科書は,

学年の発達段階に応じて,目的に応じて調べ,必要に応 じて書き分けることのできる力など,日常の生活とつな がるような言葉の力を伸ばすことができるように構成さ れているのです。

2. 読むことのおもしろさを実感する

 「読むこと」の学習では,説明文も物語も多様な内容の 文章を掲載し,子どもたちの知的好奇心を揺さぶったり,

心の涵

かん

よう

につながったりするものになっています。充実

した内容の文章や作品を,「てびき」にそって学ぶことで,

「読むこと」のおもしろさを実感できる学習が可能です。

「てびき」では,①確かめよう ②考えよう ③深めよう 

④広げよう という流れで文章を読み進めるようになっ ています。

 例えば,6年生の説明文『雪は新しいエネルギー』では,

①確かめようで,地球環境やエネルギーに関する子ども 自身の既有知識を確認して読みの構えをもちます。その うえで,文章全体が捉えられるように読んでいきます。

②考えようでは,雪のエネルギー利用について,表など のツールを使いながら正確に読み進めます。③深めよう では,筆者の論の展開の仕方について考えます。④広げ ようでは,今までの学習をもとに,筆者の意図や説明の 仕方の効果について,自分の考えをまとめ,クラスの仲 間と共有します。

 この展開は,新学習指導要領の「読むこと」領域で示 された「構造と内容の把握――精査・解釈――考えの形 成――共有」の学習過程と軌を一にするものです。

 教育出版の教科書では,内容面のおもしろさを実感さ せて日常の読書生活の充実につなげようと考えただけで はなく,筆者や作者がどのような書きぶりで文章を創り 出しているのかを考えさせる学習を組織しています。そ れが,例えば2年生説明文の単元名「じゅんじょに  気を  つけて よみ,つながりを 見つけよう」や,同じ2年生物 語の単元名「くりかえしに  気を つけて,とうじょう人物 の 様子を 読もう」などに端的に表されているのです。

 「読むこと」の学習で言葉のよさ,構成のよさなどを学 び,実感できた子どもは,それを自らの工夫に取り入れて,

「話すこと・聞くこと」や「書くこと」などの領域におい ても関連させて表現していくことでしょう。これが,生き てはたらく言葉の運用力なのです。

本内容解説資料は,一般社団法人教科書協会「教科書発行者行動規範」に則っています。

生きてはたらく言葉の 運用力を育む教科書

4

Referensi

Dokumen terkait

№201806-001 新潟食料農業大学 教員候補者の募集について 次のとおり、新潟食料農業大学 教員候補者を募集いたします。 人員及び職位 1名 教授または准教授または講師 ※新設大学につき、文部科学省による教員審査が必要となるため、職位が 変更となる可能性があることをご承知おきください。 所属学部・学科 食料産業学部食料産業学科 求人内容

免許教科決定に関する各教科(専攻)の紹介 中等教育教員養成課程 教科名: 体 育 1.教科の特色・目的 運動やスポーツに一層の興味関心を持ち、指導の力量の備わった行動力ある保健体育 の教師養成を目指しています。 2.専門教育の内容(レベルを含む。) 専門科目は、体育学関連科目、運動学関連科目、健康教育学関連科目、体育実技に

【教職に関する科目について】 栄養教諭の資格について 栄養教諭とは、学校教育法の改正により平成 17 年4月1日から創設された制度で、教育職員免 許法に定められた課程を履修し、所定の単位を修得しなければならない。栄養教諭の職務内容は、 栄養に関する専門性と教育に関する資質を併せ持ち、食に関する指導と学校給食の管理を総合

授業科目名 初等教科教育法算数 科目番号 CB23521 単位数 2.0単位 標準履修年次 3年次 時間割 春AB土1,2 担当教員 田中 博史, 夏坂 哲志 授業概要 本授業では、小学校における算数科教育の意義、目標、指導内容について理解を深め るために、講義と算数科教育の諸活動を通して教材研究及び指導法の演習を行う。 備考

資料3-1-③-2 機械電気システム工学専攻 専任教員一覧 氏 名 職 名 担当科目 専門分野 本橋 元 教授 応用機構学,塑性加工学,専攻科実験 自然エネルギー 末永 文厚 教授 設計工学 熱流体工学 田中 浩 教授 専攻科実験 加工学 竹村 学 准教授 システム計画学 システム計画学 五十嵐 幸德 准教授 材料設計学 材料工学 増山 知也 准教授

①学校における教育計画に基づかない使用。 ②授業に関連しない参考資料等としての使用。 ③学級通信、学校便り等への使用。 ④学習研究会等における使用。 ⑤学校のホームページ等への掲載。 ⑥ 児童・生徒等授業を受ける者以外が閲覧できるようにすること。(ネットワークでの配信を含む。) ⑦学習者用コンピューターで児童・生徒等が使用すること。 第4条

魅力1 教材がコンパクトで内容を理解しやすい 魅力2 先生方の発想を生かした柔軟な授業の工夫ができる 魅力3 何を考えさせるか,何を議論させるかがわかりやすい 魅力4 生徒の認識の変容を促す授業が実現できる 魅力5 いじめ問題に多様な視点からアプローチできる 魅力6 簡潔な評価の工夫で,多忙な先生方の実態に対応している

1.子どもをゆさぶる「ポストの授業」 私が筑波大学附属小学校に赴任した 1984 年から、有田和 正氏が附属小学校を去られた 1992 年の 4 月までの 9 年間、 同じ学校に勤務し有田氏の授業に接する機会を得た。 その当時、有田氏が編集長を務める「授業のネタ 教材開発」 誌(明治図書)のグラビアを担当していたこともあって、有田