糖質(糖鎖)およびそれを含む生体分子(複合糖質)
の機能は,大別すると,(1)デンプンやグリコーゲンな どのエネルギー貯蔵体,(2)セルロースやヘミセルロー スのような固いものや,ペクチンや種々の海藻由来多糖 の よ う に 柔 ら か い も の を 含 め た,生 物 の 構 造 支 持 体,(3)細胞表面の糖タンパク質や糖脂質など,分子認 識や細胞間認識のような高次の機能をもつもの,などが ある.このように多彩な糖質の機能は,その構造的な多 様性に由来する.すなわち,単糖としてはグルコースを はじめとした種々のヘキソース/ペントース,アルドー ス/ケトース/糖アルコールなどがあり,グリコシド結 合としては
α
およびβ
アノマーの違いに加えて結合する 位置の違いが糖のもつ水酸基の数だけあり,さらに重合 度や枝分れの度合いの違いもあるため,無数と言ってよ いほどのバラエティを生み出している.それに伴って,糖質を合成・分解する酵素も複雑な分子進化を経て,現 在のような多様性を獲得してきた.これらの酵素に共通
するのは,グリコシド結合の切断および生成を触媒す る,というただ1点だけだが,それでも,この一群の酵 素の総体を分類・整理して理解しようとする試みは継続 的になされてきた.
糖質関連酵素の分類
糖質加水分解酵素には,大きく分けて,反応前後の基 質と生成物のアノマー構造の関係によって,保持型酵素 と反転型酵素がある.いずれのタイプでも多くの場合活 性中心は2つのカルボキシル基をもつ残基(Aspまたは Glu)であり,保持型酵素では求核触媒と酸/塩基触媒,
反転型酵素では一般塩基触媒と一般酸触媒として働くと 考えられている(図1).多くの糖質加水分解酵素は共 通した反応機構をもつが,分子進化の観点からは,さま ざまな起源すなわち多様なフォールドをもつ,雑多な種 類のタンパク質であり,これらを何らかの観点でグルー
O O
O O H H H
O O
O R
O O
O O H O O
R
O O
O OH OH
O HOR
O HO
O O O OH
一般酸触媒
H OH
O O
O O O
一般塩基触媒 酸/塩基触媒
求核触媒
a b
図1■アノマー保持型酵素(a)と反転型酵素(b)の標準的な反応機構 いずれの場合も活性中心は2つのカル ボキシル基をもつ残基(Aspまたは Glu)であり,保持型酵素では求核触 媒と酸/塩基触媒,反転型酵素では 一般塩基触媒と一般酸触媒として働 くと考えられている.
セミナー室
糖質関連酵素の最近の進歩-3新規な糖質関連酵素の構造と機能解析
伏信進矢
東京大学大学院農学生命科学研究科
プ分けすることが全体を理解するうえでの第一歩とな る.Henrissat(フランス人なのでこの名前はアンリサ と読む)らは,1980年代の後半に,アミノ酸配列の類 似性を主な基準とした分類を,セルラーゼとヘミセル ラーゼを対象にして開始した(1).同時期に,アミラーゼ に関連する酵素の分類も個別に開始している(2).1991年 にはファミリー名をアルファベット文字から数字に変更 し,35の糖質加水分解酵素(Glycoside Hydrolase; GH)
ファミリーを定義した(3).GH1 〜 GH12にはセルラーゼ とヘミセルラーゼのような主に
β
-グリコシド結合に作 用する酵素が分類された(ただしGH4は例外的である:後述).その後の3つの番号はアミラーゼ関連の酵素に 与えられ,GH13には
α
-アミラーゼに代表される(β
/α
)8バレルをもつアノマー保持型の酵素が,GH14には
β
-ア ミラーゼに代表される(β
/α
)8バレルをもつアノマー反 転型の酵素が,GH15にはグルコアミラーゼに代表され る(α
/α
)6バレルをもつアノマー反転型の酵素が,それ ぞれ分類された.それ以降のGH35までは,β
-1,3-結合に 作用する酵素など多様な活性をもつ酵素が含まれるファ ミ リ ー(GH16とGH17),β
- -ア セ チ ル ヘ キ ソ サ ミ ニ ダーゼやリゾチームなど -アセチル基をもつ基質に作 用する酵素群(GH18 〜 GH25),そしてそのほかの酵素 のファミリーが順に設置された.GH36以降のファミ リー番号は,基本的に発見された順に付けられている.2008年にはGHのファミリー数は113まで増えた(4).現 時点ではさらに増えてGH133まであり,そのうち6個が 削除されているため,127のファミリーが存在する.ま た,GHに加えて,糖転移酵素(GlycosylTransferase;
GT),多糖リアーゼ(Polysaccharide Lyase; PL),炭水 化物エステラーゼ(Carbohydrate Esterase; CE),酸化 還元酵素などを含む補助活性酵素(Auxiliary Activity;
AA),そして酵素ではないが炭水化物結合モジュール
(Carbohydrate-Binding Module; CBM)の各クラスが設 置され,Carbohydrate-Active enZymes(CAZy)とし てデータベースが管理・運営されている(http://www.
cazy.org).このようなアミノ酸配列の類似性を基準と した分類法は当然のように酵素の活性(基質特異性)と は必ずしも一致しない.ただし,同一ファミリー内の酵 素が作用する結合は
α
-またはβ
-結合のどちらかであり,保持型と反転型酵素が混ざることもほとんどない(例外 として,GH4には
α
-結合に作用する酵素とβ
-結合に作 用する酵素が混在し,GH97には保持型酵素と反転型酵 素が混在する).また,いったん設置されたものの,そ の後の研究成果によって削除・移転されたファミリーも 数 多 く あ る.近 年 注 目 さ れ た 例 で は,当 初GH61とCBM33に分類されたものの,後に加水分解酵素あるい は糖質結合ドメインではなく,多糖の酸化的分解を触媒 することが判明した酵素群がある.その結果,これらは AA9とAA10にそれぞれ再分類され,現在では溶解性 多糖モノオキシゲナーゼ(Lytic Polysaccharide Mono- Oxygenase; LPMO)と呼ばれている(5, 6).AAはこのた めに新設されたクラスであり,古くから知られていた糖 質の酸化還元酵素もここに入っている.たとえば,2つ のドメインからなるセロビオースデヒドロゲナーゼは,
FAD結合デヒドロゲナーゼドメインはAA3, シトクロ ム結合ドメインはAA8に分かれて入っている.AAの 新設とLPMOの移設に伴って,GH61とCBM33は削除 されたことになる.ファミリーが削除された場合,新た な混乱を防ぐために,その番号は永久欠番とされる.
ファミリーの新設および削除,どこまでを一つのファミ リーにするかなどの分類の基準も,糖質関連酵素に関す る知見が蓄積するに伴い,少しずつ変化していると見ら れる.このように,よく言えば臨機応変に,悪く言えば いきあたりばったりの運営がなされている.とにもかく にも,CAZyは15年以上の間ウェブ上で公開されて アップデートを続けており,この膨大な酵素群(CAZy の管理者らはCAZymesと呼んでいる)を整理して研究 を進めるうえで便利な道具として,世界中の研究者から 重宝されていると言えよう.
α
-アミラーゼファミリーの概念α
-ア ミ ラ ー ゼ と そ の 関 連 酵 素 は 初 期 のCAZyで は GH13という一つの巨大なファミリーにまとめて分類さ れてきたが,この中には,α
-1,4-およびα
-1,6-グルコシド 結合への作用特異性,加水分解および糖転移によりそれ らの結合を切断・形成する反応特性などの機能面におい て,多様な「アミラーゼ関連酵素」が含まれている.栗 木らは,1992年に,CAZyの分類とは別個かつ独自な概 念として,「α
-アミラーゼファミリー」を提唱した(7).α
- アミラーゼファミリーについては近年の総説にも詳しく 書かれているが(8),この多様な機能をもつ酵素群をグル コシド結合に対する作用特異性と反応特性によって2次 元にマッピングして理解できること,それらの特性は明 確な境界があるのではなく遷移的なものであることなど を,CAZyの分類が開始されたごく初期の段階ではっき りと示したことは特筆に値する.α
-アミラーゼファミ リーにはデンプン加工に利用される工業的に有用な酵素 が多く含まれ,それらの特異性変換および機能付加の面 でも意味のある概念となる.現在では,このような活性 を も つ 酵 素 はCAZyで はGH13, GH57, GH70, GH77, GH119, GH126などに分類され,そのうち3つ(GH13, GH70, GH77)は同じフォールドをもち関連するファミ リーとしてクランGH-Hにまとめられているが(クラン の 説 明 に つ い て は 後 述),GH57は(
β
/α
)7バ レ ル,GH126は(
α
/α
)6バレルと異なったフォールドをもち,「
α
-アミラーゼファミリー」もタンパク質としては複数 の進化的起源をもつことがわかっている.糖質関連酵素の立体構造
最初に立体構造が報告された糖質加水分解酵素は,現 在ではGH22に分類される卵白リゾチームである(1965 年)(9).また,1970年代終盤からは,松浦らの先駆的な 研究によりタカアミラーゼ(GH13)の結晶構造が決定 された(10).その後,GHファミリーに属する酵素の立体 構造は数多く決定され,(
β
/α
)8バレル(TIMバレル),(
α
/α
)6バレル,β
-ジェリーロール,β
-ヘリックス,β
-プ ロペラ(5 〜 7枚羽),リゾチーム様など,多種多様な フォールドをもつ酵素があることがわかっており,「構 造の見本市」とも称されている(11).同じフォールドを 持ち,配列の相同性も僅かながら見られ,立体構造情報 などから類似性が認められるファミリーは,クランとし てまとめられる.GHのクランはGH-AからGH-Nまで あり,うち最大のGH-Aは(β
/α
)8バレルをもつ19個の ファミリーからなる.しかし,ここ数年の間,新しいク ランは作られておらず,乱雑なGHファミリーをいくつ かの筋にまとめる,という作業はやや低調と見受けられ る.各ファミリーで「最初の」立体構造は,同じファミ
リーに属するすべてのメンバーのホモロジーモデリング の鋳型として活用できるために,タンパク質工学的手法 の適用などにおいて重要な基盤情報となる.以前は立体 構造情報が未知のファミリーが数多く存在したが,結晶 構造解析の技術が発達した現在ではずいぶん少なくなっ ており(図2),GH124やGH126のように,新規ファミ リーの設置と同時に立体構造が報告される例も出てき
た(12, 13).また,GH125やGH130のように,論文による
立体構造の報告がなされる前に,構造ゲノミクスプロ ジェクトによって機能未知タンパク質の立体構造がすで にPDBに登録されているような例もある(14, 15).筆者ら がGHとPL(いずれもグリコシド結合を切断する酵素 を含むクラス)に関する総説を執筆した2013年3月の時 点では,GH132とPL22まで設置されており,削除され たファミリーを除いた126と21のファミリーのうち,
GHでは100,PLでは20のファミリーの立体構造が決定 されていた.その後,本稿を執筆している2014年4月末 の時点までのわずか1年あまりの間に,GH50, GH62, GH81, GH115, GH127, GH130, PL17の実に7個ものファ ミリーで新規に立体構造が報告された(15〜22).
例外的な活性中心
上述のとおり,ほとんどのGHの活性中心残基は2つ のAspまたはGluだが,例外も数多く存在する(23).基質 の -アセチル基が反応に関与する基質補助型機構の酵 素(GH18, GH20, GH56, GH84, GH85, GH103)や,Tyr が求核性触媒残基と考えられているシアリダーゼとトラ ンスシアリダーゼ(GH33, GH34, GH83),NAD+が反応 に関与して酸化還元を経る酵素(GH4, GH109)などが
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39
42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59
62 63 64 65 66 67 68 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80
81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100
101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120
121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133
GHファミリー
PLファミリー
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 20
21 22
図2■GHとPLファミリーの立体構造決定状況
白背景のファミリーは立体構造が未決定であることを示す.灰色および緑色の背景のファミリーは構造決定済みであり,後者は2013年3月 以降に立体構造が報告されたもの.空欄(GH21, GH40, GH41, GH60, GH61, GH69, PL19)は削除されたファミリー.
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39
42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59
62 63 64 65 66 67 68 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80
81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100
101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120
121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133
GHファミリー
PLファミリー
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 20
21 22
知られている.また,反転型酵素では,基質との複合体 の立体構造が決定されているにもかかわらず,活性中心
(特に一般塩基触媒残基)がはっきりと特定されていな いものが多い(GH48など).特に,GH55とGH95では,
一般塩基触媒にあたる場所にはアミド基をもつ残基
(AsnまたはGln)しか存在しないことが問題とされて
きた(24, 25).しかし,GH95においては,量子力学/分子
力学(QM/MM)的計算が行われ,Asnが隣接するAsp の助けを得て「アミド共鳴」し,水分子からプロトンを 受け取り活性化する機構が支持されている(26).さらに,
近年構造が決定された保持型酵素のGH99エンド-
α
-マン ノシダーゼでは,求核触媒にあたる場所に適当な残基が 見当たらず,基質のアキシアルな2-OH基が反応に関与 して1,2-アンヒドロ糖の中間体を経る機構が提唱されて いる(27).近年の大きな話題としては,活性中心残基がHisであ るGHが見つかったことであろう.GH3の
β
- -アセチル グルコサミニダーゼ(保持型酵素)では酸/塩基触媒残 基が(28),GH117のエキソ型3,6-アンヒドロ-α
-(1,3)-L-ガラ クトシダーゼ(反転型酵素)では一般酸触媒が(29),い ずれもHis-Aspの2つ組からなり,Hisがプロトン供与 体(および受容体)として働くと考えられている.さら に,ごく最近,筆者らは,GH127のβ
-L-アラビノフラノ シダーゼ(HypBA1)の結晶構造から,奇妙な活性中心 を見いだした(21)(図3).α
-L-アラビノフラノシド結合を 切る酵素はGH3, GH43, GH51, GH54, GH62, GH93で見つ かっておりいずれもよく研究されているが,β
-L-アラビ ノフラノシド結合を切る酵素の結晶構造はこれが最初で ある.その活性中心には亜鉛原子が存在し,一つの Glu (Glu338)と3つのCysが配位していた.興味深いこ とに,Glu338は活性部位に結合したβ
-L-アラビノフラ ノースのアノマー(C1)炭素からは遠く,Cysのうち1 つ(Cys417)が求核触媒残基として適当な位置に存在 していることがわかった.Cys417のSγ
原子とβ
-L-アラ ビノフラノースのC1原子の距離は3.5 Åであり,その向 きも,O1へのin-line attackに適している(Sγ
-C1-O1の 角度は約160 ).4-クロロマーキュリ安息香酸, -エチ ルマレイミドなどのチオール修飾剤で活性は消失し,亜 鉛原子を配位している4つの残基の変異体は大幅に活性 が低下した.特に,Cys417の変異体は活性の低下が著 しく,微弱な活性すら検出できなかった.このことか ら,筆者らは,暫定的に,この酵素がCys417を求核性 触媒残基としてアノマー反転型の触媒を行う反応機構を 提唱した.さらに,予想される反応経路で量子化学的計 算を行い,グリコシル化,脱グリコシル化の双方でさほど高くないエネルギー障壁を経ることを示した.しか し,このように非標準的な反応機構は今後のさらなる検 証が必要である.実際,酵素の反応機構に関しては,野 生型の酵素と本来の(アナログでない)基質の反応経路 を直接観測する手段が事実上ないと言ってよいので,慎 重に議論する必要がある.しかし,プロテアーゼ(ペプ チダーゼ)では,セリンプロテアーゼ,アスパラギン酸 プロテアーゼ,メタロプロテアーゼと並んで,Cysが求 核残基となるシステインプロテアーゼ(たとえばパパイ ンなど)がメジャーなタイプの酵素としてよく知られて いる.したがって,糖質加水分解酵素においても「シス テイングリコシダーゼ」が存在する可能性もあるのでは ないだろうか.
CAZyのサブファミリーとCAZypedia
約130のGHファミリーの中には,分類されている配 列が数千を超え,多様なメンバーを包含する巨大なもの も少なからずある.このようなファミリーにおいては,
当然,サブファミリー分類を行う必要性が出てくる.実 際,GH5, GH13, GH30では,CAZyのメンバーによる
「公式」なサブファミリー分類が,分子系統樹(アミノ 酸配列)に基づいてなされており,CAZyのウェブサイ トにも反映されている(30〜32).また,ファミリー内で活 図3■ビフィズス菌由来GH127 β-L-アラビノフラノシダーゼ
(HypBA1)の立体構造(a: 全体構造,b: 活性中心の構造)と 推定反応機構(c)
推定反応機構では,Cys417とGlu322がそれぞれ求核性触媒残基 と酸/塩基触媒残基であると仮定している.量子力学的計算によ り得られたグリコシル化と脱グルコシル化におけるエネルギー障 壁をそれぞれ示す.
性中心残基が保存されておらず多様性の大きいGH8と GH45でも,独自にサブファミリーが提唱されてい
る(33, 34).このように,CAZyは現在では肥大化の一途を
たどっており,一つのチームがすべてのファミリーに関 連した文献を把握し運営するのは難しくなっている.
ファミリーの数自体も増大しており,単にGHファミ リー何番,と言われても,専門家以外には,そこにどの ような酵素が含まれていて,機能や構造についてどこま でわかっているのかを知るのはなかなかたいへんなこと であろう.そこで,2007年から,糖質関連酵素の研究者 のコミュニティが力を合わせて,Wikipediaのような糖 質関連酵素のオンライン辞典を作るプロジェクトCAZy- pediaが 始 ま っ た(http://www.cazypedia.org).CAZy- pediaは単なるCAZyデータベースの拡張版ではなく,
各ファミリーのことをよく知る専門家集団のボランティ ア活動で成り立っている.中心となって世話をしている のは,カナダ・ブリティッシュコロンビア大のHarry Brumer教授であり,筆者も微力ながらお手伝いをして いる.糖質関連酵素の研究の進展においては,日本の研 究者の貢献も非常に大きく,実際,国内の何名かの研究 者には各自の専門のファミリーのページの著者(Au- thor)および責任者(Responsible Curator)になって いただいている.CAZyはもはや設立にかかわった一部 の研究者だけのものではなく,世界の研究者が協力して 作り上げていくものになっている.新規ファミリーの設 立や新規構造の決定にかかわった研究者の方々など,関 係の諸氏には,この分野の研究を盛り上げるうえでも,
今後ぜひともご協力をお願いしたい.
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プロフィル
伏信 進矢(Shinya FUSHINOBU)
<略歴>1996年東京大学大学院農学生命 科学研究科応用生命工学専攻修士課程修 了/1997年同博士課程中退後,同研究科 助手,同研究科助教,同研究科准教授を経 て,現在,同教授.1999年農博(東京大 学)<研究テーマと抱負>酵素の構造と機 能の研究<趣味>twitter (@sugargroove)
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