2017年
12月
9日に上海・東華大学延安西
路キャンパス教研大楼において「海とみなと 第
2回・
日中学生フォーラム」が開催され、神
奈川大学では中国語学科の教員孫安石の他、降
旗千夏、村山朱音、菊地蘭丸(神奈川大学中国
語学科
3年生)の
3名が参加し、日本の神戸学
院大学の学生、上海の東華大学の学部生、大学
院生との友好交流を深める機会に恵まれた。プ
ログラムの詳細は、上記の【表1】を参考にし
てほしいが、以下、参加した
3名により、上海
での交流について感じたことをそれぞれ報告す
ることにしたい(編集者)。
「海とみなと・第2回日中学生フォーラム」
(横浜・神戸・上海 中日商埠 学生论坛) 日時:2017 年 12 月 9 日(土)14:00 ~ 18:00 場所:上海・東華大学延安西路キャンパス教研大楼 報告
(1)「『良友』と音楽楽譜の出版について」 孫安石(神奈川大学 教員)
(2)「上海を駆け抜けた神戸人―ジャーナリスト松本重治」 森平崇文(神戸学院大学 教員)
(3)「神戸・横浜の中華街」
久木田吉樹・谷川愛理・藤本彩(神戸学院大学 メディアコミュニケーション学部 学生)
(4)「神戸と山口組」長井孝一・劉子禎 (神戸学院大学メディアコミュニケーション学部 学生)
(5)「震災・女性・芸術―下町芸術祭紹介」片山晏里
(神戸学院大学 メディアコミュニケーション学部 学生)・森平崇文(神戸学院大学 教員)
(6)「神奈川大学中国語学科の小品・スピーチ大会・上海メディア撮影の紹介」
降旗千夏・村山朱音・菊地蘭丸 (神奈川大学 中国語学科 学生)
(7)「外灘の源と『外灘源』、『星外灘』」 張文佶・安萍・袁銘(東華大学大学院)
(8)「若き荷風と上海」 銭暁波(東華大学 教員)
講評 陳祖恩(東華大学 教員)
講評 大里浩秋(神奈川大学 名誉教授)
「海とみなと・第2回日中学生フォーラム」のポスター
「海とみなと・
第2回日中学生フォーラム」参加記
(2017年12月9日、上海・東華大学開催)
外国語学部 中国語学科 3 年
菊地 蘭丸
外国語学部 中国語学科 3 年
降旗 千夏
外国語学部 中国語学科 3 年
村山 朱音
「海とみなと・第 2 回日中学生フォーラム」のプログラム【表 1】
「海とみなと・第2回日中学生フォーラム」参加記
大 家 要 看 一 百 年 的 中 国 就 去 上 海
(もし、皆さんがここ百年間の中国を知りたければ、上海へ行くと良い)
外国語学部 中国語学科
3年降旗千夏
私が今回上海に訪れたのは2017年で2度
目の事でした。今回の目的として「海とみなと」
日中学生フォーラムが中国上海市にある東華大
学で開催されるので、それに参加してきました。
今年2度目の上海訪問で実際に感じたことを2
つ挙げていきたいと思います。
1つ目は学生フォーラムについてです。神奈
川大学、神戸学院大学、東華大学の学生と先生
方がそれぞれのテーマで発表をし、その中で私
は東華大学の学生さんが発表した『外灘の源と
「外灘源」「星外灘」』に興味を持ちました。今年
の
9月のゼミ合宿の際に、一度外灘源へ訪れた
ことがあります。そこは「中国の上海に来た!」
というよりもイギリスに来たかのような建物が
ずらりと並んでおり、とてもお洒落な雰囲気で
印象深かったです。外灘源とは外灘の原点であ
る旧英国領事館のエリアに位置し、上海租界の
源だと言われています。外灘と同じく歴史的建
造物が残っており、それらをリフォームし、美 術館やレストランなど今でも建物は使われてい
ます。例えば、新天地、思南公館、武康庭、老
碼頭などに多く存在します。中には7階+1階
の建物(哈密大楼)が存在し、8階部分は上海
の急速な人口増加に対する策として後から建て
られたものです。このように外灘源は租界文化
の影響を受けた上海がそのまま残されている場
所でした。
発表の中で港に関するものもありました。『老
碼頭』も昔の建築物をリフォームしたスポットだ
と知り、次の日に実際に訪れることにしました。
「碼頭」とは港であり、船着き場のことを指しま
す。『老碼頭』は昔の港の近くにある上海油脂工
場でした。今ではリフォームされ、レストランや
バー、イベントが開催されることもあります。上
海の街の中心地から離れているため、観光客は
あまり居なかったのですが、とても静かで異国情
緒を感じる場所でした。上海の賑やかさに圧倒
された時にはぴったりなスポットです。私が訪れ
たのは昼間でしたが、バーなどが多くあるため、
夜の方がもっと素敵なのかもしれません。
私たち神奈川大学はもともと中国語学科が毎
年開催している「小品」を上演するつもりでし
たが、ゼミ生の予定が合いませんでした。孫ゼ
ミからは3人しか行けなかったため、急遽、発 表内容を変えました。「スピーチコンテスト」に
ついては1位を取った菊地くんが本番さながら
のスピーチを発表してくれました。次に「小品」
についても1位を取ることができた孫ゼミの「赤
ずきん」を動画でお見せしようと思ったが、動
画の編集が間に合わなかったため、4年生の先
輩たちの赤ずきんと私たち孫ゼミの写真を少し
紹介しました。最後は夏に行われた孫ゼミの上
海合宿についてです。こちらも写真などを見せ 「老碼頭」の様子
活動内容を紹介しました。今年のテー
築でしたので、建築家ヒューデックの建
回りながら、撮影もしました。その内容
班で編集をし、DVD化します。今回は
がら時間があまりありませんでしたが、
機会があるのならば、DVDや資料を仕
目は上海の変化の速さについてです。前
に上海に訪れた目的はゼミ合宿でした。
建てられた高層ビル群、スマートフォン
支払いを済ませるWechatPay (バーコードを読み取るか、QRコードかざす
だけで支払いができます)。その他にもレンタル
自転車やデリバリー、どれも携帯一つで済みま
す。中国は凄い速さで変化していることを感じ
ました。しかし、これらはまだ外国人が使いこ
なすには少しハードルが高いです。私も今回上
海銀行で口座を開設し、キャッシュレスを実際
に体験したのですが、設定などに時間がかかり
ました。外国人もこの機能を使用できるように
なれば、便利度が増し、旅行の楽しみの一つに
なるかもしれないと思いました。
そして、今回の訪問では合宿で宿泊していた
ホテル付近の小さな店が何店舗も変わっていま
した。僅か3か月でこんなに変わってしまうこと
は日本では目にすることができないので新鮮で
した。何よりも、上海の変化の速さがこんな身
近でも実感できることが1番の衝撃でした。上
海には租界時代の建物を利用したリノベーショ
ンスポット多く存在します。上海に訪れた際に
こういったスポットに注目してみると、また違っ
た上海が見えてくるのかもしれません。中国の
国家主席である習近平はこんなことを言ってい
ました。「(中略)要看一百年的中国去上海」(も
し、皆さんがここ百年間の中国を知りたければ、
上海へ行くと良い。)まさにその通りだと思いま した。上海では今も近現代の発展の速さを身近
に感じることができます。何度も訪れたくなる
魅力が上海にはあると私は思いました。
上海の日中学生フォーラムに参加して 感じたこと
外国語学部 中国語学科
3年菊地蘭丸
成果報告
今回、2017年
12月
9日に開かれた日中交
流シンポジウムを通して思ったのが、この企画
外灘源の街並み
神戸学院大学の学生の発表の様子
る関帝廟は中華街だけではなく、他にも函館市
の中華会館や、和歌山県那智勝浦町、京都の福
知山市、大阪市、長崎市長福寺、長崎市興福寺、
沖縄の那覇市にまであるということに驚かされ
た。また日本以外にも韓国、ベトナム、マレー
シア、台湾とアジアを中心に関帝廟が建てられ
ており、それだけ当時の関帝廟の影響力が強かっ
たことを表しているのだと感じた。
また、その他にも日本と中国の関帝廟の違
いなどを細かく解説してくれた。このように中
華街で普段目にするがよく分かっていなかった
歴史的な背景を理解するためのとてもいい機会
であったと思う。
二回目の上海
今回のシンポジウムで、上海に来たのは合
計で二回目となった。初めて上海に来たのは
2017年の
9月の頭。それからおよそ三ヶ月
ぶりの上海ではあったが、正直そこまで懐かし
いという気持ちはなかった。
前回来たときは初の上海ということもあり、
かなり興奮した。特に私は以前福建省の厦門大
学で過ごしたことがあるのだが、街並みが向こ
うの都心部とは大きく異なり、同じ中国でもや
はりここまで違うのか、と思い知らされた。中 は大成功を納める事ができた、だった。名前に
ある通り、日中との交流や比較をテーマとした
今回のシンポジウムでは、日中の学校両方がしっ
かりと自身の決めたテーマを調べあげた上で発
表して下さり、とても興味深い時間を過ごすこ
とができた。
どれも非常に面白く、興味深い内容だったが、
その中でも特に聞いていて引き込まれたテーマ
があった。『神戸中華街と横浜中華街の関帝廟』
についてである。『神戸中華街と横浜中華街の関
帝廟』について。(神戸学院大学国際文化交流
学部中国語学科の谷川愛理さん発表)発表で
は、簡単に関帝廟とは何なのかを詳しく説明し
てくれた。関帝廟とは、関羽が奉られていると
ころであり、義侠心に厚い武将として名高く、
また三国志演義の逸話などから、民衆によって
様々な伝承や信仰が生まれ、信仰を高め、また
後の王朝によって神格化されていったことで有
名だという。
また、関羽は商売の神としても崇められてお
り、世界中に華僑が散らばっていったときに、
商売が繁盛する様にとその居住区に関帝廟を立
てた。そのため世界中の中華街などで関帝廟を
見ることが出来るという。
興味を持って調べてみると、なんと日本にあ でも百貨店などに入って見ると、日本と同じか、
下手をしたらそれ以上に綺麗な様子などにとて
も驚かされた。
しかしやはり二回目となると、知っていると
いうこともあり、前回ほどの衝撃と興奮はあま
りなかった。
その代わり、空港に降り立ち電車で人民広場
についてみると、見知っていることから来る安
心感のようなものが沸いてきた。近所とまでは
いかないが、それでもよく見知った町を気軽に
歩くような気持ちの楽さで散策できたし、その
分心に余裕を持って行動することも出来た。
前回は一週間の滞在期間だったが体感時間では
もっと長く、一ヶ月くらいいた気がした。逆に今
回は慣れのせいか、もちろん日本よりは長く感じ
たが、それでも前回ほど長くは感じなかった。
たった一回と二回の差なのに、こんなにも違
うのかと正直かなり驚いた。
他にも上海の地下鉄に乗っていて、思ったこ
とがあった。前回は考えてる余裕がなく、ただ
乗っているだけだった地下鉄だが、路線図を見
ていて、非常に多くの路線があることに気が付
いた。以前私が留学に行っていた厦門には地下
鉄といってもほとんどなく、路線の数もとても
少なく、二回目にして上海の交通の便利さに驚
「海とみなと・第2回日中学生フォーラム」参加記
降旗(左)と村山(右)の発表
撮影に訪れ、
12月の今回は中国の東華大学、日本
の神戸大学と神奈川大学の三校で行われる上海
学生フォーラムのために訪れることになった。
「海とみなと」がコンセプトであった今回は、
各校様々な海と港に関する発表を行っていた。
印象的に残った発表は、神戸大学による神戸と
横浜の中華街をテーマとした発表だ。同じ中華
街でも、やはりその場所によって、食べ物の歴
史があったりと、よく調べられていた。神戸で
は、肉まんとは呼ばず豚まんと呼ぶらしい。ま を交えての交流会であった。普段会うことのな
い神戸の中国語学科の学生と、現地の日本語学
科の大学院の学生と交流する機会は、大変有意
義なものになった。
初対面であり、特に日本人同士はなかなか何
を話していいのか分からなく、お互いに緊張し
ていたこともあり、最初は気まずい空気が充満
していて、幾度となく中国人の学生が助け船を
出してくれていた。少し盛り上がって、またそ
のあと沈黙して、を繰り返してしまい、彼らに
は申し訳ないことをしたと思っている。
とは言えそのあとお酒も入り、お互いに緊張
も解れたあとは、気兼ねなく話せるようになっ
たり、軽い冗談も言えるようにもなり、たった
一日だけではあったが、大きく仲を深められた
と思った。遠く離れた中国の上海で、このよう
に交流の機会を作ってくれた孫先生には大変感
謝をしている。
上海学生フォーラムに参加して
外国語学部 中国語学科
3年村山朱音
私が
2回目の上海へ行くのはそう時間がかから
なかった。
9月に孫ゼミでビデオプロジェクトの 今回の上海では前回同様、建築家ヒューデッ
海において設計した歴史的建造物などを再
することもでき、収穫も大きいと感じた。
会を通して
のシンポジウムの参加は、それぞれの発
いて収穫は大きく、私にとってとてもい
その他にもとてもよかっ
えたのは、シンポジウムを終えての食事
上海名物の焼き芋。日本の安納芋に当たりますが、甘くて美味しいです!!
発表のための打ち合わせです。
た中華街の目印となる門や関帝廟の歴史など、
横浜に住んでいてもあまり知らなかったことを
知ることが出来る良い機会であった。また今回
は取り上げられていなかったが、横浜中華街に
は神戸の中華街にはない媽祖廟や、みなとみら
いという観光スポットにあるからこそ、占いや、
横浜大世界、水族館など特有なエンターテイメ
ントも充実している。その様な場所の歴史を調 べるのも面白いかもしれない。
私達の参加は直前に決まった為、発表はギリ
ギリの準備になってしまった。本来ならば、孫
ゼミ全員で参加をし、私達が小品で優勝した赤
ずきんを演じたかったが、今回は全員での参加
ができなかった。
しかし、短い時間での準備でありながら、全
員で協力し、菊池さんのスピーチ大会のスピー
チを始め、孫先生を狼役に当てた赤ずきんを演
じるなど、工夫をした発表をすることができた。
中国語での翻訳が欲しいと開始一時間前に言わ
れ、ひやひやしながらみんなで台詞を考えたの
もいい思い出だ。私個人では、アドリブで伝え
たいことが伝えられた事、人前で自信を持って
話すことが出来たので、参加した事はいい経験
になったと思う。講演後の懇親会では、東華大
学と日本の学生だけで食事をする機会があった。
講演後すぐだった為なのか、お互いにあまり言
葉を交わすことがなく、静かな時間が進んでい
た。しかし、少しお酒が入るとやはり言葉を発
しやすくなり、みんなすぐに打ち解けることが
出来た。上海と神戸と横浜のそれぞれの違いを
話したり、学生ならではの恋愛事情や、アルバ
イトの話など、普段聴くことのない驚くような
情報もあったりと、とても楽しい時間を過ごす ことが出来た。
そしてある事にも気がついた、みんな緊張し
て言葉をあまり発さない中、東華大学の学生が
率先して質問を投げかけてくれたり、話題を提
示してくれていたのだ。私も積極的に応えるよ
うにしてみたが、やはり互いにどこかぎこちな
い、日本人はシャイな面があるのだろう。私も
自分から話題を投げかけたり、場を盛り上げ話
題を出す様な人になりたいと思った。
今回は私にとって二度目の上海であったが、
9月に来た時より余裕が出て来たのか、上海の
人たちの優しさに触れる事が多かった。
私はホテルの近くに売っている
3元の豆乳を
買うのが好きで、滞在中は毎日買っていた。
3
日目の朝、いつも通り豆乳を買いに行くと、豆
乳を下さいと言う前に、『豆乳でしょ?』と言わ
れた。移動の時も目が合うと笑顔で笑ってくれ
る。たった
3日間の一瞬買いに行っただけなの
に、少しでも覚えてくれていた事に驚いた。
違う店でも、
9月に訪れた時に、
饼(bing)
を友達と買いに行った時は、適当に振る舞われ
ていたが、今回自分で少し勇気を出して買って
みたら、『そのくらいの中国語が出来たら十分だ
よ』と言ってくれた。
面白かったのは、ある日の帰り道、中国のタ
「海とみなと・第2回日中学生フォーラム」参加記
タピオカは絶対お勧めです!!
ギリギリの参加の上海学生フォーラムであっ
たが、今回参加してみて、各校の発表を通し、
新しく気付かされた事や、自分の発表の経験を
積むことが出来て参加してよかった。また上海
という、私にはまだ慣れない地で、人の優しさ
にも触れることが出来るいいチャンスになった
と思う。また早く訪れたい。
夜遅くへホテルへ着いた時の事。
ター上がったばっかりだからこれは返して
るよ』と運転手さんが上がったメーターの
9月へ訪れたときは、
くにタクシーに乗って、距離が短いからと
りされたこともあったし、メーターが直前
がっても返してくれる事なんてなかった。
手前でメーター
めて、ホテルの入り口まで乗せて行ってく
運が良かっ
かとも考えるが、本当に人の優しさに触れ