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港湾財政と港湾整備特別会計の構造

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港湾財政と港湾整備特別会計の構造

澤 喜司郎

はじめに

 グローバル化の進展により地球規模での競争が激化する中で,国土交通省 は日本が国際競争力を維持・向上させるためには国際海上輸送においては多 頻度・高速化や,コスト削減など荷主の高度なニーズに対応した効率的な物 流サービスの提供が可能となるような基盤整備として,国際海運ネットワー クの拠点となる中枢国際港湾やこれを補完する地域の中核となる中核国際港 湾等においては大水深のコンテナターミナル等の整備を図る必要があるとし

ている。

 しかし,バブル経済の崩壊以降の景気低迷の中での積極的な財政出動や社 会資本整備の量的な拡大によって国も地方も財政状況が大幅に悪化し,投資 余力が減少した現在においては追加的な社会資本整備を目的とした財政出動 を検討する場合には,景気の動向のみならず財政状況などを踏まえた総合的 な判断が必要となってきている。そのため,社会資本整備においては従来に も増して重点化・効率化や,PFIの活用などによる民間投資の誘発が要請さ

れているのが現状である1)。

1)国土交通省(編集協力)『平成13年度国土交通白書』ぎょうせい,平成14年,31−2,

 111−2頁。

  また,財政調査会編纂『国の予算(平成14年度)』(はせ書房,平成15年)は,「わが  国の社会資本整備は,その本格的な着手が欧米先進諸国に比べてかなり遅れたことも  あり,この遅れを取り戻すため,戦後,一貫してこれらの国々に比べて積極的な公共  投資が行われてきた。…欧米先進諸国の公的固定資産形成のGDPに占める比率が徐々  に低下もしくは横ばいとなり,その水準も低い(約1〜3%)のに対し,わが国の水  準は一貫して高く(2000年度で5.1%),かつ,90年代前半には趨勢としてその差が広がっ  ている。これは,バブル崩壊後の累次の経済対策において公共投資の大幅な追加を行

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 本稿では,このような現状認識の下で大水深のコンテナダーミナルの整備 など公共事業として行われる港湾整備事業つまり港湾施設の建設等の港湾工 事における財政問題に焦点をあて,港湾整備事業における財政的な枠組みと 仕組み,その中核をなす港湾整備特別会計の意義と構造について若干の検討

を行うこととする2)3)。

 なお,平成14年度末をもって公共事業の個別分野ごとに長期計画の作成を 定めた社会資本整備関連の緊急措置法が廃止あるいは一部改正されるととも に,個別分野を網羅した「社会資本整備重点計画法」(平成15年法律第20号)

が施行され4),本稿に関連するものとしては「港湾整備緊急措置法」が廃止

  い,景気の下支えを図ったためであるが,他方,このように欧米先進諸国と比べて公  共投資の国民経済に占める比率が著しく高いことが,わが国の巨額の財政赤字の要因   の一つになっていることは否めないものと考えられる。これまでの社会資本整備の結  果…なお欧米先進諸国に比べて劣後していたり,国内において地域格差が存在する分  野が残されているものの…わが国の各種の社会資本の整備水準はかつてに比べ相当上  昇してきている。従って,今後の社会資本整備を考えるに当たってはこうした状況を  踏まえた上で,公共投資のあり方,重点配分の対象分野について議論を進めていくこ   とが必要となっている」(283,285頁)としている。

2)「社会資本」や「公共投資」という言葉に必ずしも明確な定義はないが,一般的に社会  資本とは「私的な動機による投資のみに委ねているときには,国民経済社会の必要性  から見て,その存在量が不足するかあるいは著しく不均衡になる等の好ましくない状  態におかれると考えられる性質を有する資本」とされ,この社会資本整備のための投  資のうち国や地方公共団体等の公的部門が行う投資が公共投資とされている。財政調  査会編纂,前掲書,285頁。

3)港湾整備の現状については,拙稿「港湾整備における重点化政策の現状」,『山口経済  学雑誌』第50巻第1号,2002年1月を参照されたい。

4)「社会資本整備重点計画法」は,「社会資本整備事業を重点的,効果的かつ効率的に推  進するため,社会資本整備重点計画の策定等の措置を講ずることにより,交通の安全  の確保とその円滑化,経済基盤の強化,生活環境の保全,都市環境の改善及び国土の  保全と開発を図り,もって国民経済の健全な発展及び国民生活の安定と向上に寄与す  ることを目的とする」(第1条)とし,「社会資本整備重点計画(以下「重点計画」と  いう。)は,これに基づき社会資本整備事業を重点的,効果的かつ効率的に実施するこ  とにより,国際競争力の強化等による経済社会の活力の向上及び持続的発展,豊かな  国民生活の実現及びその安全の確保,環境の保全(良好な環境の創出を含む。以下同  じ。)並びに自立的で個性豊かな地域社会の形成が図られるべきことを基本理念として  定めるものとする。重点計画は,社会資本整備事業の実施に関し,地方公共団体の自

(3)

され,「港湾整備特別会計法」が一一部改正されるなど,長期計画の策定方法 が大きく変更されたが,本稿は「港湾整備緊急措置法」の下での港湾整備事

主性及び自立性を尊重しつつ,適切な役割分担の下に国の責務が十分に果たされるこ ととなるよう定めるものとする。重点計画は,民間事業者の能力の活用及び財政資金 の効率的使用に配慮しつつ,社会資本の整備状況その他の地域の特性に応じた社会資 本整備事業が実施されるよう定めるものとする」(第3条)ことをその基本理念として

いる。

 なお,ここにいう「社会資本整備事業」とは,①道路法(昭和27年法律第180号)第 2条第1項に規定する道路の新設,改築,維持及び修繕に関する事業,②交通安全施 設等整備事業の推進に関する法律(昭和41年法律第45号)第2条第3項に規定する交 通安全施設等整備事業(同項第1号に掲げる事業に限る。),③鉄道事業法(昭和61年 法律第92号)第8条第1項に規定する鉄道施設(軌道法(大正10年法律第76号)によ

る軌道施設を含む。)の建設又は改良に関する事業,④空港整備法(昭和31年法律第 80号)第2条第1項に規定する空港その他の飛行場で公共の用に供されるもの(これ

らと併せて設置すべき政令で定める施設を含む。以下この号において「空港」という。)

の設置及び改良に関する事業並びに空港の周辺における航空機の騒音により生ずる障 害の防止等に関する事業,⑤港湾法(昭和25年法律第218号)第2条第5項に規定する 港湾施設の建設又は改良に関する事業及びこれらの事業以外の事業で港湾その他の海 域における汚泥その他公害の原因となる物質の積の排除,汚濁水の浄化その他の公害 防止のために行うもの並びに同条第8項に規定する開発保全航路の開発及び保全に関 する事業,⑥航路標識法(昭和24年法律第99号)第1条第2項に規定する航路標識の 整備に関する事業,⑦都市公園法(昭和31年法律第79号)第2条第1項に規定する都 市公園その他政令で定める公園又は緑地の新設又は改築に関する事業及び都市におけ る緑地の保全に関する事業,⑧下水道法(昭和33年法律第79号)第2条第3号に規定 する公共下水道,同条第四号に規定する流域下水道及び同条第5号に規定する都市下 水路の設置又は改築に関する事業,⑨河川法(昭和39年法律第167号)第3条第1項に 規定する河川(同法第百条の規定により同法の二級河川に関する規定が準用される河 川を含む。)に関する事業,⑩砂防法(明治30年法律第29号)第1条に規定する砂防設 備に関する事業,⑪地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第51条第1項第1号又

は第3号ロに規定する地すべり地域又はぼた山に関して同法第三条又は第四条の規定 によって指定された地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域における地すべり防止 工事又はぼた山崩壊防止工事に関する事業,⑫急傾斜地の崩壊による災害の防止に関 する法律(昭和44年法律第57号)第2条第3項に規定する急傾斜地崩壊防止工事に関 する事業,⑬海岸法(昭和31年法律第101号)第2条第1項に規定する海岸保全施設に 関する事業及び海岸環境の整備に関する事業,⑭前各号に掲げるもののほか,前各号 に掲げる事業と一体となってその効果を増大させるため実施される事務又は事業,を いう(第2条)。

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業における財政的な枠組みや仕組み等について,それを整理し記録する意味 から若干の検討を試みたものであることを予めお断りしておく。

1.港湾整備事業と事業主体

(1)港湾管理者と港湾工事

 わが国の港湾に関する基本法である「港湾法」(昭和25年法律第218号)は,

港務局または地方公共団体を港湾管理者と規定し,地方公共団体には「地方 自治法」第284条第2項もしくは第3項にいう普通地方自治体が設立する一

部事務組合と広域連合が含まれる。

 「港湾法」が規定する港湾管理者の業務には,港湾計画の作成や港湾区域 及びその管理する港湾施設の維持等とともに「港湾の開発,利用及び保全並 びに隣接する地域の保全のため必要な港湾施設の建設及び改良に関する港湾 工事」がある。ここにいう港湾施設とは水域施設(航路,泊地及び船だまり),

外郭施設(防波堤,護岸,堤防等),係留施設(岸壁,さん橋,物揚場等),

臨港交通施設(道路,駐車場,運河等),荷捌き施設(固定式・軌道走行式 荷役機械,荷捌き地及び上屋),旅客施設(旅客乗降用固定施設,手荷物取 扱所,待合所等)及び保管施設(倉庫,野積場,貯油施設等)等をいい,港 湾工事とは「港湾施設を建設し,改良し,維持し,または復旧する工事及び これらの工事以外の工事で港湾における汚泥その他公害の原因となる物質の 堆積の排除,汚濁水の浄化,漂流物の除去その他の港湾の保全のために行な

うもの」をいう。

 このように,「港湾法」は「アメリカにおけるポートオーソリティー制度 に倣い,地方自治を重視した港湾管理主体の設置等を柱とし」5)て,原則的 には港湾施設の建設及び維持・管理等を港湾管理者の業務とし,「ポートオー ソリティのような港務局による管理を期待しているが,ほとんど地方自治体

5)吉田昭二「港湾の管理運営制度に関する検討の方向性」,小林照夫・澤喜司郎・香川正  俊・吉岡秀輝編著『現代日本経済と港湾』成山堂書店,平成13年,58頁。

(5)

の管理に属している」6)のが現状である。

 他方で,「港湾法」は一定の重要な港湾施設の建設等の港湾工事について は国が事業主体となることを認めている。つまり,「港湾法」は「重要港湾 において一般交通の利便の増進,公害の発生の防止または環境の整備を図り,

避難港において一般交通の利便の増進を図るため必要がある場合において国 と港湾管理者の協議が調ったときは,国土交通大臣は,予算の範囲内で港湾 工事を自らすることができる」と規定している7)。

 そして,国が自ら行う港湾工事は直轄工事(直轄事業)と呼ばれ,この場 合には港湾管理者は工事費用の一部を負担しなければならず,その負担割合 は,たとえば国際海上輸送拠点として機能するために必要な施設で特定重要 港湾における水域施設,外郭施設もしくは係留施設等については3分の1,

重要港湾における水域施設,外郭施設,係留施設または臨港交通施設につい ては10分の4.5,避難港における水域施設または外郭施設については3分の

1,等々と定められている。

 なお,国有財産である港湾施設の財産管理については「国有財産法」(昭 和23年法律第73号)の特例法として「港湾法」が適用され,国は直轄工事に よって生じた土地・工作物を港湾管理者が負担した費用の額に相当する価額 の範囲内で無償で港湾管理者に譲渡することができ,また国は直轄工事によっ て生じた港湾施設(港湾の管理運営に必要な土地を含む)を港湾管理者に貸

し付けるか,あるいは管理を委託しなければならず,港湾管理者が管理する

6)財政調査会編纂,前掲書,547頁。

7)国が予算の範囲内で自らすることができる港湾工事について,「港湾法」は重要港湾が  国際海上輸送網または国内海上輸送網の拠点として機能するために必要な水域施設,

 外郭施設,係留施設または臨港交通施設等の港湾工事,重要港湾が国際海上輸送網ま  たは国内海上輸送網の拠点としての機能を発揮するために必要な港湾公害防止施設,

 港湾環境整備施設,廃棄物埋立護岸または海洋性廃棄物処理施設等のうち大規模な港  湾工事,避難港の水域施設または外郭施設のうち大規模な港湾工事,高度の技術を必  要とするものその他港湾管理者が自らすることが困難である港湾工事,と規定してい  る。このことから明らかなように,地方港湾の整備は北海道の特例を除きすべて補助  事業とされている。

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こととなった港湾施設については港湾管理者がその管理費用を負担しなけれ ばならないが,当該施設の使用料及び賃貸料は港湾管理者の収入となる。

(2)港湾整備事業主体としての公社と株式会社

 「港湾法」は,前述のように港湾施設の建設等の港湾工事つまり港湾整備 事業の事業主体を基本的には港湾管理者及び国と定めているが,それ以外に

も港湾整備事業を自ら行うことができるものも存在する。

 それは「外貿埠頭公団の解散及び業務の継承に関する法律」(昭和56年法 律第28号)に基づいて京浜外貿埠頭公団及び阪神外貿埠頭公団の一切の権利 と義務を継承し,港湾管理者が設立した財団法人で運輸大臣が指定するもの

(以下,指定法人という)であり,働東京港埠頭公社,働横浜港埠頭公社,

㈲大阪港埠頭公社及び働神戸港埠頭公社がそれである。これらの指定法人は

「旧公団法第2条に規定する外貿埠頭の建設並びに貸付け及び改良,維持,

災害復旧その他の管理を行うことを目的とするもの」で,たとえば働神戸港 埠頭公社は外貿埠頭及びフェリー埠頭の建設・貸付・維持管理,外貿埠頭及 びフェリー埠頭に関連する施設の建設及び維持管理を業務とし,財務的には 埠頭の建設・改善に要する資金は国(港湾整備特別会計)及び港湾管理者

(神戸市)からの無利子借入金並びに港湾管理者からの特別転貸借債借入金 及び公社債の発行または借受者等からの借入金によって調達し,その償還は 埠頭の貸付料によっている8)。

 他方,株式会社等の民間事業者も港湾整備事業の事業主体となることがで き,たとえば「民間都市開発の推進に関する特別措置法」(昭和62年法律第

8)これらの公社と同様に,「広域臨海環境整備センター法」(昭和56年法律第76号)によ  り設立が認可された広域臨海環境整備センターは,港湾管理者の委託を受けての「港  湾法」に規定する廃棄物埋立護岸の建設及び改良,維持その他の管理,地方公共団体  の委託を受けての港湾区域内に設置される「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭  和45年法律第137号)に規定する一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場  の建設及び改良,維持その他の管理等をその業務とし,同センターも港湾整備事業の  事業主体となる。

(7)

62号)は民間事業者が「都市における土地の合理的かつ健全な利用及び都市 機能の増進に寄与する建築物及びその敷地の整備に関する事業のうち水域施 設,外郭施設及び係留施設等の公共の用に供する施設の整備を伴うもの」

(民間都市開発事業)を行うことを認めている。なお,国は民間都市開発事 業の推進を目的として設立された財団法人を民間都市開発推進機構として指 定することができ,指定された民間都市開発推進機構は「民間都市開発事業 のうち地域社会における都市の健全な発展を図る上でその事業を推進するこ

とが特に有効な地域として政令で定める地域において施行されるもの」(特 定民間都市開発事業)の施行に要する費用の一部を負担して当該事業に参加 することや,同事業を施行する者に対して当該事業の施行に要する費用に充 てるための長期かつ低利の資金を融資することをその業務とし,政府はその 業務に要する資金のうち政令で定める港湾施設の整備に関する費用に充てる べきものの一部を同機構に対して無利子で貸し付けることができる。

 また「民間資金等の活用による公共施設等の整備の促進に関する法律

(PFI法)」(平成11年法律第117号)は,港湾管理者が選定した公共施設を建 設する等の特定事業を港湾管理者によって選定された民間事業者が行うこと

を認め,特に公共性が高いと認めるものに係る資金について国は予算の範囲 内で民間事業者に無利子で貸付を行うことができるとしている。

 そして,このような民間事業者等への資金の貸付については「港湾法」で も,国は重要港湾の港湾管理者が港湾管理者以外の者(国を除く)で国土交 通大臣が政令で定める基準に適合すると認める者に対し特定用途港湾施設の 建設または改良に要する費用に充てる資金を無利子で貸し付けることができ ると規定している。なお,ここにいう特定用途港湾施設とは政令で定める用 途に供する岸壁または桟橋及びこれに附帯する政令で定める荷捌き施設その 他の港湾施設で,港湾計画においてその建設または改良に関する計画が定め

られたものである9)。

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一一一 46−(146) 山口経済学雑誌 第52巻 第2号

ll.港湾整備事業の財政的枠組みと仕組み

(1)港湾財政の枠組みと法的構造

 国が港湾工事(直轄工事)を自ら行う場合には,それは国の港湾への直接 的な財政支出(歳出)を意味するが,国の港湾への財政支出は直轄工事だけ ではなく,港湾管理者が行う港湾工事に対する国の費用負担(国庫負担)と いう形態での間接的な財政支出もある。つまり,「港湾法」は「港湾管理者 が重要港湾において一般公衆の利便に供する目的で水域施設,外郭施設また は係留施設の建設・改良重要な工事をする場合」及び「港湾管理者が避難港 において水域施設または外郭施設の建設・改良の工事をする場合」には,そ の工事に要する費用は国と港湾管理者がそれぞれ10分の5を負担すると規定 している。ただし,国が負担するのは港湾管理者が予め国土交通大臣に申し 出て国会の議決を経た予算に組み入れられている場合に限られる。

 また,国の港湾への間接的な財政支出には港湾管理者が行う港湾工事の費 用に対して国が財政的に補助するという形態での財政支出もあり,「港湾法」

は「国は特に必要があると認めるときは,予算の範囲内で一般公衆の利用に 供する目的で港湾管理者のする港湾工事の費用に対し補助することができる」

と規定し,その補助の基準を,たとえば重要港湾における水域施設,外郭施 設または係留施設のうち小規模なものの建設・改良工事については10分の4 以内,重要港湾における臨港交通施設の建設・改良工事については10分の5 以内,地方港湾における水域施設,外郭施設,係留施設または臨港交通施設 の建設・改良工事については10分の4以内,等々と定めている1°)。

 このように,港湾管理者の行う港湾工事に対して国が費用負担し,または 国が補助する港湾工事が補助工事(補助事業〉と呼ばれ,港湾管理者は国が

9)「港湾整備促進法」(昭和28年法律第170号)は,重要港湾またはその整備を促進するこ  とが著しく国民経済の発展もしくは国土の開発に寄与すると認められる地方港湾であっ  て政令で定めるものにおいて港湾管理者が国において承認された特定港湾施設整備事  業(荷さばき施設や貯木場の建設・改良又は復旧等の工事)を行う場合には,国は当  該事業に要する費用に充てるための資金の融通を斡旋すると規定している。

(9)

工事費用を負担・補助した港湾施設を譲渡し,担保に供し,もしくは貸付を 行うときは国の認可を受けなければならないが,ただし国が負担・補助した 金額に相当する金額を国に返還した場合,または貸付を受けた者がその物を

般公衆の利用に供し,かつその貸付期間が3年以内である場合には国の認 可を必要としない。

 他方,港湾に関する直接的な財政収入(歳入)については,前述のように,

直轄工事において港湾管理者が負担する費用は負担金として国の歳入となる が,これ以外にも港湾工事によって受益を受ける者が負担する工事費用や徴 収される特別利用料も歳入となる。たとえば,「港湾法」は「港湾工事によっ て著しく利益を受ける者があるときは,港湾管理者はその利益を受ける限度 において,その港湾工事の費用の一部を負担させることができる」と規定し,

「企業合理化促進法」(昭和27年法律第5号)は工業や運輸業等の事業者は企 業の合理化に資するために必要な港湾施設の建設,改良,維持または復旧を 港湾管理者に申請することができ,港湾管理者は必要があると認めたときは

「港湾法」の定めるところによりその工事を行い,また国は必要があると認 めるときはその工事を「港湾法」または「沖縄振興特別措置法」(平成14年 法律第14号)の定めるところにより自ら行い,いずれの場合にも事業者にそ の受益の限度において工事費用の一部を負担させることができると規定して

いる。

 また「特定港湾施設整備特別措置法」(昭和34年法律第67号)は,「政令で 定める港湾の水域施設,外郭施設または係留施設で政令で定めるものの建設

または改良工事で港湾法等の規定により国が施行するもの」(特定港湾施設 10)国庫負担・補助率は,重要港湾,地方港湾等の港格別,施設の種類別に異なって定め   られている。また,北海道,離島,奄美及び沖縄については直轄工事における港湾管  理者の負担割合や補助事業における国の補助割合の特例を設けており,それを定めた  法律には「北海道開発のためにする港湾工事に関する法律」(昭和26年法律第13号),

  「離島振興法」(昭和28年法律第72号),「奄美群島振興開発特別措置法」(昭和29年法律  第89号),「特定港湾施設整備特別措置法」(昭和34年法律第67号),「〔旧〕沖縄振興開  発特別措置法(抄)」(昭和46年法律第131号),「沖縄振興特別措置法」(平成14年法律  第14号)がある。

(10)

48−(148) 山口経済学雑誌 第52巻 第2号

工事)においては,港湾管理者が負担する負担金のうち当該工事に要する額 の10分の2 (北海道及び沖縄県の港湾については10分の1)に相当する部分 の財源に充てるために特別利用料を徴収すると規定している。

(2)港湾整備事業の予算と仕組み

 港湾整備事業の緊急かつ計画的な実施を促進するため「港湾整備緊急措置 法」(昭和36年法律第24号)が制定され,同法には国は政令で定める審議会 の意見を聴いて五箇年間において実施すべき港湾整備事業に関する港湾整備 五箇年計画案を作成して閣議の決定を求め,政府はこの港湾整備五箇年計画

を実施するために必要な措置を講ずるものとすると規定されているll)。なお,

ここにいう港湾整備事業とは港湾の建設または改良事業及びこれらの事業以 外の事業で港湾その他の海域における汚泥その他公害の原因となる物質の堆 積の排除,汚濁水の浄化その他の公害防止のために行うものであって,国及 び港湾管理者が施行し,これに要する費用の全部または一部を国が負担しま たは補助する事業等をいう。

 そして,この港湾整備五箇年計画が閣議決定されると,それは予算要求の 基礎となり,予算要求はこの港湾整備五箇年計画に基づいてなされ12),同五 箇年計画の実施に伴い国が施行する港湾整備事業に関する政府の経理を明確 にするために設置されたのが港湾整備特別会計である。詳しくは後述するが,

11)「社会資本整備重点計画法」は,主務大臣等(国家公安委員会,農林水産大臣及び国土   交通大臣)は政令で定めるところにより重点計画の案を作成し,閣議の決定を求めな   ければならないとし,重点計画には①計画期間における社会資本整備事業の実施に関   する重点目標,②前号の重点目標の達成のため,計画期間において効果的かつ効率的   に実施すべき社会資本整備事業の概要,③地域住民等の理解と協力の確保,事業相互   間の連携の確保,既存の社会資本の有効活用,公共工事の入札及び契約の改善,技術   開発等による費用の縮減その他社会資本整備事業を効果的かつ効率的に実施するため   の措置に関する事項,④その他社会資本整備事業の重点的,効果的かつ効率的な実施   に関し必要な事項,を定めなければならないとし(第4条),「政府は,この法律及び   他の法律で定めるもののほか,重点計画を実施するために必要な措置を講ずるものと   する」(第8条)としている。

12)住田正二『お役人の無駄遣い』読売新聞社,1998年,ll1−2頁。

(11)

特別会計の設置は「財政法」(昭和22年法律第34号)に規定され,そこでは

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の資金を保有してその運用を行う場合,その他特定の歳入をもって特定の歳 出に充て一般の会計の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り,

法律をもって特別会計を設置する」としている13)。

 なお,港湾整備事業における計画は港湾管理者が策定する「港湾計画」,

国土交通大臣の案に基づき閣議決定される「港湾整備五箇年計画」,国土交 通省港湾局が取りまとめる「長期港湾政策」に区分することができ,このう

ち基本となるのが「港湾計画」である。港湾計画は「港湾法」により重要港 湾の港湾管理者に策定が義務づけられ,港湾管理者が主体となって策定する ものであるが,国として港湾行政の整合性を確保するために国土交通大臣の 定める「港湾の開発,利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本 方針」及び「港湾計画の基本的な事項に関する基準を定める省令」に適合し

たものでなければならないと「港湾法」は規定している。

 さて,港湾整備五箇年計画に基づいて要求された港湾事業費は一般会計の 公共事業関係費の中の港湾空港鉄道等整備事業費に計上され,たとえば平成 14年度を最終年とする第9次港湾整備七箇年計画に基づき平成14年度一般会 計予算に計上された港湾事業費をみると,図1に示されるように,所管別予 算では内閣府が307億円,国土交通省が2,782億円であり,計3,089億円が港湾

13)港湾整備五箇年計画のような公共事業関係長期計画には平成14年度現在,治水,治山,

 海岸,道路,空港など港湾を含めて15の長期計画があり,社会資本整備はそれぞれの  公共事業関係長期計画等にしたがって進められ,また特別会計の数や内容は年度とと   もに変遷してきているが,平成14年度現在,道路整備特別会計,空港整備特別会計,

 国民年金特別会計,産業投資特別会計など港湾整備特別会計を含めて37の特別会計が  設置されている。加藤治彦編『図説日本の財政(平成14年度版)』東洋経済新報社,

 2002年,72−3,198頁を参照。また,特別会計は事業の種類によって,事業特別会計,

  資金運用特別会計,整理区分特別会計に分類され,事業特別会計はさらに企業特別会   計,保険事業特別会計,公共事業特別会計,融資事業特別会計,行政的事業特別会計   に再分類される。大場貴代「特別会計等財務書類作成ガイドラインと港湾整備特別会   計」『港湾経済研究』No.41,2003年,113頁。

(12)

50−(150) 山口経済学雑誌 第52巻 第2号

産業投資特別会計への繰入

       1,455

    食料安定供給関係費

         7,297

     エネルギー対策費

      5,694

      中小企業対策費

      1β61          経済協力費        8,566

   公共事業関係費

       84, 239

     防衛関係費

       49,560

  地方特例交付金

      9,036

   地方交付税交付金ノ

      161,080

       恩給関係費        12727

その他の事項経費

  5q781

予備費

3,500

   森林水産・…備事業1「災喜復1蟹舞水対購費

農業農村整備事業費

i::…熱

保障関係費

182,795

文教及び科学振興費

     66998

国債費

166,71 2

図1 平成14年度一般会計予算の構造と港湾事業費(単位:億円)

(13)

事業費として一般会計に計上されている14)。このうち一般会計で支出される のは港湾整備関係工事諸費等62億円(内訳:北海道港湾事業工事諸費52億円,

沖縄港湾事業工事諸費7億円,港湾利用高度化拠点施設緊急整備事業費補助 4億円)であり,残りの3,027億円は港湾整備特別会計に繰り入れられてい る。つまり,一般会計と特別会計の関係についていえば,一般会計は国の基 本的経費を賄うもので,所得税や法人税等をその財源としているが,揮発油 税のような目的税は一般会計の歳入とはならず特別会計の歳入となり,また

般会計に計上された予算の中にも一般会計から特別会計へ繰り入れられる ものもある。港湾については,上述のように一般会計に計上された港湾事業 費のほとんどが港湾整備特別会計に繰り入れられている15>。

皿.港湾整備特別会計の意義と構造

(1)港湾整備特別会計の意義

港湾整備特別会計は,港湾整備五箇年計画の実施に伴い国が施行する港湾

14)第9次港湾整備七箇年計画(平成8〜14年度)は,国際化への対応や高コスト構造是   正といった経済構造改革や国民生活の質の向上等,昨今の港湾を取りまく喫緊の課題   に対応するため,以下に記す3つの目標と6つの施策を掲げ,港湾整備事業を緊急か   つ計画的に実施することを目的として平成8年12月13日に閣議決定された。なお,港   湾整備計画は当初は五箇年計画であったが,「財政構造改革の推進に関する特別措置法」

  (平成9年法律第109号)第15条第1項の規定に基づく2年間の期間延長が平成9年   12月12日に閣議決定され,第9次港湾整備計画の計画期間の終了は平成14年度末とさ   れたのである。そして,3つの目標と6つの施策とは,目標1:国際競争力を有する   物流ネットワークの形成(施策①国際海運ネットワークにおける拠点形成,②複合一   貫輸送等に対応した国内物流基地の充実),目標2:信頼性の高い空間の創造(施策①   災害に強い港湾システムの構築,②海上交通の安定性の向上),目標3:活力に満ちた   地域づくりの推進(施策①地域の活力を支える豊かな港湾空間の創造,②良好な港湾   環境の形成)であり,その投資規模を示せば,港湾整備事業が4兆3,100億円,災害関   連事業・地方単独事業が6,800億円,港湾機能施設整備事業等が1兆4,000億円,調整費   が1兆1,000億円,計7兆4,900億円である。財政調査会編纂,前掲書,547−8頁。

15)予算の仕組み等については,片山泰輔編著『図解国家予算の仕組み』東洋経済新報社,

  2001年が分かりやすい。

(14)

52−(152) 山口経済学雑誌 第52巻 第2号

整備事業に関する政府の経理を明確にするために「港湾整備特別会計法」

(昭和36年法律第25号)に基づいて設置された特別会計で16),この会計が経 理するものは港湾整備五箇年計画(第9次については七箇年計画)の実施に 伴うもののほか,港湾整備関係受託工事(直轄港湾整備事業に密接に関連の

ある工事等で国が委託に基づき施行するもの),特定港湾施設関係受託工事

(特定港湾施設工事等に密接に関連のある工事で国が委託に基づき施行する もの),一般会計所属港湾関係工事の管理,空港整備特別会計所属空港関係 工事の管理,港湾整備事業で港湾管理者が施行するもの等に係る負担金また

は補助金の交付,港湾整備事業に係る貸付であり,国土交通大臣によって管 理される。

 そして,港湾整備特別会計は港湾整備勘定と特定港湾施設工事勘定に区分 され,後者の特定港湾施設工事勘定は「特定の企業が特に利益を受けるよう な港湾施設の整備を国の直轄事業として行う場合に経理するもので,この場 合は,当該受益者から受益者負担金または特別利用料を徴収するので,この 関係の事業(エネルギー港湾,鉄鋼港湾,物資別専門港湾)を他の一般事業

(港湾整備勘定で経理する。)と区分整理する必要があるため別勘定としてい

る」】7>のである。

 港湾整備勘定は,一般会計,空港整備特別会計及び特定港湾施設工事勘定 からの繰入金,直轄港湾整備事業に係る負担金,港湾整備関係受託工事に係 る納付金及び貸付金の償還金等をもって歳入とし,直轄港湾整備事業及び港 湾整備関係受託工事に関する費用,一般会計所属港湾関係工事,空港整備特 別会計所属空港関係工事,特定港湾施設工事等及び特定港湾施設関係受託工 事に関する事務費,港湾整備事業で港湾管理者が施行するもの等に係る負担 金及び補助金,貸付金及び一般会計への繰入金をもって歳出としている。他

16)港湾整備特別会計は,昭和36年に策定された港湾整備五箇年計画を的確に実施するた  め,昭和36年度に旧特定港湾施設工事特別会計を吸収して新設されたものである。財  政調査会編纂,前掲書,546頁。

17)財政調査会編纂,前掲書,547頁。

(15)

方,特定港湾施設工事勘定は一般会計からの繰入金,特定港湾施設工事等に 係る負担金及び特定港湾施設関係受託工事に係る納付金等をもって歳入とし,

特定港湾施設工事等及び特定港湾施設関係受託工事に関する費用,同工事に 関する事務費の額に相当する金額の港湾整備勘定への繰入金及び一般会計へ の繰入金をもって歳出としている。

 また,一般会計からの繰り入れについては直轄港湾整備事業に関する費用 で国庫が負担するもの,一般会計所属港湾関係工事に関する事務費,港湾整 備事業で港湾管理者が施行するものに係る負担金及び補助金,それに貸付金 の額に相当する金額が毎会計年度一般会計から港湾整備勘定に繰り入れられ,

特定港湾施設工事等に関する費用で国庫が負担するものの額に相当する金額 は毎会計年度一般会計から特定港湾施設工事勘定に繰り入れられる。他方,

港湾整備関係受託工事及び特定港湾施設関係受託工事に係る納付金のうち,

般会計において支弁した政令で定める経費の額に相当する金額は当該納付 金を収納した年度内において港湾整備関係受託工事に係るものについては港 湾整備勘定から,特定港湾施設関係受託工事に係るものについては特定港湾 施設工事勘定から一般会計にそれぞれ繰り入れられる。

 なお,国土交通大臣は毎会計年度この会計の歳入歳出予定計算書等及び歳 入歳出決定計算書を作成して財務大臣に送付し,内閣は毎会計年度この会計 の予算を作成し,一般会計の予算とともに国会に提出しなければならない。

(2)港湾整備特別会計の構造

港湾整備特別会計の平成14年度予算科目表は以下に示されるとおりであ り18),その歳入は「国が直轄で行う事業に充てるために必要な財源及び国が

18)平成14年度港湾整備特別会計予算の内容については「物流の効率化,国民生活の質の  向上に資するため,中枢・中核国際港湾における国際海上コンテナターミナルの整備,

 深刻な廃棄物処理問題に対応するための廃棄物海面処分場の整備を最重点施策として  推進するとともに,投資の重点化,既存ストックの有効活用,他施策・事業との連携  等の施策を講じ,効率的・効果的な事業実施を図っている」(財政調査会編纂,前掲書,

 550頁)とされている。

(16)

54−(154) 山口経済学雑誌 第52巻 第2号

管理者に補助するために必要な財源で」19),港湾整備勘定には一般会計から の繰入以外に産業投資特別会計社会資本整備勘定と空港整備特別会計からの 繰入がある。つまり,北海道港湾事業工事諸費及び沖縄港湾事業工事諸費は 前述のように一・般会計で経理されるが,空港整備特別会計で経理される東京 及び大阪空港以外の空港に関する工事諸費はこの特別会計で経理されるため,

空港整備特別会計からの繰入がある2°)。そして,港湾整備勘定については一 般会計からの繰入が歳入の4分の3を占めていることから,港湾整備事業は

般会計予算規模に大きく制約されることになる。

 他方,歳出についてみると,港湾整備勘定では北海道,離島及び沖縄の港 湾事業費が全体の約3割,それ以外(内地)の港湾事業費が全体の約6割弱

を占めている。そして,これらの港湾事業費の事業内容別配分をみると,直 轄港湾改修費が68.6%,港湾改修費補助が18.8%,その他補助(港湾環境整 備事業費補助等)が10.6%,その他(作業船整備費・港湾事業調査費)が 2.0%と,直轄港湾改修費が港湾事業費の3分の2を占め,この直轄港湾改 修費及び港湾改修費補助の港湾別配分をみると,特定重要港湾が46.6%,重 要港湾が36.1%,地方港湾が4.0%,避難港が1.7%である。

 その他補助には港湾環境整備事業費補助,廃棄物処理施設整備事業費補助 等があり,前者は港湾環境の保全に資するための事業で,埠頭における緑地 等の整備のための緑地等施設整備事業と海域環境の改善や海域空間の創出を 図るための海域環境創造等事業及び廃棄物埋立護岸事業(北海道,離島,沖 縄)に対する補助,後者は廃棄物を埋立処分するための護岸の整備及び船舶 等から発生する廃棄物を処理するための焼却施設等を整備する廃棄物埋立護 岸等事業と船舶の油による海洋の汚染を防止するための施設整備を行う海水 油濁防止施設整備事業に対する補助である。

 貸付金には,埠頭整備資金貸付金と港湾開発資金貸付金がある。前者は,

重要港湾において港湾管理者以外の公社あるいは株式会社が埠頭の整備を実

19)財政調査会編纂,前掲書,547頁。

20)同上,549頁。

(17)

表1 平成14年度の港湾整備特別会計予算科目表 (単位:百万円)

港湾整備

勘   定

特定港湾施

設工事勘定

(歳入)

般会計 299,879 3,543 303,422

産業投資特別会計 800 0 800

空港整備特別会計 1,224 0 1,224

特定港湾施設工事勘定より受入 779 0 779

港湾管理者工事費負担金 69,736 2,247 71,983

受益者工事費負担金 5,800 5,860

埠頭整備資金等貸付金償還金 3,108 3,108

港湾開発資金貸付金償還金 214 214

収益回収公共事業資金貸付金償還金 3,087 3,087

受託工事納付金 16,560 16,560

前年度剰余金 2,404 113 2,517

雑収入 661 6 667

歳入合計 398,463 11,709 410,172

(歳出)

港湾事業費 232,635 232,635

北海道港湾事業費 55,051 55,051

離島港湾事業費 31,591 31,591

沖縄港湾事業費 31,037 31,037

埠頭整備資金貸付金 4,027 4,027

港湾開発資金貸付金 800 800

エネルギー港湾施設工事費 10,830 10,830

港湾事業等工事諸費 23,791 23,791

受託工事費 15,444 15,444

産業投資特別会計への繰入 3,087 3,087

工事諸費港湾整備勘定への繰入 779 779

予備費 1,000 100 1,100

歳出合計 398,463 11,709 410,172

施する場合,一定の要件の下で無利子貸付を行うもので,前述の4つの指定 法人(公社)が行う外貿埠頭の整備,PFI法に基づく民間事業者が行う公共 荷捌き施設等の整備に要する資金である。後者の港湾開発資金貸付金は,地 方都市等において民間都市開発プロジェクトの促進を図るために国土交通省

が設立する民間都市開発推進機構に無利子貸付を行うものである。

 また,特定港湾施設工事勘定のエネルギー港湾施設工事費は,受益者負担 金または特別利用料を徴収して国が実施するエネルギー港湾の整備事業費で

(18)

56−(156) 山口経済学雑誌 第52巻 第2号

あり,エネルギー港湾のほか鉄鋼港湾と物資別専門港湾の施設工事費が科目 としてあるが,平成14年度予算には計上されていない21)。

おわりに

 「港湾法」は,港湾の管理・運営については地方自治を重視した港湾管理 主体の設置を規定しているが,港湾計画の策定とともに港湾整備事業つまり 港湾施設の建設等の港湾工事については国が直轄事業や補助事業を通して主 体的かつ主導的な役割を果たし,その財源を一般会計に大きく依存している。

そのため,毎年の財政赤字の累積により債務残高が増加し,また少子・高齢 化の急速な進展に伴って経費が増大するなど,財政を取り巻く環境がますま す厳しさを増してきている状況のもとでは,財政的には港湾整備においても 従来にも増して重点化・効率化や,PFIの活用などによる民間投資の誘発が 要請されることになり,同時に個々の港湾工事等の個別公共事業の評価を含 む政策評価はますます重要なものになる22)。

 また,公会計改革の一環として財政制度等審議会は特別会計の財務書類の 作成方法について検討を始め,平成14年10月に「特別会計における新たな財 務書類の作成に係る中間とりまとめ(試作基準)」を公表していることから,

個々の港湾整備事業の評価とともに,財政的な視点から直轄工事量や費用負 担・補助のあり方などを総合的に検証することも必要であり,その意味で今 後は港湾整備特別会計の財政分析(企業会計でいう財務分析)が必要となっ てくるであろう。

21)同上,550−5頁。

22)港湾整備の制度は「地方分権的であり,かつ計画制度の法的制度化が進んでいる点を   もって,ある意味では公共事業制度の先駆的モデルと評価することができよう。本来   このような制度の下で策定される港湾計画は実効性に優れていると考えられるが,現  実には…他の公共事業分野と比較して,必ずしも計画の実効性に優れているとはいえ  ない」(柳瀬太郎「港湾整備事業における実効的計画の策定に関する考察」「会計検査  研究』No,22,2000年9月,101−2頁)という指摘もある。

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