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物価上昇時における所得税の

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Academic year: 2025

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(1)

物価上昇時における所得税の

所得分布に及ぼす影響について(*)

〔1〕 序

〔n〕 平均税率による定式化

〔皿〕 平均税率関数による定式化

〔w〕 結 論

〔1〕序

 通常,所得税制は累進税であり,そして名目所得額に課税するという制 度になっている。このため,物価上昇時に所得税制を固定したままにして おくと,個々人(1)の名目所得が物価上昇率と同じ率でしか上昇しない場合・

すなわち,実質所得が変化しない場合にも・実質的な税負担は増加するこ とになる(2)。このような時,所得分配(size distribution)(3)1こどのよう な影響が及ぼされるかという分配の問題については・今迄あまり厳密には 検討されてこなかった。

(*) 本稿の作成に際しては,高山憲之氏(武蔵大学)に負うところ大である。 二        〇   記して謝意を表したい。

(1)本稿を通じて個人所得税を考察の対象とする。

(2) 例えばL.Johansenの定式化を引用している宇田川〔6〕を参照。

(3)本稿では,所得分配といっても,もっぱら人的分配(size distribution)

  について論じるので,以後は所得分布と呼ぶことにする。

       _ 1一

(2)

 例えば貝塚〔2〕(P.207)によれば,『インフレーションが進行した 場合,もし所得税制が完全に固定されていたとすれば税引き後の所得分布 にどのような結果が生ずるであろうか。すべての人々の名目所得が均一の 率で上昇するのであるから,人々はそれぞれより高い名目所得の階層に移 動することになり,より重い税率の適用を受けるはずである。結果的には もっとも高い税率の適用を受ける階層の税率は不変で,この階層の占める 比重は増加する。したがって税引き後の所得分布は不平等化することにな

ろう。』と記述されている。

 この命題には,その当否を検討するうえで重大な問題点がある。それは,

どういう基準で判定して不平等化しているのかについては何も記述されて いないという点である。もし不変な最高税率の適用を受ける階層の占める 比重が増加することを不平等化すると呼んでいるのであれば,この命題は 同義反復であって,言葉の言い替えにすぎなくなってしまう。恐らく,暗 黙のうちに不平等度を比較するための判定基準を導入しているものと考え

られる。

 本稿では,所得分布の不平等度を比較するための判定基準を明確に導入 して,まず,この貝塚氏の命題を検討することにす登。次いで,より形式 的に,微分可能な平均税率関数の場合で・累進構造をもつ所得税制は物価 上昇時に所得分布を不平等化するかどうかについて検討することにしょう。

これらの問題は高山〔4〕でも議論されているが,現在のところ未公刊の 段階であるので,言及することは遅けることにしたい㈲。

      〔E〕 平均税率による定式化

一  最初に,所得分布の不平等度比較の基準を明示しておくことにしょう。

  本稿では,不平等度を比較する方法として最もポピュラーなローレンツ曲   線によるものを用いることにする。ローレンツ曲線による判定基準(L.C.)

(4)本稿での定式化は基本的には,高山〔4〕と同じものである。

       一2一

(3)

はそれほど無理のないリーズナブノレな特酸もっている・しかしながら・

問題点はある。注意すべき主要点は次の2っである。

第、点は,。一レンツ曲線が交叉するような所得分布間の不平等度の比 較ができないということである(5)。従って・すべての所得分布の不轄度

を比較できるわけではないということになる。

第2点は,よ暉勲ことである。それは・比較的最近・Atkinson〔1〕

によって,ローレンツ曲線で所得分布がより平等であるということと,

additiveでseparableな凹関数を用いた社会厚生関数の値がより大きい ということとが同等であることが明らカ・にされたという点である・すなわ ち,従来・ルンツ曲線による不平等度の比較dまそれほど強ヤ 価値判断 が入ってv・なV・ものと考えられてきたのであるが・それがBentham流 の個々人の効用の総和によ砒較と同じことにすぎないとヤ うことが示さ

れたというわけである。

以上のような問題点はあるものの,所得分布の全階層についての不平等 度を比較する場合,一鮒には・一レンツ曲線による判定基準が・現段階 のところ,最もリーズナブルなものであると言うことができよう(6)。

 問題の定式化をしよう。 人の各個人の課税対象となる所得(マ)を (≧0),(仁1,…, )、とし,その所得分布を

   y=(yI,y2,…,y

一石lr石の場合,更附加的な条件捕入しなければ・一義的な判定はできな    L、.第2点と関連させて言えば,この場合潤関数の型はって不平等度    の判定が変化するということである。本稿では・更に強い基準鱒入する    ことはせず,ローレンツ曲線が交叉する場合,不平等度を判定できないと    いうことにする。

(6)〔H〕節のここまでの記述については・より詳細には・豊田〔5〕・

   Rothschild,Stiglitz〔3〕,Atkinson〔1〕を参照。

 (7) 課税最低限所得を加えた所得である。

       _3一

(4)

と表わすことにする。ただし,一般性を失うことなく,0≦y、≦ッ、≦…≦夕鶴 とする。所得分布r」=(躍・舛,…,帽)と所得分布}「Bニ(ンF,瑠,…,

婿)とにおいて,鈎の方が鉾より平等である(日)ということは,

すべての々=1,2,…,πに対して,

B易訊

   ≧ ツ島Σ剥  

(L.C.)

ゆ         ね

Σッ  Σ穿

=!      ニし

が成立することである(9)。すなわち,同じパーセント点以下の者の占める 所得額の割合をすべてのパーセント点について比較したとき,その割合が 常に大きい(正確には小さくない)方の所得分布がより平等であると判定 することである。

 員塚〔2〕と同様に,本稿でも,すべての者にとって物価の上昇率は同 一であるということと,各人の実質所得が変らず,従って課税前の所得分 布に変化はないということを仮定しよう。現実には,すべての所得階層に とって物価の上昇が同じであるということはないが,前者の仮定は問題を 簡略化するためのものである。後者の仮定は,所得税の及ぼす影響だけを 分離して検討しようというここでの目的に対して,当然入れるべき仮定で ある。また,税の転嫁は生ぜず,税負担は課税される個人に完全に帰着す るものと仮定する。

 物価上昇率を100(ψ一1)%,(ρ>1)とすると,物価上昇前の課税前所 得分布

一  (8)念のため記しておくと,本稿で「平等」あるいは「不平等」などという     場合,あくまでも,ローレンツ曲線の判定基準(L.C.)に照らしていっ     ているにすぎず,「平等」の方が良いというような価値判断については何      もいっていない。従って,比較的慣用されている用語の「均等」,「不均     等」を用いた方があるいは無駄な誤解を招かないのかもしれない。

   (9) 人数の異なる所得分布間の比較については,豊田〔5〕を参照。

      一4一

(5)

   yニ(ン1,y2,…,み),0≦ツ、≦ン2≦…≦ツ偽

は,実質所得が変化しないと仮定したから,物価上昇後

ργニ(勿1,勿2,…,勿

となる。所得y (∫=1,2,…,匁)の者の負担する平均税率をτ とする と,所得税が累進税であることから,

0≦τ、≦τ2≦…≦τ <1

である。ここで,δ =1一τ (∫=1,2,一, )とおくと,δ は可処分所得

率(10)で,

1≧δ≧δ2≧…≧δ騰>0

となる。そうすると,物価上昇前の課税後所得分布y■は,

腔=(δ函,δ2y2,一,δ鴨夕鱒)

である(n)。

 100(ρ一1)%の物価上昇によって所得y の者の名目所得は勿 に増 加するわけであるが,この時,税率がτ からτ +、(∫ニ1,2,…, 一1)

に上昇し,最高税率が課されている所得みの者の税率だけは変化しない ものとしよう。このように定式化すれば,貝塚氏の命題の条件に適合する。

そうすると,物価上昇後の課税後所得分布y凹は,

   Pfニ(ρδ2ッ1,ρδ3y2,…,ρδ y 一、,が y鮎)

となる。      一       六

(10)本稿のフレイム・ワークでは,可処分所得率と呼んでも問題はなかろう。

(11) 課税によって各個人の所得の順位関係が変化しないという条件が実際の  税制では加わるから, δ 灘(∫=1,2,…, )がfの単調増加であるとい   う条件として加えてよいことになる。

       一5一

(6)

yp7とyfとの不平等度の比較は,

        あ        ρΣδ網y

   1P『(彦)二伺   ,。(ただし,δ怖+Fδ骨とする)

        ハ        ρΣδま+1ツ          =一

        あ         Σδ y          =l    J7(ゐ)=

        ハ

         塁δ y

との大小関係をすべての彦=1,2,…, について検討してみればよいわ

けである。

 δ 』y =2 とおくと,

        喜亟2,   砦2、

         =1δ       =t    lpr(ゐ)=     ,1T(彦)=

        書亟2、   秀2、

         =tδ       =・

となるから,

   L(ぬ)=1PT(h)一1r(海)

      一 1.〔,者、豊+K専一要)2司

        芳亜2 Σ2         =tδ =一

である。従って,

(7)

童≦蚤≦_くδ・く生_1

δ・ δ2 一δ 一1』δ偏

すなわち,可処分所得率の比δ個/δ がfの単調増加関数になっていると いう条件を加えれば,貝塚氏の命題は成立し,税制を固定しておくと,物 価上昇によって課税後所得分布は不平等化するということになる。

 ところで,(L.C.)は,

すべての々=1,2,…,ηに対して

ハ      ゆ

Σッ  Σ夕F

=勘       コ融

   く

ハ         ね

、Σ夕  .Σッタ

=1      ∫=i

と同等である。すなわち,2つの所得分布において,同じパーセント点以 上の所得の者の所得総額に占める割合が常に小さい (正確には大きくな い)方の所得分布がより平等であるということと同等である。このことを 考慮に入れると,

δげ翰 δ y鶴

ハ      ハ

Σδ +黄 Σδ

=1          =1

袖幅

D〔Σ1(δ 一δ +1)ツ 〕≧・

Σδ飼ハΣδ

=1      =1

であるから,貝塚氏の『……税引き後の所得分布は不平等化する…・』と 一       四 いう命題は『……税引き後の所得分布が平等化することはない……』と修 正すれば,無条件に成立することになる。

7

(8)

     〔皿〕 平均税率関数による定式化

  もう少し形式的な定式化で議論を進めてみよう。

  平均税率関数をτ(ッ)とし,τ(ッ)は微分可能であるとする。当然・

 0≦τ(ツ)<1であり,また,累進税であるからτ (y)>0である。

    δ(ッ)=1一τ(ッ)

 とおくと,δ(ッ)は可処分所得率関数で,

    0<δ(ッ)≦1,δ (y)<0

 となる(12)。

  課税後所得分布は,課税前の実質所得が変化しないと仮定されているか   ら,100(ρ一1)%の物価上昇によって・

     rT=(δ(y、)ソ1,δ(y2)y2,…・δ(ツ軸)ツ備)

  カ・ら}

     四=(ρδ(か、)ツ、,が(勿、)ツ、,…,ρδ(伽)ツ

  になる。

       な       な        Σδ(勿 )ッ  Σδ(勿 )ッ       ごゴエ       オコユ      L(々)=1PT(ゐ)一1■(海)=       一        ハ      ハ        Σδ(伽)y  Σδ(勿 )ッ       輩=1       =1

書 二幅1怖〔、圭,盈、(δ(伽)δ(ツゴ)一δ(劾)δ(ン ))〕

       Σδ(ρッ )y Σδ(y )ッ        =1         =1

(・2)脚注(・・)の条件力・ら,δ(ツ)Zツ≧一δ (ツ)・す帥ち・可処分所得率の所   得に対する比は,限界可処分所得率の絶対値より大きくなければならない。

       一8一

(9)

であるから,

   y、≦タゴのときδ(勿 )≧δ(劾)

      δ(y ) δ(夕,)

すなわち,可処分所得率の比δ(か)/δ(ッ)がッの単調減少関数ならば,

すべての々=1,2,…,卯に対して,

   乙(為)≧0

となる。従って,このような税制は,物価上昇に対し,不平等是正効果を もっということがいえる。同様にして,可処分所得率の比δ(勿)/δ(y)

が単調増加関数ならば,物価上昇によって,課税後の所得分布は不平等化 するということがいえる。

 もし,

   δ(フ)=αッα一1,(σ,α:const.,α〉0,0<α<1)

すなわち,租税関数丁(ッ)=τ(ッ)ッが

   T(y)=ツー砂σ

とV・う型ならば,

すべての乃=1,2,…,%に対して,

   五(為)=0

となるから,このような税制の物価上昇時における不平等是正効果は中立 的である。

 また,τ(ツ)が2回微分可能で,τ (ツ)>0,すなわち,δ (y)<0ならば,二

   (霧) 一ザむ)(ρ♂(勿)δ(ツ)一♂(y)δ(勿))<・  一

となるから,可処分所得率の比δ(勿)/δ(夕)は単調減少である。従って,

累進税で,限界税率が逓増するような所得税制は,物価上昇に対し,不平       一 9一

(10)

等是正効果をもっということができる。

〔w〕結 論

 以上,累進構造をもつ所得税が物価上昇時に・課税後所得分布を平等化 するか不平等化するかについて,その十分条件を検討してきた。要するに・

所得分布の型と関係なくいえる十分条件は,可処分所得率の比δ(勿)/δ(ッ)

の単調性に関するものであった。すなわち,δ(勿)/δ(y)が所得分布の台 の上で単調減少ならば,物価上昇に対し,税制は不平等是正効果をもち,

δ(勿)/δ(ッ)が単調増加ならば,不平等化の効果をもつということである。

δ(勿)/δ(ッ)が単調でない場合,所得分布の型によって・物価上昇時にお ける所得税の所得分布に及ぼす影響は変化する。このような場合でも・所 得分布の型とδ(勿)/δ(ッ)の動きとを場合分けして組合わせれば・不平 等是正効果をもつかどうかの十分条件を求めることができる。

 逆進税で税負担の転嫁を無視できるような場合や所得階層によって物価 上昇率が異なる場合,更に物価下落の場合なども・定式化を多少変形する ことで,〔n〕,〔皿〕節と同様に論じることができる。しかしながら,形 式的な議論をこれ以上進めても,さして意味あることとは思われない。個

々の具体的な問題に即して定式化し,議論を進めるべきであろう。

   〔引 用 i文 献〕

   〔1〕 A.B.Atkinson,On the Measurement of Inequality,加r惚10ノ      &o㎜飴丁初卯,1970

   〔2〕貝塚啓明「インフレーションと税制」,貝塚,安場編『インフレと公共      政策』日本経済新聞社,1974,所収

_  〔3〕M.Rothschild,J.E Stiglitz,Some Fロrther Results on the 二二    Measurement of Inequality,ノ伽プ%」 ゾE oπo餌∫o T加。り,,1973 一  〔4〕高山憲之「いわゆるインフレ調整減税の効果」・r季刊理論経済学』(近      刊)

   〔5〕豊田敬「所得分布の不平等度」,r国民経済』,1975

   〔6〕宇田川璋仁「経済成長と所得税負担」宇田川,古田r税制と租税負担』

     東洋経済新報社,1974,所収

       一10一

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