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第六学年菊組 図画工作科学習指導案
指導者 平田 将太郎 題 材 不思議なオブジェ~木と金属でチャレンジ~
指導観
○ 本学級の子供たちは,これまでに,イメージを基に発想を広げ,表したいことを材料や用具を生かしながら表す 活動に意欲的に取り組むことができるようになっている。そこで,表したいことに適した材料や用具を活用した り,表現に適した方法を組み合わせたりするなど,これまでの技能を生かして表すことができるようになるこの 期に本題材を取り上げる。そして,材料や用具の特徴からイメージや表したい思いをもち,それを表現するため に技能を総合的に生かしたり,表現方法や材料などを組み合わせたりすることを通して,表し方を工夫してつく ることができるようにする。このことは,生活の中の形や色などと豊かに関わる子供を育てる上からも意義深い。
○ 本題材は,木や金属との触れ合いを通して材料の特徴を理解し,木をのこぎりで切ったり,金属をペンチで曲げ たりして加工し,それらの材料を組み合わせることを試しながら「不思議なオブジェ」のイメージを作品に表す ことができるようにする。このことは,本学級の子供たちにとって,表したいイメージに合わせながら発想や構 想をしたり,よさや美しさについて友人と交流したりしながら,自分の表したい主題を明確にするとともに,つ くりだす喜びを味わい,豊かな情操を培う上で適した題材である。
○ 本題材の指導に当たっては,木の枝や角材などの木や,針金やアルミホイルなどの金属と触れ合う活動を通し て材料の特徴を捉え,それらを加工したり組み合わせたりしながら不思議なオブジェをつくることができるよう にする。特に本時指導に当たっては,まず,導入段階では,作品に表したい思いが表れているかを確認し,参考作 品を鑑賞したり友人と交流したりして,本時の活動の見通しを持つことができるようにする。次に,展開段階で は,材料の組み合わせによる形や質感の変え方を工夫するとともに,これまでの表現を生かしながらオブジェを つくることができるようにする。最後に,終末段階では,自分のオブジェに思いを表すことができたか振り返ると ともに,作品のよさや美しさについて根拠を明確にしながら友人と話し合い,認め合うことができるようにする。
目標
(1)木や金属と触れ合い,切ったり組み合わせたりすることを通して,材料のもつ形や質感の特徴に気付き,材料の特 徴を生かしながら不思議なオブジェに対する自分のイメージを基にして,工夫して表すことができるようにする。
(2)木と金属を加工したり組み合わせたりする表し方を試し,不思議なオブジェのイメージを広げたり,気付きを話 し合ったりして表したいことを見付け,表し方や材料について考えたり判断したりすることができるようにする。
(3)木と金属のもつ特徴を組み合わせて「不思議なオブジェ」をつくるという活動に関心を持ち,作品や,表し方のよ さや美しさについて,友人と話し合いながら表現したり鑑賞したりして,つくりだす喜びを味わう態度を育てる。
計画(6時間)
1 木と金属と触れ合ったり不思議なオブジェについてイメージしたりし,発想させる。 1 2 不思議なオブジェについてのイメージについて交流し,表したい形を構想させる。 1 3 不思議なオブジェのイメージを確認し,表現させる。 3
(1)材料の組み合わせについて………② (2)表し方の工夫について………①本時 4 作品を鑑賞し,不思議なオブジェの形や質感をつくりだしていった満足感を味わわせる。 1 本時 令和3年6月11日(金曜日) 3校時 図工室において
主眼1 イメージした「不思議なオブジェ」の感じが,もっと表したい感じになるように,全体のバランスに着目しな がら木や金属をつなぎ合わせたり取り外したりして,形や質感を工夫して表現することができるようにする。
2 木材を切ったり,針金を曲げたり,組み合わせたりしながらつくる活動を通して,自分の表したいイメージに 合っているかを振り返り,友人と作品や表現活動のよさや美しさについて話し合うことができるようにする。
準備 角材,枝,針金,アルミホイル,接着剤,のこぎり,糸のこぎり,きり,ペンチ,タブレット
- 2 - 過程
段階 学習活動と予想される子供の反応 教師の具体的な支援
導 入
展 開
終 末
1 前時の作品や参考作品を鑑賞し,表したい思いをさらにオブ ジェに表していくめあてについて話し合う。
2 いろいろな表し方を試しながら,自分の表したいオブジェに 合うようにつくる。
(1) 形を変えたり質感を変えたりして,さらに表したい感じを 出しながらオブジェをつくる。
(2) イメージに合うように材料を選んだり加工したり,組み合 わせたりしてオブジェをつくる。
3 つくったオブジェを鑑賞して話し合い,気付いたよさや美し さを味わう。
○本時活動の見通しを持たせるために,表 現の工夫を取り入れた児童の作品や参考 作品を鑑賞し,思いをより表していくた めの表現方法のよさや効果について交流 する場面を設ける。
○表し方を試すことができるように,これ まで使った余りの材料や新しい材料を用 意した材料コーナーを設置する。
○多様な表し方があることに気付かせ,自 分の表現に生かしてつくらせるために,
表したいことに合わせた表現方法のよさ や価値を交流によって明らかにする場面 を設定する。
○作品のよさや,美しさを味わわせるため に,作品の中で工夫したところはどこか といった根拠を明確にしながら話し合う 活動を取り入れる。
ぼくは,枝の周りに針金を巻く回数 を増やしたり,木材にアルミホイルを 新たにまきつけたりして,自然と人工 が調和した森林が,もっと不思議な感 じになるようにしました。
・針金の形をもっと不思 議な感じにしたいな。
・どの角度から見ても不 思議な感じにするには,
どうすればいいかな。
角 材 に ア ル ミ ホ イ ル を 巻 い た ら,調和した感じ が出てきた。
・不思議な感じには,針金のぐるぐるがぴったりだな。
・アルミホイルを使って,調和した感じを表せないかな。
針 金 を さ ら に ぐ る ぐ る さ せ た ら,もっと不思議 な感じになった。
形
鑑賞で捉えた工夫を自分の作品に生かしさらに表現する。
未 来 の 感 じ が さ ら に 表 れ る よ う,中心の枝を長 くした。
自然と人工が調和した,不思議な感じがする未来の森林の 様子をオブジェに表したい。
質感 形+質感 もっと表したい感じが表れるように,表し方を工夫してオ ブジェをつくろう。
材料の特徴や,表したい思いを基にして,形や質感を工夫 したら,自分だけのオブジェをつくることができた。
- 3 - 本題材の構成
配時 学習活動と予想される子供の反応 教師の具体的な支援
45
45
90
1 木材と金属と触れ合ったり,木材と金属でつくる「不思議なオブジ ェ」を想像したりして,学習の見通しをもつ。
2 不思議なオブジェのイメージを基に,表したい形を構想する。
3 発想したことから材料を加工したり組み合わせたりして試したり構 想したりして,自分だけの不思議なオブジェをつくる。
○ 材料の加工や組み合わせを試し,オブジェをつくる。
○木と金属の特徴について考えさせ るために,木や金属と触れ合い,
2つの材料を組み合わせてどのよ うなものがつくれそうかについて 交流する場面を設定する。
○表したい形を構想させるために,
オブジェについて友人と交流する 場面を設ける。
○様々な材料の加工の仕方や組み合 わせ方があることに気付かせ,自 分の表現に生かしてつくらせるた めに,材料を加工している様子を 動画で確認する場面を設定する。
・4年生の時に角材と釘を使って 作品をつくったね。
・5年生の時は,針金を使って面白 い形の作品をつくったよ。
・木材と金属を組み合わせたら,ど んな作品ができるのかな。
・怪しい形は針金を使って 表せると思うよ。
・異質な質感を表すには,ア ルミホイルが使えそうだ。
【 】
怪しくて面白い形
下から何かが 生えてくる感じ
不思議なオブジェ 異質な質感
木と金属を使って「不思議なオブジェ」をつくろう。
針 金 を ぐ る ぐ る に巻いて形を 変え て,上と下で 大き さを変えたら ,木 の形になった。
アルミホイルを 固めると,ざらざ らして,不思議な ボールのようにな ったよ。
針金の中に,木 の枝を組み合わせ ると,自然と人工 の間の不思議な感 じになったよ。
いろいろな加工の仕方や組み合わせの仕方を試しながら作品に生 かし,不思議なオブジェを表現する。
形 形+質感
木や 金属 を組 み合 わせ て形を 変えたり,質感を変えたりするこ とで,自然の木と人工の木を表し た不思 議な オブ ジェ をつ くるこ とができたよ。自然と人工がもっ と調和した感じを出したいな。
土台になりそうな材料に,いろ いろな形に変えた針金と木を組み 合わせると,自然と人工が調和し た不思議なオブジェがつくれそう だな。
自然と人工の調和
質感
- 4 - 45
本時
45
〇 オブジェのイメージを確認し,木と金属を使って表したり,交流に より発想を広げたりしながらつくる。
4 できあがった作品をグループごとに並べて鑑賞し,作品のよさや面 白さを味わう。
○多様な表し方があることに気付か せ,自分の表現に生かしてつくら せるために,表したいことに合わ せた表現方法のよさや価値を交流 によって明らかにする場面を設定 する。
○見つけた表し方や作品のよさや美 しさを実感させるために,グルー プで鑑賞しながら作品作りにおけ る表現方法や工夫したところにつ いて話し合う活動を取り入れる。
ぼくは,枝の周りに針金を巻く回 数を増やしたり,木材にアルミホイ ルを新たにまきつけたりして,自然 と人工が調和した森林が,もっと不 思議な感じになるようにしました。
・アルミホイルを枝や角材にはりつ けたり,ねじったりして,いろい ろ工夫してつくっているね。
・私も木と針金で自然を表してみた けど,全く違った雰囲気になって いて面白いね。
木と金属を使ってオブジェをつくった学習を振り返る。
材料や用具と関わりながらつくったり,作品や表現方法のよさ や美しさについて友人と交流したりしたことで,表し方を工夫し て表すことができた。
鑑賞で捉えた形の工夫や質感の工夫を,自分の作品に生かして,
さらに表現する。
・人工の木の感じを表すため に,針金の形をもっと不思議 な感じにしたいな。
・どの角度から見ても不思議 な感じにするには,どうすれ ばいいかな。
形 質感 形+質感
角材にアルミホ イルを巻いたら,
調和した感じが出 てきた。
針金をさらにぐ るぐるさせたら,
もっと不思議な感 じになった。
未来の感じが,
さらに表れるよう に中心の枝を長く したよ。
もっと表したい感じが表れるように,表し方を工夫してオブジェ をつくろう。