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第5回 太陽の構造と太陽活動(2)

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(1)

地球惑星圏物理学 

第5回 太陽の構造と太陽活動(2)

担当:黒川 宏之

(2)

第1回  :地球惑星物理学概論 

第2回  :太陽系の構造と元素組成  第3回  :太陽系形成論 

第4回  :太陽の構造と太陽活動  第5回  :〃 (流体力学, 太陽風)  第6回  :惑星間空間 

第7回  :〃 

第8回  :惑星大気の構造  第9回  :〃 

第10回:惑星の磁気圏  第11回:〃 

第12回:惑星の内部構造と表層環境の進化  第13回:系外惑星 

第14回:生命の起源と存在条件

2

講義資料は 

https://members.elsi.jp/~hiro.kurokawa/lecture.html

(3)

日本評論社『太陽系と惑星』より space.com

太陽風

Biermann (1951, 1957)  彗星の尾から予想 

Parker (1958) 

理論的に太陽風を導いた  1959年以降 

人工衛星による直接観測

(4)

太陽風

4

コロナ質量放出 

http://sohowww.nascom.nasa.gov/bestofsoho/Movies/flares.html

太陽風:コロナから超音速で吹き出す高温プラズマ 

速度:400-1000 km/s, 温度:~105 K, 密度:~5個/cm3  

※1天文単位(Astronomical Unit, AUと略す)での値   太陽-地球の距離 = 1.5 1011 m

(5)

流体力学の基礎方程式

28

2

章 太陽

質量保存の式:図

2-4

のように、流体の中に、空間に固定した閉曲面

S

によって囲まれた 体積

V

の領域を考える。体積

V

中の質量の減少は、閉曲面

S

を通って流れ出る流体の質量 に等しいことから、

∂ t

!

V

ρdV = −

"

S

ρv · dS. (2.5)

Gauss

の定理から、 "

S

ρv · dS =

!

V

∇ · (ρv)dV, (2.6)

であるため、式

(2.6)

を式

(2.5)

に代入して、

!

V

#

∂ρ

∂ t + ∇ · (ρv)

$

dV = 0. (2.7)

この式が任意の体積

V

で成り立つためには、

∂ρ

∂ t + ∇ · (ρv) = 0. (2.8)

この式は質量の保存を表し、連続の式と呼ばれる。

ρv

は単位時間・単位面積あたりに流れる 流体の質量であり、質量流束

(Mass Flux)

と呼ばれる。

2-4

.面要素

dS

から流出する質量。培風館『宇宙流体力学』より

運動量保存の式:図

2-5

のように、流体中に流体とともに動く閉曲面

S

によって囲まれた 体積

V

の領域を考える。面積素片

dS

には面に垂直な圧力

− p · dS

が働く。流体に生じる加速 度は、閉曲面に働く圧力の総和に等しいことから、

!

V

ρ dv

dt dV = −

"

p · dS. (2.9)

Gauss

の定理から、

"

p · dS = −

!

V

∇ p dV, (2.10)

であるため、式

(2.10)

を式

(2.9)

に代入して、

!

V

#

ρ dv

dt + ∇ p

$

dV = 0. (2.11)

2.3. 太陽風 29

この式が任意の体積 V で成り立つためには、

ρdv

dt = −∇p. (2.12)

全微分 (流体に沿った微分) を偏微分 (空間に固定された微分) に書き換えて (付録 C 参照) ρ

!∂v

∂t + (v · ∇)v" = −∇p. (2.13)

これが理想流体の運動方程式で、オイラーの式と呼ばれる。流体に重力などの外力が働く場 合は、単位質量あたりにかかる外力を g とすると、以下のようになる。

ρ

!∂v

∂t + (v · ∇)v" = −∇p + ρ g. (2.14)

2-5.面要素 dS に働く力。培風館『宇宙流体力学』より

エネルギー保存の式:同様に、図 2-5 において、体積 V の流体のエネルギー (運動エネル ギー + 内部エネルギー ϵ) 変化は、圧力によってされた仕事に等しいことから、

#

V ρ d dt

!1

2v2 + ϵ

"

dV = −

$

S pv · dS. (2.15)

Gauss の定理から、

$

S pv · dS = −

#

V ∇ · (pv)dV, (2.16)

であるため、式 (2.16) を式 (2.15) に代入して、

#

V

%

ρ d dt

!1

2v2 + ϵ

"

+ ∇ · (pv)&dV = 0. (2.17)

この式が任意の体積 V で成り立つためには、

ρ d dt

!1

2v2 + ϵ

"

+ ∇ · (pv) = 0. (2.18)

30 2 章 太陽

偏微分に書き換えて、さらに連続の式を用いて書き換えると最終的に以下の形になる。

∂t

!

ρ

"1

2v2 + ϵ

#$

+ ∇ ·

!

ρv

"1

2v2 + ϵ + p ρ

#$

= 0. (2.19)

左辺第一項はエネルギーの時間変化、第二項は単位時間・単位面積あたりのエネルギーの流 れ、エネルギー流束 (Energy Flux) である。外力がある場合、外力による仕事を加えて、

∂t

!

ρ

"1

2v2 + ϵ

#$

+ ∇ ·

!

ρv

"1

2v2 + ϵ + p ρ

#$

= ρv · g, (2.20)

となる。

2.3.2 Parker

太陽コロナは、温度 106 K という高温によって力学的平衡を保てず、太陽風が惑星間空間 に吹き出している。太陽風の存在は、Biermann (1951, 1957) の彗星の尾の観測によって最初 に予言された。人工衛星によって太陽風を直接観測したのは 1959 年以降であるが、それに先 駆けて太陽風の存在を理論的に証明したのは Parker (1958) である。ここでは Parker 呼ばれる太陽風の理論的枠組を扱う。

簡単のために太陽風を定常 (∂/∂t = 0)、球対称 (∂/∂θ = ∂/∂φ = 0)、完全電離した陽子と 電子のみで構成された理想流体として扱う。状態方程式は理想気体とする。また、外力とし て太陽の重力を考慮する。この時、オイラーの式 ( 2.14) は以下のように表せる (球座標系で の微分は付録 B 参照)

v dv

dr = −1 ρ

dp

dr − GM

r2 . (2.21)

また、連続の式 (2.8) は以下のように表せる。

1 r2

d(ρvr2)

dr = 0. (2.22)

状態方程式は以下のように表せる。

p = nkBT. (2.23)

(2.23) を式 (2.21) に代入して書き換えると、

v dv

dr = −c2T n

dn

dr − vesc2 2R

"R r

#2

. (2.24)

ここで、粒子の熱速度 cT ≡ (kBT /m)1/2, 太陽からの脱出速度 vesc ≡ (2GM/R)1/2 を用い た。距離の基準を R とするために、R ≡ r/R で書き換えると、

v dv

dR = −c2T n

dn

dR − vesc2

2R2 . (2.25)

一方で、式 (2.22) を書き直すと、

質量保存の式(連続の式)

運動量保存の式(運動方程式, オイラーの式)

エネルギー保存の式

状態方程式

30

2

章 太陽

偏微分に書き換えて、さらに連続の式を用いて書き換えると最終的に以下の形になる。

∂ t

!

ρ

" 1

2 v

2

+ ϵ

#$ + ∇ ·

!

ρv " 1

2 v

2

+ ϵ + p ρ

#$ = 0. (2.19)

左辺第一項はエネルギーの時間変化、第二項は単位時間・単位面積あたりのエネルギーの流 れ、エネルギー流束

(Energy Flux)

である。外力がある場合、外力による仕事を加えて、

∂ t

!

ρ

" 1

2 v

2

+ ϵ

#$ + ∇ ·

!

ρv " 1

2 v

2

+ ϵ + p ρ

#$ = ρv · g, (2.20)

となる。

2.3.2 Parker

太陽コロナは、温度

10

6

K

という高温によって力学的平衡を保てず、太陽風が惑星間空間 に吹き出している。太陽風の存在は、

Biermann (1951, 1957)

の彗星の尾の観測によって最初 に予言された。人工衛星によって太陽風を直接観測したのは

1959

年以降であるが、それに先 駆けて太陽風の存在を理論的に証明したのは

Parker (1958)

である。ここでは

Parker

呼ばれる太陽風の理論的枠組を扱う。

簡単のために太陽風を定常

(∂ /∂ t = 0)

、球対称

(∂ /∂θ = ∂ /∂φ = 0)

、完全電離した陽子と 電子のみで構成された理想流体として扱う。状態方程式は理想気体とする。また、外力とし て太陽の重力を考慮する。この時、オイラーの式

( 2.14)

は以下のように表せる

(

球座標系で の微分は付録

B

参照

)

v dv

dr = − 1 ρ

dp

dr − GM

r

2

. (2.21)

また、連続の式

(2.8)

は以下のように表せる。

1 r

2

d(ρvr

2

)

dr = 0. (2.22)

状態方程式は以下のように表せる。

p = nk

B

T. (2.23)

(2.23)

を式

(2.21)

に代入して書き換えると、

v dv

dr = − c

2T

n

dn

dr − v

esc2

2R

" R

r

#

2

. (2.24)

ここで、粒子の熱速度

c

T

≡ (k

B

T /m)

1/2

,

太陽からの脱出速度

v

esc

≡ (2GM

/R

)

1/2 を用い た。距離の基準を

R

とするために、

R ≡ r/R

で書き換えると、

v dv

dR = − c

2T

n

dn

dR − v

esc2

2R

2

. (2.25)

一方で、式

(2.22)

を書き直すと、

dn

dR = − n vR

2

d

dR (vR

2

). (2.26)

※導出は板書

5

(6)

Parker 解

2.4. 太陽の活動現象 31

(2.26) を式 ( 2.25) に代入して、次式を得る。

v dv dR

!1 c2T v2

"

= 2c2T

R vesc2

2R . (2.27)

この式が太陽風の加速を記述する式である。

(2.27) の特徴を考える。コロナの典型的な物理量を用いると、cT = 130 km s1, vesc = 620 km s1 となる。cT < vesc となることは、コロナのプラズマが太陽の重力に束縛されて いることを表している。このことから、式 (2.27) の右辺はコロナの底 (R = 1) において負で ある。一方、式 (2.27) の右辺第一項は R 1 乗、第二項は R 2 乗を含んでいることか ら、十分大きい R では第一項が優勢となり、式 (2.27) の右辺全体は正に転じることがわかる。

(2.27) の右辺が 0 になる点を臨界点 (critical point) と呼び、その太陽からの距離 Rc は、

Rc = vesc2 /4c2T となる。上述の数値を代入すると、R 6 となり、太陽半径の約 6 倍に相当

する。 (2.27) の解を図 2-6 に示す。曲線 ACB が太陽風に対応する解である。この解は臨界点で

v = cT という音速に達し、その後も加速され続けていく。S1 のように臨界点で音速に達しな い場合、式 (2.27) より dv/dR が負になるため、速度は減速に転じる。臨界点で音速となる解 だけが、亜音速から超音速となる構造をとることができる。超音速となった太陽風は太陽圏 の終端で星間ガスの影響により衝撃波を形成し、急激に減速されることとなる。

2-6.式 (2.27) の解の種類。オーム社『宇宙環境科学』より

2.4

太陽の活動現象

太陽コロナの磁場は複雑な構造をしており、磁力線が開いている領域と、磁力線がループ 状に閉じている領域がある。磁力線が開いている領域からは太陽風が吹き出している一方、

磁力線が閉じた領域では、太陽フレアコロナ質量放出 (coronal mass ejection) と呼ばれる 爆発的活動減少が生じる。

太陽フレアは太陽大気における爆発的なエネルギー解放現象であり、γ 線、X 線領域から 電波領域に至る波長域で電磁波を放射する。太陽フレアは磁力線の変形によって蓄えられた エネルギーが、磁気再結合によって開放されて生じる。

コロナ質量放出はコロナのプラズマの塊が突発的に惑星間空間に放出される現象である。

太陽の磁気エネルギーが解放され、電磁放射エネルギーに変換されるのが太陽フレア、力学 的な運動エネルギーに変換されるのがコロナ質量放出である。

2.4.

太陽の活動現象

31

(2.26)

を式

( 2.25)

に代入して、次式を得る。

v dv dR

! 1 − c

2T

v

2

"

= 2c

2T

R − v

esc2

2R . (2.27)

この式が太陽風の加速を記述する式である。

(2.27)

の特徴を考える。コロナの典型的な物理量を用いると、

c

T

= 130 km s

1

, v

esc

= 620 km s

1 となる。

c

T

< v

esc となることは、コロナのプラズマが太陽の重力に束縛されて いることを表している。このことから、式

(2.27)

の右辺はコロナの底

(R = 1)

において負で ある。一方、式

(2.27)

の右辺第一項は

R

− 1

乗、第二項は

R

− 2

乗を含んでいることか ら、十分大きい

R

では第一項が優勢となり、式

(2.27)

の右辺全体は正に転じることがわかる。

(2.27)

の右辺が

0

になる点を臨界点

(critical point)

と呼び、その太陽からの距離

R

c は、

R

c

= v

esc2

/4 c

2T となる。上述の数値を代入すると、

R ∼ 6

となり、太陽半径の約

6

倍に相当

する。式

(2.27)

の解を図

2-6

に示す。曲線

ACB

が太陽風に対応する解である。この解は臨界点で

v = c

T という音速に達し、その後も加速され続けていく。

S

1 のように臨界点で音速に達しな い場合、式

(2.27)

より

dv/dR

が負になるため、速度は減速に転じる。臨界点で音速となる解 だけが、亜音速から超音速となる構造をとることができる。超音速となった太陽風は太陽圏 の終端で星間ガスの影響により衝撃波を形成し、急激に減速されることとなる。

2-6

.式

(2.27)

の解の種類。オーム社『宇宙環境科学』より

2.4 太陽の活動現象

太陽コロナの磁場は複雑な構造をしており、磁力線が開いている領域と、磁力線がループ 状に閉じている領域がある。磁力線が開いている領域からは太陽風が吹き出している一方、

磁力線が閉じた領域では、太陽フレアやコロナ質量放出

(coronal mass ejection)

と呼ばれる 爆発的活動減少が生じる。

太陽フレアは太陽大気における爆発的なエネルギー解放現象であり、

γ

線、

X

線領域から 電波領域に至る波長域で電磁波を放射する。太陽フレアは磁力線の変形によって蓄えられた エネルギーが、磁気再結合によって開放されて生じる。

コロナ質量放出はコロナのプラズマの塊が突発的に惑星間空間に放出される現象である。

太陽の磁気エネルギーが解放され、電磁放射エネルギーに変換されるのが太陽フレア、力学 的な運動エネルギーに変換されるのがコロナ質量放出である。

太陽風は臨界点で亜音速から超音速へと加速される

※導出は板書

6

(7)

第1回  :地球惑星物理学概論 

第2回  :太陽系の構造と元素組成  第3回  :太陽系形成論 

第4回  :太陽の構造と太陽活動  第5回  :〃 (流体力学, 太陽風)  第6回  :惑星間空間 

第7回  :〃 

第8回  :惑星大気の構造  第9回  :〃 

第10回:惑星の磁気圏  第11回:〃 

第12回:惑星の内部構造と表層環境の進化  第13回:系外惑星 

第14回:生命の起源と存在条件

講義資料は 

https://members.elsi.jp/~hiro.kurokawa/lecture.html

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