1.銀河の分類
ⅩⅢ . 銀河と宇宙の大構造
銀河=天の川銀河と同等の天体集団
(~1000億個レベルの恒星、星間物質などを含む)
→ 見た目の形態で分類できる(形態分類またはハッブル分類)
※左:散開星団・球状星団、星間雲、などの集まったのが、右:銀河
銀河の例(アンドロメダ銀河)
渦 巻 銀 河
●円盤銀河:円盤部に渦巻模様が見られるため渦状銀河ともいう
棒 渦 巻 銀 河
●楕円銀河:楕円体形状 ●不規則銀河:他分類以外 楕
円 銀 河
不 規 則 銀 河
●銀河のハッブル分類(形態分類)
・形態で大きく3分類(楕円銀河、渦巻銀河、棒渦巻銀河)
・楕円は、球→扁平楕円体、の順に E0→E7 に細分類
・渦状銀河は腕の巻付:緊→緩、バルジサイズ:大→小で細分類
・楕円と渦状の中間がレンズ状銀河(S0型)
(巨大楕円銀河や矮小銀河など、形態だけの分類では不十分)
ⅩⅢ . 銀河と宇宙の大構造
1.銀河の分類
ハッブル分類
・天の川銀河と同等の天体集団=銀河(1000億レベルの星・ガス等)
・形態で分類( ):楕円、円盤(渦巻、棒渦巻)、不規則
・楕円は扁平度、渦巻は巻型(緊→緩)とバルジサイズで細分類
まとめ13-1
※宇宙には多くの銀河があり、その中の1つが我々の銀河系。他の銀河に 対し我々の銀河系を呼ぶときは「銀河系」もしくは「天の川銀河」と言う。
2.銀河の定量観測と内部運動
形態の分類では不定性が入る⇒定量的な分類(まだ確立してない)
観測から定量的ないくつかの関係が知られている
●銀河の表面輝度分布の法則:
・楕円銀河
・円盤銀河のバルジ成分
→exp(半径1/4)で変化
(ド・ボークルール則)
・円盤銀河のディスク成分
→expで変化
(指数関数則)
※右図は銀河の半径に対し輝度
(面積当たり明るさ)がどう変化する かのグラフ。この例はレンズ銀河で バルジ成分+ディスク成分の合成 で近似されている。
●銀河の内部運動
円盤銀河と楕円銀河では力の釣合いが違う
(円盤銀河でもバルジ成分は楕円銀河と似る)
※銀河内の星に働く力のつり合い:円盤部の方が回転による遠心力が強く働く
●円盤銀河(のディスク):
光度∝回転速度の関係
(タリーフィッシャー関係)
●楕円銀河:
(円盤銀河のバルジも)
光度∝内部運動の大きさ
(フェイバージャクソン関係)
どちらも銀河の形成過程と関係すると考えられるが
明確には解明されていない(経験則、距離測定には使える)
※右グラフは横軸の速度幅 が回転速度に対応、縦軸は 絶対等級(光度に対応)
※右グラフは光度(矢印の「L」)
がv4に比例していることを表す
(光度の大きい銀河は質量が 大きく内部の星の動きが速い)
2.銀河の定量観測と内部運動
形態の分類では不定性が入る⇒ な分類(まだ確立してない)
●銀河の表面輝度分布の法則:
楕円(バルジ)はド・ボークルール則 円盤部は指数関数則
●円盤銀河:タリーフィッシャー関係
(ディスク部分)光度∝回転速度
●楕円銀河:フェイバージャクソン関係
(円盤銀河のバルジも)光度∝内部運動 定量的
まとめ13-2
●円盤銀河の回転曲線とダークマター 質量が中心集中の場合:
→外周ほど遅い回転曲線(右の緑線)
(太陽系の惑星など)
質量分布が広がっている:
→平坦な回転曲線(右の青線)
実際の円盤銀河
=ほとんど平坦な回転曲線 しかし星の分布は中心集中
⇒見えない質量があるはず
=失われた質量
(正体不明のダークマター)
ダークマターの正体の仮説:天体か素粒子か?まだ論争中
天体説の場合: MACHO(Massive Astronomical Compact Halo Object) と呼ぶ 素粒子説の場合: WIMP(Weakly Interacting Massive Particles) と呼ぶ
3.銀河の衝突・合体
恒星同士の衝突はない:恒星間距離(1016m)>>恒星サイズ(109m) 銀河同士の衝突は頻繁:銀河間距離(106pc) > 銀河サイズ(105pc)
※衝突中の銀河の例:3次元での衝突では様々な形態ができる
銀河衝突の影響1:潮汐相互作用
・衝突中の銀河は潮汐相互作用 で尾を引くような形を示す場合が ある(右はシミュレーション例)
・衝突領域では星間ガスの衝突・
圧縮で爆発的な星形成が起こる 場合も(スターバーストと呼ぶ)
銀河衝突の影響2:合体による巨大楕円銀河形成
●円盤銀河の回転曲線とダークマター
3.銀河の衝突・合体
円盤銀河:ほぼ 回転曲線 しかし星の分布は中心集中
⇒見えない質量があるはず
=失われた質量
(正体不明のダークマター)
銀河同士の衝突は頻繁(恒星同士は衝突しない)
衝突の影響:潮汐相互作用(尾など)、合体(
巨大楕円銀河
形成)平坦な
まとめ13-3
4.活動銀河
4.1.活動銀河と中心核
何らかの高エネルギー活動を示す銀河=活動銀河(特異銀河)
●電波銀河: ・強い電波を放射(楕円銀河」が多い)
・特に中心部からジェット状に噴出
※電波銀河の電波強度に色付けした画像、右は中心の拡大図のジェットの吹き出し
●セイファート銀河:
・極度に明るい中心核
・強い輝線スペクトル
(円盤銀河が多い)
※左はセイファート銀河の可視光画像、中心が極端に明るい
右は左の「a-b間」の明るさをグラフにしたもの、中心核が異常に明るい
・点状光源に見えた(準恒星状天体:
QUAsi-StellAR object の略称で QUASAR(クエーサー))
・赤方偏移が大きいことから遠方銀河の中心核と思われる
※左は恒星とクエーサーが並んだ可視光画像、右下はクエーサーのホスト銀河例
4.2.宇宙ジェットと活動銀河統一モデル
・活動銀河ではしばしば長大な宇宙ジェットが観測される
⇒中心部にジェットの源がある(巨大ブラックホール?)
・ジェット中の明るい点の移動が超光速に見える現象も
⇒見かけの現象(サーチライトの光点の移動は超光速可なのと同じ)
●活動銀河中心核の統一モデル:
活動銀河中心核(AGN=Active Galactic Nucleus)は一見様々
⇒中心の巨大ブラックホールで駆動されているのは共通?
⇒巨大BHと周囲の降着円盤、トーラスを見る方向の違い?
※統一モデルの模式図例:まだ研究中で確定したものではない
4.活動銀河
4.1.活動銀河と中心核
何らかの高エネルギー活動を示す銀河
=活動銀河(特異銀河)
●電波銀河:強い電波放射(ジェット状)
●セイファート銀河:明るい中心核(輝線)
● :極遠方点状光源
(原始銀河中心核)
4.2.宇宙ジェットと活動銀河統一モデル
・活動銀河中心核(AGN)
⇒中心の巨大ブラックホールで駆動
⇒巨大BHと周囲を見る方向の違い?
・活動銀河:長大な宇宙ジェットが多い
(中心の巨大ブラックホールから?)
クエーサー
5.銀河群と銀河団
銀河の空間的分布:距離測定が必要
●近距離の天体の距離測定:年周視差
・後退速度∝距離
・百億光年以上
5.1.天体の距離測定(復習)
●中距離の天体の距離測定:セファイド、超新星
・周期光度関係(セファイド)、ピーク絶対光度(超新星)
・いずれも絶対等級と見かけ等級から距離算定
・~5千万光年(セファイド)、~50億光年(超新星)
●遠距離の天体の距離測定:
ハッブル・ルメートル則
・地球公転半径基線の三角測量
・~10000光年くらいまで
単一の方法ではすべての天体距離は測れない
⇒複数の方法をつないでいく:「距離はしご」と呼ぶ
※矢印の重なる部分では両方の手法で測れるので、同じ天体を測って繋いでいく
5.2.銀河群
・距離測定の結果:銀河も群れる
・群れの規模にいくつかの階層
比較的小規模な銀河集団(~数十個、サイズ~0.5Mpc程度、
Mpcはメガパーセク=100万パーセクの略(メガ=100万))
例:局所銀河群(我々の銀河系を含む銀河の小集団、下左図)
局所銀河群(局部銀河群の表記もあり)
ヒクソン銀河群
5.3.銀河団
大規模な銀河集団(数百個~数千個、サイズ~数Mpc程度)
例;乙女座銀河団
エイベル1689銀河団 乙女座銀河団(白黒反転図)
5.銀河群と銀河団
局所銀河群
5.2.銀河群
比較的小規模な銀河集団
(~数十個、~0.5Mpc程度)
例:
5.3.銀河団
大規模な銀河集団
(数百個~数千個、
サイズ~数Mpc程度)
例;乙女座銀河団
乙女座銀河団
局所銀河群
5.1.天体の距離測定
近距離:年周視差
中距離:セファイド、超新星
遠距離:ハッブル・ルメートル則
6.超銀河団と宇宙の大規模構造
●局部超銀河団(乙女座超銀河団):
乙女座銀河団、局所銀河群を含む複数銀河団:重力的に結びつく
⇒局所超銀河団(乙女座超銀河団)
※おとめ座銀河団を含む銀河の群れる様子(ある方向での切り口での銀河分布)
同様の規模の集団は複数ある:超銀河団(~100Mpc程度)
例:ヘラクレス座超銀河団、かみのけ座超銀河団、A1367超銀河団 うお・ペルセウス座超銀河団、うみへび・ケンタウルス超銀河団
●超銀河団:
※英語表記だが、図 中で「Supercluster」と 表示されているのが 超銀河団。白い点が 密集しているところが 超銀河団になってい る。
●ボイドと泡状構造:
超銀河団の間には空虚な空間(ボイド)がある
⇒3次元的には泡状構造と呼ばれる(~1Gpc程度)
※ある方向での切り口 での大局的銀河分布。
泡状構造が見て取れ る。右側と左側にある 空白の部分は銀河が ないわけではなく観測 によるデータ取得が追 い付いていないため、
描画されていない。実 際にはここにも同様の 銀河分布があるはず。
6.超銀河団と宇宙の大規模構造
●超銀河団:
複数の銀河団が重力的に 結びついたもの:
超銀河団(~100Mpc程度)
例:局所超銀河団
●ボイドと泡状構造:
超銀河団の間には空虚な空間:
(ボイドと呼ばれる)
⇒3次元的には泡状構造
(~1Gpc程度)
●宇宙の階層構造と大規模構造:
階層ごとに天体グループ⇒全体として宇宙の大規模構造
・補足1:銀河の定量的特徴
【銀河の表面輝度分布】:
補足13-1
円盤銀河のディスク:𝐼 𝑟 = 𝐼𝑒𝑒𝑥𝑝 −7.67 𝑟
𝑟𝑒
1 4Τ
− 1 (ド・ボークルール則)
楕円銀河・バルジ:𝐼(𝑟) = 𝐼0exp(− Τ𝑟 ℎ) (指数関数則)
【銀河の回転速度と質量分布】:
中心から𝑟の力の釣合:𝐺𝑀 𝑟 𝑚
𝑟2 = 𝑚𝑉2
𝑟 → 𝑀 𝑟 = 𝑟𝑉2
𝐺 ⇒ 𝑉一定で𝑀(𝑟) ∝ 𝑟
銀河団の銀河の全運動エネルギー:𝑇,銀河団物質の全重力エネルギー:Ω, ビリアル定理:2𝑇 + Ω = 0
【銀河団の質量とビリアル定理】:
銀河団の全質量:𝑀, サイズ𝑅,各銀河のランダム運動速度:𝑉, 𝑇~1
2𝑀𝑉2 , Ω~ − 𝐺𝑀2
𝑅 ⇒ 𝑀~𝑅𝑉2
𝐺 (サイズと団内の運動から質量推定)