第5学年3組 社会科学習指導案
指導者
1 単元名 情報化した社会とわたしたちの生活~情報産業とわたしたちのくらし~
2 単元について
(1)単元観
本単元は,学習指導要領の以下の内容に該当する。
本単元では,学習指導要領の内容⑷に示す「我が国の情報産業や情報化した社会の様子」を取り 扱い,「放送,新聞などの産業と国民生活のかかわり」と「情報化した社会の様子と国民生活とのか かわり」について調査したり,資料を活用したりして調べ,情報化の進展は国民の生活に大きな影響 を及ぼしていることや,情報の有効な活用が大切であることを主な学習内容としている。
近年,急速な科学の発達に伴って,わたしたちの暮らしを取りまく情報媒体は飛躍的に進歩してき ている。中でも,「携帯電話」や「スマートフォン」,「インターネット」をはじめとしたネットワー クに関わるモバイル機器の発展・普及はめざましく,小学生から高齢者まで幅広い利用者に親しまれ ている。2014年末には,小学生段階での利用者数は71.6%,中学生以上(13歳~19歳)
の利用者数は97.8%になった。児童にとってインターネットはとても身近なものになっているの である。
しかし,無料で情報が調べられることや,無料でゲームができることも当たり前になっているた め,無料であることに疑問をもつことなく無防備にインターネットを活用している児童も多くいる。
今後もさらに情報化した社会が進んでいくことを考えたときに,情報を受信する側が,情報の種類と その正しい利用方法を学ぶことはても大切である。一方で,情報リテラシーを身につけ,正しい情報 を取捨選択することは大人でも難しい。
そのため,流されている「情報」よりも,その「情報」を流している「情報産業の行為」の意味 目標(2)我が国の産業の様子,産業と国民生活との関連について理解できるようにし,我が国
の産業の発展や社会の情報化の進展に関心をもつようにする。
(3)社会的事象を具体的に調査するとともに,地図や地球儀,統計などの各種の基礎的資 料を効果的に活用し,社会的事象の意味について考える力,調べたことや考えたこと を表現する力を育てるようにする。
内容(4)我が国の情報産業や情報化した社会の様子について,次のことを調査したり資料を活 用したりして調べ,情報化の進展は国民の生活に大きな影響を及ぼしていることや情 報の有効な活用が大切であることを考えるようにする。
ア 放送,新聞などの産業と国民生活とのかかわり イ 情報化した社会の様子と国民生活とのかかわり
を理解させることで情報の効果的利用につながると考え,本単元を設定した。
本単元では,テレビ局を主な情報産業として取り上げ,他の情報産業と比較しながらその運営方 法を調べていく。情報単元でも他の産業単元と同じく「この会社はどのような活動によって利益をえ ているのだろうか」と問い,経済的な視点で情報産業の意味理解を深めさせる。情報をもとに利益を 得るしくみや視聴者を得るために行っているテレビ局の様々な工夫に気づかせていく。また,インタ ーネットの普及にともなって生まれた新たなビジネスモデルについても扱い,情報の価値と問題点に ついても気づかせたい。これからの時代を担う児童にとって,情報を発信する側の努力や工夫につい て学ぶことは,この高度情報化社会を生き抜いていく上で必要不可欠である。そして,自分が得た情 報を正しく使用しようとする態度を育むことにつながるはずである。
(2)単元の系統
5年生では以下の流れで1年間学習を進めていく。情報についての学習は,年間の中で後期に位 置し,日本の産業の中で食料生産にかかわる農業と水産業,ものを作りだす工業,そして情報産業を 学習するような配列になっている。特に,本単元は,「 情報産業とわたしたちのくらし」,「社会 を変える情報」,「情報を生かすわたしたち」の3つの小単元から構成されている。
1わたしたちの国土
2 わたしたちの生活と食料生産
4 情報化した社会とわたしたちの生活
①情報産業とわたしたちのくらし(本時)
②社会を変える情報
③情報を生かすわたしたち
5 わたしたちの生活と環境
3 わたしたちの生活と工業生産
3 児童の実態
(3)指導観
児童の実態から考えると,学習意欲を高め,主体的な学びを行わせるためにアクティブラーニン グの手法を取り入れていきたい。主体的に調べ学習を行えるように学習問題を児童自らつくり,自 らの問題として調べ学習に取り組んでいける工夫をしていく必要がある。
そこで,本単元では、まず一つ目として、児童にとってたいへん身近な情報媒体であるテレビに おいて、その発信を行っている「テレビ局」を取り上げ、情報産業と国民生活とのかかわり、そ して情報産業に従事している人々の工夫や努力をつかませていくこととする。そして、二つ目と して「身のまわりのさまざまな情報産業」を糸口に、情報の大切さや有効利用、情報モラルにつ いて気づかせ、考えさせていくこととする。
授業のはじめに,各家庭で新聞を定期購読しているかを再度確認する。児童は「なぜ購読してい るのか」「なぜ購読していないのか」と疑問に思うことだろう。そこから,それぞれの理由を共有 することで多面的な理解と主体的な学びを行わせることができると考える。新聞を定期購読して いない理由を確認した上で,「テレビ局」を取り上げ,放送産業と国民生活とのかかわり、そして 情報産業に従事している人々の工夫や努力をつかませていくこととする。
次に,児童にも身近になりつつあるヤフーとオンラインゲーム社が利益を得るしくみについて調 べさせ,テレビ局・新聞社と比較させながらその特徴について考えさせたい。どの情報産業も利 益を得るために視聴者に情報を提供していることに気づくことだろう。そして,その情報は情報 を発信する側の努力や工夫によって成り立っていることに気づくと考えられる。様々な人の手に よって取材され,視聴者にわかりやすい形に加工された情報の重要性を再認識させ,情報を正し く使用しようとする態度を育みたい。
4 単元の目標
〇情報に囲まれた生活に関心をもち,その利点や問題点について意欲的に考えたり,調べようとした りする。 (社会的事象への関心・意欲・態度)
〇情報産業や情報化した社会の様子から学習問題を見いだして追究し,情報化の進展が国民生活に大 きな影響を及ぼしていることや情報の有効な活用が大切であることについて思考・判断したこと を言語などで適切に表現することができる。 (社会的な思考・判断・表現)
〇情報産業と国民生活との関わりや,マスメディアについて,各種の資料から必要な資料を選んで活 用し,調べることができる。 (観察・資料活用の技能)
〇マスメディアや,様々な情報産業それぞれの特徴を知り,わたしたちが生活の中でそれらを有効に 活用していることを理解することができる。また,情報には,便利なものだけでなく,わたした ちに不利益を与えるものがあることを知り,活用するためには責任が伴うことを理解することが できる
。
(社会的事象についての知識・理解)5 指導計画(7時間扱い)
過程 時配 目標 主な学習内容 評価規準〈観点・方法〉
見出 す
1
〇自分たちのまわ りには,多様な 情報があること に気づき,情報 に対する関心を 高める。
〇教科書の写真資料をもと に,自分たちの身のまわり にどのような情報やそれを 伝える方法があるか,話し 合う。
〇自分のまわりで利用さ れている情報を積極的 に探し,身のまわりの多 様な情報に関心をもっ ている。〈関・ノート〉
〇マスメディアや,様々な 情報産業それぞれの特 徴を知り,わたしたちが 生活の中でそれらを有 効に活用していること を理解している。
〈知・ノート〉
1 本時
〇情報を得る方法 には有料と無料 のものがあるこ とを知り,情報 産業と国民生活 の関わりについ て予想し,学習 問題をつくる。
〇生活の中で,多くの情報を いろいろな手段(新聞・テ レビ・インターネット)で 手に入れていることを知 り,情報に関する関心を高 め,その特徴を調べる。
〇新聞で情報を調べるにはお 金がかかり,テレビやイン ターネットで情報を調べる のは無料でできることを知 り,その利便性について話 し合い,学習問題を設定す る。
〇どのようにして利益を得て いるのか,予想を立てる。
・広告を載せた人からお金 をもらう。
・受信料をもらう。
〇視聴者を得るためにどんな 工夫をしているか,予想を 立てる。
・早く正しい情報を提供し
〇身近な話題をもとにし て,自分たちのまわりに は多様な情報があるこ とに気づき,情報を提供 している産業と国民生 活の様子に関心をもち,
意欲的に考えたり,調べ たりしている。〈関・ノ ート〉
〇情報産業や情報化した 社会の様子から情報を 提供している産業と国 民生活との関わりにつ いて予想し,学習問題を 考えようとしている。
〈思・ノート〉
なぜ,情報を無料で発信している会社があるの だろうか。また,視聴者ためにどんな工夫をして いるのだろうか。
ている。
・視聴者が見たい番組をつ くっている。
調べ る
1
〇新聞社の取り組 みについて調 べ,情報を提供 するために多く の人が関わるこ とによって有料 になっているこ とを理解する。
〇情報を有料で発信している 主な会社として新聞社を取 り上げ,その運営の方法と 国民生活の関わりについて 調べる。
〇新聞がどのようにつくられ ているのかを調べる。
・新聞ができるまで 取材→編集会議→記事や
写真の配置→紙面チェッ ク→印刷
・家庭に届くまで 印刷所→販売所→家庭 ・多くの人の手がかかった
り,輸送費がかかったり するので有料。
〇新聞の良さについて話し合 う。
・一目でトップ記事がわか る。
・持ち運べる。
・地域向けのその土地に住 む人々にあった情報を届 ける新聞もある。
〇教科書,資料集の資料を 活用して必要な情報を 集め,新聞がどのように つくられ,家庭に届くの かを調べている。〈技・
ノート〉
3
〇短い時間で正確 にわかりやすく 伝える工夫や緊 急時に現地から 早く正確に情報 を伝える工夫を していることを 資料から読み取 る。
〇情報を無料で提供している 主な会社としてテレビ局を 取り上げ,その運営の方法 と国民生活の関わりについ て調べる。
〇ニュース番組がどのように つくられているのかを調べ る。
・情報収集→編集会議→取 材→原稿作成→映像の編
〇教科書,資料集の資料や 放送局のホームページ などを活用して必要な 情報を集め,ニュース番 組がどのようにつくら
〇テレビ局では番 組を視聴者が見 る時間に編成し ていることを理 解する。
〇情報産業は生活 に大きな影響を およぼしている ことや,情報化 の進展にともな って放送局の発 信者としての責 任と受け取る側 の正しい判断が 一層求められて いることを理解 する。
集→放送。
・早く正確にわかりやすく 伝える工夫がある。
・人権や公平,公正さに気 を配っている。
〇新聞のテレビ欄を調べ,テ レビ局では番組をどのよう な基準で編成しているのか を調べる。
・番組を「知る番組」「楽し む番組」に分けて構成し ている。
・朝は天気予報などの「知 る番組」が多い。
・夜は家族で見られるバラ エティ番組などの「楽し む番組」が多い。
〇テレビの情報は国民生活に どんな影響を与えるのか。
また,どのように生かせば よいのかを考え,発表し合 う。
・災害があったときに被災 地の情報がすぐにわか る。
・事実と異なる情報が流れ ると社会が混乱したり,
誰かを傷つけたりするこ とがある。
・送る側は正しい情報を発 信する。
・受け取る側はいろいろな 情報を見比べる必要があ る。
れているのかを調べて いる。
〈技・ノート〉
〇テレビ局では番組を視 聴者が見る時間に編成 していることを知り,わ たしたちが生活の中で それらを有効に活用し ていることを理解して いる。
〈知・ノート〉
〇テレビの情報と国民生 活の関係に関心をもち,
その利点や問題点につ いて意欲的に考えよう としている。
〈関・ノート〉
〇情報には,便利なものだ けでなく,わたしたちに 不利益を与えるものが あることを知り,活用す るためには責任が伴う ことを理解している。
〈知・ノート〉
まと め あげ る
1
〇ヤフーやオンラ インゲーム社が 情報に付加価値 をつけ,広告収 入や課金制度に よって収入を得 ていることを理 解する。
〇各家庭のインターネット,
スマートフォンの使用率に ついて確認し,インターネ ット使用率が多いことに気 づく。
〇ヤフーやオンラインゲーム 社がどのように収入を得て いるのかを調べる。
(例)ヤフー
・広告収入によって運営さ れている会社である。サ イトの利用者を増やし,
多くの人に情報と一緒に 広告を見てもらうように するために,情報を無料 で見られるようにしてい る。
(例)オンラインゲーム社
・有料のサービス購入者を 増やすために,ゲームを 無料にすることによっ て,全体の利用者を増や そうとしている。
〇調べてきたことをもとに新 聞社・テレビ局・ヤフー・
オンラインゲーム社がどの ように運営されているのか について比較しながら発表 し合う。
〇ヤフーやオンラインゲ ーム社が利益を得るし くみを意欲的に調べて いる。〈関・ノート〉
〇ヤフーやオンラインゲ ーム社が利益を得るし くみを理解している。
〈知・ノート〉
深め
る 1
〇意欲的に情報化 社会の今後につ いて考えようと する。
〇情報産業について調べた知 識をもとに,情報産業の今 後の取り組みについて考 え,話し合う。
〇情報産業について調べ た知識をもとに,情報化 の進展が国民生活に大 きな影響を及ぼしてい ることや情報の有効な 活用が大切であること について思考・判断した ことを言語などで適切 に表現している。
〈思・発言,ノート〉
6 本時の指導(2/7)
(1)目標
○情報に囲まれた生活に関心をもち,その利点や問題点について意欲的に考えたり,調べようと したりする。 (関心・意欲・態度)
○情報産業や情報化した社会の様子から学習問題を予想し,つくることができる。
(思考・判断・表現)
(2)展開
時配 学習活動と内容 指導・支援(○)と評価(◎) 資料 7 1 課題をつかむ。
〇国語科の学習を振り返り,新聞の情 報のよさを確認する。
・持ち運べる。
・正確な情報が載っている。
・見出しを読むと大まかな内容がわ かる。
〇各家庭の新聞・インターネット調査 の資料を読み取る。
・約半分の家が新聞をとっていな い。
・ほとんどの家がインターネットを 接続している。
・有料だから。
・かさばる。
・読むのが面倒。
○今まで国語科で学習してきたこ とを振り返り,新聞のよさを改 めて確認することで新聞の必要 性を確認する。
〇一方で,新聞の購読数が減少し ていることを資料から読み取ら せ,問題意識をもたせる。
〇なぜ新聞が読まれなくなってき ているかを考えさせ,その他の 情報媒体はどんな良さがあるの かに興味をもたせるようにす る。
掲示物
「 新 聞 の 良さ」
グラフ
「 新 聞 購 読数・イン タ ー ネ ッ ト加入率」
15 2 教科書の資料をもとに新聞・テレビ・
インターネットの長所・短所につい て調べ,発表し合う。
①個人で調べる。
②ペアで交流する。
③全体の場で発表し合う。
〇なかなか書くことのできない児童 には,有料か無料かに着目して考 えるように助言する。
〇友だちが気付いたことは青鉛筆で ノートに書き足すようにさせる
◎情報に囲まれた生活に関心をも ち,その利点や問題点について 意欲的に考えたり,調べようと したりしている。
なぜ新聞は読まれなくなってきたの だろうか。
(関・ノート,発言)
10 3 新聞社が20年後存続しているかを 考え,発表し会う。
①個人で考える。
②立場を明らかにして発表し合う。
〇「存続」か「存続しない」か立場 を明らかにさせてから発言させ る。
〇なぜそう思うのか,具体的な理 由を述べることができた児童を 賞賛する。
〇テレビ・インターネットの良さ と比較して発言させるようにす る。
◎情報に囲まれた生活に関心をも ち,その利点や問題点について 意欲的に考えたり,調べようと したりしている。
(関・ノート,発言)
5
5
5 話し合いをもとに学習問題をつく る。
〇新聞社が存続するために参考にでき る情報媒体は?
・テレビ
・インターネット
6 予想を立てる。
〇どのようにして利益を得ているの か,予想を立てる。
・広告を載せた人からお金をもら う。
・受信料をもらう。
〇視聴者を得るためにどんな工夫を
〇単元の終わりには,各児童が新 聞社になりきり,20年後も新聞 社が存続していくために企画を 提案することを伝える。そのた めに,参考にすべき取り組みは 何かを問いかけるようにする。
◎情報産業や情報化した社会の様 子から学習問題を予想し,つく ることができているか。
(思・発言,ノート)
〇予想を個々に書かせ,ノートに まとめ,発表させる。
なぜ,情報を無料で発信している会社があるのだろうか。また,視 聴者ためにどんな工夫をしているのだろうか。
2
しているか,予想を立てる。
・早く正しい情報を提供している。
・視聴者が見たい番組をつくってい る。
7 次時の学習内容を知る。 〇次時の学習内容を確認し,グル ープで調べていくことを確認さ せる。
(3)板書計画
Q新聞の良さは? Q 新聞・テレビ・インターネットの長所・短所は何だろう?
・持ち運べる。 長所 短所 ・正確な情報が載っている。 新聞 ・見出しを読むと大まかな内容がわかる。 テレビ インターネット
Q果たして新聞社は20年後存続しているだろうか?
はい or いいえ
・有料だから。
・かさばる。
・読むのが面倒。
・テレビやインターネットの方がよい。 新聞社が存続していくのはかなりむずかしい!!
資料(グラフ) 減ってる!
なぜ新聞は読まれなくなってきたのだろうか。
なぜ,情報を無料で発信している会社があるのだろうか。また,
視聴者ためにどんな工夫をしているのだろうか。