指導案-1-
理科を学ぶ意義や有用性を味わう子供を育てる理科科学習指導
~三つのつなぐ活動を通して~
第四学年菊組 理科学習指導案
指導者 宮野 祥太 単 元 とじこめた空気や水
指導観
○ 本学級の子供たちは,これまでに,同時に複数の自然の事物・現象について差異点や共通点,時間の前後での変 化を比較したりして,きまりを追究することができるようになっている。そこで,自然の事物・現象と既習を関係 付けたり,自然の事物・現象の変化とその要因を関係付けたりすることができるようになるこの期に本単元を取り 上げる。そして,閉じ込めた空気と水の性質について,既習や生活経験を基に,空気と水の体積や圧し返す力の変化 を関係付けて追究し,日常と関連した事象について説明することを通して閉じ込めた空気と水の性質の理解を深 めることができるようにする。このことは,理科を学ぶ意義や有用性を味わう子供を育てる上からも意義深い。
○ 本単元に関しては,第3学年で物の形や体積と重さとの関係について,形や体積に着目して追究し,物は形が変 わっても重さが変わらないことから粒子の基本的な概念について学習してきている。本単元では,これらの上に 立って,閉じ込めた空気や水の体積や圧し返す力の変化に着目し,それらと圧す力を関係付けながら追究し,閉じ 込めた空気と水の性質について理解することができるようにする。このことは,次の単元の金属,空気及び水の体 積や状態の変化の学習や,第6学年の空気の変化に着目し,物の燃え方を多面的に調べる活動へと発展していく。
○ 本単元の指導に当たっては,閉じ込めた空気を圧すと,体積は小さくなるが,圧し返す力は大きくなることや,水 は圧し縮められないことを捉えることができるようにする。特に本時指導に当たっては,導入段階で,空気と水で の弾み方の違いから,めあてをつかむことができるようにする。次に,展開段階では,根拠のある予想や仮説を発 想し,実験を行い,閉じ込めた水は圧し縮めることができないことを捉えるようにする。最後に,終末段階では,き まりと関連した事象を考え,知識の適用範囲の広まりや思考の深まりから充実感を得ることができるようにする。
目標
1 実験器具を適切に扱いながら,閉じ込めた空気は圧すと,体積は小さくなるが,圧し返す力は大きくなることや, 閉じ込めた水は圧し縮められないことを理解し,それらと関連した事象を知り,知識を広げることができる。
2 空気と水の性質について,生活経験を基に根拠のある予想や仮説を発想し,空気や水の体積の変化や圧し返す力 と圧す力を関係付けて考えたり,関連した日常の事象の仕組みを説明したりして,問題解決ができるようにする。
3 空気と水についての事象に必要感をもち,他者と協働して問題解決していく中で,見いだしたきまりと関連した 事象に期待感をもって関わり,知識の広がりや思考の深まりに充実感を味わおうとする態度を育てる。
計画(7時間)
1 閉じ込めた空気や水を圧す体験をさせ,単元を通しての追究する問題をつかませる。 1 2 閉じ込めた空気や水の体積の変化や圧し返す力と圧す力の関係を捉えさせる。 5
(1)空気を圧した時の体積の変化と圧し返す力の関係----② (2)空気を圧した時の空気の中様子---① (3)水を圧し縮めた時の体積の変化---②(2/2)本時
3 閉じ込めた空気や水の学習を振り返らせ,本単元で学んだことを確かめさせる。 1 本時 令和5年7月6日(木曜日) 第5校時 理科室において
主眼1 閉じ込めた空気は圧し縮められるが,閉じ込めた水は圧し縮めることができないことを基に、豆腐パックの中 の水も圧し縮められないことで豆腐が崩れないように工夫していることを理解することができるようにする。
2 閉じ込めた水の体積の変化について,注射器の目盛りの位置に着目し,水は圧し縮められないことを見いだ し,そのきまりを適用した事象の仕組みを説明することで、閉じ込めた水の性質の考えを深めることができる。
準備 学習者用端末,プラスチックの注射器,注射器のカバー,豆腐パック
指導案-2- 過程
段階 学習活動と予想される子供の反応 教師の具体的な支援
導 入
展 開
終 末
1 前時の学習を振り返り、めあてと見通しを確認する。
2 実験を行い,きまりを見いだす。
(1) 閉じ込めた水は圧し縮められるかを調べる実験を行う。
(2) 結果を基に考察し,きまりを見いだす。
3 本時とつながりのある事象と出会い,その仕組みを調べ学習 をまとめ,自分の高まりを振り返り,充実感を得る。
(1) 日常の事象を提示し,きまりがどのように生かされている か考え,確かめる。
(2) 本時の中での自分の高まりを振り返り,充実感を得る。
○ めあてや見通しの確認を行いスムーズ に実験を行わせるために,ICT機器を使っ て前時の板書を確認する場を設ける。
○ 見通しをもった実験を行わせるために, これまでの学習での実験方法を振り返る 場を設ける。
○ 水を圧した時の体積の変化を視覚的に 分かりやすく捉えさせるために,目盛りの ついた注射器を使用する。
○ 実験の結果を基に,本時のきまりを見い ださせるために,めあてや見通しを振り返 る時間を設ける。
○ 本時の知識の適用範囲を日常の事象に 広げさせるために,水の入った豆腐パッ クを提示する。 【つなぐ活動Ⅱ】
○ 自分たちの考えを確かめさせるために, 水の入った豆腐パックと入っていない豆 腐パックを,比較する場を設ける。
○ 充実感を味わわせるために,学習前と学 習後の自分を比較する場を設ける。
【つなぐ活動Ⅲ】
とじこめた水も空気と同じようにおしちぢめることができるかを 調べよう。
力を加えたら
豆腐はつぶれるかな? 豆腐パックには水が入っているよ。
閉じ込めた水と関係がありそうだ。
とじこめた水は,空気とちがって,おしちぢめることができない。
最初は,閉じ込めた水のきまりがよく分からなかったけど,きまりを見つけて, 身の回りのことを考えることでよく分かるようになった。
水なしはつぶれたけど、水ありは つぶれなかった。このことから、豆 腐のパックに水がある理由は、水は 力を加えても体積が変わらないき まりを生かして豆腐を守っている からだね。
【予想】水は空気と同じように圧し縮められると思う。
理由は,水は形を変えることができるから。
【方法】注射器に水を入れて,圧すことができるか調べる。
【視点】圧し縮めたときの目盛りの変化
注射器の中の水を圧しても目盛りは変化しなかった。このことか ら、とじこめた水は圧しても体積は変わらないので、圧し縮められ ないことが分かる。
水あり 水なし
つぶれない つぶれた
【実験】
水は 圧し縮め られるか
豆腐パックはつぶれないと思う。理 由は水は圧し縮められないから。
本時のはじめの自分
・どんな疑問をもっていたか
本時の終わりの自分
・解決したことは何か 圧す力
目盛り
きまり とじこめた水はおしちぢめることができない。
指導案-- 本単元の構成
配時 学習活動と予想される子供の反応 教師の具体的な支援
45
90
45
1 空気を袋に閉じ込めて圧したり,空気鉄砲や水鉄砲を飛ばしたりす る体験を通して,気付いたことを話し合い,単元のめあてをつかむ。
2 閉じ込めた空気を圧すと,体積は小さくなるが,圧し返す力は大きく なることを捉える。
○ 前時の学習ややこれまでの生活経験をもとに,閉じ込めた空気を圧 した時の体積や手応えの変化と圧す力の関係について調べる。
○ 閉じ込めた空気が圧された時の様子をイメージ図を基に調べる。
○ 本単元に目的意識をもって問題 解決できるようにするために,閉じ 込めた空気と水を使う遊びを行う 場を設定する。
○ 空気を圧し縮めた時の経験を想 起させるために,前時の様子を学 習者端末を使って提示する。
【つなぐ活動Ⅰ】
○ 空気を圧した時の体積の変化を 視覚的に分かりやすく捉えさせる ために,目盛りのついた注射器を使 用する。
○ 本時の知識の適用範囲を日常の 事象に広げさせるために,梱包材 で包装された物を提示する。
【つなぐ活動Ⅱ】
○ 充実感を味わわせるために,学習 前と学習後の自分を比較する場を 設ける。 【つなぐ活動Ⅲ】
○ 空気の手ごたえと体積の変化を 関係付けて捉えるために,イメー ジ図で表す場を設定する。
とじこめた空気や水に力を圧し縮めると体積や手応えはどのよう に変わるか調べよう。
実験
イメージ図
ばね つぶ 色の濃 さ
とじこめた空気は圧すと体積が小さくなり手応えは大きくなる。
【予想】空気を圧す力と、体積は小さくなり、手応えは大きくなると思う 理由は空気の入ったペットボトルを圧した時に潰れたけど、途 中から潰せなくなったから。
【方法】注射器に空気を入れて,力を加えて手を離した時にどこまで戻る かを調べる。
【視点】圧すと目盛りはどうなるか、手応えはどうなる
閉 じ 込 め た 空 気 を 圧 す と、体積は小さくなった。
小さくなると手応えは大 きくなるきまりがわかっ た。
梱包材を巻いた植木鉢は割れなかった よ。空気のきまりってすごい。身の回り に生かされているのだね。
最初は,閉じ込めた空気のことがよく分からなかったけど,きまりを見つけ て,梱包材に生かされていることを考えることでよく分かるようになった。
・どうして空気鉄砲や水鉄砲は飛ぶのかな。
・ねらった所に飛ばせるようになりたいな。
・空気を圧したら圧し戻される感じがしたよ。
閉じ込めた空気の 中 のモールは縮んだよ。
閉じ込めた空気は 体 積が小さくなる時に、
圧し縮められてい る んだね。
とじこめた空気は圧し縮めることができる。
圧す力 目盛り
手ごたえ
指導案-- 45
45 本時
45
○ 水をとじこめて力を加えても,水は圧し縮めることができないこと を捉えるためのめあてや実験の見通しを立てる。
〇 閉じ込めた水は圧し縮めることができないことを実験して確かめ
。
3 閉じ込めた空気や水のきまりを実感させるために,閉じ込めた空気 や水の性質を利用したペットボトルロケットを飛ばす体験を行い,単 元の学習を振り返って自分の高まりを認識し充実感を得る。
○ 根拠のある予想を立てさせるた めに,空気の時の変化や,単元導入で の水を使用した場面を学習用端末 に提示する。 【つなぐ活動Ⅰ】
○ 水を圧した時の体積の変化を視 覚的に分かりやすく捉えさせるた めに,目盛りのついた注射器を使用 する。
○ 本時の知識の適用範囲を日常の 事象に広げさせるために,豆腐パ ックを提示する。
【つなぐ活動Ⅱ】
○ 充実感を味わわせるために,学習 前と学習後の自分を比較する場を 設ける。
【つなぐ活動Ⅲ】
○ これまでに学習したことを振り 替えさせるために,単元の板書を学 習用端末に提示する。
【つなぐ活動Ⅰ】
○ これまでのきまりを生かされて いることを捉えさせるために,ペッ トボトルロケットの飛ぶ仕組みを 考える場を設定する。
【つなぐ活動Ⅱ】
○ 充実感を味わわせるために,単 元の導入と今の自分を比較する場 を設ける。 【つなぐ活動Ⅲ】
実験 水を圧しても目盛り
は 下 が ら ず に,手 ご たえは変わらなかっ た。このことから水 は圧し縮められない ことが分かる。
力を加えたら豆腐はつぶれるかな?
とじこめた水は,空気とちがって圧し縮めることができない。
どうしてペットボトルロ ケットは飛ぶのかな。
これまでに学習したきま りのどんなきまりが生か されているのかな。
最初は,閉じ込めた水のきまりがよく分からなかったけど,きまりを見つけ て,豆腐のパックにきまりが使われていることを自分たちで考えることで よく分かるようになった。
【予想】水は空気と同じように体積は小さくなると思う。
理由は,水は形を変えることができるから。
【方法】注射器に水を入れて,圧すことができるか調べる。
【視点】圧し縮めたときの目盛りの変化
水なしはつぶれたけど、水ありは つぶれなかった。このことから、豆 腐のパックに水がある理由は、水 は力を加えても体積が変わらない きまりを生かして豆腐を守ってい るからだね。
ペットボトルの中に空気を入れて空気を圧し縮めていくと、空気は元に戻 ろうとして水を圧すから、ペットボトルロケットは飛ぶんだね。空気は圧し 縮められるきまりや、水は圧し縮められないきまりが使われているね。
圧す力 目盛り
本時のはじめの自分
・どんな疑問をもっていたか
本時の終わりの自分
・解決したことは何か
単元の終わりの自分
・どんなことを解決したか
・できるようになったことは何か 単元のはじめの自分
・どんな疑問をもっていたか
最初は閉じ込めた空気や水のきまりがわからなかったけど、学習をしていく 中できまりが分かるようになって、ペットボトルロケットを飛ばす時でもき まりを生かして楽しむことができた。
とじこめた水も空気と同じように圧し縮めることができるか調べよう。