平成21年6月23日 微粒子合成化学 第6回小テスト
専攻 学籍番号 氏名
※3行ルール(3行は書くこと!0~2行だと減点)適用。裏面も使ってよい。9:10まで。
1. 界面における任意の距離の電位を数式で与えるための基礎式を1つあげた上で、そ の式の意味を述べよ。
表面から離れて行くに従い、電位が下がるのを、ボルツマン分布で考え、また、電荷に関 するポアソンの式を考える。
従って、
平板電気二重層に対する、Poisson-Boltzmann 式は、
(3),(4)式からx方向だけを考えて
kT ze nze
dx d
r
ψ ε
ε
ψ 2 sinh
0 2
2 = (5)
(5)式を積分して、
) 4 exp(
4 tanh
tanh 0 x
kT ze kT
zeψ ψ ⎟ −κ
⎠
⎜ ⎞
⎝
= ⎛ (6)
ρ: 電荷密度
は、対称型電解質(z+ =z− =z ,n0+ =n0− =n)に対して、
⎟⎠
⎜ ⎞
⎝
− ⎛
=
⎭⎬
⎫
⎩⎨
⎧ ⎟
⎠
⎜ ⎞
⎝
− ⎛
⎟⎠
⎜ ⎞
⎝
⎛−
=
−
= + −
kT nze ze
kT ze kT
nze ze n n ze
ψ
ψ ψ
ρ
sinh 2
exp exp
) (
1.拡散層中のイオンの濃度はボルツマン分布に従う
⎟⎠
⎜ ⎞
⎝
⎛−
= + +
+ kT
e n z
n exp ψ
0 (1)
⎟⎠
⎜ ⎞
⎝
= − ⎛ −
− kT
e n z
n exp ψ
0
n: 拡散層中のイオンの個数濃度 n0: バルク溶液中のイオンの個数濃度 z: イオンの価数
k: ボルツマン定数 T: 温度
ψ: 問題にしている点における電位
+,-: 陽イオン、陰イオンを表す
拡散層内における電位は、Poissonの式
0 2
2 2 2 2 2
) (grad
div ψ ψ ψ ψ ερε
ψ
z r
y
x =−
∂ +∂
∂ +∂
∂
= ∂
=
Δ (3)
を基礎にして求められる。
εr: 溶液の比誘電率 ε0: 真空の誘電率 ρ: 電荷密度
2. Helmholtz、Gouy-Chapmanモデルの違いについて述べよ。
3. 微粒子の凝集・分散を物理化学的に取り扱う場合、そのベースになる考え方を二者
択一的alternativeとらえ方で、順を追って説明し、最後に、基礎式となる2式を書
け。
4.
常に、二者択一を考え、それらは相互に独立であるとする。または、そのように仮定する。
すなわち、
(1) 溶液中のコロイドは、安定か、不安定か、どちらかである
<<1 kT
zeψ なら、(5)式は、
ψ ψ κ2
2 2
dx =
d (7)
ただし、 kT e nz
r 0 2 2 2 2
ε
κ =ε (8)
25℃水溶液では特に c
9z 10 3 . 3 ×
κ = (9)
(7)式を解くと、
)
0exp( κx ψ
ψ = − (10)
0 距離
表 面
溶媒中
(バルク)
表面電位ψ0
ζ電位
Helmholtz理論
0 距離
表 面
溶媒中
(バルク)
表面電位ψ0
ζ電位
Gouy-Chapman 理論
拡散二重層
(2) 安定な状態を「分散」、不安定な状態を「凝集」と考える
(3) 凝集は分子間力(van der Waals力)、分散は粒子表面にある表面電荷による静電的反 発力が原因である
(4) それぞれの力は独立であるので、和で考えることができる
5. 基礎式を変形すると途中で登場するκは、Debye-Hückel パラメータと呼ばれるも のである。それが、イオン濃度、イオンの価数、温度によってどういう影響を受け るか考察せよ。
溶液中の2枚の平行平板(板間距離: h)に 作用する力Pは
O
E P
P
P= + (15)
静電気成分 + 浸透圧成分
(電気力線により内側に引かれる力)+
(対イオンの浸透圧により外側へ押される力)
nkT kT
n n P
dx P d
O r E
2 ) (
2
2 0
− +
=
⎟⎠
⎜ ⎞
⎝
− ⎛
=
− +
ψ ε ε
POは常にPEよりも大きく、板は反発力を受ける 板の接近過程で表面の電位ψ0が変化しなければ、
PEの寄与を無視して、(1)と(16)のPOの式から、
板の受ける反発力PR(h)は単位面積あたり
(このときの考え方は、2つの平板の丁度中間の 面と無限遠の面を考え、中間の面上では、対称性 から電場は零、無限遠の平面でも電場は零である から、浸透圧成分のみを考えればよい、というこ とになる)
⎭⎬
⎫
⎩⎨
⎧ −
=2 cosh 1
)
( /2
kT nkT ze
h
PR ψh
ψ2/h: 板間の中央における電位
相互作用が弱ければ、ψh/2は単独の電気二重層の
電位ψs(h/2)の2倍と考えて、
kT ze kT ze kT
zeψ/4 <<1 then tanh( ψ /4 )≅ ψ/4 より、(6)式から、
(この近似は、後述するように、
ψ<20 mVのとき成立する)
⎟⎠
⎜ ⎞
⎝
⎛−
=8 exp 2
) 2 / (
h ze
kT
h γ κ
ψ
(18)
⎟⎠
⎜ ⎞
⎝
= ⎛ kT
ze tanh 4ψ0 γ
(17)式で
2 2 / 2
/ /kT 1 then P (h) nkT{ze /kT}
zeψh << R ≅ ψh
より、これに(18)式を代入して、
(この近似は、κh>1、つまり、hが電気二重層の厚さ よりも長いところで成り立つ
近似には cosh y ≅ 1 + y2 を使用した)
すると、
) exp(
64 )
(h nkT 2 h
PR = γ −κ
次に球形粒子間の相互作用を考える
次に球形粒子間の相互作用を考えよう
いま、
kT ze
kT ze
kT
zeψ0/4 <<1 then tanh( ψ0/4 )≅ ψ0/4 のとき、(23),(24)式は
(zeψ0=4kTは、1:1電解質で25℃で、
ψ0=103 mVのとき成立、
ψ0=20 mV以上では、zeψ0/4kTとtanh{ zeψ0/4kT}に、
1%以上のずれが生じる
ので、20mV以下でこの近似は成り立つとしてよい)
) exp(
2 )
(H a 0 02 h
PR = π εrε κψ −κ
(25)
) exp(
2 )
(H a 0 02 h
VR = π εrεψ −κ
(26) (13)式を使うと、
) 2 exp(
) (
0 2
a H H
P
r
R κ
ε κε
σ
π −
=
増加
減少 絶対温度
増加 イオンの価数
増加 イオン濃度
κ
↓
→
→
→ T
z n
絶対温度
イオンの価数 イオン個数濃度 はボルツマン定数
は誘電率、
は電気素量、
T z n k e
kT e nz
r r
0 0
2 2