第6学年3組 道徳学習指導案
指導者 小泉 真由美 1 主題名 内容項目 自分の心に誠実に (A-〔正直、誠実〕)
(資料名 「のりづけされた詩 」 出典「みんなのどうとく6年」 学研)
2 主題設定の理由
(1)価値について
第5学年及び第6学年の指導内容A-〔正直、誠実〕は「誠実に 明るい心で生活すること。」
となっている。これは中学年の「過ちは素直に改め、正直に明るい心で生活すること。」を受け、
中学校の「自律の精神を重んじ、自主的に考え、誠実に実行してその結果に責任をもつこと。」に 発展していくが、高学年の段階では、特に自分に対する誠実さを充溢させ、外に向けて発揮でき るようにすることが求められている。
本当の意味での「明るい心で、楽しく生活する。」は、単なるおもしろさやおかしさだけでは得 られない。それは自分の行為に後ろめたさや後悔があるときには決して明るい心で生活すること はできないからである。逆に、人間は自分の良心に偽りなく行動したとき、安心感や満足感、す がすがしさを味わうことができて、自己の向上にもつながっていく。だからこそ、この時期の児 童に、誠実に生きることの意義をしっかりと理解させたい。
(2)児童の実態について
本学級の児童は、5年生から同じクラスで、互いの気心も知れている。しかし単なるおもし ろさやおかしさを好み、みんなが笑うならやっちゃえと言う気持ちが先に立ち、人の気持ちを思 いやることに欠けてしまうことが見られる。自己主張が強い子が多く、自分の失敗や非を認めら れず、ごまかしたりうそをついたりしてしまうことがある。「正直に生きなければ」「誠実であり たい」ということが分かっているのにうそやごまかしが生活を暗くさせたり、友達との関係がう まくいかなくなってしまったりする児童も見かける。
誠実に生きることの心地よさを感じ取らせ、そのことが自分自身の誇りにつながることを考え させ、生涯にわたって人間のもつ弱さを克服しようとする心情の基礎を育てていきたい。
(3)資料について
主人公の「和枝」のクラスでは、学級文集を作ることになった。詩を書くことの得意な「和枝」
は仲良しの光子と詩を載せる約束をしたがなかなかいい詩が浮かんでこない。そんなとき、自分 が書こうとする詩にぴったりの詩を見つけ、なかなか思いつかない焦りからその詩の一部を写し てしまう。そのことで「和枝」は悩み、苦しむがついに一切を打ち明ける決心をする。「和枝」の 気持ちを考えることで誠実に生きることが自らの明るい生活につながるということが分かる資料 である。指導の視点としては、詩を提出した後、すべてを打ち明け文集にのり付けする場面での
心の葛藤を考えさせることにより、自分にも他人にも偽りのない行動を取ることで誠実さのねら いに迫れるだろう。
(4)指導観
この内容は、自己の心の動きに素直に従い、虚偽りのないようにすることである。そうするこ とによって、たとえ日々の生活において挫折することがあろうとも、くじけたりこだわり続ける ことなく、未来に希望を持ち、積極的に自己の向上を目指そうと明るい心で生活できることをね らいとしとしている。
主人公の和枝は友人の期待に応えたい、遅れを取りたくないという気持ちで本から文を流用し てしまうことを確認する。しかし、係の子から流用した題名をほめられたことがきっかけで数日 の間迷いや葛藤をすることに気づかせる。その後、和枝の行動を賛成か反対かを考えさせること により誠実さの価値に迫りたい。
3 仮説との関連
話し合いの深まる授業づくりを行えば、互いに認め合う心豊かな児童が育つだろう
○発問の工夫について
話し合いを深めるために、児童が考えやすい「賛成」「反対」から自分の考えをもち、さらに理 由も考えることにより話し合いがしやすくなると思われる。
○話し合いの工夫について
小グループで意見を出し合うことで自分の意見に自信をもつことができるようにさせていく。な かなか意見が出ない子も、グループでアドバイスを受けたりすることにより、考えを出せるよう になるだろう。
4 本時の指導
(1)ねらい
見せかけのかっこよさにとらわれず、正直であることを大切に、明るい心を持って生活してい こうとする心情を育てる。
(2)展 開
過程 時配 学習活動(○)主たる発問(◎) 支援及び指導上の留意点 資料 予想される児童の反応
導入 5 1 本時の学習のめあてについて話し 合う。
○自分が損をしたり、困ったりしても ・うそやごまかしをする自分はど 正直であるべきか考えよう。 んな理由があるのか想起させ
・正直はいいけど、損はしたくない。 る。
・うそつきでいい。 ・実態調査と発問により問題意識
・迷う をもたせる。
○うそやごまかしをしないで、正直で いることはなぜ大切なのか話し合お う。
展開 10 2 資料「のりづけされた詩」を読ん で話し合う。
○和枝さんはなぜ悩んでしまったので ・光子さんとは仲良しであること 和 枝 さ
すか に着目させる。 んの顔
・友達にほめられているから
・かっこいい詩を作らなければいけ ないと思っているから
○文集係の明子さんにほめられた和枝 さんの気持ちは
・自分が書いてないところをほめる なんて
・胸がしめつけられる
○和枝さんはこの数日間どうしていた ・流用してから、数日間の様子を
でしょう 考えさせる。
・部屋に引きこもりがち ・すぐに正直に話したのではなく
・食事ものどを通らない 数日間迷っていたところに着目
・自分が他の人の詩を勝手に使った させる。
ことを話そうか黙っていようか
17 ◎本当のことを先生に話し、鉛筆で書 ・賛成・反対の理由がはっきり書 ワ ー ク いた詩を一枚一枚のり付けした和枝 けるように促す。 シート さんの行いに 賛成ですか?反対で
すか?その理由は? ・同じ判断でも理由の違いがある
<賛成> ことを明確にする。
・他の人の詩を使ったことが後でわ
かったら、余計に非難される。 ・のり付けされた詩を見れば当然
・ずるいことをして文集にのせてもな 学級のみんなは不思議に思った にもならない。 り、不審に思うことも考えさせ
・見るたびに心が安まらない。 る。
<反対> ・グループで話し合うことで、和
・黙っていればわからない 枝さんのやったことが、自分が
・先生や友達から非難されたくない。 誠実になって、明るく過ごした
・少しだけだから、自分の詩に変わり いと考えたことに共感させる。
ない。 ・自分の内にある正直や誠実のを
・ごまかせば、わからなかったかもし 自覚させる れないけど、自分の心がすっきりし
ないで、ずっと後悔しそうだから。
5 3 自分の生活を振り返る。
○ごまかさないで正直に生活したこと がありますか。
・自分がいたずらをしてしまい、みん なが困ったとき、正直に自分がやっ たと言った。
・人のものを勝手にいじくってしま い、壊れてしまったとき正直に言っ て謝った。
終末 8 4 和枝さんに手紙を書こう ・ワークシートに自分の気持ちを 書く
・数名の児童の意見を聴く
(3)板書計画
のりづけされた詩
・かっこいい詩を作らなければ
・出だしの一、二行が決まらない
作品を渡したとき
・胸がしめつけられる
賛成
・他人に詩を使ったことが
後で分かったらよけい
非なんされる
・文集を見るたびに
思い出す
・ごまかしをして
結果を出しても
こうかいの
気持ちが残る反対
・先生や友だちに
非なんされたくない
・友人の期待を
裏切ることになる
・たった二行借りただけ
他は自分で作ったん
だから
5 他の教育活動との関連
学校生活の中で、ふとしたことからうそをついたりしてしまいがちである。うそがばれてしまう のではないかというもやもやした気持ちで生活するのではなく、人から何を言われようと、いろい ろな学習の場面で自分の気持ちに正直に行動することができるようにする。