2年1組- 1 -
第2学年1組 道徳学習指導案
指導者 加藤 美沙 1 主題名 内容項目名 物を大切に (価値項目 1-(1)節度・節制、自立)
資料名「新しい自転車」
出典「みんなのどうとく」学研
2 主題設定の理由
(1)価値について
本主題は、第1学年及び第2学年の指導内容1-(1)節度・節制、自立「節度を守り節制に心 掛ける」、「自主的に考え、判断し、誠実に実行してその結果に責任をもつこと」を受けて設定して いる。
児童らが毎日使う鉛筆や消しゴムなどは、消耗品ではあるが、安価で手に入りやすいことから粗 末に扱いがちである。2年生の児童は自分の物を大切にするという意識がまだまだ低い。必要な物 が簡単に手に入りやすい環境によって、物への感謝の気持ちや買ってもらったことへの感謝の気 持ちも薄いのではないだろうか。また、高価な物だからとか興味があるから大切にするのではな く、本当に必要な物だからこそ購入し、感謝の気持ちと愛着をもって長く使うことが大切だと考え る。
以上のことから、本資料を通して、身の回りの物を大切に使うことと物への感謝の気持ちに気づ かせたい。伴って、自分の生活に必要な物を正しく判断し選ぶことができる子どもの育成につなげ たい。
(2)児童の実態 (男子13名 女子20名 合計33名)
①今ほしい物はありますか。
はい 23名 いいえ 10名
②どうしても欲しい物があって家の人におねだりをしたが、「買わない」と言われたらどうします か。(複数回答)
・あきらめる 17名 ・我慢する 5名 ・ずっと言い続ける 4名
・誕生日やクリスマスの時に買ってもらう 4名 ・自分のお小遣いで買う 3名 ・お手伝いをして買ってもらう 1名 ・怒る 1名
③小さい頃から大切に使っている物はありますか。
はい 26名 いいえ 7名
④それは何ですか。(複数回答)
・おもちゃ 11名 ・ぬいぐるみ 8名 ・ゲーム 7名 ・洋服 3名 ・本 1名 ・布団 1名
⑤今持っている物と、同じような物が欲しくなったことはありますか。
はい 10名 いいえ 23名
⑥どうして欲しくなりましたか。
・かわいい、かっこいいから 6名
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・持っている人の物を見てうらやましくなったから 3名 ・コレクションしているから 1名
⑦今使っている筆箱は、入学してから何個目ですか。
・3個目 12名 ・1個目 9名 ・2個目 6名 ・4個目 3名 ・5個目 2名 ・10個目 1名
⑧使わなくなった筆箱はどうしましたか。(2個目以上の24名 複数回答)
・机の中にしまっている 10名 ・習い事や出かけるときに使っている 8名
・捨てた 3名 ・なくした 1名 ・友達や兄弟にあげた 1名
・小さくなった鉛筆を入れている 1名
⑨「もったいない」という言葉を知っていますか。
はい 32名 いいえ 1名
本学級の児童は、何か欲しい物があった時にすぐに手に入る環境で生活している児童が多い。2 年生後半の自己中心的で反抗的な態度も増えてくる時期にしては、②の結果「あきらめる17名」
は多いように感じる。普段から、欲しい物は十分に与えられているからではないだろうか。この地 域には大型店舗があり、休日に新しい物を買ってもらったという話をよく聞く。一方、教室では無 記名の落とし物がよく拾われ、持ち主が現れないことが多い。自分の物を落としたことに気づか ず、なくなればまた新しい物を買ってもらえばよいと思っている児童が少なくないと考えられる。
⑦の結果からは、入学してから2年も経たない間に、筆箱が2個目以上という児童が約7割い る。流行りのキャラクターがついている物や友達が持っている物に影響されやすい。一つの物に愛 着をもって最後まで大切にするという意識がまだまだ低いのではないだろうか。
そこで、主人公のぶおと古い自転車の気持ちに共感させ、物を最後まで大切に使うことや本当に 必要な物を選択できる態度を育てたい。
(3)資料について
主人公のぶおは、今の自転車がまだ十分乗れるにもかかわらず、少しのさびや友達が新しい自転 車に乗っているという理由から新しい物を母親にせがむ。母親の意見を聞かずに自分のわがままを 通して買ってもらう。喜んで公園に行くと、友だちはみんな「ほしくてもがまんしている」と言 う。それを聞いたのぶおが、家に帰ると、古い自転車が寂しそうに見える。
本資料を通してのぶおの気持ちを考えさせることで、物への感謝の気持ち、今本当に必要な物を 選択していくことの大切さに気付かせることができるだろう。
(4)指導観
のぶおの友達は欲しい物があっても我慢していることを聞いて、家に帰ってくると古い自転車が 寂しそうに見える。その時ののぶおの気持ちを中心に考えさせたい。その際に、古い自転車が置か れている状況や友達からの言葉に注目させ、わがままをして新しい自転車を買ってもらったこと への後ろめたさに気付かせたい。
また、本学級の児童は発表が好きな子もいれば、回答が多様にあるものになると発表をためらう
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子もいる。他教科の授業では、一度近くの人と話し合わせてから発表させると自信をもって挙手を するようになることが多い。そのため、本時でもまずワークシートを用いて自分の考えを書き表 し、その後グループの中で共有してから全体発表に移らせたい。また、教師と児童の一対一の会話 にならないように、友達の意見に対して予告付き挙手をさせて話合いを盛り上げたり、あいづちを 促したりして児童が主体となってお互いの考えを認め合えるようにさせたい。
最後に、教師が長年使用してきた物を見せることで、愛着をもって大切に使い続けることへのよ さを感じさせたい。
3 仮説との関連
○資料選定の工夫について
児童にとって身近な自転車について書かれている資料を選択した。物の大切さを扱うには、
対象とする物は多くある。今回の資料は、児童がよく使用する自転車について考えさせるの で、主人公の気持ちに共感しやすく児童の素直な考えをもって話合いができるだろう。
○話合いの工夫について
のぶおの気持ちについて、ペアや小グループで話合いをさせる。それをもとに発表させるこ とで、上手く言葉で言い表せない児童も安心感を得て、整理してから発表できるだろう。ま た、児童が主体となって話合いができるように「同じです」「つけたしです」「少し違うと思い ます」などと言って挙手をする「予告付き挙手」を促したい。そうすることで、互いの多様な 考えを認め合いながら話合いを深めることができるだろう。
4 本時の指導
(1) ねらい
物を大切に使い、節度ある生活をしようとする心情を養う。
(2) 展開
過程 時 配
学習活動と(○)と主たる発問(◎)
・予想される児童の反応 支援及び指導上の留意点 資料 導
入 2
10
1 古い自転車や新しい自転車などについて話 合う。
○どんな自転車に乗っていますか。
・お兄ちゃんのおさがりを使っている。
・かっこいい自転車の方がいい。
・色だけじゃなく形もかっこいい物がいい。
2 資料「新しい自転車」の全文を聞く。
○あらすじを確認する。
・児童の身近な経験を振り返 らせて、資料への興味や関 心をもたせる。
・挿絵を掲示しながらのぶお の行動を確認する。
自転車 の絵
副読本 挿絵 話合いの深まる授業づくりを行えば、互いに認め合う心豊かな児童が育つだろう。
2年1組- 4 - 展
開
終 末
12
10
8
3
3 のぶおの気持ちを考える。
○のぶおは、どうして新しい自転車が欲しかった のでしょうか。
・自転車がさびてきたから。
・友達が新しい自転車を買ったので、自分も欲し くなった。
○のぶおは、自転車を買ってもらえてどんな気持 ちになったと思いますか。
・うれしい。
・やったー!ありがとう。
○のぶおは、友達からの言葉を聞いて、どう思い ましたか。
・わがままなことしちゃったな。
・まだ乗れる自転車なのに欲張っちゃったな。
・うそついちゃったな。
・お母さん、お父さんに謝りたい。
◎古い自転車が寂しそうに見えているのぶおの 気持ちを考えましょう。
・古い自転車にも謝りたい。
・もっと大切につかってあげればよかった。
・新しい自転車は、お店に戻してこようかな。
・わがままをしてしまったことに後悔している。
4 自分自身の生活を振り返る。
○今、身の回りにある物に声をかけるとしたら何 と言いますか。
・最後まで大切に使うからね。
・いつもありがとう。
5 教師が小さい頃から大切に使っている物を 紹介する。
・「まだ乗れる、でも欲しい」
という、心の葛藤に触れ、
自分のことしか考えてい ないのぶおのわがままな 気持ちを考えさせる。
・跳び跳ねて喜んでいるのぶ おの絵に注目させ、欲しい 物を買ってもらったとき の気持ちに共感させる。
・友達からの言葉に注目さ せ、買ってもらって嬉しか った気持ちから、わがまま を言ってしまい 後悔し始 める気持ちへの変化に気 付かせる。
・古い自転車が家の物置や薄 暗い場所に置かれている ことを把握させる。
・ペアで話し合わせたり、全 体の場で発表させたりし て様々な友達の意見を聞 く。その際に理由もきちん と言うように声をかける。
・身の回りにある物を一つ選 ばせる。なかなか決められ ない児童には鉛筆や消し ゴムでよいと伝える。
・一つの物に愛着をもって長 く使うことのよさに触れ させる。
ワーク シート
身の回 りにあ る物
大切に 使って いる物
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(3)板書計画
5 他の教育活動との関連
○学校生活……物を大切に使うことを心掛ける。
○ピアサポート……「上手な話し方をしよう!」では、自分の考えや気持ちを相手に伝えるために理 由を添えた伝え方ができるようにする。
す
の ぶお の お母 さ んは す ぐ買 っ てく れ る
お 兄 ち ゃ ん の 古 い自 てん 車
新 し い 自 てん 車 ま だ の れ る でも
、 ほ しい
・ 少し さび てき たか ら。
・友 だち が新 しく 買っ てい る。 お 父さ ん お 母さ ん あ りが と う や った ー う れし い
・わ がま まな こと しち ゃっ たな
。
・ まだ のれ る自 てん 車な のに よく ばっ ちゃ った な。
・ うそ つい ちゃ った な。
・ お母 さん
、お 父さ んに あや まり たい
。
・ わ が まま な こと し ちゃ っ たな
・ が ま んす れ ばよ か った な
・ まだ の れる の によ く ばっ て し ま っ た え
んぴ つ さ い ご ま で 大 切 に つ か う か ら ね
。 ざ ぶと ん い つ も あ り が と う
。
た ん 生 日 ま で がま んす る 古
い 自 て ん 車が さ び し そ う に 見 え て い る の ぶ おの 気 も ちを 考 え まし ょ う
。
古い 自て ん 車 新
し い 自 て ん 車 に よ ろ こ ぶ の ぶ お の ぶ お 古
い 自 て ん 車 を 見 つ め る の ぶお
お 兄 ち ゃ ん の 古い 自て ん車
の ぶ お の お 母 さ んは いい な