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複素関数・同演習第26回 ∼定積分計算への留数の応用

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(1)

複素関数・同演習 第 26 回

〜定積分計算への留数の応用〜

かつらだ

桂田 祐史

ま さ し

http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/

2022 年 1 月 11 日

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 1 / 22

(2)

目次

1 本日の内容・連絡事項

2 定積分計算への留数の応用 有理関数の R 上の積分 有理関数 × e iax の R 上の積分 三角関数の有理関数の周期積分

3 参考文献

(3)

本日の内容・連絡事項

授業は今日を含めて残り 3 回です。

定積分計算への留数の応用について説明する。

( 講義ノート [1] の §13 の内容で、そちらは他にも色々書いてあるが、

この前回と今回の授業で説明したことだけマスターすれば十分。 ) 宿題 12 の解説をします。

宿題 13 を出します ( 提出〆切は 2022 年 1 月 18 日 13:30) 。

次回の複素関数 (1 月 18 日 3 限 ) の内容は、宿題 13 の解説と、質問 対応とします。質問の相手は Zoom でのみ受け付けます ( 詳しいこ とは次回説明します ) 。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 2 / 22

(4)

13.1 有理関数の R 上の積分

次の定理は前回紹介済みである。証明が残っている。

定理 25.5 (有理関数の R 上の積分 (再掲))

P(z ), Q(z ) ∈ C [z ], f (z ) = Q(z )

P(z) , deg P(z ) ≥ deg Q(z ) + 2, ( ∀ x ∈ R ) P(x) ̸ = 0 とするとき、

Z

−∞

f (x) dx = 2πi X

Imc>0

Res(f ; c).

ここで X

Imc>0

は、f の極 c のうち、Im c > 0 を満たすものすべてについての和 を取ることを意味する。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 3 / 22

(5)

13.1 有理関数の R 上の積分

証明

仮定からある定数

M, R

( ≥ 1)

が存在して次式が成り立つ。

( ∀ z ∈ C : | z | ≥ R

) P(z ) ̸ = 0 ∧ | f (z) | ≤ M

| z |

2

.

(

証明

: P(z) = a

0

z

n

+ · · · + a

n

, a

0

̸ = 0, Q (z) = b

0

z

m

+ · · · + b

m

, b

0

̸ = 0

とする。仮定か ら

n − m ≥ 2

である。

z

nm

f (z) =

z

nm

Q(z ) P(z)

=

z

nm

b

0

z

m

+ · · · + b

m

a

0

z

n

+ · · · + a

n

→ b

0

a

0

(z → ∞)

が分かるから、

M := 2

b

0

a

0

とおくと、ある

R

( ≥ 1)

が存在して

z

nm

f (z) ≤ M (|z| ≥ R

).

ゆえに

|f (z)| ≤ M

| z |

nm

≤ M

|z|

2

(|z| ≥ R

)

が成り立つ。

)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 4 / 22

(6)

13.1 有理関数の R 上の積分

証明 (つづき)

ゆえに積分は絶対収束し

I = lim

R→+

Z

R

−R

f (x ) dx . (

一般には

lim

R1,R2+

Z

R2

−R1

だけど…

)

複素平面内の曲線

Γ

R

, C

R

, γ

R を次式で定める。

Γ

R

: z = x (x ∈ [−R, R]), C

R

: z = Re

(θ ∈ [0, π]), γ

R

:= Γ

R

+ C

R

.

R ≥ R

を満たす任意の

R

に対して、

P

の零点は

| z | < R

に含まれる。

Im c > 0

を満 たす零点

c

γ

R の内部に含まれる。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 5 / 22

(7)

13.1 有理関数の R 上の積分

証明 (つづき)

Z

γR

f (z) dz = Z

ΓR

f (z) dz + Z

CR

f (z) dz = Z

R

−R

f (x ) dx + Z

CR

f (z) dz.

Z

CR

f (z ) dz ≤

Z

CR

|f (z)| |dz | ≤ M R

2

Z

CR

|dz| = M

R

2

· πR = πM

R → 0 (R → +∞).

一方、留数定理より

Z

γR

f (z) dz = 2πi X

Imc>0

Res(f ; c ).

ゆえに

Z

R

−R

f (x) dx = Z

γR

f (z ) dz − Z

CR

f (z) dz → 2πi X

Imc>0

Res(f ; c ) (R → +∞).

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 6 / 22

(8)

13.2 有理関数 × e iax の R 上の積分

f を有理関数とするとき、指数関数を含んだ積分 Z

−∞

f (x)e

iax

dx

の計算についての定理を紹介する。この場合は (有理関数の定積分とは異なり)、

原始関数を求めることが難しいことが多い。非常にありがたい定理である。

これは応用上非常に重要な Fourier 変換、共役 Fourier 変換 f b (ξ) := 1

√ 2π Z

−∞

f (x )e

ixξ

dx (ξ ∈ R ), ( F )

e

g (x) := 1

√ 2π Z

−∞

g (ξ)e

ixξ

dξ (x ∈ R ) ( F

)

を求めることに利用できる。

念のため:

( ∀ a ∈ R ) e

iax

= e

iax

, cos(ax) = Re e

iax

, sin(ax) = Im e

iax

, e

iax

= 1 を思い出しておこう。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 7 / 22

(9)

13.2 有理関数 × e iax の R 上の積分

定理 26.1 ( 有理関数 × e iax の R 上の積分 )

P(z ), Q(z ) ∈ C [z ], f (z ) = Q(z )

P(z) , deg P(z ) ≥ deg Q(z ) + 1, ( ∀ x ∈ R ) P(x) ̸ = 0, a > 0 とするとき、

(1)

Z

−∞

f (x)e

iax

dx = 2πi X

Imc>0

Res f (z )e

iaz

; c .

ここで X

Imc>0

は、f の極 (あるいは f (z )e

iaz

の極と言っても同じこと) c のう ち、Im c > 0 を満たすものすべてについての和を取ることを意味する。

証明

定理

25.5

の証明と同様にして、ある定数

M, R

( ≥ 1)

が存在して次式が成り立つ。

( ∀ z ∈ C : | z | ≥ R

) P(z) ̸ = 0 ∧ | f (z) | ≤ M

| z | .

(

つづく

)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 8 / 22

(10)

13.2 有理関数 × e iax の R 上の積分

証明 (つづき)

任意の A, B > R

に対して、曲線 C

, C

, C

, C

, C

AB

を次のように定め る。

C

: z = x (x ∈ [ − A, B]), C

: z = B + iy (y ∈ [0, A + B]), C

: z = − x + i(A + B) (x ∈ [ − B , A]), C

: z = − A − iy (y ∈ [ − (A + B ), 0]), C

AB

:= C

+ C

+ C

+ C

.

P の零点はすべて | z | < R

に含まれ、上半平面に属するものは C

AB

の内部に

ある (実軸上にはないので C

AB

上にもない)。ゆえに留数定理によって

Z

CAB

f (z)e

iax

dz = 2πi X

Imc>0

Res f (z )e

iaz

; c .

(つづく)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 9 / 22

(11)

13.2 有理関数 × e iax の R 上の積分

証明 (つづき)

C

に沿う積分は

(z = x (x ∈ [ − A, B ])

がパラメーター付けなので

) Z

C

f (z)e

iaz

dz = Z

B

−A

f (x)e

iax

dx .

C

| z | = p

B

2

+ y

2

≥ B , | f (z) | ≤ M

| z | ≤ M B ,

Re(iaz) = Re [ia(B + iy)] = − ay, e

iaz

= e

Re(iaz)

= e

−ay であるから

Z

C

f (z)e

iaz

≤ M

B Z

A+B

0

e

ay

dy ≤ M B

Z

0

e

ay

dy = M aB .

C

もほぼ同様にして

Z

C

f (z)e

iaz

≤ M

aA .

(

つづく

)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 10 / 22

(12)

13.2 有理関数 × e iax の R 上の積分

証明 (つづき)

C

では

| z | = p

( − x )

2

+ (A + B)

2

≥ A + B, | f (z ) | ≤ M

| z | ≤ M A + B , Re(iaz) = Re[ia( − x + i(A + B))] = − a(A + B ), e

iaz

= e

a(A+B)

,

Z

C

f (z)e

iaz

dz ≤ M

A + B Z

B

−A

e

a(A+B)

dx = Me

a(A+B)

.

ゆえに

I = lim

A,B→+

Z

B

−A

f (x )e

iax

dx = lim

A,B→+

Z

CAB

− Z

C

− Z

C

− Z

C

!

= lim

A,B→+

2πi X

Imc>0

Res

f (z )e

iaz

; c −

Z

C

− Z

C

− Z

C

!

= 2πi X

Imc>0

Res

f (z)e

iaz

; c

. (

:

広義積分の収束も同時に証明できている

)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 11 / 22

(13)

13.2 有理関数 × e iax の R 上の積分

次の注意は細かいので、講義では軽く触れるにとどめる。

注意 26.2 ( 定理 26.1 の仮定と証明法について )

仮定

deg P(z) ≥ deg Q (z) + 1

は、定理

25.5

の条件

(deg P(z) ≥ deg Q(z) + 2)

より 弱い。

強い条件

deg P(z) ≥ deg Q(z) + 2

を仮定した場合は

(

そういうテキストが少なくな い

)

a ≥ 0

に対して

(

つまり

a = 0

OK

になる

)

広義積分が絶対収束であることも簡 単に示せるし、積分路として、定理

25.5

の証明で用いた簡単な

γ

R

= Γ

R

+ C

R が採用で きる。また

R

lim

→∞

Z

CR

f (z)e

iaz

dz = 0

の証明も

R

lim

→∞

1 R

Z

π 0

e

aRsinθ

d θ = 0

に帰着され、簡単である

(0 < e

aRsinθ

≤ 1

より

0 <

Z

π 0

e

−aRsinθ

dθ ≤ π

が導かれる

)

Cf.

Z

1

dx

x

は発散、

Z

1

dx

x

2 は絶対収束

, Z

1

sin x

x dx

は条件収束

(

絶対収束しな い

)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 12 / 22

(14)

13.2 有理関数 × e iax の R 上の積分

次の系は細かいようであるが、Fourier 変換への応用を考えると重要である。

上で述べた定理 26.1 の証明を検討すると、a ≤ 0 のときは、(1) が成立しない ことが分かる。a < 0 の場合は、代わりに次が成り立つ。

系 26.3 (a < 0 の場合の公式)

P(z ), Q(z ) ∈ C [z ], f (z ) = Q(z )

P(z) , deg P(z ) ≥ deg Q(z ) + 1, ( ∀ x ∈ R ) P(x) ̸ = 0, a < 0 とするとき、

(2)

Z

−∞

f (x )e

iax

dx = − 2πi X

Imc<0

Res f (z)e

iaz

; c .

しかし、系 26.3 を使うのでなく、計算の工夫により、定理 26.1 に帰着できる 例を説明するテキストが多い。これについては、以下の例を見よ。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 13 / 22

(15)

13.2 有理関数 × e iax の R 上の積分

例 26.4

(3) (∀a ∈ R) I =

Z

−∞

e

iax

x

2

+ 1 dx = πe

−|a|

. a > 0

の場合は、定理

26.1

から

I = 2πi Res e

iaz

z

2

+ 1 ; i

= 2πi e

iaz

(z

2

+ 1)

z=i

= 2πi e

iaz

2z

z=i

= πe

−a

. a = 0

の場合は、定理

25.5

から

I = 2πi Res 1

z

2

+ 1 ; i

= 2πi 1 2z

z=i

= π.

a < 0

のとき、

e

iax

= e

iax

, − a > 0

に注意して、定理

26.1

から

I =

Z

−∞

e

iax

x

2

+ 1 dx =

Z

−∞

e

iax

x

2

+ 1 dx = 2πi Res e

iaz

z

2

+ 1 ; i

= 2πi · e

iaz

2z

z=i

= πe

a

= πe

a

.

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 14 / 22

(16)

13.2 有理関数 × e iax の R 上の積分

例 26.4 (つづき)

以上をまとめて

(3)

を得る。

なお、

(3)

の実部を取ると

Z

−∞

cos(ax)

x

2

+ 1 dx = πe

−|a| が得られる。

余談 1 (Mathematica で検算するときに )

Mathematica

で計算する際に、

a

の符号を教えるには、例えば

Assuming[a>0, Integrate[Exp[I a x]/(x^2+1),{x,-Infinity,Infinity}]

のようにすれば良い。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 15 / 22

(17)

13.2 有理関数 × e iax の R 上の積分

例 26.5

I = Z

0

x sin x

x

2

+ 1 dx = π 2e .

被積分関数が偶関数であることと、

sin x = Im e

ix であることから

I = 1 2

Z

−∞

x sin x x

2

+ 1 dx = 1

2 Z

−∞

Im xe

ix

x

2

+ 1 dx = 1 2 Im

Z

−∞

xe

ix

x

2

+ 1 dx . P(z) := z

2

+ 1, Q (z) := z, a := 1

とすると、定理

26.1

の条件が成り立つ。ゆえに

I = 1 2 Im

2πi Res

z z

2

+ 1 e

iz

; i

= Im

πi · ze

iz

2z

z=i

= 1 2 Im

πie

i2

= π 2e .

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 16 / 22

(18)

13.3 三角関数の有理関数の周期積分

まず例から始める。

例 26.6

I :=

Z

2π 0

5 − 4 cos θ

を求めよ。

(

解答

) z = e

(θ ∈ [0, 2π])

とおくと、

dz = ie

d θ

であるから

d θ = dz ie

= dz

iz .

また

cos θ = e

iθ

+ e

iθ

2 = z + 1/z 2 .

であるから

I =

|z|=1

1 5 − 4 · z + z

1

2

· 1 iz dz = 1

i

|z|=1

1

5z − 2(z

2

+ 1) dz

= i

|z|=1

dz

2z

2

− 5z + 2 = i

|z|=1

dz (2z − 1)(z − 2)

= i · 2πi ∑

|c|<1

Res

( 1

(2z − 1)(z − 2) ; c )

= − 2π Res

( 1

(2z − 1)(z − 2) ; 1 2 )

= − 2π lim

z→12

( z − 1

2

) 1

(2z − 1)(z − 2) = − 2π 1

2(

12

− 2) = 2π 3 .

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 17 / 22

(19)

13.3 三角関数の有理関数の周期積分

sin θ =

e2ie

=

z2i1/z があっても

OK.

例 26.7

I = Z

2π

0

dθ 3 + sin θ

z = e

(θ ∈ [0, 2π])

とおくと、

dz = ie

iθ

であるから

d θ = dz ie

= dz

iz .

また

sin θ = e

− e

−iθ

2i = z − 1/z 2i

であるから

I = Z

|z|=1

1

3 +

2i1

(z − 1/z ) · dz iz = 2

Z

|z|=1

dz z

2

+ 6iz − 1

= 2 · 2πi X

|c|<1

Res

1 z

2

+ 6iz − 1 ; c

= 4πi Res

1

z

2

+ 6iz + 1 ; (−3 + 2 √ 2)i

= 4πi lim

z→(3+2 2)i

1 z − ( − 3 − 2 √

2)i = 4πi · 1 4 √

2i = π

√ 2 .

結局

cos θ, sin θ

の有理式の

[0, 2π]

における積分は、このやり方で計算できることが

かつらだ分かる。

桂 田 まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 18 / 22

(20)

13.3 三角関数の有理関数の周期積分

一応定理の形にまとめておくが、一般の形で証明しておく必要はないであろう。

定理 26.8 ( 三角関数の有理関数の周期積分 )

r(x, y )

x, y

の有理式とするとき、

Z

2π 0

r(cos θ, sin θ) dθ = 2πi X

|c|<1

Res(f ; c).

(4a)

ただし

f

f (z ) := 1 iz r

z

2

+ 1 2z , z

2

− 1

2iz (4b)

で定義し、

f (z)

は単位円周

|z| = 1

上に極を持たないとする。また

X

|c|<1

は、

f

の極

c

の うち、単位円盤内

|z | < 1

に属するものすべてについての和を意味する。

注意

: cos θ =

z+z2

, sin θ =

z−z2i であるが、そう変形してしまうと、

z

の正則関数では ないので、留数定理が使えなくなる。

z

でなくて、

z

1を使うのがポイント。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 19 / 22

(21)

13.3 三角関数の有理関数の周期積分

例 26.9

I = Z

2π

0

d θ 2 + cos θ + sin θ

z = e

(θ ∈ [0, 2π])

とおくと、これは

| z | = 1

のパラメーター表示であり、

cos θ = e

+ e

2 = z + z

1

2 , sin θ = e

− e

2i = z − z

1

2i .

また

dz = ie

d θ

より、

dθ = dz

iz .

ゆえに

( 1

1 + i = 1 − i

2

に注意して

) I =

Z

|z|=1

1

2 +

z+z21

+

z−z2i1

· 1 iz dz =

Z

|z|=1

dz

2iz + i (z

2

+ 1)/2 + (z

2

− 1)/2

= 2 Z

|z|=1

dz

(i + 1)z

2

+ 4iz + (i − 1) = (1 − i ) Z

|z|=1

dz

z

2

+ 2(1 + i)z + i .

ここからどうするか。閉曲線に沿う線積分だから、留数定理の利用を考える。特異点を探 せ。それは分母の零点だ。それを求めよう。それから閉曲線の中に入っているものを探 す。そして留数を計算する。図を描いて考える。

(

つづく

)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 20 / 22

(22)

13.3 三角関数の有理関数の周期積分

例 26.9 ( つづき )

z

2

+ 2(1 + i)z + i = 0

の根は

z = −(1 + i ) ± p

(1 + i )

2

− i = −(1 + i ) ± √

i = −(1 + i) ± 1 + i

√ 2

= −1 − 1

√ 2 + i

−1 − 1

√ 2

, −1 + 1

√ 2 + i

−1 + 1

√ 2

.

前者を

α,

後者を

β

とすると、このうち

| z | < 1

にあるのは

β.

Res

1

z

2

+ 2(1 + i)z + i ; β

= lim

z→β

(z − β) 1 (z − α)(z − β)

= 1

β − α = 1

√ 2 (1 + i) .

ゆえに

Z

2π

0

d θ

2 + cos θ + sin θ = (1 − i ) · 2πi 1

√ 2 (1 + i) = √ 2π.

定積分計算の話題に詳しいテキストとして、一松

[2]

をあげておく。色々面白い例が 載っている。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 21 / 22

(23)

参考文献

[1] 桂田祐史:複素関数論ノート , 現象数理学科での講義科目「複素関数」

の講義ノート . http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/lecture/

complex-function-2021/complex2021.pdf (2014 〜 ).

[2]

ひとつまつ

一 松

しん

信:留数解析 — 留数による定積分と級数の計算 , 共立出版

(1979), 第 5 章は数値積分の高橋 - 森理論の解説。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/complex2021/複素関数・同演習 第26回 〜定積分計算への留数の応用〜 22 / 22

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