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金魚鉢から大海へ――小学校英語教育への示唆―― - pweb

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CALA  N E W S L E T T E R   2 0 0 2   S P R I N G   I S S U E   p p . 2 ‑ 4  

金魚鉢から大海へ

――小学校英語教育への示唆―― 

上智大学  吉田研作   

はじめに 

  近年、日本の英語教育は色々な意味で変化することを余儀なくされている。21世紀 日本の構想懇談会の、英語を日本の第2公用語にすべきだ、という主張の良し悪しは別 として、少なくとも、日本人の現在の英語力では、とても世界の人たちを同等に張り合 っていけないことを我々の脳裏に焼き付けた。その後、英語指導法の改善に関する懇談 会は、英語教育の「一本の」しっかりとして柱になる考え(言語政策)を打ち出し、小 学校から大学まで、一貫性のある英語教育をしなければならない、という提言を出した。

また、日本人にとって必要な英語を、全国民にとって必要なレベルと、英語を使って、

世界の人々と、政治、経済、科学、その他の専門領域において、肩を並べて仕事をしな ければならない「専門家」が到達すべきレベルとに分け点も注目すべきだろう。つまり、

日本人すべてが、英語でディスカッションやディベートが出来る必要はないが、少なく とも日常生活で困らない程度の英語は誰もが必要だ、というのである。 

  また、この懇談会では、小学校の英語教育を、これから始まる「国際理解教育の一環」

として導入するだけでなく、将来的には、正式な教科として取り入れるべきだと、述べ ているのである。ただし、教科として取り入れるとなると、そこに一つ大きな問題が起 こる、それは、英語を単なる「覚えるべき」知識体系として捉えてしまう可能性が出て くることである。 

  今まで見てきた全ての変化は、英語をいかに現実的に「運用する」力をつけるか、が 問題となったいることが分かるだろう。ということは、小学校の英語も、たとえ教科と して扱われるようになったとしても、そ れは、あくまでも、「運用すること」「使うこ と」が中心とならなければならないことを意味しているのである。 

  教科になった場合に、知識として英語を捉えた場合と運用力として捉えた場合とでど のような違いが生まれるのかについて、「金魚鉢」と「大海」という比喩を使って見て みよう。  金魚鉢に入れられた金魚は、誰かが絶えず世話をしてやらないと生きていけ ない。誰かが水をかえ、餌を与えなければならない。汚れがあっては、金魚が死んでし まうかもしれない。だらか、不純物を取り除く。水温や水質も絶えずチェックする。 

  その結果、金魚は、他の魚とは全く孤立した、人工的な環境の中でしか生きていけな くなる。つまり、金魚鉢の金魚は、100%人工的な環境の中でなら生きていけるかも しれないが、一歩外に出たら生きていくことは難しいだろう。 

  では、このモデルを英語教育に当てはめたらどうなるだろう。このモデルの英語教育 では、教師が生徒に必要なものを全て与える。「この構文は、試験にでるから覚えなさ

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い」「これは重要語句だから暗記しなさい」「この表現はよく出るからきちんと下線を引 いておきなさい」、という具合に。また、生徒は、「先生、これテストにでますか?」「こ れは覚えるんですか?」と聞く。 

  このモデルの場合、誤りは許されない。なぜなら、テストでは誤りは全て減点される からだ。汚れは全て取り除かなければならないのである。また、言語モデルは、純粋な ものでなければならない。だから、ideal native speaker‑hearer のモデルを使う。規 範文法や辞書が使われる。それに合わないものは全て「×」とされるのある。 

  このモデルでは、コミュニケーションは不要である。目的は、言語の「正しい」形式 や意味を覚えることにより、テストに合格する、入学試験に合格する、ということなの だから。問題は、それ以外のところでは何の役にも立たないかもしれないことである。 

  このように、金魚鉢の中の英語教育は、教師中心で、言語形式を重んじ、生徒に「正 しい」英語を「教え込む」ことにより、テストや入試に合格することを目的としている ことが分かる。 

  しかし、これでは、英語の「知識」は身につくかもしれないが、「運用力」はつかな いだろう。中学や高校は、必ずその上の学校があり、各教科の知識がその都度テストさ れる。小学校に英語が教科として導入されたら、同じ運命を辿ったのでは、小学校まで

「金魚鉢」の英語教育になってしまうだろう。 

 

大海モデル 

  そこで、これからの日本の英語教育が進むべき道を探るために、大海モデルについて 説明しよう。 

  大海の魚は、他者に依存するのではなく、自らの力に頼らなければならない。自らが 暮らすための水を探し、自らの食べ物を探さなければならない。 

  大海に出た魚にとって大切なのは、既存の環境にいかに自らを適応させるかである。

水質は、絶えず変わる。汚れや不純物も当然あるが、魚はそれにも適応できなければ生 きていけない。食べ物も、自らが生きている環境に既にある餌を食べなければならない。 

  大海の魚は、同じ環境を共有する他の魚と共存できなければならない。場合によって は、敵だっているかもしれない。しかし、その与えられた自然な環境の中で生きていけ なければならないのである。 

  では、この大海モデルを英語教育に応用するとどのようになるだろう。生徒が自らお 力で、現実の世界の中で英語を使って生きていくことができるようにならなければなら ないことになる。 

  そして、英語教育の目的は、いかに「正しい」形を教えるかではなく、いかに生徒が 自ら伝えたい情報を正確に伝え合うことができるか、という視点に変わる。知識として 英語の形を覚えるのではなく、現実にどのように「運用するか」が第一の目的となるの である。 

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  大海モデルでは、不純物は容認される。大海には、様々な英語が存在する。それは、

ネイティブ・スピーカーの英語だけでなく、日本人を含めた、世界中の人が作り出した ものである。どの英語も「通じ合う」という特性さえ持っていれば、大海では何の問題 もない。 

  結論 

  現在既に教科として教えられている中学以上の英語は、正に、今、金魚鉢から大会へ と漕ぎ出そうとしている。小学校の英語が、教科になったとしても、それはあくまでも

「運用力」を重視したもので、決して単なる「知識」を与える教育にならないにしなけ ればならないのである。 

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