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1人当たり消費量が、2012

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(1)

はじめに

最近、中国における食糧(1)の輸入増加に関する記事をときどき目にするようになった。

ある国が食糧を輸入する原因として2つのことが考えられる。1つは需要より供給が不足す るという量的な問題であり、もう1つは自国のものよりも外国のもののほうが安いという価 格の問題である。それでは中国の食糧輸入はどのような事情で起こっているのだろうか。

それは構造的なものだろうか、または一時的なものだろうか。それに対して中国はどのよ うな食糧政策を選択し、そのことは中国の食糧生産をどう導くこととなるのだろうか。

本稿はこうした問題意識の下に、中国食糧の需給および国際競争力の動向を分析したう えで、岐路にさしかかった中国の食糧政策の選択とその意味を明らかにすることを目的と する。

1

中国食糧需給の構造的変化

中国では経済の急速な成長とともに、国民の食生活が従来の穀物を中心としたものから 畜水産物・乳製品等をより多く消費するものへと変化しており、そのことが中国の食糧需 給に構造的な変化をもたらすこととなった。

第1図は中国の家計調査(2)から都市と農村の毎年

1

人当たりの食糧消費量の推移をみたも のである。都市の1人当たり食糧消費量は2000年代になって以降ほぼ横ばいとなっているが、

農村では2000年代になってから比較的急速な減少が続いている。このことは中国の経済成 長が2000年代になって農村生活にも大きな影響を与えるようになったことを示唆している。

この結果、中国食糧の総需要量のうち直接食用に供されるものは人口の増加にかかわらず 横ばいまたは減少の傾向を示すようになった。

食糧の食用消費が減少する一方で、消費が増加した食品が豚肉、鶏肉等の畜産物や乳製 品である。これらの食品の中国における消費量の増加は目覚ましく、たとえば1985年に豚 肉15.38kg、牛肉

0.43kg、鶏肉 1.40kg

(3)、乳類

2.73kg

であった

1人当たり消費量が、2012

年に は豚肉39.73kg、牛肉4.13kg、鶏肉10.04kg、乳類26.27kgとなった(4)。中国においても、1人 当たり所得の上昇等によって食料消費の高度化が急速に進行したのである。

このことによって、第2図で示したとおり、中国の畜産・養殖生産量は大きく拡大した。

特に肉類と水産養殖の増加は著しく、1985年に1927万トンであった肉類生産量は

2012

年に

(2)

は8387万トンに、水産養殖は同様に

309

万トンが4288万トンとなり、その増加の勢いは最 近になっても衰えていない。

こうした食糧の食用消費の減少および畜水産物生産の急速な増加は、中国の伝統的な食 糧需給のあり方を変え、食糧需給に構造的な変化をもたらすこととなった。すなわち、中 国では計画経済の時代から

2000年ごろまでは、一貫して食用食糧の需要を満たすことが食

糧需給の基本的なあり方であったが、畜水産物生産の増加に伴う飼料需要の大幅な増加に よって、近年では飼料需要を満たすことが食糧需給の均衡を維持するうえで緊要の課題と なったのである。

第3図は、中国の主要食糧であるコメ、小麦およびトウモロコシ(以下「食糧三種」と総称 する)の生産・消費量の動向を示したものであるが、主として食用に供されるコメおよび小 麦の生産・消費量が基本的に横ばいであるのに対して、主に飼料に用いられるトウモロコ

1985 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000

0 (年)

 水産養殖は淡水養殖と海面養殖の合計。

(注)

 『中国統計年鑑』各年版。

(出所)

(万トン) 第 2 図 中国の畜産・養殖生産量の推移

肉類 家禽卵 乳類

水産養殖

86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 1996

300.0

250.0

200.0

150.0

100.0

50.0

0.0 (年)

 『中国統計年鑑』各年版。

(出所)

(kg /人)

97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

第 1 図 中国の毎年1人当たり食糧消費量の推移

256.2

250.7 250.2 247.5 249.5

238.6 236.5

222.4 219.3 256.2

94.7 88.6 86.7 84.9 82.3 250.7 250.2 247.5 249.5

238.6 236.5

222.4 219.3

208.8 205.6

199.5 199.1 189.3

181.5

170.7164.3 208.8 205.6

199.5 199.1 189.3

181.5

170.7164.3

80.7 78.8 81.5 80.8 81.3

75.9 77.6 78.2 77.0

78.5 79.5 79.3

94.7 88.6 86.7 84.9 82.3 79.7 78.5 79.5 78.2 77.0 75.9 77.6 80.8 81.3 81.5 80.7 78.8 農村

都市

(3)

シは生産量、消費量ともに近年大きく増加していることがわかる。

同図では、図中に中国食糧政策の時期区分を記入したが、これは中国食糧の生産量は政 府の政策によって大きく左右されるためである。

中国では、1999年以前においては農家が生産した食糧を余剰食糧も含めて政府が定めた 保護価格で買い取る保護価格政策をとっており、基本的に生産過剰の状態となっていた。

ところが一転して、2000年からは世界貿易機関(WTO)加盟や穀物の過剰在庫に対処する ため、保護価格制度を段階的に廃止する自由化政策がとられた。この自由化政策によって、

食糧価格は下落して食糧生産が落ち込み、食糧需給の逼迫を招いた。自由化政策期の生産 の落ち込みは同図からも確認されよう。こうした反省から、胡錦濤政権(2003―

13年)

の下 で2004年から積極的な食糧増産対策が講じられることとなった。食糧増産対策の主たる手 法は農家への生産補助金の交付であり、この生産補助政策は習近平政権となった現在まで 続いている。

さて、同図から明らかなとおり、生産補助政策期の主たる目標はトウモロコシの増産で あり、急速な飼料需要の増大に対応することであった。中国の食糧需給問題は基本的に飼 料需給問題であると言っても決して過言でないのである。この生産補助政策によって、こ れまで食糧の増産が続いており、何とか食糧需給の均衡は維持されているが、2010年ごろ からは引き続く旺盛な飼料需要拡大によって、インディカ米や小麦の飼料消費が増加する という現象がみられるようになり、中国の食糧需給は全体として逼迫の度を強めている。

第4図は中国の食糧三種の純輸出量の推移をみたものであるが、2011年からは三作目とも 純輸入に転じ、その後、純輸入量を増加させつつある。このように、最近になって生産補 助政策による増産には鈍化の兆候がみられ、飼料需要の拡大に増産が追いつかないという 状況が現われるようになっているのである。

22,000 20,000 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000

(年)

 コメは精米ベース。

(注)

 USDA Foreign Agricultural Service.

(出所)

(万トン)

第 3 図 中国主要食糧の生産・消費量の推移

1996

コメ(生産)  トウモロコシ(生産)  小麦(生産)

コメ(消費)  トウモロコシ(消費)  小麦(消費)

97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13

自由化政策期 生産補助政策期

保護価格政策期

(4)

また、2014年の食糧三種の需給表(5)によれば、同年の食糧三種の飼料用消費の合計量は1 億

4590

万トンであるが、たとえば張(6)によれば、2020年の中国食糧の飼料用消費は

2

3240

万トンから

2

7030

万トンの間と予測されている。食糧は食糧三種だけではないが、

食糧三種が食糧の約9割を占める現状からすれば、2020年までに約1億トンの飼料用食糧を 増産することは決して容易ではないだろう。今後、中国が食糧の大きな需給ギャップに直 面する可能性は否定されないのである。

2

中国食糧の国際競争力

これまでは中国食糧の生産・消費という量的な問題を検討してきたが、次に国際競争力 の問題に焦点を当てることとしたい。

国際競争力を直接的に左右するのは生産費の動向であることは異存のないところであろ う。生産費が高くなれば価格競争力を失う。第1表はこのことを念頭に置きつつ、中国の食 糧生産経営の主要指標(7)を整理したものである。三作目とも

2010

―12年の総費用は

2004―

06年の約2

倍に増加しており、総費用が右上がりで急速に増加している様子が窺える。

中国食糧の生産費は資材・サービス費を含めて全体として増加しているが、近年特に増 加が著しいのが労働費である。労働費は、たとえば、1日当たり賃金が

2004年の 13.7元から 2012

年には

56

元にまで急増した(8)。経済成長に伴って農村にまで労働費の上昇が波及し、

そのことが食糧生産費を強く押し上げるようになっているのである。また、中国の食糧生 産経営の零細性が、生産費に占める労働費の割合を大きくしている。

一方、主産物生産量があまり変化していないなかで生産高が比較的大きく増加している のは食糧価格が上昇しているからにほかならない。生産費の毎年の増ぞうこうにもかかわらず、

各作目とも純収益がプラスで維持されているのは、結局のところ、この食糧価格の上昇に よるのである。

2004 05 06 07 08 09 10 11 12 13(年)

 純輸出量=輸出量−輸入量、コメはモミ米ベース。

(注)

 『中国農業発展報告2013』、中国商務部ホームページ。

(出所)

1,000 800 600 400 200 0

−200

−400

−600

−800

(万トン) 第 4 図 コメ、小麦およびトウモロコシの純輸出量の推移

■ コメ

■ 小麦

■ トウモロコシ

(5)

それでは、中国の食糧価格は国際価格と比較してどのような水準にあるのだろうか。第5 図は中国の食糧三種の価格の推移を国際価格の推移とともに示したものである。

同図のとおり、中国の食糧三種の国内価格は、いずれも一貫して右上がり基調にある。

これに対して国際価格は近年やや高い水準が続いているものの、2008年に大きく上昇した 後に下落するなど、上下の変動があり、必ずしも右上がり傾向が持続するわけではない。

6,000

5,000

4,000

3,000

2,000

1,000

0 (年)

 『中国農業発展報告』各年版、『中国統計年鑑』各年版。

(出所)

(1)「コメ(国内)」は国内晩生インディカ標一卸売価格、「コメ(国際)」はバンコクFOB価格(100%B級)、

「小麦(国内)」は国内白小麦三等級卸売価格、「小麦(国際)」はアメリカ・ガルフ出港価格(2号硬紅 冬麦)、「トウモロコシ(国内)」は国内トウモロコシ二等級卸売価格、「トウモロコシ(国際)」はアメ リカ・ガルフ出港価格(黄トウモロコシ2号)。

(2)国際価格はいずれもドル表示を毎年のドル・元為替レートで換算した。

(注)

第 5 図 コメ、小麦およびトウモロコシの内外価格の推移

2003

コメ(国際)  トウモロコシ(国際)  小麦(国際)

コメ(国内)  トウモロコシ(国内)  小麦(国内)

(元/トン)

04 05 06 07 08 09 10 11 12

第 1 表 食糧生産経営の主要指標と収益性(1ムー当たり)

コメ

小麦

トウモロコシ

主産物生産量 生産高 総費用 純収益 主産物生産量 生産高 総費用 純収益 主産物生産量 生産高 総費用 純収益

kg kg kg

439.4 715.5 488.7 226.7 339.1 505.6 383.4 122.2 423.2 518.3 393.3 125.1

459.0 873.1 634.5 238.7 375.4 648.2 501.4 146.8 436.5 686.6 508.1 178.5

463.7 1228.5 906.2 322.3 380.7 810.9 720.5 90.5 472.5 1007.2 773.7 233.5

(注) 数値は表に示した年の3ヵ年平均値。「1ムー」は約6.6アール。

(出所) 『全国農産品収益資料 編』各年版。

項目 単位 2004―06年 2007―09年 2010―12年

(6)

この結果、2012年にはいずれの作目においても、中国の国内価格が国際価格を上回る状況 となった。

中国の国内価格は、生産費の増加が続いていることから、今後とも上昇を続けるものと 見込まれるため、国際価格の動向によっては内外価格差が広がっていき、中国の国内価格 が国際価格を大きく上回るようになるという事態が生じることも十分に想定される。そし て、このことはとりも直さず中国食糧の価格面での国際競争力の喪失を意味するものであ る。

また、中国の食糧生産費の動向をアメリカのそれと比較したものが第6図である。アメリ カの食糧生産費は、トウモロコシの生産費が近年上昇していることを除けば、毎年の変動 はあるものの基本的には横ばいである。これに対して中国食糧の生産費は三作目とも一貫 して顕著な右上がりで増加を続けており、かつては少なくともコメおよび小麦は中国の生 産費がアメリカのそれを大きく下回っていたが、2012年にはいずれの作目においても中国 の生産費がアメリカのそれをかなり上回る状況となっている。

中国の食糧生産費がこの調子で今後とも増加を続ければ、アメリカの生産費との間に大 きな乖離が生じ、中国食糧の国際競争力はまったく失われていくこととなろう。このよう に中国食糧は、現在では価格および生産費でこれまで有していた一定の国際競争力を失い つつあり、しかもそれが継続的な生産費の増嵩、とりわけ労働費の上昇という構造的な問 題に起因するものであることから、今後とも国際競争力の低下が続くことが懸念される事 態に直面しているのである。

3

中国食糧政策の岐路と選択

中国の現在の食糧政策である生産補助政策の基本的枠組みは、第7図に示すとおり、自由 化政策期に形成された「市場による価格形成」と「主産地育成」とが基本となり、これに

120 110 100 90 80 70 60 50 40 30

20 (年)

(出所)

第 6 図 米中の主要食糧生産費比較

2003

アメリカ(コメ)  アメリカ(小麦)  アメリカ(トウモロコシ)

中  国(コメ)  中  国(小麦)  中  国(トウモロコシ)

(元/50kg)

04 05 06 07 08 09 10 11 12

 『全国農産品収益資料 編』各年版。

(7)

農家への補助金支出、国家備蓄等のマクロコントロール、最低買付価格制度(9)等が付加さ れたものとなっている。

食糧政策の目標としては「食糧自給の確保」と「国際競争力強化」の2つが掲げられてい るが、主眼はこれまで食糧自給確保のための食糧増産に置かれてきた。主として飼料需要 増大に伴う食糧全体への需要拡大に対応して、生産補助政策期においては農家への補助金 支出、最低買付価格制度等の実施によって食糧増産が図られてきたのである。この場合、

中国食糧の国際競争力は、品質面はともかく、価格面では備わっていることが前提とされ ており、実際、中国食糧の生産費は2000年代まではアメリカよりかなり低いものであった。

しかしながら、これまで述べてきたとおり、2010年代になってこうした状況に明らかな 変化が現われている。食糧需要の拡大に食糧増産が十分に追いつかず需給が逼迫するよう になるとともに、中国の国内価格が国際価格を上回り生産費も増高を続けている。

こうしたなかで、もし今後とも食糧増産を継続し、需給ギャップをできるだけ小さく抑 えようとすれば、食糧生産農家への補助金をさらに増加させ、最低買付価格をより引き上 げていくほかはない。ところが、農業生産補助金は毎年の大幅な増額によって、2008年に 総額で744億元であったものが2013年には1701億元にまで増加しており(10)、農家

1

戸当たり 補助金額の支出もかなり大きなものとなっている。また、最低買付価格についても、たと えば早生インディカ米では、2004年に

1kg当たり 1.4

元であったものが2013年には2.7元にま で引き上げられている(11)

このように、中国の食糧政策において、補助金支出や価格支持による食糧生産農家への 生産補助の程度はすでにかなり高い水準に達しており、しかも価格や生産費が国際水準を 上回るようになった現状を考えれば、このまま補助を強化していけば中国の食糧生産がさ らに国際競争力を失っていくことは明らかである。一方で、国際競争力の維持を重視し、

補助金支出や価格支持の水準を据え置くか、引き下げていけば農家の食糧生産意欲が削が れ、食糧増産は達成できなくなろう。

以上のとおり、中国の食糧政策は最近になって大きな岐路にさしかかることとなったの である。今後の道は2つある。第

1

の道は食糧増産を重視し国際競争力をある程度犠牲にす

 筆者作成。

(出所)

第 7 図 生産補助政策期の農業政策

食糧生産 農家への 補助金支出 食糧自給の確保

生産補助政策

価格自由化 流通自由化 市場による価格形成

国際競争力強化

主産地育成

農家所得向上、

新品種導入、

機械化、その他 最低買付価格

制度の実施 国家備蓄の充実・

マクロ コントロール

自由化政策の枠組み

(8)

る道であり、第2の道は国際競争力の維持を重視し十分に食糧増産ができなくてもやむをえ ないとする道である。現時点ではまだ政策的にどちらの道に進むことも可能である。ただ し、食糧の増産と国際競争力の維持の両方を確保することはすでに不可能となっているこ とはこれまでの検討で明らかであろう。

これについて、中国政府は2014年1号文件(12)で、一定の穀物輸入の含みを残しつつ、「穀 物を基本的に自給し、食用穀物の絶対的自給を確保する」ことを明記した。あくまで食糧 の量的確保に主眼が置かれていることは明らかであり、中国政府は第

1の道である食糧増産

を今後とも継続することを現実的に選択したのである。

もちろん、現実には保護水準の引き上げ等によって第1の道を進みつつも、第2の道であ る国際競争力の問題は常に意識され、経営規模拡大等の相応の対策がとられるということ はありえよう。しかしながら、中国の食糧政策において、食糧の自給と国際競争力の維持 が矛盾なく進められる時期は過ぎ去り、何らかの犠牲を払いつつ食糧自給か国際競争力か を基本的に選択せざるをえない時期に入っているのであり、そうしたなかで中国政府が食 糧自給の道を選択し、その方向に進み始めているということは明確に認識される必要があ る。

おわりに

以上のとおり、本稿では、中国の食糧需給の逼迫は構造的なものであり今後とも食糧増 産が求められていること、中国の食糧生産費の継続的な増嵩によって中国食糧の国際競争 力は今後とも低下していくと見込まれること、そうしたなかで中国の食糧政策は自給か国 際競争力かの岐路にさしかかることとなったが、中国は現実的に食糧自給の道を選択した ことについて述べてきた。

食糧自給のために、中国は今後とも補助金支出、価格支持等の食糧生産保護政策を強化 していくこととなろうが、このことはとりもなおさず中国の農業保護国化が進行すること を意味している。こうした事態は中国が食糧生産経営の零細性を直ちには克服できない以 上、不可避なものでもあろう。ただし、中国が直ちに日本のような高度な農業保護国とな るというのではもちろんない。中国の農業保護国化の程度は今後の食糧の国際価格の動向 や中国の経済動向等によっても左右される。現実的には、国際価格が変動する一方で中国 国内の保護水準は継続的に引き上げられていくものと考えられることから、徐々に内外価 格差の拡大等によって農業保護国化が進行していくこととなろう。

1

)『中国統計年鑑』によれば、中国の統計で「食糧」とは、穀物のほか、イモ類および豆類を含む。

生産量は、穀物および豆類は脱粒後の重量とし、イモ類は生鮮重量を

5分の 1にして換算する。本

稿で「食糧」はこの意味で用いる。なお、中国の主要食糧とされるコメ、小麦およびトウモロコ シの生産量合計は、「食糧」の約9割を占める。

2

) 中国では都市および農村の毎年の家計調査のなかで、それぞれ「城鎮居民家庭平均毎人全年購買 主要商品数量(都市住民家庭年間

1人当たり主要商品購入平均数量)

」および「農村居民家庭平均 毎人主要食品消費量(農村住民家庭

1

人当たり平均主要食品消費量)」に関する調査が行なわれ、

(9)

その結果が『中国統計年鑑』に掲載されている。

3

1987年の数値。鶏肉は1986年以前の数値がない。

4

United States Department of Agriculture

(USDA)

, Foreign Agricultural Service

から得た数値をその年の 人口で除して算出した。なお、鶏肉はブロイラーとターキーの合計、乳類は粉ミルクと液体ミル クの合計である。

5

)『新聞信息』2014年

9月10日(原資料は「中華糧網」

)ほか。www.cngrain.com/Publish/qita/201409/

573796.shtml、www.cngrain.com/Publish/qita/201409/573794.shtml、www.cngrain.com/Publish/qita/201409/

573795.shtml。

6

) 張小瑜「未来我国糧食供需形勢予測分析」『農業展望』2012年第

3期。

7

) 中国の生産費調査である『全国農産品収益資料 編』では、「コメ」の指標は「早生インディカ 米」「中生インディカ米」「晩生インディカ米」および「ジャポニカ米」の平均値で示されている。

8

)『全国農産品収益資料 編』各年。

9

) 市場価格があらかじめ定めた最低買付価格を下回った場合に、最低買付価格で買い上げる制度。

現在、コメおよび小麦が同制度の対象とされている。

(10) 各年の全国人民代表大会における「中央・地方予算執行状況および中央・地方予算案に関する報 告」による。

(11)『中国糧食市場発展報告

2013』

(12) 中共中央・国務院から出されるその年の最初の政策方針を示す文書。2014年の文書の題名は

「農村改革を全面的に深化させ農業近代化の推進を加速させることに関する若干の意見」であった。

かわはら・しょういちろう 農林水産政策研究所上席主任研究官 http://www.maff.go.jp/primaff/

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