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消費者がプリンターに求めるものとは - Sophia

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2010年度 上智大学経済学部経営学科 網倉ゼミナール 卒業論文

消費者がプリンターに求めるものとは

~ヘドニックアプローチによる分析と考察~

学籍番号A0742441 氏名 渡辺耕平 2011年1月15日提出

(2)

2 目次

◇はじめに………3

1 プリンターについて 1.1 プリンター市場………4

1.2 プリンターの進化………5

1.3 プリント方式………5

2 問題提起とPOSデータの利用 2.1 素朴な疑問………7

2.2 研究対象………7

3 データの分析と考察 3.1 ヘドニックアプローチ………8

3.2 分析手法………8

3.3 結果の予想………10

3.4 実証分析………10

3.5 分析結果からの考察………14

4 今後のプリンターについての展望 4.1 プリンターのコモディティ化………15

4.2 今後のイノベーションと品質………16

◇参考文献………18

(3)

3

◇はじめに

家庭用プリンターは、2011年現在国内において、PCを保有する家庭にとって必需品と言っ ていいほどまで普及した。その背景には多くのプリンターが登場してきたが、他のデジタル機器 市場と同様、ロングヒットとなった製品もあれば、一瞬にして市場から消え去った製品もある。

私は、身近なデジタル機器の一つとしてプリンターに興味を持ち、表題にあるように「消費者は プリンターに何を求めているのか」という疑問を持った。これが、本研究の出発点である。この 疑問に対する答えを探すべく、まずは国内プリンター市場の創成期(1990年代後半)から現在 の成熟した市場までの製品の変遷をたどった。次に、ヘドニックアプローチによって価格と品質 の関係を分析することで、客観的な考察を加えた。そこから得られた疑問への答えを述べたのち、

データから得られた新たな発見をもとに、最後は今後のプリンター市場の展望について意見を加 えた。

拙い論文であるが、なんとかこのような形にできたことを嬉しく思うとともに、研究に多大な 助言と提言をしてくださった網倉教授、いくつもの有益な意見を述べてくれた網倉ゼミナールの 学生のみなさんに、心から感謝申し上げます。

(4)

4 1 プリンターについて

1.1 プリンター市場

以下に、JEITA(社団法人 電子情報技術産業協会)が発表した2000年~2008年のプリン ターの市場規模のグラフがある。世界市場において、台数ベースでは2004年ごろまでゆるやか な上昇を見せるも、それ以降はほぼ横ばいになっている(図1)。国内市場においては、2000年 からは台数ベースでほぼ横ばい、金額ベースでは右肩下がりとなっている(図2)。金額ベース で低下が見られるのは、SOHO市場一極化やプリンターのコモディティ化が生じているからだ と考えられる。

図1

図2

出典:JEITA

※毎年発表のデータから、筆者がグラフを作成 0

500000 1000000 1500000 2000000

0 20000 40000 60000 80000 100000

(百万円)

(千台)

世界市場規模

出荷台数 金額

025000 50000 75000 100000 125000 150000 175000 200000 225000

10000 20003000 40005000 60007000 8000

(百万円)

(千台)

国内市場規模

出荷台数 金額

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5

世界的に見れば、プリンターのような周辺機器は、先進国での新規・買い替え需要がほとんど であり、近年は頭打ちないし下降の傾向がある。しかし中国、インドなど成長が著しいアジア各 国で需要が急増しており、世界全体の需要は、今後はゆるやかながら上昇していくことも考えら れる。

国内では、すでに成熟市場となっているが、年々のイノベーションによって付加価値を生み出 し、かろうじて横ばいの需要を保っている。金額ベースで減尐が見られるのは、先に述べたよう に需要全体がSOHO市場(小規模事業所や家庭向けのプリンター製品市場)に一極化し、ビジ ネスユースの高価格帯製品の需要が減尐していることや、プリンターのコモディティ化が生じて いるからだと考えられる(コモディティ化については後述する)。

本研究では消費者ニーズとプリンター品質についての考察が本題となるので、今回は世界市場 は分析対象外とし、国内市場に論点を絞って展開していくこととする。

1.2 プリンターの進化

デジタルスチルカメラや携帯電話といったデジタル機器と同様、プリンターのイノベーション は短期間のうちに数多く生まれてきた。ここではプリンターのイノベーションの程度を見るため に、後述するヘドニックアプローチによる分析でも利用したGfK社のPOSデータを参照する。

まずは代表的な技術力を示す解像度だが、1996年1月時点での国内販売数上位20製品中、

解像度は縦横それぞれ600~720dpiが平均的な値であるが、2006年12月時点でのデータ(同 33製品)では縦で1200dpiを下回る製品はほとんど見られない。中には2400dpiの製品も多く ある。他にも、インクの色数を増やして色彩表現を豊かにした製品や、USBなど様々なインタ ーフェースに対応したもの、画像のプレビュー画面まで備えた製品も増加してきている。

各企業が独自に開発してきたダイレクトプリント機能も、2002年10月にはPictBridgeとい う国内標準規格が定められ、デジタルスチルカメラとの互換性を備えた。2006年12月時点の データでは、このPictBridgeを搭載している製品が約80%を占める。

ここ数年の技術としては、無線LANに対応し、PCとの間がコードレスで印刷可能な製品が 各社から発売されている。また2011年1月現在、新たな技術として従来のビューパネルがタッ チパネル式になった製品が登場している。

このように、プリンターのイノベーションは著しく、製品機能は年々変化していることがわか る。

1.3 プリント方式

プリンターは、プリント方式によって分類することができる。JEITAの定義(2009)による と、プリンターは「活字やワイヤーの機械的衝撃を用いて印刷するインパクトプリンター

(impact printer)と、物理的、化学的あるいは電子的な方法を用いるノンインパクトプリンタ ー(non-impact printer)の二つに大別され」る。カラー印刷が無かった初期のプリンター市場 においては、インパクトプリンターの一種であるドットインパクトプリンターが主流であったが、

本研究の対象期間である1990年代後半時点では、すでにノンインパクトプリンターが市場の大

(6)

6

半を占めるようになっている。JEITAによると、2009年の国内市場におけるドットインパクト プリンターの新製品は3製品しか発売されておらず、ノンインパクトプリンターと比較すると 市場での存在感は極めて薄い(表1)。

表1

※MFP含む 出典:JEITA

ノンインパクトプリンターはさらに電子写真方式、インクジェット方式、感熱方式、熱転写方 式などに分類されるが、最も主流であるのはインクジェット方式である。その定義を先と同様に

JEITAから引用すると、インクジェット方式とは「インク粒子や小滴を用紙に噴射させて文字

等を形成する方式」のことである。インクジェット方式のプリントプロセスは、小型化や低価格 化が容易であることから、製品化より現在までSOHO市場において大半のシェアを占めてきて いる(注:現在は技術の発展により電子写真方式などでも小型・低価格の製品が見られる)。ガ ートナージャパンによると、尐なくとも2003年から2008年上半期までの間はインクジェット 方式プリンターが市場の80%以上を占めていることが分かる(表2)。

表2

※単位千台、MFP含む 出典:ガートナージャパン

オフィスユースでは、印刷一枚当たりのコストが低い電子写真方式のプリンターが今なお人気 であり、新製品の発売数の高さからそのラインナップに対するニーズがうかがえる(表1)。し かし一方で一般消費者向け製品は圧倒的にインクジェットプリンターが多く、本研究で用いた POSデータの対象製品の95%以上がインクジェットプリンターであった。

したがって本研究では、インクジェットプリンターを分析対象とし、その他の方式は対象外と する。プリンターには機能による分類も存在するが、この分類は様々なデータの引用を難しくす るため、MFP(Multi Function Printer:複合機)やSFP(Single Function Printer:プリン ト機能のみの製品)といった分類は行わない。

以下、特に断りがない限り「プリンター」はインクジェットプリンターを指すものとする。

2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年

インクジェット 83 67 85 86 84 87 65 75

電子写真 129 109 124 131 127 161 176 122

感熱・熱転写 9 4 13 7 9 18 10 13

ドットインパクト 12 10 13 18 15 16 6 3

プリント方式別 新製品発売数(国内)

2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年上半期 インクジェット方式 6624 6466 7347 7135 6670 2733 合計 7904 7810 8693 8517 8017 3319 シェア 83.8% 82.8% 84.5% 83.8% 83.2% 82.3%

インクジェットプリンター出荷台数(国内)

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7

2 問題提起とPOSデータの利用

2.1 素朴な疑問

最初に触れたように、プリンターに関して筆者が抱いた率直な疑問は、「消費者はプリンター に何を求めているのか」というものであった。これは言い換えれば、「消費者はプリンターのど のような点から効用を得るのか」ということになる。この疑問に答えるためには、データを収集 し客観的な分析が必要である。しかし、実際に消費者が感じる満足は主観的なものであるから、

客観的にその程度を測定し、また被験者ごとに比較することは難しいというのが通念である。そ こで、アンケート調査によって有意な数のサンプルを集めるのも一つの手段であるが、分析過程 において客観性が十分に確保されないであろうという考えから、今回の研究では採用を見送った。

このたび、幸運にもマーケティング企業GfK社から入手した、1998年~2006年の期間のプ リンターに関するPOSデータを利用することができた。このデータから、ヘドニックアプロー チによって価格と製品特性を関連付け、消費者がプリンターのどのような点をどの程度評価して いるのかを間接的に測定することが、本研究の軸となる(ヘドニックアプローチについては後述 する)。

2.2 研究対象

ここで、利用するPOSデータについて簡単に述べる。データ収集範囲は国内プリンター市場 にて販売されたプリンターであり、1998年~2006年の毎年1,2,4,6,8,10,11,12各月 時点で販売数上位20~33製品を対象に平均販売数量、平均価格を測定している(20~33製品と ばらつきがあるのは、GfK社が1999年以降の10,11,12月には上位33製品を、それ以外の 月には上位約20製品を収集していたからである)。なお、データには製品仕様情報も含まれて いるが、欠損個所などは必要に応じて筆者が修正した情報になっている。

(8)

8 3 データの分析と考察

3.1 ヘドニックアプローチ

統計処理に先だって、ヘドニックアプローチの理論的枠組みについて説明する。ヘドニックア プローチはCourt(1939)の自動車研究が草分け理論とされ、日本では太田(1978)の研究が その系譜を継ぎ、多く引用されている。本研究では、これをデジタル機器の分析に応用した白塚

(1994)の理論を踏襲している。

白塚(1994)によると、「製品の品質がこれを構成する機能や性能に分解できると考え、これ らを反映する客観的な指標を利用して、総合的な品質を個別の機能・性能の総和として評価する」

という考え方を、ヘドニックアプローチとして説明している。プリンターにたとえるなら、解像 度や印字スピード、PictBrigde対応の有無など数字として測定できる各性能を総和すれば製品 の総合的品質とみなすことができるという考え方である。すなわち、ヘドニックアプローチによ って品質の客観的評価が可能となり、分析結果から導かれる筆者の「素朴な疑問」に対する考察 に科学的論拠を与えることができる。本研究でヘドニックアプローチを採用する理由は、このた めである。

ヘドニックアプローチでは、「経済で取引されている各種の財・サービスの価格が、その財・

サービスの品質をあらわす種々の特性(characteristics)に依存している」(同)が、この考え 方に理論的説明を与えるものが「ヘドニック仮説」である。ヘドニック仮説とは、ある財、サー ビスの総合的品質を各種の「特性」の合成であるとみなすことだと白塚は述べている。この特性 には、プリンターならば「印刷の綺麗さ」「印刷スピードの速さ」「デジタルカメラとの互換性」

などが当てはまるが、これらは技術的要因と密接に結びついていると考えられる。使用者の主観 的な尺度であるこれらの特性(「成果変数」とよばれる)を、「解像度」「印字速度」「PictBridge 対応の有無」など客観的に測定可能な性能(「物理変数」とよばれる)に置き換えることができ るということが、太田(1978)によって統計的に検証されている。この置き換えを白塚(1994)

でも適用しているため、本研究でもこの置き換えプロセスに問題はないと捉え、ヘドニック仮説 に基づいて分析を行う。

ここまでの説明を簡潔にまとめると、ある財・サービスの価格は総合的品質の水準によって決 定されるが、総合的品質は物理変数の総和であるため、ある財・サービスの価格は各物理変数の 組み合わせによって決定される、ということができる。

ヘドニックアプローチの背景には、ランカスターの「新しい消費者理論」とよばれる消費者行 動理論があり、これがヘドニックアプローチに経済理論的基礎を与えているが、ここでは解説を 割愛する。

3.2 分析手法

ヘドニックアプローチにのっとって、価格を被説明変数、各性能をあらわす物理変数を説明変 数として、重回帰分析を行う。なお、ここでの価格は品質水準によって決定されるという意味で、

市場価格でなければならない点に注意されたい。

(9)

9

各性能をあらわす物理変数についての詳細は表3の通り。

表3

また、ヘドニック推定式は以下のようにあらわされる。

ここで はt期における第i財の第j番目の特性、 は第k期の期間ダミー、 は誤差項を あらわす。過去の実証研究では価格・特性両者を対数変換し、両対数線形で推計を行うケースが 多いが、本研究では片側対数(価格のみ)で推計を行っている。

説明変数 単位 詳細

価格 円 対数変換済み価格

経過月数 月 発売から測定時まで経過した月数

本体サイズ mm

3

製品の本体の横幅・高さ・奥行きを掛けた値 解像度 dpi

2

カラー印刷時の最大解像度の縦横を掛けた値

インク色数 個 使用するインクの種類数

フラットベッドスキャナダミー - フラットベッドの読み取り部を備えている製品は 1、そうでなければ0

A4判ダミー - A4サイズ以下の用紙のみが印刷可能である製 品は1、そうでなければ0

はがきダミー - はがきサイズ以下の用紙のみが印刷可能であ

る製品は1、そうでなければ0

USB2.0ダミー - USB2.0に対応している製品は1、そうでなけれ ば0

USB1.1ダミー - USB1.1に対応している製品は1、そうでなけれ ば0

ディスクレーベルプリントダミー - ディスクレーベルプリント機能があれば1、そう でなければ0

ダイレクトプリントダミー - PictBridge以外のダイレクトプリント機能を備え ている製品は1、そうでなければ0

PictBridgeダミー - PictBridgeに対応している製品は1、そうでなけ れば0

インク形状ダミー - カラーインクが各色独立型である製品は1、一 体型である製品は0

IEEE1284ダミー - IEEE1284に対応している製品は1、そうでなけ れば0

IEEE1394ダミー - IEEE1394に対応している製品は1、そうでなけ れば0

ビューパネルダミー - 本体に画像のプレビュー画面を備えている製 品は1、そうでなければ0

対応メディアダミー - 5以上のメモリーカードに対応している製品は 1、そうでなければ0

エプソンダミー - エプソンの製品であれば1、そうでなければ0 キヤノンダミー - キヤノンの製品であれば1、そうでなければ0 HPダミー - 日本HPの製品であれば1、そうでなければ0 日本電気ダミー - 日本電気(NEC)の製品であれば1、そうでなけ

れば0

LEXMARKダミー - LEXMARKの製品であれば1、そうでなければ0

期間ダミー - 該当期間であれば1、そうでなければ0

(10)

10

統計ソフトはSPSS version 18.0を使用した。多重共線性の問題については変数選択時に処理 しているが、宮本・椿(2001)に改良主成分回帰分析の手法が詳述されており、分析対象によ ってはこの手法のほうがより適している場合もあるので、参照してほしい。

有意確率5%水準でステップワイズ処理をしており、各変数、1%と5%で区別してある。

すでに述べたことであるが、本研究では国内市場において販売されたプリンターを分析対象と し、利用するPOSデータが販売数上位製品であることから、必然的にほぼすべての対象製品が インクジェットプリンターとなるため、POSデータに含まれる僅かな他プリント方式製品は除 外して統計処理を行う。

3.3 結果の予想

実証分析の前に、各性能がどれだけ価格形成に寄与しているかを想定する。まずパラメータの 符号が負となる説明変数はおそらく「経過月数」「はがきダミー」「HPダミー」「LEXMARKダ ミー」「期間ダミー(後半)」であろう。経過月数については、型落ち製品は価格が低くなると予 想されるからである。はがきダミーについては説明するまでもない。HP、LEXMARK両企業に ついては、それぞれが発売する製品は他社と比較して低価格帯のものが多いからである。期間ダ ミー(後半)は、現在に近いほど価格が全体的に低下傾向にあると想定するからである。

正の符号を示す説明変数の中で、大きな値を一貫して示すと思われるのはどの変数だろうか。

「本体サイズ」「解像度」「インク色数」「PictBridgeダミー」「ビューパネルダミー」「エプソン ダミー」「キヤノンダミー」などが大きな値を示すと予想する。本体サイズは言わずもがな、解 像度やインク色数は、印刷の綺麗さ・表現力を左右するため、価格と強い相関関係にあると予想

できる。PictBridge、ビューパネルはユーザーの利便性を向上させる重要な付加機能であるから、

これも一定の価格の上昇要因となりうるだろう。エプソン、キヤノン両社はシェアが大きく、非 価格競争力を十分に持っているため、価格プレミアムを乗せることができると考えたからである。

3.4 実証分析

これまで述べた理論・手法に基づき、実際にヘドニック関数の推計を行った。パラメータの安 定性を確認するため、全期間を通した推計である通年度推計、年度毎の推計、隣接2年度推計 の3種類の推計を行った。その結果は次ページ以降にある。表4は基礎統計量を、表4は通年 度および隣接2年度のヘドニック関数推計を、表6は単年度のヘドニック関数推計を示してい る。

分析単位が「年」ではなく「年度」となっているのは、プリンター市場が毎年10月に新製品 を多く投入され、翌年9月まで徐々に市場が縮小していくというサイクルを経るからである。

ここで定義される年度とは、当該年第4四半期からはじまり、翌年第3四半期に終わる期間を 意味する。POSデータの大きな傾向として、販売数上位製品は10月時点での製品ラインナップ が翌年10月までほぼ同一である(順位は変わるが上位に留まり続ける)ことが見てとれる。す なわち、年度毎に分類してデータ処理を行うほうがより多くの有意な数値が出てくるということ である。

(11)

11 表4

※ダミー変数

平均価格(百円) 235.90 280.07 273.44 241.10 239.97 237.62 215.37 201.17 195.08

販売数量(百個) 43.34 26.30 36.38 47.16 49.44 48.24 45.59 46.29 48.76

経過月数 9.04 9.95 10.58 9.48 8.96 7.42 7.64 8.55 9.55

本体サイズ(十万mm3) 259.58 205.56 233.04 259.11 255.87 279.46 283.80 273.87 283.21

解像度(十万dpi2) 36.25 7.55 10.20 12.98 19.47 35.78 43.91 61.26 96.94

インク色数 5.09 4.70 4.92 5.08 5.26 5.18 5.19 5.25 5.14

※フラットベッドスキャナ 0.15 0.00 0.01 0.03 0.06 0.19 0.24 0.29 0.41

※A4判 0.86 0.84 0.83 0.85 0.82 0.90 0.94 0.86 0.82

※はがき 0.02 0.01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.02 0.05 0.11

※USB2.0 0.20 0.00 0.00 0.00 0.02 0.20 0.38 0.42 0.62

※USB1.1 0.61 0.16 0.55 0.90 0.98 0.80 0.62 0.56 0.37

※ディスクレーベルプリント 0.23 0.00 0.00 0.01 0.14 0.30 0.41 0.49 0.49

※ダイレクトプリント 0.06 0.05 0.01 0.01 0.06 0.18 0.13 0.05 0.02

※PictBridge 0.22 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.34 0.63 0.76

※インク形状 0.40 0.03 0.14 0.26 0.36 0.42 0.61 0.71 0.70

※IEEE1284 0.18 0.75 0.47 0.13 0.03 0.02 0.00 0.00 0.00

※IEEE1394 0.03 0.00 0.00 0.00 0.05 0.08 0.07 0.01 0.00

※ビューパネル 0.11 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.07 0.27 0.52

※対応メディア 0.18 0.00 0.00 0.01 0.06 0.15 0.27 0.40 0.59

1559 176 202 207 186 190 195 206 197

エプソン 747 68 77 91 99 104 101 101 106

キヤノン 668 86 83 78 75 78 83 97 88

HP 98 21 25 16 6 8 11 8 3

日本電気 71 25 21 19 6 0 0 0 0

LEXMARK 8 0 5 3 0 0 0 0 0

その他 36 12 0 0 10 6 0 5 3

1628 212 211 207 196 196 195 211 200

平均値

有効サンプル数

度数分布

総サンプル数

プリンターデータの基礎統計量

___________測定期間_

__項目 通年 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度

(12)

12 表5

被説明変数:対数変換済み価格 p<0.1 **はp<0.5 ※ダミー変数        測定期間

____________

説明変数

1998年度- 1999年度

1999年度- 2000年度

2000年度- 2001年度

2001年度- 2002年度

2002年度- 2003年度

2003年度- 2004年度

2004年度- 2005年度

定数 10.149 9.578 9.240 9.370 10.312 10.457 9.424 9.728

経過月数 -0.218 -0.209 -0.197 -0.187 -0.243 -0.219 -0.220 -0.373

本体サイズ 0.074 -0.101 ( ) -0.103 -0.143 -0.327 ( ) ( )

解像度 ( ) 0.423 0.283 0.237 ( ) ( ) -0.118 ( )

インク色数 0.302 0.385 0.436 0.395 0.283 0.363 0.496 0.513

※1998年度 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

※1999年度 -0.134 -0.221 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

※2000年度 -0.335 ( ) -0.323 ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

※2001年度 -0.385 ( ) ( ) -0.214 ( ) ( ) ( ) ( )

※2002年度 -0.475 ( ) ( ) ( ) -0.184 ( ) ( ) ( )

※2003年度 -0.616 ( ) ( ) ( ) ( ) -0.265 ( ) ( )

※2004年度 -0.738 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) -0.184 ( )

※2005年度 -0.784 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) -0.095

※フラットベッドスキャナ 0.316 0.162 0.249 0.450 0.537 0.778 0.519 0.385

※A4判 -0.481 -0.426 -0.373 -0.535 -0.643 -0.686 -0.541 -0.961

※はがき -0.099 ( ) ( ) ( ) ( ) -0.247 ( ) -0.714

※USB2.0 0.217 ( ) ( ) ( ) -0.079 0.134 0.238 ( )

※USB1.1 0.228 0.188 0.231 0.180 ( ) ( ) ( ) ( )

※ディスクレーベルプリント 0.157 ( ) ( ) 0.175 0.318 0.221 0.109 ** ( )

※ダイレクトプリント 0.198 0.279 0.212 0.108 0.254 0.307 0.216 0.184

※PictBridge 0.242 ( ) ( ) ( ) ( ) 0.182 0.199 0.424

※インク形状 0.100 -0.145 -0.187 ( ) 0.343 0.349 0.182 ( )

※IEEE1284 ( ) ( ) ( ) ( ) 0.101 0.093 ( ) ( )

※IEEE1394 0.094 ( ) ( ) 0.107 0.159 0.132 ( ) ( )

※ビューパネル 0.086 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 0.128 0.311

※対応メディア -0.215 ( ) -0.120 ( ) ( ) ( ) -0.316 -0.412

エプソン ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

キヤノン 0.071 0.369 0.293 0.162 ( ) ( ) 0.273 ( )

HP ( ) 0.118 ( ) ( ) ( ) -0.305 -0.204 -0.237

日本電気 -0.053 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

LEXMARK -0.086 -0.198 -0.162 -0.070 ( ) ( ) ( ) ( )

自由度調整済み決定係数 0.659 0.668 0.690 0.723 0.797 0.844 0.744 0.766

有効サンプル数 1559 378 409 393 376 385 401 403

通年度

ヘドニック関数の推計結果(隣接2年度推計)

(13)

13 表6

被説明変数:対数変換済み価格 p<0.1 **はp<0.5 ※ダミー変数

定数 10.637 9.321 8.312 10.164 10.427 9.253 9.024 8.704

経過月数 -0.201 ( ) -0.217 -0.174 -0.279 -0.163 ( ) ( )

本体サイズ -0.356 ( ) ( ) -0.159 -0.407 ( ) 0.348 0.274

解像度 0.871 0.192 0.380 0.161 ( ) -0.156 ** ( ) ( )

インク色数 ( ) 0.330 0.537 0.265 0.389 0.631 0.457 0.387

※フラットベッドスキャナ ( ) 0.204 0.323 0.545 0.863 0.585 0.260 0.426

※A4判 -0.575 -0.346 -0.421 -0.670 -0.707 -0.513 -0.498 -0.351

※はがき -0.308 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

※USB2.0 ( ) ( ) ( ) -0.116 ( ) 0.269 ( ) ( )

※USB1.1 ( ) 0.417 0.427 ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

※ディスクレーベルプリント ( ) ( ) ( ) 0.282 0.260 ( ) 0.151 ** ( )

※ダイレクトプリント 0.534 0.227 ( ) 0.190 0.404 0.287 ( ) ( )

※PictBridge ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 0.181 0.240 0.414

※インク形状 ( ) ( ) -0.436 0.226 0.523 0.347 ( ) ( )

※IEEE1284 -0.208 ( ) 0.171 ** ( ) 0.125 ( ) ( ) ( )

※IEEE1394 ( ) ( ) ( ) 0.191 0.108 ( ) ( ) ( )

※ビューパネル ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 0.474

※対応メディア ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) -0.289 -0.212 -0.774 エプソン ( ) -0.153 ** ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

キヤノン 0.437 ( ) 0.519 ( ) -0.105 ** 0.399 0.174 ( )

HP ( ) ( ) -0.136 ( ) -0.203 -0.210 ( ) -0.136 日本電気 ( ) -0.099 ** ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) LEXMARK ( ) -0.203 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

自由度調整済み決定係数 0.737 0.712 0.722 0.773 0.888 0.777 0.707 0.665

有効サンプル数 176 202 207 186 190 195 206 197

       測定期間

_説明変数

ヘドニック関数の推計結果(年度別推計)

2005年度

1998年度 1999年度 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度

(14)

14 3.5 分析結果からの考察

まずは表4の基礎統計量を見てみる。有効サンプル数はほぼ横ばいであり、除外した製品項 目に期間毎の偏りはないので信頼できるデータだろう。価格の動きを見ると、明らかな下落傾向 がある。ただし平均価格の推移だけでは価格変動の実勢を把握することができない。この点に関 してはプリンターのコモディティ化と関連して後述する。次に販売数量だが、2000年度を境に 上昇傾向は収まり、ほぼ横ばいとなっている。この情報だけで国内インクジェットプリンター市 場の停滞は説明できないが、図2から読み取れる傾向とは整合性があるといえる。ディスクレ ーベルプリント、ビューパネルダミーの数字の伸びからは、高機能製品の台頭が読み取れる。

USB2.0、対応メディアダミーの値の増加傾向は、標準的なメディア規格へ対応した製品が販売 数上位に登場するようになったといえよう。PictBridge、インク形状ダミーの値の上昇は、消費 者の利便性を意識した製品の台頭をあらわしている。

企業別に見ると、キヤノンが1999年度までトップだったが、2000年度にエプソンに抜かれ て以降ずっと、製品数ではエプソン、キヤノンの順番が保たれている。キヤノンの横ばい状態が 続く中、エプソンが着実に上位シェアを奪っていく様子がわかる。NECの製品数が2002年度 から0なのは、このころにインクジェットプリンター市場から撤退したためである。HP製品も 明らかな減尐傾向であり、2005年度にはエプソンとキヤノンの2社で販売数上位製品の97%を も占めている。以下に、販売数上位に入らなかった製品を考慮しても、インクジェットプリンタ ー市場がこの2社の寡占状態にあることは間違いない。

次に、表5、表6に注目する。各年度また隣接2年度、通年度の決定係数の大きさは十分とは いえないまでも、ある程度の高い値を示している。推計パラメータの符号の向きはおおむね予想 通りのパフォーマンスであるが、解像度が2001年を境に価格変動に寄与しなくなっている。ま た、対応メディア、インク形状ダミーが負の符号をもっていることは疑問で、これでは整合性が とれない。企業間の非価格競争力については、キヤノンに大きくはないが正の値、HPには負の 値が示された一方で、エプソンについては有意な値が生じなかった。フラットベッドスキャナに ついては、おそらくMFPと同様の意味を持つ変数になってしまっているので、MFPという別 のダミー変数を作成し、そちらを説明変数とするべきだったようだ。

通年度推計において有力な説明変数を探すことができなかったのは、プリンターのイノベーシ ョンが毎年のように生じることを考えれば妥当な結果である。全期間を通して一貫した値を示し たのはインク色数とダイレクトプリントダミーのみであり、有力と思われるのはインク色数だけ であったが、4年度ずつに大別すれば他の説明変数も選択可能である。すなわち、2001年ごろ までは解像度、USB1.1ダミー、キヤノンダミーなどの変数が価格形成にある程度の寄与を示し、

2003年ごろからは、Pictbridgeダミーが価格上昇に、HPダミーに価格下落に貢献しているこ とがわかる。言い換えるならば、2001年ごろまでの消費者はプリンターの解像度が高いことや、

USB1.1に対応している製品であること、キヤノンというメーカーブランドなどに価値を見出し

ていたということであり、同様に2003年以降はPictbridge対応であることが品質を高めるが HP製品であることにマイナスの評価を下しているということである。

解像度が後半に有意な値を示さないのは、デジタルスチルカメラの画素数と同様、ある一定の

(15)

15

水準まで技術が進歩すると消費者に技術差が知覚できなくなり、付加価値を生み出さないからで ある。インク色数が一貫して正の値を示していることとの整合性はとれないが、解像度の平均値 が年々上昇していくにもかかわらず、価格との関連が見られない理由のひとつは、このような消 費者の知覚の限界が考えられる。USB1.1について有意な値が得られなくなったのは、新しい規

格であるUSB2.0の登場により、それまでのUSB1.1対応の有無という二次元構成からUSB1.1

対応、USB2.0対応、USB非対応の三次元構成に変化したためであろう。キヤノンダミーが前 半で有意な値を示しているのは、それまでキヤノンが非価格競争力をもっていたというよりむし ろ、2001年度ごろから非価格競争力を失ったといえる。このことは、先に述べたエプソンによ る上位シェア逆転の流れに沿っている。PictBridgeダミーのパラメータが前半に見られないの は、規格が2002年に生まれたからである。また、HPダミーが負の符号をもつことは、2002 年度から上位製品がエプソン・キヤノンの拮抗によって大部分を占め、わずかにある他社製品の うちダミー変数を投入したのはHPのみであるからで、HP製品が低価格帯であることを考える と、符号の向きは当然であるといえる。

以上のように、プリンターの価格形成に寄与している性能(特性)の組み合わせ(言い換える なら、消費者が強く評価する製品特性)は、全期間を通して一貫せず、経年とともに変化するこ とがわかった。本研究では2005年度までしか分析することができなかったが、今後は製品の多 機能化がより一層進展することによって、各変数の影響力は相対的に減尐し、消費者が魅力を感 じる単一の性能というものは、目まぐるしく交替していくか、なくなってしまうと予想する。

4 今後のプリンターについての展望

4.1 プリンターのコモディティ化

これまで何度か触れたが、今後のプリンターの展望を述べるには、プリンターのコモディティ 化について考えなければならない。コモディティ化とは、伊藤(2007)がDVDレコーダー・プ レイヤーの研究の中で「製品品質の同質化・成熟化によるによる平均販売価格低下だけでなく、

製品品質の向上が価格へ十分に転嫁されないときに認識される現象」と説明している。これが、

プリンターにも起こっていると考えられる。

表4における平均価格の推移から、プリンター価格の下落傾向は読み取れるが、より実質的 な価格変動を把握するためには、品質のばらつきを調整したうえでの価格の変化を見る必要があ る。これが推定式で求められるヘドニック価格(品質調整済み価格)、またはヘドニック物価指 数(品質調整済み物価指数)とよばれるものである。ここではヘドニック物価指数の変化をたど ることで、プリンターのコモディティ化について考察したい。

指数の具体的な算出は以下の数式を用いる。最終式までの計算プロセスは、本研究では割愛す るので、白塚(1994)を参照されたい。

基準時点0期を100とする比較時点k期のヘドニック物価指数は

(16)

16

として算出できる。ここで はヘドニック関数推計式と同様、期間ダミーにかかるパラメータを あらわしている。

この計算式をもとに算出したヘドニック物価指数が、次の表7にまとめられている。

表7

1998年度を100として指数の変化を見てみると、単なる価格変化では年度率-4.95%であるが、

通年度推計では-10.48%、隣接2年度推計では-21.23%と激しい低下率が見てとれる。他のデジ タル機器がたどる道と同様、初期の市場では高価格であったプリンターも、年々の高性能・高機 能化の一方で価格が低下し続けていることがわかる。

プリンターのコモディティ化は、製品の供給側からすれば大きな問題である。プリンター市場 のインクによる収益確保というビジネスモデルを鑑みても、非正規インクが台頭してきている現 状において、これ以上の価格の低下傾向の加速が起るのならば、何か打開策を実行しなければな らない段階に来ている。一方で、消費者側からすれば価格の低下と高性能・高機能化の両立は大 きなメリットであるが、インク主体のビジネスモデルは今後も保持されると考えられるため、プ リンターの使用コストは満足な程度に低下していくとは言い切れない。こうしたプリンター供 給・需要双方にとっての不利益は、プリンターの継続的なイノベーションと、インク市場におけ る非正規インクの拡大という主に二つの要因によってもたらされると思われる。

4.2 今後のイノベーションと品質

2011年1月現在、販売されている製品の中で注目すべき製品特性としては、「操作性」「設置 場所の自由さ」などが挙げられる。前者は、タッチパネル式のビューパネルが代表的な製品性能 で、より理解しやすく感覚的な操作を可能にしたものである。後者は無線LANに対応し、家庭・

オフィス内でのプリンターの設置の制約を排除することで、より利便性を高めている。このよう に、市場は頭打ちとなっている現在もなおイノベーションは絶えず起こり、プリンターの品質を 高め続けている。これらのイノベーションがプリンターのコモディティ化を解消することは難し いが、その進行をわずかながら遅らせることはできるだろうし、実際に遅らせている。今後のイ ノベーションの方向性としては、クラウドコンピューティングがもっぱら期待の星として挙げら れている。これからは、プリンターはPCの周辺機器という枠組みから脱却し、他のデジタル機 器とインターネットを介して密接に結び付く、という予想だ。しかしこれは、先に述べた操作性 や設置場所の自由さといった製品特性と同様に、消費者の潜在ニーズを引き出したものに過ぎな

年度率 累積

平均単価 100 97.63 86.09 85.68 84.84 76.90 71.83 69.65

前期比 -2.37% -11.83% -0.47% -0.98% -9.36% -6.59% -3.03% -4.95% -30.35%

通年推計 100 87.46 71.53 68.05 62.19 54.01 47.81 45.66

前年度比 -12.54% -18.21% -4.88% -8.61% -13.15% -11.49% -4.50% -10.48% -54.34%

隣接2年度 100 77.90 52.74 41.45 33.83 24.86 20.29 18.36

前年度比 -22.10% -32.30% -21.40% -18.40% -26.50% -18.40% -9.50% -21.23% -81.64%

ヘドニック物価指数の変化

通算変化率 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度

(17)

17

い。消費者にとっての真の品質という観点からは、高性能・高機能の製品であれば高品質である とは限らない。この点は、ヘドニックアプローチと現実との乖離であり、ヘドニック分析の限界 ともいえる。

真の高品質を考える際に避けて通れないのは、不満の解消という問題である。今回の分析では 見ることができなかったアフターサービスの充実の程度や、インクジェットプリンターのビジネ スモデルについての消費者評価などがそれにあたるだろう。後者に関しては、近日の日本経済新 聞朝刊記事(2010年10月28日付)によると、インクジェットプリンターに対する消費者の不 満は、インクのコストパフォーマンスに対するものが大半であるという調査結果が出ている。こ の点を解消するイノベーションが起こるか、インク主体のビジネスモデルを再考しない限り、消 費者にとって真の高品質は達成されず、プリンターのコモディティ化を解消することはこれから も望めないと筆者は考える。

(18)

18

◇参考文献

白塚重典「物価指数に与える品質変化の影響―ヘドニック・アプローチの適用による品質調整 済みパソコン物価指数の推計―」日本銀行金融研究所「金融研究」第13巻第4号,1994年 太田誠「ヘドニック・アプローチの理論的基礎、方法および日本の乗用車価格への応用」季刊 理論経済学Vol.14 No.1,1978年

伊藤宗彦「製品価格変動に対する品質推移の影響」『国民経済雑誌』第195巻第6号,2007 年;83-98頁

西尾チヅル・猿渡康文・桑嶋健一「マーケティング・経営戦略の数理」朝倉書店,2009年;124-134 頁

村瀬洋一・高田洋・廣瀬毅士「SPSSによる多変量解析」オーム社,2007年;1-205頁

日本画像学会・藤井雅彦「シリーズ『デジタルプリンタ技術』インクジェット」東京電機大学 出版局,2008年

日本経済新聞朝刊記事,2010年10月28日;37頁

JEITA 社団法人電子情報技術産業協会 情報端末動向「プリンター」

http://home.jeita.or.jp/is/committee/infoterm/printer/index.html ガートナージャパン プレスリリース

http://www.gartner.co.jp/press/index2010.html

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