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19 年経過した暴露試験体の鉄筋腐食状況調査

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工学院大学建築学部卒業論文梗概集 阿部研究室 2015年度

19 年経過した暴露試験体の鉄筋腐食状況調査

DB-12212 高橋 沙季

1. はじめに

鉄筋コンクリートの耐久性は RC 造建築物において最も重 要な性能の一つである。特に鉄筋腐食は、美観だけでなく構 造耐力に重大な影響を及ぼすとされているが、どの要因がど の程度鉄筋腐食に関係してくるかは、掛川らの実験があるの みで把握されていない。本実験では、水セメント比・セメン ト種類・塩化物含有量・鉄筋のかぶり厚さが、それぞれどの 程度鉄筋腐食に関係してくるかを把握するために行う。

2. 実験方法 2.1 実験概要

本実験では 1996 年にインドネシアのバンドンで作製され、

インドネシア・日本の両国に暴露された試験体のうち、日本 で 19 年間暴露された試験体を調査する。実験の要因と水準 を表 1 に示す。なお、日本で暴露されていた試験体とインド ネシアで暴露されている試験体は全て実験の要因が一致し ている。

2.2 使用材料およびコンクリートの調合

試験体は、実際にインドネシアの建築に使用されている材 料を用いて作製されている。使用材料の種類と物性を表 2 に、

計画調合表(1m3)および調合結果を表 3 に示す。

2.3 暴露試験体

暴露試験体は寸法 15×15×25cm の角柱試験体で、4 本の 鉄筋(かぶり厚さ 5,10,20,30mm)が入っている。試験体の形 状・寸法を図 1 に示す。暴露試験は 1996 年 8 月より茨城県 つくば市にある建築研究所の屋外暴露試験場にて行われた。

2.4 実験項目

実験は暴露試験体・試験体コア・鉄筋それぞれについて行 った。暴露試験体・試験体コアは、主に中性化深さ測定試験・

各種強度試験を行った。鉄筋は、発錆状況スケッチ・腐食面 積率算出・錆落とし(クエン酸水素二アンモニウム水溶液に

N50-0 0 12.5 1.3 2359 29.5

N50-0.3 300 8.0 1.0 2364 30.5

N50-1.5 1500 12.0 0.8 2371 30.0

N50-3.0 3000 12.0 0.3 2381 28.5

N65-0 0 11.0 -0.7 2388 -

N65-0.3 300 15.0 0.1 2368 30

N65-1.5 1500 14.0 -0.1 2372 30.0

N65-3.0 3000 12.0 0.0 2371 30

F50-0 0 8.0 -1.1 2385 28

F50-0.3 300 11.0 0.9 2351 27

F50-1.5 1500 15.0 1.0 2349 28.0

F50-3.0 3000 14.0 -0.2 2376 28

F65-0 0 18.0 -0.5 2370 27

F65-0.3 300 17.5 -0.8 2377 27.5

F65-1.5 1500 17.0 -0.6 2372 28.0

F65-3.0 3000 17.5 -0.5 2369 28

* 空気量はフレッシュコンクリートの単位容積質量より算出した

温度(℃) 空気量

(%)

221

288 700 1096 7.20

5.52 820 1046

276 826 1053

単位容積 質量 (kg/m3) 混和剤

(l)

スランプ 値(cm)

50 40.0

65 45.0 50 40.0

目標スラ ンプ(cm)

707 セメント フライ

アッシュ

塩化ナトリ ウム (g)

360

単位質量(kg/m3)

1106 7.20

試験体 番号

180 1.5 15.0

0

55 65 45.0

細骨材

5.52 水セメ

ント比 (%)

細骨 材比 (%)

単位水 量

(kg/m3) 粗骨材

目標空 気量(%)

表 3 計画調合表(1m3)および調合結果

図 1 試験体の形状・寸法

材料 種類 物性

普通ポルトランドセメント 密度 3.15(g/㎤) フライアッシュセメント 密度 2.32(g/㎤)

粗骨材 砕石 表乾密度 2.56(g/㎤)

細骨材 川砂 表乾密度 2.67(g/㎤)

混和剤 高性能減水剤

練混ぜ水 水道水

鉄筋 丸鋼(みがき棒鋼) 径12mm 長さ230mm セメント

表 2 使用材料の種類と物性 表 1 実験の要因と水準

要因 水準

セメントの種類 普通ポルトランド、 フライアッシュ(20%)

水セメント比 0.5、 0.65

[塩化物含有量(Cl-)(kg/m3)] [0、 0.18、 0.91、 1.82]

鉄筋かぶり厚さ(cm) 0.5、 1.0、 2.0、 3.0 塩化ナトリウム含有量

(NaCl)(kg/m3) 0、 0.3、 1.5、 3.0

(2)

よる)・質量減少率算出を行った。

3. 実験結果 3.1 鉄筋の発錆状況

鉄筋は 1 体の試験体につき 4 本入っているため、計 64 本 について調査した。N50-0.3 の鉄筋と発錆状況のスケッチを 図 2 に示す。4 本の鉄筋の発錆状況は試験体ごとに異なる。

図 2 の鉄筋は上から 5mm,10mm,20mm,30mm の順に並んでいる。

4 本すべての鉄筋表面全体に発錆している試験体もあれば、

4 本とも発錆状況が違う試験体、4本すべての鉄筋において 発錆があまりみられない試験体があった。錆は鉄筋両端から 鉄筋中央部に向けて進行する傾向がみられた。

3.2 鉄筋の腐食面積率と質量減少率

発錆状況のスケッチから画像解析により、鉄筋表面積に対 する腐食面積率を算出した。また鉄筋を 10%クエン酸水素二 アンモニウム水溶液(20℃)に、1 日~数日間浸透させ錆落と しを行い、質量減少率を算出した。

発錆面積率・質量減少率ともに鉄筋腐食の度合いをみる指 標のひとつである。腐食面積率と質量減少率を図 3 に示す。

腐食面積率と質量減少率で相関関係がみられた。また、図 3 の腐食面積率 100%の鉄筋において質量減少率に大きな差が みられた。このことから、複数の鉄筋が表面の発錆にとどま らず、鉄筋内部まで錆が進行していることがわかる。腐食面 積率は鉄筋表面のみで割合を出すため、以下各種要因を質量 減少率によって検討した。

3.3 質量減少率

3.3.1 各種要因と質量減少率

各種要因(かぶり厚さ、中性化深さ、水セメント比、塩化 物含有量)と質量減少率を比較する。各種要因と質量減少率 で直線回帰式と相関係数を求めた。表 4 に示す。また、各種 要因と質量減少率の関係を散布図で図 4 に示す。今回比較し た要因すべてにおいて、弱い相関関係がみられた。相関係数 の絶対値が大きい順にかぶり厚さ、中性化深さ、水セメント 比、塩化物含有量となった。全体の傾向として、かぶり厚さ が小さい・水セメント比が大きい・塩化物含有量が多いほど 質量減少率が大きくなる傾向がみられた。また、質量減少率

図 3 腐食面積率と質量減少 率

図 2 鉄筋と発錆状況スケッチ(N50-0.3)

←30mm→

←20mm→

←10mm→

←5mm→

表 4 各種要因と質量減少率

直線回帰 相関係数

かぶり厚さ y=(-0.0453)x+1.84 -0.387 中性化深さ y=0.0815x+0.56 0.350 水セメント比 y=0.0312x-0.91 0.309 塩化物含有量 y=0.236x+0.82 0.248

図 4 各種要因と質量減少率

(3)

図 5 かぶり厚さと質量減少率

図 6 水セメント比と質量減少率

図 7 塩化物含有量と質量減少率

(4)

が大きい鉄筋が入っていた試験体において、コンクリートの 中性化が進んでいる傾向がみられた。本実験の範囲では、鉄 筋腐食の要因の中でかぶり厚さが最重要であることがわか った。以下、各種要因別に比較する。かぶり厚さと質量減少 率の関係を水セメント比別・塩化物含有量別に図 5、水セメ ント比と質量減少率の関係をかぶり厚さ別・塩化物含有量別 に図 6、塩化物含有量と質量減少率の関係をかぶり厚さ別・

塩化物含有量別に図 7 に示す。また、各種要因と質量減少率 を他の要因別で相関係数を求めた。表 5 に示す。

3.3.2 かぶり厚さと質量減少率

水セメント比別にみると図 5 より、W/C50%,62.5,65%にお いては質量減少率増加の傾きが緩やかで、W/C81.25%は増加 の傾向が明らかにみられた。また表 5 より W/C50%,62.5,65%

は弱い相関関係がみられ、W/C81.25%は相関関係が明らかに みられた。塩化物含有量別にみると図 5 より塩化物含有量が 多いほど質量減少率の増加の傾きが大きくなる傾向がみら れた。また表 5 より 0.0kg/m3,0.3kg/m3,3.0kg/m3では塩化物 含有量が多いほど相関係数が大きくなっていたが、3.0kg/m3 では相関係数が小さくなっていた。

3.3.3 水セメント比と質量減少率

かぶり厚さ別にみると図 6 より、かぶり厚さ 5,10mm では 水セメント比が大きいほど質量減少率が大きくなる傾向が みられた。かぶり厚さ 10mm よりも 5mm の方が水セメント比 の増加による質量減少率の増加の割合が高いと思われる。か ぶり厚さ 20mm でもわずかだがこの傾向がみられた。かぶり 厚さ 30mm ではこの傾向はみられず、質量減少率は横ばいで ある。また表 5 よりかぶり厚さ 5mm で弱い相関関係がみられ、

かぶり厚さ 10mm では相関関係が明らかにみられた。かぶり 厚さ 20,30mm ではほぼ相関関係がみられなかった。塩化物含 有量別にみると図 6 より、塩化物含有量 0.0kg/m3,3.0kg/m3 においては、水セメント比が大きいほど質量減少率が大きく なる傾向がみられた。塩化物含有量 0.3kg/m3,1.5kg/m3にお いてはこの傾向がみられず値が横ばいになっていた。

また表 5 より塩化物含有量 0.0kg/m3,3.0kg/m3においては弱 い相関関係がみられ、0.3kg/m3,1.5kg/m3においてはほぼ相 関関係がみられなかった。

3.3.4 塩化物含有量と質量減少率

かぶり厚さ別にみると図 7 より、かぶり厚さ 5,10mm では 塩化物含有量が多いほど質量減少率が大きくなる傾向がみ られた。かぶり厚さ 20,30mm においてはこの傾向はみられず、

質量減少率は横ばいである。また表 5 よりかぶり厚さ 5,10mm においては、弱い相関関係がみられた。かぶり厚さ 20,30mm

においてはほぼ相関関係がみられなかった。水セメント比別 でみると図 7 より、W/C81.25%においては塩化物含有量が多 い ほ ど 質 量 減 少 率 が 大 き く な る 傾 向 が み ら れ た 。 W/C 50%,65%,62.5%ではこの傾向があまりみられなかった。また 表 5 よ り W/C50,65% で は 弱 い 相 関 関 係 が み ら れ た が W/C62.5,81.25%ではほぼ相関関係がみられなかった。

4. まとめ

本実験では、19 年間日本で屋外暴露された試験体の鉄筋腐 食状況を調査した。

本実験の範囲より、得られた知見を以下にまとめる。

1) 鉄筋腐食は、鉄筋端部から徐々に鉄筋中央部に向かって 錆の進行する傾向がみられた。これは試験体作製時に接 いだモルタルの劣化が原因と考えられる。

2) 全体の傾向として、かぶり厚さが小さい・水セメント比 が大きい・塩化物含有量が多いほど質量減少率が大きく なる傾向がみられた。

3) 質量減少率が大きい鉄筋が入っていた試験体において は、コンクリートの中性化が進んでいる傾向がみられた。

4) 鉄筋腐食の各種要因ごとに比較してもかぶり厚さ・水セ メント比・塩化物含有量それぞれが互いに鉄筋腐食に関 わっていることがわかった。

5) 本実験の範囲では、鉄筋腐食の要因の中でかぶり厚さが 最重要であることがわかった。

なお、本実験と同時期に作製された同材料・同水準の暴露試 験体がインドネシア・バンドンで暴露試験を継続している。

今後そちらの調査が行われた際は、本実験のデータと併せて 報告する予定である。

参考文献

1)掛川 勝,桝田 佳寛,松林 裕二,鹿毛 忠継:コンク リート中の鉄筋腐食速度に及ぼす各種要因の影響に関 する長期屋外暴露実験 日本建築学会構造系論文集 第 77 巻 第 672 号 143-151 2012 年 2 月

2)社団法人日本コンクリート工学協会:コンクリート中の鋼 材の腐食評価方法 日本コンクリート工学協会規準集 2004 91-94

表 5 各種要因別の相関係数

5mm 10mm 20mm 30mm 50% 65% 62.50% 81.25% 0.0kg/m

3

0.3kg/m

3

1.5kg/m

3

3.0kg/m

3

かぶり厚さ -0.239 -0.350 -0.382 -0.617 -0.35 -0.48 -0.745 -0.345

水セメント比 0.455 0.664 -0.005 -0.120 0.33 0.03 0.223 0.581

塩化物含有量 0.281 0.254 0.557 0.346 -0.01 0.009 0.354 0.346

かぶり厚さ別 水セメント比別 塩化物含有量別

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