特 別 支 援 教 育
1 特 別 支 援 教 育 の 推 進 に つ い て
(1) 高 等 学 校 に お け る 特 別 支 援 教 育 の 推 進
特 別 支 援 教 育 に つ い て は 、 学 校 教 育 法 等 の 改 正 に よ り 平 成 1 9 年 4 月 か ら 新 た な 制 度 と し て ス タ ー ト し て か ら 2 年 余 り が 経 過 し て い る 。
文 部 科 学 省 に よ る 平 成 2 1 年 3 月 の 調 査 で は 、 地 域 差 や 課 程 ・ 学 科 に よ る 差 異 は あ る も の の 、 生 徒 総 数 の 約 2 % 程 度 の 割 合 で 発 達 障 害 等 に よ り 困 難 の あ る 生 徒 が 高 等 学 校 に 在 籍 し て い る 状 況 が 窺 え る と さ れ て お り 、 こ れ ら の 生 徒 に つ い て は 、 障 害 の 状 態 等 に 即 し た 適 切 な 指 導 を 行 わ な け れ ば な ら な い 。
(2) 新 学 習 指 導 要 領 に お け る 特 別 支 援 教 育
第 1 章 第 5 款 の 5 教 育 課 程 の 編 成 ・ 実 施 に 当 た っ て 配 慮 す べ き 事 項 に お い て 、 現 行 で は 、 学 習 の 遅 れ が ち な 生 徒 と 障 害 の あ る 生 徒 に 対 す る 配 慮 事 項 が 併 せ て 示 さ れ て い た と こ ろ が 、 今 回 の 改 訂 に お い て は 、 そ れ ぞ れ 別 個 に 示 さ れ て い る 。
ア 校 内 支 援 体 制 の 整 備
担 任 教 師 だ け が 指 導 に 当 た る の で は な く 、 校 内 委 員 会 を 設 置 し 、 特 別 支 援 教 育 コ ー デ ィ ネ ー タ ー を 指 名 す る な ど 学 校 全 体 の 支 援 体 制 を 整 備 す る と と も に 、 特 別 支 援 学 校 等 に 助 言 又 は 援 助 を 要 請 す る な ど し て 、計 画 的 、組 織 的 に 取 り 組 む こ と が 重 要 で あ る 。 学校教育法の改正
平成19年4月、改正学校教育法が施行されたことにより、特別支援教育が法的にも位置付 けられた。学校教育法第81条第1項では、高等学校においても障害のある生徒に対し、障害 による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行う旨が明記されている。
5 教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項
(8) 障害のある生徒などについては、各教科・科目等の選択、その内容の取扱いなどについて 必要な配慮を行うとともに、特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ、例えば指導につ いての計画又は家庭や医療、福祉、労働等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計 画を個別に作成することなどにより、個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方 法の工夫を計画的、組織的に行うこと。
高 等 学 校 に お け る 校 内 支 援 体 制 の 例
・ 既 存 の 教 育 相 談 委 員 会 に 特 別 支 援 教 育 に 関 わ る 機 能 を 付 加 し て 校 内 支 援 体 制 を 整 備
・ 校 内 研 修 や 生 徒 の 実 態 把 握 、 支 援 方 法 の 検 討 な ど で 、 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 を 積 極 的 に 活 用
( 北 海 道 立 特 別 支 援 教 育 セ ン タ ー
「 特 別 支 援 教 育 ほ っ か い ど う No 8 」)
教育相談委員会
生徒の変容、計画の反省点について話し合う。
気付き 担任・相談委員
生徒・保護者と面談し、生徒・保護 者の願いを個別支援シートに記入
教科担任
「実態把握チェックシート」
を記入 教育相談委員会
提出された個別支援シートを基に、指導・配慮について計画 職 員 会 議
「個別支援シート」を全教員に配付し共通理解 シートを参考に指導を行い、経過を観察
外部機関との連携
構成:教頭、生徒指導部長、教務、養護教諭(コーディネーター)
イ 特 別 支 援 学 校 等 の 助 言 又 は 援 助
改 正 学 校 教 育 法 で は 、 特 別 支 援 学 校 は 、 高 等 学 校 等 の 要 請 に 応 じ て 、 高 等 学 校 等 に 在 籍 す る 障 害 の あ る 生 徒 等 の 教 育 に 関 し 必 要 な 助 言 又 は 援 助 を 行 う よ う 努 め る ( 同 法 第 74 条 ) も の と 規 定 さ れ て い る 。 今 回 の 改 訂 で は 、 障 害 の あ る 生 徒 の 指 導 に 当 た っ て は 、 特 別 支 援 学 校 等 の 助 言 や 援 助 を 活 用 す る こ と 、 個 々 の 生 徒 の 障 害 の 状 態 等 に 応 じ た 指 導 内 容 や 指 導 方 法 の 工 夫 を 計 画 的 、 組 織 的 に 行 う こ と な ど が 新 た に 加 わ っ て い る 。
ウ 個 別 の 指 導 計 画 の 作 成
個 々 の 生 徒 の 障 害 の 状 態 等 に 応 じ た 指 導 内 容 ・ 指 導 方 法 の 工 夫 を 検 討 し 、 適 切 な 指 導 を 計 画 的 、 組 織 的 に 行 う た め 、 特 別 支 援 学 校 や 医 療 ・ 福 祉 ・ 労 働 な ど の 業 務 を 行 う 関 係 機 関 と 連 携 を 図 り 、 障 害 の あ る 生 徒 の 教 育 に つ い て の 専 門 的 な 助 言 や 援 助 を 活 用 し 、 指 導 に 当 た っ て は 、 例 え ば 、 障 害 の あ る 生 徒 一 人 一 人 に つ い て 、 指 導 の 目 標 や 内 容 、 配 慮 事 項 な ど を 示 し た 計 画 ( 個 別 の 指 導 計 画 ) を 作 成 し 、 教 職 員 の 共 通 理 解 の 下 に き め 細 か な 指 導 を 行 う こ と が 考 え ら れ る 。
エ 個 別 の 教 育 支 援 計 画 の 作 成
障 害 の あ る 生 徒 に つ い て は 、 学 校 生 活 だ け で な く 家 庭 生 活 や 地 域 で の 生 活 も 含 め 、 個 別 の 指 導 計 画 の 作 成 と 活 用 の ポ イ ン ト
( 北 海 道 立 特 別 支 援 教 育 セ ン タ ー
「 研 究 紀 要 第 22号 」)
活用のポイント④
配慮や支援の方策が適切であった か、効果はあったかなどについて評価 し、目標や手立てを修正します。本人 を評価するものではありません。
活用のポイント③
生徒指導・学習指導・進路指導に ついて関係する教職員が共通して行う 配慮や支援を明確にすることで各指導 場面に生かしていくことができます。
活用のポイント②
本人の特性に応じた支援の方策に ついて、教職員が同じ対応をすること で、効果的な支援となります。
活用のポイント①
困難さが生じている状況を教職員全 体が理解することで、支援の輪が広げ られます。
作成のポイント①
本人や保護者の願いからスタートし ます。
作成のポイント②
短期目標を達成するための支援 の方策を考えます。
個 別 の 指 導 計 画
平成20年度 1年3組3番 氏名 ○ ○ ○ ○ 性別 男
学習・生活等の様子や課題(困難さを感じていること)
○言葉の行き違いから、他の生徒とトラブルになることがある。
○規則やルール、取り組み方にこだわりすぎて、非常に動揺したり、学習や活動への取組が遅れたり する。
○板書をノートに写すのに時間を要し、授業時間内に写しきれないことがある。
本人の願い 友人をつくりたい。学習に取り組みながら進路について考えたい と思っている。
保護者の願い 社会性を身に付け、落ち着いて学校生活を送ってほしい。
目 長 期 目 標 他 の 生 徒 と か か わ る 経 験 を 多 く し 、 自 分 の 感 情 を コ ン ト ロ ー ル す る力を 高める。
標 短 期 目 標 感 情 的 に な っ た 時 に は 、 場 を 変 え る な ど し て 気 持 ち を 落 ち 着 か せ る こ と が で きる よ うに なる 。
○休み時間にトラブルになることが多いので、学年所属の教職員はさりげなく、本人の近くで 様子を見る。
○感情が高まった場合は、他の生徒とのトラブルになる前に場を変えるなどして気持ちを落ち 支 着かせるようにする。
援 ○友人との関係でトラブルが起きた時には、個別に対応する。相談室等を利用して状況を振り の 返り、自分や相手の気持ち、かかわり方等の理解を促す。
方 ○本人の思いや行動を否定するのではなく、時間の許す限りじっくり話を聞き、望ましい行動 針 について考えさせるようにする。
○困ったことがないか言葉をかけて確かめたり、困った時には援助を求めたりするように促す。
○よい行動のモデル(本人があこがれているBさん)を示しながら、個別に言葉かけをして行 動を促す。
担 H R 担 任 養 護 教 諭 生 徒 指 導 〔 共 通 〕 当
対 ○ 本 生 徒 の 困 っ て い ○ 本 生 徒 の 相 談 に 応 じ 、 ○ 規 則 や ル ー ル を 守 る こ と は 大 応 る こ と の 把 握 と ト 一 緒 に 対 応 策 を 考 え 、 切 で あ る が 、 過 度 に な り 柔
・ ラ ブ ル 時 に 個 別 対 ロ ー ル プ レ イ な ど を 軟 に 対 応 で き な く な っ て い H 支 応 を 行 う 。 行 う 。 る こ と は な い か 把 握 し 、 対 R 援 ○ 家 庭 と の 連 携 を 行 ○ カ ウ ン セ ラ ー や 医 療 応 す る 。
・ 策 う 。 機 関 と の 連 携 を 行 う 。 ○ 頑 張 れ た こ と な ど の 評 価 は 、
教 言 葉 で 伝 え る 。
科 評 に 価
お 担 各 教 科 〔 共 通 〕 進 路 指 導 〔 共 通 〕 コ ー デ ィ ネ ー タ ー け 当
る 対 ○ 授 業 開 始 時 に 学 習 の 流 ○ コ ン ピ ュ ー タ を 操 作 す ○ 保 護 者 と の 懇 談 に 対 応 れ を 説 明 し 、 見 通 し を る こ と が 好 き な の で 、 は 同 席 し 、 学 校 の 応 ・ 保 ち や す く す る 。 大 学 や 専 門 学 校 で 専 門 対 応 に つ い て の 窓
・ 支 ○ 書 く 時 間 を 保 障 し 、 説 的 な こ と を 学 び 、 コ ン 口 と な る 。 支 援 明 を 聞 き な が ら 書 く こ ピ ュ ー タ 関 係 の 職 業 に ○ 必 要 に 応 じ て 関 係 援 策 と が な い よ う に す る 。 就 き た い と 考 え て い る 。 機 関 と の 連 携 を 行 策 ○ 問 題 文 の キ ー ワ ー ド や ○ イ ン タ ー ン シ ッ プ は コ う 。
ポ イ ン ト を 分 か り や す ン ピ ュ ー タ 関 連 の 企 業 く 板 書 す る 。 で 実 施 し 、 自 己 理 解 と
○ 色 チ ョ ー ク を 活 用 す る 。 職 種 の 理 解 を 促 す 。 評
価
長 期 的 な 視 点 に 立 っ て 幼 児 期 か ら 学 校 卒 業 後 ま で の 一 貫 し た 支 援 を 行 う こ と が 重 要 で あ る 。 こ の た め 、 例 え ば 、 家 庭 や 医 療 機 関 、 福 祉 施 設 、 労 働 関 係 機 関 な ど と 連 携 し 、 様 々 な 側 面 か ら の 取 組 を 示 し た 計 画 ( 個 別 の 教 育 支 援 計 画 ) を 作 成 す る こ と な ど が 考 え ら れ る 。
オ 各 教 科 の 履 修 等
障 害 の あ る 生 徒 に つ い て は 、 学 校 教 育 法 施 行 規 則 に 「 児 童 が 心 身 の 状 況 に よ っ て 履 修 す る こ と が 困 難 な 各 教 科 は 、 そ の 児 童 の 心 身 の 状 況 に 適 合 す る よ う に 課 さ な け れ ば な ら な い 。」( 学 校 教 育 法 施 行 規 則 第 1 0 4 条 で 高 等 学 校 に 準 用 さ れ る 第 5 4 条 ) と 定 め ら れ て い る 。 こ の た め 、 障 害 の あ る 生 徒 な ど に 対 し て は 、 生 徒 の 実 態 に 即 し て 、 各 教 科 ・ 科 目 の 選 択 を 適 切 に 指 導 す る と と も に 、 そ の 内 容 の 取 扱 い に つ い て は 、 増 加 単 位 ( 総 則 第 2 款 の 2 の た だ し 書 き )、 必 履 修 教 科 ・ 科 目 の 単 位 数 の 一 部 減 ( 総 則 第 3 款 の 1 の た だ し 書 き )、 各 教 科 ・ 科 目 の 内 容 の 選 択 ( 総 則 第 5 款 の 2 の (4 )) な ど の 方 法 を 活 用 し 、 生 徒 の 実 態 に 即 し て 適 切 に 指 導 す る 必 要 が あ る 。
2 高 等 学 校 に お け る 特 別 支 援 教 育 の 実 践
(1) 高 等 学 校 に お け る 発 達 障 害 支 援 モ デ ル 事 業
(平 成 19~ 20年 度 北 海 道 名 寄 農 業 高 等 学 校 の 取 組 ) 本 事 業 は 、「 発 達 障 害 者 支 援 法 」( 平 成 1 6 年 1 2 年 1 0 日 法 律 1 6 7 号 ) の 規 定 及 び 特 別 支 援 教 育 の 理 念 に 基 づ き 、 高 等 学 校 等 に お い て 、 発 達 障 害 に よ り 学 習 や 生 活 の 面
個 別 の 教 育 支 援 計 画 の 作 成
個 別 の 教 育 支 援 計 画 に は 、 一 人 一 人 の 生 徒 の 実 態 や こ れ ま で の 生 育 歴 、 教 育 歴 な ど を は じ め 、 生 活 マ ッ プ な ど を 整 理 し 、 生 徒 の 実 態 に 即 し た 支 援 の 目 標 と 関 係 機 関 の 役 割 分 担 な ど を 明 確 に す る 。 作 成 に 当 た っ て は 、 保 護 者 と 十 分 連 携 す る と と も に 、 関 係 機 関 と 連 携 し た 会 議 を 開 催 す る な ど し て 、 支 援 が 学 校 だ け で は な く 、 様 々 な 場 に お い て 行 わ れ る よ う に す る こ と が 大 切 で あ る 。
( 北 海 道 教 育 庁 「 で き る ! 高 等 学 校 に お け る 特 別 支 援 教 育 」)
http://www.tokucen.hokkaido-c.ed.jp/06siryou/koutougakko/koutougakko.pdf
で 特 別 な 教 育 的 支 援 を 必 要 と し て い る 生 徒 に 対 し て 適 切 な 指 導 及 び 必 要 な 支 援 を 行 う こ と は 喫 緊 の 教 育 課 題 で あ る こ と か ら 、 発 達 障 害 の あ る 生 徒 へ の 具 体 的 な 支 援 の 在 り 方 に つ い て の 実 践 的 な 研 究 を モ デ ル 校 に お い て 実 施 し 、 そ の 研 究 成 果 を 全 国 に 発 信 す る こ と に よ り 、 高 等 学 校 等 に お け る 特 別 支 援 教 育 を 推 進 す る と と も に 、 支 援 の 在 り 方 に 関 す る 今 後 の 検 討 に 資 す る こ と を 目 的 と し て い る 。
北 海 道 に お い て は 、 平 成 1 9 年 度 か ら 北 海 道 名 寄 農 業 高 等 学 校 が 指 定 を 受 け て 実 践 的 な 研 究 を 進 め 、 平 成 2 1 年 3 月 に 報 告 書 を ま と め た と こ ろ で あ る 。 名 寄 農 業 高 等 学 校 の 特 色 あ る 取 組 は 、 以 下 の よ う な も の で あ る 。
ア 校 内 委 員 会 (SNE 委 員 会 ) の 組 織 と 役 割
校 内 委 員 会 を 図 の よ う に 組 織 し 、 研 究 チ ー ム を 編 成 し 、 連 携 を 図 り な が ら 業 務 を 分 担 し た 。 校 内 委 員 会 が 果 た す 役 割 は 、 以 下 の 通 り で あ る 。
・ 発 達 障 害 に 関 す る 研 修 会 の 企 画
・ 担 任 の 悩 み を 受 け 止 め 支 援 策 を 考 え る
・ 専 門 家 と の 連 絡 調 整 を 行 う
・ 保 護 者 に 対 す る 相 談 窓 口 と な る 等
イ 外 部 関 係 機 関 と 連 携 し た 校 内 委 員 会 (SNE委 員 会 ) の 運 営
大 学 の 教 官 、 医 師 、 職 業 安 定 所 職 員 、 特 別 支 援 学 校 教 員 、 教 育 委 員 会 職 員 が モ デ ル 事 業 研 究 委 員 会 委 員 と し て 、 随 時 、 校 内 委 員 会 に 参 加 し た 。 専 門 機 関 の 職 員 が 校 内 委 員 会 に 参 加 す る こ と で 、生 徒 理 解 が 深 ま り 、指 導 の 方 向 性 を 明 確 に す る こ と が で き た 。 ウ 生 徒 の 実 態 把 握 に つ い て
生 徒 の 生 育 歴 、 授 業 、 生 活 面 の 様 子 を 整 理 し た 資 料 を 整 え る と と も に 、 ス ク リ ー ニ ン グ チ ェ ッ ク を 行 い 、 コ ー デ ィ ネ ー タ ー 、 担 任 、 校 内 委 員 会 を 中 心 に 「 分 析 委 員 会 」 を 結 成 し 、「 個 別 の 指 導 計 画 」 等 の 作 成 を 行 っ た 。
校 内 委 員 会 の 組 織 と 役 割
支 援 対 象 生 徒 の 把 握 と 支 援
①担任の情報収集による生徒の把握
②チェックシートによる生徒の把握
個別の指導計画等作成
⑥(担 任 中 心) 職員会議で発信
共有・共通理解
③全職員「記録用紙」による生徒の把握
④分析・検討
⑤スクールカウンセラーも参加 (事例に関する研究チーム)
連 携
口頭
エ 支 援 の 方 策 を 考 え る 視 点
「 発 達 障 害 の あ る 生 徒 に 適 切 に 対 応 す る 方 法 や 授 業 の 仕 方 は す べ て の 生 徒 に と っ て 有 効 で あ る 」 と 考 え 、 次 の 視 点 か ら 支 援 の 方 策 を 考 え て 進 め た 。
視 点 キ ー ワ ー ド
学 習 環 境 ・ 教 室 環 境 の 配 慮 ・ 学 習 時 の ル ー ル を 決 め る
・ 座 席 の 配 慮 ・ 学 習 へ の 見 通 し を も た せ る 授 業 の 組 み 立 て ・ 集 中 力 を 意 識 し た 時 間 配 分 ・ 学 習 内 容 の 工 夫
・ 体 験 活 動 を 取 り 入 れ る
指 示 ・ 発 問 の 仕 方 ・ 聞 く 姿 勢 を つ く っ て か ら 話 す
・ 具 体 的 に 、 わ か り や す く 、 短 く 発 表 ・ 指 名 の 仕 方 ・ 良 い 発 言 ・ 発 表 は ほ め る
・ 自 信 を も っ て 発 言 で き る よ う に サ ポ ー ト 個 別 の か か わ り ・ 数 分 で も じ っ く り か か わ れ る 時 間 を と る ノ ー ト 指 導 ・ 少 な い 量 で 大 切 な と こ ろ を 強 調 す る
・ 書 き や す い 用 紙 を 用 意 す る
教 材 教 具 の 工 夫 ・ 楽 し め る 教 材 教 具 ・ 補 助 教 材 の 活 用
・ 視 覚 ・ 聴 覚 な ど 五 感 を 活 用 し た 教 材 教 具 オ 周 囲 の 生 徒 の 理 解 を 促 す た め の 取 組
高 等 学 校 で は 、 授 業 や ホ ー ム ル ー ム 等 の 集 団 の 中 で 一 人 一 人 の 自 立 を 促 す 指 導 を 行 う こ と が 求 め ら れ て い る こ と か ら 、 障 害 の あ る 生 徒 も そ う で な い 生 徒 も 共 に 生 か し て い く 指 導 を 工 夫 す る こ と が 必 要 で あ る 。
第 3 学 年 の ホ ー ム ル ー ム 活 動 年 間 計 画 ( 例 )
4 ○ 態 度 教 育 の 徹 底 ● 挨 拶 、 清 掃 、 身 だ し な み な ど の 意 義 を 再 確 認 月 ○ 改 善 シ ー ト し 、「 凡 庸 徹 底 」 す る 大 切 さ を 認 識 さ せ る 。
○ 交 換 ノ ー ト( L H R ) ● 一 人 1 冊 自 分 の 目 的 に 応 じ て ノ ー ト に 書 き 毎 日 提 出 。 ノ ー ト に は 必 ず コ メ ン ト を 添 え 、 や る 気 を 出 す 賞 賛 を 与 え る 。
○ 自 己 の 強 み と 適 性 を ● こ れ ま で 書 き た め て き た 自 分 の 長 所 と さ ら に 5 知 る 発 掘 し た も の を ① 生 ま れ も っ た 強 み 、 ② 努 力 し 月 ○ 自 己 ア ピ ー ル プ レ ゼ て 身 に つ け た 強 み に 分 け 、 強 み を 差 別 化 す る 。 ン テ ー シ ョ ン ( L H ● 自 分 の 長 所 を も と に 1 0 0 字 の 自 己 ア ピ ー ル R ) 文 を 完 成 さ せ 、 朝 の S H R で 発 表 し 、 聞 き 手 は
評 価 表 に コ メ ン ト を 記 入 し て 発 表 者 に 渡 す 。 6 ○ 優 先 順 位 の つ け 方 ● 学 校 生 活 、 家 庭 生 活 の 中 で 自 分 の 行 動 を 「 緊 月 ( L H R ) 急 度 」 と 「 重 要 度 」 の 高 低 で 4 つ に 分 け 、 今 自 分 が 何 を す べ き か 明 確 に し 、 優 先 順 位 を つ け て 行 動 す る 。
研 究 の 成 果 と し て 、 発 達 障 害 の あ る 生 徒 の 指 導 に 当 た っ て は 、 こ れ ま で 、 教 職 員 個 々 の 経 験 に 頼 っ て き た が 、 特 別 支 援 教 育 に つ い て の 共 通 理 解 を 図 る こ と に よ り 、 学 校 全 体 で 組 織 と し て 取 り 組 む 体 制 が で き た こ と 、 学 校 と し て 「 支 援 が 必 要 」 と 判 断 で き た ら 、 躊 躇 せ ず に 支 援 を す る よ う に な っ た こ と 、 支 援 を 必 要 と す る 生 徒 の み な ら ず 、 障 害 の な い 生 徒 の 学 習 効 果 も 高 ま り 、 障 害 の あ る 生 徒 へ の 理 解 の 促 進 が 図 ら れ た こ と な ど が あ げ ら れ る 。
(2) 高 等 学 校 に お け る 発 達 障 害 の あ る 生 徒 へ の 進 路 指 導 の 取 組
高 等 学 校 に お け る 発 達 障 害 の あ る 生 徒 へ の 進 路 指 導 で は 、 生 徒 自 ら の 生 き 方 を 考 え 、 将 来 に 対 す る 目 的 意 識 を も っ て 主 体 的 に 自 己 の 進 路 を 選 択 ・ 決 定 し 、 自 己 実 現 を 図 っ て い く こ と が で き る よ う に 工 夫 す る こ と が 大 切 で あ る 。
ア 適 切 な 自 己 理 解
発 達 障 害 の あ る 生 徒 は 、 自 己 評 価 が 低 か っ た り 、 客 観 的 に 自 己 評 価 す る こ と が 難 し い な ど 、 自 己 を 理 解 す る 力 に 課 題 が あ る こ と が 考 え ら る 。 イ ン タ ー ン シ ッ プ な ど の 実 際 の 体 験 を 通 し て 、 自 分 の ( 障 害 ) 特 性 、 長 所 、 短 所 、 興 味 ・ 関 心 、 適 性 、 学 力 等 を 客 観 的 に 理 解 で き る よ う に す る こ と が 大 切 で あ る 。
イ 進 路 に 関 す る 情 報 の 収 集
発 達 障 害 の あ る 生 徒 は 、 興 味 ・ 関 心 の 狭 さ か ら 、 進 路 先 に つ い て の 認 識 が 表 面 的 な と ら え に な る 傾 向 が あ る た め 、 進 路 希 望 が 特 定 の 職 業 や 学 校 種 に 偏 る こ と が な い よ う 留 意 す る 必 要 が あ る 。 イ ン タ ー ン シ ッ プ 、 ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 、 学 校 説 明 会 等 の 機 会 を 活 用 し 、 社 会 生 活 や 進 路 に 関 す る 情 報 を 可 能 な 限 り 体 験 的 に 得 る こ と が 必 要 で あ る 。 ウ 進 路 希 望 を 実 現 す る た め の 目 標 の 設 定
発 達 障 害 の あ る 生 徒 に は 、 長 期 的 な 目 標 を 設 定 し 、 そ こ に 至 る た め の 具 体 的 な 計 画 を 立 て る 際 に 支 援 が 必 要 と な る 。 進 路 選 択 に 当 た っ て 、 教 職 員 や 保 護 者 は よ き 相 談 者 と し て 支 援 し 、 本 人 自 身 が 決 定 す る よ う に か か わ る こ と が 大 切 で あ る 。
エ 関 係 機 関 と の 連 携
進 路 希 望 を 実 現 す る た め 、 必 要 な 関 係 機 関 と 連 携 し 、 必 要 に 応 じ て 社 会 生 活 へ の 移 行 に 必 要 な 支 援 計 画 を 作 成 す る こ と が 効 果 的 で あ る 。
表 就労等に関する相談機関
就労に関する相談機関
公共職業安定所(ハロ 職業相談、職業紹介などの支援や、事業主に対する雇用の支援
ーワーク) や指導等を行う。
障害者職業センター 職業評価や職業準備の支援、ジョブコーチによる支援等を行う。
(札幌・旭川)
障害者就業・生活支援 就業及びそれに伴う生活に関する指導助言、職業訓練の斡旋な
センター(道内11カ所) ど職業生活における自立を図るために必要な支援を行う。
その他の相談機関
障害者総合相談支援セ 市町村における地域生活支援体制の構築に向けて必要な支援を
ンター (各支庁ごと) 行う。
発達障害者支援センター 発達障害のある人の幼児期から成人期に至るまでの様々なニー
(札幌、函館、帯広、旭川) ズに対し、総合的かつ一貫的な支援を行う。