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S 市における特別支援教育対象者の実態調査

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日心第 68 回大会(2004)         臨床・障害  2AM072

日本心理学会第 68 回大会発表論文集 - 307 -2004.9.13.(関西大学  100 周年記念会館  9:30-12:00)

S 市における特別支援教育対象者の実態調査 

宮本正一([email protected])

(岐阜大学教育学部)

key words: 特別支援教育、アセスメント I.はじめに

文部科学省から通常の学級に在籍する特別な教育的支援 を必要とする児童生徒に関する全国実態調査結果が発表 され,特別支援教育のガイドラインも公表された。

本研究の目的は、岐阜県 S 市において同様の調査を実地 し,学年等の詳細な要因分析を行い,教育現場に個別の結 果を feedback して,教師支援に役立てようとするもので ある。 

II. 方法 

(1)対象  岐阜県 S 市にあるすべての小学校 11 校と中 学校 6 校で,クラスを担任している教師 207 名に,自分の 担任している子ども全員について回答を求めた。 

表1  対象者の内訳 

学年 

クラス数  (回答し

た教師 数) 

男子  女子  計 

小1  21  403  345  748  小2 23  380  380  760  小3 25  412  369  781  小4 23  380  344  724  小5 25  374  405  779  小6 25  423  375  798  中1  22  356  412  768  中2  23  400  390  790  中3  20  398  433  831  計  207  3,526  3,453  6,979   

(2)調査票  平成14年に文部科学省が実施した全国実 態調査と同様の質問項目を用いた。学習面(「聞く」「話す」

「読む」「書く」「計算する」「推論する」)「聞く」「話す」

等の6つの領域(各5項目)計 30 項目。0:ない、1:

まれにある、2:ときどきある、3:よくある、の4段階 で回答。行動面は「不注意」「多動性−衝動性」について の,それぞれ9項目,計 18 項目を,0:ない、もしくは ほとんどない、1:ときどきある、  2:しばしばある、

3:非常にしばしばある、の4段階で回答。集計は0,1

=0,2,3=1とした。「対人関係やこだわり等」につ いては 27 項目について,0:いいえ、1:多少、2,は い、の3段階で回答。質問項目は下記を参照してください。 

http://www.mext.go.jp/b̲menu/shingi/chousa/shotou/0

18/toushin/030301i.htm 

(3)実施時期  2003 年9月 

(4)手続き 

調査は学級担任が教務主任等と相談しながら,自分が担 任するクラスの子ども一人一人について,パソコン上で回 答を求めた。 

III. 結果と考察 

表2  学年毎の特別支援対象者の割合(%)  学年  学習面  行動面  重複  対人面  小1  4.41  1.07  0.67  0.13  小2 4.61  2.76  1.32  0.92  小3 2.56  2.43  1.02  0.51  小4 3.73  2.49  1.10  0.83  小5 3.47  1.54  0.77  0.26  小6 2.38  2.88  1.25  1.13  中1  1.30  0.78  0.13  0  中2  1.14  1.27  0.25  0.38  中3  1.08  0.36  0.36  0.24  全体 

(文科省)

2.71  (4.5) 

1.72  (2.5) 

0.76  (1.2) 

0.49  (0.8)  表3  領域毎の割合(%) 

領域  男子  女子  全体  文科省  聞く話す  1.4  0.4  0.9  1.1  読む書く  2.1  0.4  1.2  2.5  計算推論  1.7  1.6  1.6  2.8  不注意  2.3  0.4  1.4  1.1  多動性−衝

動性  1.2  0.1  0.6  2.3  対人関係や

こだわり  0.7  0.2  0.5  0.8  学習面と行動面ともに著しい困難を示す子どもの割合 は0.76%(1.2%),学習面か行動面で著しい困難を示す子ど もの割合は2.91%(6.3%)であり,文部科学省(2003)よりも 割合は全体的に低く,約半分の値を示した。特に中学校で の数値が低く,学習面か行動面で著しい困難を示す子ども の割合が0%であった中学校が2校あった。これは子ども の母集団の特徴,回答者側の意識・知識の問題などが原因 と思われる。 

本研究は文部科学省科学研究費基盤研究(C)(課題番号 15530520; 代表別府悦子)による。 

(MIYAMOTO, Masakazu)

(2)

日本教育心理学会第46回総会発表論文集 PC 095

S 市における特別支援教育対象者の実態と教員の意識(1) 

別府  悦子  ・  宮本  正一

    (中部学院大学)    (岐阜大学教育学部)

key words: 特別支援教育、軽度発達障害 I.はじめに

2003年3月に「特別支援教育のあり方についての最終 報告が出された。これは、通常学級の教育の枠組みにおい ても大きな転換が起こることが予想され、すべての教師に 関わる事項であると考えられる。では、実際の教師の特別 支援教育についての認知度や受け止めはどのようである か、これを把握するため、ある市において教師を対象に調 査を行ったので、報告する。 

II. 方法 

(1)対象  岐阜県 S 市にある小学校と中学校からランダ ムに抽出し、教師を対象に「特別支援教育についてのアン ケート」調査用紙を配布し、回答を求めた。 

(2)調査内容  次の設問についてそれぞれ尋ねた。①今 後の特別支援教育のあり方」の報告を知っているか、②学 習障害(LD)についてどの程度知っているか③高機能自閉 症・アスペルガー症候群について(②と同文)④注意欠陥 多動性障害(ADHD)について(同)⑤発達障害についての 研修の有無と程度⑥軽度発達障害児の行動上の問題の背 景⑥対応で必要なこと⑦その他自由記述 

2004/10/9 於富山大学教育学部第1体育館 - 332 -

名前も聞いた ことがない

8%

内容を熟知

2%

内容を少し 知っている

41%

名前は聞い たことがある

25%

報告を理解

24%

図1 特別支援教育のあり方について最終報告の周 知度

報告を理解

24% 名前は聞い

たことがある 25%

内容を少し 知っている

(3)実施時期  2003 年9月から 2004 年 3 月まで 

41%

内容を熟知 2%

名前も聞い たことがない

8%

(4)手続き  調査は学校に所属する管理職以外のすべて の教師(特殊学級や養護教諭も含む)が各自で質問項目に ついての回答を行い、教育相談担当者を通して回収した。 

III. 結果と考察 

1)回答者のうちわけ  回答に応じた教師は、130 名(男性 38 人、女性 92 名)であった。130 名の教師のうち、その うち小学校の教師 120 名、中学校の教師 10 名であった。

また、障害児教育の経験のあるのは、26 名(20%)であっ た。年代は、20 代 9 名(6.9%)、30 代 34 名(26.1%),  40 代 57 名(43.8%)、50 代 29 名(22.3%)であった。 

2)特別支援教育の周知度  昨年 3 月に出された「特別支 援教育の在り方」に関しての最終報告の周知度は、図1の とおりであった。「名前を聞いたことがない」人は、10 名 (7.7%)であり、「名前は聞いたことがある」が内容を周知 していない人も含め、全体の 32.3%を占めた。 

3)軽度発達障害の認知度  学習障害(LD),注意欠陥・

多動性障害(ADHD)。高機能自閉症・アスペルガ−症候群 のそれぞれについての知識の程度を尋ねた結果、LD,ADHD については殆んどの人が障害の知識があったのに対し、高 機能自閉症、アスペルガ−症候群については、名前を聞い たことがない人が 3.8%で、名前は聞いたことがある程度 の人も含め 19.2%にのぼった。この障害についての認知

度の低さが見受けられた。それぞれの障害についての認知 の程度を図2に示す。 

3)軽度発達障害の行動上の問題  なぜ学習面や行動に問 題が生じているかを尋ねたところもっとも多かったのは、

「一学級の人数が多いため」(93.1%)であり、ついで「教 師自身にゆとりがないため」(90.1%)「LD 等に対する教 育方法が確立されていないため」(87.7%)、であった。 

4)対応で必要なこと  「個別対応の工夫」(54.6%)、「加 配による教師や非常勤講師による指導」(50%)、「専門職 との連携」48.5%)、「校内研修の充実」(40.1%)家庭と の連携(39.2%)が多かった。 

5)まとめ  特別支援教育についての周知度はこの市にお いては高くないが、対応については教育条件の整備や専門 職との連携、研修の充実を求める意見が多かった。また、

発達障害の中でも高機能自閉症、アスペルガ−症候群に対 する知識が少ないところから、児童生徒の実態にあわせて の研修や相談体制の充実が求められよう。 

           

                  

 

第1クラスター

 

         

本研究は文部科学省科学研究費基盤研究(C)(課題番号 15530520; 代表別府悦子)による。 

( BEPPU, Etsuko& MIYAMOTO, Masakazu)

第2クラスター

図2 障害別の認知度

0%

20%

40%

60%

80%

100%

も知 らない

名前は知っ ている

少し 内容 対応方法

ADHD 高機能自閉症 LD

は理解 を理解

を理 解

名前

(3)

日本教育心理学会第46回総会発表論文集 PC 096

S 市における特別支援教育対象者の実態と教員の意識(2) 

宮本正一([email protected])・別府悦子

(岐阜大学教育学部)      (中部学院大学) key words: 特別支援教育、アセスメント I.はじめに

2004/10/9 於富山大学教育学部第1体育館 - 333

-

文部科学省から通常の学級に在籍する特別な教育的支援

を必要とする児童生徒に関する全国実態調査結果が発表 され,特別支援教育のガイドラインも公表された。

本研究の目的は、岐阜県 S 市において同様の調査を実地 し,回答に対して数量化Ⅲ類とクラスター分析を行い,文 部科学省の『判断』結果との対応を見ようとしたものであ る。 

II. 方法 

(1)対象  岐阜県 S 市にあるすべての小学校 11 校と中 学校 6 校で,クラスを担任している教師 207 名に,自分の 担任している子ども全員(男子 3,526 人,女子 3,453,計 6,979 人)について回答を求めた。 

(2)調査票  平成14年に文部科学省が実施した全国実 態調査と同様の質問項目を用いた。学習面(「聞く」「話す」

「読む」「書く」「計算する」「推論する」)「聞く」「話す」

等の6つの領域(各5項目)計 30 項目。0:ない、1:

まれにある、2:ときどきある、3:よくある、の4段階 で回答。行動面は「不注意」「多動性−衝動性」について の,それぞれ9項目,計 18 項目を,0:ない、もしくは ほとんどない、1:ときどきある、  2:しばしばある、

3:非常にしばしばある、の4段階で回答。集計は0,1

=0,2,3=1とした。「対人関係やこだわり等」につ いては 27 項目について,0:いいえ、1:多少、2,は い、の3段階で回答。 

(3)実施時期  2003 年9月 

(4)手続き  調査は学級担任が教務主任等と相談しなが ら,自分が担任するクラスの子ども一人一人について,パ ソコン上で回答を求めた。 

III. 結果と考察 

75 のチェック項目の単純合計が 8 以上の 1,450 名(21%) だけを分析の対象とした。9 つの領域毎に,数量化Ⅲ類に よる分析を行い,個人毎に 9 つのサンプルスコアを求めた。 

次にそれらを Ward 法による階層型クラスター分析(標 準化なし)にかけた(図1)。 

図1より,4 つのクラスターにするのが適切と判断した。 

9 つのサンプルスコアを従属変数とする一要因分散分析 をそれぞれ行った結果,表1のように,クラスターの特徴 が把握できた。第2クラスターは学習面での困難を抱える 子ども,第3クラスターは算数・数学面においてのみ学習 困難な子ども,第4クラスターは行動面での困難を抱える 子どもと思われる。 

 

第1クラスター

第2クラスター

第3クラスター

第4クラスター

表 1  クラスター毎のサンプルスコアの平均  領域  Ⅰ(通常) Ⅱ(LD)  Ⅲ(算数

障害)  Ⅳ(ADHD) 人数 

(%)  (文科省)

854  12.2 

 

108  1.55  (4.5) 

344  4.93 

 

144  2.06  (2.9)  聞く  -0.27  1.61  0.0  0.37  話す -0.23  1.80  0.01  -0.01  読む -0.25  2.14  0.02  -0.16  書く -0.22  1.45  0.08  0.05  計算 -0.45  1.27 

0.86 

-0.35  推論 -0.33  1.55 

0.36 

-0.03  不注意  -0.19  0.97  -0.22  0.91  多動衝動 -0.18 

0.37 

-0.28  1.47  対人関係 -0.10  0.57  -0.14  0.47  第2クラスターは行動面の問題も抱えており,重複タイ プとも考えられる。第2と第3クラスターを併せると 6.5%

を占めることになり,文部科学省の数値とほぼ対応する。 

本研究は文部科学省科学研究費基盤研究(C)(課題番号 15530520; 代表別府悦子)による。 

(MIYAMOTO, Masakazu & Beppu, Ethuko)

(4)

日心第69回大会(2005) 臨床・障害 1PM086

軽度発達障害者の障害の重複の様相 

 

○宮本正一 

(岐阜大学教育学部) 

key words:特別支援教育、アセスメント、障害の重複  

I.はじめに

文部科学省から通常の学級に在籍する特別な教育的支援を 必要とする児童生徒に関する全国実態調査結果が発表され,

特別支援教育のガイドラインも公表された。

本研究の目的は、岐阜県 S 市において文部科学省の調査と 同様の調査を実地し,障害の重複の様相を詳しく検討したも のである。 

II. 方法 

(1)対象  岐阜県S市にあるすべての小学校11校と中学校6 校で,クラスを担任している教師207名に,自分の担任してい る子ども全員について回答を求めた。 

(2)調査票  平成14年に文部科学省が実施した全国実態 調査と同様の質問項目を用いた。学習面(「聞く」「話す」「読 む」「書く」「計算する」「推論する」)「聞く」「話す」等の6 つの領域(各5項目)計30項目。行動面は「不注意」「多動性

−衝動性」についての,それぞれ9項目,計18項目。「対人関 係やこだわり等」については27項目。 

(3)実施時期  2003 年9月 

(4)手続き 

調査は学級担任が教務主任等と相談しながら,自分が担任 するクラスの子ども一人一人について,パソコン上で回答を 求めた。 

III. 結果と考察 

まず学習面(「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推 論する」)の6領域の内、少なくともひとつの領域で該当項目 が12ポイント以上を示した場合はLDの可能性があると判 断する。表1はLDと判断された子どもの割合である。

表1  LDと判断された子どもの割合(%) 領域  聞く  話す  読む  書く  計算  推論

男  0.8  1.0  1.0  1.7  1.5  0.7  女  0.2  0.3  0.2  0.2  1.6  0.2  全体  0.5  0.6  0.6  0.9  1.5  0.4 

「計算する」を除いて、男子の方が女子より高い値を示し ている。男子の「書く」は特に値が高い。女子は「計算する」

が一番高い。 

これらの6領域はどのように重複しているのであろうか。

図1は、重複して判断された領域の数を示したものである。

縦軸の目盛は人数であるが、%に換算すると70人が約2%である。

したがって男子(女子)は1.9(1.3)%が1つの領域で、1.6(0.6)%

が2つ以上の領域でLDと判断されていた。 

68

29 15

6 5 2

44

15

3 1 1 0

0 10 20 30 40 50 60 70 80

1つ 2つ 3つ 4つ 5つ 6つ

LDと判断された領域の数

  図1  LDと判断された領域の重複の程度 

次に行動面の「不注意」「多動性−衝動性」についてADHD と判断された割合と、「対人関係やこだわり等」について高機 能自閉症と判断された割合を表2に示した。 

表2  ADHD, 高機能自閉症と判断された割合(%)  不注意 多動性・衝動

性 対人

男子 2.3 1.2 0.7

女子 0.4 0.1 0.2

全体 1.4 0.6 0.5

表3に、これら9領域の障害の重複の様相を示した。例え ば「計算」LDの確率0.015であり、「不注意」ADHDの確率は0.014 である。この両者が全く独立に生じると考えると、その同時 確 率 を 求 め れ ば よ い こ と に な る 。 す る と 0.015 × 0.014=0.00021(0.02%)となるが、実際は0.4%の出現確率を示 している。つまり20倍の確率になる。表3の中で一番小さい 値の組み合わせの場合でも0.005×0.004=0.00002(0.002%) となるが、実際は0.1%の出現確率を示している。つまり50倍 の確率になる。つまりこれら9つの障害がかなりの高い確率で 同時に生じていることが分かる。

表3  9領域の重複の様相(%)

領 域

A  聞 く

B  話 す

C  読 む

D  書 く 

E  計 算 

F  推 論 

G 不 注 意

H 多 動 衝 動

I 対 人 A 0.5 0.2 0.2 0.2 0.2 0.3 0.3 0.1 0.2 B 0.6 0.2 0.3 0.3 0.2 0.3 0.2 0.1 C 0.6 0.3 0.3 0.1 0.2 0.0 0.1 D 0.9 0.3 0.2 0.4 0.1 0.1 E 1.5 0.3 0.4 0.1 0.1 F 0.4 0.2 0.1 0.1 G 1.4 0.4 0.3

H 0.6 0.2

I 0.5

表4  LDとADHDの障害の重複の様相 ADHDでな

ADHDであ

る 全体

LDでない 96.3 1 97.3

LDである 1.9 0.8 2.7

全体 98.3 1.7 100

表4に、LDとADHDの障害の重複の様相を示した。LDの確 率0.027とADHDの確率0.017は、その同時確率を求めると0.027

×0.017=0.000459(0.05%)となるが、実際は0.8%の出現確率 を示している。つまり17倍の確率になる。同様にLDと高機能 自閉症の同時確率は、0.027×0.005=0.000135(0.01%)となる が、実際は0.3%の出現確率を示している。つまり22倍の確率 になる。 

最後にADHDと高機能自閉症の重複であるが、驚いたことに、

高機能自閉症と判断される34名すべてがADHDと判断されてい た。つまりこの2つの障害は全く弁別されていないことが分か った。      (Masakazu Miyamoto) 慶應義塾大学三田キャンパス第1校舎  2005.9.10. 14:00-15:00 - 323 -

(5)

日本教育心理学会第 47 回総会発表論文集 2005/09/19    PF056

特別支援教育対象者の「判断」結果とクラスター分析 

宮本正一([email protected])・別府悦子

(岐阜大学教育学部)      (中部学院大学) key words: 特別支援教育、アセスメント I.はじめに

文部科学省から通常の学級に在籍する特別な教育的支援 を必要とする児童生徒に関する全国実態調査結果が発表 され,特別支援教育のガイドラインも公表された。

本研究の目的は、岐阜県 S 市において同様の調査を実地 し,回答に対して数量化Ⅲ類とクラスター分析を行い,文 部科学省の『判断』結果との対応を見ようとしたものであ る。 

II. 方法 

(1)対象  岐阜県 S 市にあるすべての小学校 11 校と中 学校 6 校で,クラスを担任している教師 207 名に,自分の 担任している子ども全員(男子 3,526 人,女子 3,453,計 6,979 人)について回答を求めた。 

(2)調査票  平成14年に文部科学省が実施した全国実 態調査と同様の質問項目を用いた。学習面(「聞く」「話す」

「読む」「書く」「計算する」「推論する」)「聞く」「話す」

等の6つの領域(各5項目)計 30 項目。行動面は「不注 意」「多動性−衝動性」についての,それぞれ9項目。「対 人関係やこだわり等」については 27 項目。 

(3)実施時期  2003 年9月 

(4)手続き  調査は学級担任が教務主任等と相談しなが ら,自分が担任するクラスの子ども一人一人について,パ ソコン上で回答を求めた。 

III. 結果と考察 

75 のチェック項目の単純合計が 8 以上の 1,450 名(21%) だけを分析の対象とした。数量化Ⅲ類、階層型クラスター 分析を行い 4 つのクラスターにするのが適切と判断した。 

 

判断LD

0.00 0.25 0.50 0.75 1.00

1 2 3 4

クラスター

0 1

  図1  文部科学省による LD 判断とクラスター 

図1は文部科学省による LD 判断結果と 4 つのクラスタ ー結果とのクロス表である。第2クラスターの 108 人(全 体の 1.55%)は 82.4%が文部科学省の LD 基準を満たしてい た。逆に、文部科学省の LD 基準を満たしていた 189 人中 第2クラスターに入った子どもは 89 人(47%)であった。 

判断ADHD

0.00 0.25 0.50 0.75 1.00

1 2 3 4

クラスター

0 1

  図 2  文部科学省による ADHD 判断とクラスター  図 2 は文部科学省による ADHD 判断結果と 4 つのクラス ター結果とのクロス表である。文部科学省の ADHD 基準を 満たしていた 120 人中第 4 クラスターに入った子どもは 61 人(51%)、第 2 クラスターに入った子どもは 46 人(38%) であった。つまり前者は LD と重複している ADHD と思われ る。 

ADHD の中で多動・衝動型は 44 人で、第 4 クラスターに 入った子どもは 35 人(80%)、第 2 クラスターに入った子ど もは 9 人(20%)であった。すなわち第 4 クラスターは多動 性・衝動性をもつ子どものクラスターと考えられる。 

最後に、対人面での障害を持つと文部科学省の基準から 判断された 34 人は、第 4 クラスターに入った子どもは 15 人(44%)、第 2 クラスターに入った子どもは 16 人(47%)で あった。 

これまでのクラスター分析の結果を総合的に考えると、

対人場面で多動や衝動性を示す子どもが第 4 クラスター に分類され、この中には ADHD の子どもと高機能自閉症の 中の衝動性を示すもつ子どもが含まれる。第2クラスター には LD の子どもが分類され、特に「静かな」LD がと衝動 性を示さない高機能自閉症等が分類されていると考えら れる。 

本研究は文部科学省科学研究費基盤研究(C)(課題番号 15530520; 代表別府悦子)による。 

浅井学園大学  北方圏生涯スポーツセンター  多目的ホール  - 617 -

(MIYAMOTO, Masakazu & Beppu, Ethuko)

Referensi

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5 高等学校における「通級による指導」の実践例 1 A高校における通級の指導の実際 ア 通級の指導決定までのプロセス 高等学校における通級の指導が平成 30 年度より制度化されたことを踏まえ、生徒や保護 者が通級による指導を希望する場合や、その必要性が高い生徒を校内で把握する必要があ